知事記者会見の概要(平成15年4月22日(火))
平成15年4月22日(火)
14:15~14:55
県庁 特別会議室
○発表事項
(知事)
それでは、退任に当たって一言ご挨拶をさせていただきます。
今日、4月22日で福井県知事の職を辞することになるわけでございますが、この4期16年の間、皆様方に大変お世話になりまして、ここに心からお礼を申し上げます。
昭和62年の4月に知事に就任いたしまして以来、多くの課題を解決することができたと思っております。
まず、工業技術センターの整備、それから県立大学の創設に始まりまして、県立音楽堂、あるいはサンドーム福井の整備、さらには、国際交流として、アメリカ・ニュージャージー州、中国・浙江省、あるいはロシアの沿海地方、さらにはドイツのハールブルク郡、ヴィンゼン市、またブラジルとの交流、最近では、メキシコのキャンプ誘致に伴う交流ということで、国際交流も進めることができたと思います。
また、高速交通網の整備では、福井空港の拡張整備が、残念ながら一昨年の秋、当分の間凍結という決断をしなければなりませんでした。これについては、大変残念に思っていますし、地元の賛成の方々、反対の方々、それぞれに大変ご迷惑をおかけしたことを、心からお詫び申し上げたいと思っております。
福井県の発展のためには、空港、新幹線、高速道路といったような交通手段の多様性というものが必要なのではないかと私は思っておりまして、そういう意味で、福井空港の拡張が実現に至らなかったことは本当に残念だと思っております。
高速交通網の中で、舞鶴若狭自動車道がこの3月に舞鶴東から小浜西まで開通いたしました。また、小浜線の電化も進めることができましたし、JR敦賀までの直流化も目処をつけることができました。
今後の課題としまして、高速道路につきましては、小浜西から敦賀までの50キロが、平成15年、16年は公団で行われているのですが、17年以降は新方式ということで、どういう方式が取られるのか、現在のところ定かではないということで、これが今後の課題の一つだろうと思っております。
それから、中部縦貫自動車道も今後進めていかなければならない課題の一つだと考えております。
高速交通網の中では、今津・上中間の新線建設につきまして、この任期中に目処をつけるということを前回の選挙のときにお話し申し上げたのですが、目処をつけることをできなかったということで、これは今後の課題として是非取り組むべき問題であろうと考えております。
それから、教育の問題につきましては、先程申しました県立大学のほかに、教育委員会の方で、去年、教育振興ビジョンを策定いたしまして、これに基づいて具体的な取組みが進められておりまして、本県の教育に大きく貢献するビジョンだろうと思っております。
それから、産業、経済問題ですが、長引く不況からなかなか脱することができないということで、ここ数年、毎年のように1000億円程度の経済対策を講じてきております。
また、国でも経済対策が講じられておりますが、これが正直に言って、効果を発揮していないということで、一日も早い景気の回復を期待いたしております。併せて雇用の増加も期待しています。
福祉問題につきましては、特に高齢化が進んできておりまして、介護保険制度も軌道に乗っているわけですが、さらに福祉の充実を進めていかなければならないと思っております。
そういったことで、総じて多くの課題を解決することができましたし、この私の任期中、平成6年から平成10年までの5か年間、福井県は旧経済企画庁の調査で、豊かさ指標が全国一という評価を得ているわけでございます。この調査は、平成11年からは公表しないということになったわけですが、おそらく公表されていれば、福井県は一位を続けているのではないかと思っております。これは、県政推進と県民の皆さんの努力が相俟ってこういうすばらしい評価を得るに至ったのではないかと、大変うれしく思っております。
反省しなければならない点としまして、旅費問題と敦賀のごみ問題がございました。
旅費問題につきましては、ああいう形で旅費がプールされているということを、私自身が実は知る機会がなく、調査を進めて初めて実態が分かったということでした。ああいうことのないように、職員の意識改革、それから県庁の組織そのものの改革が是非とも必要だと考えております。
それから、敦賀のごみ問題も、敦賀のその当時の保健所でいわば適切な処理をしていなかったことが発端で、今こういう大きな課題になっているわけでございます。これも最初の段階から、きちっと私のところで結論を出すような機会がなかったわけですけれども、そういう体制を確立する必要があると考えております。
今後の課題としまして、北陸新幹線はまさに今年の秋が正念場でございまして、新知事の下で、何としても南越まで工事の着工に漕ぎ着けるように頑張ってもらわなければならないと思っています。
それから、先程もちょっと触れましたが、舞鶴若狭自動車道の小浜西から敦賀までが、今後どういう方式で進められるかということが大きな課題ですので、これに対しても積極的な取組みが必要であります。また、今津・上中の新線につきましては、採算性の問題等いろいろ課題があるわけですが、嶺南地方の方々の悲願でございますので、何としても実現して欲しいという気持ちでございます。
それから、今年は「若狭路博2003」も開かれますので、ああいったイベントを通じて福井県のイメージアップがより進められれば良いと期待しております。
私のこの16年の間に、県政の進め方として、パブリックコメント制度といったようなことで、県民の皆様方のご意見をお伺いするというような手法を取ったわけでございます。
これから地方分権がますます充実されていき、市町村合併も進んでまいりますので、これからの行政の進め方として、そういったパブリックコメント制度のような、県民の声を県政に反映するといった努力をさらに進めてもらう必要があろうと思っております。
そして、私の場合は20世紀から21世紀への架け橋の役割を果たすことができたと思っておりますが、21世紀に福井県が着実に発展するように、西川新知事の下で、大いに県政推進に頑張っていただきたいというのが、私の偽らざる気持ちでございます。
今、退任するに当たりまして、私の気持ちとしましては、この4期16年間いろいろな事業を進めることができましたし、また、県民の皆様方のご協力もいただいたということで、今の気持ちは充実感に満ちております。本当にこの4期16年の間、県政推進に力を尽くすことができたことを大変誇りに感じています。
重ねまして、皆様方に大変お世話になりましたことをお礼申し上げまして、退任のご挨拶とさせていただきます。本当に長い間ありがとうございました。
○質疑応答
(記者)いろいろな思い出があると思うのですが、今、触れられなかった原子力についてお伺いしたいと思います。
(知事)
原子力問題は、福井県にとって欠かせない問題でありまして、私の任期中、毎県議会で、原子力発電所のことが議論にならなかった議会は一度もなかったのではないかと思っておりまして、それほど県政上の重要な課題だと考えております。
原子力発電所の問題は、あくまでも安全性を確保するということが大事でございまして、県としては事業者に対する指導、それから事故・故障についての通報等、安全確保をきちっとするということを常に心がけておりますが、事故の通報がなおざりになったり、あるいは大きな事故も何回か起こりましたが、そういうことがないように。
商業炉ですから、理論的には安全性の確保が確立されていると考えておりますので、いわゆるヒューマンエラーといったようなものが起こらないように、きちっと事業者の方で対応してもらうことを常に心がけていたわけですが、いくつかの事故が起こり、また、通報の不十分さもあって、県民の信頼を損ねた面もあったのではないかと思っております。
それから、国民合意の形成につきまして、もんじゅの事故後、いわゆる3県知事提言ということで、福井、福島、新潟の3県知事で提言をいたしました。その提言をもとにしまして、国が、例えば円卓会議を開いたり、あるいはもんじゅの懇話会を開いたりということで、国民による合意形成に向けて、積極的に動き出したということは評価できると思っております。
原子力に関連する地域振興ですが、交付金で対応しているのが国の姿勢です。
最初は、立地している市町村について立地のときに交付するといった考え方で、最近ようやく県の考え方なども取り入れて、その発電所が存在する限り、長期に交付金を出そうという考え方に変わってきております。
地域振興の課題としては、やはり原子力発電所が立地している地域全体、福井県でいいますと、嶺南地域全体が、あるいは福井県全体が発展するような、制度なり、あるいは仕組みというものを国に考えてもらう必要があるのではないかと思っております。
そのためには、原子力行政を国の経済産業省なり、あるいは文部科学省だけが推進するのではなくて、内閣として、安全性の確保、あるいは地域振興、そういうものをきちっと責任を持って進めていく必要があるわけです。
例えば、原子力関係閣僚会議で方向性を出して、その方向に基づいて、国土交通省が地域振興についてきちんと対応するといったことが必要ではないかと考えております。
今後も、原子力発電所の問題は、敦賀3・4号機の増設問題もあり、関電のプルサーマルの問題もあり、また、もんじゅの問題もあり、福井県にとりまして大きな課題でございますので、先程言いました安全性、県民の理解と同意、あるいは地域振興といったような、今までとってまいりました原子力三原則を徹底することによって、県民が安心してこの問題を考えることができるような取組みを是非進めて欲しいという期待を持っております。
(記者)
長い間お疲れさまでした。先程おっしゃいましたように、副知事時代から確か26年になると思います。先程、生活満足度が日本一ということで、豊かさ指標がまだ続いていれば、多分日本一になるだろうということだったのですが、それを踏まえて、今後、福井県がどういう県になっていって欲しいということがございますか。
(知事)
生活満足度、豊かさ指標で日本一だということで、やはり福井県が全国に知れ渡るような分野がいろいろあるのですが、例えば産業でいいますと、今、レーザ技術の開発をやっておりますし、あるいは、繊維にしましてもCOEの取組みをやっています。
そういうことで、産業についても福井県はなるほど日本一だと言えるような、そういう取組みを是非進めて欲しい。それから福祉の問題にしても、今、高齢化が進んでいるわけですから、高齢者の方々は一番住みやすい生活を福井県でしているといったような点で日本一になって欲しい。
それから、私もこの16年間、大分力を入れてきましたが、イメージアップはまだまだ不十分だったという気がします。
イメージアップの面でも、福井県はこういうことで有名で、全国に知られるようになるといったような取組みを是非してもらって、あらゆる分野で福井県が全国ナンバーワンということで、全国に知れ渡るような県にする必要があるのではないかと思います。
(記者)
西川氏が当選されたわけですが、どんな知事になって欲しいと思われますか。
(知事)
この16年やってまいりまして、私は、やはり知事に対する期待というのは、強いリーダーシップを発揮してもらうということが知事の何よりの重要な課題だろうと思っております。
もともと西川氏は行政経験も豊富ですし、人格識見は言うことはないわけですから、強いリーダーシップでこれからの福井県をどのようにするのかということを、もちろん叡知を結集して県庁の中の各組織も十分使い、それから県民の意見も聴くということで、強いリーダーシップを発揮してもらう。そして、福井県の方向性を是非決めて、それに向かって、ここでまたリーダーシップを発揮して実行に移してもらいたいという具合に思います。
同じリーダーシップでも、日々の行政の中で、知事がいわば指示しない、あるいは指示できないようないろいろな課題、例えば出先機関で地域住民からの要望があるといった場合、それをいちいち知事が判断・指示するわけではありませんから、それは出先機関できちっと対応できるように、そういう県庁の仕組みといいますか、それもある意味ではリーダーシップだと思いますので、職員の意識改革なり、執務のやり方なりを徹底して、県民の要望に応えられるようにというリーダーシップが必要だと思っております。
それを痛切に感じましたのは、もう2年ほど前になりますか、eメールを直接受け付けることにしたわけですが、そのeメールを見ていますと、県庁ではなかなか知ることができないような、それぞれの地域の要望なり、不満なりがメールで送ってこられるわけです。
その都度指示はしましたが、ああいうことは、それぞれ出先できちっと対応できるような県庁の体制を作る必要があるのではないか。これも知事のリーダーシップではないか。
それから、先程言いました旅費問題なり、あるいは敦賀のごみ問題のようなことが起こるということは、やはり県庁の組織が十分に機能していなかったからでして、それも強いリーダーシップで改善してもらう必要があるのではないかと思います。
(記者)
イメージアップを16年間一生懸命やられて、まだちょっと不十分だったということですが、どういう点が足りないのか、もしくは、どういう点を今後努力すれば実現できると思いますか。
(知事)
県でイメージアップのいろいろな行事を毎年のようにやってきましたが、それが結局は、イメージアップとして県外の人に十分に知られたかというと必ずしもそうではなく、福井県はどこにあるのですかとか、福井県はどういうものが特産物ですかとか、そういうことを依然として聞かれる。ということは、必ずしも我々のイメージアップの進め方が十分ではなかったのではないかと思っております。
これからの進め方として、やはり大消費地である東京をターゲットにしてどうするのかというのが一つの課題だと思います。東京の人に福井に何回も来てもらうような福井の魅力をアピールする必要があるのではないかと思います。関西は近いですから、比較的来てもらっているのですが、東京で福井をアピールすることによって、東京のマスメディアもありますし、人口も多いわけですから、東京から人が来ることによって福井県が活性化されるということだと思っております。
これから全国版ということでは、今の「武蔵」に小次郎が出てきますが、ああいうものに挑戦してみるとか、大河ドラマといったような全国に知れ渡るようなPRをさらに徹底する必要があるのではないかと思います。
(記者)
16年間大変な仕事だったと思うのですが、それを支えたものは何だったのか、それから、明日からどういった形で県政に関わっていかれるのか、その辺をお願いします。
(知事)
この16年間は大変忙しい思いをしたわけですが、それを支えたものということですね。
やはり私が知事になりたいと思ったのは、ずっと地方行政に携わってきまして、副知事を10年近くやったということで、その集大成として、ふるさと福井に恩返しをしたいという強い気持ちがあったからです。それで、知事に立候補したわけです。
その昭和62年の気持ち、ふるさと福井を良くしたいという思いをこの16年間ずっと続けてきて、マンネリズムにならなかったと自分自身は思っております。そういうふるさと福井を良くしたいという信念といいますか、そういうことが支えになって、そしてどんなに忙しいときでも対応できるということで進めてまりました。
手を抜くということを知らなかったものですから、張りつめたというか、本当に充実したといっていいのか、とにかく、そういう16年であったと思っております。
それから、今後、今しばらくは、引越しや挨拶回りなどいろいろありますから、ちょっとゆっくりしますが、その後は、今までの経験、あるいは多くの県民の方々に接してきましたので、一県民として、新しい知事にアドバイスやサジェストをする、あるいは県民の意見としてこういうものがありますよというような、そういう意味での助言と言いますか、そういうものはやっていきたいと思っております。
ただ、県政推進をするのはあくまでも新知事ですので、その新知事をいわば支えるということで、新知事の邪魔にならないように、いい意味でのアドバイザーになりたいと思っております。
(記者)
西川さんが今回のマニフェストというのをお出しになられて、それを基に今回4年間やっていかれるのですが、知事とはちょっとやり方が違っていると思うのですが、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。
(知事)
三重県の北川知事が、いわばマニフェストを作り出したわけです。北川知事から直接マニフェストの考え方を説明してくれて、聞いたわけですが、あのマニフェストは、今の福井県でいえば中期財政計画に似たような、何年までにいくらという非常に具体的なわけです。
あれを選挙に掲げたということはそれだけ責任があるわけですから、非常に私は重く受け止めております。是非マニフェストで公表した政策というものを実行して欲しいなと思っています。
彼自身もそういうことを十分考えながらマニフェストで、例えば200億とかという数字を出しておりますが、単に多ければいいということではなくて、ぎりぎり実現可能なものを示したと思いますので、是非実行して欲しいなと思います。
(記者)
これから議会や調整など、かなり難しくなってくる状況にはならないのでしょうか。
(知事)
そのマニフェストの実行に当たってですか。
(記者)
はい。
(知事)
私自身はマニフェストの中身はそんな無茶なものが挙がっているとは思っていません。
それから、数字もやはり本人が実現可能なものでぎりぎりなところを挙げたのだろうと思っていまして、十分説明すれば、議会の理解も得られるのではないかと思っています。
(記者)
大変激務だったと思うのですが、明日からちょっとほっとされるということもありますでしょうか。
(知事)
知事の仕事がこんなに忙しいと実は思っていなかったですね。一日が終わって8時半か9時に家に帰ってくるのですが、本当に一日が終わってほっとして、今日も一日終わったなというような感じで、それが毎日続いたわけです。
それから、人が集まるというので、やはり土曜、日曜にどうしても催しがある。第3日曜が家庭の日ですから、県庁の行事は一切やるなということにしているのですが、県庁の行事はなくても、ほかでいろいろな行事があって、それに来賓として出てくれということで呼ばれます。例えば、日曜日にお昼1時間取られると、1日つぶれてしまうというようなことで、なかなか自由な時間が取れなかったなと思っております。
これからは人間らしい生活ができるのではないかと思っております。
特に、県庁の仕事に関連する本とか資料はある程度読みましたが、それ以外にはほとんど本を読む時間がなかったですから、是非本も読みたいと思っておりますし、まだ山登りもしたいなと思っておりますし、そう言う意味ではたくさんあるのですが、ただ、今までに比べれば忙しさは激減するわけですから、規則正しい生活をしないと健康保持ができないのではないかと思っており、生活設計を考えているところであります。
(記者)
原発問題ですが、知事選の3日後に関西電力さんがプルサーマルについて言ってこられて、また、もんじゅとか、今後いろいろな決断が迫られてくる時期だと思うのですが、その辺については、どのように考えていらっしゃいますか。
(知事)
プルサーマルにつきましては、確か平成11年6月頃でしたね、県として議会で議論してプルサーマル自体は認めているわけですが、MOX燃料の製造の契約に入るときに、改めて県に申入れをしてもらって県議会で議論することになると思います。
先日、16日でしたか、関電の社長が来ましたが、そのときは平成15年度中にMOX燃料の製造の契約をしたいということを言っていましたから、契約するについては県議会で十分議論をして進めると。11年6月に、県ではプルサーマル自体は認めているわけですから、そこのところはそういう前提で進めることになりますが、MOX燃料の製造の契約に入る段階で改めて議論をすることになると思います。
それからもんじゅにつきましては、判決について、専門家からかなりの批判が出ておりますが、判決まで待つというのが一般的な考え方だろうと思います。これから最高裁の審理の過程でどういうことになるのか、それを見守っていかなければならないと思いますが、最高裁の進行状況によって国がどう対応するか、そういうことも全体として視野に入れて、県としてどうするかということだと思います。
以上
〈 総務部広報広聴課 編集 〉
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