知事記者会見の概要(平成27年6月22日(月))
平成27年6月22日(月曜日)
10:30~11:55
県庁 特別会議室
【知事】
今日は、27年度6月補正予算案、「伝統的工芸品月間国民会議全国大会」の開催の決定、それから、県内の消費喚起対策についての3点申し上げます。
4期目の最初の予算になる6月補正予算案について、お話を申し上げます。
〔資料〕
資料№3平成27年度6月補正予算案主要事業(施策別・予算額一覧)
これまで12年間、マニフェストに基づき県政を推進してまいりました。北陸新幹線や高速道路といった高速交通体系が、既にできたものもありますし、残りのものについても大体期限が決定され、それをいつまでにやるか、より早めるかという状況になりましたので、概ねの見通しがついている状況です。
また、県民の幸福度、あるいは子どもの幸福についても日本一のレベルになるなど、成果が上がってまいりました。
しかし、一方で、全体的な事柄として人口減少が進んでいますし、東京への一極集中などが進んでいます。
そこで、今回のマニフェストでは、福井が持つふるさとの力によって、県民の生活をより希望に満ちたものにしなければならないということで進めてきたところです。予算もそういう思いでつくられておりますので、そういう考えのもとで申し上げたいと思います。
一般会計の補正予算の規模は233億円であり、当初予算を合わせた6月現計予算は4,823億円となり、前年度当初予算とほぼ同規模です。
なお、今年度の当初予算では、景気の回復基調の中で、いわゆる制度融資の利用実績を見て、融資額を約150億円減額していますので、こういうものを差し引きして比べると約3.3%の増となり、国全体の新年度の地方財政計画2.3%の伸びを若干上回る積極型の予算だとご理解願えればと思います。
今回の補正予算では、「人口減少対策」と「本県の魅力発信・交流人口の拡大」の2つを念頭に置いた予算になっています。
人口減少対策については、縁結び活動などの結婚対策、新しい3人っ子応援プロジェクトなど、直ちに実行が可能なものや年度当初から実行すべき事業を、既に2月補正予算や当初予算で予算を組んでおりますが、今回は特にそれに加えて、大学連携センターの設置準備や産業人材のU・Iターン促進など、関係機関とのいろいろな議論によって着手可能となった予算を計上しています。そして、先日開いた「ふくい創生・人口減少対策推進会議」の議論、また、それに基づく県版創生戦略の検討内容を踏まえながら、必要な政策をさらに追加していきます。
2つ目の「本県の魅力発信・交流人口の拡大」について、中部縦貫自動車道の2年後の大野開通、3年後の国体開催、8年以内の北陸新幹線敦賀開業ということが続けてありますので、そうした節目をにらみながら、ぶれることなく観光地の魅力づくり、産業誘致など、福井の姿をより具体化しながら、県民の総力がここに集中できるようなアクションプランを策定してまいります。また、観光誘客の拠点として、恐竜博物館や一乗谷朝倉氏遺跡のレベルアップ、年縞展示施設、それから、ミシュラングリーンガイドで二ツ星に認定された永平寺の宿坊と新しい門前の整備などを並行して行います。
予算は冒頭申し上げましたように、基本的に県民生活や生産等、各分野にまたがりますので、元気な社会・産業・県土・県政の4分野に沿って整理がなされております。
まず、「元気な社会」ということで、特に人口減少などに深く関わります。教育、健康、福祉、防災などが主なものです。
発表資料の4ページ、主要事業の1ページですが、「企業誘致(本社機能)促進策の充実の制度創設」です。先日、国においては、首都圏から地方への本社機能移転を促す税制上の優遇措置について定めた法律が成立しました。これは福井県などが提唱した制度なのですが、なお不十分であり、まだその入口といった制度ですが、しかし、これも十分に活用する必要があると思います。
福井県でも本社機能移転の動きを加速させるため、従来の製造業中心の支援制度に加えて、本社機能を移転した企業に、土地や建物、機械設備等の初期投資に対する補助制度を新たに設けます。信越化学工業の半導体基板をつくるための70億円の投資や、テクノポートの長瀬フィルターなどいろいろな立地の動きがございますが、まだ本社が来るまでには至っていませんから、こういうものをきっかけに、さらに本社や人材の移転が重要です。
例えば管理事務棟を1億円で建設して、移転に500万円の経費を要したという場合、建設経費に25%の2,500万円、移転経費に50%の250万円、全部で2,750万円の支援がある。これが10倍になりますと、大きな金額になる。こういう応援を用意するということになりますので、福井県独自で国の制度にそれを乗せていくことになります。
それから、「産業人材のU・Iターン促進事業」約1,500万円ですが、これは主要事業の1ページに書いてあります。県内のものづくり分野等の企業が求める人材は大都市に多いので、全国にネットワークを持ち、転職希望者の情報を収集して持っている人材会社を活用しながら、都市部の有用な人材を、俗に言うヘッドハンティングをして県内企業の人材確保につなげてまいりたいという予算です。
次に、「大学連携センターの設備準備事業」です。主要事業の2ページに書いてありますが、約1,000万円です。県内の大学や短大等は、平成19年度から大学連携リーグをつくって、リレー講座などいろいろやっているわけですが、さらにこれを本格化する必要があります。県都中心部に学生にまず集まってもらわなければいけないし、勉強する、あるいは情報交換をする「大学連携センター」の設置準備に着手します。ここではいろいろな語学あるいは一般教養など共通して学べる講座を実施し、またこれが単位取得になる。そして、福井県は比較的市内の周辺に大学がありますので、この辺に集まってもらうということです。
なお、これは国の「知(地)の拠点大学による地方創生推進事業」という予算があり、五、六千万円の事業ですが、これをぜひとも確保して、それを活かしてこの大学連携センターが来年度からさらに具体化するように努力したい。こういう予算確保がベースに必要であります。
次に、「結婚Uターン応援事業」200万円弱、6ページです。昨年、首都圏在住の女性の特別のインタビュー調査を行いましたが、いろいろな評価をしますと、結婚を考える女性は、30歳前後がUターンのタイミングだと思っているようです。そこで、大型連休や年末年始など里帰りの時期に合わせて、首都圏在住の本県出身女性と本県在住の男性との交流会を開いて、結婚も含めたUターンを後押ししたいということです。
それから、同じ6ページの700万円余り、「若者チャレンジ応援プロジェクト事業」です。福井では若者チャレンジクラブが、全国的に先進的な活動をここ数年やってくれているわけですが、その1つの事業として、地域に伝わる伝統行事の復活などの取組みを応援してもらっています。ここには美山の祭りの例がありますが、そうした地域を応援する。また、こういう祭りを逆に町なかでもやってもらおうとか、いろいろ若い人たちに頑張っていただいて、地域も力を得るということかと思います。
次に7ページをご覧ください。ここからは教育になります。
先日、世界授業研究学会のシンガポールの会長がお見えになりましたが、特に英語教育については、国においては32年度から学習指導要領が改訂され、小学校5・6年の英語が教科になる予定です。福井県としては、これまで様々行っておりますが、本格的に先行して独自の英語教育を進めてまいりたいということで、約4,800万円の予算です。
具体的には、大学と共同で独自の教材や指導案を開発する。これは小学生の最初の英語教育は極めて重要であり、注意を持って教材、あるいは先生の教え方をやらないと、これからの教育に影響するわけです。若い先生だけでは大変ですので、退職した教員による学習サポートを実施するとともに、新たに英語教育人材バンクをつくり、民間の英語の堪能な方々にも協力いただいて、先生をした方々、あるいは退職教員の方の総力を挙げて、実際話せるといいましょうか、自然に英語が身につくという教育をしたいと思います。英語は勉強というのではなくて、必ずやるとマスターできるという確信を子どもたちに持ってもらわないといけないわけであり、それは実現可能だと思います。そういう雰囲気をみんなでつくっていくということです。
それから、中学校段階で、さらに授業を英語でやるというやり方があるわけですので、全国でも生徒当たりのALT、外国人英語指導助手の数が一番多い県ですが、さらに10人程度増員し、子どもたちの聞いたり話す英語力を強化してまいります。
また、これだけではちょっと足りませんので、小学校の先生が、例えばNHKの「基礎英語」などをみんなで聞いて、これも一生聞かないといけないかもしれませんが、先生のパワーアップを図っていくということを皆さん思っていただいているようですので、全力で英語力の基盤を引き上げていく努力をみんなでやっていこうということです。そうすれば必ず何とかなるだろうということです。まだマニフェストに掲げた、高校を卒業して英語がしゃべれるというのにはどうもなっていないような印象を受けますので、これはぜひとも実現したいと思います。
それから、同じく教育ですが、8ページ、「ふるさと人材育成支援事業」4,000万円、と「私立高等学校教育振興補助金」3,200万というものです。私立高等学校において、地元の大学、短大、専門学校への進学や地元企業への職場体験実習の参加を促す助成の仕組みを新たに設けます。これは、教育と同時に、先ほど申し上げた人口の県外流出を防ぐという配慮事項がここに含まれています。
それから、県内の私立学校の魅力を高めるため、大学進学への成績が良いとか、就職に役立つ資格取得を頑張っている、あるいは敦賀気比高校のように全国優勝するなど、こういう突破力のある成果を上げた学校に対し、最大500万円の特別加算を行う。根っこには何十億という予算の応援をしておりますが、さらに個別にそういうメニューを加えていくことになります。
次に、資料の9ページ、主要事業では4ページに書いてあります。高校段階で資格をもっと取ってほしいという企業からの声も受けながら、企業が求める人材と高等学校の学習内容をうまくマッチングさせるために、新しい学習力指標「福井フューチャーマイスター制度」を創設します。溶接技能者や測量士など企業が求める資格を明らかにし、職業系高校で学んでいる生徒の資格取得や企業への実習参加に対する意欲の向上を図ります。
次に、「元気な社会」の中で、福祉、健康の分野にまいります。10ページですが、「わがまち健康づくり応援事業」1,300万円、あるいは「救急搬送強化支援事業」1,500万円、「認知症施策総合推進事業」500万円というものです。
県ではこれまで、運動や食べ物を中心に健康づくりを展開し、全国トップクラスの健康長寿県となっています。しかしながら、独自の健康づくり施策を展開している市町は意外と少ないのです。ヘルス事業は市町の分野の仕事で、県は直接の担当ではありませんが、これを何とかバックアップしないと進みませんので、その応援をしたいということです。
国体もありますので、「1県民1スポーツ」という県民運動の一環として、ウオーキングやサイクリングなど、市町での健康づくりをさらに応援し、1市町1健康づくりを進めてまいりたいと考えています。特に市町ごとに「わがまち健康推進員」を設置し、3世代でのスポーツ体験、あるいは、食べ物、食のいろいろな勉強、健康づくりを進めてまいります。
それから、「救急搬送強化支援事業」です。死亡原因としてはがんなどいろいろありますが、急性の心筋梗塞などはかなりいろいろな課題になっていますので、そういう疑いのある患者搬送の際に、一刻を争う状況ですので、心電図情報を救急車から直接専門医療機関に電送をし、搬送段階から待っているお医者さんが、患者さんの情報を常に把握しながら、到着次第直ちに治療ができるということです。まずは、奥越地域から福井市内へ搬送するような場合のシステムの効果を検証したいと考えています。
また、高度な急性期治療を受けた利用者が、自宅近くの医療機関に回復期にスムーズに移行できるよう、中核病院に転院搬送用の救急車の整備を行います。
それから、同じく10ページですが、500万円の「認知症施策総合推進事業」です。認知症は早期に発見し、治療することが重要と言われています。昨年から、65歳以上の方を対象に、独自のチェックリストを使った認知症検診を全国で唯一実施しています。また、検診の結果、認知症が疑われる方で医療機関を受診されていない方には、看護師等の専門チームの派遣を全国に先駆けて行っています。そこで、今回、認知症発症そのものを予防するために、生活習慣の改善、運動、知的活動、社会活動への参加など、普通の生活の中で楽しみながらできる福井県独自の認知症予防メニューをつくって、予防を進めたいということです。早く発見しなければなりませんが、発見してどうだと言っているだけではすまないわけであり、できるだけそういうことにならないように手を伸ばしていこうということです。
次に、安全に関わる問題ですが、その一例として、11ページ「臨時ヘリポート整備事業」です。これから梅雨や梅雨明けの豪雨が心配されますが、近年、豪雨による土砂災害や雪の害による集落孤立が、全国ではあったわけですし、これからもあり得ると思います。そこで、集落へのアクセス道が1本しかないなど、厳しいところが幾つかありますので、土砂災害等で孤立するおそれのある集落について、夜間でもヘリが離発着できる照明設備を整備し、空からの避難手段を確保してまいります。実際になりますと、あらゆる万難を排して救出しなければなりませんが、そこに至らなくても、あらかじめ準備していたほうが安心もできますし、その間のいろいろな事故防止にもつながるということです。
12ページは社会問題の中で環境に関わると思います。主要事業では同じく12ページに書いてあります。里山里海湖研究所では、里山里海湖をフィールドに自然体験、観察、再生を学ぶ「福井ふるさと学びの森」を、昨年には若狭町気山地区、今年5月にはあわらエリア、奥越エリアに設置しています。そこで、これを県内各市町に広げ、気軽に里山里海湖に触れ親しむ機会を拡大します。また、福井県内の中学校の理科の先生を全員、里山里海湖研究所の推進委員に委嘱をして、先生方が専門分野を活かした生きものの生息・生育状況の調査をそれぞれの学校で実施し、これをずっと何十年間にわたって継続し、地域を学び、また、福井県全体の比較などもするプロジェクトを進めてまいりたいと思っております。
なお、小学生には身近な生きものの観察シートを配布し、どこどこの小学生から、昨日の夜はホトトギスが鳴いたとか、あるいはアオバズクの声がどこからか聞こえたとか、その時季ならではの生きものの調査報告を随時受け付けて、研究所において公開します。
次に、13ページは環境問題の中で、「『年縞』活用推進事業」4,800万円弱です。水月湖年縞については、26年度に新しく4本の年縞コアを立命館大学の中川教授などを中心に採取していただき、その一部を里山里海湖研究所において公開しています。今回、多くの方々が年縞の価値を実感できる研究、また、教育、観光にも利用できるだろうということで、その展示施設の基本設計に着手するとともに、国内外での年縞を活用した研究を支援するため、これを基礎的な試料として提供していくことになります。なお、これは大学との連携が必要ですので、先日、立命館大学にお伺いして、学長、副学長、担当の方と連携をしながら、若狭に立命館大学の何らかの研究拠点の設置を進めていくということを要請し、一挙には全てできないかもしれませんが、今、協議中という状況です。
次に、14ページ以降は産業関係、「元気な産業」です。中身としては、やはり地元企業の活性化、特に大事な産業である農林水産物のブランド化、それから、観光が中身になります。
まず、15ページですが、「宇宙関連産業参入促進事業」約1,000万円です。主要事業では14ページです。宇宙産業は、今後10年間で現在の1.6倍、約5兆円までの市場拡大が見込まれています。人工衛星の製造・運用、ソフトウエアの開発など、宇宙産業の分野において、本県企業の参入の可能性が広がっております。そのため、県内企業や大学などを中心に「県民衛星製造プロジェクト」を始動させます。
まずは、この人工衛星を構成するいろいろな機器、部材等の技術開発、打ち上げる衛星の利用方法、仕様などについて協議するとともに、衛星の組立て・打上げのための、誰がどんな分野にどんな協力をし、組織をつくるかということについての支援ということになります。これによって新しい技術が開発されると思いますし、一方で、宇宙のいろいろな地図情報などは1枚購入するだけで何百万円とかかるコストの高いものですので、そういうものも自分で上げれば安く使えるなど、利用そのもののメリットもあると思います。つくることと、つくる過程のメリット、そして、打ち上げられた場合にはそれを利用するメリット、こういうものがこれから役に立つのではないかというプロジェクトです。ものづくりの福井県と言っておりますが、これも目に物を見せられるかどうかということになると思います。
それから、16ページは「シニア人材活躍支援事業」1,400万円ですが、専門的な技術や経験を事業や研究機関などで長年ノウハウとして持っておられる方が今たくさんいらっしゃるわけです。そういう方は自分の技術を活かしたいと企業などに再就職の意欲は持っているけれども、情報が十分伝わらないとか、勤務条件など詳しい話がよく分からないとか、いろいろなことがあるわけです。一方、企業のほうでも、そうした方の情報が分からないということです。そのため、県内のシニア人材に対して県内企業とのマッチングを支援し、就職に結びつける「シニア人材活躍支援センター」を設置し、シニア人材の活躍を進めてまいりたいと考える事業です。
17ページは農業の事業になりますが、「小規模農業者チャレンジ応援基金プロジェクト」2,500万円です。地域の農業者が自由な考えを持っておられたり、女性の農家であればいろいろやりたいというお気持ちはあっても、なかなかこれまで実行に移せていなかったところがありますので、今回、全国で初めて県とJAが協働して基金を造成し、新たな発想でこういう事業を応援したいということです。
例えば、地域で普及していない野菜やカラフルニンジンなど新たな作物を導入したり、直売所の一角に喫茶スペースを設けるとか、女性の作業の負担を軽減する機械の改良など、地域で眠っているアイデアやそうしたことをやりたい農業者を発掘するという事業です。TPPとかいろいろなことがあり、大きな事業も一方で必要ですけれども、皆さんが何かやろうということに対して応援することが十分でありませんでしたし、JAが全体として県下全域でやろうという風潮がなかったのですが、今回一緒にやろうという動きになっているということです。
次に、18ページ、「里山里海湖ビジネス推進事業」2,600万円余りです。先月、大野の山間部の越前オウレンの栽培技術が林業遺産に認定されました。こうした長年にわたって継承されている栽培技術などの資源が数多く埋もれているわけです。こうしたものを市町や観光事業者と連携して地域全体で魅力アップを図っていこうということです。具体的には、ミニ農家レストラン、体験交流型農園の整備など、都市からも誘客を図るということです。都市と里山との交流を通し農業者の所得向上につなげていきたいということであり、こういうものを全県下に広げてまいります。
それから、19ページですが、漁業になります。「『越前サーモン』完全養殖生産拡大事業」1,500万円、それから、「ハタ類養殖振興事業」1,000万円余りです。越前海岸、若狭湾については、いろいろな水産業が発達していますが、やはり養殖やいろいろな生簀などを使った漁業がこれからフロンティアだと思っており、数年前は美浜町に定置網をつくって大分良くなっております。そして今回はトラウトサーモンの養殖です。これは1月から福井市の沖合でいろいろな試験をやっており、先月には初水揚げが行われています。これを嶺南地域にも拡大するということです。また、県内での完全養殖を目指すために、種苗生産あるいは中間育成設備等の整備を支援します。
ハタについては、安定して生産できるように養殖技法の開発などを行います。若狭ふぐは1kg2,000円ですが、「マハタ」は1kg3,000円ぐらいになる可能性がある魚です。
20ページは観光に関係しますが、「恐竜博物館魅力向上事業」です。これは桁がちょっと違うのですが、2億7,700万円です。本県を代表する恐竜博物館に、より本物の魅力をさらに高める必要があるということです。大型肉食恐竜「アロサウルス」や国内初となる草食恐竜「ヘスペロサウルス」の実物全身骨格など、新たに実物骨格化石など32体を購入するというものです。
まずは、この秋から、大型ワニ類である「ステネオサウルス」の全身骨格など23体を特別展示室にて公開します。また、購入する化石の中で、首長竜「エラスモサウルス」という実物全身骨格の組立作業を、国内で初めて公開します。
実物化石が20体、複製化石が10体、それから、肉付模型が2体ということです。
次は21ページですが、「外国人誘客に向けたブランド設定事業」600万円、「消費税免税店開設支援事業」400万円、「外国人観光客受入体制強化事業」400万円ということです。
3つあわせてご説明しますが、訪日外国人観光客は年間1千万人を超えるということで、最近テレビのニュースや、実際いろいろなところへ行きますと外国の方が非常に多いわけです。県においても、外国人から見た福井県を、共感できるブランドとしてどうつくり上げられるか、こういうことが必要ですので、ブランド設定をするためにまず600万円ということです。今回、日本航空から担当の職員に来ていただきましたが、その方を中心にいろいろやっていただくことになります。
それから、消費税免税店開設に必要となる免税カウンターの設置、これは来客が増えれば自然に増えるということもありますが、まず免税店も増やし来客も増やすということなります。
福井県の観光情報「ふくいドットコム」の英語版のホームページ、これは全部やるわけにいかないかもしれませんが、特に大事なところを頻繁に内容を充実させて改訂していくという作業の予算です。
次に、「元気な県土」、土木開発関係です。22ページ以降です。
「新幹線・中部縦貫道開通アクションプラン策定事業」100万円余です。予算は小さいですが、2年後の中部縦貫道大野開通、3年後の国体、8年以内の北陸新幹線敦賀開業、それぞれの節目節目を考えながら、本当に福井に行ってみたいとか住みたいという将来像を具体化し、産業、観光、まちづくりの面で最大の効果をどう上げていくかというアクションプランをここで改めてつくらせていただきたいと思います。
これは金沢開業ということはあるのですが、これは光の部分もありますし、いろいろな面で影の部分もあるかもしれません。そういうものを冷静に見ながら、福井県としてこれをいかにプラスの面に転換する、そのためには何が必要かということを今の時期にやるべきだと思っているという問題意識でございます。
24ページは港湾ですが、「大型客船誘致にかかる基盤整備調査事業」3,400万円。それから、「敦賀港鞠山南地区2期工事」5億円余です。敦賀港は、国内大型客船は寄港していますが、乗客数千人を超える外国大型船が十分寄港できる設備にはなっていないところがあります。敦賀港は天然の良港であると言われますが、実際そういう船が入るときにどこの部分は安全かとか大丈夫かと、いろいろなチェックをする必要があるものですから、そういうことを調査するわけです。
それから、内航フェリー、RORO船大型化、貨物量が増加していますので、新たなふ頭用地の造成を行うものです。ふ頭用地の造成に当たっては、北陸新幹線等の建設発生土を有効に活用し、コストの削減を図ってまいります。
なお、岸壁整備などについては国の予算が必要なのですが、今回それを得られておりませんので、さらに働きかけて、あわせて良い結果が出るようにしてまいりたいと考えています。
次に、「元気な県政」ということで、国体や文化・芸術、幸福日本一などのふるさと政策について申し上げます。25ページ以降です。
「福井しあわせ元気国体・大会開催準備費事業」約3,000万円、「競技力向上対策事業」2,700万円弱です。これはスケジュールに従ってやっているわけですが、県民総参加の福井国体を開催するために、クライミングなど国体実施競技の体験イベントを開くほか、個人や企業からの募金・協賛を夏ごろにスタートします。また、福井国体で優勝するための競技力の向上対策について、それぞれの種目への応援や人材の確保もしてまいります。
昨年7月につくった就職支援システム「スポジョブふくい」により、これまで48名のU・Iターンが実現しています。引き続き、この「スポジョブふくい」に関心のある選手を本県クラブチームの強化講習会などにお呼びして、県内企業の協力もいただきながら選手確保に努めてまいります。
また、ジュニアの選手についても強化活動を応援し、国体またはその後のオリンピックで活躍する選手を増やしてまいります。さらに、新しく国体種目に入るビーチバレー、女子ボクシングなど7種の競技についても、選手の発掘、育成、強化を進めてまいります。
次に、27ページです。「日本遺産活用推進事業」1,300万円余ですが、この4月に、「御食国若狭と鯖街道」が日本遺産に認定されました。そこで、滋賀県との県境に位置し、若狭地方へのゲートウエイとなる道の駅「若狭熊川宿」の展示リニューアルや特産品の販売、交流イベントの開催ができる屋根付きにぎわい広場の整備に対し支援します。また、8月からは若狭歴史博物館において、記念展として「鯖街道と若狭」を開催します。そうした施設整備などの予算です。
28ページは、「プロジェクト応援型ふるさと納税推進事業」約300万円です。ふるさと納税がスタートしてからこれまで全国で100万件、約1,100億円余りの累積寄付金が寄付されているわけですが、一方で、返礼品という動きもございまして、ふるさとを応援したいという意味については、いま一度原点に立ち返る必要があるかと思います。そこで、今回、いま一度ふるさと納税の提唱県である福井県から、郷土愛によるふるさとへの寄付という本来の趣旨を訴えてまいります。
具体的には、国体開催に向けた県民運動や山里口御門の復元、出身母校の高等学校への応援など、寄付者が自ら応援したいプロジェクトを選んで、その成果や進捗状況を確認できる仕組みをつくります。そして、本県の政策に共感できる寄付者の増加につなげてまいります。また、このふるさと納税を活用した全国各地の先進的なふるさと応援政策を顕彰し、ふるさと納税制度をよくアピールしてまいります。
以上が今回の予算の概要です。
それから、2番目ですが、「伝統的工芸品月間国民会議全国大会」の開催決定です。
〔資料〕伝統的工芸品月間国民会議全国大会
伝統的工芸品に対する理解・普及を目的に、国が毎年開いているこの全国大会について、開催を働きかけてきたところ、平成28年度の開催を福井県で行うことが決定され、今日、経済産業省と同時発表となります。
この大会は、関係者が一堂に会する伝統工芸の大会であり、一般の来訪者を含め約7万人程度の来場があると思います。本県での開催は、平成7年にサンドームが完成した記念としてやっており、21年ぶり2回目となります。
アクセスも良くなってまいりましたので、この機会を利用し、本県の伝統工芸品や産地の魅力を高めてまいります。11月24日から27日までの4日間の期間中に各伝統産業の産地を巡るガイドツアーや県内産地と他産地とのコラボレーション、職人や学生による作品の展示などを行うことになると思います。
次に、3点目ですが、県内の消費喚起対策です。
〔資料〕消費喚起対策
県内の各市町では、国の交付金を活用した「プレミアム商品券」を4月以降順次発売しています。各市町が独自で交付金を上限まで活用した結果、合計で51億5千万円を発行する予定で、消費拡大効果がプラス25%ぐらいあるという見込みで、65億円ぐらいの消費喚起効果を見込んでいるわけです。市町によって1万円で1万2千円から1万3千円の商品券が購入できるということで、非常に人気が出ているわけです。特に、使う場所を小さいお店に限定するプレミアム分として県も3億円その中に応援をしており、小さい店にまで波及させるということです。
それから、この問題に関連して、さらに本県独自の消費喚起策として、県内に宿泊された人が購入できる「福井県プレミアム藩札」5万冊、3億円分を6月26日から県内の約170の宿泊施設で販売します。これは6千円分の商品券を5千円で購入できるもので、県内の全域約6千軒の土産店や飲食店で使用できるということす。新幹線開業あるいは舞若自動車道「若狭さとうみハイウェイ」の全線開通という好機に、県外からの宿泊料金が割引になる「福井ふるさと割」と相互に活用していただけることを期待しています。
それから、もう1つ、「ふるさと名物商品」の販売というものがあり、本県の特産品を「ふるさと名物商品」という形で、本来の価格から3割引で販売するやり方をとろうということです。この事業実施に当たり、「ふるさと名物商品」の公募を行ったところ、食品や工芸品を中心に、県内132の事業所から385点の応募がありました。この事業を通して県外在住者に対して本県特産品の消費拡大を図るとともに、商品を知っていただくということを考えているところです。
以上であります。
~質疑~
【記者】
予算の今回では、「人口減少対策」と「福井県の魅力発信・交流人口の拡大」という2点を柱に掲げられていますが、まず、人口減少対策に様々なメニューが盛り込まれていますけれども、今回のメニューをどのように評価していらっしゃいますか。また、魅力発信の部分で言うと、年縞の展示施設や一乗谷の博物館、恐竜化石の購入など、見える化するという印象を受けたのですが、その点についての知事のお考えをいま一度お聞きしたいと思います。
【知事】
先日行われた「ふくい創生・人口減少対策推進会議」で、6月補正予算までの予算をベースにしながら、さらに全体としてどんなことができるかということを考える必要があります。それから、国に対してどういうことを制度要求するとか、あるいは具体的なお金の議論もあるかもしれません。どれくらいのお金になるかというのは、また議論はいろいろあるところですが、そういうことで福井県としての人口問題あるいはふるさと政策を充実してまいりたいと思います。
一方で、地方創生に関係しますが、交通条件が良くなっていますので、これも今やっているものだけではいけませんから、先ほど申し上げたようないわゆるアクションプランを2年後、3年後、あるいは8年後といったことで、はっきりしながら仕事を進めなければなりません。今回予算で計上しているのは、福井県がブランド力とかパワーアップをできるプロジェクト、また、ここには載っていないものでも市町ごとにそれぞれ「宝」がありますから、これをさらにより磨いていく。それから、磨くだけではなくて、互いに連携をとる。永平寺と東尋坊があっても、そこへ行って何が食べられるとか、何が買えるとか、あるいは交通はどうするとか、そういういろいろな話がセットでもっとできなければいけませんから、そういうものをよりはっきりさせて、福井の良いものを伸ばしてまいりたいと思います。
今回、恐竜や年縞など、新しいタイプのものも入ってまいりましたので、どこにもないものというのはこれから重要です。どこにでもあるけれども頑張るというのも大事ですが、どこにもないものというのは強調しなければなりませんから、そういう観点もより強く力を入れてまいりたいと思っています。
【記者】
新幹線のアクションプランはどういった形でつくるのですか。例えば外部のメンバーを入れてつくるような性質のものなのか、県庁の中で計画として練っていくものなのか。
【知事】
これからですが、あまり初めから外部の方をたくさん入れるということではなくて、それぞれ専門の人もいらっしゃるし、お得意の分野もあるでしょうから、そういう方からそういう会議に来ていただくなりして、やはり自分で、我々県や市町や産業の人たちが一生懸命考えないと、地に着いたプロジェクトにはなりませんから、それをベースにやらなければならないだろうと思います。そして、議会のいろいろなご意見も十分伺った上でつくりたいと思います。
【記者】
4期目のマニフェストの実現に向けた最初の予算編成となりましたが、マニフェストはどの程度盛り込めたか、今回の予算に対する評価を改めて教えてください。
【知事】
大体みんな入れたと思っております。
【記者】
先ほど、ふるさとの力によって県民の生活に希望を満たすものにいう思いで予算編成されたと仰いましたが、具体的に予算にどう表れているのか教えていただけたらと思います。
【知事】
予算だけではちょっと無理かと思いますが、みんなで仕事をしないといけませんし、県民の各界各層の皆さんが一緒になって頑張っていただくことが大事です。
それから何といっても大きな課題は、幸福度が高いとか、学力が良いとか、生活が安定しているとか、健康・長生きだとか、いろいろなことを言いますが、これが具体的な物だとか、お一人お一人の人とか、場所とか、あるいは出来事とか、そういうものにもっともっとうまく表れないと、これが皆さんの力にはなりませんので、そこに気をつけて進めたいと思います。
例えば体力があるというのはそれでいいのだけれども、選抜で優勝するのはやはりそうなのかなということになりますが、そういうつながりをつけて、あるいは、永平寺は素晴らしいと言っても、禅の心は何だというようなことを具体化しないと、なかなか見えませんし、福井の発信力にはならないところがありますので、そういうことに気をつけてやりたいと思います。
【記者】
敦賀港の鞠山南地区の2期工事に着手する予算を盛り込まれましたが、先ほど知事も仰いましたけれども、岸壁部分の整備を国が今年度事業採択を見送っている中で、どうしてこのような判断に至ったのか。国が事業を採択するという見通しが立っているのかどうかお伺いしたいのですが。
【知事】
これは、岸壁の事業と埋立ての事業は、性質としては後で一緒になるのですが、一応別の事業ですから、並行してできる事業だと思います。
【記者】
でも、国の直轄事業の岸壁ができ上がらないと、基本的に港の部分は使えないということなので。
【知事】
これからいろいろな事業を進める中で、要請はしておりますので、これから後、実現できるように努力したいと思っております。
【記者】
国土交通省は、今年度事業採択を見送った理由として、今すぐその整備が必要なのかという説明が不十分だという言い方をしているのですが、本当に今すぐ整備が必要なのか、知事はどう考えているのでしょうか。
【知事】
これまで採択をしてくれるのかなという状況で仕事を進めていましたが、国にどういう条件をクリアするといいのか、あるいは今回なぜ採択できなかったのかということについても、よりはっきり確認した上で、次の仕事に進んでいきたいと思います。
【記者】
再度確認なのですが、国の事業採択を待ってから県の埋立て部分をやればいいのではないかと一般的な感覚として思うのですが、それを先んじてやった理由は何かあるのですか。
【知事】
これは北陸新幹線の建設発生土も使えますし、コスト削減もできますから、埋立てはそうした土砂というのでしょうか、素材を利用するのは1つのタイミングだと思いますので、そんなふうに考えております。
【記者】
宇宙関連産業の支援事業について、4月の経済新戦略の発表のときは、「地方自治体初の人工衛星」という言い方になっていたのが、先ほどのご説明ですと、「県民衛星製造プロジェクト」という言い方をされていましたが、県が前面に立つというよりは、民間がやることに県が支援していくというようなニュアンスでよろしいのでしょうか。
【知事】
できるだけ県民といいますか、県内の企業などが中心になって進めていただくのが、事業の性質としては望ましいと思います。これを県がしっかり技術や情報提供や全体のコーディネートをする方向かと思いますが、やっていく中で、公共がどれくらい関与しないと物事ができないかということかと思います。あまり全部を公共がやるというよりは、できるだけ民間のお力をメインに応援したほうがいいのかなと思っています。
【記者】
交流人口の拡大について、一乗谷朝倉氏遺跡や、恐竜博物館、永平寺、熊川宿も含めて、万人受けするというより、歴史・文化・学術的なところを深掘りしていこうという思いがあるのかなと思うのですが、これをもってどういう人たちに福井を訪れてもらって、どういうビジョンを持って交流人口を拡大していくのかという知事の思いをもう一度お聞かせください。
【知事】
これは今回の予算の一部をお話ししたわけで、観光はもっとたくさん、いわゆる普通の俗っぽい観光もありますし、交通条件を整備したり、あるいはブランドとか、あるいはポスターはどうするのだとか、いろいろなものがありますし、その中の一部分であります。かなり特徴的なことを申し上げたということであり、福井県の特徴として、こういうどこにもないものというのは重要ですので、ここをかなり強調したという意味です。
【記者】
原子力のことですが、県議会でも特別委員会が先日あり、関西電力から説明を受けたり、本日も自民党県政会が高浜3・4号機の視察に行きますが、明後日から始まる県議会で高浜3、4号機について、何か知事からメッセージを発せられる予定や方針などはありますか。
【知事】
高浜3・4号機については、前から申し上げておりますように、原子炉の設置変更許可に引き続いて、今、工事計画や、さらにはソフトを中心にした保安規定の認可の審査が行われており、これについて県として、また、県の原子力安全専門委員会を通じて厳正に確認しているという状況であり、今のところ直ちに節目が来ているというわけではないという状況です。徐々に仕事が進んでいくと思いますので、それに応じて我々も審査をし、さらに、一方で国にいろいろ申し上げておりますが、エネルギーミックス、エネルギーの構成割合がぼちぼち決まる中で、国が原子力に対してどういう認識を示されるのか、あるいは、関西電力を中心にした地元の安全対策、体制はどうセットされるのか、あるいは、中間貯蔵などの対応はどうなるのかなどを並行して今行っているということです。
【記者】
新幹線について、福井までの先行開業という議論が進んでいる一方で、若狭ルートについても速やかに決定の方針を、という言葉をよく聞くようになってきたのですが、改めて、若狭ルートに対して、例えば、いつぐらいまでにどういうふうに決めなければいけないなど、どう考えていますでしょうか。
【知事】
若狭ルートについては、関連する事項としては、「整備5線」という話があるように、一番最後に工事が終わると考えられる札幌、これがこれから十五、六年後ということでので、それまでに大阪まで整備が終わっていないとおかしいわけです。そこは一応ターゲットとしながら、それよりもできるだけ早く若狭ルートが整備なければいけないわけです。さらにこれから8年以内ということで敦賀まででしょう。すると、並行して整備しても、そんなに時間はありませんから、ここ1、2年で方針を出して物事が進まないと、札幌はでき上がったけれども、まだ若狭というか、関西に行っていないなんて話ではしようがないですから。これだけ交通量が多くて、日本海側の国土軸でありますし、かつ、函館から札幌までの距離は、敦賀から大阪の距離の2倍近くはある。途中にそんなに大きい町があるわけではないですよね。そんなことを考えますと、より急ぐべきは北陸新幹線の大阪直結です。これは国土政策としても重要ですし、早く方針を出さなければいけないだろうということです。いつまででもかかるというものでは決していけないわけだと思います。
【記者】
若狭ルートとなると、京都府との連携や協力、理解というものが必要になってくると思いますが、例えば、近く京都府に行って、もしくはお会いしてという話はどうでしょうか。
【知事】
もういろいろな方法で知事とかいろいろな人にも会っていますし、また、県議会の皆さんも頑張っていただいて、向こうの議会の人たちともいろいろな議論をしており、体制を整えていただきたいという議論をしているわけです。
【記者】
人口減のことについてお伺いしたいのですが、先日、日本創成会議が、首都圏の高齢者を地方に移住させることを促すような提言を出され、その後、政府は地方創生の素案の中にそれを盛り込むというような報道もありました。知事は2年前にふるさと知事ネットワークの政策提言の中で、必要な財源措置があれば受入れを検討していきたいということを仰っているのですが、改めて都市部の高齢者の受入れということについて、どういうお考えがあるのか教えてください。
【知事】
これはあまりそれだけを取り上げて、この人たちを無手勝流に地方で受け入れるというタイプの話ではありません。ずっと住んでおられて、田舎から出て来られた人もいるでしょうし、東京の人もいらっしゃるかもしれませんが、この問題と地方から若い人が出て行ってなかなか戻らないなど、そういう全体議論をしっかりしないと国土政策としては一方的になりますから、そういうことも考えてやる必要があるだろうということなのです。もちろん地方にどうしろということがあるのであれば、財源的にもしっかりしていないと地方としては大変でしょうし、また、大都市もどう考えているのか。長年その大都市で生活して、そこで所得を上げ、その地域のGDPを引き上げてきた人たちですから、年配になったから物はつくれないのだなんていう、そんな話だけを無条件で言うのもまた妙な話ですから、その辺はやはりいろいろな詰めが要るだろうと。そういう中で地方として、地方で生活したいという人に対してどのようにするかということについては、13県のふるさと知事ネットワークの中で、必要な対応はいろいろ考えることはあるという議論をしているということです。
【記者】
その後、政府が医療費適正化の専門調査会で、地方の病院のベッド数が多過ぎる、多くなるから、福井でいえば4分の1以上のベッドを削減しなさいという話になっているのですが、ちょっとちぐはぐな感じもするのですけれども…。
【知事】
仰るように、ちぐはぐですね。お医者さんは大都市に集まっていて、特定の診療科目に集中していて、地方には必要なお医者さんがいないとか、産婦人科のお医者さんがどうだとか、そういう議論ですから、総合性がないですよね。かつ、政府が言っているようなお話と、ある民間のそういう研究的な機関が言っている話とごちゃごちゃになってメディアに一面に報道されると。これは1回ちゃんとリセットして、何が何だというのをやる必要があると思います。それは国のいろいろなそういう議論の本部のお仕事だと思います。
──了─
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