知事記者会見の概要(平成15年6月25日(水))

最終更新日 2008年3月11日ページID 002826

印刷
平成15年6月25日(水)
11:00~12:15 
県庁 特別会議室

記者会見

    

○発表事項

 

(知事)

 

 今日は平成15年度6月補正の予算案について、考え方をご説明申し上げたいと思います。よろしくお願いします。

 

 今回の6月補正予算は、私が知事に就任して最初の予算ということになります。骨格予算ということでしたので、当初の議会で承認を受けました予算に対して肉付けという形になっています。

 

 今回の予算については、今回の統一地方選挙で、県民の皆様にお示ししました「福井元気宣言」、これは「元気な産業」「元気な社会」「元気な県土」「元気な県政」という4つのビジョンを掲げていますが、これをできるだけ実行したいという考えで臨んだところです。

 

 「福井元気宣言」では、4年間の任期中に一般財源で200億円の財源を生み出し、政策の推進枠を設けてビジョンを実現したいということにしているところですが、今回、初年度の予算においては、特にどういう結果がこの予算によってもたらされるかということをいつも念頭に置きながら、事業を選択して予算の計上に努めたところです。

 

 資料1(「福井元気宣言」と6月補正予算案)に記載のとおり、マニフェストで申し上げた94本の事業を予算化しました。事業費が82億、財源として20億となります。これは一般財源です。先程、200億円と言ったものは、この20億円に対応していると思っていただいた方がよろしいと思います。下に部別の事業とその内訳が書いてありますので、参考にご覧いただきたいと思います。

 

 今回の予算編成では、「福井元気宣言」の具体的な施策のうち、「年内」または「1年以内」という記載のあるものについては予算化をしています。その他についても極力スピードを上げて、具体化を図ろうという考えで臨みました。

 

 また今回、全国で初めての試みとして、予算編成過程から県民の皆様に参画をいただき、積極的にご意見を取り入れるとともに、その結果については後程、皆様に発表をさせていただいてから、ホームページで公開することになると思います。

 

 その内容は、資料2(予算編成過程への県民参加について(結果))をご覧いただきたいと思います。予算編成過程への県民参加についての結果ということで、そのプロセスが書いてあります。縦には予算要求がどう変わったかという矢印で書いてありますし、一部、事業の名前も変わっているものがありますので、見え消しに記してあります。

 

 次頁以降にいろいろなご意見をいただいて、これがどうなったかというものが書いてあります。パブリックコメントの期間は8日間でしたが、50件を超える意見をいただいています。

 

 具体的にいいますと、15,000人の雇用創出とありますが、就職をしてもすぐ辞めていくということに対する、特にフリーターの問題に対する事業について、予算の金額では減っておりますが、さらに検討の余地があるということで9月以降で対応したい部分があるというコメントをしております。

 

 3ページに「生産者の顔の見えるシステム」ということが書いてありますが、これらについては米・野菜・畜産物をまとめて、全体的に食品の経路を明らかにする予算として計上をいたしました。

 

 5ページは、女性農業者グループからのいろいろなご意見です。昨日のざぶとん集会でも意見がありましたが、直売所や加工施設の設置などの運営の支援というお話がありました。これは補助率を2分の1にし、件数も10件ということで、増額の予算の査定をしています。

 

 6ページは、「まちなかキッズルーム」ということで、女性の子育て、あるいはいろいろな集まりに出やすいようにという対応です。後程御説明します。

 

 7ページは、学校の冷房です。これもマニフェストの中でお約束をしています。

 15年度は7校で整備をします。間もなく夏で暑くなりますが、利用できることになると思います。

 

 8ページは、がんの検診率が低いところがありますので、高めることによって、がん対策を充実してほしいという意見に対する対応です。

 

 9ページは、フレンドリーバスということですが、図書館など一部の公共施設について、バスの便も少ない、なかなか利用できない、運賃も片道240円で行くのはなかなか大変だということがあります。そこで、福井駅から高志高校や羽水高校を経て、生活学習館、図書館を巡回する無料のバスを試行的に運行するということで、2700万円を4200万円余としています。バスの運行は30分間隔とし、バリアフリーのバスも導入するという対応をしているところです。

 

 10ページは、除雪体制について積極的に対応したいというようなことです。

 

 なお、11~12ページは、予算要求額と最終予算額で内容や金額を変更した事業例です。後程ご覧いただきたいと思います。

 

 以上は、パブリックコメントの関連ですが、今回の補正予算については、特に中小企業対策、雇用対策、あるいは社会資本整備などの各種事業を、かなり重点的に行ったところです。今後、予算化した経済活性化戦略会議を早急に設置して、さらに提言を受けたものについては、できるものから即時実行するということで、年内に戦略構想を取りまとめて、大胆な経済対策を今後講じていくつもりです。

 

 資料1-1(6月補正予算案概要)をご覧いただきたいと思いますが、これは全体の係数の表です。今回の6月補正の規模は、一般会計は373億円余、特別会計は50億円、企業会計は18億円余、計442億円余となっています。

 

 本年度予算の累計は、一般会計は5150億円余、対前年度当初比98.3%となります。伸び率は地方財政計画並みの数字になっていると思います。特別会計、企業会計はご覧のとおりです。

 

 資料3(新世紀政策推進枠事業一覧)をご覧いただきたいと思います。これはすべての事業の中から、今回の予算の中から、マニフェスト関連のものをピックアップしたものですので、この一部を説明いたします。

 

 まずは「元気な産業」関係です。

 

 「福井県経済社会活性化戦略構想策定事業」(4,445千円)は、産学官等で戦略構想をつくりたいという戦略会議の予算です。民間企業や学識経験者などから清新な人材を集めて戦略会議を早急に立ち上げ、年内に戦略構想を策定し、構想が具体化されたプランをスピード決断で実行していくつもりです。

 

 「緊急地域雇用創出特別基金事業」(433,647千円)は、すでに継続的な事業ですが、基金制度を活用し、県と市町村が協力して雇用機会の創出を図るものです。

 

 「緊急地域雇用促進奨励金」(6,000千円)は、上の4億円余の基金で職を確保するのですが、半年ぐらいで切れると一過性に終わるおそれがあります。そのために、雇用期間終了後も正式に雇用を続ける事業者に対して奨励金を支給し、一人でも多くの方に常用雇用の道をつけるものです。全国的にも先進的な県単独の事業になると思います。

 

 「新規高卒就職内定者支援セミナー事業」(2,000千円)は、高校を卒業して就職が内定している、しかしすぐに違う職場に変わるというような離職率を抑えたい、先程、パブリックコメントのところでも申し上げましたが、そういうことを考えています。高校を卒業した方が、3年ぐらいたつと離職される場合が多いのですが、これをできるだけ抑えたいという意味です。

 

 2ページは「ものづくり」関係です。

 

 「新商品創出デザイン活用普及事業」(11,000千円)は、県内企業とデザイナーが、新商品の企画・開発から商品化まで共同で行い、商品開発のモデルをつくろうという事業です。

 

 2ページの下の方に、70億円(緊急経営改善借換資金貸付金)、10億円(中小企業再生支援資金貸付金)、次のページに10億円(意欲ある企業支援資金貸付金)という金額の大きい事業が3本ありますが、これは不況が長引く中で中小企業の再生を支援し、技術力のある中小企業を伸ばすための制度融資を予算化したものです。

 

 まず、「緊急経営改善借換資金貸付金」については、昨年、既存借入金の借り換え制度を設けたのですが、現在もなおこうした資金需要が強くありますので、新たに貸付期間を、これまでの7年を10年にし、貸付限度額は1企業あたり80,000千円ですが、制度を拡充するものです。

 

 その下の「中小企業再生支援資金貸付金」は、もう少し厳しい企業、再生を図らなければならない企業に対する再生資金です。商工会議所で設置されています福井県中小企業再生支援協議会、これは全国でつくられる動きがあるのですが、全国的に福井県の商工会議所は最初につくった組織だと思いますが、この組織を通じての再生資金の貸付です。これも企業あたり80,000千円を限度額とした事業で、10億円の枠です。

 

 3ページ、「意欲ある企業支援金貸付金」は、意欲のある、頑張る企業のチャレンジに対する貸付金で、産業支援センターのアドバイザーが2年間、継続的に並行して経営指導を行うことを組み合わせる事業ということになります。

 

 以上3本が、貸付枠としては大きな事業になります。

 

 「産業支援相談ブース設置事業」(800千円)は、県庁の1階に相談コーナーを設けて相談を受けるものです。工業技術センターや産業支援センターまで行くと時間がかかるとか、どちらへ行けばいいのかわからないとか、いろいろ相談が多いのですが、まず、県庁に来ていただいて、相談をしたい方は、そこでまず基本的な相談をして、企業の要請に応えたいということです。こういう要望が非常に高いので、ソフト面でまず応ずるべきだと思います。そして、いろいろな融資制度などを活用したりすることになると思います。

 

 4ページ、「県立大学ビジネススクール開設準備事業」(1,500千円)は、福井県における産業人材を養成するためのもので、県立大学での設置を検討するということです。18年春までの開学を目指すもので、その準備事業となります。

 

 「繊維産業海外マーケット開拓支援事業」(5,000千円)と「眼鏡産業中国マーケット開拓支援事業」(7,341千円)は、2つの産業についての海外マーケットの開拓事業を支援するための助成です。従来は業界団体への助成が中心でしたが、今回は個々の企業や企業グループに対しても支援をするというのが特徴です。

 

 同じ4ページで、先程、パブリックコメントのところでもご説明しましたが、「福井県産農林水産物トレーサビリティ確立推進事業」(33,425千円)と、「顔の見える福井県の農林水産物販売促進事業」(49,600千円)、2つの事業は一体として進めるものです。県内の農林水産物、米・青果物・水産物・畜産物の生産履歴(トレーサビリティ)を総合的に確立すると同時に、そのうえで福井の農産物の安全性を都会で積極的にPRする事業を、販売促進の予算として組み合わせることによって、予算の有効活用を図るものです。

 

 5ページの上から3つ目、「地場産学校給食推進事業」(10,300千円)です。特に地産地消、あるいは安心して食べられる食品は、いろいろな方法で推進しなければなりませんが、学校給食を通じたやり方が有効ではないかと思います。地元の農林水産物を使った学校給食を促進するため、学校給食協議会を開催するとともに、地場産品の安定した供給のための体制づくりを、それぞれの農林事務所と協議をしながら進めたいと思います。

 

 昨日、農業に従事されている女性の方からも同じような意見が出たのですが、こういうことを一つ一つ進めることによって、地域の農産物を有効に使うと同時に、頑張っておられる農業者の励みにもなり、収益にもつながるという動きを深めることが大事ではないかと思います。お米については全国的にも先進的な県でありまして、1週間に3食以上のコシヒカリという平均に、確かなっていたと思いますが、野菜や一般の畜産物についても強化を図ってまいりたいと思います。

 

 5ページの下から2行目、「いきいき女性・熟年農業者活動支援事業」(12,500千円)です。女性や年配の皆様の農業者が福井県の農業従事者の8割を占めていますが、こうした皆様の活動費や、いろいろな機材を整備する場合の助成を考えているところです。

 

 6ページは、林業関係等々のいろいろな事業です。例えば下から2行目の「良質住宅普及促進事業」(46,000千円)は、質の高い性能がはっきり表示された良質住宅の取得に対する助成で、県産材の利用促進等も図ってまいりたいと考えています。

 

 7ページは、「元気な社会」、福祉関係・教育関係の事業です。

 

 まず、「福井女性会議開催事業」(1,500千円)ですが、この予算によって、県内の成人以上の女性の皆様方、約50名を一般公募し、それぞれの地域ごとに女性の感性や発想を反映する事業を進めたいと思います。

 

 「女性企業家支援事業」(2,000千円)は、女性企業家が気軽に相談できる経営相談窓口を設け、異業種交流会の開催や創業・経営革新に取り組みやすい環境をつくりたいと思います。先程、県庁の窓口というお話を申し上げましたが、そういうものを通じ、またこうした事業を通じながら、女性の皆様に頑張っていただきたいと思います。

 

 「まちなかキッズルーム設置促進事業」(35,000千円)は、乳幼児をお連れになった利用者が、利用される施設において授乳・おむつの交換などができる設備を、本年度25か所設置します。4年間に100か所を予定していますので、今回はその4分の1の25か所を予定しています。

 

 「小児救急医療支援事業」(1,376千円)は、日赤や済生会病院、もちろん県立病院も、夜間いつでも小児救急医療に対応できる体制をつくりたいと思います。我々の経験でもそうですが、初めての子どもを育てる場合に、病気になったときにいろいろわからない部分も多く、夜中に救急のことが多いのですが、そういうものに安心して対応できる事業です。実際に治療も行わなければなりませんし、どういう状況かという相談を行うことによって、お母さん、お父さんの安心できる医療体制を目指したいと思います。

 

 なお、8ページにも「周産期医療」ということがありますが、妊娠をされている方、また産後1か月以内ぐらいの周産期の医療は、非常にリスクの高いものです。さらに充実をして、小児の死亡率を低くする事業も併せて考えています。

 

 8ページは、「未来を託す人づくり」、いわゆる教育です。

 

 「県立高等学校冷房設備設置促進事業」(84,085千円)は、県立高校においてPTA等が教室へ冷房設備を整備する場合、県がその設備工事を負担し軽減を図るものです。夏、暑い中で学習をするのは、なかなか効果が上がらないということもありますので、こうした対応をしたいというものです。

 

 「英会話力向上事業」(5,000千円)は、希望のある小中高等学校すべてにおいて、外国人講師による英語の授業や、休日等を利用した英会話セミナーなどを実施し、英会話力の向上を図るものです。とりあえず50校、もっと増えればそれに越したことはないと思います。これはいろいろな工夫がいると思いますが、その一つの予算上の例であると思います。これだけでそういう能力が向上するわけではないと思うのですが、そういうことも努力をしたいと思っています。

 

 「福井型コミュニティ・スクール推進事業」(1,800千円)は、家庭・地域の連携による新しいタイプの学校運営のあり方を検討するため、3校をモデルとして実際にコミュニティ・スクールを試行したいと考えます。最近は、学校運営を民間に任せるとか、夏休みを従来どおりのやり方を取らないで、時間を弾力的にするとか、いろいろな方法があるわけです。福井に何が適しているかという、弾力的・実質的な学校が運営できるかどうかの、モデル的な取り組みになると思います。

 

 9ページは、福祉関係です。特に福祉関係では、福井県は長寿県、男女とも全国2位ということがありますが、できるだけ長生きをし、また健康でいなければならないわけです。がん対策ももちろんそうですが、上から2~3つ目、あるいは一番下に書いてありますが、福井県全体の健康増進計画を作りました。特に歯の検診を充実しなければならないと思っていますので、9ページの下2つにいろいろ(歯科健診受診率アップ事業)(セルフケアの健口(けんこう)づくり事業)書いてあります。あとは省略します。

 

 11ページは、「元気な県土」、基本的なインフラ整備等々です。

 

 「嶺南地域鉄道整備事業」(335,500千円)は、敦賀までの直流化です。18年度の開業を目指すものですが、北陸線・湖西線の敦賀までの直流化工事が本年秋に着工することになりますので、本年度の福井県負担分を予算計上するものです。

 

 「パークアンドライド渋滞対策モデル事業」(1,410千円)は、特に福井市街地へアクセスする鉄道駅周辺にパークアンドライド型の駐車場を設置し、渋滞緩和を図るとともに、公共交通機関の利用促進を図るものです。3年間の事業となります。

 

 12ページは、地域づくり、まちづくりです。

 

 「NPO協働モデル事業」(9,000千円)は、NPOと行政の協働モデル事業です。6団体を予定していますが、いろいろな事業を委託し、個々の行政施策に反映したいと思います。

 

 夢あるふるさとづくりでは、先程申し上げました「フレンドリーバス試行事業」(42,410千円)があります。図書館や生活学習館に無料のフレンドリーバスを試行運転し、公共施設の有効利用も兼ねてまいりたいと思います。

 

 「フレンドリーアート推進事業」(3,000千円)は、県の美術館や音楽堂などでいろいろな催しがありますが、嶺南地域の皆様がそうしたところに行くための無料バスです。逆にここには書いてありませんが、県立美術館で開催するようないろいろな美術展を、敦賀や小浜でも開催する。そういう事業も並行して行いたいと思っています。

 

 13ページ、「低公害車導入促進事業」(9,700千円)は、ハイブリッド車、電気自動車の購入助成を行い、低公害車の導入を促進します。考え方としては、通常の車両との価格差がありますので、それに着目して支援をすることになります。市町村への支援です。

 

 そのほかいろいろな事業がありますが、14ページの下から4行目、「歩道除雪モデル事業」(43,000千円)です。車道はわりあい早く除雪ができるのですが、歩道はどうしてもおろそかになっていまして、お子さんや年配の人たちに不便を来しているのが実情ですので、小学校周辺の歩道について、モデル地域として除雪を行いたいと思います。

 

 また、道路の消雪設備についても進めたいと思っています。この予算ですべてではありませんので、これから歩道の整備、バリアフリー、あるいは除雪対策、道路に関連した主に維持管理・メンテナンスのウエイトを高めていかなければならないと思っています。

 

 だいぶ時間を経過して申し訳ありませんでしたが、ご説明は以上です。よろしくお願いします。

 

 

 

 

○質疑応答

 

(記者)

 

 今回、西川県政初の予算となりましたが、まず、今回どういうところに力点を置き、どういうことを心がけて予算編成をされたか。概略的なことをお伺いしたいと思います。

 それと今回、特にマニフェストというものを出されていらっしゃるので、今年度の進捗率も含めて見た場合の、自己採点のようなことをお聞かせいただきたいと思っています。

 

(知事)

 

 選挙を通じて、政策公約といいますかマニフェストをお示ししましたので、やるべきことははっきりしていますから、それを予算上、全力で実行させていただいたということです。

 

 普通ですと、知事に就任して、いざ何をやるかということを具体的に予算で考えなければいけないのですが、そういう意味では大部分は考えてありましたので、それを実務的に実行させていただいたというのが一つの思いです。ある意味で仕事は進めやすかったのですが、また一方で、約束をしていますので、苦しいといいますか、責任が重いといいますか、そういう気持ちで予算の作業をいたしました。それが1つです。

 

 もう1つ、採点といいますか、予算は大事ですが、私は成果主義といいますか、予算がどう生かされるかというのがもっと大事だと言っています。予算を計上した段階ではまだ話が半分で、採点ができないと言うと変な言い方になるかもしれませんが、そういう状況です。

 

 問題は、予算はこういうことで計上させていただきまして、県議会で十分ご議論をいただかなければなりませんが、それをどう生かしていくか、その成果がどうなるかということが大事だと思います。そういう感想です。

 

 従来は財政課という名前で予算をやっていましたが、今度は財務企画課ということですので、そういう作業と同時に政策的な評価をすることをこれからやっていかなければなりません。この予算そのものも、運用をする際に現場のご意見や県民の思いをよく反映し、役立つような運営をしなければなりませんので、予算は初めであるということ、終わりではないということです。

 

(記者)

 

 今回、特に景気対策、産業政策に重点を置いているような感じがしたのですが、どうなのでしょうか。

 

(知事)

 

 今、非常に苦しんでおられる企業に対する支援、それから瀬戸際になっている企業について、いろいろ仕分けをして応援をするタイプと、頑張る企業に対するいろいろな融資枠制度などを、3本柱で基本的に設けています。それはお金の話になります。一方で、何かこういうことをやりたいというときに、意外といろいろな制度は整っていると思うのです。しかし、それを知っている人は知っているけれども、知らない人が多いという印象を私は持っています。

 

 先程、県庁の窓口とかいろいろなことを言いましたし、助成のいろいろな支援もありましたが、情報をできるだけ取りやすくする、バリアをなくして、気軽に県の窓口に来ていただいて、ここをやりたいのだけれども、どこへ行けばいいのか、どんなことがあるのかということを、技術指導、あるいはマーケット相談ができるようにと思いました。これが100%ではないと思いますが、いろいろな事業も、すでに経済対策としてリストアップをさせていただいています。思いはそういうことです。

 

 経済対策として、6月補正分で423億円を計上しています。先程の金融対策で70億、10億、10億で90億、公共事業などで265億、新規雇用対策などで約5億、そのほか嶺南鉄道事業、パークアンドライド、いろいろな公共的な事業に絡むような事業、これをまとめますと423億ぐらいになります。既対応分がありますので、そういうものを合わせると、1400億円余のフレームになっています。

 

 しかし問題は、一つ一つの事業を進めていかなければならないということ。枠を設けたから景気対策になるわけではありませんので、併せて県庁職員が個々の企業に直接行って、社長さんや部長さんにお会いして、できるだけ書類ではなくて、文章上は書いてない部分がありますが、ご相談して一緒に考える。そして何が問題かということを協議し、問題となるところに財政的・人的な支援を行うというやり方を強化したいと思います。

 

(記者)

 

 特に重点的に力を入れるのは、産業支援ということを考えているのですか。

 

(知事)

 

 「福井元気宣言」で最初にいっているのが「元気な産業」ですので。

 

(記者)

 

 公共事業については、先程少し言われましたが、新規よりはメンテナンスとか。

 

(知事)

 

 そういうウエイトも高めているということです。歩道や除雪、バリアフリーとか。

 

(記者)

 

 身近なところで比重を少し。

 

(知事)

 

 比重を少しずつ上げたいと。

 

(記者)

 

 今回、初めて予算編成過程に、住民に参加してもらおうということで意見を募ったのですが、この意見の件数と、その内容についてご感想を。

 

 あと、公表した事業数は今回31ですが、まだ当初ということで、また変わってくるかもしれないのですが、今後は対象となる事業ももっと広げていくというお考えなのか。それとも、来年度以降も同じようなかたちで続けようということなのか、そのあたりをお願いします。

 

(知事)

 

 期間は、もう少し長くしなければいけないと思います。事業も、ご意見を聞くのに適切な事業と、あまり適切ではないというほどではないのですが、聞きにくい事業があります。できるだけ聞きやすい、ご意見を頂いたほうがうまくいくものを考えてやりたいと思うのですが、基本的には広げなければいけないのではないかと私は思います。まず、これは様子を一回見なければいけないと思いますが、基本的には時間・件数を広げなければいけないと思っています。

 

 問題は、ご意見を聞くと同時に、わかりやすさを大事にしたいと思います。こういうふうになっているのだなということを、わかっていただくことが重要ですから、我々は行政の立場で、県民の皆様から付託を受けて責任を持ってやるのですが、こういうことをするのだな、こういうやり方だなということを、わかってもらうのは大事だと思います。

 

(記者)

 

 補正のことですが、一般会計373億円ということで、時代から見ても中長期の財政計画を踏み外さないように、財政健全化は当然、大前提として置かれていたと思うのです。しかし、そういう財政危機を重視しつつも、もう少し補正規模が上がるのかなと思ったのですが、やはり財源のないものはやらないというか、そういう固いご決意の下にやられたのか、そのあたりを財政健全化という観点から見て、少しお願いします。

 

(知事)

 

 今、財政状況はすでにご承知かと思いますが、地方債、県債残高は、交付税措置があるようなものもありますが、大体14~15年がピークといいますか、約6,600億円ぐらいになりますが、公債比も伸びている状況です。財政運営は、いろいろな指標を見ながら景気対策に努めなければなりませんが、よく注意を払ってする必要があると思います。

 

 プライマリーバランスというのは、借金を歳費として返す分と借りる分の差が、プラスにならないとだんだん赤字が拡張するということですが、平成4~11年までは、プライマリーバランスがマイナスへ拡張していたのですが、12年から中期財政計画なども含めて収縮の方向に向いていますので、こうした傾向をしっかり見て、予算を編成する必要があるだろうと思っています。

 

 それから、いろいろな指標を見ますと、財政規模に対して借金がどれくらいあるか、これは起債制限比率といいます。それから地方債の現在高も、財政規模についていくらあるかというと大体、全国中位です。47都道府県で真ん中ぐらいの位置です。

 

 経常収支比率という財政指標があるのですが、投資的な経費を除いて、どうしても人件費や借金の返済にいる経費と、自由になるお金との比率があるのです。こういうものを見ますと、本県の場合はこれが大体88%ということで、全国からいうと10番前後で、低い方です。硬直度は厳しい中ではあるけれども、まあまあ頑張っているという状況です。そういうものをいろいろ見ながら、景気・経済対策は積極的に進めなければなりませんが、こういう結果となったと思っていただきたいと思います。

 

 借金も、発行額を中期的な財政計画では、500億円を超えないようにという目標を持っていますので、今回、いろいろな財源措置のあるものを除きますと、440億円ぐらいの起債になっていますので、その範囲内でコントロールができていると思います。

 

(記者)

 

 例えばマスコミなどは、予算は緊縮型だ、積極型だと、単純な括りで表現したがるのですが、この補正を見た場合、「緊縮型」と表現するについては、知事は何とお考えになりますか。

 

(知事)

 

 これは地方財政計画並ですから、国の経済対策とほぼ量的には平行状態と思いますが、問題は中身です。

 

(記者)

 

 今のお話に関連して、例えば前回改選期・11年度の投資的経費から見ますと、400億円余り投資的経費が減っていると、この資料にもあるように伺ってもいます。そうした中で今回、新規の事業が100ぐらいあると思うのですが、そういう意味では非常に財政的に厳しい中でアイディアを絞ることができたということでしょうかというのが1点です。

 

 もう1点は、知事が「選択と集中」ということをおっしゃっていて、具体的にどういった事業を選択し、どういう分野に集中的に資源を投下したのかということを、もう少し教えていただきたいのですが。

 

(知事)

 

 私が選択しなければならないことはマニフェストに書きましたので、それを実行することが、基本的に「選択と集中」になると思います。そういうつもりで予算を計上し、対応したということです。

 

(記者)

 

 厳しい財源の中で新規事業が多いのですが、その点はアイディアを十分絞ったと。

 

(知事)

 

 厳しい中ですが、できるだけ将来につながる事業を計上したということでありまして、おっしゃるように思っていただくのは大変ありがたいです。

 

(記者)

 

 先程のお話の中で、予算をつけるだけではなくて、それがどう生かされていくかが大切だということですが、例えばマニフェストで述べている1万5000人の雇用創出ですが、この予算によって、例えば何人ぐらいの創出ができるのか。それから、5000社の新規創業ですが、これによってどれぐらい新規創業ができると見込んでいるのですか。

 

(知事)

 

 これからいろいろフォローがいると思います。今、例えば1万5000人といいますと、福井県での失業者が1万7000人~1万8000人ぐらいになります。もちろん新陳代謝はありますが、こういう中で新しい雇用を、例えば非自発的失業者が、その中で7000人いらっしゃるとしたら、その人が必ずもう一回就職できる。あとでお辞めになるかどうかはまたいろいろありますが、そういうものを一つ一つ仕分けをしながら、4年間で1万5000人ということを思っています。

 

 新規創業があり、1件あたりの雇用が平均的に出てくると、雇用の数は計算上生じてくることになります。統計的に差し引きを厳密にしてやる議論とは少し違うと思いますが、新しい分野で絶えずそういう雇用を、フローで起こしていくといいますか、そういうつもりです。ですから、チェックをしなければいけないのです。

 

(記者)

 

 では、具体的にこれによって、どれぐらい生み出すのですか。

 

(知事)

 

 個別にそれはなかなか計算しづらいのですが、これから検証して、そういう事業が行われるようにしたいと思っています。ただ、この事業で何人とか、それをやりだすとなかなか難しいと思います。

 

(記者)

 

 結果として、4年間に1万5000人ということですか。

 

(知事)

 

 1年ごとにチェックをしたいと思います。ちょっとわかりにくいですか。

 

(記者)

 

 そうしますと、ある程度、努力目標というか、このぐらいはというのは、産業によってそれぞれですが、チェックをするということは、当然その尺度・基準がありますので、このぐらいであればいいだろうというラインはありますか。

 

(知事)

 

 それはマニフェストにあるラインです。

 

(記者)

 

 1年ごとですか。

 

(知事)

 

 それはこれから、評価する際にどういうふうに出てくるか。

 

(記者)

 

 マニフェストを4で割るのか、まだ初年度なのでという見方をするのか、というあたりも含めて。

 

(知事)

 

 それは厳密に4等分というわけにはいかないと思います。

 

(記者)

 

 それはまだないわけですね。

 

(知事)

 

 今のところ、今年それでいくら出るというふうには、なっていないということです。

 

(記者)

 

 いろいろアイディアを出されて、きめ細かな事業も推進されていると思うのですが、例えば「歩道除雪モデル事業」というのは小学校周辺の除雪作業をするということで、むしろ市町村が主体になってやるべき事業のような気がするのです。そこを市町村ではなくて、県が自らやることの理由は何ですか。

 

(知事)

 

 これは市町村にもやってほしいからです。県もやる。県の道は県がやる。そして協議をして、市町村にも進めてもらうという考えです。

 

(記者)

 

 それでは、まず県が最初に。

 

(知事)

 

 できれば今年、雪が降ったときに、市町村もそういう事業を進められるようにしたいし、予算以外に、コミュニティとして、町でできるだけ除けるという機運も盛り上げたいと思います。

 

(記者)

 

 今回の予算編成で、知事は個別的に決裁をされて細かくやられたとお伺いしているのですが、今回、21億円の財源を確保するために、事務事業のスクラップや新規大規模施設の原則凍結等をやっていらっしゃるのですが、例えば個別的・具体的に、この事業をやめたとか、あるいはこの大規模施設を凍結したとか、そういうことがあれば教えていただきたいのですが。

 

(知事)

 

 まず、端的なのは人件費の抑制で、これは約90,000千円ぐらいになります。私自身、これから議会で承認を受けなければなりませんが、給与や管理職手当の削減で1億円弱、事務事業のスクラップ等で10億、新規の大規模施設の原則凍結などで9億ということで、21億円です。

 

(記者)

 

 その内容として、こういうふうにして、例えば10億のスクラップというのは、どういった事務事業をスクラップするのですか。どういった事業を中止するのですか。

 

(知事)

 

 これはたくさんあります。

 

(記者)

 

 まあ大きなもので。

(政策幹)

 

 今回、さまざまな県の事業があるのですが、予算査定の中で、当初計画からこういうところを削れるのではないか。そういうものもありますし、さまざまな合理化の過程で、9億5000万円というのは出しています。

 

(記者)

 

 ちょっとわかりにくいので、具体的にどういうふうに予算を捻出するのか。いわゆる緊縮型の中で、こうしたマニフェストをやっていかなければいけないわけですので、どういうふうにして捻出するのか、ちょっと見えないのですが。

 

(知事)

 

 いろいろな事業、例えば給与を減らすなどは、はっきりしています。あと、いろいろな計画で毎年、年次的に大体これをやるだろうということを先に送ったり、取りやめたり、あるいは事業量を減らしたり、主に3つのタイプでやっています。そうすると、それぞれ予定している事業名があるのは事実です。ただ、それを一つ一つ申し上げた方がいいのかどうかということで、大ざっぱな話を申し上げたのです。

 

(記者)

 

 細かく一つ一つの事業について、継続事業でも、例えば4か年計画であったとしても一括して。

 

(知事)

 

 例えば4年でやるものを1年ずらして4年間でやるとか、あるいは5年間でやる。そういうことで財源を浮かそうと。

 

(記者)

 

 目標年次をずらしたり、それで各年度ごとの予算規模が縮小されたりというやり方ですか。

 

(知事)

 

 そうです。そして枠を作っていく。大体予算編成というのは、そういう作業を実務的にやります。

 

(記者)

 

 今回のマニフェストは100項目あるということですが、これはすべてに予算をつけられたのですか。

 

(知事)

 

 すべてではありません。「1年以内」とか「年内」というのはすべてやっていますが、例えば学級編成などをする場合、来年にまたがる事業になりますから、そういうものはしていないということです。

 

(記者)

 

 7~8割、9割ですか。

 

(知事)

 

 どういう割合と言ったらいいのですかね。大体すべて事柄的に、項目的にはチェックをして、対応ができるものは、いろいろな対応をしていこうということです。しかし、この予算の段階で、今年できないものもありますから。例えば新幹線や高速道路は性質上できなかったり、いろいろあると思います。

 

(記者)

 

 今年、手をつけられるのは全部つけられる。それから1年とか年内とか、そういったものはすべて予算を計上する。今回、新規が94ありますね。この数が4年前と比べて非常に多い。なおかつ、それに対する財源の方は少ないのに、多くの事業を新規で手をつけていらっしゃるように感じるのですが、予算があれもこれも分散しすぎだなという感じはしないですか。

 

(知事)

 

 分散というか、私は基本的に、マニフェストに載せているものをやっていますので、一部はそれ以外のものもありますが。

 

(記者)

 

 知事がマニフェストで言われたのは、元気な福井をつくるというのが一番の目標であって、一つ一つの事業を必ずやるということよりも、はたしてそれをやったあと、元気な福井になるのかというところが、一番重要だと思うのです。

 

(知事)

 

 おっしゃるとおりです。

 

(記者)

 

 特に今回、いろいろな事業に対して細かく見ている点があると思うのですが、それがはたして将来芽を吹くのかという部分については、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。

 

(知事)

 

 予算対応というのは全体の一部です。例えば高速道路をどうするとか新幹線をどうするというのは非常に大事なことですし、また福井の都心部のまちづくりも、元気な産業のためには重要だと思うのですが、それは予算には載ってこない部分です。ですから、予算で対応できるものとできないもの、違う分野でやらなければならないものがあると思いますから、予算として対応できるものを、今回、マニフェストに従って行ったということになると思います。

 

 これ以外に、基本的にいろいろなベースの事業があります。介護、福祉、教育、こういうものは今回の補正予算には載らないものですから、重点的に申し上げた部分の対応を、ここでやらせてもらっているということです。

 

(記者)

 

 今のことにも関連するのですが、福井をどういう県にするかを含めて、知事が替わられましたから、今回の予算に西川カラーなるものは、どこに一番表れているとご自身で思っておられますか。

 

(知事)

 

 要するに、やることをはっきり明示して選挙に臨み、そして予算の対応をした。そしてスピードを上げる。そういうことが私の基本的な対応です。

 

(記者)

 

 それで、できた予算をご覧になってみて、どこにご自分のカラーが一番出ていますか。

(知事)

 特に産業を第一に。また、長期的には教育、人づくり、そうしたことをもって予算に対応しました。

 

(記者)

 

 予算関連ではなくて申し訳ないのですが、もうすぐ議会が始まりますが、副知事人事についてどのように考えておられるのか。

 

 もう1つ、新幹線の話が先程出ましたが、今、自民党などの会合で、かなり話も煮詰まってきたと思うのですが、それを感触としてはどのように思っておられるのか。

 

(知事)

 

 副知事人事につきましては、適切な方がいらっしゃって、この人の同意を得て提案しなければいけません。特定の人の問題になりますが、できるだけ早い機会に提案ができればいいと思っています。今、その努力をしています。

 

(記者)

 

 この6月議会に間に合いそうですか。

 

(知事)

 

 間に合えば、提案したいと思っています。新幹線については、何としても今年、見直しの作業がしっかり行えるように、我々、北陸はもとより、関西との連携も強めると同時に、福井県全体の県民の盛り上がりを含めて強めていって、成果が出るように頑張りたいと思います。また個別にいろいろな働きかけもいるでしょうし、団体、大きなパワーも発揮しなければならないとは思っています。

 

(記者)

 

 核燃料の中間貯蔵施設の県内建設については、どういうスタンスでおられるのか、もう一度、確認だけお願いします。中間貯蔵施設の県内建設は是か非かということについて、どういうスタンスでおられるのか。

 

(知事)

 

 栗田知事以来、「県外への」と、県内ではないという考えが示されていますので、これは基本的には変わっているものではありません。

 

以上

 

 

 

 

 

〈 総務部広報課 編集 〉

アンケート
ウェブサイトの品質向上のため、このページのご感想をお聞かせください。

より詳しくご感想をいただける場合は、kouhoukoucho@pref.fukui.lg.jpまでメールでお送りください。

お問い合わせ先

知事公室広報広聴課

電話番号:0776-20-0220 ファックス:0776-20-0621メール:kouhoukoucho@pref.fukui.lg.jp

福井市大手3丁目17-1(地図・アクセス)
受付時間 月曜日から金曜日 8時30分から17時15分(土曜・日曜・祝日・年末年始を除く)