知事記者会見の概要(平成27年9月7日(月))
平成27年9月7日(月曜日)
10:30~11:50
県庁 特別会議室
【知事】
それでは、私から、主として平成27年度の9月補正予算についてご説明を申し上げます。あわせて、エネルギー研究開発拠点化計画、結婚応援、コウノトリの放鳥、第4次恐竜化石発掘調査について後ほどお話いたします。
今回の9月補正予算ですが、知事選挙もありましたので、6月補正を当初予算のような形で実行したわけですが、その後の事態の変化、また人口減少対策など、急施を要する事業もいろいろありますので、大きく分けますと、今回の補正では、人口減少対策推進会議などでの議論を踏まえた事業、北陸新幹線の整備促進のための事業、それから、3点目は、その他いろいろありますが、観光や教育など、「福井ふるさと元気宣言」に基づきながら、主に人づくりといいましょうか、そうした分野に着目した事業です。
〔資料:予算案の概要、主要事業の概要、主要事業(施策別・予算額一覧)、発表要旨〕
一般会計の9月補正予算の規模は36億円。この結果、9月補正後の予算現計は4,858億円となります。
主な事業について申し上げます。
「主要事業の概要」の1ページ、それから「発表要旨」は2ページです。「県内大学生等の定着促進事業」です。特に人口問題の中で、俗に言う「社会増減」によって起こる人口減少が非常に大きく、昔から福井県は大体、社会減になっており、若者の流出が大きいわけです。
そこで、大学が独自に行うインターンシップの実施や地域との交流促進など、県内大学などによる県内就職の促進や長期的には県内定着に向けた活動に対して応援をしようという予算です。
また、大学生の確保も大事ですので、県立大学では29年度の入学者、今の高校2年生ということになりますが、県内就職率が高い県内高校生を対象にした推薦枠を80人から101人に拡大します。これは直ちにお金が要りませんので、特に制度的な要求事項も一部含まれます。
現在、県内の大学、短大、高専を卒業し、県外へ就職する人たちは約4割、中でも県外出身者は9割が県外へ就職するという相互の人の移動がありますので、先ほどの定数枠の拡大もありますし、各大学の学生確保に向けた独自の活動、例えば嶺南でのオープンキャンパスの実施や県外短大から福井県内への編入促進など、できるだけ福井県の子どもたちが福井県の大学へ入学できるよう定数を増やす、それから、県外の人たちは県外にある程度戻りますが、それを少なくする、そういうことへのインセンティブが働く予算です。
発表要旨の3ページです。現在、私立高等学校の県外からの入学者は全入学者数の1割程度です。そして、卒業後、県内で進学や就職する生徒はそのうち約7%となっています。そこで、私立高等学校が県外からの生徒をもっと受け入れる仕組みを新たにつくって、県外からの生徒確保についても応援を強化するということです。
それから、県内の大学等への進学や県内就職を促す仕組みも追加したり、いろいろな事柄が入っているとご理解願います。私立高校、県内の大学、それぞれ県内もあるし県外もあるので、4つ組み合わさって、それぞれについて対応するということです。
発表要旨の4ページは「児童科学館リニューアル事業」、4,000万円余です。これは先ほどの分類で言いますと、その他の人づくりになります。
平成11年6月にオープンして以来16年が経過した児童科学館については、28年秋のリニューアルオープンに向け、約6億円の改修を行う予定です。眺めて楽しむということも子どもたちにとって重要ですが、今回、観覧型の展示から、さらに科学的な現象を、「数をかぞえる」とか、子どもたちの生活と実際の科学との結びつきができるような参加型の展示に一新し、小学校高学年はもとより中学生にも関心を持っていただこうと。また、小さい子どもたちにも、より高いレベルのことにも関心を持ってもらおうということです。
また、吹抜けの空間の活用が可能であり、福井県と同じ緯度・経度にある国や地域の文化や違いをダイナミックな映像で展示をし、福井と地球全体、他の地域との結びつきを分かりやすくする、あるいは、参加型の実験室「コミュニケーション・ラボ」を新たに設置する。これは、そのたびごとにいろいろな人に来ていただくことができると思います。宇宙飛行士で名誉館長の毛利衛さんのいろいろなアドバイスも受け、東京にある日本科学未来館のいろいろな情報ともICTを使って直結することも可能かと思っております。
屋外に広場がありますが、ニュートンのリンゴの木、メンデルのブドウの木、論語の孔子のカイの木などサイエンスとか学問に関する樹木も相手方と交渉して植栽をします。それによって直ちに何か実験ができるわけではないですが、いろいろな結びつきをここで子どもたちに感じてもらう、そんな工夫もしてまいりたいと思います。建物の外の庭園に植え、だんだん大きくなるということになります。
発表要旨の5ページ、「教育研究所移転整備事業」、870万円余です。福井県の教育研究所は、各学校と連携しながら、授業改善につながる全国学力調査のスピードを持った分析、また、指導資料の研修など、福井県の学力や体力を支える教員養成にずっと努めてきているわけです。今回、全国トップクラスの福井の教育をさらに次のステージに引き上げるため、教育研究所における研究・研修機能を強化し、教員の授業力・指導力のさらなる向上を図りたいと思います。
この機能強化に際し、春江工業高校が来年3月に閉校しますので、そこへ移転をするということです。そして、平成29年4月のオープンに向けて、今年度は改修工事の実施設計、来年は改修工事、施設整備ということになります。
新しい教育研究所では、福井の教育に関する歴史的な資料の展示もあわせて行い、いろいろな教材、昔の教科書、様々な出来事など博物館的な機能も有する。全国に誇れる学力・体力の福井県ですし、視察者も多いわけです。また、福井県の人たちにもそのことを分かっていただくことが大事ですので、オープンな形で発信をしたいと思います。また、これから先端的な教育が重要ですので、特定のセクションをつくり、県内外の大学などとの共同研究もここから進めてまいりたいと思います。
また、平成32年度から指導要領が改訂されて、小学校の英語の教科化、それから、大学入試制度に新しい学力評価テストが導入されますので、こうしたことに対応した教員の指導力強化もこの研究所で行う必要があります。また、退職教員による若手教員への研修強化の場にもしてまいりたいと思います。
なお、県に自治研修所がありますが、耐震度が劣るものですから、あわせてこの春江工業高校跡の一部を研修所として共同利用して、有効に活用したいと思います。
次に、発表要旨の6ページ、600万円弱の「福井フューチャーマイスター事業」です。主に高校を卒業して、地元の企業や職場に就職する職業系高等学校関係の事業です。都道府県では全国初めてとなる新しい職業教育関係の学習力の指標をつくろうということで、「福井フューチャーマイスター制度」という名前になっています。現在、企業へのアンケート調査を行っており、認定の基となる資格検定あるいはコンクール、コンテストなどを選定するなど制度の検討を行っているところです。そして、制度検討会の意見を基に、高校生の資格取得に対する意欲をさらに高めるとともに、実際、子どもたちにも自信を持っていただき、そして、企業にお勤めになったときにも直ちにある程度のことができ、将来の基盤にもなる、こういうことをしたいと思っています。また、資格試験の中でもお金のかかるものがありまして、難しい試験などは特にそうですが、そういうものには応援をしていこうということです。
なお、この中でもICT技術や外国語の能力などは、いろいろなファクターの中でいわば基盤になろうかと思います。
次に、発表要旨の7ページ、「『年縞』活用推進事業」、約4,000万円です。水月湖の年縞については、地質学的年代測定のいわば標準物差しとして大きな役割をこれからも果たすと思います。そのため、年代測定の高精度化を図るため、本年10月に立命館大学と花粉分析の共同研究の協定を締結したいと考えています。就職へのいろいろなバックアップについては、京都産業大学、立命館大学と先日、協定を結びましたが、今回は年縞だけについて立命館大学と協定をすることになります。
今回の予算は、研究に必要となるレーザー光線の装置を購入するものであり、このレーザー光線を使って花粉を抽出する。年縞に毎年毎年入っている花粉を抽出することになります。これまでは年縞に含まれる植物の葉っぱや木くずのデータを基にした年代測定を主に行っていましたが、花粉というのはばらつきが非常に少なく、毎年毎年の年縞のどの層にも一定数のサンプルが含まれているそうで、より精度の高い連続曲線というのでしょうか、そういうものが年代測定に使われるわけです。
過去5万年間の年代測定の誤差が、今、約170年あるのですが、これによって、50年程度まで縮小することが可能ということです。もちろん水月湖周辺の福井県の過去の気象変遷を解明できる可能性があるわけですし、世界中のいろいろな遺跡などとの相互比較も可能かと思います。
平成30年度にこの年縞の研究展示施設の開館を予定していますが、それ以前に、立命館大学でまずそのことをやっていただいて、将来はまたこれをこちらに持ってきて、立命館大学のスタッフも来てくれる、そういうことになると思います。
次に、8ページ、サンドーム福井の本体ではなくて管理棟について再整備を行うもので、2,300万円です。これは整備をするための実施設計費が中心です。サンドーム福井については、ちょうど開館から20年ということであり、越前漆器など伝統工芸産業等の人材育成拠点として今回再整備をしたいと思っています。
再整備に当たっては、今、工業技術センターにあるデザインセンターの機能を、このサンドーム福井の管理棟に移転します。主に鯖江、武生など丹南地域からの相談利用者が多いということがあるわけです。もちろん試験研究など工業技術センター的なことについては、引き続き工業技術センターでやっていただくことになります。
また、伝統工芸職人塾での基礎的な実技講習の実施や将来の支えとなる子どもたちを対象にした工芸体験教室などもスペースとして確保したいと考えます。また、県産品の展示販売、商談会なども開けるようにします。来年秋には「伝統的工芸品月間全国大会」ありますので、それまでにリニューアルオープンをする予定です。
なお、サンドーム福井は、いろいろなコンサートに5千人とか1万人と、かなり有効に使われており、そういう際にもトイレなどいろいろな裏舞台というか、ロジスティックスにも使われますから、有効に併用できるような工夫もしなければならないと考えます。
「幕末明治150年福井の偉人発信プロジェクト事業」です。平成30年には幕末明治150年を迎えます。福井県はこの時期、松平春嶽公、由利公正、橋本左内等多くの偉人を輩出し、その当時の日本の将来といいましょうか、今日の日本の基本的ないろいろなものについて発言し、実行もしてきた人たちです。こうした方をたくさん排出した県は全国にはそんなにはないわけです。そうした偉人の足跡を振り返りながら偉人の功績を普及するイベントを、県内や東京都内などで開いて、これを発信し、福井のブランド、観光誘客、また、大河ドラマの誘致などにもつなげてまいりたいと思います。我々福井県民もこうしたことなどを踏まえながら、県民一人ひとりがふるさと福井の誇りと愛着を醸成するような機会にしてまいりたいと思います。
由利公正の石碑は幸橋南詰に先般移転しましたが、ほかの顕彰碑など、福井市内のみならずあちこちにいろいろありますが、これから観光などにも非常に有効な歴史的・文化的パワーを発揮するはずですので、そういうものの配置や説明の方法など相談をしながら有効に利用できるように進めてまいります。
次に、発表要旨の10ページ、「小松空港利用促進事業」、500万円です。北陸新幹線金沢開業により、小松-羽田便の利用者は、前年比で35%ぐらい減少しています。新幹線にある程度シフトしたということです。そこで、ビジネス利用者の拡大を図るため、石川県、航空会社、北陸エアターミナルビルとも協力しながら、小松空港協議会が行う駐車場無料利用券発行など、利用促進キャンペーンに対して補助するものです。
現在、小松空港内においては、ロビー正面での「動く恐竜」、また、8月7日には福井県のアンテナショップも開いており、福井の空港にも位置づけられると思います。これらにより、県内企業の航空機利用も促してまいりたいと思います。
県職員が東京出張する際の航空機利用を積極的に進めているところですが、昨年度は全体の3%程度だった利用者を2割程度まで、300人ぐらい増やすことも考えたいと思います。もちろん新幹線の活用も重要ですが、空港の利用等によっていろいろな宣伝などもこれから可能かと思います。
発表要旨の11ページは、「丸岡城国宝化推進事業」、200万円です。福井県には歴史的な価値がある建造物が多い中で、国内最古と言われる建築様式を持ち、かつては国宝、現在は重要文化財である丸岡城について、地元の坂井市と連携し、国宝指定化を目指すものです。
坂井市は9月1日から市役所内に丸岡城国宝化推進室を設け、既に国宝に指定された松江城の調査委員なども務めておられる福井工業大学の吉田先生など、建築や歴史の専門家をメンバーとする丸岡城調査研究委員会において、科学的年代測定の調査や建築工法などの学術調査を行うとしています。県としてもその活動に補助するものです。丸岡城を国宝にする市民団体の設立も計画されており、地元とともに国宝化の機運を高めてまいりたいと思います。
以上が27年度9月補正予算の主なものです。
次に、「エネルギー研究開発拠点化計画」に基づく原子力人材の育成についてです。
まず、1点目の国際会議の開催ですが、IAEAは、原子力発電について住民などから正しく理解がされるよう、各国からの事例を相互に学ぶことを目的とする国際会議を、平成24年度から毎年開いています。昨年5月に私がIAEA本部を訪問した際、天野事務局長との間でこの国際会議の本県への誘致が決まったものです。10月5日(月)から9日(金)までの5日間、「原子力発電計画における広報・理解促進活動に対する技術会合」を県国際交流会館において開くことになりました。
この国際会議には、我が国も含めて24か国から政府関係者、電力事業者、研究者など約50名が、先進事例の報告、意見交換を行うことになっています。また、初等・中等教育における原子力技術や放射線に関する教育のあり方についての公開セミナーなども開く予定です。
世界のエネルギー情勢を見ますと、アジアや中東の新興国では、増加する電力需要に対応するため原子力発電の導入を進めており、原子力発電を安全に、また、それぞれの国で信頼のおけるエネルギー源として整備・運用していくためには人材育成が重要かと思います。これらの国に、こうした原子力安全の大切さをIAEAとともに協力しながら伝えることは、原子力で長年経験をしている立場として福井県の重要な役目かとも思っているところです。そういうことで、福井県のいろいろな状況なども理解していただき、世界各国との人材ネットワークを広めてまいりたいと思います。
これに関連し、もう1点、原子力人材育成の拠点となる、敦賀市にある「アクアトム」の活用です。日本原子力研究開発機構の旧展示施設「アクアトム」は24年度から閉館をしています。そこで、原子力研究開発機構と敦賀市、国との間で活用策について検討を進めてきました。
昨年9月に、無償を条件に、敦賀市と県が施設を譲り受ける方針で合意し、敦賀市との間で、さらに内容について相談を進めた結果、このたび具体的な活用方針が決まりましたのでお知らせします。
県としては、現在、若狭湾エネルギー研究センターにある「福井県国際原子力人材センター」を、市街地にあるアクアトムに移転することにより、研修施設としての利便性向上を図ることにしました。あわせて、敦賀市内の民間のビルに入っている「福井県国際交流嶺南センター」を移転し、海外からの研修生や研究生の滞在支援などにも協力・支援することで、研修体制の充実を図ります。また、敦賀市においては子どもの学びのための施設を設置する方針です。
今後、国への無償譲渡の認可申請、改修工事等を経て、平成28年度内の運用開始を目指したいと思います。
次に3点目、「ふくい結婚応援企業」の登録です。
〔資料:「ふくい結婚応援企業」の登録について、登録企業・団体一覧〕
現在、人口減少対策が我が国の大きな課題であります。中でも少子化対策が重要であり、その第一歩となる結婚応援が重点施策の1つとなります。県では、全国に先駆けて「めいわくありがた縁結び」事業を推進しており、結婚相談員や地域の縁結びさんなどによるお見合い支援のほか、結婚ポジティブキャンペーンの実施など、出会いと結婚を応援してきました。今年度新たに、縁結びを「地域」から「職域」にも拡大し、職場のつながりを活かした出会いを応援するということです。
7月に、地元のメディアやハローワークに勤めていた方、経済団体の役員の方などにお願いをし、5名の方を「職場の縁結び普及員」に委嘱しています。こうした方は県内の企業や団体に対し、「職場の縁結びさん」を置いていただく「ふくい結婚応援企業」への登録を働きかけていただきました。その結果、これまでに金融機関、メーカー、電力会社、ショッピングセンター、また幼稚園など、様々な業種から50を超える申込みがありましたので、今日の午後、各企業者の代表の方に登録証をお渡しします。
そのほか、Uターン婚活交流会などの婚活イベントを行います。
福井県では、あらゆる人たちに結婚を応援していただこうということで、お寺でやっている県はないと思いますが、4月29日に開催した浄土真宗大谷派に続き、今回は浄土真宗本願寺派福井別院において、「寺コン2015」を開きます。若手の住職の皆さんなどにも積極的に参加をしていただいて、結婚を応援したいと思っております。
それから、コウノトリの放鳥です。
〔資料:コウノトリの移送および放鳥について、平成26年生まれの幼鳥〕
昨年6月に、本県で50年ぶりに誕生した幼鳥3羽のうち2羽、名前は「げんきくん」と「ゆめちゃん」ですが、5月15日から8月15日の3か月間、兵庫県立コウノトリの郷公園において、餌取りや飛行の訓練をしたわけですが、県では専門家などの意見を聞き、2羽の幼鳥ともに、馴化訓練を順調に終了したと判断しました。
既に文化庁からは、7月17日には放鳥許可を得、8月20日にはコウノトリの郷公園から白山地区への移動について環境省との協議も終了しましたので、馴化訓練を終えた2羽は、9月16日(水)に越前市にある飼育ケージに移送が行われます。その上で、10月3日(土)10時に越前市白山地区において放鳥します。
放鳥後は、GPSにより飛来場所を把握し、また、一般の県民の皆さん、また、ご関心の高い人たち、子どもたちの協力を得ながら観察情報を得て、それぞれの地域から行動を見守り、定着できるよう、生息環境の整備も進めてまいりたいと思います。
最後は恐竜です。
〔資料:第4恐竜化石発掘調査の中間報告について〕
県では平成元年以来、勝山市北谷町杉山地区において発掘調査を実施し、平成22年まで第3次にわたる調査をしました。フクイラプトル、フクイサウルス、フクイティタン、コシサウルスという、日本で発見された新種恐竜6種類のうち4種類の化石が福井県で発見されるなど、成果を得ております。この平成22年までの成果を得て、さらに25年度から第4次の発掘調査を行っています。
1年目の25年には中生代としては日本初となる鳥類全身骨格化石を発掘し、2年目となる昨年は、小型獣脚類の連続歩行の足跡化石などを発見しました。3年目となる今年は、7月末から先週末まで行った発掘調査において、アンキロサウルス類の足跡化石や昆虫の化石などを発見したということです。アンキロサウルス類の足跡化石は県内では初めての発見であり、白亜紀の福井のこの場所でアンキロサウルス類が棲息していた証拠になるのではないかということです。
それから昆虫化石については、ゴキブリ類がいたそうで、ゴキブリ類の発見は手取層群でも初めてです。ゴキブリというのはいろいろな国の人が研究しているようであり、その役に立つということになります。
来年には、より下のほうに行きますが、地層の傾斜から見ると、さらに何か期待がされるというのが東特別館長の説ですので、期待しています。
【東恐竜博物館特別館長】
今、ご説明がありましたが、アンキロサウルス類の足跡を発見しました。写真がありますけれども、これは凸側の足跡であり、要するに、足跡の型だと思っていただきたいのです。1番、2番、3番、4番、5番の指の跡が残っています。したがって、これは左側の前足の足跡です。この足跡のタイプを見ますと、こういうのはアンキロサウルス類、角竜、それから剣竜の足が比較的これに近いのですが、特に1番目と2番目の指の関係などから、これは典型的なアンキロサウルス類の前足の足跡であるということは確認しました。アンキロサウルス類というのは、四足歩行で、背中に装甲を持っていて、尻尾には、一般的には、こぶのような骨がある防御型の草食恐竜で、首が非常に短いので、比較的地面から背丈の低い植物を食べていたと考えられます。これは国内で、富山県と福井県でしか見つかっていないのですが、富山県は2か所ありますので、国内3例目となる発見です。
今、知事から期待を述べられましたが、足跡があったということは、あの周辺にアンキロサウルス類が生存していたことは間違いないので、来年度以降、何とか骨格の化石を見つけたいと思っています。
関連して、足跡の層が結構厚く、たくさん足跡が出たものですから、ちょっと時間がかかりましたが、ようやくボーンベッド、骨の層の地層面が出てきて、骨も少し見えていますので、来年度には、アンキロサウルス類も含めて、新たな発見を期待しているところです。
それから、もう1つ、昆虫の化石も見つかりました。ゴキブリ類と甲虫類は翅ですが、もう1つ、種類は分からないけれども、翅がない胴体の部分、体節が2点見つかり、そのほか、種類が不明なものの翅が7件見つかっています。昆虫化石は、勝山の発掘現場では初めてですが、ゴキブリ類の化石は手取層群でも初めてということです。こういった昆虫が出てきましたが、現場からは植物の化石もたくさん出ており、花粉の化石から、被子植物の存在も明らかになっていますので、花と昆虫の共生関係も明らかになってきました。恐竜から鳥に進化していくという意味で、小型の肉食恐竜と、鳥とか花の共生関係というものが明らかになってきていますので、そういうことも、調査・研究が進めばさらに明らかになるのではないかと思われます。
いずれにしても、恐竜として、これまでに、学名がついたものが4種類、それから研究中のものが2種類あり、このアンキロサウルス類が新しく出ましたので、7種類の肉食恐竜や草食恐竜があの場所に棲んでいたということは確実になりました。これまでも分かってはいたのですが、発掘現場周辺の、恐竜をはじめとした動物群の多様性、種類が多いということを再確認できたというのが1つの意義かと思います。
~質疑~
【記者】
アンキロサウルス類の足跡として国内3例目ということですが、骨格が出た例は。
【東特別館長】
歯の化石が兵庫県、熊本県と長崎県でいずれも1本ずつ出ています。北海道の夕張市からは、歯の化石と頭の骨の一部が出ています。これまで、日本の鎧竜、アンキロサウルス類の体化石としては、4例ございます。
【記者】
今回のアンキロサウルス類の足跡の大きさから想像できる、サイズや特徴について分かることはあるのでしょうか。
【東特別館長】
大体、前足の大きさから推定しますと、頭から尻尾の先まで全長4、5mではないかと思います。
【記者】
こちらは、一般には公開されるのでしょうか。
【東特別館長】
足跡は、実際、大きなものなので、室内に持ち込めない状態になっていますが、皆さんに早くお知らせしたほうがいいと思いますので、シルバーウイークの前日、9月19日から、発掘で明らかになった足跡面など、とりあえず写真のパネルを恐竜博物館で展示したいと思います。
それから、昆虫は逆に3mmとか小さいものですから、肉眼では判別不可能で、やはり写真のほうがより分かりやすいと思いますので、今回はパネル展ということで対処したいと思います。もちろんいずれは本物を館の中で展示したいと思います。
【記者】
アクアトムの活用について、再オープンする時期の目処はどのぐらいですか。それから、維持費の負担割合についてはどう決着がついたのか教えてください。
【電源地域振興課長】
開館は28年度中を目指しています。維持費の負担については、施設の利用割合に応じて負担するという形で決定しています。
【記者】
コウノトリの放鳥自体は10月3日で、移送が9月16日ということですが、9月16日から10月3日までにこちらで行うことを簡単に説明してください。
【企画幹(自然環境)】
少し馴らさせるというのが1つの目的。それから、GPSをテープで装着しますので、1週間ほど、その緩みなどを見て対応していくためにこの時間をとっています。
【記者】
小松空港の利活用について、石川県の知事がこの間、記者会見で「北陸新幹線が来たけれども、僕は飛行機しか使わないんだ」ということを仰っていたのですが、西川知事は、出張はどうされるのでしょうか。
【知事】
僕は飛行機が多いんですけれどね。
【記者】
小松の便数が減ると、やはり福井県も困るのでしょうか。今後、来年3月以降、便数を減らすという話が出ているようですが。
【杉本副知事】
今回は、来春以降の便数を維持するための旅客数をどう確保するかというので、石川県と福井県で分担しながら、今の石川県と福井県で搭乗している人数の割合を前提に、今回の取組みをしていこうと、両県で話し合ってやっているということです。
【記者】
それぞれの県の目標はあるのですか。
【財務企画課長】
これから半年で、石川と福井全体で5万4,000人です。
【杉本副知事】
それの何%ずつを両方で目標を持ちながらやっていくという感じです。
【記者】
県内でのコウノトリの放鳥を知事が表明され、また、兵庫県と共同研究に取り組まれて5年余りでいよいよ放鳥ということになりました。放鳥が実現することについて知事はどのように受けとめていらっしゃいますか。
また、この間、餌場環境の整備に白山・坂口地区の住民の方がいろいろ熱心に取り組まれていらっしゃいますが、この点、どのように評価されているのか、また、今後、県内全体での餌場環境についてどのように進めていかれるのか。
もう1点、今回、コウノトリと福井県は非常にゆかりも深いですし、コウノトリをシンボルにして、福井の豊かな自然を守り、里山を活性化するということで、非常に意義があると思いますが、反面、コウノトリの野生復帰に向けて長期的な取組みを求める声も関係者から聞かれます。今回の放鳥実現ということで、来年度以降の繁殖や放鳥について、知事ご自身、どのようなお考えを持っていらっしゃるのかお聞きします。
【知事】
コウノトリは羽根が生えていますし、生き物ですから、いろいろなところへ飛んで行ったり、また、違う鳥も来たりすると思いますし、それから、大人になるまでに4、5年かかるので、長い目でみんなで応援をするということだと思います。
兵庫県知事といろいろな相談をしたときにも、基本的にはそのように思っていましたから、これから環境を良くしていくというのが大事です。コウノトリが、福井県で一定の個体数が自然に生息する、これが極めて大事ですので、いろいろな団体も頑張っていただいていますから、そういうことを引き続き、続けていくと。
それから、里山里海湖研究所などもコウノトリなどについて役割が大きいと思いますから、そういう努力をしたい。特に学校の子どもたちの教育は大事だと思います。
【記者】
放鳥や繁殖に福井県としても長期的に取り組むということでよろしいのでしょうか。
【知事】
今回のいろいろな様子を見ないといけないですね。
それから、ヒナがたくさん生まれてちゃんと育っていくというのが重要ですので、コウノトリが元々そうですから、そういうシンボルになるようにしたいと思っています。
【記者】
小松空港の件について、実施主体の小松空港協議会には福井県の加入がなくて、これから利用促進を本格的にやっていく上では、お金を出す一方で、口を出して、場合によっては人手を出すということも重要と考えるのですが、福井県としての小松空港を活用するための次の展開、小松空港協議会の加入も含めてどのようにお考えかお聞かせください。
【知事】
福井県は関西の一員として関西空港には負担をしていますけれども、小松空港はこれまでそういうことをしておりません。今回は、こういう利用というレベルでまずコミットをする。それから、これまで、利用促進という意味で、谷本知事に要請して安宅スマートインターチェンジを整備し、あるいは、空港連絡バスの運行、駐車場、その運賃の応援など行いましたので、一つひとつ様子を見ながらどの程度福井県として協力していくかということで、今回はこのレベルでまず状況を見ようということです。
【記者】
先日、知事は談話を発表されていますが、北陸新幹線の福井先行開業に関して、与党の検討委員会が、8月に「可能性はある」という報告書をまとめ、国土交通省もさらなる前倒しを含めたことに言及しました。これについての所感を改めてお願いします。
【知事】
例の検討委員会では、福井駅先行開業の可能性はあると書いてありました。それから、来年度予算編成過程で、ワーキンググループによる、なお詳細の検討を要請するということです。国土交通省においては、検討委員会の取りまとめを受けて、敦賀までのさらなる前倒し開業の検討も含め、早期開業に最大限努力という方針です。
これは先行開業には触れておらず、国土交通省としては、福井駅先行開業はいろいろと難しいとの見方を持っているということが含意としてあるわけですが、県としては、敦賀までできるだけ早くというのは極めて重要ですし、これは我々としても努力する必要があります。なおこれから、残った部分もありますので、鉄道・運輸機構や沿線市町と力を合わせて地元として引き続き最大限の努力をするというのが考えです。
【記者】
敦賀以西ルートに関して、JR西日本が、これまで取り沙汰されている3案に加えてというか、さらに新しいルートとして、小浜市と京都市を通る案について内部的に検討しているということが明らかになりました。このルートについて知事の評価・所感をお願いします。
【知事】
JR西日本の考えというのはどういうレベルの考えか、正式に提示したものではないと思いますが、報道によれば若狭ルートという中の1つの考えかなというように見えますので、正式に出てきたときに十分検討する必要のある考えかと思います。
【記者】
高浜原発3号機の核燃料の装荷についてお伺いします。現時点では仮処分が出て再稼働は止められていますが、関西電力は、核燃料の装荷は仮処分の決定には抵触しないと判断していて、実際、どこまで進めるかは、異議審の状況や地元の理解の状況などを総合的に判断すると言っています。
その一方で、先日の県の原子力安全専門委員会終了後の囲み取材のときに、中川委員長が、専門委員会としての意見の集約をする前に核燃料を装荷することはないと思うという発言もされています。そういうことを踏まえて、知事としては、いつ頃であれば核燃料を装荷していいとお考えか、つまり、県としては、県の同意をする前に関電が高浜3号機に核燃料を装荷することを認めるのか、そのあたりのお考えをお聞かせください。
【知事】
どの段階で燃料を装入するかというのは事業者の判断だと思いますが、装荷すると起動できるという状況になるのだと思います。中川委員長が仰ったように、普通に考えますと、県原子力安全専門委員会の安全確認など、再稼働の地元のいろいろな同意とか手続きがなされて実施される事柄だと思います。
【記者】
手続きを終えてから装入するほうが…。
【知事】
それが通常の安全確認という考え方だと思います。
【記者】
高浜3、4号機の再稼働の前提となる国民理解や中間貯蔵など5つの条件を、知事が以前提示されていますが、この条件の現時点での進捗状況というか達成状況についてはどのように考えておられますか。
【知事】
既に今年の初めに国への要請事項を5点、また、その後も確認の意味で申し上げていますが、例えばエネルギーミックスの明確化や電力事業者の事故制圧体制の強化、こういうものは進んでいると思いますけれども、原子力発電の重要性への国民理解などは、いろいろな機会に政府は行っておられるように理解はしますが、それに対する国民の支持は進んでいないということですから、さらなる努力が必要でしょうし、中間貯蔵についても、作業を進めておられるようですが、さらなる積極的な関与を。また、地元振興については、一つひとつ進めていますが、なお強化するという状況かと思っている段階です。
例えば中間貯蔵については、8月20日の全国知事会としての要請時に、宮沢経済産業大臣から、使用済燃料対策のためのアクションプランを近々示すという方針が出ている段階ですし、事故制圧体制をより詳しく言いますと、今年6月に、関電から、原子力事業本部に「原子力調達センター」や「原子力土木建築センター」を設置し、スタッフの増員などが図られ、また、自衛隊などの実働部隊がどのように関わっていくかについて検討も進められているという状況です。
それから、地元雇用・経済への対応については、経産省の来年度概算要求において、廃炉が行われる原発の立地市町に対し、新たな支援制度が設けられ、今後、その実現と内容の検討が行われると、こんなことかと思います。
なお、エネルギーミックスについては、7月に、2030年度の原子力比率を20から22%程度とする見通しが示されているということです。これについても、示された後どうなるのかというフォローもまた要りますし、何年か経ちますとさらに次の新しいミックスの議論も当然出てくると、そういう事柄だということです。
【記者】
北陸新幹線の敦賀以西に関して、京都府内でも、例えば小浜から亀岡を通って大阪に行くとか、JRの言うように京都市を通って大阪に行くとか、舞鶴を通って京都市へ入るというようないろいろな案の声が上がっているのですが、北陸や北信越にとって、京都府内のどういうルートを通るのが有効かというお考えはないでしょうか。
【知事】
いろいろな意見がありますし、まだちょっと時間を要するのです。京都市内へぜひ通したいというお考えもあるでしょうし、元々頑張ってきている亀岡のルートとか、さらに舞鶴という議論もあるわけで。徐々に収束といいましょうか、動きは大体出ていると思いますけれども。
いずれにしても、若狭、小浜付近を通って、京都、大阪へ行くという方向は出始めているように思います。これをしっかり議論して、関西広域連合も議論を始めているし、京都府も議論していると、そういう状況かと思います。
【記者】
JRが新しい案を検討しているという報道がありましたが、工事に着工する条件の1つとして、JRの同意があるわけです。今後、敦賀以西を与党でも検討していくわけですが、どこを通るのがいいというJRの考え方はルートを決める際に重要になってくるとお考えでしょうか。
【知事】
JRは新幹線を運行し、それによって運輸事業体として長年にわたって事業を展開するわけですから、当然、大きな役割を果たすべき一員であるということではないでしょうか。 ただ一方で、国土の強靱化とか、地域にとってどう本当に役立つか。役立つというのも、単に今の目で便利というのもありますし、日本の将来にとってどういうふうにルートを決めて運用していただくといいのかというのは、政治的には加わるということかと思います。
【記者】
JR西日本の第4のルートと言われている京都市を通る案について、先ほど、知事は、正式に出てくれば十分検討する必要があるという言い方をされたのですが、これは、前向きにというのか、その案自体を評価していらっしゃるという感覚なのでしょうか。
【知事】
若狭ルートを通って、いろいろ工夫して…。正式に聞いておりませんから、正式に出たときの話ですよ。そういうことかなということを今申し上げたと。
【記者】
高浜原発の再稼働に関して、県の要請項目に対して、まだもう一歩、国としての踏み込みが見えていないような感じですが、規制委員会の手続きがどんどん進んでいて、関電のほうは、3号機が10月中旬にも燃料装荷に入るというのですが、先ほど仰ったように、知事の判断とか地元の判断がなければ燃料装荷は当然ないだろうということで、国の対応を見ていると、関電のスケジュール自体もどんどん遅れていくのではないかと思うのですが、見通しは。
【知事】
これは、それによって遅れるというよりも、そうした状況の中で遅滞なくいろいろな方針を出していく、実際そうしておられるのだとは思っているのです。
先日、規制委員長にお話ししましたが、規制委員会としてもいろいろな国民の信頼を確保する必要があるわけです。安全は安全、再稼働は再稼働、我々はこちら、これはそちら、そういうことではないと思います。だから、地元へのいろいろな説明や国民への説明、原子力への支持が必ずしも十分でないのは、もちろん政府の必要性や重要性の姿勢もあるかもしれません。規制委員会として、本当に国民に分かっていただくような、安全に原子力をうまく利用しながら安全を確保するというところについて、なお理解が行き届いていない部分があるのでしょうから、そのことを委員長に申し上げました。両方でやっていく必要があるだろうということです。
【記者】
LNGインフラ整備研究会について、前回の7月下旬の会見で、近いうちに方向性を出したいと仰っていましたが、1か月強経って現状はどうなっているのか、確認させてもらってよろしいでしょうか。
【知事】
なおパイプラインの整備や発電、受入基地の整備などの分担の問題があり、国、事業者、事業者もガスと電力、両方関係しますので、最終的に実務的に詰めをしているということであり、次回、いつ頃研究会を開くかということに関わるのですが、その話がまとまる段階で方向性を明らかにしたいと思っている状況です。
【記者】
原発の中間貯蔵の件で、先日の県の原子力安全専門委員会後の囲み取材の中で、中川委員長が、県外での中間貯蔵施設というのが基本だが、乾式貯蔵という方法も含めて検討したほうがいいのではないかという発言があったのですが、知事としてはあくまで中間貯蔵施設の県外立地という姿勢は変わらないのでしょうか。それとも、乾式貯蔵という落としどころというか選択肢もありだとお考えでしょうか。
【知事】
中川委員長がどんなふうにお話しになったのか直接は聞いていませんが、要するに、青森県で再処理をします。そういう仕組みですね。中間貯蔵がもちろんあるわけですが、これは、県外で立地を順調に進めることが基本姿勢だという中で仰ったのか…。
【記者】
はい、それが基本だと。
【知事】
我々としては、近々アクションプランを策定すると国が言っていますから、これに基づいて、県外立地の実現の道筋を具体化すべきだと思っています。そういう基本的な考えです。
―― 了 ――
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