知事記者会見の概要(平成15年11月20日(木))
平成15年11月20日(木)
10:30~11:30
県庁 特別会議室
○発表事項
【司会】
それでは、ただいまから知事記者会見を始めさせていただきます。
初めに、発表事項がございますので、知事のほうから発表いたします。
【知事】
おはようございます。
それでは、私のほうから、まず、あらかじめ発表といいますか、お話しすることを申し上げたいと思います。8点あります。
まず、新幹線ですが、今月18日に県関係の皆さんと東京で県内着工実現大会を開催し、400名近い方にお集まりいただきました。森前総理をはじめ関係の国会議員、また県選出の国会議員、関西の政財界の方、また県人会等の皆さん方にお集まりいただいて、私たちの考えをお示しすることができたと思っています。それに先立ち、今月の13日には、県経団連会長とともに、石原国土交通大臣、それから、久間プロジェクトチーム座長、額賀政調会長、そして森前総理等にもお会いしておりまして、政治的にも働きかけをさらに強めたいと思っています。また、本日は、芦原温泉駅の建設促進同盟会が地元の観光協会とご一緒に政府の与党関係者に要請をすることになっています。
18日、また13日の要請におきましては、関係大臣や党の幹部からは、「国家戦略として積極的に対応しなければならない」、また、「年内見直しに向けて努力する」といった発言をいただいておりまして、我々の熱意と思いが伝わっていると思います。あわせて、財源の裏づけが大きな課題かと思っておりまして、今後とも新規着工に向けて必要な財源の確保についても国としていろんな努力をしていただく必要があると思いますので、強く要請いたします。なお、既に9月に設置されました与党のプロジェクトチームが、総選挙も終わりましたので、メンバーの入れ替えを行い、きょうから活動を再開すると伺っていますので、この後、数回の開催をし、意見を取りまとめるということでございましょうから、そうした動きにも十分注目しながら努力したいと思います。
これからの我々の動きでございますが、今月の24日に県内着工実現フォーラムを開催しまして、新幹線の必要性、また公共交通機関としての優位性などについて県民の皆さんの理解を深めたいと思いますし、また、26日には全国の新幹線の期成同盟会とご一緒に、また、来月2日には北陸新幹線の促進同盟会と合同の要請を行いたいと思います。
これらの取り組みとあわせまして、北陸三県による建設促進決起大会を本県において開催する予定をしておりましたが、総選挙等いろいろとございまして、少しタイミングを見る必要があるということですが、必要な時期に開催を計画しています。まだ具体的な日取りは決めていません。以上が新幹線です。
それから、2点目は、「もんじゅ」についてです。
「もんじゅ」につきましては、今月14日、県のもんじゅ安全性調査検討委員会から、2年余りにわたる慎重な審議をいただきまして、安全性調査検討報告書の提出を受けたところです。県としては、委員会の意見を踏まえまして、特に「もんじゅ」の安全性の確保、この中には品質保証体制や保守点検体制などいろんな問題も含まれていますが、私が、あす11月21日に、経済産業大臣、それから文部科学大臣等に直接その委員会の結果を踏まえて要請をしたいと思います。また、本県の科学技術や産業振興、教育への活用など幅広い観点から、県内にあります研究機関との協力、また研究機関の誘致など、「もんじゅ」を中心とした周辺地域一帯を国内及び国際的な研究機関としてどのように整備していくかということについて、国や事業者の考え方も求めてまいりたいと考えます。なお、最終報告に関する県民への説明につきましては、来月中旬に、敦賀市、それから福井市において説明会の開催を予定しており、また、各種パンフレットの配布も予定しています。「もんじゅ」の改造工事計画を認めるかどうかについては、今後の国や事業者の、明日、また行います要請への対応、あるいは裁判の行方、地元敦賀市の考え方、県議会でのいろんなご議論を踏まえて、県民の視点に立って総合的に検討して慎重に対応したいと考えています。
3点目は、国民保護に関するフォーラムの開催についてです。
国民保護法制の問題については、地方が積極的な役割を果たすべきとの考え方から、これまで中部圏知事会また本県独自で国に対して提言を行ってきたところですが、国において明日21日に国民保護法制整備本部が、これは第2回目の会議だと伺っていますが、開催され国民保護法制の法案の要旨が示される予定であり、同じく明日また全国知事会主催の都道府県への説明も行われると伺っています。
この国民保護法制については、国、地方団体、住民の役割分担や連携など活発な論議をし住民の理解を促進することが重要ですし、ほんとうの意味での国民の保護ということが必要です。本県におきましては、来月の13日、土曜日になりますが、国と共同でフォーラムを開催し、国際情勢等についての講演と有事下における対応についてパネルディスカッションなどを行う予定です。
特に中部圏を中心とした地方団体側のいろんな考え方については、本県が事務局を担当しいろいろ意見を調整した経緯もありますので、明日法案の要旨が出ますから、それを見た上で、来週ぐらいになりましょうか、また福井で各県集まっていただいて、さらに追加的にどんなことを言ったらいいのかなどについて必要な対応をしなければならないと考えています。
4点目は拉致問題です。これまでも、拉致被害者家族の早期の帰国の実現、それから拉致問題の全容解明を、官邸、外務省に繰り返し求めてまいりました。そして、一方で、地村さんご夫妻の生活の安定について、地元の小浜市等とも協力しながら積極的に取り組んでまいりました。しかし、帰国されてから1年余を経過した今も事態の進展を基本的に見ていないということで大変残念ですし、また、歯がゆい思いが募っているところです。こうしたお気持ちを持つ県民の方々はたくさんいらっしゃると思います。
そういうことで、県民全体の支援の気持ちをお示しし、県全体に広げる機会が必要だと考え、今月24日、月曜日でございますが、拉致問題の重要性を再認識し地村さんご夫妻への支援の気持ちをお伝えするということで、「地村さんご夫妻を励ます福井県民集会」を県民会館で開催することにしております。当日は、ご夫妻をはじめご家族も参加していただく予定ですし、この問題を担当している内閣官房参与の中山参与に「拉致被害者・ご家族の方々とともに」と題するご講演をいただくことにしています。是非ともたくさんの県民の皆さんの参加をお願いしたいと、これがご夫妻への心強いご支援なんじゃないかと思います。
あわせて、当日ご参加できない皆さん方も支援の気持ちを持っている方が多いと思いますので、あらかじめ励ましの言葉を募集しています。きのう現在の数字を今ほど聞きましたところ、県内外、それから海外からもあるようですが、300通近いメッセージが届いているという状況です。まだ間に合いますので、さらにいろいろメッセージをファクス等でお送りいただければ幸いです。
国の対応ですが、次回の6カ国協議の日程の調整作業が政府間で進められていると報道されています。北朝鮮の核開発問題も1つの外交的な、国際的な平和の重要な課題ですが、拉致は人道上許されざる行為ですし、国権の侵害です。その解決は、直ちに無条件で実施されなければならないテーマです。そうした思いは県民の方々も同様だと思いますので、今回の集会で、強い気持ちを踏まえて、政府にはあらゆる選択肢を検討していただいて、全力で国家としてこの問題に取り組むということを求め、県としてはそうした思いの中で拉致被害者の支援に努めたいと考えています。
5点目は、新規高等学校卒業生の求人確保ですが、11月19日現在で県内の高等学校における就職未内定者は497人ということですので、昨日も、私が県内の企業2社を直接訪問し求人のお願いをいたしました。現在、教育委員会では、教育長、また関係各部局長、学校長などが一体となって、高校生の求人が減少した企業などを中心に求人要請を行っています。公立、私立を問わずこうした要請が必要だと思っていますので、県庁全体でこの問題に取り組みたいと思います。5人採用願う企業についてあと1人、6人とか、そういうことで少しでも安定した雇用をしていただくことが生徒の皆さんの希望でしょうし、また、ご家族、ご父兄の思いでもあると思いますので、そうした方向で取り組みたいと思います。
また、内定者に対しましては、これから落ちついて社会人としていろんな仕事に励んでいただきたいという思いもありますので、10月末から11月の半ばにかけて、ハローワークの管轄ごとに6カ所で、内定者の研修なり、職業人教育を進めております。参加者は全体で989人であったと報告を受けています。なお、今後内定した方に対しては来年の1月から2回目のセミナーを前回同様6カ所で開催する予定です。
6点目は、話題が変わりますが、日本海における大型クラゲの状況です。
今年は10月上旬から大量発生ということで、昨年と比べますと1カ月余り時期的には遅いようですけれども、定置網の損傷等漁業の操業等に支障が生じており、操業を切り上げるというような漁家が増えておられます。県としては、これら早期切り上げ等に伴う資金繰り等に対応するため、新たに融資枠5,000万円の大型クラゲ対策緊急資金を創設し、12月1日から、県信用漁連、それから県下各漁協において受付けを開始することにいたします。また、昨日、11月19日に国、それから、独立行政法人でありますが、水産研究センターなどの協力を得て、日本海大型クラゲフォーラムを石川県から島根県の各県参加のもとで本県で開催し、水産生物の生態、各県の状況、それから今後の対応等について情報交換を行ったところです。今後こうした対応を強め、また来年以降のいろんな対応に努める必要があると思います。なお、11月6日から解禁となりました越前ガニにつきましては、現在のところ影響は見られません。
7点目ですが、ISO14001の問題です。今回、10月に審査機関の審査が行われ、現行のシステムは基準に適合していると。それから、11月21日付で対象範囲を拡大することにしまして、本庁のほか、出先機関、それから教育機関に認証範囲を拡大することにしています。現在、そうした拡大がされているのは、滋賀県、それから神奈川県がありまして、本県が3番目ということです。県としましては、率先して行うと同時に、市町村、また事業者にもこうした環境問題についての対応を広めていってほしいと思っています。
8点目は畜産物のトレーサビリティーシステムの運用開始であります。食の安全・安心を確保するために、お米、青果物、畜産物、水産物、林産物、これら5つの部門の生産から消費に至るまでの履歴情報を追求するシステムの構築を推進しておりますが、今回、牛肉について、12月から運用開始をすることになります。牛肉のパックに貼付されましたシールに表示されている個体識別番号をホームページ上で入力することにより、消費者にもわかるということになります。まずは、このシステムに参加していただいた県内食肉店、約50事業者ございますが、こうしたところから皮切りに情報を開示していただきまして、2005年までには5部門すべてについて完全な実施を図りたいと思います。なお、モデル店舗については、県内4店舗において、店内でもタッチ式のモニターでさっき言ったホームページの閲覧方式ができるということですので、これからこうした問題にも着実に取り組みます。このシステムの名前は「あんしんふくいの食ネット」という名前になっていますので、よろしくお願いします。
以上8点、申し上げました。
【司会】
では、質問がございましたらお願いします。
【記者】
改めて質問させてもらいますけれども、「もんじゅ」の改造工事の事前了解の判断時期についてはどのようにお考えでしょうか。
【知事】
「もんじゅ」につきましては、明日、まず調査専門委員会の報告書をもとに、国に対して安全の問題、個々の項目について国としてどのような対応をするかという要請をする必要がありますし、またあわせて、そのときには、先ほど申し上げましたような研究開発拠点としてのいろんな対応、それから、国の地域振興策等の問題などもいろいろありますので、そうした要請をまずする必要があると思います。したがって、これから県民へのご説明もございますし、そうしたことを受けながら、県議会あるいは敦賀市のいろんな意見もこれから出てまいるでしょうし、そういうものを踏まえて対応する必要がありますから、今、どういう時期だということは定まってもいませんし、そういうことを一つ一つ行っていく必要があるという状況かと思います。
【記者】
先ほど、「もんじゅ」の関係で、国の地域振興策などの問題もあるということですが、新幹線の問題というのは当然大きな比重を占めているということなんでしょうか。
【知事】
地域振興等については、今ほど申し上げました「もんじゅ」周辺の研究開発拠点化、これもございますし、それからもう一つは、今おっしゃられたように、県全域の発展に係る重要プロジェクトでございます新幹線、あるいは高規格道路の早期整備について、当然、その中に入りますし、要請をしたいと思います。
【記者】
知事のおっしゃる研究開発拠点としての対応ということなんですが、今あるエネ研なんか以外にもさらに新たなものを誘致するとか、もう少し具体的に知事なりのお考えがありましたら、お聞かせいただきたいんですけど。
【知事】
いろんな問題があると思いますが、やはり、人材育成、これは国内あるいは国際的にも考えられますし、それから、いろいろな安全などの技術に関する非常に幅広い技術の地域への移転、それから、国におきましては、そうしたチェックをするような機構なり研究機関もございますが、ともすれば、東京周辺にそういうものがありがちですので、あらゆるいろんな原子力施設がある福井、また関西といいますか、そうしたことを国としてしっかり考えていただいて、文字どおり福井がそういう意味での拠点化するような展開を図る必要があると思います。
【記者】
その質問についてもう少しお聞きしたいんですけど、例えば東海村とか、ああいったイメージを知事は持っていらっしゃるんでしょうか。
【知事】
私は昔、茨城県に勤務していたことがありますので、東海村のイメージなり、つくば学園都市とかいうイメージがありまして、何か具体的なものではありませんが、将来的なものでしょうから、必ずしもそのイメージと合うかどうかがあると思いますが、やはり、今、福井県の場合、非常に地域にクローズされた施設があるという状況ですから、文字どおり地域全体でこうした原子力あるいはエネルギーの問題について、あらゆる面での研究なり、あるいはさっき申し上げた人材の育成なり、地域の産業との連携ということが見られませんから、これから新しい21世紀に入り日本のいろんなエネルギー政策というのも成熟化していくわけですから、そういうことをこの福井の地で展開すべき国の責任もありますし、そういう時代ではないかなと私は思っているんです。
【記者】
そうしますと、原子力産業もしくはエネルギー産業を福井の地場産業として核にやっていきたいと、そういうふうに解釈してよろしいんですか。
【知事】
地場産業という表現はどうかわかりませんが、今は電力を生産するといいますか、それにとどまっているという状況ですよね。ほんとうの意味で、福井県全体の県民の理解とか、あるいは産業への波及とか、それから、国家としてのエネルギー問題への理解といいますか、そういうことがなされていない部分がありますね。それは、やっぱりそういう点が足らないからだと私は思いますので、そういうことをなすべき時代かなと思います。もちろん、「もんじゅ」も含めた原子力施設の安全の問題というのは基本でありまして、それがまず第一でありますが、そうした中で、そうした問題を進めていく必要があるんじゃないかなと思います。
【記者】
事前了解の件ですけれども、先ほど、裁判の行方というのを1つ要因に挙げられましたが、裁判について、現状はまだ具体的な動きがないので、何らかの進展が何らかの形でない限りは判断は保留せざるを得ない、そういうふうに解釈してよろしいんですか。
【知事】
裁判というのは、多くのいろんな、申し上げましたような総合判断の1つの要素ではあると思いますので、そういう要素の1つとして今考えているということです。もちろん、三権分立ですから、裁判といろんな行政というのは、毎回言っておりますように、次元は異なることでありますけど、それは1つの大きな要素だと思いますが。
【記者】
改造工事の事前了解というお話が出ていますけれども、改造工事と運転の再開というのは、どういうふうに考えていらっしゃるんですか。
【知事】
それぞれ事柄は異なると思います。分けて考えられ得るものだと思いますが。ただ、今の段階では、いま申し上げましたような、そういう基本的な作業といいますか、あるいは必要な理解といいますか、そういうことをまず進めなければならないと思っているんです。
【記者】
明日、経済産業省と文部科学省のほうに、委員会の結果を踏まえて、安全性の確保について要請を行うということですけれども、具体的にどのような要請になるのでしょうか、もう少しお聞かせください。
【知事】
これは、検討委員会の報告書がございますね、各項目にわたって、いわゆる人間的な関与がある問題のいろんな課題とか、あるいはいろんな工事をやる場合のチェックとか、8項目ありますね。それをまずしっかり、中身について国がその報告書を受けてどのように考えるかということを明らかにしてもらう必要があると思います。それをしっかりまず、言わなければならないと思いますね。そして、先ほど申し上げましたようないろんな他の問題についても要請をするということなんです。
【記者】
委員会のほうは、安全性にはもう問題はないという結論をまとめて、知事のほうに提出されたわけですけれども、県としてもそういう安全性には問題ないという認識で国のほうに要請に行くということですね。
【知事】
基本的に、安全性に問題はないという報告を受けているけれども、それにはいろんな項目が書いてあります。それをしっかりクリアしていただき、それが県民にわかってもらわないとこの安全性検討委員会の最終的な目標は達成されないと思いますから、それを私が明日、安全性の問題に限れば要請をしたいということです。
【記者】
改造工事を認めるかどうかというところで、もともとの議論の中でも、国やらサイクルに求めている大きな1つの柱になった県民の理解とか、合意の醸成というのもあったと思うんですけど、それについては、知事として、今、現段階として、どの辺まで来ているかという、何かそういうご認識があればお伺いしたいのと、さっきちょっと聞きましたけれども、運転再開と改造工事というのを分けて考えるというのは、行政的には成り立つと思うんですけれども、一般県民から見ると、改造工事をしてしまえば当然運転再開はゴーじゃないのという素朴な疑問がわいてくると思うんですけど、その県民理解というのも含めてそのあたりのお考えは。
【知事】
そうですね、専門委員会で、専門的な、県民の立場に立った検討をしていただいたという県民の理解はあると思います。その中で、数回にわたって県民の意見を直接聞く場もあったと思います。それを受けて、さらに報告書が出たので、それをまたさらに県民の立場で皆さんがどのように受けとめるかという説明方をこれからさらに行う必要があるだろうと思います。もちろん、今おっしゃった、観念的に事柄を分けられることはあり得るけれども、通常はこれは1つの大きな事柄でしょうから、2つのものを実際の問題としては一緒に考えられるというのが、普通の県民の考え方かと思いますけれども。
【記者】
新幹線なんですけれども、この間、要請とかに行かれた感触をまずお聞きしたいのと、もう一つは、先ほど、知事は財源問題にも少し触れられましたけれども、やっぱりスキームの見直しで本県までの話を盛り込んでもらおうと思うと、どうしてもどこかで財源を確保しないといけないわけなので、本県なりに、ここをこうやったらいいんじゃないかという知事の私見なりがありましたら、お話しいただければと。
【知事】
特に財源問題は、東北新幹線それから九州新幹線によって事業が済みますと、おのずとスキームの中での財源が浮いてくるといいますか、そういう問題はありますよね。それから、もう一方で、新幹線については、大ざっぱに言いますと、国3分の1、またJRのいろんな支援があってそれが3分の1、地方が3分の1と。地方の3分の1については交付税等でまた一部支援があると、こういうシステムですね。何が一番その中で隘路になっているかというと、国の3分の1分です。いわゆる国庫補助金部分が、いわゆる公共事業的な部分が財源的に制約があると。また、先ほどの、幾らかだんだん浮いてくるという話もあるということですね。それで、新幹線については、他のいろんな道路やあるいは空港などですと、国の財政制度でいいますと、特定財源といいますか、ガソリン税とか、あるいは航空機燃料税とか、あるいは空港使用料とか、いろんな特定の負担がありますから、特別の会計というか財布を持っているんだけれども、新幹線は歴史的にそういうものがないという問題があって、こういういろんな工夫をどうやってやるかということだと思いますね。
【記者】
財源的に、東北新幹線であるとか九州新幹線であるとか、事業が済めばおのずと浮いてくるということですけれども、とりあえず来年度については概算要求としては確か新規着工分は含まれていないということだったので、これを新たに積み増しする形でやっていかなければいけないと思うんですね。そうすると、時間的に非常にきつくなると思うんですけど。
【知事】
きついですね。ですから、与党でいかにその議論を例のプロジェクトチームで深めて、と同時に、政府に対して要請していくという作業が要るんです。常識的には、政治の立場で政府に対していろんな検討を並行して強めるといいますか、そういう工夫を、霞が関というか、そういう人たちにしてもらう必要も一方であると思いますね。並行作業の中で最終的には政治的にいろいろ決めるべき事柄かなと私は思いますけれども。ただ、非常に厳しい環境の中ですから、なかなか予断を許さない難しい課題であると私は思っています。全力で取り組まなければならないということです。
【記者】
東京のほうであれだけ大きい規模の大会を開いて、その熱意を示しているわけですけれども、なかなか県民全体の新幹線に対する盛り上がりというのが足りないのじゃないかなというふうにも思うんですけれども、その点についてはどうお考えですか。
【知事】
以前に比べますと、我々の努力もあると思いますが、県民の理解は深まっていると思います。今ほど申し上げましたが、これから県内でのフォーラムや大会等もありますけれども、皆さんのいろんな報道関係の新聞やテレビや、そうした媒体というんですか、そういう方法でやっておりますから、私自身いろんな人とお話しする感じでは、新幹線について関心が高まっていると思いますし、非常に長期的な問題ですから、明日、あさっての、あるいは来年、再来年の話じゃないという問題はありますけれども、新幹線が必要だという考えは非常に強くなっているように私自身は直接県民の方々とお会いすると感じられます。
【記者】
新幹線の場合、県内の理解というものも必要だと思うんですけれども、県外、とりわけ東京の大会などでも、関西圏の後押しが非常に強いような印象を受けたんですけれども、こういった動きについては知事はどのように……。
【知事】
関西の経済圏、経済界の人たちは、この問題を非常に強くこれまで以上に認識しておりますし、福井が原子力関係で関西に貢献していることもよくわかっていただき始め、またわかってもらっているという状況だと思います。それから、大阪の知事には直接お会いしまた京都の知事にもいろんな機会に会っておりますし、今回の大会でも直接東京に出ていただくように電話等でもさらに要請したのですが、ちょうど府議会で全員がおいでにならないといけない日に当たったものですから、ご本人は出ていただけなかったんですけど、できるだけ関西の皆さんの積極的な参画といいますか、意識といいますか、そういうことをさらに強める必要がありますね。これは北陸新幹線ですが、関西の新幹線、日本の新幹線なんですね。ただ北陸新幹線という名前がついているということだと私は思います。
【記者】
今後の国への働きかけには、非常に心強いと。
【知事】
はい。大阪は政治的な情勢があってなかなかお忙しいかと思いますが、いろいろお願いしています。
【記者】
さっき、特定財源、新幹線の財源のお話で確認なんですけど、そういう空港使用税や目的税的なもので特定財源で使えるようなものの創設なんかを求めていくんでしょうか。
【知事】
これは国の制度ですので、どんな工夫が要るか、そういうやり方がいいのか、あるいはまた違ういろんな方法があるのか。
ほんとうは、0.8%でしかない国の資金を、もう少し、アロケーションといいますか、それを新しい時代に合わせて見直してもらえるのが一番正当なやり方だと思います。0.8%といいますと、700億円程度ですから、通常の国の災害があまりない一般的な都市の公共災害復旧事業の国庫補助金、それよりも少ない、そういう程度ですから。0.8を1%にしますと、そこで数百億円の財源が確保できるんですけど、そういういろんな努力を、政府といいますか国家としてなすべきだというのが我々の第1番目の主張です。
しかし、他のいろんな公共的な事業に比べると、そういう特定の財源はないという歴史的な経緯があるからなかなか厳しいというお話をしたんです。
【記者】
新幹線の見直しの時期なんですけれども、筋論として、九州新幹線の新八代-西鹿児島間が概成しているということで、当然年内見直しだということなんですけれども、やはりこれは、今、山積している原子力の課題とか、そういったものと結びつけるという考えは知事にはおありなんでしょうか。
【知事】
直接取引とか、そういう対応をするものじゃありませんが、国というのはあらゆる問題を全体的に考えて政治を行うものだと思いますから、我々が、原子力とか、そういう問題に長年にわたって貢献をしているという、そういうことを一方で理解し、そして、今、福井県の置かれた、あるいは北陸の置かれた、国家としての公共交通のネットワークといいますか、こういうものがいまだにできていないといいますか、そういうことをどう考えるんだ、おかしいと思わないのかといいますか、そういうことを我々は納得がいかないということを申し上げて、納得いかないから納得していただけるようにしてほしい、すべきだということを言っているわけです。
【記者】
えちぜん鉄道の福井駅乗り入れの件ですけれども、先ごろ、県議会の連合審査会の中で、知事がどういうふうに考えているのか、方針というか、そういったものを示してほしいというような意見も出ているんですけれども、知事ご自身は高架か地上かというのを含めて、どんなふうにお考えなんですか。
【知事】
県議会の議論もあったんでしょうが、高架か地上かというのはその前提として、えちぜん鉄道は非常にコストがかかるけれども、大変だけどみんなの力で存続しようという議論がまず基本にありました。私もそれは存続しなければならないと思いました。何としても残そうと。そうすると、財源の話が出てくる。そして、県と市町村で100億円前後の負担をしながら残すことになったわけです。
一方で、最終的に、地上か2階といいますか、その議論がありますが、そこでまた別途に財源の問題が出てくると。その中で、地上であれば財源的にも高架になるよりも半分ぐらいの金額で済むし、安全性の問題もいろいろ1年以上にわたって検討するとクリアができるんじゃないか、いろいろ問題がないわけじゃありませんが。そういう中で議会の議論があり、そして議会に提示をしたわけです。
そうした中で、いや、やっぱり、それはいろいろ事故の問題や環境の問題や、せっかく東西に分断をされている状況を解消するんだから上げるべきだという声が上がったということでしょう。そうなりますと、議論の経緯の中から、高架にするのであれば、やはり、財源の問題が冒頭にあったわけです。その財源を含めて応分の負担をして高架にしようというという提案が、これから市町村を中心にえちぜん鉄道を長期的に運用しなければなりませんから、その提案があってしかるべきだということを申し上げて、提案をしてほしいということなんです。いろいろご検討はいただいているんですが、なお具体的な、明瞭な提案がまだ出されていないと。早くしてほしいというのが私の思いなんです。
それで、特に、この高架の問題は福井市の地域が中心だと思います。交通の障害なり、住民の皆さんの思いも。ですから、どうしても福井市の積極的な主導というのが必要だと思います。市町村の先頭に立ってこの問題に対応してほしいですし、また市長にもお会いして、そういう要請をしたいと思います。これまでもやっておりますけれども、さらに。そして、解決しなければならないと思います。
【記者】
沿線が高架を望むのであれば応分の負担をという考えを知事は示していますけれども、知事のお考えになる応分の負担というのは、具体的にどの程度の割合だということをお考えですか。
【知事】
これは相談事ですから、半分だとか、いくらだとかいう話を申し上げるのはいかがかと思いますので、いろいろ相談をしながら、納得いく形で、最終的には県民の皆さんが、ああ、そうだなという負担が必要だと思っているんです。ですから、応分と。
【記者】
逆に、応分の負担の提示があれば、もうこれは高架でいくべきだということなんでしょうか。
【知事】
含意するところはそういうことになるかもしれませんね。提示をしてくれと言っているんですから。応分の負担のご提示をお願いしていますから。
【記者】
逆に言うと、応分の負担の割合を含めて、熱意が感じられなければ地上だと。
【知事】
そういう仮定法はどうかと思いますが。今、そういうことで要請をしていると。
【記者】
エチゼンクラゲのことで、お聞きしたいんですが、きのうもフォーラムがありましたね。県としては、越前という名前がつくことによって風評被害もあり得るんじゃないかというようなことを懸念していらっしゃるようなんですが、知事はその点についてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
【知事】
どういう由来で越前というのか、いろいろ経緯はあるんでしょうが。どういうふうに申し上げたらいいんですかね、そのご趣旨は。
【記者】
つまり、そういう風評被害を気にしていらっしゃるのか、あるいは懸念を感じていらしたのか。
【知事】
越前という名前によっていろんな影響があると思っています。
【記者】
そうですか。いわゆる海産物とかそういったものにも……。
【知事】
現に、漁民の皆さんもそのように思っておられるんじゃないかと思いますが。
【記者】
つまり、福井県外の人もクラゲとカニを混同する……。
【知事】
そんなことはないと思いますけれども。
【記者】
どういうふうな風評被害があるんじゃないかと考えていらしたのでしょうか。
【知事】
やっぱり風評というのは、合理的な精神によって生ずるものではない部分もありますから、説明がなかなかしにくいです。マイナスイメージにとられては福井県にとってはよくないと思います。
【記者】
越前という名前がマイナスに。
【知事】
いやいや、そのクラゲが福井にとってマイナスのイメージにとられるといけないですね。
【記者】
例えば、県外の全く事情の知らない漁業関係者の中から、エチゼンクラゲというのは福井で発生しているクラゲだと……。
【知事】
そんなふうに思っておられる方もいると思います。それは科学的な精神ではないんだけれども、そういうふうに思われたり、何か魚と一緒になっているとか、報道のいろんな扱い方にもよるんでしょうが、できるだけそういうふうにしてほしくないんですけれども、そういうことはあると思います。
【記者】
県として対策をお考えになるおつもりはないんですか。今の現状としては、まあ、相当な悲鳴が上がっているんすが、それについて何か対応策を講じるような。
【知事】
先ほども申し上げましたように、直接漁業に支障がありまして、経営に影響する部分については融資枠5,000万円の制度の創設を12月1日から行いますし、それからいろんな科学的な研究とか、あるいはエチゼンクラゲの当面の除去方法、防除方法といいますか、そういうことの対応も、我々も研究しなければなりませんし、水産庁にも要請しなければならないと思います。
それから、もう一つ、逆に、エチゼンクラゲが何か有用なる生物として使えるということになれば、今度はエチゼンクラゲのイメージはプラスに転ずるわけですので、このときは“エチゼンクラゲ”と言ってもいいのかもしれません。
【記者】
食べるか、肥料にするか、それぐらいしかないとかという議論があるんですけど。
【知事】
もっと研究をしなくてはいけないでしょうね。あれだけの水分というか、いろんなものを非常に薄い膜で覆っているというのは非常に生物学的には驚異ですから。現に、地域では非常に影響力を持っていますから、第一に漁民の皆さんが困っておれば、県としてはまず対応すべきですから。そして、長期的に防除方法あるいは利用方法、こういうものを一方で考えなければなりませんし、国の責任も非常に重いと思います。日本海全体の水産物への影響ですから、こういうことを研究するのは、まずは国だと思いますから。
【記者】
何点か確認させていただきたいんですけど、まず、「もんじゅ」についてなんですけれども、研究開発拠点という言葉をおっしゃられたんですけど、その具体的なたたき台というものがないと、国も何をしたらいいのかというのがわからないと思います。それで、具体的なたたき台というのを想定されているものは何なのかというのが1点です。
あと、もう一つは、新幹線の年内の実現を目標とするのかどうかということを、あくまで主張されるのかということをお伺いしたいんですが。
【知事】
「もんじゅ」のいろんな研究開発拠点については、先ほど申し上げたような点がございますが、さらに詰めないといけないと思います。これは、国や、あるいは関係機関が入っていただいて具体化する必要があると思います。そういう作業をしなければ事柄は成就しないと思いますので。今の段階では、先ほど申し上げましたが、そういう考えを持っていると。それを具体化したいという思いです。それでよろしいですか。
【記者】
そうすると、まだ一から具体化をするというのは。
【知事】
大体いろいろな、我々が自信を持っているこれまでの蓄積もございますし、国においてもいろいろお考えですから、そういうものをともに持ち寄るとか、そして、さらにそれを展開すると、こういうことだと思います。
【記者】
国は幾つか要素として挙げてきているわけなんですか。
【知事】
我々がそういう要請をすると、そういうふうに対応したいということですから。既存のいろんな研究機関もありますからね。
【記者】
いわゆる福井大学という……
【知事】
福井大学もありましょうし、工業大学もございますし、エネ研もございますし、また関西の大学もあります。それから、国の独立行政法人のいろんな機関もございます。そういうものがいろいろありましょうし、また、東海村とか大洗にもあります。ああいうものの一部をまたこちらに持ってくるとか、それからまた新しい何か組織が要るとか、そういうことだと思いますが。
【記者】
それは幾つかのめどというか、具体的に想定されているものというのはあるんですか。
【知事】
いろんな提示をこれからしたいと思いますが、今、どれがどうだということは申し上げにくいですけれども、さらに具体化することだと思います。すぐに、1年で全部できるわけじゃありませんから。
【記者】
新幹線の年内というのは……。
【知事】
それは年内にぜひ結論を出したい、出してほしいと。
県内南越までの一括認可工事着工の方針を示していただきたいというのが私の思いです。
【記者】
えちぜん鉄道の話に戻るんですけれども、先ほどの質問と重なるんですが、沿線の市町村に対する応分の負担ということでおっしゃっているんですけれども、応分の負担で誠意を見せろというような義理人情みたいな世界では行政は動かないと思うんですね。やっぱり財源の問題とか、これは税金ですから、ある程度どのぐらいの負担であれば県としては高架案をのめるのかというような、そういう具体的な協議というか、そういうお話は実際されているんでしょうか。
【知事】
実務的にいろいろやっております。
【記者】
そういうお話はもう出ているんですか。
【知事】
実務的に進めております。そういう議論が先方からもいろいろあります。
【記者】
年内までに結論という話、それは年内までの結論というのは……。
【知事】
その方針で今臨んでいます。
【司会】
そろそろ時間なんですけれども、もうございませんか。
ないようでしたら、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
── 了 ──
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