知事記者会見の概要(平成15年12月25日(木))

最終更新日 2008年3月11日ページID 002820

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平成15年12月25日(木)
10:30~11:30
県庁 特別会議室

記者会見

 


 

○発表事項


【司会】

 それでは、ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。

 まず、発表事項がございますので、知事のほうからお願いいたします。

【知事】

 おはようございます。

 それでは、年末ということで、12月の会見ではありますが、この1年間のご報告といいますか、会見ということで申し上げたいと思います。

 この1年は、統一地方選挙、また総選挙など、選挙の年でもありました。そして、国際的にはイラクの問題、あるいは北朝鮮の問題、拉致問題など、いろんな課題が多くあり、さらに新しい年にこれが引き続き議論になると思います。

 また、国内的にも景気の問題等、経済情勢、少しずつ回復の兆しがあるようにもうかがえますけれども、なお厳しい状況にあると思っています。

 また、国や地方とのいろんな制度上の関係、これは三位一体の改革ということで物事が進んでまいりましたが、そのほか新幹線や道路の問題等、地方と国とのいろんな政治上の関係が大きく議論された年でもありました。

 こうした中で、私自身にとりましても、4月の統一選挙で皆さんのご支持を得まして、当選を果たすことができたわけですが、マニフェスト「福井元気宣言」、これに基づき、お約束したことを一つ一つ進めた4月以降の1年だったかなと、このように思っているところです。

 今年中といいますか、今年にやるべきことはある程度やらせてもらった感じがあるんですが、滑り出したかなという印象を持っておりますし、ある程度のご理解もいただいたかなということも思っていますが、なお、さらに私自身のいろんな考え方や物事の進め方をわかっていただき、また県庁内のパワーも力を発揮するといいますか、そういうことで進める必要がありますし、さらに来年につなげていく必要があるなと、このように思っています。

 特に仕事の進め方としては、成果主義、あるいは事後評価、それから県民本位といいましょうか、顧客主義といいますか、こういう行政の進め方を極力徹底するということで、県全体の機構改革、その他評価方法などにつきましても、この8カ月余り仕事を進めてきたと思います。

 なお、今年度中には、マネジメントシステムといいますか、仕事の仕方について1つの方式をつくってまいりたいと思っています。

 それから、来年度の予算の編成があるわけですが、実務的には年末年始、ずっと作業が進むと思いますが、極力、今申し上げました考え方で行政改革あるいは財政改革を進めながら、ほんとうに必要な部分について優先的に公的な財源を投入するといいますか、そういうことで頑張ってまいりたいと思っています。

 特に、県民の皆さんと直接向き合うといいますか、こうしたことが極めて大事でありまして、県民の皆さんに目を向けて物を考え、そして判断し、工夫をしながら行動する、こうしたことを行うべきですし、職員の皆さんにもそのように指示もし、お願いもしているところでありまして、そうした努力をさらに強め、極力、情報がわかりやすく、また仕事の進め方が見やすく、そしてよく見えるといいますか、こういう県政を進めたいと思っています。

 特に、座ぶとん集会でありますとか女性会議などで、平生あまり政治や県政に対してご意見をおっしゃられる機会の少ない皆さん方からもできるだけ多くいろんなご意見を伺っていますので、こういうものを今後とも政策に反映したいと思っています。

 6月や9月の予算におきましても、予算編成過程からいろんなご意見をいただいたところでありまして、フレンドリーバスの無料運行とか、あるいは知的障害者の皆さんのグループホームのハード、ソフトの支援などは、そうした方法で反映をさせたものです。これからもそうした努力をしたいと思います。

 また、私自身の大きな政策の1つであります元気な産業、本県の雇用や産業施策をどのように進めるかということで、副知事もそのメンバーの委員として入ってもらったのですが、この7月に経済社会活性化戦略会議を設けまして、12月7日に提言を受けたところです。この提言をもとに、県のプランとして、名前としては「挑戦ふくい」という名前のプランになると思うんですが、今、印刷をやっているんだと思いますが、年内にまとめまして、お示しし、説明もしたいと思いますので、これをまた16年度の予算編成に向けて実行していく考えです。

 また、この1年は、国民あるいは県民の皆さんの安全とか安心という事柄について大変関心が強くなり、安全で暮らしやすい地域でありたいという県民の皆さんの願いも強くなったと思います。他の地域では、多くのいろいろなこれまで考えられなかったような事件なども発生しているところです。刑法犯の認知件数が増加傾向にあるということで、この夏、8月には、県、公安委員会、それから警察本部が一体となり、治安回復プログラムを策定したところでございます。現在、犯罪抑制に全力で取り組んでおりますが、年度内には条例なども具体化し、福井県の安全・安心のために努力をしてまいります。

 それから、県では、これまでもイメージアップを図ってまいりましたけれども、どうも全国的に福井県がよくわかっていない、小学生に白地図の上で福井県がどこにあるかというのをアンケートで聞きましたところ、最も正答率の低かったのが福井県であります。いろいろ立地条件の問題もあると思いますけれども、これはやはり我々がもっと自身と誇りを持って、福井のすばらしいものを全国に知ってもらい、アピールする、そしてブランド化を図る、こういう努力がまだまだ足りないんじゃないかと思いますので、そうしたことをこの戦略会議にも1つの大きな柱として入れておりますから、そうした運動を強めていきたいと思います。

 さて、今年は国と地方との関係が大きく変わろうとし、また、ある程度変わった年だと思います。現に、統一地方選挙で、私自身、マニフェストで選挙いたしましたが、これがすぐに次の総選挙でこういう選挙がなされるとは必ずしも思っていませんでした。何年かかかるかなという理解をしていましたが、直ちに、半年もしないうちに総選挙がマニフェスト選挙になり、文字どおり地方から国が、政治が変わったといいますか、変わりつつあると思っております。

 もちろん、こうした政治的な動きというのは、1度ですべてが変わるわけじゃありません。やはり何回かこういう経験をして、こういう政策的な選挙になるんだと、歴史的な動きとしてはそういうことかなと思いますが、地方から国が変わりつつあると、このように思っています。ますます我々地方団体が、自分の判断でいろんなことを決めて行動する時代になっていると、このように思っています。

 したがって、福井県としても、他の地方団体と提携し、あるいは手を結び、また単独でも国にしかるべき提言をし、これを国が受け入れ、国の政策が変わっていく、こういう時代であろうと思っています。

 一例を申し上げますと、国民保護法制については、本県が事務局となり、原子力発電所などがあるという背景もございますけれども、都道府県知事の危機管理上の権限、社会資本の整備、あるいは原子力発電所へのいろんな攻撃などがあった場合の措置などについて、国に提示をし、現在、一定部分の政策上の反映がなされているところです。

 また、12月14日には、全国で初めて、県民の皆さんを対象に、有事の際の国民保護に関するフォーラムを国と共催で行ったところでありまして、こうした問題についての県民の理解も一つ一つ深まっているのではないかと、このように思っています。

 また、拉致問題につきましては、今朝の報道ではいろんな議論も出ておるところでございますけれども、まずは一刻も早く、直ちに家族の皆さんを返すべきでありますし、こういう問題は正式の外交ルートにおいて行うべき課題だと思います。我々もこの1年努力してまいりましたが、さらに地村さん夫妻が一日も早くお子さんたちと一緒に生活できるよう、全力であらゆる手段を講じて努力したいと思っています。

 また、三位一体改革ですが、今回、必ずしも完全な改革にはなりませんでしたが、一歩前進という部分があったと思います。地方税源を充実し、国庫補助金を削減するという、こうした動きです。当初、財源として、私自身は、所得税あるいは消費税など、基幹的な税目を地方に移譲すべきだというふうなことを申し上げていたのですが、途中で、たばこ税とか、そういうあまり基幹的でない税金を国からというお話もありましたが、知事会の議論で、それではいけないということで、やはり基幹税だということを強く申し上げ、地方団体もみんな力を合わせて、そうした方向にまた転換したといいますか、そういう動きもあるようですが、さらにこうした努力を知事会などを通じて行っていきたいと、思っています。

 なお、一、二点、個別の議論を申し上げたいと思います。

 1つは、北陸新幹線の問題です。北陸新幹線、整備新幹線の問題につきましては、春の統一選挙以降、県政の重要課題として位置づけ、県選出の国会議員や県議会議員、経済界、沿線市町村などと一致協力して、県民の理解を深めていただくと同時に、中央要請など、また関西や北陸の政財界からの支援、協力を得て、力を合わせて取り組んできたところです。

 県議会におきましては、今月8日に決議をし、新幹線が今後もこのような状況が続くならば、国の対応によっては、今後の原子力政策の推進には反対も辞さない覚悟であるとの実に重い決議もされるなど、県議会とも力を合わせながらこうした問題に取り組んできたところです。

 途中の経過は省略をしますけれども、平成17年度予算編成過程で安定的な財源の確保等の検討を行って、基本条件を確認した上で、新しい区間の着工について認可するという旨の合意がなされたところですが、なお、どこまで、どう着工するかなどについては、確認が十分まだなされていないといいますか、不明な状況です。

 現時点で、南越までの一括工事認可、また着工が明確にならなかった、先送りされたということは残念であります。政府・与党検討委員会が、6月までに県内着工と北陸3県同時開業を内容とする結論を出すよう、この検討委員会に県民の熱意と要望を十分伝えていきたいと考えます。

 また、地元との意思の疎通がスムーズに図られ、また、福井県の政治的意思がこうした検討の中で十分反映されるよう、与党プロジェクトチームに県選出国会議員をメンバーとして入ってもらうように、これは与党がお考えになることではありますが、要請をしたいと思っております。

 なお、プロジェクトチームにおいて、この3線の着工を基本的に決めると同時に、高度化等事業ということで、着工準備の予算として福井駅や南越までの駅部調査、こうしたことを行うということは1つの結果のあらわれと考えています。また、特に高度化事業については、31億円が35億円ということで増額をしているところでありまして、県内各駅の調査ができるよう要請してまいりたいと考えます。

 特に北陸新幹線につきましては、北海道新幹線あるいは九州新幹線長崎ルートとは異なり、福井まで着工して初めて北陸新幹線でありますし、福井の新幹線です。北海道ですと札幌あるいは函館、函館にしても北海道の新幹線ですし、長崎も長崎の県内に入れば長崎の新幹線ですけれども、福井の場合には、福井に来ないと福井の北陸新幹線ではないと私は考えておりまして、今後、北陸3県が等しく、ともに発展することが重要ですので、同時の開業ができるよう、さらに6月に向けまして努力をしてまいりたいと思います。

 また、年を明けますと県議会とのいろんな協議といいますか、これからのいろんな方向の統一とか、どうした作戦にするか、いろんなことがあると思いますので、そうした議論を深めて、福井県として、また他の知事とどう連携をして行うかなど、考え方、方向をしっかり定めてこの問題に取り組んでまいりたいと思っているところです。

 特に、今回、新幹線につきましては、南越という名前が土俵に上がってきた点は、結果を認めていいとは思っていますが、どうも着工の保障が必ずしもはっきりしていないというところがあると思います。これから、これをはっきり勝ち取るということが重要だと思います。特に、今回、県内各界の皆さんが力を合わせて、県民の理解を得、またその理解が深まり、県民総意が力として結集できたということは、大きく評価できるというふうに思います。また、若狭の原子力が国のエネルギー政策に大きな役割を果たしているということが十分皆さん方に理解を得、また新幹線のこの運動をしたことがよい影響を及ぼしたといいますか、理解を得たということは、1つの結果であろうと私自身は思っています。

 なお、こうした問題につきましては、今ほど申し上げましたような方向で進めてまいりたいと思います。

 それから、同じ鉄道関係で、えちぜん鉄道ですが、先月25日に、沿線市町村長から高架部走行による乗り入れ要望をいただき、その中で、鉄道事業を長期継続するという強い意思表示と、応分の負担、3分の1の負担をするという申し入れを受けましたので、これを真摯に受けとめ、対応してきたところです。

 さきの12月県議会において、この問題について慎重なご議論をいただき、高架部走行でのご了解をいただいているところでございます。これを受けまして、あす、12月26日に協議をし、県と沿線市町村の間で、鉄道事業の長期継続の責任、走行方式、鉄道事業者負担金の取り扱いなどについて最終的な合意を図る予定です。この合意の後、関係機関と協議を進めまして、速やかに高架事業に着手できるよう取り組んでまいりたいと思っています。

 また、後ほどいろいろご質問もいただくかとも思いますが、この1年、皆様方にはいろいろご指導いただきまして、まことにありがとうございました。今後とも、マニフェスト「福井元気宣言」に基づいて、スピードと決断のもとに、福井県発展のために引き続き努力したいと思っていますので、どうかよろしくお願いしたいと思っています。

 私からは、とりあえず以上です。

【司会】

 それでは、ご質問がございましたら、お願いいたします。

【記者】

 4月に就任されてから、約8カ月たつんですけれども、この8カ月間を採点するとしたら、自己評価するとしたら、10点満点で何点をつけられるでしょうか。

【知事】

 ちょっと自分ではよくわからないのですが、全力で取り組んできたという自分の気持ち、どういいましょうか、相当頑張ってきたかなという気持ちはあります。その点については、私自身の政策は、県民の視点に立って、結果を出し、事後評価をするということでありますので、県民の皆さんにまたそういう結果を十分評価し、またご批判、ご指導をいただくということで仕事を進めたいという気持ちです。

【記者】

 新幹線の件ですけれども、知事の今のお話からもかなり評価しづらいというふうな結論が、我々もどういうふうに解釈したらいいのか、非常に評価しづらい面があるんですけれども、これから運動を組み立てていく上で、1兆円とか言われている財源をベースにして、この3線で綱引きをしているとかなり苦しい部分もあって、次は財源の確保に政治的エネルギーを向けるのか、それとも3線の綱引きのほうにエネルギーを注ぐのか、そのあたり、この戦略というか、まだなかなか、終わったばかりですから難しいとは思うんですけれども、どうですか。

【知事】

 高速道路などに比べますと、お財布の大きさが相当違うものですから、少し、ある一定の箱の中で議論している、そういううらみがありますよね。ですから、今、公共事業の0.8%、約700億円弱ですが、こういう事業で国費3分の1の分を議論しているとなかなか話が進まないということがありますから、そうしたことを、例えば北陸3県などで、さらにいろんな議論をし、どう国に働きかけるか、地方からいろんな、こういう財源があるんじゃないかと提示できないかとか、そういうやり方も1つの方式としてあり得るかなと思いますし、もちろん、国土交通省がそれをする役目でありますので、そうしたところにも働きかけますし、また政治的ないろんな決断というのも要る世界でありますが、これはあくまでも、我々福井県なり、地方の事業主体となる仕事ではなくて、国がやる仕事でありますし、国の政治家が決める仕事でありますので、そこはいろんな限界がありますけれども、そうしたことではあるけれども、新幹線が来る、あるいは通る福井県として、そうした努力を、先ほど、また年明けにといろんなお話をしましたが、いろんな方法を考えて、これまでとまた少し違った方式といいますか、要請姿勢といいますか、そうしたことをやる必要があると思います。

 本年の要請行動は、県民の不退転の決意といいますか、あるいは、我々はこういう理由で、福井県のこれまでの国に対する役割はこういうことで、新幹線は必要な公共事業であって要るんだということをはっきりいろんな人に示したということは、これまでにもないことでありまして、非常に重要でありますが、次はまたやり方を少し変えていく必要があるかなというような気持ちを持っていますが、さらに具体的にどうするか、またいろいろ工夫が要ると思います。

【記者】

 新幹線の絡みで、原発問題がどうも立地のほうから見ると止まっているんじゃないかということで、あした敦賀の市長が何を具体的にお願いするのか知りませんけれども、3・4号と「もんじゅ」をやってくれと多分言いに行くんだと思いますけれども、そういうことについては、知事としてはどうお考えになっておられるんですか。

【知事】

 先ほど申し上げましたが、今回のいろんな議論で県議会もああした決議をされましたけれども、やはり福井県がこうした国の政策に長年貢献をしているといいますか、大きな役割を果たしているということは、この新幹線の問題につきましても大きな力になっていると思いますが、もちろん原子力立地地域のそれぞれ地元のお気持ちも理解もできますし、わからないわけではありませんけれども、やはり、全県的にどういうスパンの中で全県的な考えを貫いて進めていくかということを、なお考えて判断すべき事柄かなと思っています。また、あすお見えになるというふうに伺っていますので、どうしたお考えか直接お聞きしたことはありませんから、十分お聞きして、また私の考えを述べたいと思っています。

【記者】

 知事の考えの中では、6月まで持ち越すということもあり得るわけですか。

【知事】

 これからのこうした、来年度夏に向けて、いろんな、国の、6月までに何もしないわけじゃありませんから、一つ一つ物事が進むと思いますから、そうした状況なども見ながら判断すべきことかなと思います。

【記者】

 先ほども新幹線の件で、南越まで土俵に上がったことについてはある程度成果であるというようなこともあったんですけれども、これだけで判断するということでなく、今後の推移を見守りながら、その中で判断していくということですよね。

【知事】

 そうですね。着工の保障とか、これからの方向が出ているわけじゃありませんから、そこはそうした理解をする必要がありましょうし、すぐに、慌ててどうなるというような、そういう状況ではないというふうに思いますが。

【記者】

 そうした中で、県議会はああした決議をして、知事は先ほど国の原子力政策について大きな理解を得られたものと思うとおっしゃられましたけれども……。

【知事】

 大きな理解とは言っていません。

【記者】

 県議会のほうとして、そういうスタンスということで、ただ南越までの着工の保証とか、そういったものは今のところない以上、そうしたもので理解が得られているという位置づけでいいんでしょうか。

【知事】

 そうは思っていませんので、今言ったような言葉で申し上げたんですが、正式に今口頭で申し上げましたけれども、今後の方針については県議会で北陸新幹線整備促進に関する決議がなされていますし、県議会の議論など、よく考え方を見定めた上で、国や事業者の今後の対応や、地元意見などを踏まえ、総合的になお対処していく必要があるだろうというのが、より正確な言葉で申し上げますとそういうことです。

【記者】

 26日、河瀬市長が来られて、何をおっしゃられるか、事前に幾つか地元の会見とかでもおっしゃられているようですが、基本的に敦賀3・4号を着工してほしいという要望があるみたいですけど、それと、「もんじゅ」に関してももう安全ではないか、安全という結論が出たと。1つ、地元の意見としては推進してくれという立場でのご意見で、なおかつ県議会での決議が1つのネックになるのではないかと思うんですけれども。

【知事】

 ネックといいましょうか、そういう政治的な判断ですね。

【記者】

 それについて、知事は決議をかなり重視されていらっしゃるということですか。

【知事】

 先ほど申し上げましたように、原子力はまず安全という問題がありますが、県議会の意見、考え方、地元の意見、それから、国のいろんな、福井県全体に対してどう思っているんだという、地域の振興などを総合的に判断することがまたありますので、そういうものを総合判断してこの問題に取り組む必要があると思いますから、それぞれファクターが、少しずつご意見も違いますし、今回、新幹線の年内でのいろんな議論はありましたが、その直後でもありますし、なお十分慎重にいろんな議論を進めなければならないだろうということです。

【記者】

 仮に、地元は推進、あと決議を、県議会がオーケーを出すとして、南越までの着工が勝ち取れなければ、やはり3・4号、「もんじゅ」は進められないということになりますか。【知事】

 ですから、地元の皆さんが何か進めたいというお考えかもしれないんですが、どういう条件のもとにどうしたいのかというのをまだお聞きしていませんから、無条件でそれを進めたいとおっしゃっておられるわけでもないでしょうし、その辺のお気持ちと、そして地域の皆さんが福井県民としてどのように思われるかということもありましょう。県議会自体は、それぞれの地域の代表の皆さんですが、県の議会としてああいう判断をしておられるわけですし、一方で新幹線の動きも6月まで、これから年を明けますと、プロジェクトチームがどんな構成でつくられるのか、どんな業務が進むのかと、それはいろいろありましょうから、抽象的に、こうだからこうだという、そんな判断は今できませんし、また新幹線自身の問題につきましても、明瞭に物事が決まっていないという、そういう事実がありますから、そういうことを考えて判断すべきだろうと、きょうの時点では申し上げているところです。

【記者】

 原子力関係とちょっと変わるんですけれども、中間貯蔵施設なんですけれども、小浜のほうで議会が請願を出して、継続議案になっているらしいですけれども、かなり手続的には話が進んでいると。それからもう一つ、美浜の町長ですか、勉強をしたいということをおっしゃっているんですけれども、知事は先の県議会の中でも、中間貯蔵施設に対する考え方というものは栗田知事同様だというようなご答弁だったんですけれども、今は、嶺南のほうでこういう動きが起こっていることについてどうお考えになっているかと、それから、さらに考えが変わることはないのか、改めてお聞きしたいんですが。

【知事】

 中間貯蔵施設については、小浜と、あと美浜でしたか、いろんな動きがありますが、基本的に最終どう判断しているかというのは不明でありますし、また意思も決定していないと思います。こういう状況ですから、基本的に事柄は変わっておりませんし、前の栗田知事がおっしゃっておられた基本的な考えを何か変えないといけない状況には、今はないと私は思います。

【記者】

 栗田前知事は、痛みを分かち合うというような表現が時にはありましたけれども、県外でということに……。

【知事】

 痛みを分かち合うかどうかという、そういう議論は1つの大きなお話かもしれませんが、そういうことも含めて、特に私自身が今何か特別の考えを述べないといけない状況ではないと思います。

【記者】

 話は変わるんですけれども、今、三位一体の改革のお話がありましたけれども、当初、たばこ税ということで、若干全国的にもそれを認めるのかなという流れがあったんですけれども、それから、所得税の一部というか、部分的というか、移譲になって、西川知事は消費税ということもおっしゃっていますが、それをもう少し具体的に、西川知事ご自身が、消費税の移譲というか、それにかなり積極的なお立場でいらっしゃると聞いているんですが、具体的な考えをちょっとお聞かせ願いたいと思います。

【知事】

 まず、これからの地方の税源は将来性のある、将来性のあるというのはどういうことかといいますと、伸長性がある、あるいは多くの納税者がかかわるといいますか、かつ普遍性といいますか、どこにもあると。それから、地方団体間で割合、税収に格差がないといいますか、それは税の本来の性格、またその仕組みを通じてそういうことがなし得るということで、消費税というのが、これからの地方、特に都道府県の税制としては基本的に望ましいと私は思っています。

 歴史的にも、戦後シャウプ税制ということでシャウプ使節団が日本に来ていろんな提言をしましたが、付加価値税というのは、名前は違いますが、ほとんど今の消費税とそんなに性格は変わらないんです。消費税というのは消費という視点から物をとらえておりますが、当時の付加価値税というのは、ちょっとベクトルは違うんですけれども、付加価値といいますか、そういう面からとらえても、結局はよく見るとほぼ似ている税制なんですが、そういういろんな歴史的な理由などを含めますと、そういう税制が基本的にはいいだろうと。もちろん所得税もほぼよく似た性格を持っておりますので、それに次ぐ望ましい税であるというふうに思います。

【記者】

 その消費税を地方のほうに移譲して、それを国が逆に取りに来るというか、お金の流れを逆転させるというような、そういうお考えというか、そういう主張がおありになるんですか。

【知事】

 そういう考えがあります。ただ、税制というのは政治的にいろいろ決まるものですし、理想をすべて追えないところもありますよね。毎年のいろんな税制改革、しかし、今の税制改革はあまりにも理想とかけ離れておりまして、小手先といいますか、応急的に毎年毎年やっているところがありますよね。だから、そういうものを極力直して、理想の地方分権的な税制にしていくのが望ましいと思います。これは1年でできることではありませんし、何年かかかるかもしれない。場合によっては10年かかるかもしれないが、そういう考えを持っているということです。

 もちろん、年金の財源にするとか、そういう議論も一方ではありますから、それがどういう意味であるとか、それがほんとうに日本の国家としていいのかどうかなど、いろんな議論も並行してあると思います。

【記者】

 ちょっと1つ確認させていただいてよろしいですか。

 敦賀の河瀬市長の、明日の要請のお話のところで、先ほども西川知事が、敦賀3・4号機とか「もんじゅ」とかの推進について、進めたいという考えかもしれないけれども、1つまた別に福井県民として、新幹線などをどうとらえるかということ、またあるいは、県議会の敦賀など選出の議員にとっても、県議会としての決議というのをどう考えるかとおっしゃったと思うんですけど、それは言いかえると、原子力発電所の推進ということは、地元の考えは必要だけれども、また1つ、新幹線ということにもきちんと理解を示してくださいよというお考えですか。

【知事】

 そうでしょうね。かつ、本来であれば、あの新幹線は敦賀までまずはつながないといけないですよね。しかし、それはいろんな事情なり財源的なことがあって南越までとしておりますから、それも敦賀の皆さんがご理解を得てそういうことをしていただきましたけれども、そういういろんな思いを受けて、私自身は、県民の皆さんがこうした今の状況をどのようにお考えかということを考えて、いろんな判断をする必要がありますし、県議会の皆さんもそのように思ってああいうことを決議されたんだと思いますし、敦賀市といいますか、嶺南の皆さんもそういうお気持ちは一方でお持ちだと思いますので、そうしたことを申し上げました。

【記者】

 確認なんですけれども、あしたの敦賀の市長の意見というのも、そういった総合的な判断材料の、あくまでも要素の1つであるということですか。

【知事】

 よく聞いて、お聞きしてみないとわかりません。何をおっしゃるのか、どういう思いで、どういう理由で、どんな条件でもって、何をお考えなのか、直接お伺いしたことがないものですから。前回、いろんなお考えをお持ちですから、それが今どんなふうに思っておられるか。もちろん、いろんなことはあると思いますけど。そういうことです。

【記者】

 ちょっとしつこいようなんですけど、原発カードの効果という意味でちょっとお尋ねしたいんですけれども……。

【知事】

 カードというか、1対1に対応するものでもないし、福井県が日本の国においてどういう役割を果たしている地域かといいますか、国家的な役割、貢献、それを我々としてはわかってもらわなければ。今回、すぐれて理解をしていただいたと思いますが、なお、その理解を求めることは重要だと思います。我々はこの地域にいますから、そのことはよく理解できますが、ここに住んでいらっしゃらない方は、まだ知らなかったり、何度もご説明せんといかんでしょうし、頭で理解しても、ほんとうに腑に落ちておられるのかとか、いろんなことがありますから、そういう努力、今回そういう効果は大きくあったと思います。そういう意味でありまして、何か、カードがどうだとかと、これとこれとこれがと、そういうことを決して申し上げているわけではないし、そういう広い意味で、私自身は思っております。

【記者】

 重ねての質問になるんですけれども、南越というのを示す意味での効果はあったかとは思うんですけれども、具体的に着工ということが勝ち取れていないという以上は、6月までは、そうした条件というのを国に対して今のような形で示し続けることになるわけですか。

【知事】

 基本的にはそういうことはあると思います。

【記者】

 逆に、6月まで引き延ばされたということは、6月までにちゃんと原子力行政の重要課題については進めなさいよというふうに言われたともとれなくもないんですけれども。

【知事】

 そんなことはないと思います。

【記者】

 そんなことはないですか。逆の見方はないわけですか。

【知事】

 ないと思います。

【記者】

 このままの状況でずっと事態を見ていくというか……。

【知事】

 年内にいろいろ結論を得たかったんだけども、十分決定し切れなかったということだと思いますね。

【記者】

 ですから、逆に返されたわけじゃないと。

【知事】

 そんなつもりはないですけど。ボールは向こうにあると思います。

【記者】

 そうすると、あした、仮に敦賀の市長が地元としての熱意を伝えに来るとしても、やっぱり地域振興という……。

【知事】

 明日いろいろおっしゃること、それを受けてから、いろいろ、私も言い出すかと思いますね。ちょっと、あまり、こうだったらどうだという話をしてもしようがありませんので。ほかのお話もいろいろあるかもしれませんし。全体に何だということを伺う。お見えになるということですから、いろいろお話ししたいということですね。

【記者】

 それから、えちぜん鉄道の件ですけれども、ここだけは沿線市町村長にきっちりと約束して帰りますというふうなことを、あしたに向けてですけれども、これだけはきっちりと約束させたいということがありましたら。

【知事】

 えちぜん鉄道は三セクですけれども、運行の基本的な責任は沿線の市町村ですので、これからの日本にとっても福井にとっても、地域の公共交通機関が大事である、これをしっかり残していくんだという、その長期的な政治的意思、これをしっかり示してもらうと同時に、これは県もやらなきゃいけませんが、公共交通機関を利用する仕組みをどんどん取り入れていくといいますか、単なる、鉄道を利用しましょうということはもちろんありますが、世の中の仕組みとしてこの中に入れていくという工夫を市町村も県もやっていくという、そういうことを申し上げたいと思います。

【記者】

 関連してちょっと1つお伺いしたいんですけれども、あしたの沿線市町村との話し合い、協議の中で、存続の明確な意思というのをもう一度確認する必要があると思うんですけれども、実際にえちぜん鉄道開業から11年目以降の経費の補助とか、そこら辺を何か明確な形で、例えば文書にする、数字をきちんと出して文書にするだとか、そういった明確な形で何か示すというお話は……。

【知事】

 まだ始まった1年ですから、数字があまり具体的でないかもしれませんが、口頭表現になるかもしれませんが、できるだけそれは極力明瞭にすべき事柄でありますので、そうした努力をしたい、するはずです。例えば、二十何年目には数字が幾らになるとか、そういう数字はちょっと出ませんから、しかし、大体こういうことになるだろうから、これはちゃんとやっていただきますよという、そういうお話は了解するということだと思いますが。

【記者】

 話が変わって、拉致問題のことなんですが、先日、県のほうでの主催の励ます集会がありましたけれども、今後、県としては、一日も早く子供さんの帰国に向けてどんな努力をされますか。

【知事】

 これは、あらゆる努力なんですし、最大限の努力なんですが、具体的にどういう方法をとるかについては、さらにご本人のいろんなお考え方とか最近のお気持ちも伺わなければならないというふうに思っておりますし、そうした中で、我々としては全力でお2人の立場に立って、あらゆることをやらなければなりませんし、また、前回、各大臣も出ておられる知事会議、あの場でもそういうことを申し上げましたが、国でやるべきことなんでしょうけれども、地方団体の代表としてどんなことでもやりますから、一緒にやれること、あるいは単独でもやれること、いろいろ我々は思いつかないこともあるかもしれませんので、おっしゃってほしいし、やれることをしたいということを申し上げたんですがね。もちろん、国にもう少し、さらに……。一番大事なことなんですよね、日本の国民が権利を侵害され、また人道的にも厳しい状況にあるということを救えないということは。ということです。

【司会】

 ほか、ございませんか。

 ないようでしたら、これで記者会見を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

【知事】

 どうもありがとうございました。

 

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