知事記者会見の概要(平成27年12月28日(月))
平成27年12月28日(月曜日)
10:30~11:30
県庁 特別会議室
【知事】
それでは、何もなければ本年最後ということになりますが、会見を行わせていただきます。
今回は、平成27年、今年の福井県の一年ということをお話ししたいと思います。
この一年については、「福井県の将来の発展の方向がはっきり見えてきた年」であったかと思います。いくつか項目に分けて申し上げます。皆さん、日々報道していただいていますから大体事柄は共通かと思いますが、改めて少し整理をして申し上げたいと思います。
まず、県民の活躍であります。それから、高速交通体系整備の進展、観光やまちづくり、原子力・エネルギー政策、人口減少対策、ブランド発信、産業創出、国体・障害者スポーツ大会の状況、教育、ふるさとの環境などの項目になるかと思います。
〔資料:平成27年福井県の一年〕
まず、「県民の活躍」ですが、特にこの春は選抜高校野球で敦賀気比高校が日本海側で初めて優勝を果たしたわけであり、これは歴史的な快挙でありました。4月には団体では初めてとなる県栄誉賞をお贈りしました。
そのほか、スポーツの分野では、バドミントンの山口茜選手がインターハイで史上初の3連覇。中学生でも、ホッケーやハンドボール、体操、なぎなたなどで全国優勝を果たすなど、若い世代が力を持ってきたところであります。
文化や芸術についても、小中学生が絵画や読書感想文の全国コンクールで最優秀賞を獲得するなど、若い人たちが大いに活躍した年であります。例えば青少年読書感想文コンクールでは内閣総理大臣賞を川本一遥さんが獲得したとか、全国中学校美術部作品展では河原﨑菜々子さんが文部科学大臣賞を受けられた等々、いろいろございます。
それから、女性の活躍としては、県立大学生がパリ・コレクションでモデルとなったり、あるいは建築士会の全国大会で「伝統的技能賞」を受けられた鬼瓦づくりやガーデニングなどでも成果を上げているところです。
人口減少社会の中で、若者や女性の活躍が極めて目立っているところですので、こうした動きを我々としても積極的に応援をし、活躍の場を広げてまいりたいと思います。
また、行政の県として行った景観と治水を両立させた河川整備では、土木学会のデザイン賞最優秀賞を受賞したり、名画の「落葉」のレプリカを使った美術の出前授業、また、災害では鬼怒川水害の際に真っ先に福井県が茨城県に駆けつけ、茨城県ではボランティアの立ち上げに慣れていないところをいろいろ応援したり、行政的にも県職員の頑張りも評価されていると思っております。
次に、「高速交通体系の整備」に関してですが、高速交通ネットワークの整備やまちづくりについて方向が出た年でした。
新幹線については、政府・与党の申合せにより、異例のことでありましたが福井県が独自に提案をした3年前倒しについて今年1月に決定をし、34年度末の開業を目指すということであります。さらにそれをもう少し短くならないかという動きもあるわけです。
10月には九頭竜川橋梁の工事を開始するなど、これまで県内の約3割の区間で工事着手しています。年末の政府予算案では、金沢-敦賀間に今年度との比較で約4倍の事業費が盛り込まれ、県としては早期に着手できるよう、用地買収、埋蔵文化財調査に全力を挙げてまいりたいと思います。
高速道路については、昨年は「若狭さとうみハイウェイ」が開通しましたが、今年は中部縦貫道の整備が進み、3月の福井北-松岡間の開通により北陸道と直結をしました。4月には大野-大野東間の新規事業化が決定しました。引き続き、中部縦貫道については北陸新幹線の敦賀開業の頃には油坂峠まで直結をするということを目指して働きかけてまいります。
次に、「観光地の魅力アップと県都のまちづくり」です。
まず、日本遺産第一弾として、「御食国若狭と鯖街道」が4月に認定をされました。6月には大本山永平寺がミシュラン・グリーンガイドに掲載され、11月には旧北陸線の13トンネルが国有形文化財に登録されました。一乗谷朝倉氏遺跡でも入込客が極めて大きく増加しているという状況であり、福井市の計算によると、100万人というような見方もあるわけであります。
また、北陸デスティネーションキャンペーンが10月から12月までの3か月間行われました。その間、「大永平寺展」あるいは「北陸3県食の祭典」などが行われました。
新しい観光拠点としては福井市内に「グリフィス記念館」、敦賀市には「赤レンガ倉庫」、一乗谷には「一乗谷レストラント」、南越前町には「どっときたまえ」という観光案内所がオープンしています。また、今月14日には三国湊のゲストハウス「詰所三國」がオープンということで、それぞれの地域で観光拠点が整備され、進展をしているということです。引き続き、こういう動きを強めてまいりたいと思います。
福井駅周辺では、えちぜん鉄道が新幹線の高架橋を利用した仮線運行を9月に開始しています。これにより、さくら通りと新福井駅付近の2か所の踏切が廃止されました。
また、3月の北陸新幹線の開業にあわせて、福井駅前に恐竜の動くモニュメント3体が設置され、職員のアイデアによる駅舎壁面の恐竜イラストとセットで、全国的にも注目を浴びたところです。なお、西口駅前広場の工事のため、恐竜モニュメントは年明けに一旦移設をしますが、春の3月には再びその場所に戻ってくると同時に、新たに恐竜の足跡化石を追加展示するなどレベルアップをしたいと考えています。
次に、「原子力・エネルギー政策」ですが、高浜3、4号機の再稼働については、今月22日、地元の高浜町、また県議会のご意見、県原子力安全専門委員会の安全面の評価、国や事業者から示された原子力に対する基本的な方針、受け止めなどを総合的に考え、再稼働に同意するとの判断を行い、同日、林経済産業大臣にそのことを伝えたところであります。
事業者においては、25日から原子炉に核燃料を装荷する作業を開始しているところであり、1月下旬の再稼働に向けた具体的な準備が進められている状況に今なっているわけであります。県としては、節目節目に立ち会うと同時に十分なチェックを行う、また、関西電力に対し、これまで以上に体制を強化し、情報連絡体制を密にし、あらゆる事柄に対し県民に広く状況を知っていただくように努めてまいりたいと考えます。
「もんじゅ」については、11月に規制委員会が運営主体に関する勧告を出しましたが、「もんじゅ」は政府が核燃料サイクル政策の中核施設として、昨年4月、「エネルギー基本計画」を閣議決定しており、政府の責任において体制を強化し、原子力政策の方向を示す機会とする必要があると考えます。
福井県は、今申し上げました再稼働問題のみならず、廃炉、40年超運転、使用済燃料の中間貯蔵、「もんじゅ」をはじめとする核燃料サイクルなど様々な課題を抱えています。引き続き、国に対し、国民理解を深める責任ある対応を求め、県民の安全を最優先に、立地県として責務を果たすとともに、温暖化など地球規模の環境問題の解決にも貢献するモデル地域を目指すといいますか、昨日は丸川環境大臣兼原子力防災担当大臣もお見えになりましたが、そういうことを改めて申し上げたところであります。
次に、「人口減少対策」です。
人口減少問題については、本県はかねてより「迷惑ありがた縁結び」、あるいは「ふくい3人っ子応援プロジェクト」など、全国に先駆けて新しい政策を実施してきた県だと思います。今年の機構改革では「ふるさと県民局」を設け、体制を整え、10月には「ふくい創生・人口減少対策戦略」をつくっております。
人口の自然増対策としては、新たに「職場の縁結びさん」を置く「ふくい結婚応援企業」の登録を開始し、里帰りに合わせた婚活交流会や寺院での婚活イベントなども進めているところです。
3人目以降の子どもの保育料無料化を小学校入学までに新年度から拡充するなど、全国トップクラスの子育て支援を行い、結婚・子育てのポジティブキャンペーンCMを11月から放送しております。
社会増対策としては、「福井Uターンセンター」を6月に設置し、立命館大学、京都産業大学、京都女子大学と就職支援協定を締結しております。
そして、福井で暮らすメリット、良さを説明し、分かりやすく若い人たちに理解していただくため、「ライフデザイン設計書」を11月につくって配付をしております。
また、女性や若者の県内定着を図るため、本社機能を移転する企業への国の優遇税制適用第一号として、10月に日本電産テクノモーターの研究開発部門を拡充する計画を認定しております。
そのほか、広く人材育成のために、昨年開設した園芸カレッジに「スマート園芸コース」を新設し、新たに「水産カレッジ」を開設するなど行っております。
次に、「ブランド発信」です。
国内外へのブランド発信については、特に県職員のアイデアや実行力が発揮された分野だと振り返ることができると思います。
特に恐竜王国については、様々なPR活動や館内の展示の工夫なども行い、入館者数が開館以来の最高記録を更新している状況です。
また、冬の味覚の王様「越前がに」の最高級ブランド「極」を新たに売り出し、全国ニュースでも大きく取り上げられているところであります。
また、「越前オウレン」が林業遺産に認定をされました。
次に、幕末~大正期に活躍した本県出身の偉人の話です。
NHK大河ドラマ誘致のため、推進協議会において明治維新150年となる平成30年誘致に向け、幕末明治の偉人である由利公正を主人公候補とすることを11月に決定しました。
秋には、テレビドラマ「天皇の料理番」のモデル秋山徳蔵への理解を深めるフォーラムを開催し、あるいは県内レストランにおいて復刻メニューなどを提供しております。
また、福井市出身の写真家丸木利陽が撮影した明治から大正期の重要な人物の肖像の寄託を受け、歴史博物館において写真展を開催しました。
それから、10月にはミラノ万博に禅を切り口に福井県ブースを出展し、4日間で1万8千人の来場をいただいたところです。これは日本の26の自治体が行ったイベントの中で1日当たりの来場者数が最多でありました。
また、オランダの画家レンブラントの版画作品に越前和紙が使われた可能性を調査し、交流を深めた結果、オランダと県内で展示会を開くことができ、越前和紙を県内外、国内外にアピールができたところです。
それから、「新産業の創出・育成」の問題ですが、6月に産学官金が連携して「オープンイノベーション推進機構」を設立しました。炭素繊維の土木分野への展開のほか、自治体初の小型人工衛星、それから、MRI診察に用いる遠赤外線発生装置などのプロジェクトを実施しております。福井発の革新的な製品開発を期待しております。
なお、企業誘致については、31件の新増設があり、この中には越前市の信越化学工業、あるいは越前町の東京セロレーベルなどがありますが、投資額は約250億円、新規雇用は約600人となっております。
「国体・障害者スポーツ大会」ですが、7月には本県開催が正式に決定しました。これを受け、準備委員会から実行委員会に体制を移行し、決起大会を開きました。競技ごとの日程も決まったところですので、準備を加速いたします。
なお、和歌山国体では期待した順位には届かなかったのですが、バドミントン少年女子の初優勝と、少年男子砲丸投げの奥村選手の中学新記録での優勝、また、「スポジョブふくい」でUターンされた冬木選手のライフル優勝など、一つひとつの動きが出ておりますので、さらにレベルアップをしてまいりたいと考えます。
次に、「福井型18年教育」です。
本県の子どもの学力・体力は、今年も文科省の調査でトップクラスを維持できたところであり、特に体力についてはトップといっても非常に離れたポジションを確保できました。学力も含めて、これは先生方の熱心な指導はもちろん、保護者や地域の方々の理解と協力のおかげと考えています。全国から様々視察にも訪れておりますが、シンガポールの教育関係者30名が6月には視察に来るなど、国内外から注目を浴びているところであります。
教育の関係では、春には県内の公立学校では初めての併設型中高一貫教育校「高志中学校」を開設しました。また、新しく「教育に関する大綱」を10月につくっているところです。これに従って、教育委員会と我々知事部局とが協力して教育充実にさらに努める予定です。
文化振興に関しては、県民が文学に親しみ、学び、創造する拠点として、県立図書館に「ふるさと文学館」を2月にオープンしました。今年は高見順没後50年でしたので、12月から1月にかけて特別展を行っております。また、直木賞とか芥川賞とかいろいろな動きもありますが、こういうところにできるだけ福井の方が出るようにするといいなという期待をしており、そういう風土を育ててまいりたいと思います。
最後に、「ふるさとの環境」の問題であります。
水月湖の年縞については、年代測定の精度と学術的価値を強化をしなければなりませんので、10月に立命館大学と研究に関する協定を締結しました。来年度からは中学校の国語や理科、社会、数学などの教科書に年縞が掲載されますので、注目を浴びるかと思います。
それから、最後にうれしい話題としては、昨年、本県で50年ぶりに誕生したコウノトリ3羽のうち、雄のげんきくんと雌のゆめちゃんの2羽を10月に白山地区で放鳥しました。昨年のヒナ誕生から放鳥に至るまで、地元の白山・坂口地区、また県職員、コウノトリの郷公園などの多くの関係者の努力により実現したものであり、皆様方に感謝を申し上げます。5年前からコウノトリを自然再生のシンボルとして定着できるよう環境づくりに努めていますが、引き続きこうした努力をしてまいりたいと思います。26日現在、げんきくんは長崎県五島市に、ゆめちゃんは愛知県南知多町にいるという情報です。
以上です。
~質疑~
【記者】
今年は、県の将来の発展の方向がはっきり見えた年ということですが、1年の中で一番印象に残られた出来事はありますか。
【知事】
大きなものとしては新幹線や中部縦貫道のような、全体で数千億、1兆円近い事業、こういうものが大きく方向性、ターゲットもはっきりして動き出したというのが極めて重要だと思います。
そして、人口問題等々を考えますと、福井の子どもたちの元気といいますか、学力・体力、国体・障害者スポーツ大会もありますが、みんなが元気でやっていく大きな動きが引き続き確保できているということを素晴らしいことだと思っています。
そして、瞬間的には、ちょうど知事選挙の期間中したが、敦賀気比高校が選抜高校野球で優勝したというのは、気持ちとしてはそういうタイミングでありましたので、非常に強く感じているところです。
【記者】
高浜3、4号機の再稼働について、ある程度状況も整って再稼働ということになりましたが、今の所感をお聞きできたらと思います。
【知事】
この問題については、様々な皆さんが関係する事柄でありました。国、そして我々県、議会、それから高浜町、事業者とあるのですが、何といっても県民の皆さんがこの問題について理解をしていただき、再稼働だけではなくて、福井県の場合には廃炉や40年超、中間貯蔵の問題がある。これは一つひとつ大きな問題であり、福井県の将来、また日本のエネルギー政策に深く影響するものですから、そういう大きな動きと流れ、その方向性を全てはっきりできるものではありませんが、確かめる中で方針を出すということであったかと思います。私としてもそのために全力をいろいろ尽くしてまいったと思っておりますので、これから高浜3、4号機の安全な再稼働はもちろん、こうしたことをさらに十分理解をしていただく努力が必要ですし、関連するいろいろな制圧体制や、あるいは避難の問題についても着実に対応しているということかと思っています。
【記者】
確認ですが、10項目出されて、この順位付けというのは特にないというお考えでよろしいですか。
【知事】
県民の活躍というのを最初に申し上げたのはそこだったのです。県民の皆さんが頑張って活躍してくれた。そのためにいろいろ、新幹線やブランド発信などをやったりするわけですので。
【記者】
この順番というのは知事が考えられたのですか。
【知事】
私が話しているのですから、この順番で。こちらが上でないといけないとかそういうことではありません。何となくこのように思って申し上げたということです。一番下にあるから重要ではないということでもまたないのですが、県民の皆さんの活躍というのは非常に大事だと。ただ、学力・体力も県民の子どもたちの教育の活躍ですから、ちょっと決めつけはできませんが、そのように思っています。
【記者】
国が軽減税率についてまとめました。2017年4月に外食と酒類を除く食品全般について軽減税率を導入するということですが、このことに関して知事のご感想をお伺いできればと思います。
【知事】
特に消費税については一般的な消費税ということで、個別消費税ではありませんので、政策的に税率をどうするかとか、あるいは複数税率にするかというのは全体の税率水準の中で極めて政策的に重要な項目であります。税制調査会等、いろいろな中で様々議論をしたのだと思いますが、政策的な議論はさておいて、我々としては、これが地方の社会保障といいますか福祉の財源になりますので、地方財政に影響が生じないように軽減税率をこれから具体的に、いろいろな決め方が難しいと思いますが、そこで線引きとか、普通の税率だったらその税収だけれども、軽減だったらこれだという差がどの程度だというのが、さらにこの時期決まってくると思いますから、代替的な財源を着実に確保するということは地方団体にとって重要かと思います。もちろんこれから消費税はいろいろな議論があると思いますが、税率での議論と福祉的な歳出でどうこれをカバーするかという議論は、だんだん税率が上がるごとにそのような議論をよりしっかり日本の国としてやらないといけないだろうと考えます。
【記者】
先ほど知事からもありましたが、軽減税率を導入されれば当然地方に入る税収というのは減ると思います。いろいろ政策を、これから新幹線や人口減少対策などやっていかなければいけない中で、税収が減る見通しということに関してはどのようにお考えでしょうか。
【知事】
これは軽減税率によってそうでないものと比べると減りますが、消費税は全体として10%に上がるわけですので、軽減税率が組み込まれても今のところ約35億円の増収を見込んでいます。そのほか、いろいろな交付税などにもはね返りますので、これは地方財政としてプラスであるということになります。
【記者】
確認ですが、約35億円というのは、2017年4月以降の県としての増収分ということですか。
【知事】
はい、そうです。
【記者】
高浜原発に関連して、知事は12月22日に高浜3、4号機の再稼動に同意されていますが、その3日後に、高浜原発から30キロ圏内に入っている京都府の宮津市議会が高浜原発の再稼働に反対する決議を可決しています。つまり反対という意思を明確に示したのですが、この点についてはどのように受け止められますか。
【知事】
個々の市や町、それぞれいろいろ、またその市議会でどういう人たちの賛否の差とか、それから、市自体がどうお考えになるか、いろいろなことがあるので、一つひとつどうだというようなことは、他の県のことでもあるので、お答えするような事柄かなと思います。一つひとつ申し上げる判断材料がないというか。
【記者】
宮津の判断についての判断材料がないということですか。
【知事】
中身がよく分からない。どういうお考えなのか、市はどう考えているとか。何についてどう考えているのかというのが。京都府が自分のところの町のことだから、どのようにお考えになったということがあると思いますよ。
【記者】
京都と、より理解を求めるために話し合いをされていくという…。
【知事】
一つひとつのことではなくて全体として福井県が地元として、京都も滋賀もあります、何といっても福井県内のこともありますから、そういう対応が必要だろうということです。
【記者】
知事が同意された2日後の12月24日に、福井地裁が再稼働を差し止める仮処分決定を取り消すという決定を出しましたが、この福井地裁の判断についてはどのように受け止めていますか。
【知事】
前から申し上げておりますように、今回の再稼働の福井県としてのいろいろな判断と裁判所の保全異議申立てとは事柄が次元の異なることですので、それはそれとして裁判所としてきちんといろいろなご判断をされたのだと思いますけれども、特に我々としてそれをどうこう言う、そういう立場ではないということです。
【記者】
ある意味、知事が出された方向性と同じ方向性の判断が出たので、前向きに受け止めるとかそういうことはないのでしょうか。
【知事】
前から申し上げておりますように別の次元のことです。
【記者】
分かりました。
【知事】
裁判所は裁判所として、そのお立場の中できちんと議論をされたのだと思います。
【記者】
高浜3、4号機の再稼働に関して、地元同意を巡って、京都府の知事は舞鶴に5キロ圏内に入っているので、自分らも地元ではないかと言って同意権の範囲を国に求めています。これに関して知事のお考えは。
【知事】
権利とかそういうものではなくて、歴史的、あるいは実態的、そして、それぞれの地域の県民といいましょうか、住民の安全と利益をいかに確保するかという中ででき上がってきた、つくられているものですから、それをその実態に応じて福井県としては国に対して申し上げているということです。
【記者】
それに関して京都府の山田知事は、そういう同意というものがあまり法的な枠組みの中にはないので、法的な枠組み、法的なところで明記するようにというところも求めているのですが、それに関してはどうですか。
【知事】
福井県の歴史的な経緯は今言ったような考えです。
【記者】
今回、防災に関して、実態として京都も含めて広域的な避難計画をつくるのに時間がかかったという中で、改めて京都との自治体同士の対話というのがないとなかなかうまく進まないような気がするのですが、これから新幹線の敦賀の延伸なども含めて京都ときちんと対話していく必要があると思うのですが、どうお考えでしょうか。
【知事】
この問題は原子力そのものに対する国民理解ですね。今回、全国でシンポジウムなどいろいろな取組みを繰り返しやらなければ、この問題に対して本当に理解をして、互いに問題に取り組む必要があるので、観念的にいろいろな議論をする場ではないわけです。
我々としては、まず広域はもちろんこれから一つひとつ避難の関係は積み重ねだと思いますし、前から言っていますように、まずは原子炉の安全そのもの、それははっきりしたことであります。それから制圧です。次に、避難ということで、避難は第3層というか、安全対策で言うと4とか5とかいうものの3層、それは一つひとつ積み重ねていく必要があろうかと思います。高浜の場合には、県内での広域避難というと事柄が矛盾するかもしれないけれども、そういうことは既に様々しているわけであります。さらに、より県内でどうするかというのを重ねていろいろやろうと、これも具体化していこうということの中でこの問題は解決するだろうと思います。頭だけでああだこうだという議論をしても抽象的になるし、本当に安全につながらないおそれがありますので、そこはお互いに注意してやっていく必要があるのだろうと思います。
【記者】
それはそうとして、原発は置いておいて、舞鶴も含めた京都府北部と嶺南西部一体のまちづくりというものと…。
【知事】
これは県境という、石川県もそうだし、岐阜県もそうだし、滋賀県、京都それぞれいろいろな鉄道なり道路の方向性が大体出ましたので、互いに観光やブランド、広域誘客、まちづくりも全部協力してやる話だと思います。
【記者】
東京で、「もんじゅ」の新たな運営主体などを議論する有識者の検討委員会の初会合が今日午前から始まりました。これからの議論になるとは思うのですが、この検討委員会に対して、地元として例えばこういう議論を進めてほしいとか、求めていることというのか所感があればお願いします。
【知事】
これは以前から言っていますように文部科学省だけで議論はできないわけで、経済産業省など関係省庁を含めて政府全体で体制を整えてこの問題に立ち向かう必要があると思いますので、それをしっかりやってほしいですし、また、これはどのような議論になるのかしれませんが、地元としてもいろいろな考えを必要に応じて申し述べないといけないと思います。
【記者】
軽減税率の話に戻ってしまうのですけれども、高市総務大臣は地方税収の減収分として3千億円という試算を出しておられるのですが、先ほどの知事のご説明ですと、福井県の地方税収は軽減税率が組み込まれても35億円増えるということでよろしいのでしょうか。
【総務部長】
35億円は増収いたします。これは消費税だけを見て減収分を入れても35億円は増えると。また、交付税のはね返りがございまして、これは県分、市町分を合わせた姿しか今我々としてはお伝えできませんので、責任を持って数字としてお答えできるのは消費税分だけということで申し上げております。
【記者】
軽減税率が導入されない場合の増収分というのはいくらの見込みですか。
【杉本副知事】
県分と市分を合わせて、地方消費税で84億円、交付税で26億円、計110億円。
【記者】
そこから見ると、軽減税率の導入で約70億円ぐらい…。
【杉本副知事】
軽減税率が導入されて地方消費税分で、県分だけだったら7億円ですが、市町分まで入れると、今の84億円からは14億円の減額。交付税のはね返り分が10億円減。
【知事】
後で数字を。
【杉本副知事】
そうですね。よく確認したほうがいいですね。
【記者】
税制改正に関連して、来年度から企業版ふるさと納税が始まることになったのですが、それについて知事のお考えをお聞かせください。
【知事】
福井県が提唱したふるさと納税は個人版といいますか、の所得税、住民税で、企業版ふるさと納税は法人の関係ですので、地方創生を応援する仕組みとして企業版ふるさと納税が導入されることについては、そのこと自体は評価をしたいと思います。
今回の制度については、3大都市圏で交付税の不交付団体に対する寄付は対象にしないということですけれども、福井県はかねがね人口の社会増減の区分によってこの差を設けるという提案ですから、そうするともっと効果がさらにいいかなと思います。一般的に企業版のふるさと納税というのは、どこに寄付をされるかは非常に影響力も大きいし、企業とその地域との関係も大事ですから、十分そういうことを慎重に考慮しながら制度が運用されることが大事だと思います。
【記者】
政府予算案の原発に関して、電源三法交付金等、原子力立地地域への振興策というのは、新年度予算案を見る限りでは総額では増えそうな気配ですけれども、一方でエネルギー構造転換理解促進事業というような、ある程度エネルギー構造を、廃炉を機会に見直していくことも必要という国の方針ともとれるのですが、それに関して福井の将来の姿、原発がいっぱい今あるけれども、その先をどう知事は見据えておられますか。
【知事】
地方振興というときには、そういう交付金レベルの話、それから、いろいろな企業や個人活動によって生じる税収レベルの話、さらにもっと根本にいくと地域全体の利益がどう出るかという話でしょうから、その一番大事な最後のところを押さえないといけないわけです。寄付金をもらうとか、あるいは交付金がいくら足りないとか、そういうかなり部分的な議論はあまりしたくないというのが私の気持ちなのです。ですから、若狭地域が、もちろんエネルギーについて、40年にわたって安全にいろいろな努力している地域であると同時に、昨日丸川大臣もお見えになりましたし、経産大臣にも申し上げておりますが、環境とか地球温暖化対策の拠点的な地域として、産業、それから生活につながるような地域にすることが望ましいかなと思います。その中でいろいろな税金とか、収入が住民の手元に入る、俗っぽく言いますと、金回りが良くなると言いますか、そういう地域にしなければならないと思います。
【記者】
そうすると、これからも原子力というかエネルギーという枠組みの中でいくと、原子力というのは一つあって、そのほかに何か有力なエネルギー源とかそういうのを考えるのではなくて、それよりも地域全体の話として地域が良くなる姿を見通していくのが大事だと。
【知事】
もちろんエネルギーといいますとLNGをどうするかとか、バイオマスをどうするかというのは敦賀などで進めておりますし、あとはエネルギーを使った農林水産業あるいは漁業などがあると思います。様々ですけれども、そういうものを広く含めて抽象的に申し上げたということです。
【記者】
北陸新幹線の敦賀以西ルートについて、与党の検討委員長が小浜市を経由して舞鶴まで行って京都、関空という新しいルートを検討委員会やメディアなどで発信されていますが、このルートについて知事のお考えはどうでしょうか。
【知事】
基本的に若狭ルートの決定が、福井県として重要でして、そういう方向を強く求めたいと思いますし、全般的にルートを決定する際に、福井県としての時間短縮効果がどうだとか、負担がどうだとか、そういうことは念頭に置く必要がありますが、いずれにしてもこれからの議論でしょうから、十分しっかりした議論をしてほしいというのが現状の考えです。
【記者】
舞鶴まで行くと時間がかかり過ぎるというようなご認識ということでしょうか。
【知事】
個別の話はともかく、全体としてどんなルートになるかというのがないと、ここだけを議論してもいけないと、そういうことです。
【記者】
ルート問題について、北陸3県の足並みについて以前ご質問させていただきましたが、いまだに北陸3県で足並みが完全に一致しているとは言えない状況にあると思います。来年から議論が本格化する中で、まず、北陸3県をどのようにしていきたいかということについてお考えがあれば聞かせてください。
【知事】
大体収束するような方向にあるとは思っています。
【石塚副知事】
北陸3県はこれまでも足並みを揃えて、いろいろとこの問題についてはやってまいりました。敦賀以西については、今はまだ国の案といいますか、議論が始まったばかりです。こういう案が出てきて、工事負担金がどうだ、時間がどうだとか、こういうデータが出てくれば議論は活発化していくのではないか。北陸3県も地勢的にも同じようなところがありますから、知事が仰ったように収束していくと思っています。
【記者】
今、個別のルートについて細かくどうこうという段階ではないという趣旨で仰っていましたが、福井県のパンフレットなどを見ると、北陸新幹線の効果として、日本海国土軸の形成や災害時の代替機能など、ルートに関していくつか判断の重要なポイントを挙げていますが、ルートを決める上で知事が一番重視するポイントは何ですか。敦賀から大阪を結ぶ上で、距離なのか、料金なのか、工期なのか、どういったところがルートを判断する上で最も重要だとお考えですか。
【知事】
いろいろな要素がありますから。いずれにしても若狭ルートをしっかり。
【記者】
2つ、3つぐらい何か重要なところ、ポイントを。
【知事】
若狭ルートが重要ですよ。
【記者】
その前提で。
【知事】
その前提で。早くできないといけない。
【記者】
工期ですか。
【知事】
工期と言うか早くできないといけない。それから、福井県にとって便利でないといけませんし。
【記者】
利便性。
【知事】
便利ですね。利便というのか。それで負担があまり福井県として生じない。かなり負担していますから。
【記者】
国の予算案の関係に戻るのですが、当初、概算要求の段階で1,080億円とされていた地方創生関係の予算が、予算案では1千億円になったのですけれども、福井県としてもしっかり地方創生に取り組んでいかなければならない状況で、1千億円になったというこうした国の取組みについてのご感想をお願いします。
【記者】
元々やや金額が少ないという感じはありますから、引き続き地方創生あるいは人口減少に取り組むというようになりますと、地方にもう少しお金がいくような制度にしないと効果は上がらないと基本的には思っています。
【記者】
当初から全体の事業費の中で国が半分、県が半分みたいな形の枠組み自体についても知事はご批判されていたと思うのですが、そこに関してもう一度。
【知事】
批判というのか、昔のふるさと創生の予算は3千億円ぐらいありましたよね。あれよりもさらに強力な、お金を使うための戦略が、より強力といいますか、馬力を入れないといけない戦略ですから、それに金額が少なくて折半しているようではパワーが出ないということはあると思います。どちらかだと思うのですね。大きいのか、ある程度負担をして大きくするのかとかいろいろあると思いますが、今どちらでもない。やや弱いと思います。
――了――
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