知事記者会見の概要(平成16年7月27日(火))
平成16年7月27日(火)
14:05~14:45
県庁 特別会議室
【司会】
時間になりましたので、それでは、福井豪雨による被害者への支援策等に関する知事の臨時記者会見を始めさせていただきます。まず初めに、知事から支援策等について発表を行いますので、よろしくお願いします。
【知事】
それでは、よろしくお願いします。ご苦労さまでございます。
きょう午前中に開催されました、この7月の福井豪雨災害対策合同会議、県議会との合同会議でありますが、今回の豪雨災害の被害状況と、県としての今後早急に取り組むべき事項について、県議会議員の皆さんと率直な意見交換を行いました。
被災以降、私をはじめ、県庁、また各自治体、皆さん力を合わせて人命救助を最優先に、水道、電気等のライフラインの復旧、また、道路や河川の復興作業に全力を挙げて取り組んできているところでありますが、それぞれ被災の現場に足を運び、その状況、また住民の皆さんにいろんなご意見をいただく中で、がれきや汚泥などが住みなれたお住まいに大量に入り込むという水害の厳しさ、悲惨さを目の当たりにしているところでございます。
被災地の皆さんには、汚泥の除去をはじめとする災害復旧作業に大変なご労苦で取り組まれておりますが、家屋の消毒やさまざまな物資の投入など、また、清掃などいろんなことがございますが、今回の災害によりやむなく強いられた出費等、また精神的な負担も大変重いものがあるものでございます。
このため、まず、これら臨時の経費に充てていただくため、全国から寄せられました義援金をもとに、床下に浸水した世帯には一律2万円、それから床上浸水、それから家屋の全壊、半壊、一部損壊、こうした世帯には一律10万円を支給する緊急被災者支援金を創設することについて、先ほど県議会の皆さんとも協議をし、了解が得られましたので、今週中にも行政の立場から私として専決処分を行い、速やかに実施をしてまいりたいと考えております。
次に、被災者の皆さんにとって最も深刻な住宅問題については、その問題を早急に解決しなければ、地域の連帯なりコミュニティーが崩壊するおそれがあり、我が福井の伝統や文化も失われる懸念がございます。
この問題に関しましては、現在、国の制度に被災者生活再建支援法という制度があります。この制度は、住宅などの構造物が損なわれたり、住宅が、物理的に形状が変更してしまっているという要件がございます。支給される場合でございますね。また、ご本人の所得によるいろんな制限といいましょうか、条件というものがございまして、また、住宅そのものをつくり直したり、あるいは補修したりする経費は対象外になっているということがございますので、現実に現在生じている福井の水害などによる災害実態とはうまく即応しない制度になっていると思っております。このため、今後、被災者のいろんな需要に的確にこたえるため、現行制度の弾力的な運用や制度の改正を国に強く求めてまいります。
既に、政府調査団や、被災地をご視察願った各政党の代表等、皆さんにこうした要請を行っておりますし、本日はまた副知事が上京して各政党にもお願いしておりますが、こうした要請を強めていくと同時に、今まさに困難に直面している被災者の皆さんを支援し、地域のコミュニティーをしっかり守っていくというためにも、国の制度改正を待つのではなくて、県として独自に被災者住宅再建補助金を創設することにしなければならないと考えます。
具体的には、全壊した家屋を改築・修復する場合には300万円、半壊、半分以上壊れたような場合、これはいろんな条件判断をしなければなりませんが、半壊家屋を改築・補修する場合には150万円、一部の損壊、あるいは床上浸水家屋を改築・補修する場合については50万円を上限に支給する制度、これは国の制度では対応できない部分でありますが、きめ細やかに支援する県独自の支援制度を創設することにいたしたいと考えております。
このほか、被害を受けた住宅の新築購入、補修に係る費用を金融機関から借り入れた方に対しては、県が一定期間、その利子を補給する被災者住宅再建貸付金利子補給制度の創設に向けまして早急に検討を進めてまいりたいと思います。
また、中小企業支援についても重要でございまして、被害を受けた中小企業が、運転資金、また設備資金を借り入れる際に、県が一定期間、利子補給を行うという新たな制度融資─これは福井豪雨対策特別資金ということになりますが─を創設することにいたします。
さらに、多くの被害を受けておられる鯖江市の河和田地区の越前漆器、また、今立町の越前和紙という産地がございます。こうした伝統工芸品産地は、本県が全国に誇れる地域産業・文化の集積であります。この復興支援は非常に重要でございますし、本県の地域ブランドの創設・創造を進めている福井県、また福井県民の願いということから見ましても大変重要でございますので、今後、具体的な支援策について検討を進めてまいりたいと思います。
こうした支援策については、県議会は9月に定例会があるのでありますが、それを待つことなく、8月に入りまして早い時期に臨時県議会の開催もいたしまして補正予算案を審議していただくということで、きょう、議員各位のご理解が得られましたので、今後これに向け早急に制度の細部を詰めてまいりたいと思いますし、臨時県議会で、いろんな予算など可能なほかの問題についてございますれば、そういうものについても対応ができるかと思います。これは検討の進み具合かと思います。
なお、これら支援策の実施のための財源確保については、29日に国に対して直接私も要請をすることにいたしておりますが、県としても厳しい財政状況のもとで、県民サービスの低下をもたらさないことを前提とし、既に実施しております行財政構造改革プログラムにかかわる取り組みをより一層強力に推進することにより、必要な財源を捻出してまいりたいと考えます。
今後とも、県民の皆さん、そして、きょうご議論いただいた県議会議員各位と力を合わせ、また、多くの皆さんのご支援をいただいているところでございますが、そうした方々のパワーもいただいて、被災地の一刻も早い生活再建に向けまして全力で取り組む決意でございますので、よろしくお願いいたします。
【司会】
以上で発表事項を終わります。質問をお受けいたします。
【記者】
まず知事にお伺いいたします。1週間余りがたって、今回、県のほうでこのような支援策をまとめられたわけですけれども、どういった点に重点を置いて、県としてはこういう支援策を打ち出されたんでしょうか。
【知事】
まず、ちょうど災害が発生して1週間あるいは10日近くになるわけですが、ある程度応急的な対策がほぼ済みつつあるわけでございますが、次の復旧、あるいは生活再建といいますか、こうした時期に、災害のいろんな対策の流れとしてはいくわけでございますが、今、一番大事な、また苦しい時期に、被災を受けた住民の皆さんのご支援といいましょうか、これは長期的にいろんなことがございますけれども、当面の対応と今後の方向を早い段階で明らかにする必要があるということで、先ほど申し上げました、床上あるいは床下浸水、いろんな被害がございますけれども、それぞれの段階において当面の応援を県民全体としてする必要があるだろうということ。もちろんこうした問題はスピードというのが大事でございますので、そうした観点に立って、きょう、また議会の皆さんと早急にお会いして、方向を出させていただいたと、こういうことであります。
【記者】
その1番目の中には、緊急被災者支援金ということで、皆さんから寄せられている義援金、この中には前の宝くじの分も入っているかと思うんですけれども、そうしたものを充てる形で、床下までも含めて一時金という形で給付するということに決めたわけですけど、これはどういった理由から?
【知事】
災害を受けられた方は、それぞれ程度もございますし、また被災された方々のお気持ちもございますが、何といっても義援金、また、例の2億円の宝くじなどのほんとうに温かい多額のお志もあるところでございまして、そうしたお気持ちに一刻も早くお応えして、これが県民の皆さんの心にできるだけ早く具体的に届くということが重要かなというふうに考えまして、こうした制度を、先ほど議会のいろんなご理解も得て決めさせていただいたということであります。
【記者】
あと、幾つかの支援策があるわけですけど、その中で住宅については、国の法律の枠にかからない部分、県独自でということなんですけども、これについて決めたのはどういったところが大きな理由でしょうか。
【知事】
特に国の制度は、主に地震などを想定した制度でございますし、残念ながらいろんな財政的な制約もあって、必ずしも、掲げられた理念といいますか目的のようには、現実には利用できないという欠点があります。
例えば水害の場合のように、構造物が残っておるけれども、実際はそのまま使えないとか、いざ建物を改築しようとか修繕に使おうとすると、それは使えないのであって、家を解体したり、あるいは整地することしか使えないとか、例えば冷蔵庫がどうだとか、室内のいろんな、冷房の機械がどうだとか、畳がどうだ、フローリングがどうだというときに使えないというのでは、これは、国民といいますか県民の気持ちにも沿えませんし、また、被災者を応援しておられる皆さんの、何とかして応援しようというお気持ちにも合わない思いますので、それが具体的に使えるような適用条件、また水準も高くして、実際この制度が有効に利用できるようなことに県独自で進めるべきだなということで、こういう内容になっておりますが。
【記者】
全体の予算額というのはどのぐらいを想定されているんですか。
【政策幹】
先ほど県議会に申し上げたんですけども、緊急被災者支援金については県費対応分で約4億円、それから被災者住宅再建補助金につきましては、これは非常に粗い計算でざくっと言いますと、県負担分が大体20億円ぐらいなのかなと。その他の予算案につきましては、今後、8月の県議会でのご審議に向けて、具体的に詰めてまいりたいというふうに考えております。
【記者】
伝統的工芸品の産地の復興支援なんですけども、まだ具体的なことはこれからということなんですけど、知事としてはどのようなものを、例えばアイデアとしてどうするかということ、お考えというのはあるんでしょうか。
【知事】
企業に対する支援というのはなかなか難しくて、難しいというのは、応援をしなければなりませんが、有効に働くかどうかというのが難しいんです。それで、今、私も直接いろんな聞き取りをやっておりますし、県の中小企業対策の職員をそれぞれ工場なり企業の皆さんのところへ派遣をしまして、いろんな要望といいますか、どういうものがいいのかという考えを聞いておるところでございまして、また、先ほども県議会からもいろいろご意見がありましたが、それを受けて制度を設計したいと、このように思っております。
基本的には、いろんな設備の関係、これについてどのように応援ができるか、また、商品のいろんな販売なりこういう応援、そんなことはどのようにしていけるかと、いろんな方法を考えたいと思いますし、また、昨日でございましたか、経済産業省の近畿の局長にもいろいろご要請をして、具体案をまとめて国としても応援をしていただきたいということを申し上げまして、これは早急に具体化をしないと産地の皆さんが不安ですし、中小企業の皆さんもそのように思っておられると思いますので、そのように努力したいと思っております。
【記者】
一部損壊、床上浸水で適用される50万円なんですけれども、これは、現状で床上浸水と認定、認定といいますか計上されている数字がございますが、県災害本部のほうで。この方々に一律に補助されるという形になるんでしょうか。
【政策幹】
50万円ですか。
【記者】
はい。
【政策幹】
これは、今、例えば4,330という床上浸水の数字がありますけど、この数字は今後どうなるかわかりませんが、一律ではなくて、使った分について補助するということでございます。ただ、できるだけ使い勝手のいいようにという知事からの指示を受けております。
【記者】
つまり、補修にかかった場合で、なおかつ3分の4……。
【政策幹】
家財でもいいと。
【記者】
家財でも?
【政策幹】
はい。補修でも改築でもいいと。
【記者】
よく言うように、基本的に、最初の集計段階の数字と、罹災証明書を市町村で出すだとか、及び国の被災者生活再建支援法で規定される段階、それぞれ内閣府のチェックリストに基づいて認定すると思うんですけども、だんだん適用が少なくなる傾向があるんですけども、今回もやはりそういうふうに、実際に認定する場合だと、かなり人数が絞られていく形になるんでしょうか。
【知事】
先ほども申し上げましたように、ほんとうに条件に合わないものはいけませんけれども、そういうことがないように、基本的に福井県として弾力的に実態に沿った制度のデザインにしたいと考えました。これは県独自の制度でもありますしね。
【記者】
今現在、全半壊と床上浸水の数がでてますけれども、これはもう一度精査するのでしょうか。
【政策幹】
具体的に、国の制度は、全壊、大規模半壊という基準がございますけども、それは市町村と今後相談いたしまして、その辺の調整をやりたいと思うんですけど、ただ、床上浸水の50万というのは国ではなくて県独自の制度でございますので、先ほど知事が申し上げましたように、できるだけ被災者のニーズに沿った弾力的な取り扱いでやりたいと考えております。
【記者】
住宅再建補助金のほうの個人負担が4分の1なんですけども、先ほど県議会の説明で、他県でもそのような事例があるので導入させていただきたいということだったんですけど、そのことについては、理由として、どうして個人負担が必要なのかということをお願いしたいんですが。
【知事】
これは、例えば50万ということになると、実際、ある程度この経費を上回るような事業が行えると思いますので、そうした意味で、本人のご負担というのは若干は必要かなと思っております。
制度の仕組み方なんですが、例えば、50万なら50万だといっても、実際、その方が60万を使っておられれば、その残りの10万というのはご本人のご負担ということになるわけでありますけれども、制度として、県と市町村で4分の3を負担し、残り4分の1が個人の負担だという仕組みで運用が可能なのかなというふうに今現段階では思っておりますけれども。
【記者】
29日に国のほうに要請に行かれるということなんですが、これは、例えば内閣府に対して、今回のいわゆる被災者生活再建支援法に関しての要望もあわせて行う……。
【知事】
当然、この点についても強く要望をいたす予定です。
【記者】
義援金の使い道なんですけども、前回というか、ナホトカのときなんかは、基金を積んだりして対応したりしたと思うんですけれども、今回のように直接というのは何故かというのと、今後また義援金が福井県に対してあると思うんですけども、そういった場合、かなり増えてきた場合は、今後どのように使っていくようなことを考えてられますか。
【知事】
まず、今後の使い方はいろいろ議論がございますけれども、義援金というのは、直接、被災者に応援をしていただく方のお気持ちが届くといいますか、そのことが重要かなと私は思っております。
【政策幹】
ナホトカのときの例を出されたんですけど、今回は、被災者が非常に特定しておりますよね。それから、今後増えた場合の使い道ですけど、これはまた県議会や関係者の方々と十分ご相談して検討してまいりたいと考えております。
【記者】
その支援金なんですけれども、今週中に専決処分をして速やかにということだったんですが、先ほどもあったように、その中には例の宝くじなんかも入っているわけですけども、具体的にいつぐらいから実際に被害に遭われた方のところにこういったお金が来るような形になるんでしょうか。
【政策幹】
市町村のご都合もあると思います。いつでも、市町村がそういう認定を出されたら、市町村と協力してお金を交付しようと思いますので、市町村がそういう体制を整い次第出せるように準備だけは早急にやっておくと。ですから、私どもは、できるだけ早く出せるように市町村とこれから十分協議していきたいと考えています。
【記者】
その際、各市町村にも義援金が行っていると思うんですけれども、市町村と県との義援金とあわせて支給されるという可能性はあるんでしょうか。
【政策幹】
可能性としてはありますけども、そこは市町村のご判断であると考えております。
【記者】
中小企業なんですけども、今のところ、制度融資と今回の利子補給、あと、減免措置ですよね。ただ、今回の水害を機に、廃業だとか、そういう考えに追い込まれるようなところは融資も利用できないと、非常に厳しい経営状況のところがそういう事態に追い込まれると思うんですけれども、これ以外に、今後、中小企業に対する支援策というものが他になにかお考えですか。
【知事】
先ほどお話し申し上げましたように、やはり具体的に支援方法を今検討したいということなんです。つまり、中小企業というのは、業種もいろいろございますし、メーカーといいますか、物をつくられて装置を持って商売をしておられる方と、物事をお売りになっている商店みたいな方もございますし、スケールも、1つの機械が何億円という機械をお持ちの方と、例えば何百万円の機械でご商売になっておられる方といろいろありますので、それをうまく、それぞれにお役に立てるような制度は、どんなふうなことがさらにあり得るかというのを検討したいということです。
【記者】
それといま、県をはじめ各種団体がそれぞれこういう中小企業者の相談窓口とかに入っておりますけれども、実際、受ける側にしてみれば、どこでワンストップサービスをしてくれないかという声も上がっていますが、そういう支援の方法とか、そういうところまではまだお考えじゃないですか。
【知事】
できるだけ、ワンストップサービスといいますか、総合的にどこかで調整ができるようにしたいと思います。かつ、現在は、企業の方は当面のことに追われておられた状況でして、相談を方をされる方もおられますが、あまり心の余裕がないということもございますので、できるだけ、企業に、県といいましょうか、出向くと。直接行ってお伺いをするというふうなことを今逆にしていると、こういうことであります。
【記者】
それと、先ほど伝統的工芸品産地の話がありましたが、検討中ということですが、確実にこれはほかの中小企業と母体もすべて違うわけですよね、そこら辺の特殊性みたいなものをどのように、まあ、並列にほかの中小企業とは同じように語れないと思うんですが、そこら辺の特殊事情といいますか、ならではの事情というものをどのように現時点では把握されておられるんですか。
【知事】
特に、今立の大滝地区を中心とした越前和紙、また河和田地区の漆器などは、企業の規模がそんなに大きくないと。そして、多くの中小の企業を中心に、産地といいましょうか、町並みを形成しておるわけでありますので、かつ福井の何百年にわたる伝統、千年を超えると言ってもよろしいですけれども、そういう伝統の地域でありますので、それが今のままで失われてしまうということになりますと、これは全然また他の一般の企業の問題とは違う性格を持っておりますので、何としてもこうした産地がこの災害を克服して、次の再生といいましょうか、新たな復興に備えられるような応援が必要だろうということで、まず特にここに方向を書いたということなんです。
【記者】
県としても、ほかよりも一番廃業しやすいのは、今でも、やめたと言えばすぐやめれますよね、漆器とか和紙は。そういう意味では、一番の、最緊急に手を差し伸べなあかんところだと思うんですが、そこら辺はどのようなご認識でやっておられるんですか。
【知事】
そういうふうに思っておりまして、できるだけ早く方針を出したいと考えています。今は7月末でございますので、8月の早い時期に臨時県議会を招集させていただくと、こういうことになると思いますから。
【記者】
生活再建支援法なんですけれども、国の制度の課題として、被災住宅のがれきの撤去費用とか、周辺経費に限っていることを挙げていらっしゃって、今回の上乗せ部分に関しては、住宅本体の建築補修費としても使っていいということを挙げていらっしゃるんですけれども、住宅本体の建築補修費にもお金を出すということの意義というのをどう考えていらっしゃるのかということなんですが、まあ、例えば、そちらのほうが住宅再建する意欲をかき立てるとか、いろいろ理由があるかと思うんですけれども。
【知事】
要すれば、水害なかりせば、そういう被害はなかったわけでございますから、生活の基本であります住環境、これを、全部とは言えないかもしれませんが、もとに戻すというより直接的な政策ではないかと考えます。
【記者】
被害がかなり大きかったこともあって、今回いろいろ支援策を出されましたけれども、県費負担もかなり大きいということで、財源部分は先ほど行財政構造改革プログラムなんかで捻出していくというお話もあったんですけれども、例えば去年みたいに交付税とかが減っていくような中で、かなり厳しい状況の中でこういう形になるわけですが、そうした中で、例えば県の事業のもので何らかの見直しとか、そういったことというのは何かあり得るんですか。
【知事】
これから、そういういろんな手段はあり得ると思いますが、そういうことも含めて考えたいと思いますが、まず必要なことを措置してしまうというのが先だと考えましてこういう決定をしておりますが、その財源、あるいは、ある事業を見直してその財源をいかに確保するかということは、具体的な作業として可能だというふうに私は全体として思っておりますので、そういう決定をしたということなんです。
【記者】
細かいところで恐縮なんですが、住宅再建の場合、例えば美山町の一部なんかですと、この機会に転居を考えておられる方もいるみたいなんですね。そういった場合でも、新築で建て替えというこの支援は受けられるんでしょうか。同じところにもう一度建てかえるんじゃなくて、転居してという場合でも有効という理解でいいんでしょうか。
【知事】
場所は同じ場所じゃなくても我々は可能だと思いますが。
【記者】
支援策とは直接関係ないんですけれども、ボランティアなんですけど、連日ボランティアの方が大勢来ていらっしゃるんですが、県外の方もいらっしゃるわけですけれども、県外の方の例えば宿泊先として、県の公共施設とかを開放するおつもりというのはあるのかないのかというのと、もしないのであればその理由を。
【知事】
例えばどんな場所のことをご想定して…。逆にお尋ねして申しわけありませんが。
【記者】
宿泊できるような場所といいますと、例えばサンドームの事務所のほうとか、あと、運動公園の教育センターですか、あそこに宿泊できると思うんですが、ああいうところに泊まっていただいて、例えば被災地へピストン輸送するとか、そういう方法もあると思うんですよ。県外から来た人がどこかホテルに泊まってお金を払ってというのも、非常にかわいそうな感じがするので、その辺、どういうふうなお考えをお持ちか…。
【知事】
もちろん、ボランティアの方々、貴重なお気持ちを持ってきていただいているところでございますので、できるだけ我々としてそれにおこたえしなければなりませんので、今おっしゃられました事柄について、いろいろ努力はしておりますが、再度精査をして、可能な場所を提供するように努力したいと考えます。
【記者】
また支援制度に戻って申しわけないんですが、住宅再建補助金なんですけれども、県費負担とか市町村の負担、かなり大きいと思うんですが、今後もこれは恒久的な制度にしていくという考えがあるのかということなんですが、例えば阪神大震災クラスのものが起きると、とてつもなく負担が大きくなるので、この支給額の水準を維持していくのがなかなか難しいのではないかなと思うんですが、その辺、どうでしょうか。
【知事】
一定のスケールのもとに起こった災害を想定しなければならないと思います。今回のような水害についてはこうした措置が必要だというふうに思っております。また、いろんな条件、国のは10戸以上でしたか、いろんな条件がありますけれども、そうした緩和措置ということも国に要請したいと、このように思っております。
【記者】
一定のスケールというと、被害がという……。
【知事】
そうですね。被災者の数とかね。
【記者】
国のほうでは1つの市町村につき10世帯というようなあれがありますけど……。
【知事】
こういうものについては、その自治体だけでは対応ができないということが基本的な背景にありますから、そういうある程度の条件は必要ですが、しかし、あまり実態にそぐわないようなものであれば、単にその制度があるだけで使えないというのでは意味がないと思います。我々としては、そういうことは今後とも、あまり想定したくはありませんけれども、そういうことがあればそういう対応が要るのではないかと思います。
【記者】
災害ごとに判断していくということですか。
【知事】
今、この制度は具体的に仕組まなければなりませんので、そのときにいろいろ条件を設定したいと考えます。
【記者】
国が、いわゆる実際の住宅の補修とか、あるいは住宅の建てかえにお金を出さない理由として、いわゆる私有財産に関してお金を使う、税金を投入するわけにはいかないという論理が国にはあるみたいなんですけれども、それに関してはどのように対応していくおつもりですか。
【知事】
天災によって基本的な衣食住の環境が損なわれたわけですから、それを、我々、税をいただき、自治体の安全とか安心、生活のナショナルミニマムあるいは豊さというのをいかに支えていこうかというのが我々の仕事でありますので、こういう厳しい事態に備えていろんな対応をするのは当然かと思いますけれども。
【記者】
災害が起こってから間もなく10日ぐらいで、知事も連日いろんなところを視察みたいな形で見に行かれていると思うんですけれども、1週間以上たって、今、復旧状況というんですか、具体的に見て知事はどのように思われますか。
【知事】
まず、美山地区、それから一乗地区について、なお復旧を急がなければならない部分があります。特に美山町については、今、道路について、折立というところですが、最終的に大体道路の確保はできましたけれども、あるいは、あの地区の交通を確保した上で、集落のいろんな復旧、それを進めるということが必要でございましょうし、一乗地区もまだ浄教寺をはじめ残っていると思います。
それから、ライフラインは大体確保できたと思いますが、さらにこれから災害復旧を急がなければなりません。台風シーズンも控えております。それから、今の住宅再建、あるいは企業への支援、それからごみ・汚泥の対策、こういうことが重要だと思いますし、あるいは、長期的な健康や復興の問題などについてもしっかりした対応が要ると思います。何といっても、今申し上げましたような再度の災害に備える必要が重要かと、このように思っておりますが。
【記者】
これまで大きな災害がいろんなところで起きているわけですけれども、そのとき常に何か問題になるのが、実際の支援と被災者がほんとうに求めているものと食い違う点が出てくるということがありますね。知事、先ほどおっしゃっているように、被災者のご希望に沿ってということを繰り返しおっしゃっていて、姿勢はわかるんですけれども、具体的に被災者が何を求めているかというそのニーズの把握を具体的にどのようにとられていくことが必要だというふう考えていますか。
【知事】
これは、行政を行う場合に一般的に絶えず、いつも悩む難しい問題ですし、特に災害の場合はなおさらのこと、緊急を要しますし、切実な問題であります。したがって、私は、事務的にいろいろ考えましたのと同時に、現地に行きまして直接、被害に遭われた方に具体的に、いろんなところで災害の状況等を、何が必要なのかということをお聞きして、いろいろ悩みながら、決定といいましょうか、決断をしたところでございまして、端的に言いますと大変難しい課題でございます。しかし、この方法が、いろいろお聞きし、また県庁の皆さんからもいろいろご判断をといいましょうか、いろんな団体、いろんな方のご意見も聞きましたけれども、こういう方法がいいかなということで、今、やらせていただきたいと思っております。
【記者】
現段階で、農業のほうでも農家の方で被害が甚大なところもかなりあると思うんですが、現時点で農家に対する支援策、具体的な支援策というのはまだ検討されていらっしゃらないんでしょうか。
【知事】
農業については、当面の用水確保、これが一番大事ですし、特に今回は山間部を中心に冠水、あるいは土砂の流入というのがございますので、そういう除去の事業がございます。また、農業による共済制度の調査を、今、JAあるいは関係機関が中心にずっと集落を回っておりますので、保険金の早期の支払い、それから防除対策、病害虫防除ですね、こうしたいろんなことを今進めているという現状です。
それからもう一つ、足羽川の洪水災害調査検討会については、先ほど議会でもご説明しましたけれども、今回、過去に例を見ない洪水が発生しまして、特に市街地で溢水、破堤という状況が生じましたので、今回、平成16年7月福井豪雨足羽川洪水災害調査対策委員会、こういう名称になるかもしれませんが、学識経験者、また国交省の職員に直接参画をしていただいて、今回のそれぞれの洪水発生から被害までの実態把握、また今後の治水対策の方向をこの中で明らかにしていくべきではないかと考えております。
【記者】
今おっしゃった会議はいつごろ設置をされる見通しでいらっしゃいますか。
【知事】
今、復旧を急いでおりますので、その見通しが立てば早々に、大体、人選等々は今、並行的に進めておりますが、そういうことで早く進めたいと思います。
【記者】
今週中にもということではないんですか。
【知事】
今週……。今、復興に全力を注いでおりますので、今週はちょっと無理かもしれないように思いますが。
【記者】
大体何人規模で、いつごろをめどに報告書なり調査結果を出すとか、そういうことは……。
【知事】
先ほど県議会でも、年度内ということを言っておりますが、一方でこういうことがあります。これから足羽川について再度同じような状況が生じたときといいましょうか、ほぼ同じような状況が生じたときに、また災害が起きないようにという、再度の災害防止のための激特事業というのがあります。正確な表現は……。短縮形は激特ですが。つまり、5年間なら5年間で復旧とある程度公共的な事業を含めて、一定の投資量を確保するわけです。5年間で事業を行う、堤防をどうするか、あるいはしゅんせつをどうするか、こうした事業の推進が重要だと思いますので、調査を進めながら、そうした事業を並行的に、今年からやらなあかんだろうなと私は思っておりますので、両建てで検討しながら、進めるべきものは手をつけていくということだと考えます。
【総務部長】
今のは河川激甚災害対策特別緊急事業ですね。
【知事】
そういう名前になります。河川激甚災害対策特別緊急事業ですね。「激」という字と特別の「特」という字で激特事業と通称言っておりますが。また、この制度だけでいいかどうかという問題もありますので、いろんなことを……。
【記者】
関連ですが、知事は、再び同じ災害を起こさないために、足羽川ダムは必要だと考えられますか。
【知事】
これは今、流域委員会に要請してやっておりますが、この検討を急ぎ、方針を出すべきだと考えます。
【記者】
知事ご自身としてはどういうふうにお考えですか。
【知事】
ダムの問題も十分検討の対象になると思います。
【記者】
先ほど知事もおっしゃられたんですが、台風シーズンもひかえていますが、いわゆる2次災害防止のための対策といいますか、市町村が第一義的にやるんでしょうけれども、何かお考えになられていることはございますでしょうか。
【知事】
まず、少なくとも危険箇所を明瞭にする作業が1つある。それから、応急的にともかく行わなければならない事業を急いで進めなければならない。それから、必ずしも十分な本格的な事業ができないこともあり得る。それについては住民の皆さんにそのことをよく理解してもらって、いざというときに避難なりそういうことが緊急にできるような措置が要りますし、また、全般的にいざというときの情報、今回のいろんな教訓もございますので、地域の皆さんに情報がよく行くように、あるいは当面の防除対策といいますか、そういうことを強化するという方法で行うべきかと思いますが。
【記者】
避難勧告の面とかを見ても、今回、住民のところに十分情報が行き渡っていたかという点もあると思うんですけれども、台風シーズンとか、近々2次災害のおそれみたいなのもあると思うんですけれども、緊急にやらなくちゃいけないものとして、情報系とか、こういったすぐできる対策というのはありますか。
【知事】
まず、直接的な情報が行き渡るような方法、これをやらんといけませんし、ITとかいろんなことがあるんですが、それはすぐに間に合わない部分もありましょうし、いざというときに有効なときと有効でないときといろいろありますので、まずは着実に早く伝わる、そういうやり方を実行できないと意味がありませんので、そういうことを、市町村が中心でありますが、県も一緒になってそれぞれの現場で考えていくということだと思っておりますが。
【政策幹】
先ほど転居という話が出ましたけど、基本的には地域コミュニティーの崩壊を防ぐという観点から、どこまでの転居がいいのかどうか、幅広くいろんな方々の意見、ニーズを踏まえて、十分検討していきたいと考えております。
【司会】
ほか、ございませんか。ないようでしたら、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
アンケート
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