知事記者会見の概要(平成16年8月9日(月))

最終更新日 2008年3月11日ページID 002806

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平成16年8月9日(月)
10:35~11:25
県庁 特別会議室

記者会見

 


 

【司会】

  おはようございます。それでは、平成16年度8月の補正予算案に係ります臨時記者会見を始めさせていただきます。初めに、8月の補正予算の概要につきまして、知事のほうから発表をお願いします。

【知事】

  それでは、平成16年度8月の補正予算案の概要につきまして、ご説明を申し上げます。

  今回の8月補正でありますが、7月18日の福井豪雨から、我々としては一日も早い復旧・復興を目指したいと。そこで、緊急に実施すべき対策につきまして、予算措置を行うものでございます。今回の災害につきましては、これまで、県庁全体といたしましても、また、私自身も被災各地に幾度となく足を運びまして、いろいろな状況をお聞きしてまいったところでありますが、一日も早く被害を受けられた方々が、もとどおりの生活、また、生産活動ができ、元気を取り戻すことができるよう、県といたしましてできる限り対策を大胆かつ迅速に実施する必要が何としてもあるものであります。このため、今回の補正予算では、被害を受けられました皆さんの立場に立った本県独自の災害対策を含め、緊急に措置するとともに、いろいろな施策を早期に実施し、目に見える形で復旧・復興を実現することを目指すものであります。

  お手元に資料1ということで、平成16年度の8月補正予算、7月福井豪雨災害対策の概要(財務企画課のホームページを参照ください(資料2についても同じ))ということで、いろんな計数、それから事業の説明なども書いてございますけれども、一つは、まず、被害を受けられた方々の生活あるいは住宅支援を早急に行うということで、一部議会のご承認を願って専決処分しているものが含まれております。

  それから、もう一つは、産業の再生という問題がございまして、この中には、産業全般の中小企業あるいは農林水産業の復旧対策、特にその中で、漆器や和紙、いわゆる産地、伝統産業の復旧・復興がございます。こうした地域は、特に生活と生産、また地域とが一体的に結びついておりますし、生産基盤も弱い企業が多いということで、そういう産地対策がその産業の再生の中には含まれます。

  それから、3点目は、社会基盤の早期復旧ということで、公共的な施設、土木関係あるいは農林関係のいろんな施設が中心でございますが、そうした復旧、また、文化財などの復旧なども入っております。

  それから、4点目は、再度災害の防止、二次災害の防止ということでございます。これには当面の復旧対策も含まれておりますが、次の対策につながるためのいろんな調査費なども入っております。

  それから、5点目でございますが、これは事柄としては最初にあるものでございますが、発災直後の応急対策に要した費用に対する予算としてございまして、救助活動等の実施・支援ということになるものでありまして、この1ページに書いてございますような、こういう資料の、基本的に被災者の立場に立った本県独自の災害対策を緊急に行う。また、早期実施により、目に見える形で復興実現ということで、5つの柱になっております。

  では、主な事業の内容について、ご説明を申し上げるものでございますが、事業費ベースで見た対策費は、生活住宅支援で83億、対策費ベースでございますが、産業の復興・再生で133億、社会基盤の早期復旧ということで269億、それから、救助活動等の実施で5億円、総額で583億ということで、600億近い対策であります。これらの事業に要する補正予算の額は、この欄で申し上げますと右側の予算額というところに書いてございますが、総額で421億円でありまして、このなかには7月28日に先ほど申し上げました議会の承認を得ました7億円の専決処分がこの中に入っておるものであります。

  それで、421億円の予算のうち、資料の2の中に予算の概要ということで計数が入っておるわけでありますが、資料2の1ページの補正予算の財源内訳というところが真ん中の欄にございますが、これは財源の内訳が書いてございますけれども、この421億円の事業のうち、国庫補助負担金が約6割ありまして、これが259億ございます。

  それから、今6割という話をしましたが、残り2割は地方債でありまして93億円、そして、これから、その償還を後年度行うわけでありますが、大部分が後年度地方交付税で災害ということで措置される特別の地方債ということになるものであります。

  これらの結果、一般財源ですね、地方税などの使用額は13億円であります。先ほどの7月の専決処分分として4億円がこの中に入るものでございまして、本県財政に与える影響を全体として最小限にとどめながら、有効な復旧・復興対策を行うという考えに基づいております。

  以上のコメントにつきましては、この資料1の、今ほど申し上げました総括表の下のコメント、予算の財源についてということで、少し字が小そうございますが、書いてあるものであります。

  なお、今後、国の激甚災、これは今、新潟、福島、福井県3県で、いわゆる本激ということですが、全国の統一規模での激甚災害の指定に向けて努力しており、そういう見通しも国において災害対策特別委員会で答弁がなされておりますが、激甚災害に指定されれば、さらに補助率のかさ上げが行われる見込みでございますので、先ほどの国庫補助金の額が増えるということになります。

  この資料の2ページ以降は、今回の補正予算の主な事業を重点課題別に整理いたしたものであります。

  まず、被害を受けた方々の生活住宅支援でございますが、生活再建のための緊急支援でありますが、被災された方々は大変なご苦労をされ、住宅のいろんな汚泥の処理、あるいは災害復旧に鋭意取り組んでこられたわけでございますが、家屋の消毒、さまざまな物資の購入など、今回の災害によりやむなく出費を強いられておりますし、精神的な負担も大変重いものがございます。このため、臨時の出費に充てていただくため、全国から寄せられました義援金をもとに、床下浸水のご家庭には一律2万円、全壊、半壊、一部損壊、床上浸水、いわゆる床上浸水以上のご家庭には一律10万円を支給する緊急被災者支援金を創設することといたしたところでございまして、既にこの点についてはご説明をいたしておりますが、できる限り早くお手元に届くように、7月28日付で7億円の補正予算を専決処分したものであります。既に一部の市町村で、この支援金をお受け願っている手続が始まっておりますが、他の市町村でも、今後8月中旬ごろまでには各被災者に支給される見通しとなっております。これは2ページの一番最初に書いてある緊急被災者支援金であります。

  また、被害を受けられた方々が、生活資金や住宅資金としてもともと弔慰金制度という法律がございまして、その中で市町村の災害援護資金、あるいは比較的収入の低い方に対する社会福祉協議会の生活福祉資金、また、母子・寡婦ご家庭の福祉資金の制度があるものでありますが、これは2ページの、一般的な制度が上から2つ目と3つ目、あと、生活福祉資金、母子福祉資金がその次に書いてございますが、これはそれぞれ利子があるのであります。利息の負担というのがあるのでありますが、これを負担がゼロになるように、緊急の融資制度を創設するものでございます。

  なお、資料の一番最後に「7月福井豪雨災害緊急支援融資制度」と書いてございますが、この中で、事業名のところに網かけをしたものは制度として全く新しいものでございまして、右側は白くなっておりますが、実際は網をかけたほうがよろしいんですが、ちょっと見にくいかと思いまして。全体が新しい制度であります。

  今申し上げましたのは、この上の欄の3つの事業ですね。これは、制度はあるけれども、真ん中あたりに実質貸付金利が0%などになっておりますし、所得制限をなくすとかいろんなことが書いてございますが、こうした制度を現行のある制度に導入して、有効な利用ができるようにということで、今ご説明をしているものが2ページの中ほどの制度でございます。

  次に、3ページに参りますが、さらに今回の災害を受けられた学校の生徒・学生を対象に、県立学校、県立大学の授業料を減免するとともに、私立学校についても県立学校と同様に、授業料を減免した場合に県が補助を行う制度であります。

  また、地方税、県税でございます自動車税、自動車取得税、個人事業税、不動産取得税について、特例として税の減免、納税の猶予、期限の延長等を行うとともに、運転免許証をなくされたような場合もございますけれども、再交付手数料等の申請手数料等を全額免除するものでございます。いろいろな要件がそこに書いてございますが、そうしたいわゆる歳入面での特例を設けるものでございます。

  次に、4ページに参りますけれども、住宅再建の支援であります。

被害を受けられた方々にとって最も深刻なのは住宅問題でありまして、これを早急に解決しなければ、生活の基盤、また地域連帯、コミュニティが崩壊するおそれがございます。我が福井の伝統や文化もこれによって大きな影響も受けるわけでございますが、この問題に関しましては7月27日の記者会見でもご説明をいたしたところでございますが、国の被災者生活再建支援法がせっかくできておるわけでございますけれども、この国の制度は、住宅の建設あるいは補修は残念ながら対象の外でありまして、使えないということで、多くの課題があるわけでございます。

  県ではこれまで、国に対していろんな機会をとらえまして制度改善を強く求めてきているところでございます。その結果、今回、国は住宅に土砂が流入して取り除けない場合、あるいは耐えがたいいろんな土砂の状況のためやむを得ず家屋を解体する場合には全壊にするという、こういう扱いを示すなど、制度の弾力的な運用については一定の前進が見られておるものであります。

  これは、先ほどの資料の15ページをごらんいただきたいと思いますが、今、この表を見ますと、白い囲った部分が対象外ということで、これをぜひ少しでも対象にしてもらいたいということがこの問題点と一緒に書いてありますが、今回、弾力的な運用ということで、従来は右のほうにあったものを全壊として少しでも見れるようにという、そういう運用ですが、しかし、全体から見ますとごくわずかな改善でございまして、我々が思っているような内容とはまだかけ離れている状況でございます。

  したがって、この問題につきましては、福井県が、同じく水害に見舞われた新潟県、福島県に働きかけました結果、今月18日に新潟市で全国知事会が行われるものでありますが、そこで緊急提言としてこの問題を取り上げる予定であります。

  いずれにいたしましても、県といたしましては国の制度改正を待つことなく、今まさに困難に直面している被災者の皆様の支援、またコミュニティの維持ということで、県議会ともお諮りした上で、国の制度では対応できない部分についてきめ細やかに支援する県独自の住宅再建支援制度を創設したものでございまして、これが4ページの中ほどに書いておるものでございまして、なお、制度の詳しい中身は16ページに書いてございますので、ごらんをいただければと思います。

  なお、住宅再建に向けて、こうした支援金のほかに融資が必要となる方々につきましては、住宅金融公庫等の借入金の利子がゼロとなるような緊急の無利子制度を創設しているものでございまして、これが4ページの一番下にございます被災者住宅再建資金無利子貸付事業でございます。先ほどの一番最後にあります、この資料で申し上げますと上から3つ目の事業ということになります。

  次に、5ページでございますが、応急仮設住宅につきましては、今日の昼、蔵作地区で最初に入居をしていただくことになりますが、以下、お盆前に順次、それぞれの地区について仮設住宅のご利用ができるというふうに思うものであります。

  それから、5ページの(3)でありますが、心の元気回復ということで、これはいろんな精神面あるいは健康面での対策が必要ということでございます。今回のような大規模な災害では、被害を受けた方々には不安とかストレスなど、いろんな、また、生活全体の悩みというのが出てくるものでございまして、お子さんたちから高齢者の皆さんまで、きめ細やかなケアが重要であります。

  このため、今回の豪雨による問題について、災害に負けることなく元気を取り戻していただくことを応援するため、専門医等による心の巡回診療を行うとともに、特に被災の大きかった地区の小・中学校の生徒・児童を対象にスクールカウンセラーを派遣し、児童・生徒の不安やいろんな問題の解消を図りたいと、このように思っておりますのが、この5ページの心の元気回復応援事業、また回復応援事業、2つございますが、こうした事業であります。

  次に、産業の再生でありますが、中小企業の復興支援であります。

  今回、多くの事業者が製造設備や店舗に被害を受け、経営に困難をきたしている状況でありますが、例えば製造業では、モーターが主に浸水により取りかえが必要である、あるいは機械の中に泥が入ってなかなか洗浄が進まない、いろんな被害を受けておられますし、小売店では店舗の改装、あるいは商品が水につかって使えないとか、いろんな問題があるわけでございますが、こうしたことを直接お聞きすると同時に、経済関係団体からもさまざまなご要請を受け、早急にこうした対策を講ずる必要があるだろうと考えたところであります。

  また、今回8月6日には、県議会におかれては産業常任委員会を早速開かれまして、議員の皆さんからは、中小企業の再生のためには思い切った融資制度、カンフル剤が必要だなという、大胆な金融支援を求める声が強く寄せられたものでございます。

  こうしたことを踏まえまして、県といたしましては、被災直後で経営の安定に支障をきたしておられる中小企業に対する緊急の無利子融資制度、これは6ページにございますけども、中小企業支援緊急資金無利子貸付事業を新たに創設をして、経営再建に必要な事業資金を迅速かつ十分に融通するというものでございます。

  この制度は、被災中小企業者の返済負担を軽減するため、最初の5年間は県が全額無利子の利子補給ということで、いわゆる貸付金を5年間無利子化してしまうものでございます。そして、残り5年間につきましても、今、金利が上昇する局面にあるのでありますが、金融機関と協議した結果、ご協力を得て、1.3%という低利の固定金利を6年以降10年まで固定金利化するということにいたしまして、なお、貸付期間全体について全額県が保証料の負担をするという、こういう制度にいたしております。これも、先ほどの横長の資料の下の欄の上から2番目ですか、この制度であります。制度全体を創設したものでございまして、貸付限度額は1億円、特認として最大2億円ということで、被災の状況を勘案して、そういうことにいたしました。8,000万円までは無担保でありまして、全体の貸付枠も100億円ということでございまして、災害時の緊急融資としては最大規模のものであります。

  さらに、中小企業の返済の軽減のため、貸付期間も10年以内ということでございまして、これまでの緊急融資制度の2倍にいたしておりまして、こうした一連の措置により、全国で最も手厚い災害の融資制度になっていると、このように思います。

  なお、経営の安定に支障をきたしている中小企業者の当面の返済の軽減を図るため、非常に使いやすい資金としてマル経資金というのがございますが、これは横長のページで申し上げますと、下の欄の上から3つ目、小規模事業者緊急資金無利子貸付事業、この制度は、斜線が入っておりませんが、貸付金利をゼロにする、こういう便利な資金の無利子化ということを図っておるわけでございまして、中小企業、特に小規模の事業者には非常に使いやすい制度だというふうに思います。都道府県で初めて、こうしたものについて無利子にいたしました。対象となる貸付額は12億円を予定いたしているものでございます。

  このほか、既存の県制度の融資、既に借り入れているお金、これについても1年間返済猶予をするということで、これは先ほどのページの下の欄の一番上に書いてあるものであります。

  なお、6ページの下にもございますが、特別相談窓口あるいは巡回相談の予算も計上しているところでございます。

  なお、資料には書いてございませんが、側面的な、県の調整的な支援としては、損害保険会社に対して、査定の迅速化、弾力運用、こうしたことについて、7月29日に、県内に拠点がある損保会社等、共済組合に要請をしたところでございますし、この8月4日には、県内各金融機関、経済団体からなる金融機関支援連絡会議を開催いたしまして、もちろん県の金融支援制度もあるんですが、それぞれ政府系金融機関あるいは民間金融機関がまとまって応援をしなければ、なかなか解決できない。2けた以上の億円のオーダーの企業などもありますので、今後、個別的にもまた力を合わせてそうした問題にも取り組まなければならないと、このように思っております。

  次に、産業関係でもう一つの柱は伝統産業でありますが、今回の災害で、特に鯖江市の河和田の越前漆器、今立の越前和紙という伝統産業が大きな被害を受けました。まだ被害額は十分確定していない部分がございますが、越前漆器では約8億円を超えますし、越前和紙も3億円前後の被害額になるんじゃないかと思いますが、これらの産地は長い1000年以上の歴史を持つ伝統産業でございまして、零細企業も多く、今回の被災を機に廃業が危惧されると、こういうことではいけないわけでございます。地域を何としても守りたい、また福井のブランドを残していかなければならないということで、早期に産地の活力が戻りますように、これも全国では例がないんですが、強力な支援策を実施することにいたしました。

  具体的には、7ページに書いてございますが、全国で初めて、被災企業が早期に操業を再開できるよう生産設備等の更新・修繕に要する経費の一部を助成するということで、3分の2の補助を行うことにいたしておりまして、これは、漆器組合、和紙組合を通じて応援をすることにいたしたいと思いますし、また、越前漆器については、販路先、有望企業に対する販売促進活動、あるいは見本市への出展、県内小学校の漆器の利用、こういう需要拡大についての応援を7,000万円、それから越前和紙については、組合が行う原材料、楮、三椏等を共同購入する費用の一部を助成ということで3,000万円、こうした応援を行いたいと思います。なお、これについては、この横長の紙には入っておりませんので、ここで見ていただきたいと思います。

  以上の伝統工芸品の再生支援策は、平成17年度も一部事業をしなければならないと思いますが、総額で2億5,000万円程度の規模になるというふうに思っておりまして、なお、これらの事業に要する経費については、国に適用を要望してきました電源三法交付金の使用の弾力化により有効に使いたいと、このように考えます。

  それから、もう一つの問題であります農林・農業・農村の産業の支援でありますが、これは7ページの後段以降に書いてございますけれども、今回の豪雨で、水稲、大豆等で2,600ヘクタール以上が冠水あるいは土砂の流入を受けました。また、農業用水路や農山村下水道あるいは上水道に大きな被害が出ておるところでございますし、一部、池田町を中心に、淡水魚、アユ、アマゴなどの養殖水槽あるいは施設などにも土砂流入ということで被害を受けておるものでございまして、こうした事業についての無利子融資制度を創設するものでございます。これについては、横長の下の欄の下3つでありますが、2つは新しい制度の導入、もう一つは既存の事業、農業が主たる所得である農業者に対する制度があるんですが、これについては無利子化するということであります。

 また、美山町を中心に、被災地の認定農業者、これは何十ヘクタールという地域全体の農地の請負等をやっておられる農家が何軒かありますけれども、機械等が修繕不能、また、圃場も土砂流入ということで、地域の農業全体の運営ができないということであります。こうした条件の悪い地区については、他の認定農業者も地域にいらっしゃらないということで、地域農業そのものが崩壊する問題がございますので、そのため、地域の農業協同組合等が被災認定農業者に対し農業機械等をリースする場合に、その購入費の一部を助成するものでございます。これが、7ページの下のほうに書いてあるものでございます。これは、この表には載っておりません。

  それから、特に、「華越前」が8月中旬、「コシヒカリ」が9月上旬に刈り取りの時期になるわけでございますが、福井市の浄教寺町をはじめ、被災の大きいところは刈り取り作業ができない集落が幾つかございますので、これらの地区にコンバインやいろんな機械を搬送して助け合うという、そういうための調達経費の応援が8ページの上の120万でありまして、「華越前」「コシヒカリ」刈り取り応援事業であります。

  なお、今回、ボランティアの皆さん、これまでのボランティアといいますと、住宅の泥をよけられたり、あるいは道路のごみを処理されるということでありましたが、農業・農地そのものの復旧、あるいは水路の確保などのボランティアにつきましても新たに始まったということでありますが、そうした新しい形のボランティアの皆さんの応援も受けながら、こうした刈り取りにつきましても、また、それにさかのぼる用水の確保などにつきましても対応していると、こういうことであります。

  次に、9ページ以降は、これはいわゆる伝統的な事業でございますが、社会基盤の早期の復旧でございます。今回の豪雨で被害を受けた土木施設は、河川が263カ所、道路が181カ所、砂防施設については173カ所、港湾については2カ所ということで、今回、所要の災害復旧事業を計上いたしました。また、道路について、土砂の除去を行うという道路復旧環境整備事業、これは247カ所で実施をいたすものでございます。それぞれ9ページに項目ごとに書いてございます。

  それから、同じく9ページでございますが、農林施設につきましては、農地が1,301カ所、農業用施設が1,049カ所で復旧事業を実施します。また、林道については515カ所で復旧事業を実施いたしますほか、集落や公共施設周辺の林道の小規模災害の復旧事業を実施する市町村を支援する、このようなことも考えております。

また、治山ダム等の治山施設については19カ所で復旧事業を実施するとともに、農業共同施設についても8カ所で復旧事業を行うものでございまして、その状況は9ページから10ページにわたって、それぞれの項目について記述をいたしておりますが、特に、農山村の集落排水事業、いわゆる下水道事業でありますが、これは生活に直結する重要な生活基盤であるにもかかわらず、事業が比較的新しいものですから、激甚法による国庫補助率のかさ上げ、激甚法が適用になりましても、10%のかさ上げ措置が今のところないのであります。そこで、国に要請をする一方、県独自で10%のかさ上げ措置を実施したいということで、これは9ページの一番下のほうに書いてあるものです。

  次に、文化財、文化・福祉関係施設の復旧でありますが、これは10ページであります。 

今回の1つ大きなテーマとして、朝倉氏遺跡の文化財の被害がございましたが、この地域は国の地域再生計画の認定を受けまして、本県の新しい観光スポットとして積極的にPRしようとした矢先の被害でございました。遺跡の保護はもとより、来訪者がこれまでどおり見学できるよう、専門家の協力も既に得ておるところでございますが、早期に整備を行う必要がございます。10ページの項目が2つ、2,000万あるいは6,900万ということで書いてございます。

  さらに、被害を受けました福祉関係施設につきましても、関係の所要額を計上いたしております。

  また、若者就業支援センター、ジョブカフェにつきましては、福井商工会議所ビルが被災したため、7月23日から放送会館ビル3階に仮事務所を構えてございましたが、8月中旬には会議所ビルも復旧するだろうということで、ジョブカフェにつきましても、施設復旧の予算を計上いたしているものでございます。

  11ページが再度災害の防止ということでございます。4つ目の項目でありますが、再度の災害を防止する観点から、新しく砂防堰堤工事、擁壁工事、法面工事、治山ダムの工事等の実施に必要な所要額を新たに計上しておりますし、山腹といいますか、山の壁面が崩壊した等の地域については緊急の対策工事を実施するものでございます。これが11ページ以降に、それぞれ箇所ごとに書いてあるものでございます。

  なお、11ページの下の欄でありますが、これからの問題がございます。災害対策の緊急調査等であります。足羽川につきましては、学識経験者で構成する足羽川洪水対策検討会を8月4日、第1回の検討会を開催しておりますが、今後、洪水発生から水害に至る各局面についての実態を把握するとともに、今後の足羽川全体の治水対策の方向性を検討し、洪水被害の再発防止に備えるということで予算を計上しております。これが100万円であります。

  それからもう一つは、今回、福井、美山、大野、鯖江、武生、今立、池田を中心に多数の山腹崩壊、あるいは中山間地域における土石流が発生をいたしました。このため、緊急的な対策工事の実施を行う必要がありますが、それに引き続きまして、より広域的な範囲で、治山事業と砂防事業との緊密な連携による計画的な対策工事を進める必要がございます。いわゆる治山・砂防激特事業です。足羽川にもそういう激特事業を今、予定しておりますが、こういう山の地域についても激甚災害対策特別緊急事業の採択に向けて、緊急に調査をする必要がございますので、7,600万円の予算を計上しております。

  なお、足羽川については、既にこうした計画の間でございましたので、いろんな調査がございますので、今回は、そうした直接の予算は計上いたしていないものであります。

  こうしたデータを参考にしながら、より基本的な問題として、災害に強い農山村づくりを進める必要がございますので、山間集落豪雨対策検討事業ということで、一番下の項目に書いてございますけれども、専門家、有識者で組織する検討委員会を設置いたしまして、農山村における被害の発生状況とその要因、また、渓流や山腹面の危険性の分析検討を行って、今後の農山村の整備方法、豪雨災害を防止するための事業の実施方法について具体的な提言をいただくことにいたしたいと思っております。

  最後に、救助活動等の実施・支援でございまして、これは応急的な最初の事業でございますので、事業は、ほとんど実施したものが多うございます。救急救助活動費、ボランティア活動への支援、あるいは感染症予防対策、水防資材の購入などがあるものです。 特に今回の災害では、ロシアタンカー流出事故が平成9年にございましたが、この義援金をもとに設置しましたボランティア基金がございますけれども、これを初めて取り崩しまして、災害ボランティア活動拠点の設置、必要な資機材の調達に対し支援を行っているものでございます。これによりまして、発災直後からボランティアの積極的な活動ができたものと思っております。

  以上が今回の補正に計上した主要施策でございます。

  資料2に、より実務的な表現になっておりますが、予算の概要が書いてあるものでございまして、上の予算規模、平成16年度予算、既決予算ですね、一般会計が5,010億、以下書いてございますが、その次、2番目の欄でございますが、8月の今回の補正予算であります。一般会計が410億8,400万円余り、また、特別会計が3億6,400万円余り、合計414億4,900万円余となっております。

  なお、県といたしましては、今回の補正予算を契機に、国に対し、激甚災害の早期指定を一層強く求めますとともに、今後必要となる災害対策関係経費の精査を行い、9月の通常の議会での補正の計上を検討しなければならないと考えております。今後は、今回盛り込まれた施策を、あす、臨時県議会でございますが、ご説明し、速やかに実行に移すことによって、県民の皆さんと一丸となって、一日も早い復興を目指し、全力で取り組んでいく決意でございますので、よろしくお願いいたします。

【司会】

  以上で発表は終わります。ただいまから質問をお受けいたします。

【記者】

  今回、全国で初めてとか、枠の拡大でも極めて大きいというので、大胆というか、思い切ったという側面が目立つのと、それから、豪雨があってから3週間ということで、新潟なんか、それより先にあったわけですけれども、まだ具体的な予算というのは出てきていない中で、こういう思い切った策、しかも早く踏み切った、このあたりの要因ということを改めてご説明いただきたいのと、当面の対策というのは、この予算も含めてかなり進んできていると思うのですけれども、聞くにはまだちょっと早いかもしれませんけれども、災害対策本部を当面いつごろまで置くのか、その2点、お伺いしたいと思います。

【知事】

  今回、迅速といいましょうか、それから思い切った措置ということにつきましては、今回の災害が福井県にとっては未曾有の災害であったと。特に、地域全体に大きな影響を与えました。それから、産業についても、これまでにない被害でございますので、何としても、県民の皆さん、あるいは産業関係の皆さんが、県全体で応援をし、復旧するんだという意気込み、そして、政策が見えるようにしなければ、復旧の元気も出ませんしスピードも上がらないと思います。

  そうしたことで、できるだけ早く、わかりやすい形でいろんな対策を講ずることによって今ちょうど景気の状況も上向きつつありますので、こうした大事な時期でありますから、県民全体が早い復旧が図れるように、今回、予算をご承認願って、出費があるのでありますが、これがかえって将来的には、福井県のいろんな産業や我々の財政にとってよい方向に向くといいますか、そういうことにつながるんじゃないかと考えまして、そうした迅速、また大規模といいますか、大胆な方法で物事を進めたいと思ったのでありまして、あわせて国のいろんな制度、これがなかなか思うように改善が進まないということがございますので、むしろそれを促すといいますか、そういう思いもございます。

  法律に載っておるのですぐに改正できないとか、そういう声が多少聞こえるんですが、法律をいろいろ変えるのが国会や国の仕事でございまして、最近では多くの法律が出ておりますが、まさにそのことはともかく、今ある法律あるいは制度で不都合なものがはっきりしているわけですから、それをいろんな財政状況を見ながら直していくというのがまた国の役割ではないかと思いますので、そうしたことを考えました。

  なお、災害対策本部の問題でありますが、大体、自衛隊の皆さんも17日間の作業を終えられて撤収をされ、ボランティアの皆さんも一生懸命頑張っておられまして、なお今後ともいろんな活動をしていただくことだろうと思います。

  それから、仮設住宅が、今日、最初にできるということで、また大分落ちついてはきていると思いますので、どちらかというとこれからは災害対策本部というよりも復旧・復興対策といいますか、本部という名前はともかく、そういう方向でそうした議論を進める必要があるのかなというふうに思いますが、今の段階でどうだということを申し上げるのは、大体一応の、第一段階のめどはこれでついているのかなと思いますので、局面はそういう方向に来ているかなと思います。

  これから国へのいろんな要請、今回の予算をご承認いただいて、これを速やかに実行する。また、いろんな調査も進めていく。何としても大事なことは、この災害の事業のほかに通常のいろんな業務がございますので、そうしたものが停滞することなく進めなければなりませんので、そうした努力をしたいと、このように思います。

【記者】

  18日に新潟市の全国知事会で予定されている緊急提言なんですけど、主にどういうことを提言される予定ですか。

【知事】

  大体項目としては、まだ協議中のものもございますが、概略を申し上げますと、1つは被災者の住宅再建支援制度です。これについては、住宅本体の建設とか補修を支給対象とするなど制度の拡充です。被害の実態に合った十分な対応ができるような弾力的な運用というのが項目として1つあると思います。

  それから、激甚災害の早期適用です。これは3県共通ですし、制度全体の運用としても共通の事柄でありますし、災害復旧事業を早期に採択、一般の事業、それぞれ国庫補助金の決定、これを急いでほしいということがあると思います。

  それから、災害予防全体の問題としては、今回、記録的な短時間の集中豪雨というのが各地域の特色といいますか被害の実態でございますので、観測体制、予報体制の充実・強化です。

  それから、避難勧告などの伝達の迅速かつ確実に行える方策、あるいは、高齢者、障害者のいわゆる災害弱者と言われる皆さんの避難体制の整備です。これは国全体でもいろいろ考えていただく必要があると思います。

  さらには、堤防、砂防施設の点検・整備です。総合的な治水、土砂災害対策、こうしたものを、国といいますか、国全体として強力に検討してもらう必要があるだろうと、こういうことでございます。

【記者】

  直接今の支援策とちょっとお話がずれてしまうかもしれませんが、先ほど知事がおっしゃったように、今回の豪雨によって、これからは通常の業務があるので、これを停滞することなく進めていかなければならないとおっしゃっていましたね。さまざまな大事な県政の課題というのがまた若干おくれぎみのことも出てきているんですけど、例えば、国民保護計画であるとか、あとは原子力政策の拠点化計画の話、それといわゆるリンクすると思うんですが、「もんじゅ」の判断の話、そういったさまざまな課題があると思うんですけれども、特に今申し上げた3点について、それぞれどのような考えで今後進めていかれるつもりか、聞かせていただけますか。

【知事】

  いろんなテーマを一緒におっしゃいましたが、そうした項目、特に国民保護法制につきましては、今回、早目に検討し提言をしたいということですが、大体その次の対応を、今、できるだけ早く、ちょっと、二、三週間、作業が停滞しておりますけれども、そういう作業に早く着手したいと思いますし、また、原子力の問題につきましても、拠点化計画を進めなければなりません。「もんじゅ」の問題はまたそれ自体として1つの項目ですので、きょうはその話を申し上げる場ではございませんし、またいろんな判断が必要だと思っています。

  そのほか、産業、景気対策をはじめ、いろんな課題がございますし、マニフェストあるいはその他の事業で予定している本来の事業もございますので、この災害対策をしっかり進めながら、そうした事業も並行的に進めたいと思っておりますが。

【司会】

  ほか、ございませんかね。今回の支援策関係で、ございませんか。

【記者】

  この支援をいろんなところに目配りされていると思うんですけれども、特に越前漆器と越前和紙、知事自身がご覧になってますけれど、すごく思い入れがあるような内容になっているかと思うんですけれども、そのあたり、ご自身の目でごらんになって、どんなことをお感じになられて、何が必要かというふうにお感じになったかあらためて教えていただきたいんですが。

【知事】

  やっぱり伝統産業ですから、長い、これは1,000年以上に及ぶ歴史がございますし、こうした福井の顔とも言うべき産業を、日本のためにも守らなければいけませんし、地域の皆さんのためにも守らなければなりません。

特に企業の規模が小さい方が多いですし、それぞれ互いに地域で関連しながら仕事をしておられますから、どこかが不都合があると産地全体がだめになりますし、産地がだめになるということは、その町全体がだめになってしまうということですから、これは、通常の企業対策といいますか、災害対策とは別の観点を加える必要があるだろうと、このように思っております。

  ちょうど今日、お手紙といいますか、お話をいただいたんですが、非常に厳しい中でいろんな努力をしておって、場合によってはもう仕事をやめてしまおうかとかいうことをおっしゃられておった人もいらっしゃるんだけれども、ボランティアの皆さんの応援をもらったり、あるいはいろんな自治体の支援措置が目に見えてきたから何としても頑張っていきたいということで、8月に入って仕事を少しでも始めたいという声もこういう団体から出てきておりますから、そうしたことが大事なんじゃないかなということなんですけどね。

【司会】

  ほか、ございませんか。無いようでしたら、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

── 了 ──


 

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