知事記者会見の概要(平成17年5月30日(月))
平成17年5月30日(月)
17:00~17:20
県庁 特別会議室
【司会】
それでは時間になりましたので、ただ今から知事の臨時記者会見を始めさせていただきたいと思います。
はじめに知事のほうから発表事項がございますので、よろしくお願いします。
【知事】
幹事の方から後で取材ということがあったんですが、あまりお待たせしてといいますか、お待ちしてもいかんと思いまして、ちょうど時間でございますので、こちらのほうからお話申し上げた方がよろしいかなと思いまして。よろしいですか。
【記者】
ありがとうございます。
【知事】
では、そのようにいたします。
今日、最高裁判所において、「もんじゅ」の原子炉設置許可処分無効確認訴訟につきましては、原判決を破棄するという決定が言い渡されたということでございます。
裁判については、設置許可処分の有効・無効を争ったものでございますが、係属中の平成7年に、2次系ナトリウム漏えい事故が発生いたしまして、「もんじゅ」そのものの安全性、またこうした問題に対して、県民・国民に大きな不安・不信を与えた結果となったものでございます。
このため、県としては、「もんじゅ」の安全性とともに、原子力政策上の位置付けを、国として明確に示すよう強く求めてきたところでございますが、国や事業者の方では、事故後の対応として、原因調査の結果明らかとなった問題点、反省点を基に安全総点検を実施し、安全確保対策をとりまとめてきたところでございます。
県としては、平成13年に、「もんじゅ安全性調査検討専門委員会」を設置し、県民の意見を聞きながら慎重に審議を重ねた結果、「もんじゅ」の安全性は確保されているとの報告を受けております。
一方、昨年から開催しております新長期計画策定会議では、「もんじゅ」の位置付けとともに、核燃料サイクルの基本方針が、中間的なとりまとめとして出されたものでございます。
また、昨年5月には、「もんじゅ関連協議会」を開催し、昨年12月には中川経済産業大臣から、また本年2月には中山文部科学大臣から、それぞれ責任ある説明を承ったところでございます。
このような経過を踏まえまして、本年2月に改造工事に係る事前了解を行ったところでございますが、こうした中で、本日の判決によりまして、司法の立場から国の安全審査が法的に問題がないという判断がされたことは、これまでの手続き等について、より動かないと言いますか、揺るぎのないものになったということでありますので、地元としては、司法の判断については意義があるものと考えておるものであります。
しかし、平成7年に大きな事故、県民に不信・不安、信頼性を揺るがす事故があったところでありますので、国はその反省にたちまして、これまで以上に、安全規制あるいは信頼に向けて、取り組みをしっかりやってもらわなければならないと思っております。
二度とこういうことがないように、十二分に、そういう努力をしていただくと同時に、今、工事をやっておりますが、いろいろな諸手続き等について、的確に、またオープンな形で、いろんな情報がしっかり、国民や県民の皆様にわかるように、そういう努力がこれまで以上に大切ではなかろうかというふうに思います。
安全審査の中身に違法はないということでありますが、「もんじゅ」を今後とも安全に管理することは、これまで以上に努力が必要でありますし、慎重に、また的確に行っていただく必要があると思います。
県としては、地域と原子力の自立的な連携を目指す取り組みとして、エネルギー研究開発拠点化計画を進めておりますけれども、この実現に向けて国および核燃料サイクル開発機構は、地元の意向をしっかり反映させ、この「もんじゅ」などを中心的な施設の一つとして位置付けて、しっかりとした施策を進めていただく必要があると我々は思っているところでございまして、こうしたことがさらに、「もんじゅ」あるいは原子力のいろんな施策の信頼、また将来性につながるものと思っております。
以上、簡単でございますが、コメントといいますか、お話を申し上げたところであります。
【司会】
それでは、ご質問をお受けしたいと思います。
幹事社のほうから質問をいただきまして、そのあと若干の時間をとりますので、順次、記者のほうからお願いします。
【記者】
運転再開が2、3年後に予想されると思うんですが、その時に知事判断ということになると思うんですが、今回、司法判断の結論が出たということは、そのあたりの影響というのを知事自身はどう思われますか。
【知事】
司法上の判断がなされたということでありますけれども、これまでも申し上げていますように、今後行われます工事の安全確保対策、またエネルギー拠点化計画の進捗などを一つ一つ的確に進め、我々も厳格に確認していくという考え方に変わりはないわけでありますので、そういうことで進めてまいりたいと考えます。
【記者】
以前もお伺いしたかと思うんですけども、そもそも二審判決では原子炉設置許可を無効とする、安全審査に重大な瑕疵があるという判決自身、今、振り返ってみてどう評価されますか。
【知事】
司法上のご判断ですから、日本の場合は一審、二審、そして最高裁の判断と、それぞれ行われるものでありますので、司法全体として、しかるべき判断をされたことかと思っております。
【記者】
今回の最高裁判決が。
【知事】
そうですね。
司法上の、司法としての判断ということでありますので。
かねがね申し上げておりますが、三権分立のわが国の仕組みでありますので、司法は司法の判断、行政は行政として、もちろん司法の判断を最大限、しっかり受けとめなければなりませんが、基本的にはそれぞれ次元の異なるものでありますけれども、今回のそうした基本的な考え方を示されたということは、「もんじゅ」についての考えが、安定した判断ができたということかと思います。
【記者】
今回の判決によって、「もんじゅ」の運転再開に向けた動きが、スケジュール通り進むと考えて良いんですか。
【知事】
スケジュールというよりも、一つ一つを的確に行わなければいけないことだと思います。 手続きについて、立法上といいますか、法の適合性上、違法ではないという判断がなされたわけでありまして、「もんじゅ」自体の安全の管理、あるいは工事の的確な実行、県民の信頼を確保するための努力、エネルギー研究開発拠点化計画に見られますように、地域と共に問題を考えながら、地域の産業や技術や、あるいは大学などと連携を進めなければ、決して信頼性が確保できないということは、これまで以上に大事なことだと思いますので、それは国やサイクル機構は、より十二分におやりになっていただくことが必要だと思います。
【記者】
拠点化計画に関しては、県としては計画どおり進めていくとお考えでしょうか。
【知事】
そうです、はい。これまで以上に、いろんな意味での国などの協力といいますか、そういったことが必要だと思いますね。我々の気持ちをしっかり反映してもらって、進めてほしいと思います。
【記者】
知事から見られて、今回の一連の訴訟の流れが、県民の原子力あるいは「もんじゅ」の信頼性に与えた影響、あるいは二審判決を破棄した最高裁判決が与える影響とか、そのあたりについてちょっとお伺いできればと思ったんですが。
【知事】
あまりそういう一般的な解説をする立場には、私、ございませんけれども。原子力というのはこれまで30年以上経過しておりますけれども、科学技術というのは、人間との関係の中でことがなされるわけでありますから、安全の問題、あるいは新しい科学の知見を積み上げながら、いろんな経験を我々がして、人間のために役立つということが大事でありますので、そうした中で原子力などの問題もしっかり考えていくことが重要だと思っております。
【記者】
ナトリウム漏れ事故が起こって、「もんじゅ」の安全性について、県民からまだ根強い不安があるかと思うんですけども、そうした中で県として県民に対してどのように理解を求めていくのかということを。
【知事】
先ほど申し上げましたように、何といっても国や事業者がこれまで以上に安全性の問題に謙虚な立場でしっかりと進める必要があると思いますし、ナトリウム漏えい事故の時もいろいろ議論がありましたが、いろいろな情報を正確に早く、住民の方、国民にオープンな形でわかってもらう、知らせる、そして望ましい処理をするということが非常に大事でありますので、そういう努力をしてほしいと思います。
それからいろいろな地域との関わりで申し上げますと、長期的に、また継続的に、こういう原子力の技術や知識というものが、地域に役立つというか、目に見えるということが必要だと思っておりますから、こういうことを積み重ねることによって、原子力に対するいろんな問題は一つ一つわかりやすくなり、また解決できるのではないかと思っております。
【記者】
再開に当たって、国の安全審査に問題ないという判断が示されたということで、今後、県が再開に当たって判断する幅が狭くなったという認識はお持ちでないですか。
【知事】
どういうこと……。
【記者】
安全上問題がないということが固まったということで、今後、県が運転再開をする場合に、安全上問題があるからという言い方はできなくなるのではないか。
【知事】
要するに適法、違法でないということですから、いろんな手続きについては安定をしてきたということですね。一審、二審、三審と。それはその限りでの問題であって、他に安全性の問題とかいろいろなことをこれまで以上にやらないと国民なり県民の信頼は得られないということを申し上げているんですが。そのことについて、お尋ねは。
【記者】
知事が運転再開を認めるという判断があると思うんですが、その幅が狭くなるというか、運転再開を認めざるを得ない状況になって来るのではないか。
【知事】
それは以前から申し上げているように、一つ一つ物事を解決しなければ、いろんな議論は進まないわけですので。いつもそのように申し上げておりますけれども。
今は改造工事がいかに的確になされ、県民の理解、国民の理解が得られるかということに、事業者の皆さんも精神を集中していると思うけれども、我々も……。
【記者】
最高裁の判断がすぐ直結するものではないというご認識だということですか。
【知事】
これまでの手続きが法に反していないという判決があったわけですから、その争点での問題が解決したということですから。
【記者】
司法判断が確定して、しかも瑕疵がないという結論ということになると、今後、運転再開の判断というのは、客観的にみると、安全面、技術面に絞られてくるような気がするんですけども、そのあたりについては。
【知事】
今回の司法上の問題と、平成7年の「もんじゅ」の事故というのは、直接事柄が違うわけですよね。そういう事実がですね。ああした事故があったわけだから、それに対していかに、いろいろと努力をしておられると思いますけれども、今後とも、県民の信頼、安心に対する対応というのは非常に重要だと私は思っております。
【記者】
そこは技術面ですよね。
【知事】
技術面には限らない。
【記者】
政策面的な安心というのも含まれるんでしょうけど、要はそこに絞られるというか。で、拠点化というのが入ってくるのかなというのは、ちょっと違和感というか、まわりから見たらいいというふうな気がするんですけれども。
【知事】
安全というか安心というか、それに対する理解と合意、そして長期的、継続的な地域の福祉、振興の3つが、我々地元の、国民もそうだと思いますが、それを全体として受け止めるわけですから、全体としてしっかりしたものにならないと、原子力に対するいろんな信頼性というのは強くならないと思いますね。その中で一番大事なのは安全の問題であるということかと思います。
【記者】
今のをちょっと整理させてもらいたいんですけれど、今回の司法判断については、安全ということは担保、確保されたが、安心とか恒久的な振興、福祉とかはまだだというご判断ですか。
【記者】
それは着実に進めなければならないし、今回の裁判というのは、設置の手続きの合法・違法を争っている判断ですから、その点について違法性がないという議論をした裁判でしょ。それ以外に、「もんじゅ」についての安全の問題は、実際上の話ですから、それをしっかり進めなければならないと申し上げております。
裁判は法的な議論ですから。もちろん、そこに実体は含まれてますけれども、それによって安全対策全体が変わるわけじゃありませんから、それはそれでしっかり進めなければいかんと思います。
【記者】
今回の判断について、国から知事に直接説明はあったんですか。こういう判決が出るとか。
【知事】
これは司法の判断ですから。
【記者】
知事のほうに何か説明とか、こういう判決が出るとか……。
【知事】
特にありません。
もし、必要であれば、また、これからどうだというお話は求めることになるかもしれませんが。
【司会】
よろしいですか。時間もありますので、もしないようでしたら、これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
― 了 ―
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