知事記者会見の概要(平成29年8月31日(木))
平成29年8月31日(木曜日)
10:30~12:00
県庁 特別会議室
【知事】
今日は、29年度の9月議会に提案します補正予算案について、県内の漁業協同組合女性部のお魚PRについての2点申し上げます。
今回の補正予算については、次の3点を主眼に編成しています。
〔資料:予算案の概要、主要事業の概要、主要事業(施策別・予算額一覧)、発表要旨〕
1点目は、「北陸新幹線開業に向けたまちづくり」です。敦賀開業に向けた工事が県内各地で進んでいます。今回、福井駅の構造にゆとりを持たせるための東口拡張スペースの整備、南越駅と敦賀駅の周辺整備、福井駅前における市街地再開発準備について、事業の進捗に合わせた支援を行い、新幹線整備とまちづくりを一体的に加速していきます。
2点目は、「県内企業のIoT・AI等導入の促進」です。現在、県内の有効求人倍率は4月以降連続して2.0倍以上の大台に乗っており、また5月から7月まで3か月連続で全国第1位です。これは労働需給としては望ましいことと見られますけれども、一方で企業などの人手不足が産業振興の隘路になるおそれがあります。そこで、生産性を高めるIoT・AI等の導入に対する支援や、シニア世代や女性を対象に就業意欲を高めるセミナーなどを行うものです。
3点目は、「国の重要無形文化財への指定に伴う支援」です。越前市に伝わる越前和紙、「越前鳥の子紙」については、文化庁の答申を受け、年内に重要無形文化財に指定される見通しとなりました。人間国宝として既に岩野さんがおられますけれども、産業全体としての重要無形文化財の指定です。これを機に、「越前鳥の子紙」の技術継承を図るための活動に対し支援を行うものです。
一般会計の9月補正予算の規模は67億円であり、補正予算規模が50億円を超えるのは、22年度以来7年ぶりとなります。補正後の予算規模は4,785億円になります。昨年度の9月現計予算と比べますと126億円、2.6%の減であります。これは、制度融資という中小企業を対象とした融資がありますが、今、資金需要が緩んでいますので、そういったものが当初予算の段階から減額していることから、9月補正は大きいけれども全体の予算は小さくなっていると、こうご理解を願いたいと思います。
主な事業について申し上げます。
まず、「北陸新幹線福井駅東口の拡張施設整備事業」、650万円です。新幹線福井駅については、5月の与党検討委員会において、在来線との中2階接続やホーム開口部の増設など、利便性向上策が決定されましたが、なお富山県や石川県に比べますと、やや手狭な感じがありました。今回いろいろと議論をした結果、福井市が行う福井駅東口の拡張施設の整備を支援し、いろいろなスペースを設けることによって狭い感じをなくそうということです。ゆとりのある駅としたいと思います。
現在、鉄道・運輸機構が新幹線福井駅舎の基本設計を実施しており、これに合わせて拡張施設の基本設計を行うことによりまして、外観の統一や機能面での役割分担について調整を進めたいと思います。
今回の予算全体は福井市と共同で1,300万円です。基本設計にかかる費用ということになります。全体のハードの事業費は、14~15億円ぐらいの規模になると思っています。
次に、「北陸新幹線三駅周辺整備推進事業」です。昨年の9月補正予算において、新幹線駅舎、それぞれ4駅ありますけれども、福井駅を除いた3駅について周辺整備を進めるために、それぞれ3億円の補助上限枠をつくっているわけです。この制度の創設後、初めて実際の支援を行うということで、あわら市は来年以降になりますが、越前市と敦賀市について計画内容が明らかになったことから、南越駅の駅前広場や観光交流センター等の用地取得、敦賀駅の緑化空間と駐車場の基本設計を対象として支援を行うものです。それぞれ仕事の進みぐあいがありますから、金額は南越駅と敦賀駅で大きさが違うということであります。
次に、「福井駅前市街地再開発準備支援事業」350万円です。福井駅前電車通り北地区の市街地再開発については、一昨日(8月29日)に再開発準備組合が設立され、国の補助を受けまして基本計画の作成を行うことになりました。国3分の1、福井市6分の1、組合3分の1、県も6分の1の基本計画の作成の支援を行います。予算の使い方としては、再開発準備組合に福井市が行う補助に対する支援となります。これまでの市街地再開発事業としては、御屋形地区、三の丸地区、手寄地区、福井駅西口中央地区があり、大体70億円から120、130億円ぐらいの規模で仕事が進んでいます。
次に、「IoT・AI等導入促進事業」1,800万円余りです。人手不足が深刻な中で、企業の生産性を高めるとともに、新たな付加価値の創造による競争力強化を図るということです。IoT、さまざまな情報、インターネットなどを使ったビジネスと、それをさらに進化させて、みずから情報を我々人間に指示して物事がさらに動くというAIといった2つのレベルがありますけれども、それらの導入に対する支援です。
これはなかなか時間もかかりますし、それぞれ個別具体の問題解決も必要ですので、IoT、AI等を導入する際の課題や方法を検討するワークショップを開催するとともに、導入を促進・支援するための補助金や、県と金融機関の協調により実質的に金利負担なしで資金調達ができる制度融資を創設します。
次に、「シニアと女性の活躍支援事業」です。企業の人材確保を支援するため、ふくいジョブカフェに委託し、シニアや女性の就業意欲を高めるためのセミナーを開くとともに、県内企業とマッチングする就職面接会を開催するものです。実施回数は、シニアの場合12回、県内6地域。女性の場合には6回です。あわせて、働くということのみならず、シニアの場合には年金の問題など、女性の場合には子どもの教育、親御さんの介護など、いろいろなことがありますので、そういったこともあわせて考える機会にしていただきたいというプロジェクトです。
次に、「研究開発プロフェッショナル人材設置事業」、約2,000万円の事業です。平成27年につくりました「ふくいオープンイノベーション推進機構」では、産学官金融が連携し、県内企業の売れる製品開発を支援しています。この「ふくいオープンイノベーション推進機構」に高度人材誘致コーディネーターを新設し、県内企業とのマッチングを行い、大都市の高度人材を対象に研究開発プロジェクトを紹介するセミナー、県内ツアーなどを実施し、情報発信を強化するものです。
次に、「重要無形文化財伝承活動支援事業」です。「越前鳥の子紙」が今回、国の重要無形文化財の指定を受ける見込みとなりました。国では約1,000万円のプロジェクトを用意してくれるわけでありまして、そのうち9割を国が負担します。残り1割について県としても30分の1ぐらいですが、応援をしてこの事業を進めるわけです。
今後は、これまで受け継いできた伝統の技にさらに磨きをかけ、年内の国の重要無形文化財指定に備えると同時に、ユネスコ無形文化遺産への登録を目指していきます。
次に、公共事業の増額、57億円余りです。国からのいろいろな補助事業、負担事業等を積極的に確保しまして、区分的には道路・街路事業で47億円余り。河川・砂防事業で7億円です。国直轄事業として中部縦貫自動車道などの負担金といったものがあります。 以上が9月補正予算関係の説明です。
次に、地魚の消費拡大策であります「浜の母ちゃんのお魚PR」についてです。
〔資料:浜の母ちゃんのお魚PRについて〕
昨年5月に敦賀市の松栄町に県漁業協同組合連合会の水産加工施設が完成しまして、地魚の一次加工品が年間を通して安定的に供給可能になりました。県漁協女性部連合協議会は、魚のさばき方講習会などの魚を食べる機会を増やす取組みを行っており、今年から、水産加工施設で生産された一次加工品(三枚おろし、切り身など)を使った料理の開発・普及に取り組んでいます。今回新たにこれらの魚料理をPRするラッピングカー「浜の母ちゃん号」が、県の補助を受けて完成しました。県は、車の購入費の2分の1、車の改造費、リーフレットの作成費など、450万円を補助しています。
ついては、9月4日(月)の11時30分から県庁前広場でこのラッピングカーのお披露目と料理の紹介・販売を行います。サワラのレンジ蒸し、トビウオのピザ風、ふくいサーモンの和風レアカツ、アカアマダイの南蛮漬けなど、様々なメニューがありますので、ご出席いただきたいと思います。
私からは以上です。
~質疑~
【記者】
IoTの導入促進事業について、中小企業の人手不足解消のためとありますが、県内では有効求人倍率の高さや最低賃金の低さなどの課題が山積していると思います。知事は現状についてどの程度深刻に考えているのかという点と、今回この人手不足解消という意味では、IoT、AIと、次のシニアと女性の活躍支援事業もそういった枠に当てはまるかもしれませんが、こうした施策を通じての改善に向けたビジョンをどのように持っているか、2点、教えてください。
【知事】
人手不足については、10年以上前になりましょうか、失業率が非常に高い、あるいは有効求人倍率が0.4とか5の時代に比べますと、局面は全然違うのですが、短期的な対策と長期的な対策があります。県内への若者の移住やUターン、Iターン、これは当初予算をはじめ毎年のプロジェクトで進めていますが、さらに今、当面問題になっています若い人たちと女性、シニアの方について挑戦すべきタイミングかなということでこの予算を組んでいます。
特にシニアの人たちに対してはこれからどのように生活していったらよいのかといったことを考えていただくということです。福井県は全国に比べますと大きな問題がそれほどないかもしれませんが、単に年金をもらっていろいろなことをやるのだというだけではあまりいいライフスタイルにはなりませんから、可能な限り社会に貢献をする、生きがいを持っていただくというチャンスを提供しようということです。女性についても同じです。子育てで仕事できないなどといったことにならないようにしたいということで、今回予算を組んでいます。
特に有効求人倍率が2.0倍を超えている一番ピークのところをどのように解決するかといった1つのモデル的な事業になるような感じがします。根っこはもっと大きいのです。あらゆる問題、課題があり、今、何千人も来ている外国人の問題をどうするか、教育などいろいろなことがありますし、氷山の上の一部分であると思います。
【記者】
人手不足に関しては、現状を深刻だとお考えになっていますか。
【知事】
はい。いろいろなところへ行きますと、深刻だという話が多いです。折しも福井県の場合は新幹線や中部縦貫道などいろいろな公共事業が進んでいますので、そちらの人手不足は非常に深刻ですし、サービス業についても国の最低賃金をどうするかといった給与の問題等、いろいろな課題がありますので、我々でできること、あるいは制度改正を国に要求すること、いろいろなことを組み合わせて行うということかと思います。1年や2年でできることではありませんので、これから5年、10年の課題かなと思います。
【記者】
北陸新幹線の3駅周辺整備推進事業について、制度創設から1年を経過して、ようやく動き出し、これから支援が本格化していくと思いますが、そのことに対する意気込みを聞かせてください。
【知事】
この3億円を使って、ある意味でそれぞれの市に50年、100年のプロジェクトを進めていただかなければいけないと思います。高速交通開通アクション・プログラムなどいろいろなことがありますが、新幹線駅周辺での事業について、これを呼び水にしていただいて、さまざまに広げてほしいという事業です。駅前以外にはさまざまな事業がありますので、それは別の事業で応援しなければいけませんが、これはその象徴的な事業としてつくってあるということです。市が行う事業がたくさんあります。道の駅をつくったらどうだ、敦賀駅の駅前や港はどうするなど、さまざまありますので、その一つ一つの核になるためのものだという理解をしています。
【記者】
福井駅西口の三角地帯の再開発について、補正予算案で準備組合の支援という形で計上されていますが、北陸新幹線の開業を睨んで再開発するという考えです。知事としてもこの再開発は進めていったほうがよいとお思いですか。
【知事】
思っています。我々は事業主体ではなくて、組合や地域の人たちが決めて物事を前へ進めようということですから、それを応援するということです。途中いろいろなことがあるかもしれませんが、それはそのときに応じて相談をしないといけないということでしょう。高速交通開通アクション・プログラムもそうでして、行政だけでやってもアクション・プログラムにはならないわけです。みんなでやろうということですから、それは我々として、行政として応援すべきだろうということです。
【記者】
地域の人がまとまるのであれば、そこの再開発が進むということですか。
【知事】
ある程度まとまってやろうということで、国もそうだと思って、市役所もそうだと思っているのでしょうから、我々も応援するということです。そうしないと、新幹線がつくころに金沢市や富山市に都市間競争で負けると思います。
【記者】
今の質問に関係して、再開発が進む場合、知事がこういったことを望みたい、こんな将来像を描きたいといった思いがあったら教えてください。
【知事】
新幹線は50年、100年のプロジェクトですから、関係の皆さん方には目先の問題ではなくて長期の幅広い見地に立って取り組んでほしいと思います。長い目で見てください。特に福井市は福井の県都としての中心的な立場ですから、より都市づくりの立場で積極的にいろいろなリードをして意見を述べてやっていただくことが必要であり、これを我々は応援するということになると思います。
【記者】
IoTとAIの導入について、導入することでどのくらい人手不足の解消が見込めるのかを聞かせてください。
【知事】
これは難しい質問です。何人っていうことですか。
【記者】
どのぐらい求人倍率に貢献をするものなのかなど。
【知事】
大きい企業は自分でお考えになっている部分もあり、IoTやAIだけで何人とは言いにくいと思います。今せっかくのご提案ですから、これは1度我々としてもチェックをする必要があります。
【記者】
先ほど、シニアや女性の採用について、以後どう解決していくかといったモデル事業になるとおっしゃっていましたが、このIoTも全国的にはいろいろな大きな企業が取り組んでいる中で、福井県内の大きくはない会社が取り組むことで、全国のモデルケースができたらという考えはあるのですか。
【知事】
そうです。我々が応援するということは、あまり大きい企業ではないのです。県内の主要な企業は自分で以前から積極的に進めていますから、裾野を広くしてこういった事業にみんなが関心を持ってもらって進めていく。こういったところこそ人が集まらないところですから、そのきっかけにしたいと思います。かつ、今ご質問がありましたように、全体としてこの問題をどのように考えるかは、これから当初予算に向けていろいろ勉強もして、次につなげていくことかなと考えています。
【記者】
当初予算で広げていくとのことですが、今後、IoTなどのモデルケースをどのように進めていきたいのですか。
【知事】
これはかなり技術的なことですし、ビジネスのいろいろな中身の話ですから、かなりの勉強やリサーチが必要です。毎年毎年、具体化していくことかと思います。
【記者】
今回、補助制度のメニューを3つ用意されていますけれども、まず試験的にやってみて、今後県として支援する場合に何がふさわしいのかを調査する意味合いもあるのかという点と、IoT、AIはシニアや女性のいろいろな業務への参加を促すという側面もあるかと思いますが、今後そういった面での支援制度も考えているのでしょうか。
【知事】
人手不足解消といったものの見方で中小企業などがIoT、AIにチャレンジしていこうという呼び水にしているわけです。いろいろな地方自治体の事業も調べましたが、こういった名前の事業が幾つか散見され、大体よく似た感じの事業がまだ多いのです。福井県独自のこういった方面の事業をどうやっていくのかということは次の課題になりましょうし、かつ、この中で一部、企業連携のものがあります。さらに、大企業との連携をどうするかなど、いろいろなタイプのものがあると思いますので、日進月歩の事業分野かと思っています。
【記者】
今後に期待ということですか。
【知事】
そうですね。大分勉強をしないといけないのではないでしょうか。
【記者】
大飯原発の工事認可がおりたということで、県の再稼働判断について、現時点でどのような手順を踏むつもりなのか、聞かせてください。
【知事】
この大飯原子力発電所については、原子力規制委員会から原子炉設置変更許可が5月14日に出ていますし、8月25日には工事計画認可が出ています。保安規定変更の認可の審査が続いておりますので、我々としては、全体を規制委員会としてチェックした後に、県には原子力安全専門委員会がありますが、そこでしっかり確認した上で、おおい町の意見が大事ですし、9月の県議会も間もなくですので、そういったものの議論を十分尽くした上で判断してまいりたいということです。
その際、周辺環境の問題としては、国民理解がどの程度進むかということはいつも申し上げておりますし、あるいは中間貯蔵施設について、3年後までに方針を出さないといけないということを我々申し上げていますので、そういったものをどうするか。そのほか、エネルギー基本計画がどのような方向性になるといったことをよく踏まえて判断をすることになるかと思います。
【記者】
今おっしゃった中に、住民の避難計画について触れられていなかったと思いますが、避難計画について、検証、評価した上でそれも再稼働判断の材料に加えるということはあるのですか。
【知事】
広域避難計画については、国の原子力防災協議会の作業部会で検討が行われていますので、その内容がまとまれば公表されると思います。もっとも、この策定は再稼働の条件ということではありません。国もそのように考えておりますが、住民の安全・安心を守る観点から早期に策定される必要がありますので、これはできるだけ早く国にやっていただいて、我々はそれに基づいて必要な訓練を国と協議して行うことになると思います。
去年の8月、大飯発電所を対象に原子力防災訓練を行いましたから、そういったこともベースにしながら国のいろいろな避難の対策もするということになります。訓練は1つずつ積み上げて、毎年毎年充実していくということが我々の考えです。
【記者】
今、訓練の話がありましたけれども、再稼働判断の前に訓練を行ってその実効性を確認するという意味ですか。
【知事】
条件にはしていないということです。それは絶えず、ないがしろにするのではなくて、福井県は先進的にずっとやってきていますので。条件が整えば、やっていくし、それをやった後もさらに新しいいろいろな内容を充実して進めていくというのが基本的な考えです。
【記者】
例えば避難道路が1本しかない、狭い、そこが土砂災害の警戒区域になっているなどという住民個々の不安もあるようですが、そういった住民不安に知事としてはどのような形で応えられていくのか、向き合っていくのか、考えはありますか。
【知事】
防災の考え方にはレベルが幾つかありまして、まずは、原子力プラントの事故を福島のように不注意や油断、あるいは人的なエラー、さまざまなことで起こさせないということ。細心の注意を払い、住民の不安がないように信頼をまずしっかり押さえ、万が一のときにしっかり制圧できること。制圧道路の整備、というのはそのためのものであり、一部避難も関係するかもしれない。そして、避難があります。この3層構造で福井県としてはやっておりまして、今おっしゃっているのは主に3つ目のことをおっしゃったと思います。もちろん3つ目も大事でありますけれども、その中で道路については制圧道路を増やし、あるいは複数にしたり、崖崩れのおそれのあるところはトンネルにしたり、いろいろなことを今並行して進めているということです。
【記者】
「もんじゅ」について、きょうも文部科学省と資源エネルギー庁の幹部が藤田副知事を訪ねられますが、取材した限りでは廃炉をどんどん先に進めたいという国の意向もあり、地域振興をどうしてくれるのだという地元側の思いとずっと平行線をたどってきている印象を受けます。この局面を打開するには何が必要なのか聞かせていただきたいです。
【知事】
「もんじゅ」廃炉に対する国がなすべきいろいろなことについては、関係大臣等々にさまざま申し上げていますので、それを着実にしていただくことだと思います。国は、廃炉の手続きを進めたいということだと思いますが、具体的な事柄として、まず来年の予算でどうなるか、協議会の組織をどうするかなど、いろいろなものがありますから、今回はまず概算要求でできるものを具体化する、あるいは協議会をどうする、あるいは方向性はどうするということをできるだけ我々の考えているスケジュールの中で国に要請するということだと思います。そういった姿がなければ廃炉は逆に困難ということになると思います。
【記者】
要するに、その辺が見えてこないと…。
【知事】
きょうはそのために文部科学省と、経済産業省もお見えになります。
【記者】
知事が大飯原発の再稼働同意判断にあたり、現地視察や、関西電力の訓練を見学に行くようなことはお考えですか。
【知事】
いろいろな機会に見ていますが、そのことが必ずしも条件ではありませんし、むしろ国の皆さんに見ていただきたいというのが我々の思いです。
【記者】
茨城県の知事選について、現職だった橋本さんが、7期目の出陣に当たっていきなり再稼働は無条件に認めないという話をしました。橋本さんといえば福井県でも勤務のご経験があります。原子力にも理解があり、いろいろな知識の豊富な方だと思いますが、現職の長くやっている知事が再稼働反対と言い出したことについて知事は何か思いがありますか。
【知事】
国民理解をしっかり進めないといろいろな局面でぶれたり、いろいろなことが起こったりすると思いますから、絶えず我々が言っているのは、国民的な理解をしないからオール・オア・ナッシングみたいな話になって、ほんとうはそういった議論でないものがそのような議論になってしまう。それは、お互い避けなければならないだろうと思うのです。
【記者】
鹿児島県や新潟県の例ですね…。
【知事】
反対の話ですね。逆の動きかな。
【記者】
原子力がとにかく不人気政策と言われて、話さなければいい、反対と言えば票がとれるといった安易な考え方をする人が結構増えてくるのではないかということに対し、地元としては危機感を持つのかなと思いますが。
【知事】
それは記者が健筆を奮っていろいろと命題として所信をお書きになるといいと期待をします。
【記者】
国のエネルギー基本計画の見直しについて、先日、1回目の有識者会議がありまして、知事も委員として参加されました。その中で、安全炉への転換など腰を据えた議論が行われるべきだとおっしゃっています。次の3年でリプレースや原発の新増設を進めたほうがよいと思っていると受けとめてよろしいのでしょうか。
【知事】
これは2030年において原子力による割合を20%から22%にするということでありまして、それがほんとうにできるにはどうしたらいいかという議論をしないといけないわけです。委員会としてそういった構造になっているので、適当に時間を経過させる話ではないから、どっちがいい悪いということはともかく、議論の枠と議論の仕方をどうだということをやっての話になるだろうということを言っているわけです。どっちがいいという話はその次にあるということです。
【記者】
今回は、リプレースをもう1回進めるかどうか議論したほうがいいという話も何人かの委員の先生から。
【知事】
そういう人もいます。そうでないようなことも言われたり、委員長もいろいろなことをおっしゃっていましたけれども、これからも会議を何回かやりますから、その中でいろいろな議論をしていくということだと思います。
【記者】
何らかの方向性は出したほうがよろしいかと。
【知事】
それを曖昧にして動いていると、大枠が決まらないのに2割や22%ということはどういう意味だということになって、国民の信頼につながらないです。
【記者】
29日に北朝鮮からミサイルが飛んできて日本の上空を通過していることが大騒ぎになっていて、きのうも石川県の輪島市でミサイル対応の訓練もされていましたが、福井県として今後市町と連携してミサイル対応の訓練をやっていく考えはありますか。
【知事】
国民保護計画の中でテロ、空襲、ミサイルといったタイプのものがありますので、特にそういった話題になっていますから、これから国民保護計画の中でどのようにしていくかということかと思います。今回のいろいろな事例もありますので、それを受けて図上でどうやるのか、あるいは実際どうやるのかをやることになると思います。
福井県は、国民保護計画をどの県よりも早く策定し、訓練をきめ細やかに毎年やっていますので、実態に応じたことをしたいと思います。その前提として、何でそのようなことをしないといけないのかという話になりますから、そこは政府がいろいろな方面に言うべきことをしっかり言い、粘り強くいろいろなことをやるのが基本であると思います。
【記者】
粘り強くという話がありましたけれども、県内に原発も抱えている状況で、神奈川県は北朝鮮に対して直接抗議する意を示しているようですが、国や北朝鮮に対して何かアピールしたり行動したりという考えはありますか。
【知事】
自治体が形をつける話ではなくて、まずは政府が一番大事な問題ですから、国連はどうだとか、ある国に対してはどう言うのか、自分たちは何を用意するかなど、これは複雑な事柄で1回きりでは終わらない話ですから、これらの事柄をわかるようにしないといけないと思います。我々は我々で自治体としてやるべきことをやっていこうと思います。
【記者】
外交を担当している国に対して、情報収集や外交上の努力を求めてという考えですか。
【知事】
国の折衝事でしょうから。
【記者】
ミサイルを発射している状況について、拉致問題に対しての影響をどのようにお考えですか。
【知事】
そんなにいい方向ではないと思います。
【記者】
新幹線のフリーゲージトレイン(FGT)について、JR九州が導入困難と表明したのですが、事業主体がそのように表明したことへの受け止めをまず聞かせてください。
【知事】
今回、国土交通省の概算要求においてもFGTの技術開発予算が継続されるということですので、早くできないのだったらできない、今後の処理はどうするということを早く決めていただかないと、我々は次の動きができませんので、我々としては国土交通省に申し上げているわけです。
【記者】
国土交通省にきちんと判断してもらいたい、早目にやってもらいたいということですか。
【知事】
JR西日本ももちろんありますけれども。やるならやる。困難だとは思いますが、早く決めていただかないと、次のことができません。FGTを前提に敦賀で一区切りつけるということだったのですから、敦賀開業もだんだん近づいてきますので、早く方針を決めないといけない。その先には中京との関係、あるいは在来駅の関係など多くの課題が生じてきます。
【記者】
JR九州でFGTがないのであれば、長崎県がフル規格で整備してほしいと言い出しています。敦賀以西が認可を受けていない段階で、関係する国会議員も含めておっしゃっていますが、長崎ルートの議論が深まって敦賀以西に追いついた場合に、今度は国費を分け合うのではないかというおそれを抱いている方がいるようですが。
【知事】
どこにいるのですか。どの辺に。
【記者】
国会議員もおっしゃっている方が。福井だけではなくて石川の方も言っているみたいですけれども、どうでしょう。そのように考えるということや、そういった懸念があるということをどう考えますか。
【知事】
確か、長崎のFGTは、フル規格のお金がないからFGTにしたと思います。FGTにできないということで、一応そこで話が終わるのが1つの区切りかとは思います。
【記者】
あくまで敦賀以西が優先されるという考えですか。
【知事】
それは全然区分も違うし、これはこれ、あれはあれということですね。
【記者】
当然ながら敦賀以西のほうが優先されてしかるべきことで、もしフル規格で長崎という話が出てきても、それは後の話だということですか。
【知事】
それは別の議論でしょうね。長崎ルートはそのような議論でFGTにしたものではないと思います。投資効果もないからフル規格ということはなかったと思っています。
【記者】
財源の議論を早くという声が先日の北陸経済連合会の北陸3県知事の意見交換でも出ていましたけれども、なかなか内閣改造等があって動きが見えてこないという現状について、知事はどう受け止めていますか。
【知事】
これからいろいろなプロジェクトチームで議論するのだと思います。財源論は関係の官庁、所管省が実務的にまず詰めないといけないでしょうから、そのために我々は貸付料や公共事業、JRは税金がかつてより2倍になっていて国庫にそれだけの税金が入っているから、公共事業700億円余りをもっと増やせるのではないかなど。あるいは鉄道機構が東北新幹線に貸しているものを売って、一挙にキャッシュを手に入れ、それを財源にできるのではないかということを福井県が提案しています。可能性は非常に高いし、現実的だと思いますので、それでやっていただくのがいいかなと思います。
【記者】
具体的にいつぐらいから議論すべきだと考えますか。
【知事】
出来るだけ早く、今からでもやってほしいです。政調会長が代わりましたが、官庁は官庁で仕事を進めておられるから、それを議論していただくことになるのではないでしょうか。
【記者】
茨城県知事選について、原子力ともう1つの争点になっていた多選批判の件で、率直に多選批判に対してどうお考えですか。
【知事】
あまり考えたことないです。
【記者】
15年近く知事をやっておられ、自分で振り返ってみて、この15年長いなと思うのか、それともあっという間だったのか、どちらになりますか。
【知事】
振り返ると短いです。
【記者】
短いですか。まだまだやれる感じ。
【知事】
就任したときは先が長いと思いました。
【記者】
ダイヤモンド・プリンセスのことで、きょうの時点での期待をお伺いしたいのと、知事も行かれると思いますが、受け入れ態勢などどのようなことを見たいのか、考えがありましたら聞かせて下さい。
【知事】
最初ですので第一印象が大事ですから、敦賀市、我々もおもてなしの努力をしていますが、1回やってみてどのようなおもてなしが有効なのかといったことが大事です。ちょうど敦賀のお祭りのころにセットしていますから、それを1回見て次のものにつなげると。2回目は10月ですので。9月2日ですから、10月にどんなことをするかということになるでしょう。
【記者】
1回目来たのを受けて、すぐに対策会議を開いて10月を迎えるといったことはありますか。
【知事】
そのようなタイプのものではないと思います。敦賀市はそういったことをされるかもしれませんが。
【記者】
第2恐竜博物館について、先日、県から県議会に概算事業費などを示されたようですが、議員からはまだ議論の材料がないということで、予算の凍結解除には至らないのではないかという意見があります。9月議会に向け凍結解除への理解をどのように得ていきたいか、知事の考えを聞かせてください。
【知事】
いろいろな情報や考え方を示していますから、もうそろそろタイミングなのかと思います。
【記者】
立地場所の方針にこだわる方が多いのですが、凍結されている予算を使わないと、なかなか立地場所は選びにくいという話もされていたと思います。先に立地場所を示すなど、考えの変化はありますか。
【知事】
いろいろなやり方があるので、結論を出す時期だと思います。議論はほとんど出尽くしているのではないでしょうか。
【記者】
9月議会である程度理解を得たい、凍結解除したいという考えですか。
【知事】
以前から理解は得たいと思っています。
【記者】
知事がマニフェストの中に盛り込み、第2恐竜博物館の話が出た当初のほうが、第2恐竜博物館のイメージが湧きやすかった印象ですが、ここで改めて今の考えの具体像を新たに示すということはないのでしょうか。
【知事】
ここで述べるわけにはいきませんが、もうそのタイミングだと思いますから、いろいろな意見を聞いた上で話をまとめたいと思っています。
【記者】
新幹線について、先日発表された国土交通省の概算要求の中で、FGTについては前年と同じレベルの額がつき、早く判断してもらいたいということですが、FGTがだめとなれば並行在来線に与える影響が大きくなってくると思います。そのあたりのイニシアチブはやはり国がとるべきだとお考えですか。
【知事】
できればこちらでイニシアチブをとりたいぐらいですが、国の事業で手続があるから、その意思を決定しない前に議論するのも妙な話ですので、どうするかということを早く決めてほしいです。もう限度にきていると思いますから、早くやっていただきたい。
【記者】
とにかくFGTの結論を早く。JR西日本ではなくて国が示してほしいということですか。
【知事】
JR西日本と国と両方です。
【記者】
先日、「いちほまれ」のロゴとパッケージが決まり、来月10日前後に収穫、秋分の日に販売が始まります。改めて知事として「いちほまれ」にかける期待をお願いします。
【知事】
「いちほまれ」は圧倒的においしくて、いいお米という評価です。これは間違いないのです。これを評価どおりブランドとして売り込み切れるかということにかかりますので、それをみんなで協力しながらじっくり落ちついてやりたいと思っています。
【記者】
県も販売戦略をいろいろ考えてですか。
【知事】
はい。販売戦略は、いろいろなお米関係の業者やデパート、あるいは米専門のスーパーなどと情報交換して、特に福井県のJAと協力してやらないといけないと思います。
【記者】
大野油坂道路のことでお尋ねします。道路事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律が今年度末に切れ、福井県の財政負担が大きく膨らむことになると思います。地方創生の観点からすると、逆に補助率をかさ上げして敦賀開業に合わせた開通といった視点が大事かなと思いますが、知事の考えをお聞かせください。
【知事】
道路事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律は29年度末で一応切れます。中部縦貫自動車道に絡む直轄事業は国が行っており、我々は負担金を払っていますが、国の負担率について、普通は3分の2の66%が、10分の7に上げられているわけです。つまり、3%余り国が高くなっているから、逆に我々の割合が3%低いということになりますので、影響は大きいです。事業が1,000億円を超えますので、それの3%ですからね。そこで我々としては特措法が継続されないと困りますので、8月24日にも国に要望しました。感触は悪くなくて、地方に迷惑をかけないようにしたいという気持ちは示していただいたと思っています。結果はまだわかりませんけれども。
【記者】
整備新幹線と同じで、個人的には、整備がおくれた地域にこそ光を当ててほしいと思うのですが。
【知事】
さらに引き上げるということですか。
【記者】
現状維持とあわせ、補助率のかさ上げということも必要なのかなと。
【知事】
かさ上げがなくならないことが今の普通の仕事ぶりだとは思います。さらに上げるということは財政的に難しいかもしれません。
―― 了 ――
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