知事記者会見の概要(平成29年10月24日(木))

最終更新日 2017年10月25日ページID 037559

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平成29年10月24日(木曜日)
10:30~11:30
県庁 特別会議室

H29.10.24知事写真
 

    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【知事】

 今日は、選挙直後でもあり、いろいろな話題があるのですが、私から4点申し上げます。

 1点目は、福井城山里口御門の建物の完成、2点目は、歴史資料「刀剣」の購入、3点目は、東京の荒川区との文学館協定、4点目は、アジア市場への売り込みについてです。

 まず、福井城山里口御門の建物完成についてです。

〔資料:福井城山里口御門の建物完成

平成25年度から復元整備を進めている「山里口御門」の、櫓門、棟門からなる建物部分が今月末に完成します。来月25日には、県民の皆様に建物を見ていただく内覧会を開催する予定です。

 平成20年3月に復元された「御廊下橋」につながる「山里口御門」の完成により、御廊下橋を渡り、山里口御門を通り、この春に再整備した天守台の「福の井」まで行くことができます。もちろん城址内にも行くことができ、さらには、中央公園の整備がなされつつありますので、全体としてルートあるいはエリアができるのではないかと思います。

 引き続き、御廊下橋から天守台下までの通路の整備や櫓門2階の展示物の製作・設置、あるいは、お堀内の仮設ヤードの撤去を行います。来年3月には全ての事業が完成します。多くの方に見ていただきたいと思います。

 

 2点目は、歴史資料の「刀剣(脇差し)」の入手です。県では、福井ゆかりの歴史資料の蒐集を進めており、このたび、一乗谷にゆかりのある刀剣を入手しましたので、お知らせします。

〔資料:歴史資料の入手について

 一乗谷に刀や刀装具を製作する職人がいたことは、これまでの遺跡の発掘調査から判明しているのですが、本資料は、刀剣の製作者、製作を依頼した方、製作時期が推定できる極めて貴重な実物資料です。

 さやの中にある部分に刻印がしてあり、製作者である「越前一乗住兼則」の銘とともに、製作依頼者である一乗谷阿波賀の春日神社の神主であった「神祇五位大祐 卜部定澄」の名前が刻まれています。

 この卜部氏については、「歴名土代」などから、神祇官の叙任期間が明らかで、天文5年(1536年)2月から天文14年7月までとなっており、作刀の時期もこの時期ではないかと思います。この時期、一乗谷は朝倉氏の4代孝景によって治められていたということです。

 今後は、朝倉氏お抱え職人の存在や、武将の武具を具体的にイメージできる実物資料として、一乗谷朝倉氏遺跡資料館での戦国時代の合戦を紹介する企画展展示のほか、これから整備する一乗谷朝倉氏遺跡博物館の常設展などで使わせていただくことになります。

 

 次に、3点目、東京の荒川区との「おしどり文学館協定」について申し上げます。

〔資料:荒川区立ゆいの森あらかわ吉村昭記念文学館との連携について

 文壇のおしどり夫婦と言われた吉村昭氏と本県出身の津村節子氏の、それぞれの出身地に建つ「荒川区立ゆいの森あらかわ吉村昭記念文学館」と「福井県ふるさと文学館」において、館の魅力を相互に高めるため、協定を締結します。

 ご夫婦の作家に関する文学館が協定を締結するのは全国初であり、協定締結式は、ご夫妻の結婚記念日である11月5日(日)に荒川区で行います。締結者は、西川太一郎荒川区長と私です。

 荒川区立ゆいの森あらかわ名誉館長であり、福井県ふるさと文学館特別館長でもある津村節子氏に、立会人をお願いしています。

 協定の名称は「おしどり文学館協定」とし、内容は次の3点です。ご夫妻および両館を相互に紹介するなど、展示の共同開催に関すること、資料貸し出しの簡素化など、資料の相互貸借に関すること、互いの住民、区民、県民、また職員同士の交流に関することを考えています。

 今回の協定締結に合わせ、福井県のふるさと文学館側においては、11月5日から12月20日まで、記念特集展示と位置づけ、ゆいの森あらかわ吉村昭記念文学館やご夫妻の紹介、吉村昭氏の作品の複製原稿2点などを、福井県で初めて展示します。また、吉村昭記念文学館においても、津村氏の作品や複製原稿を展示する予定です。

 協定を締結することにより、荒川区と福井県の相互協力を一層深め、両地域の交流に努めてまいりたいと思います。

 なお、当日は、会場となるゆいの森あらかわ吉村昭記念文学館の館内に特設ブースを設け、福井県をPRする予定です。

 

 次に、4点目、アジア市場への売り込みについてです。

〔資料:アジア市場への売り込みについて

 11月14日(火)~16日(木)、シンガポールと香港において、県内の農業者漁業者団体、経済団体、観光団体、県議会観光振興議員連盟、県内事業者の皆様とともに、福井の食文化提案会や商談会を昨年に引き続き行います。香港には私も出席し、今回、「いちほまれ」なども販売することになっていますので、現地の料理店、ホテル、メディア、旅行社などに福井の魅力の宣伝、営業をしてまいります。農林水産物や日本酒、漆器、焼き物などの伝統工芸や食文化を積極的に宣伝し、本県への誘客も図ります。

 また、この提案会にあわせて、実際に高級日本料理店などとの取引につながるよう、県内の食品事業者や漆器などの工芸品事業者のほか、今年は新たに観光事業者が参加し、計25社による商談会を開きます。このほか、現地小売店での「いちほまれ」のセールス、貿易振興を所管している政府機関との面談、現地旅行社への誘客活動などを予定しています。

 アジアの拠点であるシンガポールや香港での活動を通じ、さらに中国、タイ、ベトナムなど周辺国への販路拡大の足がかりとし、アジアへの食品輸出額を拡大させていきたいと考えています。

 今回の発表事項は以上です。

 

~質疑~

 

【記者】

 山里口御門について、今月建物が完成し、事業全体は来年3月完成ということですが、通行はいつから可能になるのですか。

 

【知事】

 来年の春からになります。

 

【記者】

 内覧会というのはどういったことですか。

 

【知事】

 建物を前もってご覧いただきたいということです。可能であればいろいろな行事もやりたいのですが、まず、建物を見てほしいのです。

 

【記者】

 この山里口御門は、半年後に事業全体の完成ということですが、これによって、このあたりがどういったスポットになればいいと期待を持っていますか。

 

【知事】

 これまで福井市内は歴史的なものが見えにくいということがございました。もちろん福井城址は見えるのですが、わかりにくいということですので、福の井、山里口御門、御廊下橋がラインとして結ばれ、特に江戸期の様子がよくわかるようになったらいいのかなと思います。

 最近、福井駅をおりてすぐこちらへ足を向ける観光客も多いですし、全国的に見ましても、県庁所在地の駅と、お城や県庁、市役所が近くにあるのは、めずらしいです。また、養浩館などの市の観光施設にも近いので、今後、さらに足羽川周辺、浜町、あるいは由利公正、橋本左内、足羽山というラインの1つの拠点になればいいかと思います。やや時間がかかるかもしれませんが、そういった動きをつくっていくということかと思います。

 

【記者】

 山里口御門について、展示物の制作、設置はどのようなものが予定されているのでしょうか。

 

【知事】

 まず、山里口御門は歴史的にどのようなものであったかを紹介するパネル、あるいは、福の井の井戸水を使ったお茶を喫していただくコーナーなど附属的な施設が必要かと思います。また、急こう配の階段ですから、危ないところがあるかもしれないので、安全対策設備など、いろいろな附属的施設をつくる必要があると思います。

 

【記者】

 お茶会などのイベントも考えられますか。

 

【知事】

 それ以外にいろいろなことができると思います。ご覧いただくとわかりますが、櫓門の2階は、30畳ぐらいの広さがあり、引き戸をあけますと、白い格子戸から中央公園やお堀も見えますので、風情があると思います。

 

【記者】

 御廊下橋の整備や福の井の整備、この御門の整備があるのですが、総事業費はどのぐらいですか。

 

【総務部長】

 山里口御門で8.2億円、福の井で0.5億円、御廊下橋整備で1.6億円、合計10.3億円が総事業費です。

 

【記者】

 山里口御門周辺の整備が終わると、県庁のお堀周辺の整備事業は一段落するということですか。今後、何か続くようなものはありますか。

 

【知事】

 これからさらにということですか。

 

【記者】

 はい。何か、天守閣をつくるとか。

 

【知事】

 お金がかかるものは出てきません、どのようにするかということは、いろいろな手続が必要で県民のコンセンサスが得られ、投資効果のあるものでないといけないと思います。これから議論していくことになると思います。大きな流れとしては、福井城址をどうするかということですから、県庁をどうするといった話になりますし、巽櫓だとか坤櫓だとか、いろいろな議論が出てくると思います。

 

【記者】

 アジア市場への売り込みについて、知事が今年も香港へ行かれるということですが、今回で何年連続になるのでしょうか。

 

【知事】

 今度行きますと2年連続です。

 

【記者】

 今回、シンガポールは行かないということですが、理由としては日程的なことがあるのですか。

 

【知事】

 いろいろと仕事が多いものですから、行けたら行きたいと思いますが、行けないからこういった予定になっています。何か区別しているわけではありません。

 

【記者】

 香港とシンガポールで行うことは、食文化提案会と商談会の二本立てということでよろしいでしょうか。

 

【知事】

 そうですね。昨年よりもさらに参加者を増やして、実質的な売り上げを増やそうという格好になると思います。

 

【記者】

 先ほど、「いちほまれ」というお話もありましたが、今年、特にこれを売り込みたいという意気込みがあれば聞かせて下さい。

 

【知事】

 「いちほまれ」は、「いちほまれ」という日本語で売り出すのか、あるいは名前を変えたほうがいいのかといったことがあるのです。そういったことを考えながらやらないといけないと思います。

 

【記者】

 考えるのは、英語バージョンですか。

 

【知事】

 これからだと思います。

 向こうでいろいろアドバイスいただいている方の考え、お買いになる方たちのアジア的な物の見方というものがありますので、日本的な考えで「いちほまれ」といっても、ちょっと感覚が伝わらないところもあると思いますので。

 

【記者】

 山里口御門整備は本年度いっぱいで終わり、次、何か行うのであれば、平成30年度の予算にという話になろうかと思います。そのあたり、誰といつまでにどういった議論をしたいということは具体的にありますか。

 

【知事】

 まだないです。これまでよりスケールが大きくなるのか、少しずつ、1つずつやっていくのかということもありますし。

 

【記者】

 県議会が全体的に箱物に対する指摘を厳しくしている中で、新しくこれをやりたいとはなかなか言いにくいということなのか、それとも、グランドデザインの中で、もうちょっといろいろしたいということなのか、どちらですか。

 

【知事】

 2番目におっしゃった方です。

 これは箱物ということではないです。お城物ですね、「しろもの」です。

 

【記者】

 福井城周辺整備は何年度からスタートしているのですか。

 

【知事】

 平成20年からです。ただ、金沢城などの事業スケールからいくと桁が違います。金沢は100万石でしたが、福井県も冒頭は68万石という、100万石に続く日本全体で第2番目の大藩でしたから、そういった格式とか力強さといったものをどうやって長くやっていくかという大きな課題にはなると思います。なかなか難しいですが。

 

【記者】

 県庁や県警本部の移転という話も出てきますか。

 

【知事】

 どのようになるか、まずは、この山里口御門の整備を終えないといけないです。いろいろ目に見えてくると、次のイメージが出ますが、初めからすぐ天守閣の話にはいかないです。そういったものではありません。

 

【記者】

 先般の衆議院選挙の結果についての知事の受け止めをお願いします。

 

【知事】

 衆議院選挙について、特に福井県としては、地方創生、人口減少・少子化対策、さらに新幹線をはじめとした産業基盤の整備の迅速化、原子力・エネルギーの課題という4つがございます。それらの話題が必ずしも十分選挙で論じられたとは思えないのですが、当選された地元の国会議員の皆さんには、政治や経済の大都市化に歯止めをかけていただいて、地方を重視してほしいと思います。国の将来のためにも、しっかり地方に種をまく、非常に高いポテンシャルのある地方に力を入れてほしい、このことが日本のいろいろな課題に対応できるポイントになるのではないかなと思います。

 

【記者】

 これから憲法改正の議論が進んでいくと考えられますが、この点についての知事の考えはいかがでしょうか。

 

【知事】

 私は昔、知事会で憲法問題特別委員長を務めまして、憲法改正の議論や、地方自治をどうするかといった議論を行いました。これはこれからもう少しいろいろな議論を深めないと、すぐああだこうだといったことにはならないと思いますから、じっくり議論してほしいと思います。

 

【記者】

 今、県内の課題として4つ挙げていただいたのですが、どれも喫緊の課題だと思います。

 

【知事】

 特に原子力の問題は、国が前面に立って具体的な道筋をつけて、国民理解を得て、責任を持って実行するということを強く願うものであります。地域の理解や、その地域がどう発展するのか、その地域の安全はどうなのか、国際関係の中でどういった位置づけになるのかというようなことですので、極めて重要なテーマだと思っています。

 

【記者】

 新幹線をはじめとした産業基盤整備の迅速化も挙がっており、新幹線について、並行在来線、特急存続も含めて、知事はまずフリーゲージトレインへの方向性を早く示してほしいということです。決めるのはJRかもしれませんが、政治に対してはどういったことを期待していますか。

 

【知事】

 特に新幹線は、地方創生というか、日本全体の国土構造の軸を決定する問題ですから、方針が出ていますので、早くこれを実行してほしいということ、財源の提案も福井県からやっているわけで、十数年内にはできるはずだという提案もしていますので、ぜひそれを即行してほしいという強い願いがあります。何となく時間を徒過してほしくないということです。

 

【記者】

 政権がかわるたびに、方針が変わったり、選挙があれば議論がストップしてしまうということもあると思うのですが、ぶれずに進めてもらいたいということはありますか。

 

【知事】

 そうですね、もう決めているわけですから。

 

【記者】

 「いちほまれ」が販売されて1か月たちましたが、この1か月の手応えと印象を教えてください。

 

【知事】

 「いちほまれ」については、非常に人気が出ていると私は思っています。ただ、今年は本格販売ではありませんし、来年に向けてさらにロケットの出力を上げていかなければいけないということですから、そのためのいろいろな作戦が要るのかなと思います。11月以降、首都圏などが主なものでありますけれども、航空機や鉄道等でのポスター掲示や動画放映をはじめとした宣伝を行います。昨日、ホテルに泊まりましたら、朝ご飯に「いちほまれ」と別のお米があって、いちほまれはみなさん召し上がって残っていなくて、別のお米が残っていました。非常に人気があるということを実感しました。

 

【記者】

 上々な滑り出しということですか。

 

【知事】

 かなり上々だと思います。滑り出しではなくて、上々の発車と言ったほうがいいです。

 

【記者】

 九州新幹線で、フリーゲージトレイン、ミニ新幹線など全部ひっくるめて、来年の3月末までに調査して報告しろと国土交通省に対して要請したそうですが、つまり、フリーゲージトレインの可能性を年度いっぱい探るという意味だと思うのです。そうすると、北陸新幹線へのフリーゲージトレインの導入をどうするかということが先送りになると考えられますが、知事としては、どのように働きかけていきたいですか。

 

【知事】

 与党の検討委員会でいろいろ議論されると思いますので、スピードを上げてやってほしいということを以前から申し上げています。方向が大体あるのであれば、それを何となく延ばさないでいただきたい。いわゆる敦賀以降の工事についても同じだし、フリーゲージトレインも同じです。延ばして何もいいことはありませんから。

 

【記者】

 何を議論するのだという感じもしないでもないのですが。

 

【知事】

 要するに、全て実行あるのみというような選挙での皆さんの政党としての約束もそうだと思いますので、地域の話は早く決めてほしいなと思います。

 

【記者】

 選挙に絡んだ新幹線の話題なのですが、新しく斉木さんも含めて福井から4人が国会に行くことになりました。4人とも、特急存続については前向きな考えを持っていまして、敦賀開業後も残したほうがいいという考えを選挙戦でも聞きました。

 

【知事】

 4人の方ともおっしゃっていたと。

 

【記者】

 はい。新しく国会に出る方が残そうという気持ちを持っている中で、知事としてはもう少しはっきり方向性を出していきたいなとは思わないのでしょうか。

 

【知事】

 方向性はあるのですが、行政として手続の問題がありまして、いろいろなことを一つ一つやっていかないと混乱が生じます。方向が違うというようなことではありません。

 

【記者】

 方向性としては違わないということですか。

 

【知事】

 あることがこうと決まったら、これを具体的にやるから、早くそれを決めてほしいということです。次の問題が白紙だと言っているわけではありません。

 

【記者】

 国会議員4人の方は特急存続に力を入れる考えですが。

 

【知事】

 フリーゲージトレインができないのだったら特急存続という議論になると思いますから、それを早く決めてほしいということです。そうすると市町村と一緒に活動しやすいですし、そこでそれほど違いはないと思います。

 

【記者】

 フリーゲージトレインの話を決めてほしいということがまずあるのですけれども、その問題がクリアした場合、市町と活動しやすいということは、県としても特急存続の方向で考えているということでよろしいのですか。

 

【知事】

 そういった言い方をすると話がややこしくなるのですが。

 

【記者】

 方向性はあるということでいいのですか。

 

【知事】

 以前申し上げた言葉は変わらないということです。

 

【記者】

 いろいろな場で、現状、県としての方向性を表明することはできないけれども、周囲の環境によってはということですか。

 

【知事】

 環境ではなくて、フリーゲージトレインができるかどうかをまずはっきり判断していただかないといけないので、それをあやふやにしていろいろなことをしても切りがありませんということを申し上げました。我々には責任がありますので、北陸全体のことを考えないといけませんし、住民の利便が第一ですけれども、フリーゲージトレインがどうなるかということを早く決めて次の行動をとるということです。

 

【記者】

 フリーゲージトレインが北陸新幹線に導入できないとなった場合に、現状、知事として、ほかにどういった乗客の利便性確保策があるとお考えですか。

 

【知事】

 今言ったようなやり方が大きな方法の1つだと思います。

 

【記者】

 今言ったようなやり方というのは。

 

【知事】

 在来線の乗り入れですね。

 

【記者】

 フリーゲージトレインがだめだった場合、利便性確保策として一番有効であると考えられるのは在来線特急の乗り入れだということでよろしいですか。

 

【知事】

 あまりそういった念を押す話ではないです。フリーゲージトレインをどうするかを先に決めないと仕事にならないと言っている。仮定の話を幾らやっても、フリーゲージトレインが導入されたら、何の意味もなくなってしまうからです。そっちを先にしないといけない。それが決まらないのに違う話で騒いでもどうにもならないということ。お互いに迷惑されると思います。

 

【記者】

 中部縦貫自動車道の大野油坂道路についてお尋ねします。事業費が大幅に増えるということですが、具体的にどのぐらい増えるのかを教えていただきたいです。あわせて県民の負担が増えることになると思いますが、国から県に対して具体的に事業費が増える理由について説明があったのかお聞きします。

 

【知事】

 これは近畿地方整備局が具体的にいろいろな判断をしています。10月4日にそれぞれ事業を進めながら、工事費がどうなる、工程がどうなるといった議論をしているのですが、トンネル部分について、片側1車線にしてポールのようなものを立ててやっていると安全性に課題もあるだろうから、できるだけ恒久的に中央分離帯でしっかりやろうということです。この場合、百数十億円の工事費が必要だということですが、これ自身は安全の面で大事なことですから必要な財源を確保する、このことは何ら問題ないと思います。負担増という問題ではない。ただ、それをクリアしても事業継続はできるという判断をその評価委員会でしていますから、我々としてはそれをした上で事業が遅れないように要請をしたいと思います。11月12日に福井県として旧泉村で促進大会をやろうかなと思っていますから、そこでもできるだけ早くと申し上げて、要請もしないといけないだろうと思います。

 

【記者】

 足羽川ダムや農業用水パイプライン事業もコストが膨らんだりしまして、その際には、県から申し入れをしてコスト縮減をやっていったと思いますが。

 

【知事】

 今回はやや事柄が違って、片側1車線の高速道路に対する規格を向上させ、安全度を深めたいという国の方針ですから、これはこれとして大事なことだということです。何かよく考えていなくて事業が膨らんだとか余計なことをしているといったことでは全然ないと思います。

 

【記者】

 県内の中部縦貫自動車道の全線開通の時期は新幹線の敦賀開業までという方針は変わらないということでよろしいでしょうか。

 

【知事】

 これは国のプロジェクトで、国会議員の皆さんがそのようにしていこうということですから、我々はそういった考えのもとに地元としてバックアップしていくという考えです。

 

【記者】

 事業費が増えて地方負担が増えても、それに応じる考えがあるということでしょうか。

 

【知事】

 無駄なことをしているわけではないですから、大事なことだろうと思います。

 

【記者】

 池田中学校の男子生徒の自殺についてお聞きします。先立って第三者による調査委員会の報告書もまとまって、教員の行き過ぎた指導が生徒を追い詰めたというような指摘もなされています。教育先進県としてPRしていく中でこうした問題が起きたことについて、知事はどのように受け止めていますか。

 

【知事】

 こうした出来事が起きたということは非常に悲しいことであります。報告書によると、追い詰められた生徒さんの気持ちはもちろんですが、ご家族や友人の皆さんに非常に悲しい、残念な思いを持っておられると思うわけであります。これまでもいろいろな事件が起きるたびにいろいろ思ってはおり、胸が痛むような気持ちであります。

 こういったさまざまな問題は、特に小・中学校は市や町が中心になって行う仕事でありますので、町の教育委員会としてさまざまな対応もしていただきたいし、またそれを期待していますけれども、県の教育委員会としてさまざまな支援あるいは町の求めに応じて助言もしてきていると思います。いろいろな会合を持っていると思いますけれども、町がしっかり対応できるよう、必要に応じてバックアップを特に教育委員会としてやってほしいと、このように思っています。

 

【記者】

 確かに市町の教育委員会が主体だとは思うのですが、全体的な方向性を決めるのは県の教育委員会の仕事だと思いますし、知事も教育総合会議などで教育行政について責任あるお立場と考えております。

 その中で、以前から県議会でも指摘はありますが、学力偏重の問題もございまして、報告書の中でも高校進学や学力検査、こういったものに気をとられて生徒一人ひとりに応じた指導ができなかったのではないかというような指摘もなされています。そういった教育現場の課題について知事はどのようにお考えでしょうか。

 

【知事】

 池田町の場合には生徒さんの数も40人余り、先生も十数人おられて、目が行き届く学校だと思います。また、地域的にも互いにつながりがあるでしょうから、十分、町として、どういうことでこういうことになったのか、原因なり対応をさらによくお調べ願って、必要なことをしっかり進めていく。何といっても学校内や地域で動揺があってはいけないわけで、安心して落ちついた本来の学校運営や授業ができることが大事でありますから、県として可能な限り応援するということです。

 

【記者】

 知事として、今後この問題を踏まえて県内の学校現場でどういった指導がなされるべきだと思いますか。

 

【知事】

 今回の問題については、10月17日に、学校事故等に係る校長等研修会を開催するなど、関係のある先生方と教育委員会で、すでに対応されておりますけれども、なおいろいろな状況を見ながら対応する必要があるのではないかと思います。

 

【記者】

 自民党の公約の、改憲4項目の中に合区の解消が入っていました。解散直前の話になるのですが、参院選の一票の格差の判決が出ました。今までと違って違憲状態とは出なかったのですが、結果的に合区を導入したことで一票の格差が縮まったと評価された形の判決です。一方で、都道府県単位の選挙区割りが不合理で許されないとしたものではないという微妙な言い方ですが、都道府県単位の選出を否定していないという流れの判決にもなっています。今後、政府与党でどのように改憲議論を進めてほしいか、もしくは改憲によらずともどのように合区の解消を進めていってほしいかという知事の考えを聞かせてください。

 

【知事】

 これまでも一票の格差についてはさまざま申し上げておりますが、根本の議論もいろいろあるのです。単に形式的な一票の格差を議論していくと、これは切りがなく、悪循環に陥るのです。かえって大都市と地方の格差を50年、60年にわたって助長している1つの政治的な要因だと思いますので、そういった考えをなくす必要が一方であると思います。

 具体的な改善については、これは衆議院、参議院両方ありますけれども、地域を合区にしたりといったことで問題を解決するのはあまりいい方法ではないのです。これは基本的には避けるべきだと私は思っています。かつ、そのことについて憲法を改正しないとできないのではという議論もありますが、私は必ずしもそうでもないと思っています。これから議論も進むでしょうから、私も私の立場でこれまでの考え方をベースに知事会や、また個人的にもいろいろなことを申し上げたいなと思っています。

 

【記者】

 改憲となるとかなり時間も要しますし、その前に公選法の改正で可能かと。

 

【知事】

 はい。法律改正でどこまでできるのかというのは追求していいことで、日本の憲法って、書き方が非常に緩やかなのが特色です。条文も少ないし。細かい手続は他の国に比べてそれほど書いてないです。憲法の精神にのっとる限り、憲法を現代的に国民のために解釈するといいますか、21世紀型にする限り、必要なことは法律改正でできるのだと私は思いますから、そういった同じ考えを今おっしゃったのだと思います。まずはそういったことを追求すべきかなと思います、憲法改正ありきではないと思います。

 

【記者】

 えちぜん鉄道と福井鉄道の相互乗り入れについて、先日、まちづくりの関連でグッドデザイン賞を受賞しました。その点について知事のご感想をお聞かせください。

 

【知事】

 福井鉄道、えちぜん鉄道の相互乗り入れについては私が平成15年の1期目のマニフェストで掲げた項目でありまして、いろいろ紆余曲折ありましたがようやく実現して、効果も出ているようでありますので喜んでいました。今回、日本で初めてといいますか、異なる電車事業者というのですか直通で互いに乗り入れ、新しい社会基盤のデザインを考え出したということで表彰を受けたことを非常にうれしく思っています。

 

【記者】

 お客さんも3倍に増えているということで、さらなる利便性向上につながるかと。

 

【知事】

 そうですね。少子高齢化の時代、福井県は車社会の最たる県だと思いますから、そういった中で鉄道にこのような動きが出るのは非常にバランスのとれた課題解決になるのではないかと思います。

 

【記者】

 運行区間がさらに延びるともっと便利になるかなと。

 

【知事】

 そのために投資も必要ですけれども、さきほどのお城周辺の事業と同じように、ある事業を行って、これはいいことだということを実感すると次のことがまたできるので、一挙にはなかなか進まない。頭で観念論が起こるところで、できるものもできなくなります。少しずつやって、ああ、いいなと思ったら次をやるということだと思います。

 

【記者】

 大飯3、4号機の再稼働について、明後日、地域協議会が開催されて、広域避難計画の決定が進もうとしております。昨日、県の原子力安全専門委員会も現地を確認されて、間もなく会合が行われるのではないかと思いますが、改めて、知事としてご判断することについてどのタイミングでと考えていますか。

 

【知事】

 大飯3、4号機については、昨日、県の原子力安全専門委員会の先生方が現場を確認したということでありまして、今後、委員会としてもそれを受けてさらに議論の整理が行われると思います。今回の衆議院選挙でもいろいろありましたが、原子力発電に関する国民理解の促進を、さらに進めていただかなければなりませんし、かねがね言っている使用済燃料の中間貯蔵施設の県外立地などについても、現在、国や事業者においてどのように対応していくのかという考え方ですね、これの見きわめをやっておられるのだと思いますので、現段階での我々の判断はまだ未定ということになります。

 

【記者】

 状況を見ていると、着々と進んでいるなと思うのですけれども。

 

【知事】

 一つ一つが進められている感じです。まだ進んでいないものもあるということです。

 

【記者】

 進んでいないものと知事が考えられるのは、今おっしゃった国民理解の促進や使用済燃料のことですか。

 

【知事】

 使用済燃料の中間貯蔵の県外立地の考え方がまだ出ていないと思います。

 

【記者】

 出ていないという判断ですね。

 

【知事】

 国民理解は、これは長期的な課題で、絶対的に100%できたという問題ではないと思います。

 

【記者】

 知事として進んでいないとお考えになっているのは使用済燃料、ここが問題。

 

【知事】

 さらに国民理解の促進の次なる姿勢などです。

 

【記者】

 国民理解に関しましては、前回、高浜のときから注文されて、国も姿勢は示してきている。高浜3、4号機の再稼働のときも、県からも注文しましたし、その都度姿勢というのは国も示してきまして、知事が3、4号機の再稼働を了承したという経緯があると思うのですけれども、そこからずっと今まで来ていまして、今回また姿勢を確認するということになると思います。知事は国民理解がまだ高まっていないという思いを持っていると思うのですが、高浜のときと比べてもなお今不満と思っている中で、今後、国にさらに求めたいのはどういったことでしょうか。

 

【知事】

 それは彼らが考えることです。いろいろ申し上げてはおりますけれども。まだまだ足らないと思いますし、今回の衆議院選挙でもどれぐらいの議論がなされたのか。いろいろ我々も申し上げておりますが、そういったものの積み重ねでありまして、今回の再稼働の議論に当たっても、国や事業者がさらに何をしていこうかという方向を出していただきたいと思います。

 

【記者】

 今の中間貯蔵について、現在、関西電力等が出しています見通し、計画よりもある程度具体的に進まない限りにおいては、大飯の3、4号機について再稼働の判断はできないというお考えを持っているということでよろしいでしょうか。

 

【知事】

 今日、国が使用済燃料対策協議会を開催することは承知しています。さまざまな動きもありますから、そういった動きも見る必要があると思います。

 

【記者】

 特段、具体的な進展に関しては条件とはされないのですか。

 

【知事】

 条件というよりも、そういったものの進展が、これまでお約束いただいている話がありますから、その動きがないと動いていないということになりまして、ちゃんと約束を守っていただかないといけません。現時点で全て、いつ何をするという、そこまでの議論ではないかもしれませんが。

 

【記者】

 県と事業者の約束は、2020年ごろの県外立地の地点確定、2030年ごろの操業開始になっていると思います。今まだ2017年で、地点確定まで2年半ある中で、一応、考え方の方向性は少し出ていると思うのですが。それ以上に知事が、現段階で求める考え方というのは例えばどういったことを想定されているのでしょうか。2020年の立地地点確定というのは、県と事業者が約束している話になっていると思うのですが。

 

【知事】

 2020年の稼働とか、こういうものはできるだけさらに具体化しないといけないですね。

 

【記者】

 中身をということですか。

 

【知事】

 中身ですね。

 

【記者】

 県外立地の地点が確定して。

 

【知事】

 中身というか、事柄は、中身の程度もあるけど、できるだけわかるようにしていかないと具体化にならないですね。

 

【記者】

 立地地点確定の前倒しを求めていらっしゃるのか、そうではないのかというのを教えてください。

 

【知事】

 それは何が出てくるかによります。

 

【記者】

 事業者の判断待ちという。

 

【知事】

 できるだけ具体化をするということです。

 

【記者】

 中間貯蔵に関連して、関西電力はこれまで説明会を何回やったとか、回数を増やすといった報告をしてきていますが、それに対して県は納得いかないというような答えかと思います。次に、関西電力からどういった説明があれば事態が進捗したと知事は判断できるのでしょうか。

 

【知事】

 それは関西電力がどのような考えを持っていらっしゃるかによります。そんなに簡単な課題ではありませんから。

 

【記者】

 中間貯蔵に関連して、2020年ということは関西電力との1つ約束があるとして、六ヶ所村の再処理施設が動いていけば当座はそこに出していけるという関西電力の見立てもあると思います。その六ヶ所が具体的にどこまで動くかということが、中間貯蔵施設の代替として足り得るのかという知事の認識をお聞かせください。

 

【知事】

 それはどうも言えません。いろいろなものがあるから。それだけでのお話ではないですし。

 

【記者】

 実際施設をどこにつくるかということを2020年までに何としても決めてほしいという姿勢に変わりはないですか。

 

【知事】

 いずれにしても関西電力が再稼働するために、我々が申し上げていることに対するお答えをいただかないといけないのだから、それをいただいた上の話になってくるので、それはあまり今ああだこうだと論じ合っても、何ともなりません。出たときの話です。

 

【記者】

 県内で希望の党の候補者が当選し、自民党以外としては8年ぶりに福井県内で衆議院議員が誕生したということになるのですが、希望の党は2030年に原発ゼロという公約を掲げて戦って、候補者本人も原発にかわる産業をということを盛んにおっしゃっていました。比例復活ながら当選したということは、ある程度原発を早い時期になくしてほしいという民意のあらわれではないかと安直に考えるのですけれども、知事は、どのように捉えていますか。

 

【知事】

 ご本人からよくお考えを聞かないといけません。

 

【記者】

 本人の考えではなくて、そういったことをおっしゃっている候補が当選したことに対する認識を。

 

【知事】

 それはそれ以外にいろいろなことがあると思います。全国で希望の党を支持している人がどのぐらいいらっしゃったのか、ご本人がそのほかいろいろなことを地元でお訴えになっておられることに対する受け止めなどですね。

 

【記者】

 原発が全てではないということですか。

 

【知事】

 それは全体で判断されたものですから。

 

【記者】

 ちなみに2030年に原発ゼロという考えについては。

 

【知事】

 これはエネルギー基本計画とは合っていないです。

 

【記者】

 大飯3、4号の再稼働もあるが、他方で大飯1、2号が廃炉という報道も出ました。これが事実かどうかは、事実ではないと関西電力がいっている以上それを信じるしかないとは思うのですけれども、仮に事実であるならば、報道が先行して地元の頭越しにまた廃炉が決まっていくという、「もんじゅ」と同じような構図が繰り返されているのかなと思います。知事は盛んに「もんじゅ」で失われた将来像を何とかするのが先だろうという話をしていますが、3、4号の同意の判断と、今、1、2号が廃炉になるかもしれないという報道とは、知事としては切り分けて考えていくという方針でよろしいですか。

 

【知事】

 また片方の話はそんなことを考えていないという話ですから、その状態で議論するということかと思います。

 

【記者】

 仮に判断の直後か、直前かわからないですけれども、本当に廃炉にするという話が出てきた場合の対応は、3、4号についてもやっぱり目線は厳しくなっていく感じになりますか。

 

【知事】

 それはまた全体としてもう1回考え、どうなるかわからないけれども、今はそういった考えでないです。

 

―― 了 ――

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