知事記者会見の概要(平成18年1月24日(火))
平成18年1月24日(火)
17:20~17:45
県庁 特別会議室
【司会】
【知事】
県では、かねてから敦賀市と一体となって、株式会社巴川製紙所に対し、本県への工場の立地を積極的に働きかけてまいりましたが、このたび、同社の出資会社である株式会社巴川ファインコーティングが敦賀市産業団地に進出いたしますので、報告いたします。
本県の産業構造の高度化を図り、魅力ある就業の場を確保し、若い人たちの定住化を進めるためには、優れた企業の福井県内への立地は不可欠です。そのため、マニフェスト福井元気宣言の実現に向け、優遇制度の充実など他県に劣らぬ立地環境を整備し、私自ら、今日は山本副知事も同席していますが、積極的に自ら先頭に立って企業誘致活動を展開しています。
株式会社巴川製紙所は、大正3年の創業という歴史のある老舗企業であり、東京証券取引所1部上場企業であります。従来は、会社の名称にも使われている製紙部門が主でありましたが、その後、長年培われた技術を用いて磁気乗車券や電子写真用トナー、プリペイドカードなどの新製品を次々開発するなど、電子部材の製造が事業の中心になってきていると伺っております。
製紙については、例えば、本県は原子力発電県でありますが、一番根っこの大事な絶縁の部分について基本的な製紙の技術も使われていると社長から伺ったことがありますが、従来のものに加え、新しい技術が大きな割合を占めているということです。特に、最近は、急速に需要が見込まれている薄型テレビなどの光学フィルムの製造にも力を注がれるなど、業績や信用力からみて素晴らしい優良企業です。
井上社長には、私も直接お会いし、本県への進出をお願いしたところです。年齢こそまだお若いですが、1200名余りの社員を率いるリーダーとして、品格と高い見識を備え、将来の日本経済を牽引する経営者である思っており、私も深く尊敬いたしております。また、井上社長のおじい様は、福井市のご出身と伺っており、本県とも浅からぬえにしのある方です。
会社の概要や今後の事業計画については、後ほど、井上社長や株式会社巴川ファインコーティングの永田社長からご説明いただきますが、今回の立地は、薄型テレビなどの光学フィルムを生産するための工場であり、最終的に約210名の雇用を確保いただけると伺っております。
同社は、テレビの外光の反射を抑え、あるいは画面のまぶしさを防ぐといった薄型テレビなどの光学フィルム製造のための最先端技術を有しており、このような最先端技術を持った企業が福井に立地していただくことは、昨年作成した「最先端技術のメッカづくりの基本指針」に示した「モバイル・IT機器」クラスター形成に大きく寄与するものであり、今後、クラスターの核企業として大きな役割を担っていただけるものと期待しております。
また、研究開発に力を入れておられる巴川グループが、「エネルギー研究開発拠点化計画」に示した取組みの一環として、原子力の持つ幅広い技術を活用した商品開発へも参加いただけたらと考えております。
そして、高度な技術を有する巴川グループが牽引力となって、地域経済の活性化や産業構造の高度化、新産業クラスター形成が加速するものと確信しております。
本県の勤勉な県民性、豊かさ、共働きが多い、健康長寿といったことが、必ずや満足いただけるものと考えており、福井に立地して良かったと思っていただけるよう、県としてもできる限り敦賀市と協力し、支援させていただきますので、更なる業務拡張等本県での積極的な事業展開を期待しております。
また、報道機関の皆さんも、巴川グループに対し、暖かい支援といろいろな助言をいただければ幸いです。
以上で、簡単ですが、私から冒頭の報告を終わります。
【司会】
引き続き、河瀬敦賀市長からご報告いただきます。
【敦賀市長】
それでは私のほうからご報告、また、会見の皆様方にお礼申し上げたい、このように思っておるところでございます。
私ども敦賀市といたしまして、産業団地の整備に取り組んでまいりました。これは国のご支援、また、県のいろんなご支援をいただいて取り組んできたわけでありますけど、昨年は第1号でありますアイケープラストさんが決まりまして、今ちょうど工事が進んでおります。
今日は、知事さんからお話がございました巴川製紙所さん、そして株式会社巴川ファインコーティングさんが、先ほど敦賀市におきまして正式に土地の譲渡等の契約を交わしたところでございまして、まずもって、この福井県、この敦賀市にお越しいただきました巴川グループの社長をはじめ各位の皆様方にお礼を申し上げたいと思います。
また、誘致に当たりまして私ども産業団地整備課のほうも一生懸命がんばりましたけれども、何と言いましても福井県の皆さん方も本当に一生懸命取り組んでいただきましたし、知事さんも何とか雇用をこの福井県に増やしたいという思いの中で、大変なお力を賜ったわけでありまして、この場をお借りして厚くお礼を申し上げるところでございます。
今ほど説明ございましたように、巴川さんは非常に優秀な技術を持たれております会社でございますし、特に拠点化ということで私たちも地域も一生懸命取り組んでいるところであります。特に若狭湾エネルギー研究センターがございまして、あそこの技術等をまたいろいろ活用いただいて、福井県発または敦賀発のすばらしい技術ができたらなあと、そのような期待も持っているところでございますし、そういうことで、是非敦賀にご進出いただいたということでご発展いただけたらなあと思っていることでもございます。
また、今回この進出に当たりまして、何と言いましても雇用面で私ども敦賀市民も本当に期待をいたしているところでございまして、そういう点ではありがたいなあという気持ちでいっぱいでございます。
これからも県はじめ知事さん方々と連携しながら、十分に相談申し上げながら、誘致を進めてまいりたいなあと思っておるところでございます。
やはり先に来られた企業さんが発展をしますと、それが一つの大きなバロメーターとして、敦賀の産業団地は良いなあということにつながってくるんじゃないかということで、私どももできる限り、また福井県さんと協力しながら、良い形で誘致し、良い団地だなあと評判が立つように今後も努力してまいりたい、このように思っておりますので、引き続きましての皆様方のご支援をお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
【司会】
引き続き、株式会社巴川製紙所の井上社長、株式会社巴川ファインコーティングの永田社長から、会社の概要および本県への進出計画について、ご説明いただきます。
【㈱巴川製紙所 井上社長】
巴川製紙所の井上でございます。よろしくお願いいたします。
先ほど西川知事からもご紹介いただきましたが、私ども巴川製紙所は、1914年6月に、昔は電線や電話線は紙で巻いておりまして、その紙を電気絶縁紙と申します。これらの電気絶縁紙を国産化するということを目的として創立して以来、「特殊紙の巴川」という地位を築き、抄クラフト紙、超高圧用半合成絶縁紙など、これが、西川知事がおっしゃっていた原発等からの電気の最初の引出しの部分に必ず使われている特殊な絶縁紙材料でございますが、さらに放電記録紙、磁気乗車券といった日本初または世界初という紙関連の製品を数多く排出してきた開発型の企業でございます。
その後、電気絶縁紙で培いました世界的にトップレベルの電気絶縁性の評価技術を核にしまして、抄紙、紙をすく技術にとどまらず、塗工、塗る技術、粉体に砕く技術、粘・接着剤の技術という生産技術を蓄積、活用しまして、お客様のご要望をもとに、電気、電子、磁気関連のニーズを満たす新製品、開発品を生み出すことで事業を多角化し、操業から92年を経た現時点では、グループ連結の売上に占める紙関連の売上の割合は半分を大幅に割り込むレベルまできております。
特に、近年ではプラズマテレビですとか液晶テレビなどの平面ディスプレイ用の光学フィルム、それから半導体を実装する時に使われる様々な絶縁のテープ、デジタルマシン対応のトナーなど、ハイテク製品分野での事業展開を加速しているところでございます。
このたび、お手元の資料にございますように、100パーセント子会社として設立いたしました㈱巴川ファインコーティングを通じまして、福井県敦賀市産業団地に1.5ヘクタールの工業用地を取得いたしまして新工場を建設することとなりましたが、この新工場は、当社操業の地である、巴川という静岡市内を流れる川の河岸にある清水工場、それから当社の静岡事業所に次ぐ、当社グループの第3の国内主要生産拠点という位置付けでございます。
当社の新たな中心的製造拠点を選択するに当たりまして、中京・関西地区への交通アクセスが非常に良く、また、敦賀港を利用いたしまして海外へのお客様への商圏拡大が期待できるといった地理的特性、ならびに先端技術産業への手厚い投資優遇制度といった投資環境の優位性に加えまして、地震・天災等の非常時に事業を継続するためのリスク分散の観点から、福井県敦賀市が最適と判断するに至った次第であります。
新工場の具体的設備、事業内容につきましては、後ほど、㈱巴川ファインコーティングの永田代表取締役からご説明申し上げます。
当社の企業規模としましては、比較的大規模な投資となりますが、新工場の建設を契機として成長と事業価値の向上を加速いたしまして当社のお客様、株主様、従業員はもちろんですが、何よりも福井県の地域社会へのご期待にお応えすべく努力する所存でございます。
最後になりましたが、大変熱心に当社グループをご勧誘いただき、様々な形でご支援をいただいております西川知事、山本副知事をはじめとして福井県庁の皆様、および河瀬市長をはじめ敦賀市さらに産業団地の皆様に厚く御礼を申し上げますとともに、今後の工事、事業の立上げに対する地元のご支援、ご協力をお願いする次第であります。以上です。
【㈱巴川ファインコーティング 永田社長】
㈱巴川ファインコーティングの永田でございます。本日は、お忙しい中お集まりいただきまして大変ありがとうございます。
ただいま、巴川製紙所の井上社長から説明がありましたとおり、フラットパネル市場の伸張を背景に、巴川グループは当該市場向けの光学フィルムの加工事業を成長事業と位置付けておりまして積極的に設備投資を行っております。
当グループの光学フィルム関連事業は、液晶向け反射防止フィルムの製造やプラズマ・パネル向け粘着塗工等を主体としまして、前期、2005年3月期ですが売上高実績で50億円強が、今期、2006年3月期には売上高見込み80億円強と考えており、順調に拡大しております。今回の設備投資を含めた当該事業への積極投資により、既存の製品に加えて、現在開発中の新用途の光学フィルムも上市し、2年後の2008年3月期には売上高が170億円弱を見込んでおります。
当社、㈱巴川ファインコーティングは、グループの製造子会社としてフラットパネルディスプレイ向けの光学フィルムの製造・加工・仕上げを担当してまいります。総投資額は約60億円を第1期投資としまして、本日取得いたしました1.5ヘクタールの敷地に、光学フィルムの製造・開発を目的とした高レベルのクリーン度を持つ国内有数の広幅コーターを設置しまして、来年の4月から本格的な稼動を開始する予定です。第1期投資による平成18年度の雇用者数は約60名、内定も含んでですね60名の予定でございます。
また、光学フィルムの仕上げ関連設備に関る第2期投資、これは、第1期と比較いたしますと、小規模な投資ではございますが、行った場合には平成19年度に約40名程度の増員を見込んでおります。
その後も3期以降の投資として、隣接します3ヘクタールの取得とその他の設備投資について継続して検討していく方針でございます。
当社は地元の企業として地域社会に貢献できますよう努力してまいる所存です。引き続き、ご支援、ご協力をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
【司会】
それでは、ただ今から、ご質問をお受けいたします。本日は17時50分ぐらいで終了させていただきたいと思いますのでご協力のほどよろしくお願いいたします。
【記者】
最終的な投資額というのは、どれくらいでいらっしゃいますか。それから、敦賀市を選ばれた理由というのをもう一度、特にこの点が良かったとか。県内でも他でもいろいろ地域があるんですけれども、特にまた福井県でもなぜ敦賀市なのか。
【㈱巴川製紙所 井上社長】
現時点では、この60億円の部分までしか決まっておりません。その次の仕上げ設備というのは、まだ見積り等取っていないので、これは何十億という単位ではなくて、数億単位のものになります。そこまでが今回取得しました1.5ヘクタールで決まっております。
あとの3ヘクタールについては、実は私ども国内には静岡市内に2つの工場拠点を持っておりますけれども、これがもう今満杯の状態になって、こちらの方にもコーターをもう1台入れるとか、いくつか投資をして、これが満杯状態で、立錐の余地もない状態になっております。次、必ず3ヘクタールの部分には、何か持ってくるんですけれども、どの事業部が進出するかという部分に関しては、ラフなプランは持っているんですけれども、順番の前後する可能性もあると思いますので、ちょっと現時点では…。ただ、第3期は数十億単位の数字にはなるというふうに考えております。
立地の問題に関してですが、本県ということに限らず、実はもう2つの事業所がもう一杯一杯であるということで、国内外で新しい用地が必ず必要になるということで、私ども3年くらい前からいろいろ調査をしておりまして、こちらだけではなくて。
今、実は中国に1つ、これはコピーやプリンターのトナーの工場を造っておりまして、またメキシコにも5年前に工場を造っておるのですけれども、こういった比較的ある意味若干コモディティ化(低価格化・普及品化)した、人手だけで対応するようなものは(海外に)出していくわけですけれども、何と言っても、ハイエンドの技術の先端を、お手元の資料にあるように、常に我々は開発型で今までにない製品を造っていく会社ですので、そういったものは何としても国内で造る拠点が必要だと言うことで、ここ2、3年かけてあらゆる可能性を探ってまいりました。最初はやはり中心は我々、交通の便から静岡県内を考えたけれども、そういうことでいくつもの候補地、北陸でも2、3か所候補地の中で、そういった中で、いろいろなコストとか、お客様へのアクセス、それから静岡に引き続き研究開発部隊は当面残しますので、静岡とのアクセス、その他を総合的に勘案いたしまして、またもちろん地元行政、県、市の熱心な勧誘や手厚い補助金等の部分もございましたけれども、そういう部分よりもやはり立地の問題を非常に大きく感じまして、お客様と原材料メーカー、静岡との立地、その辺を考えて、こちらに進出を決めたということでございます。
もう1つは、静岡県内に2つ立地してますので、正直、東海地震に対するリスク分散ということは強く考えました。
【記者】
光学フィルムのシェアですね、国内でどのくらいの規模なのか、そういったものは出しておられますか。
【㈱巴川製紙所 井上社長】
光学フィルムにはいろいろなものがありまして、いわゆる平面テレビの表面に貼られるフィルム全部ですと、表面や中側のものを含めて何層もありまして、それぞれに用途が非常に違っておりまして、また、それぞれがある意味秘密の部分もあって、統計等がないんです。
それから私どもの主要な事業は、フラットテレビは普通に、昔のブラウン管テレビは丸みがあったんでまだいいんですけれども、平面のテレビですと、蛍光灯とか映り込んでしまいますね、視聴者の後ろの。そういうものをある程度表面を荒れさせて、乱反射をさせて、映り込みを防止するというものがありまして、これもレベルによって、すごく違いまして、1番安いのはAGアンチグレア(防眩)という㎡当たり数百円の加工のものから、1番高いものはアンチリフレクション(反射防止)という何万円もするものまで、いろんなレベルがありまして、この中のどの部分っていうのがあって、非常に難しいのですが、1つだけ、我々が思ってますのは、プラズマパネルディスプレーはいろんな粘着層があるんですけれども、粘着と言っても簡単なものじゃなくて、テレビの表面にあるものですから、完全に透明で光を完全に通さなきゃいけないものですが、この透明粘着、着色粘着の分野では、国内で4割から5割くらいの、国内というのはイコール海外も含めてですから、グローバルシェアの4割から5割くらいを持っているのかなと思っています。
【記者】
敦賀港を利用した商品関連の期待とおっしゃいましたけれども、具体的にターゲットとしている地域とかはありますか。
【㈱巴川製紙所 井上社長】
もちろん、それは中国・韓国等を敦賀港からだと思うのですけれども。
今現在…、それはより長いシェアを持ってのことでありまして、今、開発ならびに生産して、造っているものの直接のお客さまはほとんど日本になります。ただ、私どもは先ほどご紹介あったように、プリンター、コピー用のトナーのメーカーとしては、世界シェア3位か4位で、グローバルシェアで10パーセントから8パーセントの間くらい占めてまして、ちなみにゼロックス、キャノン、リコーグループ、巴川、リコーと巴川と同じくらいで、機械を造っていないトナーメーカーとしては世界で一番のシェアを持ってる会社でして、トナーはシカゴと、アメリカは昔から造っておりまして、中国で作り始めるんですけれども、トナーの次の拠点は3期以降に考えうると思ってまして、そうしますと中国、韓国、東南アジア等への輸出拠点、輸出は敦賀港などを使うのが良いのかなあと。比較的重いものですからね、トナーというものは。光学フィルムは実は結構軽いので、飛行機で運んでもそんなにあれですけれども、トナーですと、トナーをこちらで作り始めた場合はかなり競争力になるなあと予感してます。ただ、これはまだまだこれからの話ですけれど。
【司会】
ほかになければ、以上で記者会見を終了します。
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