知事記者会見の概要(平成30年5月23日(水))

最終更新日 2018年5月24日ページID 038891

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平成30年5月23日(水曜日)
10:30~11:30
県庁 特別会議室

H30.5.23知事写真
 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

【知事】  

今日は、発表事項として陸上競技の聖地9.98スタジアム(県営陸上競技場)の愛称デザインの完成について、国体・障スポ関連行事への県民の積極的参加について、夏目漱石の自筆はがきなどの発見について、ご当地ブランド「福地鶏の肉」を使った料理の提供についての4点を申し上げます。

 

 まず、9.98スタジアムであります。

〔資料:「9.98スタジアム」(福井県営陸上競技場)愛称デザインの完成について

昨年9月9日に桐生祥秀選手が国体のプレイベントとして開催した日本インカレの男子100mで9秒98を記録されました。そろそろ陸上の季節にもなってきていますが、この記録がみなさんの記憶に残るように、県営陸上競技場の正面に愛称「9.98スタジアム」と新記録誕生の地をあらわす大型のサインボードを設置したほか、観覧席入り口のいろんな表示などもトラックをイメージした統一のデザインとしています。

 また、9.98スタジアムで桐生選手と一緒に記念写真が撮れるスマートフォンのアプリをつくりました。スタジアム正面の大型サインボード横に掲示してあるQRコードでスマートフォンアプリをダウンロードしていただいて、皆さんにお使い願いたいと思います。

 愛称デザインの工事も完成しましたので、5月27日の日曜日、午後12時半から除幕式を行います。当日は県高等学校春季総合体育大会、若越陸上競技大会が開かれますので、両大会に出場される選手もご参加いただきます。

 なお、式典では桐生選手からのビデオメッセージを披露するとともに、スマートフォンアプリを紹介する予定です。

 9.98スタジアムを陸上競技のメッカとしてPRし、県民の皆さんはもとより、全国のアスリートにもいろんな大会、合宿などで使っていただきたいと思っています。

 

 次に、国体まで120日余りとなりましたが、国体・障スポの関連行事の話であります。

まず、炬火イベントでありますが、式典で炬火台にともされる炬火の火を起こすイベントが県内各市町で行われています。5月3日には越前市で県が制作した炬火トーチと炬火受け皿を使って、千三百年大祭が行われた岡太・大瀧神社の伝統の火が採火されております。また、美浜町では、5月13日の日曜日に美浜・五木ひろしマラソンで炬火イベントが行われておりまして、住民参加によって8月末まで、順次、開催されます。

 なお、各市町で採火された17の火を1つに集める集火式については、9月1日の土曜日、ハピテラスにおいて行うことが決まっております。この炬火は国体開会日、9月29日の土曜日に炬火台に点火をすることになります。

 それから、障スポのプレ大会です。

〔資料:第18回全国障がい者スポーツ大会(福井しあわせ元気大会)プレ大会の開催について

6月9日、10日、それから17日、いずれも週末でありますが、9.98スタジアムをはじめ、県内15の会場で障スポのプレ大会を開催します。陸上や水泳など6つの個人競技は毎年行われている県障がい者スポーツ大会をプレ大会として行い、715名の選手が参加します。また、ソフトボールなどの7つの団体競技については、障スポの北信越・東海ブロック予選大会をプレ大会として実施し、県内選手144名、県外選手781名、合計925名の選手が参加いたします。個人、団体合わせて全体で1,640名の選手が県内10の市町で熱戦を繰り広げるということであります。

 この期間中、観客誘導、会場の美化などを行う運営ボランティア、手話通訳などの情報支援ボランティアのほか、中高校生が競技補助員として競技会を支えるなど、選手のほかに3,700名の方が参加いたします。

 国体・障スポのテーマである融合を実現し、成功したいということでありますので、プレ大会にもご関心をいただき、また、10月の本大会にも、ぜひ会場に足をお運び願いたいと思います。

 なお、同日の6月9日、10日については、静岡県御殿場市において国体の馬術競技のプレ大会が行われます。本県選手10名が出場し、県内の高校生10名が競技補助員として参加しますので、併せてお知らせします。

 

 次に3点目でありますが、夏目漱石による自筆のはがき等が発見されましたので申し上げます。

〔資料:夏目漱石の自筆はがき等について

 今回、県立こども歴史文化館が本県出身の国文学者、芳賀矢一氏に宛てた夏目漱石の自筆のはがきなど、歴史資料194点を発見いたしました。このうち、漱石のはがきは3通発見され、ともに東京帝国大学で学んだ学友であり、文部省の留学生として同じ船でヨーロッパに渡った芳賀矢一、それから藤代禎輔という方に宛てたものであります。

 芳賀矢一さんは福井市の出身で、国文学の基礎を築いた方だそうであります。芳賀さん宛ての1通は、留学中に病気になり帰国の途についた友達が亡くなったことを知った芳賀さんが、その学友を記念する文庫を設立しようと呼びかけたのに対し、漱石が了承したという内容の手紙だそうです。

 漱石の藤代さん宛ての絵はがきは、日本人留学生の多いドイツに留学している藤代さんに対し、ロンドンに1人で滞在していた漱石が、ひとりぼっちで寂しいとか、英語はなかなか上達しない、難しいとか、いろんなことを言っておられる手紙だそうです。

 これら3通のはがきは大正時代に発刊されました漱石全集には掲載されていますが、以後、所在不明となっていたもので、約1世紀ぶりの再発見ということになります。今回の発見資料は明治30年代のヨーロッパ留学の際のものであり、当時の日本の学問をリードすることになった人たちの人間関係、留学生としての生活が分かる貴重な資料であります。また、20世紀初めに印刷されたヨーロッパの絵はがきは、色鮮やかにして、観賞用としてもなかなか価値があります。

 現在、県立こども歴史文化館でこの資料の寄託を受けており、5月26日の土曜日から公開をするということになりますので、ご覧いただきたいと思います。

 資料の購入については、今後、所有者と相談をして、協議を進めてまいりたいと思います。

 

 最後は、ご当地ブランド「福地鶏の肉」を使った料理の提供であります。

〔資料:福地鶏の肉を使った料理の提供開始について

 県畜産試験場が開発し、養鶏農家にひなを提供している卵肉兼用種「福地鶏」について、たまごは昨年度から県内スーパーで販売しており、好評を得ております。今回は、5月25日の金曜日から「福地鶏の肉」を使った料理が県内飲食店12店で提供されます。

 「福地鶏」は、ブロイラーなどと比べると、伸び伸びと自由に動ける広い環境で長い期間飼育された肉でありますので、濃厚な旨みとしっかりした歯応えがあるのが特長です。

 県としては、県民の皆さんや観光で訪れる方々に「福地鶏」のお料理、たまご、スイーツなどをお買い求めいただくことによりまして、「福地鶏」の生産振興につなげていきたいと考えておりますので、ぜひご賞味いただきたいと思います。

 

~質疑~

 

【記者】  

絵はがきの件でお伺いします。今、寄託を受けている状態ということで、知事から購入のお話も出ましたが、おそらくコレクターも多くて、かなり高額になる可能性も見込まれます。県としては予算の面で出きるだけ支援をするような考えがあるのでしょうか。

 

【知事】  

あまり高くはならないと思います。

 

【記者】  

「福地鶏」について、今回、飲食店向けの販売ということですが、たまごのようにスーパーなどへの小売りに発展する予定はないのでしょうか。また、「福地鶏」は、今は県内で消費されていますが、将来的に県外向けにも生産拡大していく予定はあるのかお伺いします。

 

【知事】  

分量的なこともあり、スーパーで小売りをする予定は、今のところありません。おいしく召し上がっていただくため、鶏肉料理店、フレンチレストラン、料亭などで提供するということにしております。また、県外向けについては、今はまだ始まったばかりの状態だから、県外から福井に来ていただかないといけないと思います。もう少し「福地鶏」が普及すると、県外へ広げていくことは可能だと思います。

 

【記者】  

福地鶏の肉料理を召し上がった感想というのを一言お願します。

 

【知事】  

香ばしい味がしますね。

 

【記者】  

鶏の味とか臭みについてはどうですか。

 

【知事】  

臭みは全然ないですね。香ばしい肉の味という感じですね。もっといろんな料理の方法があると思いますし、できはいいと思います。適度にやわらかく、適度に弾力があるという、その兼ね合いがいいと思います。

 

【記者】  

福井市の財政難の問題が、最近、表面化してきています。大雪で多額の除雪費がかかったことで、今年度の財源不足が明らかになっています。そして、穴埋めとして、職員給与の削減や事業の削減で対応しようということを検討しています。知事としては、こういう動きをどのようにご覧になられているでしょうか。

 

【知事】  

全国では、いろいろな課題が生じて、給与カットといったことをしている自治体がかなりあります。それぞれ原因が違うと思いますが、福井市として、よく状況をさらにみんなでチェックし合って、危機感を持って対応していただくことが大事だと思います。きちっといろんな状況を把握して対応されるのが地方自治の本来の趣旨でありますので、その対応を見てまいりたいと思います。

 

【記者】  

福井市が中核市に移行しようとしていまして、4月に東村福井市長が、県議会への議案を6月に提出していただくようにと知事のところに来られています。手続きには、県議会と県の同意が必要ですが、現在、財政が難しいという状況が明らかになって、事情が変わってきたと思いますが、6月県議会に同意案の提出を予定どおりされるおつもりでしょうか。

 

【知事】  

今のところ、分かりませんが、その話と中核市の話は、別の事柄であると思います。市がこれからどのように市政を運営するかにも関わりますので、福井市や市議会で、十分、チェックや見直しをして、議論をまとめ上げるのが大事だと思います。

 

【記者】  

福井市長から状況をお聞きすることはありますでしょうか。

 

【知事】  

まだ、福井市長からお話は伺っていないです。この前、中核市でお見えになったのは

4月中旬ですね。その時には、しっかりやっていただいて、中核市を目指して取り組むのであれば、我々は、最大限応援をするというお話をしています。そういった状況の中で、こういう課題が今出てきたということでしょうから、市としてお考えをお示し願うことが大事だと思います。

 

【記者】  

旧優生保護法の強制不妊の問題で、北海道が出張相談をしたり、鳥取県では訴訟支援を独自にやるような、都道府県独自の取り組みが出てきていますが、福井県として、何か個別の取り組みというのを考えられていることがあれば教えていただきたいと思います。

 

【総務部長】       

今、お答えできる用意がございませんので、申し訳ございませんが健康福祉部にお聞きいただきますようお願いします。

 

【記者】  

福井市の中核市移行ですが、4月18日に東村福井市長から、中核市移行に同意してほしいと申し入れを受けた際に、知事のご発言として、福井市は県都なので、しっかり他の市町を引っ張ってほしいというお話をされていました。2017年度の決算見通しで、実質収支が赤字になるということが判明していますし、2018年度の予算を含め、財源に穴があきそうだという状況で、私から見ると、他の市町の手本になるという状況ではないと思います。その点に関しまして、福井市におっしゃりたいことはありますでしょうか。

 

【知事】  

その話はまだ福井市長から伺っていませんが、しっかりやっていただける状態であれば中核市になれるでしょうし、その辺をどうされるかですね。今、財政をどう健全化するかという話が出てきた状況ですので。20年ほど前にもよく似たことがあったと思いますが、地方自治体ですから、まずは福井市がこの問題をどう扱うかということかと思います。

 

【記者】  

福井市は財政難ということで、職員の給料を7月から来年の3月まで10%削減するという検討もされているようですが、これについて知事の受け止めをお伺いします。

 

【知事】  

一つ一つの対応をどうだという話はちょっと私からは申し上げにくいですね。いろんなことをよく見て、何をやったら一番いいのかということでしょうから。

 

【記者】  

県として福井市の提案に対しての理解はされるということでしょうか。

 

【知事】  

ちょっと一つ一つのことは分からないですね。

 

【記者】  

福井市の問題ですが、厳しい財政状況に置かれている背景として、特別交付税では除雪費は半分までしか見てくれないという仕組みの問題もあるのではないのかという見方がありますが、その点について何か知事の考えはありますでしょうか。

 

【知事】  

災害や雪など全国で何が起こっても、国庫で100%見られることはありませんね。ですから、それは平生からいろんな備えが必要ですし、どういう対応をするかというのは自治体としての判断が基本にあるのではないでしょうか。

 

【記者】  

新幹線時代を迎える中で積極的に投資もしていかないといけないという状況にある一方で、財政調整基金も積み立てていかないといけないというのは分かります。しかし、もし仮に大雪が今年もあったら、同様の事態が他の自治体でも発生するのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 

【知事】  

今のところ、他の自治体はそんなことおっしゃらないし、むしろ今は全国的には財政調整基金が都道府県も含めてたくさんあるんじゃないかということを財務省が言っています。そういう状況の中での話だから、各市町が全体的にどういう運営をしてきているかということですね。

 

【記者】  

今の質問に関連してですが、半額ぐらいしか災害のときは見てくれないのが当たり前で、平生からの備えが大事だという文脈からすると、福井市は平生の備えが足りなかったと言っているようなものだと思いますが、その辺はいかがですか。

 

【知事】  

福井市の全体的な話なので、ちょっと良く分からないですね。

 

【記者】  

「いちほまれ」についてですが、本格販売に向けて、ふくいブランド米協議会副会長の田波五連会長は、京阪神を中心に売っていくというような考えを示されています。去年からPRなどを首都圏を中心にやっている中で、今年の本格販売についてどの地域を中心にして、どういう販売戦略でいくのか、それに対する協議会会長としての知事のお考えはいかがでしょうか。

 

【知事】  

やっぱり関西というのは根っこに地盤というか、フランチャイズとしてありますが、さらに、日本一誉まれ高い本格のお米ということですから、首都圏へ打って出ようという作戦です。今年は本格生産販売ですので、これから秋の稲刈り直前ぐらいからさらに強力に売り出していく作戦です。

 

【記者】  

今まで実績がある関西をベースに販売していくということでしょうか。

 

【知事】  

関西という根っこを押さえつつ、東京もターゲットにしていくということです。

 

【記者】  

昨日、新幹線の要望があって、国土交通副大臣から、敦賀以西の前倒し着工について前向きな発言があったと思います。しかし、財源がない状況で、やりたいと言っても仕方がないわけで、何か財源の議論をスタートさせるなど、財源の議論についての前向きな発言というのは特段なかったのでしょうか。

 

【知事】

 財源というのは、我々はあると思っている。それを決められるかどうかでしょうから、北陸新幹線でいろいろな貸付料とかできるだけ早く確保して、これを新幹線建設に投入する、その他いろんな手段もあります。それから、JRの業績もいいですから、前の計画がつくられた時に比べると2倍以上の税収があります。その税収を使うと、いわゆる国の交付金というのが、2倍ぐらい得られますから、財源としてはスケールが非常に大きくなります。いろんな方法がありますから、いろんな意思決定の作業を早くする。現場の調査、それからプロジェクトチームの作業を早くすると。国会議員の皆さんの大きな力にかかっています。昨日の北陸新幹線建設促進大会では、関西からもたくさんの政治家の方が、これまでになく見えておりますし、兵庫県の井戸知事や京都府の西脇知事、関西経済連合会の松本会長がお見えになっているから、関西の新幹線としての盛り上がりをこれからやっていくということでしょう。

 

【記者】       

国土交通副大臣から財源議論を早くしますというような発言はなかったのでしょうか。

 

【知事】  

財源というのは、そういう議論というのではなくて、決定されるかどうかというタイプ、性質ですね。何か用地交渉をするとかそういうタイプのものでは全然なくて、決めるかどうかです。今、そのお金がどこかにあって、何かに使っているからということになると、これは将来のお金ですから、地方創生で日本をこれからよくしようという時に、お金の使い道はそういうことでしかないですよね。東京でオリンピックがあったり、大阪で、万博やIRをやるじゃないですか。しかし、そのようなものを局地的にやっても、ネットワークがまともにならないと、日本のいろんなまちづくりとか地域づくりって成り立たないから、それは遠慮なく我々としては言う必要があるだろうと思います。

 

【記者】  

国土交通副大臣が整備新幹線の九州や北海道からも要望があるのでというようなお話をされたと思いますが。

 

【知事】  

それは陳情をお受けになる人たちの受け言葉ですね。

 

【記者】 

 九州や北海道に財源を取られてしまうという心配はないですか。

 

【知事】  

九州や北海道の方が陳情されると、北陸新幹線は非常に重要だとおっしゃっていただいていると思っています。

 

【記者】 

昨日の北陸新幹線建設促進大会の知事挨拶で、フリーゲージトレインの採否を夏までに判断願いたいという発言がありました。今までは、「早く」という表現だったのが「夏まで」と期限を区切られています。具体的に、夏が近いので、代替策として、知事として何が一番いいと考えているか改めて伺います。

 

【知事】  

一番大事なのは早く大阪へ行くこと、これが王道です。そうした上で、もともとフリーゲージというのは敦賀で新幹線が一時期止まってということでのセットでなされた提案だと思いますから、それがだめだというなら、早く意思決定をして、次の案を考えないといけないということです。

 

【記者】  

次の案というのは、国が決めるのか、県から提案していくのか、その辺の姿勢はどうでしょうか。

 

【知事】  

それはまたちょっと難しいんです。そう簡単ではない。いろんな自治体の利害にも関係しますので。

 

【記者】  

先ほど知事から、全国的には財政調整基金がたくさんあると財務省は言っているというお話がありましたけど、そういう全国的な情勢の中で、福井市は財政調整基金、昨年度末の残高ではゼロになってしまったと。来年度の予算を組むのにもどうなるのかというような心配もあると思いますが、地方自治体にとって財政調整基金の重要性というものを改めてお聞きします。

 

【知事】  

財政調整基金というのは波があって、いざという時に備えようとするとたくさんあり過ぎると言われ、使ってしまうと、貯めておかないとだめじゃないかということの歴史です。ですから、福井市も、ちゃんといろんなお金を使ったということであればそれでいいだろうし、そんな、貯金をやみくもに貯めればうれしいという話でもない。県都の市として何であるかということを考え、これから何の事業があるのかということであります。それは市がまず考えないといけない。我々がいろいろおせっかいする話ではないです。

 

【記者】  

財務省は、財政調整基金の残高を理由に地方の歳出カットをしようとされていることについてはどういうふうにお考えですか。

 

【知事】  

それは問題です。仮定の話として、福井市がたくさんの財政調整基金を持っていてもまた問題で、何もしてこなかったんじゃないかということになる。

 

【記者】  

国が、夏頃に実施すると言っている高浜・大飯において同時発災が起きた場合の訓練について調整を進めているということですが、その後の進展の様子をお伺いしたいです。また、8月3日に高浜3号機が定期検査で止まるということで、それで、同時に2つの原発が動く状態が一時なくなるわけですけれども、それまでに、同時発災の訓練をやったほうがいいという意見もありますが、それに対しての知事としてのお考えをお伺いします。

 

【知事】  

同時発災という言葉は、我々も簡単に言ったりしますが、何のことだと思うとそんなに簡単でないんです。同時に発災するってどういう意味だということをよく押さえないといけない。若狭湾にはいろいろ原子力発電所がありますので、まとめていろんな問題を訓練としてやるということはあると思いますが、同時発災という想定があり得るのかどうかというのは、よく国と相談をしなければならないということです。

 

【記者】  

では、同時発災という言葉は使っていないかもしれませんが、国としては高浜・大飯を想定した原子力防災訓練を行うと言っていますので、その訓練の意味というのは、どうお考えでしょうか。

 

【知事】  

原子力訓練をする時に、被害想定というか、原因想定をします。それをどうするかというのが1つあって、あまりそこにこだわらないでやるのかということはあると思います。せっかく訓練するのだから、いろんなことをこれまでもやっています。2日間かけて訓練をする場合も、今日は大飯の発電所で事故が起きた、明日は高浜で起きたっとかを考えているわけじゃありません。ですから、同時発災というのは、一緒に起きたというような意味になるから、そういうことは想定として、現状で適当なのかどうかというのを国などと十分相談しながらやると。言葉だけではないということであります。できるだけまとめていろんなことはやりたいとは思っています。

 

【記者】  

時期については、今のところ、夏頃ということでした。

 

【知事】 

夏頃がいいと思います。

 

【記者】  

それはなぜでしょうか。

 

【知事】  

国体の最中に防災訓練は実施できないですし、真冬というのもまた大変です。訓練というのは多様で、どういう想定で、いつ何をするかというのは、少しずついろんな経験を積んで訓練の実績を上げないといけません。全部、皆さんに理解をしていただいて、避難する人たちも、自治体も、それから応援する実動の人たちも、何をしているのだという自覚がないといけません。単に訓練しているだけでは何の意味もなくて、自覚が大事なんです。

 

【記者】 

 エネルギー基本計画の話ですが、あの素案に対して感想というか、知事として、立地代表として納得できるものだったのでしょうか。

 

【知事】  

いろいろと書いてはいますが、1つは、出口じゃなく、入口としての、最初の導入部の議論になります。東北大震災が起きましたが、そのときに福島はああした事態を被った。一方、東北発電所の女川は耐えたという、そういう歴史的事実をどう評価するかというのが、もう10年近くになりますので、明瞭にした上でいろんなことをしないといけないだろうということを申し上げています。それは大事なところですから。今、いろいろ素案が出ていますので、パブリックコメントとかいろんなところでどうなるかということはあると思います。

 もう1つは、重要な基幹電源と言いながら、限りなく低減と言っています。非常に分かりにくいので、そこをどうするか。時間の問題なのか、あるいは単なる考え方の話なのか、両方をいろいろ書いているのか、それがあやふやだということ。

 それから、廃棄物とか核燃料のいろんな後処理の問題、これが事業者中心の表現にややなっている。「国が」と書くべきところを「国も」とか書いてあるところがあります。「国が」であるということを強く言っていますので、そういうところがどうなるか。

 さらに、もう1つは、これはいろいろと日本のエネルギー状況を考える時というか、原子力がなくてもちゃんとみんな動いているじゃないかという議論に対して、本当にそういう議論でいいのかということであって、電力コストの問題、何兆円というようなことがどんどん累積していっている状況の中、再生エネルギーも進めないといけないし、原子力も基幹電源と言っています。双方のバランスはあると思いますけど。それと、日本のエネルギーの特殊性とか、島国だとか。何かイギリスに似ていると書いてありますが、イギリスに本当に似ているかというと、似ていないように思います。島ではあるけれども、イギリスは日本の国よりも人口や経済規模は小さいし、しかも北海油田はちゃんと持っているし、ドーバー海峡には相当の電力融通のラインがあるわけで、日本と全然違います。エネルギーはそれぞれの国特有の問題で、それが日本には特に厳しくあらわれているから、そういうことを厳しい認識をした上で、どうなんだろうということがよく分かるようなレポートにもっとすべきだということを言っています。

 

【記者】 

 当日のやりとりも伺っていますが、それで、座長一任としたら、世耕経済産業大臣が、いろんな意見があった中で合意して、一任してもらったから、素案が全てのアウトプットだとなってしまうのではないかと思うのですが。

 

【知事】  

素案は全てじゃなくて、今言ったようなことは反映させていただく必要があると思っています。パブリックコメントもあるから、それは原子力発電所の賛成派も反対派もいろいろあるし、そうではなくて、あれはあれ、これはこれという人たちもいるから、それは国民全体の議論だと思います。ただ、誤った理解をして何か判断をしてはいけないし、あまり短期的に見てもいけないだろうということだと思います。

 

【記者】  

あと1点ですが、18日の衆議院の経済産業委員会で、本県の斉木衆議員がいろんな質問をされている中で、世耕経済産業大臣が答えたのは、今、2050年に向け予見することが、難しいところもあると。今、見通せる姿ということでエネルギー基本計画の素案を示しているということで、とりあえず2030年の電源構成はあれで達成できるだろうという見通しがあるからああいう計画になっているんだという、何かあべこべの言い方になっているような気もします。その辺の国の見通しの甘さについては、いかがお考えでしょうか。

 

【知事】  

ちょっと全体的に言葉がロマンチックだと思います。いろいろ勇ましい言葉だとか、一方で総力戦とか、野心的な多様性のあるプログラムを総動員とかそういう言葉はあるんだけど、その道具なり、手段なり、スケジュールが明瞭かとか、そういうところがあるのが課題だと言っています。

 

【記者】  

理念は美辞麗句を並べてあるけれども、そこへのプロセスが足りていないということでしょうか。

 

【知事】  

そういうことですね。

 

【記者】  

避難訓練の話ですけれども、同時発災という考え方で、訓練のシナリオをつくると、すごく多様なケースがあると思います。例えば福島第一と第二があって、あのとき第二が止まらなかったらどうなっていたかとか、いろんなことが考えられると思います。そうした訓練をする場合、事故の制圧だとブラインドでシナリオをふせて、最悪のシミュレーションを想定することがあると思いますが、避難訓練において、2つの原発が、同時期に事故を起こしている状態を考えての訓練というのはどういうものになると考えていますでしょうか。

 

【知事】  

それがよく分からない。そんなことがあるのかと。規制委員会はあると思っているのかとか、世の中にこれまであったのかという、そういう話になるから、そこはよく慎重にいろんなことを考えていかないといけない。

 ただ、いろんな訓練はできるだけ、世の中にあったように、そして、少しずつ積み重ねて、良くしていかないといけないから、消極的な訓練ではいけないと思いますけれども、そこは十分、みんなで考えないと、誤解もするだろうし。何の訓練を自分たちは今やっているのかとか、それがないといけないと思いますので、そこを今、国も考えられて、我々といろんな相談をしている状態で、夏にはやりましょうということです。

 

【記者】  

一方で、内閣府の原子力防災は、大飯・高浜だと、対象となる避難区域の人口が7割ぐらい重なっているという話で、それぞれの避難計画で対応可能だというような見方も示していますが、従来の避難計画で大丈夫だというのを確認するという訓練になるのでしょうか。

 

【知事】  

そうだと思いますが、確信を持っていろんなことをやるというと大変なことですので、一つ一つ前提を置いて、積み重ねて、今回はこういう訓練だとしないといけないと思います。訓練だけを壮大にしても意味がないですし、中が空っぽだといけませんので。

 

【記者】  

中身としてはどういうものを求めたいかということでしょうか。

 

【知事】  

特に避難する際の交通条件が一番の課題だと思います。あとは、機動、実動部隊というのかな、船をどう持ってくるかとか、ヘリコプターをどう持ってくるかとか、いろんな条件が要ります。そういうものをできるだけ、いわゆる言葉で言うと、実践的にすると。想定だけ大きくしたけど、ヘリコプターは天気がちょっと悪いと飛ばないとか、それでは、何かそもそも精神が合っていない。例えば言葉で同時発災と言いながら、いや、ヘリコプターは来ないなんて、そんな話をしていたら妙ですから、それはうまく合わせないといけないということです。

 

【記者】  

原発再稼働への同意権についてお考えをお聞きします。昨日、滋賀県が原子力規制庁に対して、再稼働の同意自治体の範囲を法律で定めるように求めましたが、同意自治体の範囲を法律で定めることについて知事のお考えを教えていただきたいと思います。

 

【知事】  

どのように定めるのかということですか。

 

【記者】  

今は安全協定で事業者と立地自治体との間での話がある中で、法律で明確に、こことここというふうに定めるように滋賀県は求めたみたいですが、同意権を持たれている立地県の知事としてどういうふうにお考えでしょうか。

 

【知事】  

原子力のことを全体に、これまでの歴史とか現状を考えると、国は応じないのではないのかなと思います。そういうお考えを、ある自治体がお持ちだというのは1つの考えだと思いますが、実態に合わないと思います。

 

【記者】  

法制化は必要ないというご認識でしょうか。

 

【知事】  

国が応じないのではないかと私は思っています。

 

【記者】  

エネルギー基本計画の新増設とかリプレースに関する知事のお考えを改めてお伺いしたいと思います。

 

【知事】  

特に今のところ、どうだということはないです。

 

【記者】  

知事は安全炉への転換ということをおっしゃったかと思います。しかし、将来を見通さないとどんどん原発はなくなっていくわけで、今、分からないと言っていたら2050年に建設できないと思いますが、その辺はいかがでしょう。

 

【知事】  

そんな問題を頭から言っても仕方がないと思うし、新型炉をどうするかというそういう話だけではないと思います。

 

―― 了 ――

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