知事記者会見の概要(平成18年6月12日(月))
平成18年6月12日(月)
13:30~14:20
県庁 特別会議室
【知事】 日本の長寿地域を調査しているアメリカの学者の方で、アメリカ、オレゴン州の私立大学であるリンフィールド大学のダウン・グラフハイト教授が、来年1月に学生の皆さんと福井の実情を調査することになり、その事前調査のため、本日、来県されておりますので、冒頭にお話します。
教授は、知り合いの方から、福井県が長寿県であると聞き、「なぜか長寿」のポスターなどを見られてお見えになるということで、本日、飯島副知事とお会いいただくことになっております。
さて、今日は、地方分権、風水害への備え、少子化対策、本日開催する福井県経済社会活性化戦略会議などについてお話しします。
まず、地方分権の改革についてです。
現在、「骨太の方針2006」の策定に向けて様々な検討が進められております。
地方分権改革につきましては、経済財政諮問会議などで議論され、地方の固有の財源である地方交付税のカットや法定率の引き下げ、地方が借り入れる地方債の手続の自由化、自治体が財政的に破綻した場合の法制である破綻法制の導入などいろいろな議論が示されております。
これらは国の財政再建が優先という都合的な政策で、地方に一方的に負担を強いるものであり、これまでずっと地方が求めている住民主役の地方分権の推進につながるものとはとても言えないものです。
まず、交付税の抑制の問題ですが、平成18年度における地方財政の財源不足が約8.7兆円あります。
現在、財政状況が厳しいので、地方交付税は、所得税・法人税・消費税の何%という法定の税率に加え、特例措置としてプラスアルファがありますが、このプラスアルファをやめて、法定税率にとどめただけでも、1年間で本県では260億円、市町分では120億円、合わせて380億円の交付税が減額になります。
県の交付税総額は約1,200億円ぐらいですから、260億円ぐらい減額になり、さらに、法定率をまた何%か引き下げるとなりますと、非常に影響が大きいと思っております。
また、量的な話と別に交付税の計算の仕方ですが、地方交付税というのは、それぞれの地方団体でどれぐらい財政的な需要、歳出があるのかをいろいろなケースで計算し、それに人口密度や農地などいろいろな補正を加えるわけです。このようにいろいろ補正して戦後60年を経過したわけですが、これを、単純に、人口や面積などの基準で算定する新型交付税にという議論もあります。
この人口や面積方式をそのまま使いますと、福井県の場合には人口が少ないので、さらに、県分で200億円ぐらいの減額になると思います。
また、破綻法制について、今、一番議論がありますが、これは自治体が民間企業並みの扱いになるということであり、行政を担当する国と地方、そういう世界とは全然別の世界になるわけです。
これまた大変なことであり、そうなると非常にいろいろな条件が悪くなりますから、金利の上昇が想定されます。民間の最優先プライムレート並みの金利が設定されても、福井県としては40億円、市町分で16億円、大体56億円の金利負担がすぐ加わることになると思います。
こうした地方財政制度の改善でなくて、反対の悪いほうに制度改正となりますと、それだけでも県分で500億円ぐらいの財政悪化が毎年生ずるわけで、到底容認できるものではありません。
国と地方の財政状況を振り返りますと、平成元年、バブルがまだ完全に終わっていないころの状況ですが、国は188兆円、地方は66兆円の借金がありました。これが約20年後の平成18年では、国が570兆円、地方が204兆円となり、国の借金が3.0倍、地方の借金が3.1倍です。これは、ほとんど、地方が国と協力しながら行った公共事業や地方単独事業など景気対策に使われた借金です。
こうした中、ここ最近10年間の決算状況ですが、地方が15%、大体15兆円の歳出抑制をしておりますが、国は逆に8.2%の増加になっております。
バブル崩壊からいかに抜け出すかということで国と地方が協力して景気浮揚をやってきて、借金が生じているわけでありますが、同時に、地方は歳出抑制を最近ずっとやっているわけですが、一方で国はあまりやっていないということです。
こういう中で、地方にいろいろな財政負担を押しつけてくるというのは非常に問題であり、全国知事会、先般の近畿地方の知事会議、それから、国会議員への説明などについてもそういうことを申し上げております。また、全国知事会が今度島根県でありますが、そうした議論を進めたいと思っております。
いずれにしても、このまま「骨太の方針」にこういう方針が盛り込まれますと、地方の実情とかけ離れた制度の改悪ということになりますので、地方が切り捨てられるとか、地域の格差が拡大するわけで、地方の住民生活を無視した方法になりますので、到底これは容認できないものであります。
先週金曜日、9日には県選出国会議員にも状況を説明しておりますが、今後とも地方6団体で力を合わせてこうした問題に対処していきたいと思いますので、各報道メディアの皆様にもよろしくご理解をいただき、地方の問題について県民あるいは地域の皆さんにわかってもらうようにお力添えをいただきたいと思っております。
次に、風水害対策であります。
梅雨入りの時期になりましたので、平成16年7月の福井豪雨の際にも実感したところですが、前もっていろいろな対応をしておくことが必要です。福井県におきましては、昨年の4月から職員2名が24時間体制で昼夜県庁に常駐し、いろいろな対応が迅速にできるようにしており、1年余りが経過しているところです。
特に、梅雨出水期には速やかな初動の確立や情報収集が大事であり、関係機関との連携が重要であります。そこで、3日後の6月15日、福井地方気象台、消防等関係機関を交えて、全市町および関係各課による合同連絡会議を開催します。常日ごろからの連絡体制の強化、危険箇所の再確認、迅速な初動体制、情報収集など、注意すべき事項について相互の確認を行いたいと思っております。
これから出水期を迎えますが、災害未然防止のために、今いろいろな工事をやっておりますので、河川内の工事箇所の点検、障害物の迅速な除去、土砂災害危険箇所や道路法面などにつきましても、土木事務所、農林事務所、消防、警察等の合同パトロールを実施して、災害防止に努めていきたいと思いますし、さらに、工事施工関係者に対しても、工事区域内の現場管理の徹底を直接指導したところです。
また、県建設業連合会とは、災害時における応急対策に関する協定を締結しておりますけれども、これについても迅速な対応ができるよう再度確認をしたところです。
特に足羽川の激特事業ですが、現在、事業費ベースで全体の約3割が完了しており、このうち河床掘削工事では全体掘削量の約30%の24万㎥を敦賀港等へ搬出しております。現在、日野川合流点から桜橋付近までの右岸側を掘削しており、今年度中に全体の半分の掘削を終える予定です。また、木田橋、泉橋の架け替えも進んでおり、木田橋は左岸側の下部工が完了し、8月に仮橋を開通予定であり、この秋より右岸側の下部工に着手する予定です。泉橋も同様な進捗状況で、平成20年度には両橋とも完成する見込みです。
なお、鯖江の鞍谷川についても、現在、浅水川合流地点から堤防拡幅工事に着手しており、今後、順次、河床を約2m掘削するとともに、橋の架け替えにより橋脚の数を減らすというようなことを今進めております。
また、先にお知らせしておりますが、明日13日からは福井気象台と連携して、足羽川と敦賀市の笙の川について洪水予報を開始します。今後も、日野川、竹田川、南川についても、順次、洪水予報を行えるよう努めていきたいと思っております。
次に、少子化対策であります。
今月1日に発表された厚生労働省の人口動態統計によりますと、合計特殊出生率、つまり1人の女性が生涯に産む子供の数ですが、5年連続で過去最低を記録し、全国平均で1.25となり、全国的に依然として少子化が進行しているわけですが、その一方で、本県は、出生率が全国でただ1つ上昇し、その結果、順位も全国第2位となっております。
これには、経済状況が安定しているとか、子育て支援のためのサービスを充実してきたとか、いろいろな理由があると思いますが、さらに、いろいろな調査もする必要があるだろうと思っております。
最近の子育て施設の状況を参考に申し上げますと、保育所整備の促進により、保育所入所待機児童数は、今、福井県ではゼロですが、待機数がゼロの県は全国で8県だそうで、福井県もその中の1つです。延長保育については、平成17年度末では、2年前と比べて約4割増えており、一時保育が約5割、放課後児童クラブも約2割増となっております。特に、病児デイケアは4.3倍の設置となり、人口当たりの施設数では全国3位です。お父さん、お母さんが、働きながら、安心して子育てができる環境づくりに役立っているかなと思っております。
今年度から、さらに子供を産み育てやすい環境づくりを一層促進するということで、「ふくい3人っ子応援プロジェクト」を進めており、子供を3人以上持ってほしいというメッセージを強く出しているところです。
全国的にも3人子対策という流れで来ている感じもしており、これからの福井県が先進的ないろいろな施策ができるようにしたいと思っております。
しかし、先ほど申し上げた財政のいろいろな制度が、国がやることしかできないような制度になりますと、地域ごとに福祉や教育などに多様性や創意工夫をすること、あるいは地方自治のよさというものが、我が日本国においてほとんどなくなってしまうということになります。そんなことになれば大変であり、世の中がよくならないと思いますので、(国、地方の)両方相まって、こういう問題に取り組まなければならないと思います。
また、福井県における婚姻件数は、全国が減少する中で増加しており、その増加率、5.7%は全国第1位であります。この傾向をさらに促進するため、本年5月中旬から理美容店1,660店の協力を得て、結婚相談事業の紹介もしております。5月の半月間で31件の相談があったという状況です。
なお、国の少子化対策は今月中にまとめられる予定であり、昨日も猪口少子化担当大臣が敦賀に男女共同参画の行事でお見えになられた際に、福井県のいろいろな状況も申し上げたところです。
(猪口大臣は、)共働き率が高くて子供が増えているというのは非常にいいモデルではないか。子育てしやすい環境をつくっていくためのいろいろな課題が福井県の中に典型的に現れてくるはずなので、それをいかに福井県の立場でクリアしていくかということがまた全国のモデルになると、そんなことをおっしゃっておられたように思います。
また、400人以上が登録している子育てマイスターの皆さんには、いろいろな活動をさらに本年に入りまして積極的に進めていただこうと思っております。
4点目は、福井の伝統的民家についてですが、民家自体の老朽化や家屋の近代化の流れの中で、伝統的民家が減少する傾向が大きいわけであります。
そこで、条例をつくり本年4月から施行しておりますが、この条例に基づく施策の1つとして、伝統的民家認定制度や伝統的民家保存活用推進員制度を創りました。この認定制度は、所有者の申請に基づいて認定を行うもので、今のところ100戸以上の認定を考えており、第1回の募集が6月から8月、第2回の募集が12月から2月ということで募集します。
また、専門知識を有する方を50人、推進員として委嘱し、伝統的民家の発掘やそこに住んでいる人たちへの無料の相談、民家の管理・改修、あるいは調査・見学会などいろいろなことを進めていただく予定にしております。
福井伝統的民家及び伝統的民家保存推進員はいずれも本日から募集を開始したいと考えております。
最後に、福井県経済社会活性化戦略会議についてですが、今日15時15分から本年度第1回の会議を開催します。
地域経済の活性化については、平成15年12月に「チャレンジ福井」をレポートとしてつくり、いろいろな施策を進めております。
おかげさまで、失業率が2年連続で全国最低という状況ですが、一方で地場の繊維や眼鏡など一部には厳しい状況のものもありますし、団塊の世代の退職や少子化による労働力不足の状況も一方に見られ、企業誘致に行きますと、働く人が確保できるでしょうかという話題も逆に出てくるという状況です。
こうした経済社会情勢の変化を踏まえ、今年度の戦略会議においては、産業活動や県民生活の質をさらに全体に上げていくということをテーマにやっていきたいと思います。
検討のテーマとしては、地場産業の振興、健康長寿関連産業の育成、雇用の質の向上、観光産業の振興、東アジアの海外戦略の5つを考えております。各テーマについては、それぞれの実態、問題点を調査・分析しなければ質の高い政策は見出せないと思いますので、それを踏まえながら各委員から助言してもらい、「チャレンジ福井」を補完する戦略、施策につなげていきたいと思います。
以上が発表の内容です。なお、余談になりますが、県立恐竜博物館は平成12年7月にオープンし、今年6年目になるわけですが、今月中にも入場者が200万人に達することになろうと思います。この夏はそういうこともあり、世界中から集めた大変貴重なエディアカラ生物群という多数の実物化石を特別展において公開する予定であります。
エディアカラ生物群というのは、約6億年前に地球上の歴史で初めて出現した、はっきりとした身体構造物を持つ生物のことで、最近、動物の起源を考える上で注目を集めている生物です。腔腸動物、例えばサンゴ、クラゲ、イソギンチャク、あるいは環状動物、ミミズ、ゴカイ、ヒルの原始的な種といったタイプのものであるということです。
7月14日から10月9日までの86日間、夏休み期間中も無休で開館する予定なので、全国から子供たちに来ていただきたいと思います。今後とも恐竜博物館において、全国の子供たちに福井の恐竜を知ってもらう出前講座の開催など、恐竜を本県のブランドとして県内外に積極的に発信していきたいと思っています。
【記者】 敦賀のごみ問題について、9日に措置命令の期限が来て、あとは代執行という形になると思うのですが、代執行宣言をいつごろやるかというめどはついていますか。
【知事】 県では、6月9日を着手期限、平成21年6月8日を履行期限とする措置命令を5月9日に発出していますが、6月9日の期限を過ぎても、何らかの措置が今もなお講じられていないようですので、県としてはできるだけ早い時期、7月上旬に敦賀市と共同して行政代執行に着手する予定です。具体的には、水質のモニタリング調査などから着手していくことになります。
なお、本年度中に対策工事のための実施設計を行い、来年度から工事に着手することになると思います。
【記者】 違法増設された土地、処分場用地は、いまだにその業者の所有となっているはずで、代執行後に、また新たにごみを持ち込まれるおそれもないとは言えないと思うのですが、この所有地をどのようにしていくお考えなのかお伺いしたい。
【知事】 まずは、対策工事を円滑に進めていくことが重要ですので、今後、他県の例などもいろいろ見ながら、どういう対応があり得るのか研究していきたいと思います。
【記者】 足羽川ダムについて、先日、杉本町長との会談の中ではあまり具体的な話にならなかったと思うのですが、実際にダムを受け入れるとしたら、池田町には地域振興の要望がかなりあるかもしれません。その点について、国はもちろん県に対してもお願いしたいという意向を取材で伺っているのですが、知事のお考えが現時点でありましたら、お伺いしたいと思います。
【知事】 今、(池田町で)ご検討していただいていると思いますが、まだ池田町からのお考えを承っておりませんので、どういうお考えかをお聞きした上での対応になると思います。
【記者】 知事のお話を聞いていて、国と地方の税源配分の見直しや地方交付税の必要枠の確保にすごく力を入れていると思うのですが、福井県単独として、何か特別に単独で動ける政策はあるのでしょうか。
【知事】 特に地元の国会議員の皆さんによく御理解いただく。国会議員が政策を進めておられるわけですから、そうした直接やっていただいている方々に、各地方団体の考えが十分に伝わるようにしていただかないといけないと思います。どこかわからないところで、知らないうちにいろいろな施策が出てしまうということになってはいけないと思います。
【記者】 本県選出の国会議員は、わずか7人で、7人のマンパワーでできるかどうか。
【知事】 全地方団体、全国でそのようにしてもらわないといけないと思っておりまして、福井は福井として自分のところのことをまず最初にやるということです。
【記者】 今の核燃料税以外に、何か法定外普通税を、どこか対象物をねらってやるような予定はないですか。
【知事】 今の地方財政の制度で、基本的に所得課税、法人に対する課税、資産に対する課税、また、最近においては消費に対する課税など、あらゆる税制が制度的に完備しておりますから、それ以外の税制を、法律に基づかないで課税をすることはほとんど余地がないと思います。例えば、ホテル税の税収は福井ではわずかでしょう。核燃料税は、法定外普通税としてはごく初期の段階からの税制で、そういうものが簡単に見つかるような状況ではありません。
昔は、自転車や犬、あるいは看板、荷車に対する税金とかいろいろあり、諸税とか雑税と言っていました。それらをシャウプ税制以来、厳しい環境にあった地方団体がつくりましたが、高度成長の中で、そういうものをいかになくして、合理的なわかりやすい税制にしていくかというのが地方団体の仕事であり、ほぼそういうものが今なくなったわけです。しかし、一方で一部、そういう税制は残っておりますけど、それは基本的な税制の中ではごく部分的、補完的なものだと思います。
【記者】 先日、国会議員との意見交換がありましたが、国会議員の理解は深まったというか、どのように結果をとらえていらっしゃるのでしょうか。
【知事】 もちろんご理解をいただいておりますが、何度もそういう機会は持つ必要がありますし、また、我々の話をお聞きしていただくだけではなくて、先生方からも働きかけていただかないといけないと思っており、そのようにお願いしております。また、市町村からもそれぞれ行っていただくことが大きな力になりますし、福井県だけでなくて、ほかの都道府県もやっていただかないといけないと思っています。
【記者】 週刊誌で、(都道府県の)上流度で福井県が断トツで1位でした。知事も週刊誌の中でインタビューに答えていらっしゃいましたが、実際、福井県は住みやすいんじゃないか。しかし、案外その部分が全然知られていない、もちろんPR下手とかあるんだと思いますが。
知事自身は、上流、暮らしやすいというデータが出たことに対して、意外と思いますか、それとも当然だと。どのような感じをお持ちですか。
【知事】 意外とは思っていませんし、そういうことかなと思ってます。ただ、それを県民の元気、自信とか誇りにつなげないといけない。
【記者】 あまり県民にはそういう意識がないような気がします。
【知事】 ずっと福井におられて、恵まれた生活をしておられると、これが自然かな、当たり前かなという部分はあるんですよね。
【記者】 ベネルクス3国みたいな位置づけを目指したいみたいなことをインタビューで答えていらしたように思うのですが、それはどういう意味ですか。
【知事】 ヨーロッパの地図を眺めますと、福井県はどこの国かという比較はできませんが、歴史もあり、生活水準も豊かで多様であると、そういう点で、地域だとあの辺かなと思っています。
【記者】 地方分権の話で、先ほど、500億円の財政悪化が生じるということですがこれはどういう積み上げで500億円になるんでしょうか。
【総務部長】 今、16兆円の地方交付税が全国で配られていて、(特例加算を除き)法定の税率だけだと12.5兆円ぐらいですので、その差額分(3.5兆円)を本県の交付税(約1,200億円)の割合に落とすというのが1つで、それが約260億円です。
それから、人口、面積配分の新型交付税の件ですと、これは人口と面積を何対何で配るかというのも大きいんですけど、面積の比重が高いとはあまり考えられないので、例えば人口を8、面積を2で、国が言っている5兆円規模でその部分を配ったとしますと、本県の場合は、概ね200億円ぐらいの減収になるだろうということです。
あと、地方債の関係で言いますと、県の起債の残高が約8,000億円、市町村が3,000億円ちょっとありまして、今の長期プライムレートと本県の市場公募の金利との差が大体0.5%あります。デフォルトするという前提ですから、民間企業と同じなわけで、地方債の金利が少なくとも0.5%程度は上昇するだろうということで、今の8,000億円とか3,200億円とかの起債残高にそれを掛ければ、県が大体40億円、市町村が16億円ぐらい(金利負担が)上がるということです。
それらの県分を合わせると、大体500億円程度になるわけで、本当に国が言っていることをやれば、そういう数字になると思っています。やらないと言っていただきたいのですが。
【記者】 先ほどの「骨太の方針」のお話の中で、地方交付税の確保から始まって、破綻法制の導入までおっしゃられましたけれども、「骨太の方針」の議論の中でなされているもの全てを容認できないとお考えなんでしょうか。例えば破綻法制の導入などで、逆に効率的に地方自治体を救済するという視点もないのかなと思うんです。今回の地方債発行の自由化や地域の独立性とかで、例えばミニ公募債のような話もあるとなると、議論の全てを容認できないというお考えなのか、これは使えるけれども、これはやっぱり納得できないということになるのか、いかがですか。
【知事】 今の考えは非常にオール・オア・ナッシングで、地方公共団体が、普通の企業のようで、行政・政治団体ではないという感じじゃないでしょうか。極端にいうと、住民に対する教育などの行政サービスを担う主体がなくなるということを言っているわけで、こういう発想はどうにもならないですね。
【記者】 「骨太の方針」の話で、経済財政諮問会議があり、国は法律で決めているわけですから、こういう流れで今後進んでいくと思うんですけれども、その時々の総理大臣の意向とか大臣の意向で大きく変わってきますよね。例えば景気対策では、小渕内閣のときに福井県もかなり国全体の景気対策に協力していましたが。
【知事】 全国そうですね。そんなにしていいのかということでしたが、何とか地方団体も一緒につき合ってほしいということで、つき合ってきたわけです。
【記者】 内閣がかわり、今は逆に公共事業は3%削減を続けていますよね。今度はまるきりだれが総理大臣になるかわからないというときですが。
【知事】 経済情勢の変化に応じた対応がありますが、借金が2.5倍や3倍になった政策の是非とか、なぜだめだったとか、どこを直したらよかったとか、国として全然分析も何もないですよね。当面の財政の収支、プライマリーバランスと言いますけれども、借金を返すために借金をするのを直そうと、そこだけを考えていますから、非常に政策的じゃないんです。当面できるだけ赤字的なものを減らしながら、増税をしたいという感じが見えていますので、どうかと思います。
【記者】 今、国の議論はそういう流れになりますね。改革を具体的にやるということで、その出口には増税も視野に入っているという議論の流れですよね。その中で、地方分権の形について、どのように出口を持っていきたいのかわからない。
【知事】 歳出についてもどの歳出が要らないとかはっきりしないまま、地方への交付税は減らす、というのはいけない。交付税の9割近く、少なくとも85%ぐらいは義務的な計算に基づく積算なんです。その残りで、さきほどの少子化対策の応用とか一部30人学級とか、そういうものをやっているわけですから。ほかは、ほとんど全部、制度の裏打ちがあり、ぜひ必要なものなんです。それを、この部分は要らないということを明示するのだったらいいけれども、ばんと切るといって、問題の提示をするというのは非常におかしいと思います。
【総務部長】 今は、諮問会議だけでなく党との調整でやっている状況なので、国会議員の先生にご理解をいただいてと言っているのは、今まさに、党との調整のところでぜひ声を上げていただきたいということです。
【知事】 我々がそんなことを許すわけがないだろうと言われても、そういう制度ができてしまい、そういうことの一部が容認されることになったら大変ですから。
【記者】 核燃料税のことですが、今回、2%のアップというのは、地域共生が大きな理由になっていると思いますし、これだけ関西の電力の大きなシェアを生産しているところが共生、あるいは負担を求めるというのは、個人的には理屈的におかしくないと思います。
しかし、一方では、福井県は、かなり巨額な寄附を電力事業者に求めていますよね。それは、多くは前の知事の時代から決まってた流れなのかもしれないですけれども、直流化や小浜線、あるいは立地市町はかなり大きな額を受けていると思うんです。そういうところを並行してやりながら、核燃料税のアップで地域共生といっても、大都市の消費者の方に理解が得られるのか素朴な疑問に思うのですが、知事は、今後、どうお考えになっていくのかを伺いたいのですが。
【知事】 負担が大き過ぎるということですか。
【記者】 大き過ぎるというより、寄附についてはちょっと不明朗ですね。
【知事】 前提として、わかりやすくしなければならないですね。
【記者】 福井が電力を生産してきて、それを都市の住民の方に訴えるという視点というのは別に間違っていないと基本的に思いますが、一方で、表に出てこない、少なからぬ寄附金というのが基本にあるわけですよね。そうなると、地域共生論というのも、都市の住民にもなかなか理解が得られにくくなると思うのですが。
【知事】 エネルギー研究開発拠点化構想などは、物事を明瞭にわかりやすくしようという1つの考え方なんです。それぞれの事業者はどういう責任を負うかとか、事業本部をこちらへ移してもらうとか共生本部とか、できるだけ見やすい形でやってもらうというのが我々の考えでして、そういうことによって、まず県民の理解も得なければなりませんし、原子力三原則の1つの県民の恒久的な福祉というようなことを思っているわけです。
電力事業者に負担を求めるにしても、基本的には、その趣旨や意味、どこの事業ということがわかるようなものでないといけないと思います。
【記者】 今後は、匿名はなるべくなくしていくという方向性になっていくんでしょうか。
【知事】 そういう計画の中で、わかりやすくしていくことではないかと私は思っています。もっとも、電力会社以外でも、それぞれ地場の企業としていろいろ応援をしようということはあるわけで、別に電力会社固有のものではないと思います。税制というスタイルもあるだろうし、直接、自ら地域のために活動するという方法もあるし、あるいは、出捐というか、寄附のような方法もいろいろ企業との関係ではあり得るわけで、電力会社固有のことではないと思いますが、その明瞭さ、金額の大きさについて、わかりやすい説明が要るということだと思っています。
【記者】 拠点化でも、基金というかエネ研への寄附というのが匿名のままになっていると思うのですが。
【飯島副知事】 県ではないですね。
【記者】 エネ研が受け入れている。推進のための寄附というのが、電力さんの考え方なんだろうとは思うんですが。
【飯島副知事】 エネ研がどういう説明をしているかですが、電力の考え方だということを示しているんですかね。
【記者】 それは、事業者さんの考え方であり、知事がおっしゃった税制とかいう話になってくるのかもしれませんが。
【飯島副知事】 エネ研は、電力事業者自ら取り組むという考え方でやっておられるんだと思います。
【記者】 知事がおっしゃっているように、県民の立場からすると、拠点化への寄附などは堂々と出したほうがわかりやすいのかなという気がしますが。
【知事】 大きな流れとしては、できるだけわかりやすく、趣旨がわかるようにするということが基本だと思います。
【飯島副知事】 拠点化で県に寄附をもらっているということはないと思います。
――了――
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