知事記者会見の概要(平成30年6月15日(金))

最終更新日 2018年6月16日ページID 039092

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平成30年6月15日(金曜日)
10:30~12:00
県庁 特別会議室

H29.6.15知事写真
 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

【知事】 

 今日は発表事項として、福井県立大学の中期目標・計画骨子(案)、平成30年度6月補正予算案、年縞博物館の開館日および特別館長、今年5月に誕生したコウノトリのヒナの愛称募集について申し上げます。

 

まず、福井県立大学の中期目標・計画の骨子(案)について、私から県が策定する目標(案)を申し上げ、その後に目標に基づく計画の骨子(案)について進士県立大学学長からお話があると思います。学長も都合がありますので、ここだけ最初に区切ってお話をし、質問もお受けしたいと思います。

〔資料:福井県立大学の今後の方向性について

 公立大学法人である福井県立大学については、地方独立行政法人法に基づき、設立団体としての福井県がまず中期の目標を定めます。その上で、それを実現するため、県立大学で具体的な教育内容を定めた中期の計画を作成することになっております。今回、31年度から6カ年の第3期の中期目標および計画の骨子(案)を取りまとめました。

 基本目標としては、3つございます。

 1つは地域、つまり福井を中心とした地域をリードする県立大学が、公立大学として福井の特色を生かした人材育成を強化していくということであります。例えば、定員の問題、学科の再編・新設、留学生の派遣、受け入れなど、いろんな話題がその中にあると思います。

 それから2点目は、若者に魅力があり、福井の元気、持続可能性を支える大学を目指すということです。これは、その大学に入りたいという、若者にそういう魅力を感じてもらえる学校でないと始まりませんので、そういう物の見方をしていこうという考え方です。

 それから3点目は、進士学長を中心に平成28年10月に策定した「オープン・ユニバーシティ」構想を定着させるということであります。これはどういうことかといいますと、地方創生、東京一極集中という時代に、バランスをとって地方が発展するためには、まず自治体がしっかりしていることが大事であります。その上で、地元の大学が大げさに言いますと知の拠点というか、若者に魅力があり、地域にオープンな形で産業や生活を支えるということが大事であります。そして、メディアというか、万機公論という、そういういろんな考え方がうまく県民の皆さんと分かり合えるという、その3つが存在して初めて地域の創生というのがあるわけであります。その中の大事な柱が大学のオープン化だということ、その3つの理念に立っているとご理解をいただきたいと思います。

 中期目標の具体的な内容は、今申し上げました教育あるいは研究として、本格的な人口減少社会の中で、全ての学部について学部や学科の定員などを拡大するということです。人口が減るのに定員を拡大するのはどういうことかとお思いになるかもしれませんが、人口減少という中で、皆さんがさまざまな知識やあるいは技術を身につけて、質的に向上するということが大事だという意味にとっていただきたいと思います。また、県外からもそういう地域として来ていただきたいと思います。

 それから、地域貢献。高校などを卒業した新卒の方が大学へ入るときのみならず、人生100年時代でありますので、社会人の学び直しやスキルアップ、そして幅広い年代に学習機会、生涯学習、そういうことを提供する大学でなければならないだろうということです。

 そして、国際交流ということが目標の理念ということになると思います。

 それでは、具体的な中期計画の内容について、進士学長から説明をお願いいたします。

 

【進士学長】  

 それでは今、大学で考えている中期計画の中身の要点をお話ししたいと思います。私は、28年の4月に着任しましてまだ2年ちょっとですが、長らく私立大学のマネジメントをやっていたものですから、公立大学というのはどういうミッションを果たすべきかということを改めて考えてみました。

 大学にはいろんな種類があります。昔の旧帝大から始まって、最近の新設の私学までいろいろな種類があって、私はそれぞれの大学にとって自分たちの集団のミッションをきちっと自覚しないといけないと思います。ところが、大学教員の多くは研究して博士号を取り、研究者のつもりになっています。かなり実務をアピールする大学でもそういう人事になっています。ですから、どうしても研究主導になると、研究としてはいいんですけれども、教育あるいは特に地域貢献という点については、それほど主体的にやるものではありません。福井県立大学はちょうど四半世紀を過ぎています。相当な研究や教育の実績はありますが、社会との関係については十分でなかったと思いますし、そういうご批判を私もいろいろ伺っております。

 それで出しましたのが、今、知事がお話しいただいた「オープン・ユニバーシティ」というものです。地方の公立大学は、やはりタックスペイヤーの県民あるいは地域社会への貢献として、地域社会が持続可能になるようなサポートを十分にやらなければ、そういうタックスペイヤーに対しての責任が果たせないだろうと思いますので、そういうことをお互いに大学の中で議論するような体制をつくってまいりました。それまでは、完全に学部の教授会単位でしたが、全学ミーティングなどいろんな会議のシステムを全学的に広げて、そして、県からたくさんの優秀な事務局スタッフに来てもらっています。このスタッフとアカデミアメンバーの協力もやっていかないといけない。それが新しい時代の大学ですので、そういう体制をつくってまいりました。

 今のがイントロであります。しかし、そういう思想でいうと、幾つかバランスが足りないと思います。現在、生物資源学部と海洋生物資源学部がそれぞれ1学科になっています。他の看護福祉学部と経済学部は2学科ずつであり、この2学科ずつの体制ぐらいじゃないとキャパシティーが足りないと思っています。同時に、研究教育内容にもバランスが必要なんです。実際の社会に人材を送り出して彼らが活躍できないと地域が元気になりませんから、そういう意味では、例えば海洋生物資源学部は魚の種類一つ一つの研究から、環境問題、食品加工までを一貫してできているものの、深く掘り下げているところはないんです。ですから、増養殖という今の時代の流れで、嶺南の地場産業に貢献できるでしょうから、そういうことをやろうということが出てまいりました。

 それから、永平寺キャンパスのほうは生物資源学部。ここの生物資源学科は、どちらかというとハイサイエンスなんです。遺伝子レベルの、あるいは分子生物学的なアプローチで非常に高度な研究をやっていますが、ここの卒業生は研究機関へ行かないとなかなか働く場所がないので、全国に行ってしまう。逆に言うと、福井の地域に十分還元できるかというと、ちょっと足りない。

 ですから、今は仮称ですけども、「食農環境創造学科」をつくろうということです。これは文字どおり食も農も環境も全部セットなんです。これまでの農学系というのは非常に狭い分野を掘り下げていまして、遺伝子の問題なら遺伝子だけをやる、光合成なら光合成だけをやる、作物でいえば稲だけをやる、花だけをやるというふうに全部研究室が縦割りで、全体をやることはないんです。動物系の畜産とか酪農もやりません。だけど、今の社会は総合的にやらなければ駄目なんです。

 私は、人生100年時代というのはそういういろんなことをトータルにやって、その中で自分が一番ほれ込んで頑張れることで生きがいを見つけてやるというのが一番理想だと思っているんです。農業というのは他の企業とちょっと違って一人社長ですから、何でもやれるんです。発想してから実現まで。ビジネスもやる。私はそういう意味で、これはトータル。トータルマンと私は呼んでいるんですが、昔風に言うと百姓ということです。百はたくさん、姓はかばね。かばねは職業です。職業は能力です。たくさんの能力を発揮できるような生き方です。ですから、これは農業のためだけの支援じゃなくて、生き方や学び方の新しいタイプなんです。

 公立大学というのは全国に今90ぐらいあり、今や国立大学よりも多いんです。やはりその中で存在感が出ないと、いい学生も集まらない。アピールもできない。ちょっと大げさですが、福井県立大学は公立大学の模範だ、最先端だ、そういうことを目指したいと思っています。そういうふうに考えると、従来の大学教育のやり方は、深く掘り下げて、部分しか知らない、本当のスペシャリストしか育っていない。ここにおられる皆さんはジャーナリストだからいろんなことに首を突っ込んでおられるでしょうが、多くの場合は専門家なんです。全体は分からない。あとは専門家にお任せという状態になっているわけです。これは決してよくないと思いますし、福井県の活力はみんなが一人前の専門を持っただけでは足りないと思っていますので、やっぱりいろんなことをやる。トータルで100はやる。100頑張る。コミュニティーの維持だってやります。農業の生産もビジネスもやる。食にも関連するし、というようなことを考えています。

 これに関して我々の中では、既にカリキュラムの議論までかなり詰めておりますので、今年中には文部科学省に相談をした上で、正式の申請をし、再来年にはスタートできるようにしたいという考えであります。

 その定員も、今、検討の中では第1段階を20人と言っていますが、私はそれでは本当は足りないと思っています。大学というのは、入り口はあまり失敗できませんから、小さい数字でスタートしつつも徐々に充実していくことが必要です。ただ、社会全体にそれなりに貢献できるだけの人数をやらないと、公立大学には将来がないと思っております。

 それから、あと2つが研究所です。この25年間で新しいことがあったのはこの2つの研究所です。恐竜学と地域経済研究所です。ここでかなり社会貢献がなされて、県立大学の1つの成果を上げていると思います。ただ、これは研究中心の組織であり、学生の教育にはまだ至っておりません。研究所のこれまでの実績、特に地域経済研究所なんかは地域社会と非常に深くかかわっており、あるいは地方自治体の皆さんとも深い付き合いがあるので、そういうストックを活かして、直接、地域のリーダーになるような学生を育てていきたいと思っています。

 当然、そのときに育てる教育者側が問題ですが、これもドクターだけでは足りません。ユニークな経営者がたくさんおられるのが福井県ですから、そういう方たちにも積極的にご参加いただくし、行政経験者にもお願いしたいと思っています。先ほどの食農環境創造学科も、福井県には水産から農業の試験場、あるいは畜産試験場、いろいろなプロの技術者、研究者がおられるので、こういう方たちのお力もぜひお借りして、新しいキャンパスの教室の中へ閉じ込めるような、ラボに閉じ込めるようなやり方ではなくて、フィールドも県内全部をキャンパスにしながら、まさにプラクティカルに実際を生きていける、そういう人をつくりたい。ですから、これもオープン・ユニバーシティ構想で言っている人的なつながりを活かすという、地方の公立大学の1つの生き方です。

 フィールドとしても、水産の増養殖は今、県の施設、国の施設のほか、県立大学の臨海研究センターがあります。それから、あわらにも農場があります。これがあまり十分には活きておりませんのでこれを活かします。できるだけ初期投資を少なくして効果を上げたいということもあって、既存の施設やネットワークを活かす形でぜひ地域のお役に立つような人材を育成したいし、新しい時代の大学のありようをお示ししたいと思っています。

 これから私どもとしてはいろんなチャンスをつくって、県民や県議会の皆さん、あるいは県庁のいろんな方のお話をいただいて、内容を詰めていって、次の中期計画のできれば前半には今の幾つかの構想を実現してまいりたいと思っておりますので、ぜひご理解をいただければと思います。本当にありがとうございます。これからもご協力をよろしくお願いいたしたいと思います。

 

~質疑~

 

【記者】  

学長にお伺いしますが、今回の改革に向けて、優秀な人材、教員というのがやっぱり魅力ある大学には必要だと思います。新学部の設置などで新たな教員を迎え入れる予定があるのでしょうか。また、優秀な先生を呼ぶのにもいろいろな課題があり、確保が難しいと思いますが、それらの課題や今後の対応についてお伺いします。

 

【進士学長】  

従来の普通の大学のやり方ですと、新しい学部・学科をつくる時には必ず人を集めます。平たく言うと寄せ集め人事でやるんですが、大体成果が上がらないんです。何故かというと、公平公正に行うため、公募でやります。業績主義ですから、論文の業績集を出させてやるんですが、こういうペーパーだけでやっているのでは、教育上、有能かどうかはほとんど分からないんです。県立大学では数年前、私が来てからはちゃんと授業をやっていただいたり、模擬授業みたいなのをやっています。それから、コミュニケーションも皆さんと取って選ぶようにしております。私が面接もしています。一般的に公募して、ただ集めてやるというのでは駄目だと思っているので、今、学部長の皆さんにはちゃんといい人を本気で探せと、将来その先生が駄目だったらあなたの責任だとまで言っているんです。つまりそのぐらい考えないと駄目だということです。今、公募への応募者はいっぱいいます。日本中、ドクターを取った人が今余っています。ドクターを持っていればいい教育者かというと、違うんです。論文は書けても社会性がなかったり、協調性がなかったり。今言ったようにミッション、使命感を持たないとだめです。ですから、できるだけそこへシフトさせようと思って、今いろんなことをしております。

 文部科学省への申請上、大学院で指導できる研究者というのが要りますし、そういうことをやるときには考えないといけませんので、やはりどうしても論文主義になりますが、私としては、教育の面では実務家を可能なかぎりお願いして、文部科学省の申請に通る範囲でできるだけ現実的な実学的な体制を組みたいと思っています。だから、先ほど言いましたように県の経済人、県のOBや技術者など、民間のいろんな皆さんにご協力いただけるような、新しい体制の大学づくりをしていきたいと思っております。

 

【記者】  

まず、先ほど学長が最後のほうで、次期中期目標の前半には幾つかの構想を実現したいとおっしゃっておられました。食農環境創造学科は再来年の4月ということですが、他の学部・学科について具体的にいつごろまでにという目標や目途がありましたら教えてください。また、新しい学部・学科で合わせて定員をどれぐらい増やしたいという思いがありましたら教えていただきたい。

 

【知事】  

定数や今後の手続については、総務部長からお答えいたします。

 

【総務部長】  

今回、骨子(案)ということでお示ししましたけれども、今、学長から食農環境創造学科については32年4月に、20名程度ということで、今後、文部科学省の届出などを進めていく必要がございます。その他配布資料に記載してございます「水産増養殖を専門的に学ぶ学科、古生物学関係の新学部、次世代の地域リーダーを養成する新学部等、大学院看護学専攻の博士後期課程」などについては、今後さらにそのカリキュラム、教育内容を詰めた上で検討していきたいというふうに思っています。なるたけ前半の3年間で具体的な学科が実現できるような検討を進めていきたいと思っておりますけれども、現時点で食農環境創造学科以外、何年からというのは、さらに検討が必要な状況でございます。

 

【進士学長】  

少し補足しますが、何か建物をつくるんだったら設計者に発注して施工会社にお願いすればすぐできますが、教育内容や研究内容など大学はそれほど簡単ではありません。ただ、作業は全部の項目について進めております。食農環境創造学科は仮称ですが、内容については、既に1年以上前から検討しています。他も順次議論を進めております。

 ただ、先ほどのお話のように設立団体の長は知事ですので、お金も出していただかないとできません。恐竜のような研究というか、古生物学ですけれども、今年も大学院のほうだけ先にスタートさせたら、大阪の高等学校の先生が、「子供たちに夢を語ってきたので自分も夢を語らなきゃいけないから」と言って、学校の先生を休んで大学院に入ってきました。そういう時代ですから、古生物学のような、あるいは恐竜王国福井を象徴しますが、私はそういうものにだんだん関心が高まっているので、それもぜひ早く実現したいと思っております。水産の系統も他の大学でやり始めておりますから、特に御食国の小浜ではそれを強調しないといけないと思っています。いろんなことを並行して検討し始めて、あとは県でそれをどういうふうにしていただくかお願いして、皆さんのサポートでなるたけ早くということです。

 3年と言ったのは、その間にいろんなことの可能性を検討し、手続に入れる段階をつくりたいということで、開設そのものは少しずれざるを得ないです。文部科学省の場合は学科の増設と新学部の増設はちょっと審査のやり方が違うものですから、審査に2年ぐらいかかる場合もあります。ですから、学内での議論をなるたけ早く進めて、あとはそれを県でオーサライズしていただきながらやろうということであります。

 

【記者】  

進士学長にお伺いします。恐竜関係で、時期は分からないということですが、これは学んだ後、例えば博物館等の就職先も考えられると思います。現在、学芸員の需要がそんなに無い状況で、どういった進路を想定されているのでしょうか。また、学芸員の資格のような何か専門的なものを身につける、そういう学部になるのでしょうか。

 

【進士学長】  

もちろん学芸員の資格を与えるような取り組みも用意しておりますが、大体、古生物学や恐竜などは、夢であって、夢じゃ食べていけないと大抵おっしゃるんです。それはよく分かります。ただ、そういうことを言っているから駄目だと思っています。

 つまり、これから日本は成熟社会に入っていって、成長社会じゃないんです。それで、今回のこういうことも関連し大学・私学振興課で行った調査がありました。それを見ると、企業の方はどこの学部でもいいと書いているんです。つまり、本当に夢を持ってやる気があったらいいというのが殆どでした。私はまさにそうだと思います。人口減で一人ひとりのマンパワーがあれば、もし本気で夢を持ち、先ほどお話した大阪の高校の先生みたいな人であれば、企業は絶対喜んで受け入れます。既に今やっている職業が半分は無くなるという時代ですから。だから、専門、専門と言っていますが、これは研究者側の勝手でありまして、事業家のほうは違うと思います。

 私は、逆に古生物学や考古学をやって、非常にスケールの大きい、地球の歴史や気候変動まで考えるような人間は絶対に有用な人物になると思います。恐竜というと本当に恐竜しかやらないように捉えておられるけど、そうではない。学問ってそういうものですから、どの学科も就職のことが気になりますが、私はそういうことは超えていると思っています。それは大体100年も生きなきゃいけないんですから。100年ずっと同じ専門をやっているはずないんです。そういう時代になっているのに、それに対応しない大学が遅れていると私は半世紀、大学人をやってきて思っています。

 

【記者】  

文部科学省の制度はどちらかというと、そういう学部を認めづらいような感じもしますが。

 

【進士学長】  

いや、だから、文部科学省へちゃんと学術的な体系で届けて、カリキュラムもそうします。ただ、教育というのは研究内容だけをやっていく、研究者養成ではないので、いろんなことを学ぶわけです。古生物学だから生物学一般を学ばないとか、環境論を学ばないということはないわけですから、学びというのは幅が広いので、カリキュラムの中のコアのカリキュラムが60なら60コマはそういうのがありますが、それ以外はいろんなものを幅広く学ぶので、私は大丈夫だと思います。

 

【記者】          

新学部、学科の設置については、学内で検討委員会を開いて、その中で幅広い方を招いて意見を聞くということでしょうか。

 

【進士学長】  

そうです。これからは、県でこの方向でいいと言っていただいたらそういう体制に入って、幅広い皆さんの一種の諮問会議みたいなものをつくって、広範な先生方の意見をお聞きしたいと思います。福井県でありますと、今年度は年縞が9月にスタートしますが、それをやっておられる先生は、古生物学じゃなくて考古学です。でも、そういう先生にもお願いしてみようと思っておりまして、広範な人に入ってもらって、こういうものをつくろうと。また、古生物学だけは、地域社会というよりはグローバルに世界を相手にする大学にしないと駄目だと思っています。ちょっと大風呂敷かもしれませんが、先ほど言いましたように90も公立大学が並ぶと、やっぱり福井県立大学はこういうところがすごいよと言われるのをつくらないと、今も経済とか看護とかみんなあるんですが、それは他の大学にもいっぱいあります。だから、古生物学ではやっぱり抜きん出て、できれば先生方も外国の方たちも大勢入れてというような、これは今のところ私の個人的な見解ですけれども、そう思っています。

 

【記者】  

進士学長に2つお聞きします。今回、人口減の中で学部・学科の新設という決断をされたということですが、今、県内の若者が高校を出た後に県外の大学に行ってしまうという状態もある中で、そういった流出を少しでも大学の魅力を高めることで食い止めていこうという狙いがあるのかというのがまず1点。

 もう1点が、食農環境創造学科で幅広く実践的なカリキュラムを学ばれるということですが、その先に、例えば6次産業化と呼ばれるものであったり、どういう農業を実践するような人材を育てていきたいか、この2点をお願いします。

 

【進士学長】  

おっしゃるとおり、人口減対策です。ただ、私は人口減だから何とか無理してというのではなくて、むしろ福井のポテンシャルを活かして、中途半端に大阪や東京の学校に行くより絶対にいいですよということを目指したいと思っています。それには教育法を変えて、先ほど言いましたように研究室やラボだけに閉じ込めて、ただこれだけを完全にやりなさいと言うのではなく、顕微鏡じゃなくて広角レンズとか望遠レンズの人間を教育するということを魅力づけの一つとして考えています。

 それから、もう一つは、今、既に県内から出て、大阪や京都やいろんなところで働いておられる方がおられるけど、そういう方たちが10年もそこで生活して子供ができるぐらいになると、やっぱり大都市の限界というか、これは厳しいなと、こんなところで本当に子育てになるんだろうかと思う人が増えています。そういう人も県立大学で学士編入で入ってくれて、いろんなことを学んでもらいたいと思います。先ほども言いましたように今までの大学はお米だとお米しか研究しないんです、4年間で。そうではなくて、全部、酪農をやればチーズ、バターまで行くし、それから、環境が広くなればアートまで行くんです、大地の芸術祭みたいに。ビジネスはもちろん行きます。新しい業を起こすことにもなる。そういうふうにして個人の持っている能力やセンスを思いっきり発揮して、本来の人間のすばらしさを福井で実現できる、そういう生き方を目指す。

 そういうことを今、ミーティングでも毎回コアメンバーでやっております。農業技術ではITみたいなのもある。私は1つのことを掘り下げる気はないんです。それ1つ掘り下げていると4年たってしまいますから。ちょっとした体験とか見学でもいいから、とにかく全てをやる、そういう新しい大学を目指したいということです。

 

【知事】 

 次に、平成30年度6月の補正予算案について申し上げます。

〔資料:平成30年度6月補正予算案の概要について

 今回の補正予算は、2月の大雪への課題の対策として、この冬に間に合うように早期に着手する必要があるものを対象にしております。補正予算の規模は約3億円、補正後の予算規模は約4,800億円となります。

 個別の事業について申し上げたいと思います。

 まず、除雪機械の増強です。県管理道路の除雪を行う除雪車両は、県と民間を合わせて610台確保しておりますが、特に今回の大雪では道路脇に固まって壁になっている雪を砕いて道路拡幅を行う機能を持ったロータリー除雪車がやや不足し、除雪作業に支障を来した路線がありますので、これを増加配置するものであります。

 具体的には、交通が集中する福井土木事務所と三国土木事務所に各1台を配備し、市街地のほか燃料の輸送などに利用される幹線道路の除雪を行うことになります。現在56台のロータリー除雪車がありますので、県内全体では58台になります。ロータリー除雪車は主に郊外で使用する割合が多いんですけれども、市街地の除雪にも使うということです。

 次に、道路管理情報システムの改修であります。除雪作業の状況については、県庁内の道路管理情報システムで管理していますが、現在は、路線ごとに除雪中あるいはそうでないかということしか確認できず、車両の位置、作業の進捗などの各路線における除雪状況は、電話で聞き取りを行うことでしか把握できませんでした。しかし、コンピューターで処理をしてすぐに状況を把握する必要があるだろうということで、ロータリー除雪車など主な除雪車両の位置をGPSにより地図上に表示するシステムを導入すると同時に、除雪後の路面状況を確認できる機能を導入して、手数をかけることなく、ほぼ瞬間的に管理ができるようにしたいということであります。

 次に、道路状況確認カメラの増設であります。現在、降雪地など路面の状況を確認できるカメラは、パトロールが難しい郊外地域を中心に85台設置しています。しかし、2月の豪雪では渋滞、スタックの発生などにより市街地の除雪が進まず、また、そうした状況を県民のみなさんが事前に把握できなかったことから、さらなる渋滞が発生するという問題がございました。そのため、市街地の主な交差点、あるいは市街地から郊外に入ってくる地域にカメラを50台増設します。また、あわせて県警、中日本高速道路会社、国土交通省の管理するカメラも県の管理するカメラと互いに相互利用し、県内全体の情報を映像で把握しながら、除雪車両についてはGPSによって管理をしていくということです。もちろんこれだけで全てではありませんので、やはり現場へ何とか早くかけ付ける方法などいろんなことも今後加えていきたいと思っております。

 以上が30年度6月補正予算でありまして、今回の6月議会でご審議願うということになります。

 

 次に、3点目でありますが、年縞博物館の開館日および特別館長について申し上げます。

〔資料:年縞博物館特別館長について

 年縞博物館については平成27年度から整備を進めてまいりましたが、「国体・障スポ」前の9月15日、土曜日を開館日にしたいと思います。

 特別館長については、県の文化顧問でもあり、これまでも福井県と関係のある山根一眞さんに就任を願うことにいたします。山根さんは水月湖をはじめとする年縞に対する知識もお持ちですし、中学2年生の国語の教科書(東京書籍)で、水月湖年縞の書きおろしの記事を執筆されています。また、さまざまな水月湖年縞に関する記事の連載、あるいは年縞国際シンポジウムのコーディネーターなど深く関わりを持っておられますので、適任であると思います。また、年縞博物館の展示内容についてもこれまで全面的に監修などをお願いしており、山根さんからは、「もし館長に就任するということであれば、年縞が福井の新たな顔として広く知られるよう全力を尽くす決意」との抱負をいただいておりますので、お願いしたいと思います。

 

 次に、今年5月に誕生いたしましたコウノトリのヒナの愛称募集であります。

〔資料:コウノトリについて

 本県の自然環境再生のシンボルとして7年前から越前市白山地区で飼育しておりますコウノトリのペア、これは「ふっくん」と「さっちゃん」という愛称ですが、今年初めて有精卵が産まれまして、5月にヒナが4羽誕生しております。4羽とも今のところ順調に育っており、6月22日の金曜日にヒナを認識するための足環を装着し、雌雄判定を行う予定であります。また、6月22日から7月22日までの1カ月間で愛称を募集するということにしたいと思っております。

 愛称の決定に当たりましては、応募のあった中から、20~30程度に絞り込んで、県内在住者による県民投票により愛称を選ぶ予定にしております。福井県で生まれた卵から初めて誕生したヒナであり、多くの県民の方に愛称を応募していただきますようお願いします。 

 

~質疑~

 

【記者】  

年縞博物館が9月15日に開館ということですが、これは、国体の前に合わせてということでしょうか。

 

【知事】  

そうです。

 

【記者】  

特別館長に就任される山根一眞さんですが、非常勤という形になるのでしょうか。

 

【知事】  

はい。

 

【記者】  

コウノトリのヒナの愛称ですが、応募は、どのような方法で行うのでしょうか。

 

【総務部長】  

具体的には、郵送、メール、ファックス、それから自然保護センター、海浜自然センター、図書館などといった施設に投票箱を設けたいと思っております。そのほか、県内の全小中学校に愛称募集のポスターやチラシ、そういったものを配付して、幅広く集めたいと考えております。

 

【記者】  

応募するのは県外の方でも構わないのでしょうか。

 

【総務部長】  

県内にお住まいの方というふうに考えております。

 

【記者】  

補正予算のことでお聞きします。GPSシステムやカメラで除雪対策を強化されると思いますが、知事として期待されていることを改めてお願いします。

 

【知事】  

これは、ハイテクというほどでもないかもしれませんが、大雪は瞬間瞬間にいろいろ変化するものですので、そういう情報をまず映像あるいは客観情報で捉えることにより、我々も安心して仕事ができると思います。それから、実動機関との連携、情報共有ができますので、いろんな余計な業務が省けると思います。もう一つ、やっぱり最初は、「あそこの状況はどうなっているんだ」ということになると思いますので、そこにアプローチできるようになります。例えば明日から雪が降るというようなことになりますと、危ないところの近くに職員を先にスタンバイさせておくことなどが考えられます。すぐ情報がとれるように現場に近づくといいますか、現場に行けないというのでは困ります。それぐらいの大雪が降るかどうかはありますが、ともかく果敢にその場所に行けるような、そういうことを両方、二刀流でやらないといけないと思っています。

 

【記者】  

それで、今回の補正予算を見ますと、ロータリー除雪車やカメラなど、郊外で行っている対策を市街地でも活用しようということでしょうか。

 

【知事】  

郊外での対策は、当然全力で頑張ろうと思いますが、いろんな情報が分かりますと、瞬間的に今日一日は除雪の梯団をこっちからこっちへ持ってきたらいいということを客観的に言えるようになります。何となく「こちらだ」と言っても「何でだ」という話になりますから。みんな必死ですから、お互いに。できるだけそういうことがないようにしたいということの意味もあります。

 

【記者】  

市街地でも、除雪対策をさらに強化したいということでしょうか。

 

【知事】  

そうです。例えば、市街地で除雪した後に道路脇にたまって固くなる雪はとりにくいですから、拡幅するときにロータリー除雪車で固まった雪を削って吹き飛ばすということです。

 

【記者】  

最後に、除雪体制を強化しても、一方でオペレーター不足ということも慢性的な課題だと思いますが、県として今後どのように対応していくのでしょうか。

 

【知事】  

オペレーターの研修やいろんな状況把握ということが大事だと思います。それから、雪は瞬間的に数日間で降りますので、そこは昼夜を分かたず全力でお互いに頑張ろうというようなことでないといけないと思います。オペレータが不足している状況で、一週間ずっと雪が降り続けるような調子でやっていると瞬間的な機動力を発揮できませんから、人材も確保しながら、みんながいわゆる汗をかくということになるようにしたいと思います。

 

【記者】  

補正予算についてですが、GPSやカメラの増設というのは他の県でもやっていて、かなり対策が進んでいる内容であり、福井県としても取り入れようという話だと思いますが、これは市や町と同じようなことをやろうという話が進んでいるのかどうかということをまず聞かせてください。

 

【知事】  

市や町が自らしないといけないこともあるし、ちょうど県道と市町道がクロスするところでは、方向もいろいろありますが、大体状況が見ることができると思います。大きい道路のところはしっかりそういう情報で対応していきます。一番問題になるのは高速道路や国道、県道です。市町道は、市町で個別具体にやっていただかないといけないものもありますが、GPSでやるよりも近い場所にいますから、よく見えているとは思います。それでも、必要なものは市町と併用する、そういうことかと思っています。

 

【記者】  

今回の大雪で課題の1つだった県と市町との除雪の連携というところがどう見直されていくのでしょうか。

 

【知事】  

それは、大雪の報告書の中での協定あるいは調整の話だというふうに思います。

 

【記者】  

今後、連携を深めていく取り組みというのは、また追加で出てくるということでしょうか。

 

【知事】  

これから大雪の報告書はもちろんですが、夏以降、冬に備えてのいろんな協議会で打ち合わせをやりますから、形式的にならないように、従来のいろんな地域割りとかシステムがありますけれども、それらの問題点が分かりましたので、改善していくということだと思います。

 

【記者】  

山根さんが年縞博物館の特別館長に就任されるということで、どんなお仕事を期待されるかということをお聞かせください。

 

【知事】  

山根さんは、環境や科学技術、そして博物館とか非常に多方面の情報をお持ちですし、人間関係といいますか、関係者をよく知っておられます。何といっても年縞への関心が深いですし、情熱家ですので、対外的に福井の年縞の内容をよく知っていただけるように大いに発信していただくことを期待しています。

 

【記者】  

補正予算ですが、中身を見ると、道路への支援が中心だと思います。鉄道への支援というのは、考えはないのでしょうか。

 

【知事】  

総務部長からお答えいたします。

 

【総務部長】  

鉄道は、いろんなポイントの融雪などが課題になると思っております。そういった対策を講じるためには、県のみならず、今後、沿線市町との調整も必要になるので、今回の6月補正予算では計上しておりませんが、今後必要に応じて予算措置を検討していきたいと考えています。

 

【記者】  

補正予算の関係でお聞きします。県は610台の除雪車を確保しているということですが、その中でGPSを設置したものが480台となると、残りの除雪車はGPSで把握できないということでしょうか。

 

【知事】  

そうです。

 

【記者】  

カメラも今度増設になると思いますが、その取り付けていくタイミングは、今年の冬までにということでしょうか。

 

【知事】  

そうです。

 

【記者】  

カメラ増設のスケジュール感というのはどういうものでしょうか。

 

【知事】 

 雪の前です。

 

【記者】  

雪の前には必ず、このGPSとカメラについて対応するということでしょうか。

 

【知事】  

はい。

 

【記者】  

福井市の財政難の問題ですが、中核市移行の同意の可否を問う議案を、6月県議会に提案しないという報道もありましたが、今、知事はどのようにお考えでしょうか。

 

【知事】  

まず、福井市が全力でいろんな財政運営の立て直しや、仕事のいろんな改善をやろうとしておられますから、我々としてはその状況を見た上でやることが大前提になると思います。

 

【記者】  

今、市議会がまだ議論をしている途中で県議会が始まってしまいますが、今回の6月県議会にはその中核市をめぐる議案を出す予定はないということでしょうか。

 

【知事】  

出さないと思います。

 

【記者】  

そうすると、中核市移行への同意は、次の9月議会にずれ込んでいくと思います。福井市は来年4月の中核市移行という前提で頑張っていると思いますが、それに影響はないとは思っていらっしゃるのでしょうか。

 

【知事】  

福井市が一生懸命やっていただくことが大前提になると思います。

 

【記者】  

9月に県議会での議論がずれ込んだとしても、4月の中核市移行というのは間に合うということでしょうか。

 

【知事】  

間に合うとか間に合わないというような、そういうタイプの話ではないです。自治体としての福井市自らの財政運営とかいろんなものがしっかりしないと万事いろんなことができなくなりますから、それが先だと思います。

 

【記者】  

福井市議会で、除雪経費を少し県に負担してほしいというような決議が可決されたみたいですが、それについての知事の受け止めと、県としての対応について、もし考えていることがあれば教えていただきたいと思います。

 

【知事】  

福井市でいろんなことをしっかり進めないといけませんし、自治体自らの問題として検討し、方向を出さないと問題は片づきません。市民の皆さんの心配というのがありましょうから、市民のためにしっかりした改善、方向づけをして、市民目線に立ってやられるというのが一番大事だと思います。それを期待しています。

 

【記者】  

福井市としては県にももう少し除雪費を負担してほしい、力をかしてほしいというような意見があるようですが。

 

【知事】  

もちろん中核市の同意申し入れに来られた時に最大限の支援は行うと言っていますが、個別に何かこれをどうするという前に全体をやっていただかないといけないと思います。

 

【記者】  

6月1日に東村福井市長が財政状況を説明に来たと思いますが、それを説明したにもかかわらず、6月県議会での同意議案の提出を見送るという話でしょうか。

 

【知事】  

その時は、これから議論をやると言っておられたと思います。今、市議会もやっておられるしね。

 

【記者】  

市議会の議論を見守ってからということでしょうか。

 

【知事】  

議論はいろんなことがあるかと思います。

 

【記者】  

市議会の決議文の中で、県が幹線道路の除雪を優先したために市の除雪に影響があったという話もありますが。

 

【知事】  

大雪のレポートも今、作っているし、さっき言ったように、雪への対応はみんながそれぞれの持ち場で全力でやらないといけない。そして、日々ちゃんと管理してやらないといけないものですから、市議会の決議文がどういう意味合いか、いろんな機会におっしゃっていただかないといけないと思います。

 

【記者】  

福井市議会の決議文では、福井市の除雪費用が増えた原因を、県道除雪の遅れとしていて、ちょっと理解に苦しむところがありますが、そうはいってもきっちり除雪体制は構築していかないといけないと思います。おそらく市議会のほうが決議文を持ってくると思いますが、お会いになって説明する考えなどはありますでしょうか。

 

【知事】  

お見えになるかどうか知りませんが、福井市のほうでよく市議会に状況をお話ししないといけないと思います。しておられるのかもしれませんが、まだ市議会も終わってないので、何がどうだということをしっかり議論されて。

 

【記者】  

実際、福井市の東村市長が、他の市町も含めて、災害で緊急的な財政出動が必要になった時に、県の財政支援を求めることができる制度を創設してほしいと発言をされています。そういった財政支援の制度をつくる可能性はあるのでしょうか。

 

【知事】  

どういうタイプなのか。熊本地震などいろんな災害があちこちでありますが、どうなのか。よく中身を聞いてみないといけないですね。何が課題で、それが本当に課題なのかどうか。

 

【記者】  

やっぱりもう少し福井市で、本当に県道との関係が影響したのかということを詰めてからでないとお答えのしようがないということでしょうか。

 

【知事】  

かなりお互いさまのところがありますしね。国との関係もそうだし。ただ、今回、国の関係は、高速道路が止まったということで、それははっきりしています。国もレポートや報告を我々も参加して作成していますが、他の地域のいろんなことが錯綜して、みんなで一生懸命助け合いながら、さらに持ち場を守りながらやったということかと思います。

 

【記者】  

中核市の同意については、福井市の財政再建計画を見きわめられて、判断されるということでよろしいでしょうか。

 

【知事】  

市の財政計画というのをどんなふうにこれからおつくりになられるのか、そういうことをよくお聞きしないといけないと思います。いろんな課題は事務的に以前から申し上げてはいると思います。

 

【記者】  

再建計画を8月中旬頃にまとめるという話ですが、県の9月議会が今回、国体の関係で早まって8月下旬あたりに開会すると思います。そうすると時間がない中で、9月県議会にも提案は、難しいと思いますが。

 

【知事】  

あまりスケジュールを気にする話ではないです。実質をやらないと。福井市がよくならないといけないのだから。

書類の手続をする話ではなくて、いい「まち」にならないといけないわけです。我々はそれを期待して最大限の応援をしたいと思っているわけですから、そこをやっていただければいいと思います。

 

【記者】  

これは仮定の話ですが、9月県議会までにきちんと福井市の財政再建の道筋が示されない場合は、9月の提案というのも分からないということでしょうか。

 

【知事】  

突き詰めたお話をするようなタイプの事柄ではないということで思われたほうがいいのではないでしょうか。「まち」が良くならないといけないので。富山や金沢、大津、岐阜と太刀打ちしていかないといけないのだから、我々も一緒になって頑張らないといけないし、応援しないといけないわけですから。

 

【記者】  

福井市議会の決議文を読むと、赤字団体になっていることをあまり重く受けとめてないような気がします。財政再建計画をつくったとしても本当に実効性があるのかきちっと議論してほしいと思いますが、知事はどうでしょうか。

 

【知事】  

それは先ほども話がありましたが、地域が良くなるためにはしっかりした自治体があって、そして大学も頑張り、メディアもいろいろやっていただくということですから、お考えがあるのでしたらお考えを述べられたらいいと思います。

 

【記者】  

福井市議会の決議文の会見を聞いていましたら、福井市は1番の兄で、県は親だということになっていきまして、今まで財政が悪化していたのになかなか親身に相談に乗ってくれなかったという思いがあるようなのですが。

 

【知事】  

今までどういうふうに相談に来られたのかよく分かりませんが、いつでも相談に来ていただいたらいいと思います。

 

【記者】  

知事に要請に行きたいと市議会は言われています。

 

【知事】  

要請と相談はまた違いますし、あまり福井市や市議会のことでこっちがあれこれコメントしても、話がずれるといけないと思います。

 

【記者】  

県として、福井市が財政悪化に陥っているわけですから、アドバイスや、手を差し伸べたりする動きが出てきてもいいとも思いますが。

 

【知事】  

そういったことは平生からやっていますし、いろんなお話も伝えてます。今さらの話ではありません。

最大限応援すると言っていますから、それに応じていただければいいわけです。他の市町もみんな同じ気持ちだと思います。県下の17の市町、みんな同じように、互いに応援しながら、負担するところは負担し、助け合うところは助け合い、いろいろやっています。それと同じだと思います。特別な話でも何でもない。

 

【記者】  

福井市が平成29年度に赤字見通しになったことについての要因は、知事は何だとお考えになられているんでしょうか。

 

【総務部長】  

福井市長は、今回の雪プラスこれまでの財政運営にも反省すべき点はあったんじゃないかとおっしゃられておられますので、そういったことではないかと思います。

 

【記者】  

福井市にしてみれば、50億かかったと言われている除雪費が、もし例年規模だったり、もうちょっと抑えられていたら、赤字にはならなかったというような試算になるらしいです。ということは、福井市としたらそんな甘々な財政運営をしていたわけではないというような見解なのかもしれませんが、知事はどう思われるのでしょうか。

 

【知事】  

除雪費の関連もしっかりしないといけないし、いろんなことがあるじゃないですか。他の市町はみんなそれなりにやっておられるし。福井市もやっておられたのかもしれないが、それはよくチェックして、チェックした上で一般的な財政運営、歳入歳出、あるいは予算執行の仕方、予算の計上をどのようにしておられるかとか、いろいろあるから、それをこれからやられることを期待しているということです。

貯金といってもいろんな貯金があって、それがどうなっているか。一般会計と特別会計はどうか。普通会計で見たらどうか。他の類似団体や他県のいろんな「まち」と比べて、何が大きいか少ないか、みんなあるわけだから。それを自らチェックされて、ここはこうすべきだ、ここは優れている、ここがいけないとか、そういうことをされるということです。

 

【記者】  

福井市議会でこういう決議が出たこと自体は大きいことだと思いますが、知事はそもそもどう捉えていらっしゃるのか教えてください。

 

【知事】  

それはそれぞれのご都合でいろんなことをおっしゃられるわけだから、これがどうだというものではないと思います。

 

【記者】  

決議文の中身を見ていても、除雪の時もそうなのかもしれませんが、県と福井市の連携不足というのがあったからこういうものが出されたというふうにも捉えられるかなと思いますが、その辺はいかがでしょうか。

 

【知事】  

そうは捉えていません。

 

【記者】  

連携不足の部分など、いろんなくすぶりがこの中にあるように感じます。

要するに、県の除雪体制が、市の除雪に影響した部分は全くないというふうに捉えていらっしゃるのでしょうか。

 

【知事】  

この話は、そういう捉え方をするようなタイプのものかどうかということです。それぞれの自治体がみんな除雪をやっておられるわけです。我々もみんな応援しているわけだし。職員も複数名、県から市町に派遣しています。福井市へはどうでしたか。

 

【総務部長】  

福井市は要求がなかったので、派遣しておりません。

 

【記者】  

福井市に除雪車を回してほしいという要請を県はしていたのでしょうか。優先的に県道を除雪してほしいと福井市に要請したというようなことがこの決議文の中で書かれていますが、これは事実でしょうか。

 

【総務部長】  

土木部にも確認しましたが、決議文のような書き方は必ずしも正確でなく、県が福井市に要請したということはないと聞いております。

 

【記者】  

決議文が出されたことによって、中核市に対する同意というのが遅れるということはあるのでしょうか。

 

【知事】  

中核市の話と財政の話は直接結びつけたりするべきものではありません。ただ、何をするにしても、財政や仕事の進め方、予算の組み方、それから仕事というのは除雪もその中に入っているかもしれない。一つ一つあるわけですから、改善すべきところはしっかりやっていただかないと何事も始まらないと言っているわけです。

 

【記者】     

こういうことだけを捉えてやるわけではなくて、全体を見た上での判断ということでしょうか。

 

【知事】  

そうです。雪が降らなかったらどうだったかという話はありますけど、それでもやっぱり課題があってはいけないわけです。すぐ来年からどうなるのかという話になりますし、お金はちゃんと管理できているのかなど、いろんなことがありますから。

 

【記者】  

知事の捉え方とすると、来年春までにという、福井市を中核市にさせるタイミングは、特に問題視していないということでしょうか。

 

【知事】  

タイミングということを気にする話ではなくて、まず福井市がしっかり財政運営をしなければ物事が始まらない。手続をして何か物事がよくなるわけではないから。

 

【記者】  

そこを今見守っているところということでしょうか。

 

【知事】  

見守るというか、一生懸命応援をしているんだけど、どうなるかということ。問題点は前から事務的にもお示ししているようですから。

 

【記者】  

そこの改善がどうされるかということでしょうか。

 

【知事】  

そうです。

 

【記者】  

県から福井市への除雪要請は確認できてないということですけども、そういう事実誤認に基づいた決議文を市議会が出しているわけです。決議文もある程度の重いものだと思いますが、そういうものが出されたことに対して、知事の所感というはどういったものでしょうか。

 

【知事】  

これがどうだと、一つ一つ言うような話ではないでしょう。

 

【記者】  

第2恐竜博物館ですが、6月県議会に中間報告を出すということで、議会を説得できる材料はどこまでそろったと考えているのでしょうか。

 

【山田副知事】  

基本的には今回の調査はゼロベースで、必要性も含めて議論の材料を提供するために調査をするという趣旨でやっています。今回もその必要性、立地場所ごとの整備費、あるいは立地場所ごとの経済効果、そして民間参入の可能性といったものを整理して、議会で議論する材料を用意したということです。

 

【記者】  

立地の必要性も含めてゼロベースというところではあると思います。しかし、中間報告が4つの立地場所を比べた結果、やっぱり勝山がいいという話になっているようですが、その辺は若干議会とかみ合ってないような気がします。

 

【山田副知事】  

要するにいわゆる先入観を無くして4つの立地場所を比較しろという議論があって比較しているわけですから、その結果が出ているということでございます。

 

【記者】 

 議会に言われたことを全部出したということでしょうか。

 

【山田副知事】       

中間報告ですから、足りないところはあると思います。ここのところをもうちょっと踏み込んでやったらどうだという議論はこれから議会の中で承るような話になると思います。

 

【記者】  

今回、第2恐竜博物館の中間報告の中では、新幹線開業後の平成35年頃の開館が望ましいという表記もありますが、最終報告を取りまとめる時期というのは、知事としていつ頃までにと考えていますでしょうか。

 

【知事】  

できるだけ早く。議論は昨年来ずっとやっていますから、話を収束して方向を出すということだと思います。

 

【記者】  

できるだけ早くというのは、年内にもというようなイメージでしょうか。

 

【知事】  

タイミングはいろいろありますけれども、年内か、年度内かいろいろありますけれども、できるだけ早く。

 

【記者】  

参議院の選挙制度改革についてお尋ねします。

1票の格差是正など、多くの対策を盛り込んだ公職選挙法改正案が今国会で成立する見通しとなりましたが、その中身を見ると、合区制度そのものは継続するようです。各都道府県、参議院議員がいないという状態は回避されることになるようですが、知事をはじめ全国知事会は合区の解消を求めてこられていますので、その点について、知事の受け止めをお聞かせください。

 

【知事】  

基本的に合区を解消しないといけませんし、地方の政治家の数が減っているということは、良いことではないですから、あまり評価できないというのが実態かと思います。基本的に参議院は地域代表で1人ずつというのが望ましいと思っておりますし、憲法を改正しなくてもできるというのが私の考えです。

 

【記者】  

今回の中身を見ると定数が6増えるということで、これまで10増10減や6増6減といった定数を増やさない形でやってきたと思いますが、定数が増えるということについてどうお考えでしょうか。

 

【知事】  

よくないと思います。

 

【記者】  

並行在来線についてお聞きします。先日、収支予測調査結果が明らかになりましたが、開業初年度で8億円余りの赤字の見通しということで、収支改善策を早急に検討していかなければならないと思います。運賃のあり方について、現行どおりでいくのか、値上げがやっぱり不可欠だと考えているのか、現時点での知事の考えをお聞かせください。

 

【知事】  

これは収支改善をもっとしていかないといけないと思います。これから詰めていかないといけない。要するに収入を増やすと運賃は低くすることができますから、その作戦をどのようにやっていくかというようなこともありますし、他県の先行事例がありますから、それよりも劣ることがないように、パフォーマンスを上げる努力をこれからしたいと思います。富山の例では、収支予測が約12億円の赤字になっていましたが、実際は3億円まで減っていますし、JRとの関係で議論をしていくと数字も小さくなるかもしれません。とりあえずはこの数字を出した上で、それを縮める、あるいは増やすということをやりたいというのが今の立場です。

 

【記者】  

原子力についてお聞きします。使用済核燃料の中間貯蔵についてですが、関西電力が、むつ市で保管をと報道されているということに対して、むつ市長が反発しています。一方、四国電力の伊方原発については、敷地内の乾式貯蔵に向けて動く形で、この半年間にいろいろ動きがありましたが、これまでの状況を知事はどのように見ておられるのか、また、県外での中間貯蔵に関する考え方について、何か変化はあるのか伺います。

 

【知事】  

我々としては年内に報告をちゃんといただいて、国がしっかり前面に立たないといけないと思います。エネルギー基本計画の中でもそのような提案をしていますけども、「国も」ではなくて「国が」解決をしてほしいし、決まった段階でお話を聞きたいと思います。

 

【記者】  

「もんじゅ」の燃料取り出し作業が7月から始まるということで、週明けには規制委員長とも面会されると思いますけども、どのようなことを知事としては求めていきたいでしょうか。

 

【知事】  

新しい委員長になって初めてでしょうから、現場主義を徹底してほしいということを求めていきたいと思います。現場主義というのはいろんな瞬間的な現場主義もありますし、1,000人以上職員がいらっしゃるので、より現場に近いところで仕事を進めてほしいとか、あるいは安全の問題の考え方、日々の規制について分かりやすく国民にも示していただかないといけないなど、いろんなことを申し上げることになると思います。まだ中身は最終的に詰めておりませんけども。

 

【記者】  

「もんじゅ」の燃料取り出し作業がいよいよ7月から始まる予定ですけれども、現段階で知事が燃料取り出しの作業において一番の作業上のリスクは何だとお考えでしょうか。

 

【知事】  

このタイプの原子炉では初めてのことですので、全般にわたって気をつけてほしいということです。そして、体制を強化して指揮系統を明瞭にしなければいけません。いろんな人の集まりであると思いますから、バラバラでやると間違いを起こすかもしれませんし、我々もしっかりといろんな機会に現場に行き、県民の立場で監視をすることも必要でしょうし、もちろん国にもやってもらわないといけないと思います。

 

【記者】  

作業が始まる前に知事がもう1回現場を見られるご予定はありますか。

 

【知事】  

それはせっかくのご提案ですから、いろいろ検討してみます。

 

―― 了 ――

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