知事記者会見の概要(平成30年7月31日(金))
平成30年7月31日(火曜日)
10:30~11:30
県庁 特別会議室
【知事】
それでは、7月の定例記者会見に当たりまして、私から発表事項として5点申し上げます。
1点目は、国体・障スポに向けて開通する道路について。2点目は、国体・障スポがデザインされた宝くじの発売について。3点目は、福井発の「スニーカービズ」とスポーツ庁との連携について。4点目は、福井県が開発した酒米品種の名称募集について。それから、5点目は、新しい文化財の発見がございまして、小浜にあります発心寺所蔵の駕籠について申し上げます。
まず、国体・障スポに向けて開通する道路であります。
〔資料:国体・障スポに向けて開通する道路について〕
〔資料:開通する道路の開通式典等について〕
お手元の資料に記載されているとおり、国体・障スポの開催に合わせて開通できるように整備したものがあります。これらの新しい道路、「しあわせ元気道路」の開通により、会場へのアクセスが向上するほか、地域間の交流促進にもつながると思います。
まず、一番大きいものは、国道8号福井バイパスになります。これは7月20日に既に県と国で発表しておりまして、あわら市笹岡から坂井市玄女までの5.4kmが、9月1日に開通することになります。
また、これに加えて、本日はこれから開通する予定の5か所の道路について申し上げます。
1カ所目は、県道武生米ノ線について、これは吉野瀬川ダムを建設する際の道路の付け替えであり、越前市小野町から勝蓮花町まで約2キロが8月11日に開通いたします。これにより、サンドーム福井などと、越前海岸とのアクセスが便利になると思います。
2カ所目は、大野の国道476号西部アクセス道路でありますが、新丁トンネルから越前大野城に向かう延長約0.7kmが9月2日に開通いたします。
3カ所目は、県道丸岡川西線であります。布施田橋という古い橋がありまして、これを架け替えたものであり、9月16日に開通いたします。
それから、4カ所目は、国道476号持越バイパス道路について、池田町から福井市美山に上っていくときに、足羽川に沿って湾曲した道路になっており、水害が起きた場所でもありますので、それを解消するためにトンネルを含めた延長約1.0kmが9月24日に開通いたします。
それから、5カ所目は、勝山から石川県境にかけて整備してきた国道416号大日峠道路であります。これは石川県知事と何年か前に協議をして、互いに整備していこうということで合意したものであります。開通日は未定ですが、国体・障スポ前に開通するということであります。
そして、嶺南地域では、舞鶴若狭自動車道の三方五湖スマートインターチェンジが、既に今年3月24日に開通しておりますので、国体のボート競技が開催される久々子湖の漕艇場のほか、9月には年縞博物館もオープンしますので、そういった場所へのアクセスに使っていただきたいと思います。
それから、2点目でありますが、国体・障スポがデザインされた宝くじであります。
〔資料:「福井しあわせ元気」国体・障スポがデザインされた宝くじの発売について〕
〔資料:宝くじのデザインについて〕
8月8日から発売される第2459回関東・中部・東北自治宝くじに国体・障スポのデザインを採用するということになりました。総合開会式や閉会式が開催される9.98スタジアム(県営陸上競技場)を始めとした福井運動公園を背景に、国体・障スポのロゴと「はぴりゅう」を中心としたマスコットキャラクターをデザインしたものとなっています。
総発売枚数は約400万枚であり、東京を除く関東、中部、東北、北海道、そして三重県で発売されます。
それから、3点目になりますが、福井発の「スニーカービズ」とスポーツ庁との連携であります。
〔資料:福井発「スニーカービズ」とスポーツ庁との連携について〕
〔資料:スニーカービズウオーキング大会について〕
福井県では、昨年の5月から、県民の皆さんに歩く習慣を身につけていただいて健康に役立つように、通勤あるいは勤務時間中に歩きやすい靴の着用を推奨するスニーカービズ運動を推進しております。また、スポーツ庁では昨年より、歩くことを通して国民の健康増進を目指す「FUN+WALK PROJECT」を推進しています。この2つの取り組みが連携するということで、このたびスポーツ庁の鈴木大地長官をお招きしてウオーキングイベントを開催いたします。
まず、このイベントの開催日時でありますが、9月16日の日曜日、午前9時半から福井市中央公園で開会式を行い、その後、福井市周辺のウオーキングを行います。コースは、約6キロ歩く一般コース、お子様連れ向けに3キロのファミリーコースの2種類が用意されております。コースの行程については、現在、幕末明治福井150年博が開かれておりますので、幸橋南詰めにある由利公正広場、足羽山の北川の山麓にある橘曙覧記念文学館、県庁の北側にある養浩館といった幕末明治福井のゆかりの地をめぐることになります。
当日は、参加者に配付いたします幕末期の地図や、同行していただくガイドの方の解説で、当時の街並みを知っていただいたり、現代との比較を楽しみながらウオーキングを行うことによって、普段何げなく歩いている町に興味を持っていただきたいと思います。 なお、鈴木長官は、9月15日の土曜日から17日の月曜日まで福井に滞在され、国体の会期前開催競技の視察をされますので、こちらにも多くの県民の皆さんに会場へ足を運んでいただきたいと思います。
4点目は、県が開発した新たな酒米品種の名称募集であります。
〔資料:新しい酒米の名称募集について〕
福井県では、平成22年度から、農業試験場において大吟醸酒にふさわしい酒米の開発に取り組んでまいりました。今回開発した酒米の特長は、現在、大吟醸用の酒米として広く用いられております山田錦と比べまして、稲の丈が短いため栽培がしやすく、収量も多い。また、お酒を醸造したときに、雑味が極力少なくなる35%まで精米が可能でありますので、味わいが滑らかで華やかな香りのお酒がつくれるということになります。
現在、福井県内の蔵元では、この新しい酒米を使用して、平成32年度を目標に、酒の原材料である米、酵母、水が全て福井県産である最高級のおいしい地酒を商品化する予定であります。
県としても、福井で開発した酒米を原料とした最高級の地酒をこれから売り込んで、米どころ、酒どころの知名度を向上し、販路拡大を図っていきたいと思います。
福井は有名な銘柄、おいしいお酒がありますが、このお酒がもっとおいしくなるということに期待しています。
そこで、今日から8月31日まで、この酒米の名称を募集しますので、多くの方に良い名前を応募していただきたいと思います。
最後でありますが、小浜市にある発心寺が所蔵する酒井家の駕籠について申し上げます。
〔資料:新発見「小浜・発心寺所蔵の駕籠」について〕
昨年12月に発心寺から若狭歴史博物館に寄託された駕籠について、博物館が酒井家文庫を調査した結果、小浜藩主 酒井家初代、酒井忠勝が徳川3代将軍家光から拝領した駕籠だということが明らかになりました。
酒井忠勝が若狭の国へ初めて入国したのは寛永11年(1634年)ですが、その際、徳川家光の上意により、浜松城において将軍お召しの駕籠、馬、鞍などを拝領したものと伝えられています。また、この駕籠は、今から150年ほど前の幕末期になりますが、公武合体、和宮降嫁(和宮が徳川家へ降嫁された)の際に、当時の京都所司代にあった小浜藩主酒井家12代、酒井忠義が京都御所への参内に使った駕籠でもあるということも、同じく酒井家文庫の資料を調査して判明いたしました。
この駕籠は大型の男物であり、徳川家康の駕籠を除けば、現存する唯一の将軍用の駕籠だということになります。また、男駕籠の中では最上級の仕上げとなっています。
今回の調査結果を受け、若狭歴史博物館においては、明日8月1日から特別公開を行うこととしており、是非多くの方にご覧いただきたいということであります。
~質疑~
【記者】
新しい酒米はどれくらいの量をつくる予定でしょうか。
【食料産業振興課長】
これから増やしていくところですが、平成35年で約300トンを目標に生産を拡大していきたいと思っています。
【知事】
県内では現在、年間2,400トンの酒米を使っていますから、そのうちの300トンを新しい酒米で大吟醸などの高級酒向けにつくっていきたいということです。
【記者】
先ほど、全て福井県産のものを使って最高級のお酒をつくるというような意気込みを知事から述べていただいたんですけれども、価格的にはどれぐらいのものを想定されているのでしょうか。
【知事】
それは、今は分からないですね。おそらくは、おいしいから高くなるだろうとは思いますが、それはこれから県内の酒蔵といろんな相談をしながらやっていくということになります。
【記者】
県内には、おいしいお酒をつくる酒蔵も多いと思いますが、こういった酒蔵の関係者の方から、新しく開発された酒米についての期待感というのは何か聞いていらっしゃいますか。
【知事】
この酒米の開発については、福井県酒造組合と共動しておりまして、県が開発した酒米を是非使いたいというご意向があると聞いております。
【記者】
今年度からは「いちほまれ」も本格販売になります。また、平成32年度を目標に新しく開発された酒米を使ったお酒もできるということですが、福井県でつくるお米、「いちほまれ」やこの酒米を使って、どのように福井県の知名度を上げていきたいと考えていますでしょうか。
【知事】
この前も全国知事会に行きましたし、他にもいろんなところに行きましたが、やはり福井のお酒はおいしいというのは定評がありますので、それをさらに、こういう地元のお米とお水、酵母を使って、より福井のお酒だということをPRして、お米の福井県、お酒の福井県という産業政策、ブランド対策を進めるという決意です。
【記者】
先日、北陸新幹線の金沢-敦賀間の建設費について、国土交通省の試算で、現行から2,260億円増えるということが報道されました。石川県と福井県の財政負担がかなり増えるということですが、それについて知事の考えをお聞きします。
【知事】
現在、全体の予算が1兆1,800億円余りですから、非常に大きいスケールの予算の中で、最近の資材の高騰などいろんなことを考えますと、ある程度の上昇ということはあり得るとは思います。人件費、消費税、あるいは耐震基準の見直しなどいろいろあると思いますので、やむを得ない面もあると思いますが、それにかかわらず、4年半後の敦賀までの開業をさせることは当然のことであると思います。
したがって、鉄道・運輸機構においては、工事コストの縮減というのを実施していただくと同時に、国土交通省においては、来年度の概算要求で財源をどうやって捻出するかという課題を検討されておられるということもありますので、これに期待をし、我々も要請をしたいと思います。
新幹線の財源は、国庫負担金が、今、755億円でありますので、この部分を上げていただきたいと考えています。そうすると、増えた建設費の財源のベースにもなりますし、さらには敦賀の先の小浜、京都、大阪までの財源の見直しにも寄与することになると思います。
国庫の755億円というのは、JRの法人税を基に計算されています。これは、昔に計算されたものですので、今はこのJRの法人税がかつてより2倍になっています。しかし、この国庫750億円は2倍になっておりませんから、これを引き上げてもらい、しっかりと財源措置をして、我々の負担があまり高くならないようにやっていただく、こういう北陸全体の考えもありますので、これは当然のことだと思っております。
【記者】
北陸新幹線の建設費が2,260億円という規模で増えるということを、知事は想定されていましたでしょうか。
【知事】
現実にどの路線でもそういうことはありますので、変動はあると思いますが、それが起きたときにちゃんと財源確保ができればいいわけですので、それをしっかり求めていくし、北陸全体が国に要請をして、問題なく期限までにこれができるようにしたいと思っております。
【記者】
地方負担を極力減らすような策を概算要求までに国土交通省が検討を進めるという期待はありますが、少なからず県の負担や各駅舎がある市の負担が増えると思います。そういった中で、まず、その対策として、国庫負担のほかに既に要請している対策といったものは県としてありますでしょうか。
【知事】
追加財源をちゃんと確保しないといけません。追加財源についての我々の負担はできるだけ少なくなるようにということでありますが、8月に与党プロジェクトチームも追加財源の議論をやられるみたいですので、そこに我々が要請するということになると思います。
【記者】
その要請の内容というのはどういうものを盛り込むお考えでしょうか。
【知事】
まず増嵩した経費を確保しないといけませんが、地方負担が極力余分に生じないようにするということです。
【記者】
JR西日本の施設利用料についての交渉なども要求するのでしょうか。
【知事】
それは、国庫負担金が増えると、それと並行して貸付料の議論が出てくると思います。
【記者】
その結果を見ながら改めてシミュレーションし直すということになるのでしょうか。
【知事】
それはまず国のほうでしないといけませんけれども、それを我々がよく見て、それでいいのかどうかを議論するということです。
【記者】
平成30年度から平成39年度まで10年間の財政収支見通しを立てられていると思います。その歳出のところで北陸新幹線の事業計画の見込みについても個別に推計されていると思いますが、この見通しも修正されることになるのでしょうか。
【知事】
これから実際に計算してみないといけませんが、交付税措置が入り、その残りが地方債になります。ですから、実際の負担は30年度からの10年間で平準化されますので、前の金額とそんなに変わらないとは思います。
【記者】
今の財政収支計画とは、数字が変わってくると思います。
【知事】
それは当然、変動要因です。
【記者】
新幹線の建設費が2,260億円増える話ですが、先ほど知事は、国庫を上げたときに敦賀以西についても使いたいというお話をされました。それは、今回の上振れ分だけではなく、その後も高い水準を維持してもらい、敦賀以西につなげてほしいということでしょうか。
【知事】
そういう意味です。
【記者】
財源の話を幾つかお聞きします。敦賀以西の財源について、8月末の与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームでは、建設費の上振れ分が検討されると思います。実際、敦賀以西の財源議論については、まだスタートしてない状況で、先日、石井国土交通大臣も、敦賀開業後、敦賀以西に着工したいとおっしゃったようです。しかし、敦賀開業まで4年余りあるので、それまでに敦賀以西の財源確保をすればいいというようにも受け取れます。その敦賀以西の財源議論というのがペースアップしていない状況について、知事はどう思われますでしょうか。
【知事】
敦賀―大阪間のルートの詳細調査や環境アセスメントなどに時間がかかりますが、財源は財源として、それは机上でできますので、我々はルートの詳細調査などと並行してやっていただきたいという要請に努めたいと思います。
【記者】
財源は、早目に確保してほしいということでしょうか。
【知事】
はい。財源議論は、ルートの詳細調査や環境アセスメントなどが終わらないとできないものだとは思いませんので。
【記者】
九州新幹線の長崎ルートについて、まだ結論は出ていませんが、フル規格かミニ新幹線にするかという議論がされています。しかし、現実には佐賀県が同意していないので、まだ時間がかかると思いますが、敦賀以西についても財源の議論をしておかないと、佐賀県の区間と敦賀以西とが同時着工というような形になって、財源が二分割されてしまうのではないかという懸念が根強くあります。その点についてはいかがお考えでしょうか。
【知事】
全国知事会でも関係する知事といろいろ意見交換していますが、関係者が多いのでなかなか議論には時間がかかります。フリーゲージトレインについては、雪の問題などいろいろありますので、国土交通省としても、フリーゲージトレインの導入ができるのか、できないのかを早く表明していただいて、代替策をこの夏に向けていろいろと要請していくということです。
【記者】
財源の奪い合いにはならないということでしょうか。
【知事】
九州は特に時間がかかるんじゃないかと思います。
【記者】
もっと先になるということでしょうか。
【知事】
はい。国家予算というのは無尽蔵にあるわけじゃないですから、我々としては北陸新幹線の財源を確保していくということです。
【記者】
九州新幹線の議論の中で佐賀県の負担軽減を図るという話も出ていたみたいですが、負担軽減といっても、特定の自治体に対して特段の配慮をするというスキームになっていないという中で、佐賀県の費用負担軽減を図るという話が出ているというのは、特別扱いされるのではないかなという思いもします。そういうことがないようにしてほしいなど、何か知事のお考えはありますでしょうか。
【知事】
それは具体的にどういう意味合いか分からないですね。もちろん福井県に不利になってはいけないとは思います。
【記者】
新幹線の建設工事での生コンの不足が懸念されています。石川県でも問題になりましたが、解決したような話が報道で出ています。福井県では、鉄道・運輸機構が供給の見通しについて精査しているという話が6月議会でもありましたが、その後、鉄道・運輸機構から何らかの方針や、結論というのは出ているのでしょうか。
【知事】
副知事からお答えします。
【山田副知事】
いろんなやり方がありますので、対応策について今、協議中です。骨材の問題であるとかミキサーの問題であるとか、いろんな要因がありますので、それをどうやって解決するかというのを、国土交通省と県、事業者も含めて一緒にやっています。まだ結論は出ていませんが、何らか対応したいと思います。
【記者】
今、フリーゲージトレインの代替策という話がありましたが、以前、県議会の一部の議員からは、新快速が乗り入れるということの提案があったと思います。知事としての考えはいかがでしょうか。
【知事】
いろんな手段があり得ると思いますので、幅広くいろんな議論をして、最も福井県、北陸の人にとって便利なことをいろんな順を追って議論して結果が出るようにしたいと思っております。
【記者】
2,260億円の金沢-敦賀間の財源の上振れについて、国費を増やすという方向性はあると思いますが、知事としては、国費と貸付料のどちらを増やしていくことが重要だとお考えでしょうか。
【知事】
それは国費をまず増やすことが重要です。それに貸付料が伴ってきますので。
【記者】
フリーゲージについてお聞きします。先日、石井国土交通大臣が、北陸新幹線の導入について改めて検討するということを言われました。知事としては、この夏までに導入の可否をはっきりするようにというお話をされておりましたが、この石井国土交通大臣のご発言について、知事はどう思われましたでしょうか。
【知事】
フリーゲージについて、いろいろ研究したものが無にならないようにという意味と、敦賀から先をどうするかという話は分けて議論したいのだと思います。フリーゲージの導入については、敦賀から先の10年間どうするかという意味ではかなり厳しいとは思います。
【記者】
できるだけ早くというふうに先ほど言われましたけれども、時期としてはいつぐらいを目途にというのはございますでしょうか。
【知事】
すぐにやってもらわないといけないと思っています。
【記者】
猛暑が続いていますが、県サイドで把握している県内への影響は何かありますでしょうか。
【知事】
熱中症など人命への影響や農産物への影響について、注意喚起などをやっておりますが、詳しくは担当課からお答えします。
【危機対策・防災課長】
今、熱中症の注意喚起について、健康福祉部と安全環境部で県民に呼びかけております。今のところ、熱中症は、昨年に比べて2倍ぐらいのペースになっており、健康管理に気をつけるよう、県民の方に注意喚起をしています。
また、農作物関係、あるいはダムの水量等は、今のところ特に支障はないと聞いています。
【知事】
今日の段階でいろいろ調べまして、分かった範囲のものをまたお伝えします。
【記者】
原子力の「もんじゅ」の件なんですが、先週、藤田副知事が東京に行かれて、燃料の取出しの延期についてご意見や要請をされたかと思いますが、改めて知事にお伺いします。原子力機構が当初7月下旬としていた燃料取出しに着手する時期が8月中ということで遅れましたが、このことについての受け止めをお願いします。
【知事】
これは廃炉作業のスタート段階ですので、原子力機構はもちろんですが、国にもこの問題についてしっかりやっていただかないといけませんし、責任を感じていただきたいと思います。
先日、県から会議の開催を要求したもんじゅ連絡協議会の場で、「もんじゅ」の廃止措置が安全、着実、計画的に進むように政府に一体となってしっかり取り組むという発言が出されています。つまり、そういうことを前提に責任を持って対応すべきだと思います。
「もんじゅ」については、監視カメラの不具合の対応や、模擬訓練を経て8月中に燃料取出しの開始予定と聞いておりますけれども、まずは最初の燃料取出しを順調にスタートさせて、一つ一つ安全の対応を積み重ねることが重要であると思います。これは原子力機構の体制もありますし、具体的な作業を行う関係の企業のスタッフの問題など、速やかに対策が必要でありますので、さらに原子力機構の実施体制の強化、また現場の国の指導・監督体制の充実、これをさらに求めてまいりたいと思います。
【記者】
「もんじゅ」について、実施体制というか、廃炉作業をしっかりやってほしいとおっしゃるのはもちろん当然だとして、何が起きているかということをちゃんと機構側が発信することも非常に大事だと思います。7月に入ってから4件の不具合が相次いで起きまして、私個人としては、その機構側の情報提供の仕方に不満を持っています。県としては機構の情報発信について特に問題ないとお考えでしょうか。
【知事】
いろいろ課題がありますので、もんじゅ連絡協議会を要請したわけでありますが、さらに今おっしゃるように責任を持った体制で、日々の状況や、これから何をするかということを発信するように求めてまいりたいと思います。
【記者】
「もんじゅ」ですが、いろいろな対策を施さなければいけないというのはもちろんはあるとして、その前段階として、廃炉作業に7月中に入れなかったということに関して、知事はどういう受けとめ方をしたのかを再度お聞きします。
【知事】
早くしっかりやってほしいということです。注意力を持ってやってもらいたい。
【記者】
敦賀市長は、昨日、そもそも計画の立て方が甘いというような話をしていたようですが、段取りの立て方というところに関して知事が思うところはありますでしょうか。
【知事】
人員の数の問題、指揮系統の問題、それから責任者のレベルの問題、それを強化するということかと思います。
【記者】
この不具合4件が相次いで発生し、今月は燃料取出しに入れないという状況を受けて、県として現場に人を派遣するなどの対応は考えていないのでしょうか。
【知事】
もちろん我々も対応が必要ですが、まず、文部科学省や規制委員会等々、国レベルでも対応を強化すると同時に、実際に作業を行っている企業の体制や指揮をしっかり作るということだと思います。
【記者】
6月の記者会見の最後に「知事、ご視察の予定はありますか」という話をしたときに、「いろいろ検討してみたい」というご回答だったと思います。燃料取出し作業も延期になっていますので、知事も一度現場をごらんになったらいかがかなと思いますが、検討の状況はどうでしょうか。
【知事】
近いうちに、タイミングが合えば寄せていただこうと思います。
【記者】
県の専門委員会も開かれていません。「もんじゅ」に関してもう少し議論を深めてもいいのかなと思いますが、開催の予定はありますでしょうか。
【知事】
それについては、実際に廃炉作業を行う人が、普通にしっかり行ってもらう話だと思います。
【記者】
「もんじゅ」に関して言うと、原子力規制委員会の更田委員長が低レベルの廃棄物に関しては敷地内で処分するということも考えるべきだというお話をされていたと思いますが、改めて知事のお考えをお聞きします。
【知事】
そういう考えは持っていません。
【記者】
何万トンのコンクリートのがらが出ようが、全部県外に持っていってほしいということでしょうか。
【知事】
はい。
【記者】
8月下旬に高浜と大飯の原発で行う総合防災訓練についてお聞きします。先日公表された訓練想定では、大飯、高浜の2基が同時事故になり、原子炉に注水できない状態になるという想定になっています。これについては、新規制基準で原子炉に注水できない状態にならないように二重、三重の設備を備えたはずです。再稼働の同意の判断の際に、県も市町も当然、新規制基準に基づいた対応を住民に説明して理解を求めていたはずです。県の安全専門委員会も工学的な安全を確認したということで知事も最終的に再稼働に同意されたと思いますが、今回の想定は新規制基準の対応を全否定している形になっていて、立地のおおい町、高浜町からはこんな事故が起きる可能性があるのかという不安の声も上がっています。この今回の想定について、知事のお考えをお聞きします。
【知事】
今回の訓練について、国において具体的な内容をさらに検討・調整していると思いますが、県としては、多くの住民の方に航空機や船舶などさまざまな輸送手段によって、実動部隊がこれまで以上にしっかりした輸送ができるように今検討をしていただいています。要するに訓練にストレスをより加えるということになると思います。
今回の訓練は、おおい町と高浜町を対象区域に拡大しますけれども、原子力の発災の想定については、別々の事柄として考えていて、訓練を同じ日に拡大して行うということになったと思います。1つの原因でこういうことが起きる、そういう発想ではありません。ですから、警戒本部は統合することになりますし、住民の県外避難の数も増やします。実動機関によりそういう訓練は行いますが、今言われたような意味の訓練ではないと理解しています。
【記者】
避難させるための想定だと言われればそうですが、そもそも再稼働の同意判断をされるときに新規制基準があって、こういう原子炉に注水できないような状態が起きないように、二重、三重の規制基準で対応してきたわけです。それを当然、県も自治体も住民の方に説明した上で知事が最終的に再稼働の同意判断をされたと記憶していますが、今回の想定だと原子炉に注水できなくて、原子炉を冷やせないことになっています。そうなると新規制基準で設置した設備が全て使えない状態にならないとこの想定の状態にはなりませんが、そういう想定を出したために、地元の住民の人はやっぱり不安になって、「こんな事故が起きるのか、以前の説明と違うじゃないか」という疑問を持たれる住民もいます。それについてはどうお考えでしょうか。
【知事】
もちろんそうだけれども、訓練自体は一定の想定をして全国でやっています。福井県もそういうことを提案しています。ただ、今おっしゃるような、今の規制基準でそういうことがあり得るかということについては、議論はあると思いますが、我々としては、安全の問題と制圧の問題がいろいろありますので、訓練そのものに意味があるという考えでやっています。そして、今の規制基準であれ前の規制基準であれ、最大限の対応はしていますが、訓練は訓練として行うということです。
【記者】
訓練をするための想定として捉えていらっしゃるということでいいでしょうか。
【知事】
もちろん我々が考えているのは、まず、プラントの安全を確保する、それから、次に制圧をしっかりする、そして、万が一のときの訓練はするということです。しかし、万が一の訓練はさまざまなことがありますので、我々の関心としては実動部隊がより大規模に応援ができるような、そういうストレスのかかった訓練をやったほうが住民の皆さんが安心するだろうということで理解していただきたいと思います。
【記者】
先日の全国知事会の中で、知事が委員長を務めておられる原子力特別委員会の要望のたたき台を報告されていましたが、そこに関して愛媛県知事や静岡県知事が意見を出されていました。そもそも特別委員会の中で、ある程度セットしたものに対して、本体の会議でいわば立地の知事がはしごを外すような発言にも聞こえましたが、なぜこのような経緯になったのかという知事のご認識をお伺いできればと思います。
【知事】
あの委員会は、実務的にはきちんとしますけれども、最終的には知事会で決めるわけです。さらに皆さんの気持ちを伝えているということだと思います。
【記者】
原子力立地の中でもいろんな意見があって、立地自治体というくくりの中でも、なかなかまとまりが難しという印象を受けましたが、特別委員長の立場としてどのようにお思いですか。
【知事】
もともと、それぞれ立地地域、周辺地域の中でも関心が違ったり、再稼働しているところもあるし、していないところもあったり、多様ですから、あの委員会はそういう全体の中でみんなが共通的に、「ぜひこれは」というところをまとめることが目的です。しかも、安全の部分を中心にしているということです。ですから、愛媛県が乾式の貯蔵のお話をされましたけれども、そんな話を自治体が話すような話題ではないという自治体もありますが、愛媛県としては、そう思っているんだということをおっしゃったということだと思います。
【記者】
愛媛県知事とか静岡県知事が求められたことというのは、最終的に会長一任になりましたが、結局、国へ要望という形で持っていく際には、その辺は盛り込まれないということでしょうか。
【知事】
文言はそのままということになります。
【記者】
立地自治体の中でも、原発は本当に必要なのかというそもそも論に立ち返るような声が多くなっていると個人的には思います。知事はその辺の潮目の変わりというのはお感じにはならないでしょうか。
【知事】
特に変わりません。いつもその話題は委員会で出ていると思います。
【記者】
これから並行在来線の第三セクターの会社を立ち上げていくことになると思いますが、その中で収支が厳しいという予測が出ていて、それを改善していくために知事として一番しなければならないことはどんなことだと考えていますでしょうか。
【知事】
収支計算というのは、まず、最大限の想定をした上で、いかに現実的にいろんなコストを下げ、あるいは収入を増やすかということでありますから、数字が並べば変わると思いますし、富山県も石川県においてもそういうことが言えると思います。
ただ、福井県としては、富山県とか石川県の例がありますので、最大限その体験を活かさないといけないと思います。一方で、福井鉄道やえちぜん鉄道がありますので、そことどう連携をした体制にするか、敦賀で新幹線はしばらく止まっていますので、大阪や名古屋方面への接続、あるいは北陸トンネルなどいろんなものあります。さらに、特急の運行という要素をいかにうまく取り入れて新会社の中に持ってくるか、そういうことが大事だろうと思っています。
【記者】
最低賃金の話ですが、中央最低賃金審議会で目安が出て、いよいよ福井県も目安どおりにいけば最低賃金が時給800円時代に突入します。それは労働者にとってはうれしい話ではある一方で、中小企業が多くある福井県では、人件費の高騰により支出や、競争力の低下などが当然、反作用として出てくると思います。中小企業に対する手当というのは今のところ特にお考えはないでしょうか。
【知事】
最低賃金自体にいろんな大都市と地方との格差の問題があるということです。全国には、中小企業の多い県が多いですから、そこをどう折り合っていくかや考え方を変えるかというのが大きな課題です。全国知事会でも山形県が委員会をつくってやっておられて、最低賃金は全国一律が世界的傾向だろうというような話をして、そこへいかにこれから持っていくかという話です。これは国でやるべきことだろうし、どのようなプロセスで実現するか、そのときに地方は何を言っていくのか、そういうことだと思います。
【記者】
そうなると大都市側に地方の賃金に合わせるということになるのでしょうか。
【知事】
そもそも、最低賃金があまりにも低いから1,000円ぐらいにしてはどうだという話になると、大都市に合わせるのが基本だと大変という話ですよね。日本全体の経済の中で、賃金などの人への配分が少ないのではないかなど、そういったことの解決策になるのではないかと思います。
【記者】
最低賃金はやっぱり時給1,000円ぐらいはあったほうが望ましいとお考えなんでしょうか。
【知事】
できるだけそんな格差が無いほうがいいと思います。法人のような格差もありますから、法人税をどうするかなど、そういう議論も全て絡んでくるということにもなると思います。
【記者】
先ほどの最低賃金のところで、追加でお伺いしますが、従来から知事は、こういった発言をされていると思います。これは、どこの役所がどれぐらいの本気度で格差というのを無くせるのか、また、簡単にできるとお考えでしょうか。
【知事】
これは主に厚生労働省、あるいは内閣府の話だったと思います。政府の働き方改革や地方創生、大都市と地方の格差という問題が大きなテーマだと思います。我々は自治体としてこのことを発言していますが、個別に自治体ごとにやるようなタイプのものではなくて、本来は国がやっていくことだと思います。
【記者】
達成に向けた困難さというのはハードルが高いとお思いでしょうか。
【知事】
政府においてある程度の意思を持たれたら解決できる問題だと思います。
―― 了 ――
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