知事記者会見の概要(平成30年8月23日(木))
平成30年8月23日(木曜日)
10:30~12:00
県庁 特別会議室
【知事】
それでは、記者会見に当たり、発表事項として、9月補正予算案、国体・障スポ観戦ガイドアプリ等、幕末明治福井150年博のメイン展示、コウノトリの愛称と放鳥について申し上げたいと思います。
まず、平成30年度9月補正予算案については、「福井ふるさと元気宣言」の実現に向けた政策を追加するとともに、7月の豪雨による被害の復旧、国からの内示に伴う公共事業の予算の増額補正ということになります。
〔資料:平成30年度9月補正予算案〕
一般会計の補正予算規模は94億円、補正後の予算現計は4,894億円となります。
なお、昨年度の9月補正予算規模は67億円でありまして、補正後の予算現計は4,785億円でありました。
それでは、個別の事業内容について申し上げたいと思います。
まず、企業立地促進補助金について、今までは主にものづくりの企業に対する補助金でしたが、今回はホテルの誘致に向けた補助金の制度をつくるという内容であります。
新幹線敦賀開業まであと4年6か月になりました。県内の新幹線駅周辺を中心に、民間による投資の動きが活発化しております。特に大規模なコンベンション機能を持ったホテルなどの進出については、我々も期待していますが、いまだ具体的な動きが出ていない状況にあります。
こうした大型ホテルの立地は、周辺への企業進出や出店などの投資を促すとともに、新幹線開業による観光、誘客の受け皿になりますので、県として積極的な働きかけが必要だと考えております。
このため、現在は製造業を中心に支援しています企業立地促進補助金の制度に、新たに大規模なコンベンション機能を備えたホテルへの支援を追加いたします。
補助率25%、限度額20億円ということですが、これは、今すぐお金が必要になるわけではありません。実際に、ホテルを誘致したときにこういう制度が使われる状況にしておく、制度要求ということになります。
2つ目は、ワールドマスターズゲームズ2021関西に関する事業であります。
〔資料:ワールドマスターズゲームズ2021関西〕
このワールドマスターズゲームズ2021関西では、2021年5月14日から30日までの17日間、関西各地において35の競技が行われる予定であり、関西広域連合を中心にいろいろ準備をしておられます。
ワールドマスターズゲームズは、国際マスターズゲームズ協会が4年ごとに開くものであり、概ね30歳以上のスポーツを愛好する人でしたら誰でも参加できるという生涯スポーツの国際大会であります。
現在のパンフレットにはまだ福井県での開催は記載されておりませんが、高浜町から強い要請もあり、本県への誘致について関西組織委員会と協議したところ、ライフセービング競技を高浜町で開催することについて調整がつきました。
明日24日に大阪のヒルトン大阪において、関西の行政、経済界、スポーツ界の関係者が集まって、「大会1000日前決起大会」が開かれます。その場において、本県の開催を正式決定する見込みであり、私も高浜町長と一緒に出席する予定であります。
ライフセービング競技は、国内外から多くの選手、大会関係者の来県が見込まれます。特に高浜町はブルーフラッグ認証を取得した、国際的には非常に評価の高いきれいな海岸がありますし、関西を中心に昔から名の知れた海水浴場であるというのはご存じかと思います。
今回の予算は関西組織委員会に対する大会開催経費の負担金であります。2020年度までの3年間、毎年負担するものであり、参加する各自治体も同様の負担を行うということとなっています。
次に、在宅医療拠点診療所整備であります。永平寺町には、福井大学附属病院がありますが、初めから附属病院に行くより、診療所で総合医に診ていただいた上で福井大学附属病院に行くというのが望ましい姿であります。しかし、永平寺町にはそういう診療所機能が十分にないため、来年4月に町が町民の在宅医療の拠点として、松岡兼定島に新たに町立の診療所を設置します。
この診療所は福井大学附属病院と連携し、外来診療と24時間対応の訪問診療を行うことにより、住民の健康管理を行います。また、福井大学附属病院の医師が研修医として入院、外来、在宅医療を総合的に学ぶトレーニングの場にも使われるということであります。
在宅医療の充実は県全体の課題であることから、今回、県としても町の診療所建設に補助を行うこととしました。補助率は2分の1、その財源には国が3分の2、県が3分の1を負担する地域医療介護総合確保基金を充てます。
次に、炭素繊維の自動車分野への展開支援事業であります。
自動車の製造分野では、電気自動車、水素自動車をさらに普及させるため、車体の軽量化が課題になっています。
現在、この課題を解決する最も有力な素材の一つとして、炭素繊維が注目されていますが、材料の製造や加工に時間と費用がかかるためにまだ一部の高級車にしか採用されていません。
このため、今回、民間企業のDIC(株)、セーレン(株)と県の工業技術センターが共同研究を行って、低コストで大量生産可能な炭素繊維シート材の開発を行うこととなりました。
この共同研究は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の戦略的省エネ技術革新プログラムに採択され、研究費に対して同機構から助成金が支給されることとなっています。
次に、敦賀港金ヶ崎と鞠山南のふ頭の整備事業であります。
来年4月から、敦賀港と博多港との間でRORO船による新たな航路が正式に開設されることとなりました。
この航路は近海郵船により運行され、当面は週3便、将来的にはさらに便数を増やしていく予定であります。これにより、敦賀港は現在の苫小牧便と合わせると、江戸時代の北前船と同じように北海道から九州までの重要な中継点になります。
この航路の荷役作業を行う場所を確保するため、照明設備7基と約340メートルのフェンスを整備する予定であります。
事業費は約8,000万円ですが、これは港の利用料金を徴収することによって、将来的に回収できることになります。
次は、一つの大きな柱になりますが、今年7月の豪雨被害の復旧であります。
7月豪雨による道路、河川、林道などの土木・農林施設の被害を集計した結果、393箇所、総額約49億円の被害となりました。その内訳は土木施設で333箇所、約39億円、農林施設で60箇所、約10億円ということであります。
これらの施設については、今回、復旧のための予算措置を行い、引き続き、復旧作業を行っていきます。
たくさんの復旧箇所がありますが、主なものとしては、越前海岸国道305号の福井市居倉地区について、現在も土砂が流出しておりますので、海側に仮設道路を設置し、通行できるようにいたします。その後、現道の復旧を進め、来年度末までに工事を完了いたします。事業費は約13億円です。
同じく、国道305号の越前町血ヶ平地区については、土砂や倒木の撤去といった応急工事を行い、8月2日から片側通行が可能となっています。今後、落石防止柵の設置など、来年の10月までに工事を完了いたします。事業費は2億1,000万円です。
河川関係では、永平寺川において護岸が崩れる被害がありましたので、ブロック積みによる復旧などを行い、今年度末までに工事を完了いたします。事業費は5,300万円です。
農林関係では、越前町梅浦地区における治山ダムについて、人家に土砂が流出しましたので、来年10月までを目途に新たな治山ダムの設置工事を行います。事業費は9,000万円です。
主なものをいくつか挙げましたが、他にも同様の事業がたくさんあり、豪雨被害の復旧を行っていきます。
次に、一般的な公共事業の増額についてであります。
これは、本年度の予算において国からの内示がありましたので、これに伴い、公共事業の予算を増額する補正であります。
道路・街路関係が約24億円、河川・砂防事業が約7億円、国直轄の道路などの整備事業への負担金が約4億円となっています。
主な箇所を申し上げますと、道路・街路事業については都市計画道路の敦賀駅東線や国道416号白方~布施田バイパス、福井港丸岡インター連絡道路がございます。
河川・砂防事業については竹田川の改修、吉野瀬川ダムの整備などがございます。
国直轄事業としては中部縦貫自動車道、国道417号冠山峠道路などがございます。
以上が今回の補正予算の概要であります。
次に、国体・障スポ観戦ガイドアプリケーション等について申し上げます。
〔資料:「福井しあわせ元気国体・福井しあわせ元気大会」観戦ガイドアプリ〕
〔資料:国体・障スポの総合リハーサル〕
国体の総合開会式まで残り37日となりました。9月9日の日曜日から、会期前に実施されるビーチバレーボールを皮切りに、水泳、ハンドボール、クレー射撃、自転車など国体競技も順次開催されます。
このたび、競技を観戦するために便利なアプリ「しあわせ元気 お役立ち情報」を県内のIT企業56社で組織する福井県情報システム工業会と県、そして県内17市町が協力して開発いたしました。
このアプリは、スマートフォンなどで現在地から目的の競技会場まで、地図上で道案内をする機能のほか、会場近隣の駐車場や観光施設、食事場所の表示機能など、皆さんに便利に使っていただけるようになっています。
また、大会期間中は福井運動公園および県内の13の障スポ競技会場におもてなし広場を開設し、はぴりゅうグッズやご当地グルメを販売しますので、競技の観戦・応援とあわせてこの広場もご利用いただきたいと思います。
その他、国体・障スポに関連して、開・閉会式の式典演出、運営全体の最終確認を行うため、国体は9月8日の土曜日に、障スポは9月22日の土曜日に総合リハーサルを行います。
総合リハーサルには約5,500人の出演者が参加し、開・閉会式の全プログラムを本番どおり進め、式典の進行、出演者の案内・誘導、送迎バスの運行、取材位置の誘導などの確認を行います。
あと1か月、一層気を引き締め、国体・障スポの成功に向け、努力してまいりたいと考えています。
次に、幕末明治福井150年博のメイン展示「幕末維新の激動と福井」について申し上げます。
〔資料:県立歴史博物館 特別展「幕末維新の激動と福井」の概要〕
このメイン展示は、9月22日の土曜日から県立歴史博物館において開催されます。
今年は元号が明治に改められてから150年となるわけであります。松平春嶽をはじめ、由利公正、橋本左内など幕末明治に活躍した先人の生き方、偉業を後世に伝えるため、3月から県内各地で幕末明治福井150年博を開いております。
歴史博物館の特別展では国宝2点、重要文化財3点、国内初公開10点を含む101点の歴史資料を一挙に公開し、黒船来航から明治維新、新政府までの激動の中で福井藩が果たした歴史的役割を中心に、福井の先人が明治維新、また今日の日本の姿にいかに貢献したかを紹介いたします。
中でも特に注目していただきたい資料を申し上げます。
橋本左内に関する資料として、彦根城博物館所蔵の重要文化財「安政大獄処罰案」を展示します。これは1859年のものでありまして、例えば橋本左内は遠島を申しつけると当初は記されていたのですが、付け札が貼られ当初の遠島処罰案より一等重い死罪となった点など、いろいろと歴史的な思いを感じることができるものであります。
それから、横井小楠筆による「国是十二条」がございます。これは県立歴史博物館が所蔵しており、1867年のものであります。
それから、坂本龍馬の花押(サイン)が記されている書簡でございます。坂本龍馬が1864年に福井藩の村田氏寿宛てに書いたものであります。書簡の内容としては、坂本龍馬が関東に下ることや、友人であった村田氏寿への病気見舞いといった内容が記されております。
その他、国内初公開となる県立博物館所蔵の三岡八郎(由利公正)所持銘入り刀や個人の方からお借りした橋本左内の紋服を展示します。紋服は、着用して撮影ができるように複製も用意しております。
国宝2点については、東京大学史料編纂所所蔵の島津家文書の中から「小御所会議之図」と「安政年間酒井忠義へ賜膳之図」を展示します。
「小御所会議之図」は松平春嶽が前土佐藩主の山内容堂らとともに、大政奉還を行った徳川慶喜の処分について論争した様子を描いた資料であります。
それから、国内初公開となる「安政年間酒井忠義へ賜膳図」は京都所司代を務める小浜藩主 酒井忠義が天皇の御膳の一部を賜った場面を描いたものであり、忠義と天皇、公家との交流がわかる興味深い資料であります。
また、同時期に県立美術館や福井市立郷土歴史博物館においても、幕末明治150年博の特別展を開催し、これら3つの特別展をお得に観覧できるプレミアムパスポートも販売予定でありますのでこちらにも是非お越しください。
最後に、コウノトリの愛称と放鳥について申し上げます。
〔資料:コウノトリの愛称決定〕
今年5月に生まれたコウノトリ3羽の愛称が決まりました。お父さん、お母さんは「ふっくん」と「さっちゃん」でありますが、3羽の愛称について、県民から応募があった名前からさまざま検討して、メスが「こころちゃん」と「ひかりちゃん」、オスは「りゅうくん」という名前に決定いたしました。
この3羽のコウノトリは、9月17日の月曜日(祝日)に越前市坂口地区において放鳥する予定であります。
放鳥後はGPS発信機により行き先を把握するとともに、県民の皆さんからの観察情報も得て行動を見守っていきたいと考えています。
~質疑~
【記者】
コウノトリですが、今回、愛称を決定するに当たって、県民の方からの応募、投票で選ばれました。県民の関心というのはどうだったのかをお聞きします。
【知事】
愛称募集については、県民の皆さんから1,408件の応募がありました。寄せられた名前もバラエティーに富んでおり、いろいろな思いがあったのだと思います。
坂口地区は人工巣塔やビオトープ、あるいはドジョウの養殖池をつくるなど、コウノトリの生息環境整備が盛んですが、さらに多くの県民に関心を持ってもらい育てていくことが大事であると思います。
【記者】
放鳥の時期について再度お聞きします。
【知事】
9月17日の月曜日、この日は祝日ですが10時から越前市坂口地区で3羽を放鳥いたします。越前市の坂口小中学校付近の水田において放鳥することになります。
【記者】
ワールドマスターズゲームズのライフセービング競技の誘致が決まる見込みとなりました。これについては、かなり早く決まったような感じも受けますが、誘致の経緯や知事の感想をお願いします。
【知事】
近畿ブロック知事会議でこういう話題が出た時に、高浜町が誘致したいという気持ちを持っておられることは聞いておりましたので、福井県も参加できないかということを井戸兵庫県知事に相談したところ、何も問題ないということで早く決まったということです。 このワールドマスターズゲームズは関西のいろいろな場所で開催されますが、街中だけで開催するのはつまらないと思います。関西全体、または外国の方に広く日本の自然や海の良さを知っていただくことが大事だろうと思っています。
【記者】
豪雨被害の補正予算が出ましたが、早く復旧させるためにどのように進めていきたいと考えていますでしょうか。
【知事】
特に国道305号については、生活道路でもあり、観光道路でもありますので、何としても一路線を確保しなければなりません。ですから、その工事をしっかりやった上で、再度災害が起きないように対策を行うということであります。今回、幸いにも県内では人災が生じませんでしたが、いつ人災が発生するかということについては楽観視できませんので、しっかりとした対応をし、またその他の場所についてもいろんなチェックをしながら、まず人命、そして生活の確保、さらに観光にもつながるということで、事業費がかさむものも多いですが、早く復旧を進めたいと思います。
【記者】
補正予算における炭素繊維の自動車分野への展開支援事業についてお聞きします。福井発のローカル産業革命と書かれていますが、なぜ最初に炭素繊維をやるのでしょうか。
【知事】
ローカル産業革命というのは、昔の産業革命ではないですが、新しい技術を使っていろいろやろうということです。これは、地方創生という意味でも、地元の中小企業などの技術を活かして、新しいものが生まれるということです。特にこの開繊技術というのは福井県にしかありませんので、NEDOとしても他との比較優位を考慮すると、福井の技術は全く問題ないということで選んでいただけたのではないかと思います。
【記者】
ホテルの企業立地促進補助金のことですが、補助対象になるホテルの条件について、規模が大きくてかなりハードルの高いものになると思います。このことについて、ホテル誘致の目途やいつ頃までに誘致したいといった知事の思いを教えていただけますか。
【知事】
県内にもホテルはありますが、金沢や富山に比べるとスケールや機能の面でやや遜色があります。私は何としても北陸新幹線敦賀開業までには規模が大きいホテルを誘致したいと考えています。何か具体的な話があるということではありません。しかし、誘致する時にこういう制度を持っていないとなかなか対応しにくいということです。そして、こういったホテルを誘致することによって、既存のホテルや宿泊施設にもいい影響があるようにしたいと思っています。
【記者】
コウノトリのことについてお聞きします。今回決まった愛称に対する知事の感想をお聞かせください。
【知事】
応募のあった愛称には子供たちが考えたものがたくさんありました。やはり子供たちがいろいろな夢を持ちながら考えてくれた愛称ですので、結果としてふさわしい名前が出てきたと思っています。
【記者】
ワールドマスターズゲームズについて、オープン競技の県内開催の可能性は、どのように考えていますでしょうか。
【総合政策部企画幹(政策推進)】
これから調整する話になります。
【記者】
県立学校ブロック塀安全対策事業について、知事のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
【知事】
これは当然にやらなければいけない事業でありますので進めたいと思います。また、学校のブロック塀以外にも通学路等での安全対策などいろいろなことに深くかかわってきます。これはブロック塀だけの対策をしても道が細いとかいろいろなことがありますから、そういうものもしっかりチェックして、できるだけ安全なものにしたいと思います。しかし、この事業の対象は、県立施設だけですから、市町の施設は市町でやっていただけるよう要請したいと思います。
【記者】
6月議会では、民間のブロック塀対策に何か手を差し伸べていただけないかという質問が出ていたと思います。ブロック塀対策について、民間への補助などは今のところないのでしょうか。
【知事】
今のところはないです。
【総務部長】
国の制度なども見ていかないといけないと考えています。今後の課題だと思います。
【記者】
ワールドマスターズゲームズについてお聞きします。世界各国から多くの方が福井県に来られて、インバウンドの拡大にもつながっていくと思いますが、知事の期待感をお聞かせください。
【知事】
世界中から選手500人、その家族を含めると1,500人の来県が見込まれています。彼らに福井のいろいろな魅力を発信していただきたいと考えています。
【記者】
豪雨被害の復旧についてですが、国道305号福井市居倉地区の仮設道路はいつまでに完成するのでしょうか。また、国道305号が完全に復旧するのはいつ頃を目途としてお考えでしょうか。
【知事】
仮設道路の設置は今年の冬期までにと考えています。最終的な完全復旧については来年度末に工事を完了したいと考えています。
【記者】
国道305号の復旧工事は、仮設道路の建設も含めて、補助率の高い国の災害復旧事業に決まったということでしょうか。
【総務部長】
今後、具体的に災害査定を受けることになりますので、その中で求めていくことになります。おそらく対象になると思いますが、正式には災害査定を受けてからになります。
【記者】
国体に関して、この福井国体は天皇皇后両陛下が来られる最後の大会となりますが、どのような国体、どのような福井をお見せしたいのか、知事の思いをお聞かせください。
【知事】
福井県にお見えになられるのは、全国植樹祭以来でありますし、天皇皇后両陛下のお立場では最後の国体だと思いますので、いろんな意味で思い出深い大会になるようにしたいと思っております。
特に、歴史上初めて国体と障スポの融合ということを行いますので、老若男女、障害の有無にかかわらずみんながスポーツを行っているという様子をできるだけご覧いただけるようにしたいと思います。
それから、県の教育博物館もご覧いただきますので、幕末明治の福井県やそれ以降のいろいろな福井の教育の伝統などをご理解願いたいと思います。
【記者】
原子力機構が7月下旬としていた「もんじゅ」の燃料取出しを延期して8月中となり、その前段となる模擬訓練が19日に始まりましたが、その当日にまた警報が鳴って止まってしまいました。翌日に再開しましたが、準備段階でトラブルが相次いでいることについて、あらためて知事のご意見をお伺いします。
【知事】
作業上の不具合などいろいろありましたが、我々としてはその都度注意を喚起し、対応に万全を期すように、また体制の強化などを求めてきました。例えば、機構の職員については33人体制を42人にし、メーカーについても10人を13人にし、指導している文部科学省も2人を5人にするなど、いろいろな体制強化を実行しています。機能試験・模擬訓練が終われば燃料取出し作業が始まるので、着実にその段階に行くように、また、そういうことになれば、あらためて機構や国の責任ある方に来ていただいて、しっかり作業を進めるようにという話をしたいと思います。
【記者】
先ほど、「責任ある方に来ていただいて」とおっしいましたが、不具合が相次いでいることに関して、あらためて気を引き締めてもらうという意味で、原子力機構の児玉理事長に来ていただくということはありますか。
【知事】
もちろん必要なことだと思います。
【記者】
「もんじゅ」でこれだけトラブルが起きるのは、準備が不足していたのではないかと思いますが、知事は一連の廃炉に至る経緯から今までを振り返って、廃炉に挑むだけの準備は十分だったとお考えでしょうか。
【知事】
これは、全く今まで例のないことをやっているわけであります。そして、あらゆる問題やいろいろな目的を達成して、完全な状態にしてやっているわけでもありません。時間の経過、人の交替、考え方の変化もあるわけで、よほど心していろいろなことをやっていかないといけないと思います。
また、起こっている事柄も大小、軽重、いろいろなことがあると思いますが、それらがどういう意味を持つのかを理解し、これを県民や国民の皆さんにちゃんとお伝えし、これを解決するためにどうするのかということをしっかり進めていくというのが彼らの大事な任務だと思います。そういう考えで我々は地元として、しっかり安全のために対応していくことになると思います。
【記者】
準備は十分だったのか、そうではなかったのかについては、どのようにお考えでしょうか。
【知事】
準備というものが十分とか十分ではないという言い方は、一般的に言ってもどうにもならない話だと思います。
【記者】
国内初の高速炉の廃炉ということで、原子力機構は研究開発を担っていますし、もし今後新しく造る高速炉があるのであれば、今回の廃炉技術をそちらにもつなげていきたいという思いも機構にはあると思います。そこで、今回の不具合というのは、初めてのことをやっている中で、研究開発という意味でいうとまだ許容範囲だと知事はお考えでしょうか。
【知事】
燃料を吊り上げる装置のつかみ具の異常や、アルゴンガスの流量不足、監視カメラの視認性の低下、警報の発信装置の異常などいろいろなことがありますが、一つ一つ、その局面の事柄ですから、そういう問題を克服してやっていくというのが、この「もんじゅ」の課題だと思います。いくつかこういう不具合が発生することはあり得るのかもしれませんが、問題のないようにしっかりやるようにというのが我々の基本です。やれないのでしたら体制を整えなさいということでありますし、準備が不足しているのでしたら、もっと準備をしなさいというのが我々の考えです。
【記者】
原子力損害賠償法のことでお伺いします。知事は「国が責任ある姿勢を示さないなら、立地や周辺地域の信頼を得ながら国策として原子力を進められない」と、かなり強い口調で批判されたと思います。あらためて、どういうところで国の責任が必要になってくるのかということを教えていただけますか。
【知事】
原子力損害賠償法というのは、もちろん、災害が起こったときの話ではありますが、それ以前に、エネルギー基本計画の中で原子力をどうするかという位置づけをしっかりしないと、原子力損害賠償法の問題に議論が進まないという課題があるわけです。そして、その中で、無限責任か有限責任かという、いろいろな原子力損害賠償法の課題があります。しかし、そういうことを行っている背景には、原子力政策というのが国の政策として行っているプロジェクトでありますので、その時に国が腰を引いているようでは、地元として困るわけでありまして、そこをしっかり前面に立ってやってほしいということを強調したということです。
【記者】
国が逃げ腰と知事もおっしゃるのであれば、今、動いている原発を止めても然りなのかなと思いますが、その辺はいかがですか。
【知事】
それは制度の仕組みをどういうシステムでやるかということで、国が完全に何もしていないというわけではありません。いろいろやっていますが、なお、強度を強めろということです。
【記者】
7月にあったプルトニウム削減の提言についてですが、原子力委員会は、使用する分だけ再処理してほしいという話だと思いますが、それではプルトニウムを使えない局面が来ると、使用済燃料がどんどんたまるということの裏返しになると思います。そうなると困るのは地元だと思いますが、知事のご認識はいかがでしょうか。
【知事】
これは、全体的に大きな課題でありますけれども、地元レベルでいえば使用済燃料は県内には置かないという考えですので、その中で解決しなければならないだろうと思います。その後どうするのかというのは、国全体の話になって、これはまだ、全体の戦略が必ずしも全て描けていないという状況にあるということです。その状況を描くにはどうするかというのは、いろいろな有識者や研究者、政府の考えでやっていく場が必要ですし、その時に、我々がどう発言していくのかという話になると思います。
【記者】
「ふげん」は来月末までに燃料の再処理の方針を機構が持ってくることになっていると思います。国が考えることだとは思いますが、その辺での影響はないでしょうか。
【知事】
国が考えるから、好きなようにやったらいいのではないかという意味ではなく、その時にまた物を言わないといけない局面があるだろうと思っています。
【記者】
今週の土曜日、日曜日に嶺南で原子力総合防災訓練が行われる予定です。初日は2基の原発の事故が同時進行することを想定し、2日目は大規模な避難訓練が行われます。そこで、2基の原発の事故が同時進行することを想定した訓練の意義や必要性を教えていただきたいと思います。
【知事】
この点については、スケールを広げるというタイプの訓練と、ストレスを強化するというタイプの訓練があります。今回は、訓練を同時に行うということにより、主にストレスを強めるという感じになります。ある1つの原因で同時に事故が発生したという意味ではありません。ですから、別々に訓練をやってもいいのですが、いろんな意味でストレスをかけておくと、他のいろんな場合に役に立つだろうということで、あわせて訓練を実施するということになると思います。
【記者】
エリアも広がり、ストレスもいろいろなかけ方ができるということでしょうか。
【知事】
そうです。ですから、1つのプラントで訓練をやってもいいのですが、大飯、高浜の両原発が距離的に近いということがありますので、訓練をほぼ並行的にやるということになります。
【記者】
2日間を通じて、2つの原発の事故を想定したものと、大きな避難訓練を通じて、どういうことを確認したいと思われていますか。
【知事】
同じタイプの訓練にもさらにいろいろなレベルというものがありますが、初めての同時訓練ですので、そこでどんな問題が起こるかというのを知りたいということです。自衛隊のヘリコプターなど、両方でうまく来れるのか、そういういろいろな機動力の問題に私は特に関心を持っています。
一方で、災害避難の除染や交通管制は、非常にスケールの大きいものとしてはなかなかできませんので、今後の訓練を深めていくときの参考になるだろうと思います。
【記者】
訓練を通じて、機動力に関心があるとおっしゃいましたが、その機動力はどういうものか、どういうことを確認したいかということを具体的にお教えいただけますか。
【知事】
特に船舶と航空機を定刻どおり、目的どおりしっかりと現場に派遣できるかどうかを確認したいと考えています。従来は少し天候が悪いと来れないとか、いろいろなことが多くありましたので。将来的には福井県内にそういう展開基地ができればいいと思いますが、そういうものの参考にもなるだろうということです。
【記者】
9月23日にも「いちほまれ」がデビューする予定ですが、昨年は東京と県内で試験販売を行ったということで、県内では非常に好評で足りなくなるような事態になっていたかと思います。JAとしては、今年は関西を中心に売っていきたいという考えをお持ちのようです。県は昨年、東京という一大消費地というのを目がけていきましたが、今年は、方針が県とJAでずれているのではないかという思いがあります。本格販売を前にそういった状況にあることを、知事はどのように捉えていらっしゃるか、お伺いします。
【知事】
「いちほまれ」については、別途発表したいと考えていますので、その時に聞いていただきたいと思います。
【記者】
今週の月曜日に福井市長が財政再建計画を発表されました。知事が福井市長からいつ報告を受けられるかというスケジュールが分かれば教えていただきたいと思います。
【知事】
まだ、福井市からいつ頃という話は聞いていません。
【記者】
福井市の中核市への移行についてお聞きします。福井市としては、来年4月での中核市移行のため、できれば9月県議会の開会日に同意議案を出してほしいと考えていると思います。現状において、県としての議案を出すスケジュールというのは全くないのでしょうか。
【知事】
はい、ありません。
【記者】
もし、市長から知事にお会いしたいという話があれば、そこはある程度万難を排してとまではいきませんが、お会いになるのでしょうか。
【知事】
万難を排するほどの難しい話じゃありませんので、そういうお話は十分お聞きするということです。
【記者】
8月27日に与党プロジェクトチームの会合が開催される予定ですが、建設費の上振れ分の国費の確保方針というものがおそらく固まると思います。また知事は、今週、石井国土交通大臣と直接面談されて、国費確保の方針を直接聞かれたと思います。知事は、7月の会見で国費の増額が一番大事だとおっしゃっていましたが、そういう国の方針を受け取ったということで、まずご感想をお聞かせ願います。
【知事】
石井国土交通大臣からは、2022年度末の敦賀開業に影響が生じないように、国土交通省としてしっかり取り組むという力強い発言がありましたので、そのようになるのではないかと思います。
我々としては、そのシステムが決まると、755億円の国費がまず増えます。それに応じて、JRの貸付料も増えてきます。そうなると、毎年毎年、そういうシステムができたということになりますので、敦賀から先の財源にも増額ということでつながるわけです。その期待もありますから、できるだけ財源の見通しがより多く立つように、我々としては期待もし、要請もするということになると思います。
現在のJRが納める法人税は、今のスキームをつくった当時の約2倍になっています。ですから、国費をもっと出していいという議論に我々としては考えています。これを財務省や国土交通省がどう話をつけて、措置をするということになると思います。
【記者】
敦賀以西の財源の検討というのは、国費が増額された流れでやってほしいという思いもあると思います。そして、国費の確保ができたら、今後は地方負担の問題もありますが、貸付料の増額や敦賀以西の貸付料の前倒しなどの議論にも入っていけるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
【知事】
そうです。おっしゃるとおりでありまして、8月27日の与党プロジェクトチームでそういう議論をまず行うということを強く求めたいと思います。敦賀以西については、今、詳細設計をやっていて、それは年度内に終わると思いますから、すぐにアセスメントにつなげて、大阪開業までの短縮を図っていくということになると思います。
【記者】
新幹線の財源の見通しがつけば、間違いなく敦賀まで開業できるということで、そうなると工事の遅れも取り戻さないといけないということになります。県内の生コンの不足や供給の見通しについてどういう状況になっているのでしょうか。
【知事】
新幹線工事の資材やコンクリートなどの供給の影響は、今のところ生じていませんが、来年度以降は工事の最盛期を迎えますので、供給が逼迫するおそれがあります。我々としては、6月に鉄道・運輸機構と県などで対策会議を設けて、業界の意見を聞きながら、需給見通しや骨材の供給、ミキサー車の確保などについて対応策を検討しています。
今後の対応策については、県外からの骨材の調達や生コンのプラントの新しいものを利便性の高いところに造ることなどを考えています。それから、新幹線工事の共同事業体(JV)による県外からのミキサー車の調達など、いろいろな方法があります。
いろいろなことを業界とも共有しながら、遅れないようにやりたいと思います。
【記者】
生コンのプラントを造るというのは、仮設的なものをつくるということでしょうか。
【知事】
工事の場所は移動していきますので、新しく造ったところからあまり移動距離が長くなるといけませんから、そこは判断が要るということです。敦賀から先のことを考えれば、場所的なこともいろいろあると思います。
【記者】
今のような対策が実現できれば、問題は解決されるということでしょうか。
【知事】
解決する見込みかと思います。
【記者】
9月県議会に福井市の中核市移行に関する同意議案を、現段階で出されるかどうかは決まっているのでしょうか。
【知事】
これは、福井市から財政再建計画の報告をいただいた上で、中核市移行への同意議案を9月県議会に出すかどうかは判断するということになると思います。できるだけしっかり検討していただくことが大事だと思います。
【記者】
福井市から報告があった場合、どういったポイントを確認していきたいと思いますか。
【総務部長】
知事の考えは、6月県議会などの議論において示しております。職員数や給与水準、税の徴収率、そういったことに県として既に課題があると伝えておりますので、それらについて福井市がどう答えられるかがポイントだと思います。
【記者】
第2恐竜博物館の検討状況はどうなっていますでしょうか。
【山田副知事】
6月県議会でも申し上げましたけれども、民間参画の可能性について、いろいろな手法を考え、それをいろんな民間企業に当たって、その意向を踏まえたスキームの見直しをこれから進めていくという段階だと思います。
【記者】
その方向性は、9月議会では出せそうでしょうか。
【山田副知事】
引き続きそういう協議をして、できるだけ早く示すという状況にあると思います。
【記者】
何が障害になっているのでしょうか。民間との話なのでということかと思いますが、年末ないし年度末までにという話も以前あったかと思います。
【山田副知事】
具体的な参画のスキームをお示しして、こういうやり方でどうかと言えないと、その次の段階に行けないので、それはその参画意向のある企業の状況をよく把握した上で対応していくということです。
【記者】
年末、年度末のどちらになりますか。
【山田副知事】
できるだけ早くということです。
【記者】
国体に関して、開幕まで1か月余りとなり、選手の強化等をずっとやってきた中で、天皇杯獲得に向けた手応えをお伺いしたいと思います。
【知事】
各競技団体の現場などにも私や副知事などが行きまして、いろんな状況を見ながら、不足するものがもしあれば、対応するようにしております。何といっても最後のいろいろな粘りや調整というのが大事でありますし、大会を盛り上げていって目的を達したいと思います。
副知事から何かありますか。
【藤田副知事】
今、知事がおっしゃられたとおりです。現在、機を見てずっと応援や激励をやっていますけど、ほんとうに直前ですので、怪我をせずに最後の詰めをして課題があるなら課題を克服していただけたらと思います。
【記者】
障害者雇用についてお伺いします。中央省庁や地方自治体で義務づけられている障害者雇用率が長年にわたり水増しされているという問題が発覚しました。福井県としては水増しがないとされていますけども、知事の所感をお聞かせ願えますか。
【知事】
総務部長からお答えします。
【総務部長】
今回、福井県では、厚生労働省のガイドラインに基づいて、本人の申告により障害の有無を確認の上、原則として各所属で障害者手帳の提示を受けて障害の状況を確認しております。
そして、障害者手帳の交付を受けていない場合には、産業医の診断結果に基づいて、障害の程度を確認しております。したがって、報道のような障害者の水増しについては、福井県知事部局にはございません。
【記者】
2020年の東京オリンピックに向けて、組織委員会の森会長が政府に対してサマータイムの導入を求めています。総理も自民党に検討を指示されたようですが、東京だけではなくて、日本国中に影響がある話だと思いますので、知事の賛否をお伺いします。
【知事】
私の子どもの頃も一度、サマータイムというものがありましたが、あまり実感がないので良く分かりません。いろいろ課題もあるかもしれませんので、政府で十分に検討していただければと思います。
―― 了 ――
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