知事記者会見の概要(平成18年9月11日(月))

最終更新日 2008年3月11日ページID 002711

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平成18年9月11日(月)
10:30~11:30
県庁 特別会議室

記者会見

 


 

【知事】  平成18年度は就任4年目ということで、今回の9月補正予算は実質的に最終的な予算になります。マニフェストでは200億円の財源(で、「新世紀政策推進枠」として施策を実施する)ということでしたが、最終的には、4年間の累計で218億円になり、総体として18億円の財源を余分に確保して新しい事業を行ったということです。

 9月補正の重点課題を分野的に整理すると、豪雨対策、雇用・経済、少子化、がん医療施設、健康長寿、まちづくり、治安維持の7項目になります。

予算上の工夫としては、部局横断型施策の推進ということで、特に健康長寿については部局横断的な予算になっています。

 また、職員提案型のゼロ予算事業、つまり予算措置を伴わない事業として、「ふるさと企業情報提供事業」、これは地元企業の情報発信のため、インターネットに若者就職ナビゲーションを10月から開設するとともに、市町村の広報誌にも情報提供を行います。また、河野海岸有料道路の利便性向上のため、新たに、大雪のときや夜間の通行料を無料にします。それから、17年度に引き続き、周辺観光施設と連携して割引チケットを出して利用促進を図ります。

 また、政策形成過程からの県民参加、これは以前からも続けておりますが、今回もいろいろご意見をいただきました。例えば「夜景を活かした魅力あるまちづくり事業」については、福井市がまず動き始めていますが、他の地域も一緒のことで、嶺南地域の敦賀などでもどうかという議論があり、敦賀市とも協議を始めることとしました。


 今回の9月補正予算規模は、一般会計54億円余等であり、本年度予算の累計は一般会計で4,960億8,200万円となり、前年度9月補正予算と比べると99.1%と、約1%の減になります。


 次に、個々の予算の中身を概略ご説明します。

 平成18年7月豪雨対策の関係では、道路、河川、砂防などの土木関係で476カ所、また、農林関係の農地、林道、治山などで369カ所に約37億円の対応が必要になりました。

 県の予算というのは、毎年、一定の災害があり得るということで、ある程度、当初予算で予算を組んでいます。今年は、当初予算で30億円用意しており、今後も台風などの災害があるかもしれませんので少し予算を残しておくという仕組みになります。今回、37億円の災害がありましたが、当初予算で用意している30億円の予算から22億円投入し、8億円は留保し、不足分の15億円の補正予算を組んだとご理解を願いたいと思います。

 主なものとしては江端川の対策です。今年7月の豪雨で福井市江端町で159戸の浸水被害が発生しました。江端川はこれまでも下流から整備していますが、上流にまだ川幅が細いところが残っておりますので、上流の約500メートル区間の川幅を拡幅します。現在、川幅の細くなっているところに住宅があり、その住宅団地の浸水を再びないようにするためで、6億円の緊急事業費を計上しました。これによって、今回の豪雨並みの雨では被災が生じなくなると思います。

 台風シーズンが始まり、また、この土日にも大雨警報が出ましたが、秋雨や台風に対して、既に9月6日には、市、町等に対し十分な対応を取るよう通知を出していますが、今後とも対応したいと思います。

 それから、2年前の福井豪雨関係の対策の状況を参考に申し上げます。

足羽川の激甚災害対策特別緊急事業についてですが、これは平成20年までの5年間の限定事業であり、今は、日野川と足羽川の合流点から板垣橋までの6キロメートルを対象区域にしております。現在、南側の左岸、桜並木のあるほうが3.3km、また、右岸は3.1kmの河床の掘削が完了しました。河床が2m掘り下がりましたので、治水の安全度は、その部分だけ今既に向上しているということです。平成20年度を基本的に目指して進めていきたいと思っています。

 現在、足羽川激特事業の進捗率は約3割であり、残りは、18、19、20年度ということで進めていくということです。


 次に、雇用・経済基盤の強化についてです。

 4年前は、本県の完全失業率は4.1%と大変厳しい状況でしたが、現在は、おかげさまで全国一数字が低い状況になっており、失業率は2.4%、有効求人倍率も1.42ということですが、引き続きいろんな問題に取り組みたいと思っています。しかしながら、例えば眼鏡など、産業によっては厳しい環境にありますので、雇用対策にさらに十分な努力が必要ですし、企業自身のご努力も必要と思っていまして、いろいろな注意をしながら雇用問題等に取り組んでいく必要があります。

 これまでも、企業説明会を学生に向けて行っていましたが、、少しでも情報を早く提供しようということで、学生等が帰省する来年のお正月休みの1月に「ふるさと企業魅力発見フェア」を開催することとしました。これは、一回就職したけれども、また地元でもう一回就職しようとする転職希望者、第二新卒といいますが、こういう人たちも念頭に置いた事業です。この他、先ほど申し上げたように、10月から若者就職ナビを開設します。

 次に、企業誘致ですが、人材確保のためには、既にある企業が頑張っていただくことも必要ですし、増設・新設(により新たな雇用も創出)されなければ学生も戻れないということになりますので、9月補正では、当初予算以降新たに新設・増設が決まった5件の企業立地について、企業誘致の助成金を13億円助成することにしております。一例としては、テクノポートで本年12月に操業開始するファーストウッド株式会社などの企業に応援したいと思っています。主なものは、ファーストウッドで4億円、アイシン・エィ・ダブリュ他3件で9億円などです。

 なお、企業誘致の詳しいことは、今日の午後から、産業労働部から説明がありますのでお聞き願います。


 次に3つ目のお話になりますが、少子化の問題についてです。

おかげをもちまして、本県は全国で唯一出生率が伸びたということですし、また、皇室にも慶事があったということで、全体に、気持ちを明るくしながら仕事を進めていく必要があると思っています。

 近く発行される厚生労働白書に、本県の子育てマイスターが取り上げられるようです。また、ふくい3人っ子応援プロジェクトなど、本県の政策についてもいろいろな問い合わせがきております。

 県立病院のNICU(新生児集中治療室)については、現在9床ありますが、今回、3床増床します。最近、高齢出産や不妊治療技術の進歩などによって、双子とか体重が少ない場合もあり、NICUの需要が想定されます。現在、NICUは98%の稼働率ですので、子育て支援に努力する福井県として、環境を整えたいと思っています。看護師の増員等、来年はいろいろなことが必要ですが、そういう対応をしていきたいと思っています。

 現在、県内にはNICUに相当する施設内に、病床が33床あるわけですが、福井大学附属病院への増床要請とか、受入れ分担などソフト面のネットワークも進めていきたいと思います。

 次に、がん診療施設についてです。

 福井県のがん登録の正確さというのは非常に高く、全国最高水準にありますので、その情報を生かしながら、がん診療連携拠点病院の機能を強化して、いろいろな情報がネットワーク的に整備されるようにしたいと思います。また、がん看護の看護師の特別の研修を一月半ほど行いますが、がん看護能力も強化していきたいと思います。

 また、「陽子線がん治療施設」については、7月末に基本設計が終わりましたので、今月から、年内完了を目指して実施設計を進めます。平成21年度の治療開始を目指しており、建築工事や治療装置の契約手続が必要なので、継続費を設定して仕事を進めます。

 なお、この施設は日本海側では唯一の施設ですので、石川、富山県などの医療機関に対しても福井の施設を使っていただくように要請し、その協議も今進めています。

 若狭湾エネルギー研究センターでも、平成14年度以来35名の治療を現在の施設で行っていますが、その成果を生かしながら、この施設が有効に働くように進めていきたいと思います。


次に、健康長寿ふくいについてです。

 健康長寿にはいろいろな努力が必要で、情報発信も必要ですし、調査なども必要です。

今回の「健康長寿ふくい情報発信強化事業」については、米国オレゴン州のグラフハイト先生が、日米のライフスタイルを研究しながら福井県の勉強もしていただいているということで、この6月には福井県にも来ていただきましたが、先生と学生がもう一回日本にお見えになる際に、講演会などを開催するものです。

 また、「県民健康・栄養調査事業」についてですが、メタボリックの概念、つまり、腹周りや体脂肪を調査することによって県民の健康づくりの施策に反映させるというものですが、これはやはり、福井県の健康長寿の県民運動の1つのきっかけにぜひしなければならないと考えています。

 次に、フットサルについてです。

 冬季の室内スポーツの普及が福井県にとって課題です。室内ミニサッカーとでもいうフットサルが盛んになってきており、福井県として普及していきたい分野であると思っています。今年12月に福井県サッカー協会などが中心になり、サンドーム福井で第1回福井県フットサルのフェスタが開催されますので、その応援をしたいと思っています。フットサルはサッカーへ進む1つの道であると同時に、冬季のスポーツになるのではないかと思いますので、提案をしています。


 次に、まちづくりの関係です。

 平成16年には景観法が施行され、景観が大事な分野になっています。夜景は、住民や観光客にとって大きな魅力であり、また、新幹線の延伸がこれからありますし、福井市のまちづくりなどとも関係するので、景観、夜景を生かした魅力あるまちづくりのための協議会を開催し、候補地等についていろいろな意見をいただきたいと考えています。福井市だけでなく、敦賀市も今後考えなければならないだろうという意見を住民の皆さんからいただいています。

 また、嶺南地域のまちづくりについてですが、本年10月21日に敦賀まで新快速電車が乗り入れします。かつて嶺南地域では三方五湖などに観光バスが運行されていましたが、乗客不足のため平成12年度に中止されています。今回、快速電車の開通をきっかけに地元自治体が観光バスの試行運転をやろうということですので、県としても、美浜町、若狭町に半分の応援をします。10月21日から今年度いっぱい運行を行ってその状況を見、またJRとも連携し、十分なPRをしていきたいと思っています。

 次に、国道27号美浜東バイパスの整備についてです。

嶺南地域の観光、通勤の渋滞緩和のためには27号線の整備が不可欠です。現在、美浜東バイパス4.9キロメートルについて、県は国の直轄事業に負担金を出しながら整備促進を要請し進めており、平成15年9月には佐田から山上まで暫定2車線で2.9キロメートルの供用を開始していますが、残る西側についてはまだ整備されていませんでした。

 昨年12月に、近畿整備局長ともお会いしまして、直接、促進を要請したところ、国の18年度予算が厳しい中、17年度に5億円だった予算が18年度は17億6千万円と3倍以上伸ばしてもらっていまして、今回の補正はこの増加分について、予算を計上するものです。

 これによって、残る区間の山上から佐柿まで、19年度の供用開始を国において目指すことができるようになり、美浜東バイパスは全体がバイパスとして機能するという状況になります。


 次に、治安の関係、安全・安心の関係についてです。

 現在、子供の安全・安心については、「こども安全3万人作戦」などを行っていますが、声かけ事案は、昨年より減っておりますけれども、依然としてこの8月末で86件発生するなど課題もあります。

 本県は全国でも最も交通相談員・交番相談員の配備が充実しており、警察官がパトロールに出やすい条件が整っています。この条件を生かしながら、従来はパトカーなどによるパトロールにかなりウエイトがあったわけですが、より直接的に、「ポリススタンバイ作戦」として、各交番に真っ白の自転車を配置して、できるだけ住民、地域の中に警察官が入って、安心して皆さんが行動できるような、そういう作戦をしていきたいということで予算が組んであります。


【記者】  今回の補正予算で、知事が特に目玉と位置づける事業があればお示しいただきたい。また、新世紀政策推進枠については、一般会計で200億円の捻出を達成できたということですが、マニフェストを掲げて、その予算の一般財源を捻出するというのは大変厳しいという見方も4年前にはあったかと思うのですが、実際こういうふうに達成された今の感想をお聞きしたいと思います。

【知事】  まず、補正予算の柱については、先ほど申し上げたように、災害や産業、少子化、健康長寿、まちづくり、治安維持などですが、特に、子育て、少子化対策、新生児の医療、がん治療など、健康あるいは少子化対策が福井県は全国的にみて進んでいるわけですので、それをしっかりさらに伸ばし、さらに次の段階へ持っていくことが大事で、ここを重視しています。

 特に、新生児の医療対策は、人件費などが経常的にかかる部分であり十分なる判断と効率的な運営が必要ですが、やはり大事なことであり、今回のような対策を進めているということです。

 また、がん治療も、福井県だけで運営すると大変なので、北陸、場合によっては滋賀県や岐阜県とかからも来ていただけるような作戦を、ハード面と同時にソフト面でも努力したいと思っています。

 なお、健康長寿については、やはり県民がみんなで県民運動として、平生から体のことを考えることがとても重要だと思います。最近は飲酒運転とかいろいろなことがありますから、お酒の飲み方、たばこ、腹周りなど、習慣的に少しずつ改めるとよくなる分野ですので、そういう積み重ねを大事にして、県民が非常に関心を高めて、そして、元気よく働いたり、家庭を守ってもらうことが大事だと思っています。

 もう1つは、財源の話ですが、これは、様々な歳出を検討して、どの事業も無駄ということはないんでしょうが、優先度を決めながら進めてきたので、財源が確保できたのだと思います。幸いにして景気の状況は全般的には上昇していますし、また一方で財政の仕組みは逆に厳しくなってきています。そのせめぎ合いの中で財源を確保したということですので、今後とも、財政運営に気をつけながら必要な予算を確保する、という自立性というものに努力したいと思います。

【記者】  「福井元気宣言」を推進するための政策として、およそ4年間で489事業と218億円という、これだけの数字を達成してきたことについて、知事は、今どのように振り返られますか。

【知事】  約4年前、マニフェストに掲げた多くの事業がありますが、マニフェストで約束したことを実行するのは、様々な外的要因もありますし、実際は大変なんですよね。しかし、いろいろな事柄がございましたけれども、曲がりなりにも予算上は実行できたかなと思っています。

 そのほかの新幹線とか、災害とか、我々ですべて解決できるものではないような課題もあります。そういうことを考えながら、かつ財源を確保してやるというのはなかなか容易でありませんので、引き続き、大きな事業、例えばこれから足羽川ダム、新幹線、道路など大きな事業がありますが、これらについての財政的なコントロールを考える必要がある。

そして一方で、最近、地方分権とはいうものの、地方交付税とか税制とか歳出削減が非常に前面に出がちですので、国に対して、毅然としていろんな意見を申し上げて、地方団体として本当に必要なことができるように努力する。

 そして、我々といいますか、自分として進めている約束したことができるように、目をあちこちに置きながら進めたいということです。

【記者】  地方自治体の財政の再建とか破綻法制ということが今議論されていて、知事もこれまで民間企業と同じような取り扱いをされるのはいかがなものかと発言されています。今、国で研究会を立ち上げかなり議論もしていて、また、小泉政権の任期もわずかということで、非常に急いだ作業が行われているようですが、その辺について知事はどういうお考えですか。

【知事】  最近は破綻とはさすがに言わなくなったようですけれども、地方財政再生制度については、先月末から議論を本格的にやり、今月中にも結論を出すようですが、これはいかにも、俗に言う拙速という言葉が場合によっては当てはまるかもしれません。

 ですから、ゆっくり議論すべきで、本当はもっと自治体に権限や財源をしっかり渡した上で議論をしなければならないと思います。極端な財政運営の問題があるものは別として、全体に一般企業並みという方法は認めるわけにいかないと私は思っています。

 全国知事会でもそういう議論があったのですが、要するに、民間でできることは民間とか、企業的な視点というのはあるのですが、自治体は企業そのものではないので、そういう視点が重要だということなんです。

 しかし、自治体や国は企業ではなくて、これは、経済、金融と政治というか別の分野であり、経済や金融は政治が判断すべきものなんです。そこを何か逆回しをして、あらゆるものが金で測られるということになると、そうでないものは世の中にたくさんあるわけで、普通言われる政治とか、あるいは財政、金融というものの位置づけが逆転してしまうとおかしいと私は思っています。銀行や、特定の金融官庁があらゆるものを統一的、画一的、一律に規律するというのは、非常に変な世の中になるんじゃないかと思います。

【記者】  先ほどおっしゃった税源移譲の問題に関して、知事が提唱している共同所得割に関しても、今後、国政の場で議論していくべきとお考えですか。

【知事】  これからは税制をきちんと議論していかないといけない。俗に言う三位一体改革とか、歳出歳入の一体的な改革という中には税制が表に出ていませんので、税の改革というのはこれから重要だと思います。

 特に、地方団体には格差があるので、それを解消しながら新しい税制をつくるとなると、共同所得税とか教育税のようなものを導入しないと、税制上解決ができないと思います。

 別の方法として、昔あった東京一極集中是正や、国土のバランスのある整備が今ほとんどなされておらず市場主義で行っていますから、そこを直すという方法もありますが、税制の中でそういうものの調整が図れるような制度が必要だと思います。それが共同所得税とか教育税と言われる中身であり、総裁候補の中にもそういう趣旨の税制を提案した方もいらっしゃいます。

 また、これから消費税の議論なども出てくると思いますが、その際の地方消費税をどうするかという議論もこれに深くかかわると思います。

 今4対1という割合ですが、これもまた今回の総裁選挙でいろんなご提案をしておられる方もいらっしゃいますね。

【記者】  核燃料税ですが、増加分を嶺南地域との連携事業に充てるという県の発表もありましたが、あらためて嶺南地域の連携事業はどういうねらいで行うのかをお聞きします。

【知事】  前から言っておりますように、特に原子力発電関係の財源というのは、これまで30年近くそういう状況でありましたが、できるだけ有効に効果が発現できるように活用しなければなりません。

もともとその事業がその地域だけに関わるようなものであれば、そういう使い方が重要ですけれども、だんだんそういうものはある程度整備されてきていますから、地域全体あるいは県全体、場合によっては県外との関係も出てくるかもしれません。そういう使い方をしないと、県民の皆さんが、財源が有効に地域のために使われていると感じてもらえない時代にだんだんなってくるのではないかと私は思っております。

むだに使わないといいますか、みんなで協議をしながら大事なところへ使っていく。もちろん、ああしろ、こうしろということをお互いに言い合うことではありませんので、同じ方向で議論をしていくということをオープンにしながらやっていって、みんなにわかってもらうというのが大事だと思います。それがすべてではありませんが、そういう部分が要るだろうと思います。

【記者】  細かく事業ごとに予算を使うと非常に非効率ということですか。

【知事】  もともと市町村に対しても、そういう財源は固有のものは行っておりますが、しかし、嶺南地域なら嶺南地域で効果的に活用するにしても、そういう部分は必要かなと思っています。何かがんじがらめにするということではなく、そういう観点でみんながそういうふうに思いながらやっていくような事業だと思います。

【記者】  県との連携だと伺っているのですが、助成金のようなものにするのか、具体的にどういう事業とか、どういう施策をお考えになっているのかお聞きします。

【知事】  既にいろいろな需要が計算上出ていますから、その仕組みをこれから協議していくといいますか、相談してやっていくということだと思います。

【総務部長】  財源が限られているわけですから、みんなが思い思いの施策に充てる一般枠というのがあり、それに対して、重点的に物事を両方で話し合いながら決めていく部分がある。例としては少子化や観光振興、森林整備とかいろいろな課題を、政策懇談会やそれ以外の機会に嶺南の市町長さんと話したりしながら、重点的な配分をしていくほうが、住民の皆さんにとってよりよい交付金の活用方策になっていくんじゃないか、使い道になっていくんじゃないかと考えています。

【知事】  だから、市町のほうから、こういうことをやろうと逆に言ってもらったらいいんじゃないですか。これからは自主的に市や町が中心になってやる時代ですから。そうすると、同じ財源を使っても、もっと有効にできるものが必ずあると思います。観光、あるいは子育てなども、市町と県だけで、また別々にやるというのはよくないでしょう。観光なんか特にそうだと思うんです。町だけでやれる観光って限りがありますから。

【飯島副知事】  直流化事業も、県と市と、それから、市町と地域がみんな一体でやっていますよね。

【記者】  これまでの立地市町という枠組みだけではなくて、嶺南という新たな枠組みを設けた理由というのはあるのですか。

【知事】  前もあったんですよ。

【総務部長】  もともと嶺南広域の枠というのがありますから。やはり、核燃料税であれ、交付金であれ、基本的には立地というところから始まっているわけです。立地は嶺南地域ということからすれば、嶺南広域へ前回からも交付金の配分を行っていますし、連携事業についても、そういうところを重視したという、基本的な考え方はそういうことです。

もちろん、隣接地域は嶺北地域にも当然ありますけれども、そこは、これまでどおりきちんと交付金の配分があるわけで、嶺南だけに配分されるわけではありません。

【知事】  この税制というのは、県と市町村の独立した税金がそれぞれあるのではなくて、全体として県の税なんだけれども、市町村にこれだけ配分するというタイプのシステムなんです。ですから、そこで有効に協議できるものはやったらどうだろうかということです。

【記者】  飲酒運転が全国でも今話題となり問題となっていますが、懲戒免職とか厳罰化を検討している自治体があるようですけど、福井県の場合はどうでしょうか。

【総務部長】  これまでももちろん厳しくやっています。状況等も判断しながら対応していて、一律に何とかするということにしていないというだけで、当然、今までも厳正に処分をしております。

 先日も、酒気帯び運転とか全国で起きた事例を踏まえて、既に全職員に向けてコンプライアンスというか、通知も知事名で出していますし、これは、単に県庁職員だけではなくて、県が関係するいろんな業界、団体への協力要請も含めて、福井県では既に出させていただいています。これは、事、公務員だけの問題ではありませんので、全県を挙げてそういったことに取り組むということを、福井県として既に始めているということです。

【知事】  酒気帯び運転というのは非常に象徴的な課題ですが、そういう死亡事故の周辺には多くのけがとか普通の事故が、その何倍、何十倍あるわけです。したがって、今、我々はスロー、シグナル、シャインと言っておりますが、特にスロー、速度の問題が非常に大きいと思います。無謀運転とか、速度をかなりオーバーしているとか、そういう運転をみんなでやめていくという課題があるように思っていまして、そういうものについて、特に皆さん方もご関心を持っていただき、また、県民の皆さんにおっしゃってほしいなと私は考えています。

【総務部長】  知事名での通知は、8月30日付で既に出しています。

【記者】  県都の再開発のことですが、先日、福井駅西口中央地区の再開発で、民間企業が生活創庫の跡地を購入したいという大きな動きがあったのですが、知事はどう受けとめておられますか。

【知事】  非常に民間の方が頑張っていただいて、そういう方向が出たので、1つの大きな前進だと思います。あと残りA地区等については、今、市を中心に関係者の人と協議をしていますが、できるだけ公という観点のもとで議論が進むように、我々も深い関心を持っていますし、みんなで解決をしてほしいなと、こんな気持ちです。

【記者】  先日、北陸農政局が、国営の九頭竜川下流域の土地改良事業について、事業費が倍以上になるという計画の見直しを提起しました。県はこれまで、ダムに関して、当初の事業費から大幅に増えて何倍にもなるという、そういう予算上、財政上厳しいこともいろいろ経験していると思うんですが、これに関してどのように対処されるのかお伺いしたいのですが。

【知事】  これから、さらに具体的ないろんな検討も必要でしょうし、また、国の考えもお聞きしないといけないと私は思っています。国の直轄事業で非常に金額が増えるというのは以前から課題なんです。国のほうでもいろいろな意味で反省を深くしておられると伺っています。

事業の面でいろいろな工夫がなされ、あるいは、やむを得なかった部分があるという説明を我々としていただく必要があるでしょうし、また、この事業そのものの効果的な実施のためというか、二度とこのようなことがあってはいけないわけでしょうから、そういうことの要請なり協議をしてもらいたいと思います。足羽川ダムなどについては、我々としては、既に、事前にそういうお話は申し上げているところです。

 大きい事業になるといろいろなことがありますけれども、説明できないことがあるのなら、それはやはり、事業実施主体として、国が十分これまでの仕事のしぶりをご自身で考えてもらわないといけないと私は思っています。

【記者】  農水省を呼び、知事が説明を聞くということもありますか。

【知事】  あると思いますし、逆に申し上げに行かないといけないかもしれません。事業そのものが不必要なわけではないんですけれども、その進め方なり事業費の問題ですね。

【記者】  国には反省していただかないといけないこともあるとおっしゃいましたけれども、地元負担が、市町村分を合わせると3割近くある。そうすると、今、国が持ってきた案では福井県の持ち出しも200億円近くになると思うんです。そこまで行かないかもしれないが、それぐらいの規模というのは、理にかなえば受けざるを得ないということなんでしょうか。

【知事】  よく聞かないとわからないですね。

【記者】  約200億円の県の持ち出し分について、後で国のほうから措置されるということだったんですけれども、実際の純粋な県の持ち出しというのは幾らぐらいになるんですか。

【知事】  交付税の措置とか、財政的な特例制度が働きますので、そういうものによって、形式的な何割対何割という数字よりも、地元の負担は少なくなります。

【総務部長】  数字は、また後で聞いていただければ。

【知事】  ちょっと整理をして、お知らせするようにしましょう。できるだけそういうものの工夫も必要ですし。

【記者】  先日、関西電力が美浜原発3号機について、運転再開とは別として、今後10年間運転を続けていく方針であるということの説明がありましたが、知事は、今後10年間運転していくという方針をこの時期に示したことについて、どのようにお考えでしょうか。

【知事】  技術的な検討をされたということでしょう。

10年間当然に保証されたということではなくて、その間、しっかり安全問題に取り組んでもらわないといけませんし、何か支障が生じたら、10年などという議論ではありませんから、そこはよく注意してやってもらわないといけないという気持ちを私は持っています。当然のものというわけではないと。

そういう判断をされ、しっかりやらないといけないということは技術ですけれども、だからそうなんだということがすぐにいくわけではないということです。その間、安全問題にも全力で取り組んでいただいて、気をつけてもらわないといけないということはしっかり念頭に置いていただかないと。

── 了 ──

 

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