知事記者会見の概要(平成18年10月31日(火))
平成18年10月31日(火)
13:40~14:10
県庁 特別会議室
【知事】 福井県では、かねてから高浜町と一体となって日立造船株式会社に対し、本県への工場の立地を積極的に働きかけてきましたが、このたび同社の100%出資会社である株式会社Hitzハイテクノロジーが高浜町の高森工業団地に進出していいただくことが決定しましたのでご報告します。
本県の産業構造の高度化を図り、魅力ある就業の場を確保し、若年層の定住化を進めるためには、優良企業の県内立地が不可欠です。そのために、私は、選挙の際にマニフェストでお示しした「元気な産業」の実現に向け、本県の特性と施策の方向性に沿って優遇制度を充実させるなど立地環境を整備し、「アタック500」のスローガンのもと、先頭に立って誘致活動を展開しているところです。
特に、本年度からは、「エネルギー研究開発拠点化計画」に基づいて、電力事業者と連携を図りながら企業誘致に力を入れています。今回の誘致は、日本原子力発電㈱や関西電力㈱の協力も大きく、実現したものです。
また、嶺南地域、特に高浜町という電源地域への企業立地であり、県全体の均衡ある総合的な発展を図る上からも、極めて意義深いものがあると考えています。
さて、日立造船㈱は、明治14年の創業という日本でも歴史のある老舗企業であり、平成17年度でグループ全体の売上げが約3,300億円、従業員数も約7,000名という有力企業です。かつては会社の名称にもありますように、造船を主要事業としていましたが、現在では、環境事業を中核事業としながら、100以上ある関係会社を4つの事業分野別グループに分けて経営体制を強化されていると伺っています。今回進出いただく、㈱Hitzハイテクノロジーの属する精密機械分野は、日立造船グループの中でも伸長分野であると伺っています。また、福井県あわら市に日立造船㈱の出資会社である㈱エイチアンドエフが既に立地いただき、活発な事業活動を展開中であり、来月には、株式市場へ上場されると伺っています。
詳しい話は、後ほど日立造船㈱の古川実社長や㈱Hitzハイテクノロジーの伊藤多可良社長からあると思いますが、半導体の製造で最も重要な素材となるシリコンウエハーは、今や300mmという大口径の時代に突入しています。今回の立地は、急速に市場の拡大している大型大口径ウエハーの研磨を行うラッピングプレート(研磨定盤)の生産体制を強化するものであると伺っています。
同社の製品は、世界市場の約7割近くを占めるシェアを有しており、今後ともデジタル家電や次世代自動車など、半導体を巨大に消費する応用分野の広がりによって、いわば本県の「最先端技術のメッカづくりの基本方針」に示している「モバイル・IT」「次世代自動車」のクラスター形成に大きく寄与するものと期待しています。
また、新素材の開発なども積極的に行っておられる同社が、「エネルギー研究開発拠点化計画」に示した取組みの一環として、原子力の持つ幅広い技術を活用していただくことも期待しています。
そして、日立造船グループが有する総合力を背景に、㈱Hitzハイテクノロジーの有する技術力によりまして、地域経済の活性化、また産業構造の高度化が加速するものと確信しています。
福井県民の勤勉な県民性は、必ずや満足をいただけるものと考えており、将来とも福井県に立地してよかったと思っていただけるよう、福井県としてもできる限り継続的な支援をするつもりです。更なる業務拡張等、本県での積極的な事業展開と、企業としてのご発展をお祈りいたしまして報告を終わります。ありがとうございました。
【高浜町長】 当町におきましては、昭和58年に高森工業団地を造成し、企業誘致の促進を図ってまいりました。用地環境や工業用水の問題、交通アクセス面での不利、長引く景気低迷等々、これまでは十分な成果を上げることができなかったというのが実情です。
しかしながら、舞鶴若狭自動車道の大飯高浜インターの開通などによる高速交通体系が整って来たこと、また電気事業者の協力を得て高圧線の整備も目処が立ったことなど、企業誘致に対する環境が順次整いつつある今日、絶大なる福井県の支援をいただき、このたび我が国産業界において確固たる基盤を築かれている日立造船㈱の100%出資会社であります㈱Hitzハイテクノロジー社に進出をいただくことが決定したところです。先ほど、正式に企業立地協定の調印を終えましたことをご報告します。
今後の成長が期待される、このたびの優良企業の誘致による雇用の確保、また地域および経済の活性化により、高浜町および福井県の発展が益々図られることに対しては、真に喜びに絶えないところであり、西川知事をはじめ、お力添えを賜りました関係各位に厚く感謝を申し上げる次第です。
隣接する京都府舞鶴市に勤務する高浜町民も非常に数が多くございます。日立造船㈱やグループ関係各社には、これまでも大変お世話になっております。そしてこの度のHitzハイテクノロジー社の当町進出を受けて、今後益々良好な関係が築けるものと期待しています。当町といたしましても、この関係を深く、太く、そして強固なものとするため、新工場稼動に向け、可能な限りご支援をさせていただきたいというふうに考えています。
先ほどの西川知事のお話にもございましたとおり、県が策定されました『エネルギー研究開発拠点化計画』に基づき、原子力関連技術の地元産業への移転や、新たな産業の創出、低廉な電力料金や電源三法交付金を活かした企業立地の誘導などが計画されており、お陰様でこのたび高森工業団地は完売となったところでございます。ただ、町内にはまだまだ企業誘致の可能な場所がありますので、当町としましても、産学官の連携を図りながら、原子力産業の集積地というメリットを活かしながら企業誘致に取り組み、今後ますます厳しくなることが予想されますところの地域間競争に、県並びに関係各位のお力添えを賜りながら対応して参りたいと考えておりますので、今後もよろしくお願い申し上げまして、高浜町からの報告とさせていただきます。
【日立造船株式会社 古川社長】 今ほど西川知事様、高浜町の今井町長様よりご説明のありましたとおり、本日、当社グループのHitzハイテクノロジーが、福井県高浜町高森工業団地にハイテク関連向けのラッピングプレート専門工場を建設することで同町と立地協定締結に至りました。誠に喜ばしく思っております。
当社は、1881年(明治14年)に創業し、今年で126年目を迎えております。4年前には、創業以来の事業でありました造船部門を分離独立させましたが、それ以降、環境事業を中核事業とし、精密機械事業を次世代を担う伸張事業と位置付けております。今回、高浜町に新工場を建設させて頂きますHitzハイテクノロジーは、当社精密機械グループの中核として大いに期待しており、当社が全面的に支援し大きく飛躍させたいと考えているところでございます。
みなさまのほうにお配りしております「ハイテク鋳物事業拡大に伴う新工場建設について」に記載してありますとおり、ラッピングプレートにおきましては世界シェア70%を90%に拡大させていきたいと意欲的に考えております。
さて、福井県と当社の歴史を紐解きますと、当社グループ会社で先日上場を決定しました自動車向けプレス機械の専門メーカーであります㈱エイチアンドエフ、設立当時は福井機械㈱でございますが、昭和39年の設立当時、ご当地のご要請により当社が経営に参加させて頂いたという経緯がございます。また、その設立に深く関わったのは、当社会長であった福井県出身の故松原與三松氏であったということも深いご縁が感じられるところでございます。
当社は、その他に原子力事業関連でも使用済核燃料輸送・貯蔵容器いわゆるキャスクを日本原子力発電㈱殿向けなどに納入させていただいております。
今回、Hitzハイテクノロジーが高浜町に新工場を建設することになり、今後福井県、高浜町ならびに関係者の方々には大変お世話になるかと思いますが、何卒、Hitzハイテクノロジーの今後の発展を暖かく見守り、育てて頂きますようお願い申し上げます。また、今回の進出によって、エイチアンドエフも含めて当社グループとして、微力ながらも福井県の今後の一層の発展に寄与することが出来ますならば大変幸いでございます。
簡単ではございますが、私の報告とさせていただきます。ありがとうございます。
【Hitzハイテクノロジー 伊藤社長】 当社は日立造船舞鶴工場の構内に本社を所在しておりまして、本年12月1日をもって、日立造船の本体から分社独立いたしまして20年を迎えます。今、古川社長から操業126年という話がありましたが、この舞鶴工場は明治34年には鎮守府として、また、明治36年には海軍工廠として多くの艦艇建造の中枢を担ってきたということで、舞鶴地区では103年の歴史を有しております。東郷平八郎、当時の中尉が第一期の所長であったということです。
造船は当時から重工業に位置されていましたが、重工業を目指すにはマテリアル事業すなわち鋳鍛造素材という部門は工場のヘソ、中央に位置せよという先見性のある判断をされたとうかがっております。
この103年の歴史の中で、戦後、新野重工、舞鶴重工を経て、日立造船という形で今日来た訳ですが、20年前に日立造船の本体から分社独立して、日立造船メタルワークスという名で運営してきた訳です。
平成7年に日立造船の本体であります開発部の精密事業部を業務移管吸収しまして、昨年の10月1日に同じ日立造船グループ100%出資子会社の富士第一製作所、ここは、これからの次世代の有機EL等のディスプレイといった真空機器装置を担当している部門でして、そことも統合合併しまして、鋳鍛のマテリアルだけでなくいわゆるメタルワークスだけでなく、今ほど古川社長からありましたように精密機械の中核となれということで、業態に沿うように「Hitzハイテクノロジー」と社名変更いたしました。
非常に読みにくいですが、日立造船略語の「HZ(エッチゼット)」をもじって、その中で商品がヒットするように、後ろにわざわざ「Z」をつけたのはその商品が頂点を目指す、そういう意味の「Z」で「Hitzハイテクノロジー」とつけております。親会社より先にヒッツという名前を表に掲げさせてもらったということで、本日に至っております。
今回ご縁がありまして、福井県高浜町の高森工業団地に工場を設立させていただくという運びになりまして、非常に喜びを感じております。環境としてはすばらしいところであります。また、工場を運営するにあたって、好条件のもとで会社が運営できるということに対しては、西川知事様はじめ県の職員の方々、高浜町の今井町長をはじめ高浜町の皆様、これからのご支援、協定まで至りましたあたたかいご支援に対しましても、お礼を申し上げたいと思います。
新工場ですが、ハイテクの鋳物工場と呼ばれておりますが、ラッピングプレートに特化した専門工場でございます。ラッピングプレートとは何かといいますと、手元にも写真・マンガ絵がありますが、代表の商品としては、半導体の米といいますシリコンウェハーを平坦にあるいは表面粗度を上げるあるいは膜箔厚みを精密に仕上げる研磨定盤でございます。これを称してラッピングプレートと呼んでおり、ハイテク素材でございます。これの鋳造から、機械加工まで、いわゆる一貫した生産工場を作ろうということです。
最近の新聞に300mmシリコンウェハーというのが、毎日のように出ていますが、どんどん口径が大きくなっておりまして、その需要が国際的に毎年十数%でここ数年は伸びるだろう。その世界需要に100%応えていきたい、そのためには現在の舞鶴工場だけでは手狭でして、外に1つ工場を作らなければという計画で、高浜町にお世話になる運びになりました。今の舞鶴工場での操業は、従来どおり続けます。それ以外に世界的な需要に100%応えていく。今、古川社長が70%、90%のシェアに、そういったプレッシャーを受けている訳ですが、本音は100%をとれというきついノルマもあって、毎日プレッシャーをかけられている訳であります。100%というのは非常に難しいかもしれませんが、90%。そういう意気込みで高浜町に進出するということですので、ご理解いただきたい。
シリコンウェハーの他に、液晶の部品、携帯電話、デジタルカメラこういったところには光学関係の研磨というものがついてまわります。そういったハイテク分野での研磨定盤に当社のラッピングプレートが使われているということでご理解いただいて、また後ほどこういったものを参考にシリコンウェハーとはどんなものだということを、その中に研磨工程というものが謳われておりますので、こうして平坦に研磨されているのだな、この研磨定盤がHitzハイテクノロジーの柱商品だということでご理解いただければと思います。
今回非常に高浜町にお世話になっておりますが、若狭という地名を調べてみますと、大陸から奈良の都へ文化を届けるために行き来する、その朝鮮語で「ワカソ」という言葉だと承っております。大陸から都へ行き来する文化を伝える語源だと聞いておりますが、これからは高浜町から世界へハイテク商品をワカソする、そういう心積もりでおりますので、皆様のご期待に十分応えていきたいというお誓いを添えて、私の発表とさせていただきます。
あと、詳しくはニュース連絡をお配りしておりますので、ご覧になっていただければと思います。以上でございます。
【記者】 今回、福井県に新工場建設を決めた理由を教えてください。
【Hitzハイテクノロジー 伊藤社長】 実際、新工場を外に作らないと今の需要に100%応えられないというのが今年の春先でございまして、8つの候補地を選びまして、例えば兵庫県とか京都府ですね、そういったところから候補地を選んでまいりました。福井県の職員の方、大阪事務所の方を含めて、非常に熱心なお薦めがあったということで、高浜町のみなさんも非常に大変熱心にお薦めいただいたということもございますけれど、やはり1番は舞鶴市と隣接しているということですね。従業員を横移動しやすいということもございましたし、それから立地条件ですね、非常に環境がいい、それから関西電力さんの補助も受けられる。鋳物ですから鉄を溶かしますので、大口電力が必要ですので、我々としては電力料金というのがバカにならないわけです。そういったことも含めて、あらゆる観点から比較検討して高浜町を選ばせていただきました。本当に福井県、高浜町の方には感謝申し上げております。
【記者】 完成予定はいつでしょうか。
【Hitzハイテクノロジー 伊藤社長】 完成は一応平成19年4月末ということを考えておりますが、そこに至るまでに色々まだ問題がございまして、それの整理に、若干今日の協定の日時がずれていることは事実ですけれども、そう言っていられないので、お客様もお待ちなので、我々としては突貫で4月末の稼動を目指して動き出します。
【記者】 (模型を指差して)あれがラッピングプレートですか。
【Hitzハイテクノロジー 伊藤社長】 これは模型ですけれども、右端が鋳物素材で作ったラッピングプレート、機械加工で溝を設けています。左側がシリコンウエハーを磨いたもので、だいたい6インチのものです。シリコンウエハーをこの両側からラッピングプレートで挟み、磨くわけです。
高森で生産するラッピングプレートの大きさは直径2m前後のものを集中してやろうということで、当然舞鶴とも住み分けをしてまいります。コストを計算しましたら、ある程度のサイズのものを集中して特化してやるべきだろうということになりまして、高森には、直径2m前後のものを集めたいと思っています。
実際には、一枚一枚図面どおりに寸法取りして木型を作って、鋳造して機械加工、その間、熱処理、焼入れそういった設備も全部動きますし、工作機械を数多く置きました機械工場もございます。鋳造工場は3000平米、機械工場は2500平米を予定しています。
【記者】 日本原子力発電は具体的にどのように関わったのでしょうか。
【西川知事】 実際に一緒に企業訪問をしていますし、それから拠点化構想とかいろんなことがございます。電力の話がございましたが、完成した機械技術とかテクノロジーというのは福井県の嶺南には少ないですから、素晴らしい企業が立地したこと、それに基づいてまた関連企業が地域に広がったりすることが非常に重要だと私は思います。
【記者】 拠点化計画に基づいたこうした形で企業が立地した成果これまでにもあったのでしょうか。
【西川知事】 例えば、巴川製紙㈱が、間もなく敦賀工業団地に完成しますが、今回と似た事例でございます。
【記者】 今回の高森工場での雇用はどれくらいですか。
【Hitzハイテクノロジー 伊藤社長】 当初は30名、落ち着くところ40名を考えています。落ち着くところというのは来年の今時分、それは、第1期でして、今後また第2期という形で2万7千平米の土地を確保いたしました。先ほども申し上げましたとおり、今のところ工場は6千平米に満たないわけですが、緑化が25%あるいは従業員の駐車場がありますから、目いっぱいそこに建屋を建設することはできませんけれども、一応あと50%~70%の建屋の延長ということは可能にしております。
【記者】 今ほどの話はいつ頃のことですか。
【Hitzハイテクノロジー 伊藤社長】 第2期ですか。2期の時期は今のところまだはっきりした数値を立てておりません。まず第1期を建ちあげて今の世界需要を満足させるだけの努力をする。従業員も舞鶴工場である程度3ヶ月から6ヵ月の間研修するということも含めて、人づくりをしていきたいと思います。
【記者】 高森工業団地は完売と言うことですが、何社の企業が進出しているのでしょうか。
【高浜町長】 今、高森工業団地の進出企業は3社、Hitzさんを含めてあと2社、それで全部高森工業団地は完売ということです。高森団地の全体面積は6万平米です。
【記者】 今回どのような支援を受けられますか。
【Hitzハイテクノロジー 伊藤社長】 福井県さんと高浜町さんでとり決められた誘致の優遇制度を十分活用していきたいと考えています。それと関西電力さんの設立してから8年間の電力料金の補助というものがございます。それもやはり大飯郡で、大飯郡と言いますのは高浜町さんと大飯町で雇用を生み出すということが条件になっていますので、それは十分応えていきたいと思います。
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