知事記者会見の概要(平成18年11月20日(月))
平成18年11月20日(月)
10:00~10:30
県庁 特別会議室
【知事】 おはようございます。今日は五、六点ございますので、多少順不同になるかもしれませんが。
まず、前段でございますが、県庁を訪れていただく方々に折々の季節感を味わっていただくということで、これまでも、風鈴、七夕飾り、ススキ、コスモスの展示、あるいはこいのぼりだとか、おひなさまももちろんあるのですが、来月12月7日は、日本で初めてクリスマスツリーが飾られた日だそうで、クリスマスツリーの日と言われておりますので、この日から12月25日までクリスマスツリーを飾りたいと思います。初日に近くの幼稚園児たちによる歌の発表、また、展示期間中に演奏会、市内のデザイン専門学校による窓ガラスの装飾なども行いたいと思っております。
今日は、ローカルマニフェスト、継体大王即位1500年、1万5千人の雇用創出、石川県との湖沼の水質浄化、それからテクノポート福井における通勤対策、いじめに関する調査についてご報告いたします。
まず、第3回ローカルマニフェスト検証大会でありますが、昨日19日、早稲田大学で第3回ローカルマニフェスト検証大会がありまして出席し、報告を行いました。
今回の検証大会は、平成15年4月から始まったマニフェストの一巡といいますか、今年度でもって完成する年度でもありますので、これまでの実行過程あるいは進捗度等について検証が行われました。私のほかに増田岩手県知事、古川佐賀県知事が出席し、また、松沢神奈川県知事、上田埼玉県知事はビデオで出演しました。そのほか、市町村の首長さんもかなりおられたようでした。
私の「福井元気宣言」につきましては、上山信一慶應義塾大学教授に第三者評価を行っていただきまして、総合点では増田知事と並んで私は88点であったということであります。なお、一昨年の第1回検証大会では81点でございましたので、点数は大分上がったということですが、それはそれとして状況だけ申し上げておきたいと思います。
検証大会でも申し上げましたが、この3年半の間に県政運営が、景気、雇用、福祉、治安と、県民の日常生活に密接にかかわる基本的な政策分野で全国に誇れる成果を上げたことをはじめ、部局長との政策合意に基づく庁内のマネジメントについて評価をいただいたのではないかと思っております。
なお、上山教授からは、「達成状況等の公表資料は専門家が驚くほど詳細だが、一般県民の視点だと必ずしも理解しにくい面が多々あるから、もっとシンプルにわかりやすい公表の仕方を並行的に加えてはどうか。」という助言を受けました。
この点については検証大会の場でも申し上げましたが、「元気宣言」の4年間の達成状況について、年度末に最終的な確定値を公表する前に、本年12月ごろに前倒しで公表する予定であり、そうした上山教授の助言も考え合わせ、簡潔にわかりやすくあらわした資料を併せて作成し公表をしてはどうか、と今のところ考えております。これは、県民に今後の4年間の政策に向けた判断材料としてもらうためには、できるだけ早い時期に「元気宣言」の最終成果を明らかにしておくことが重要ではないかとの考えによるものです。
検証大会では高い評価をいただきましたが、マニフェストの評価を後ろを振り返るということで点数をつけるというよりも、将来課題を明らかにして県政に生かしていくことが大事でして、今回の指摘事項も踏まえ、一層わかりやすい県政の実現を目指したいと思っております。
次に、2つ目でありますが、継体大王即位1500周年記念事業実行委員会の設立であります。
来年は、越の国である福井県を本拠としていた継体大王(継体天皇)が即位されて1500周年に当たるわけであります。
地方の豪族だった継体大王が即位した背景には、拠点としていました当時の越前の国といいますか、この地域が全国でも1位、2位を争う農業の生産地であったこと、肥沃な越前平野の生産力を原動力に全国に勢力を培っていたこと、あるいは、中国、朝鮮など、当時の大陸といいますか、国際社会との交流の窓口として高い文化水準を誇っていたことなどが歴史的に指摘されているようです。
したがって、継体大王の生い立ち、業績、県内各地に伝わる伝説などについて理解を深め、さらにふるさと福井が古代から現代に至るまで歴史上重要な地だったことを県民が再認識することは、我々がふるさとに対する自信あるいは誇りを持ち、さらに福井を全国に魅力的にPRしていくきっかけになるものと考えています。
県内各地では、これまでも継体大王の顕彰活動を行ってきた団体がたくさんございますが、1500周年をきっかけに新たに立ち上がっている団体などいろいろございまして、シンポジウム、講演会などを開催し、来年の記念事業の企画を進めておられます。
県としては、県内のゆかりの自治体、団体と連携し、1500周年の機運をさらに盛り上げていこうということで、この記念事業実行委員会を近くつくる予定であります。近畿ブロック知事会議、中部圏知事会議などでも協力を要請しているところであり、来年度に向けた事業を具体的に企画していきたいと考えております。
次に、3点目でありますが、1万5千人の雇用創出の目標達成、これはマニフェストにも1万5千人の雇用創出と書いてありますが、平成15年4月から本年9月末までを中間的に集計した結果、15,401名、進捗率102.7%となり、3年半で目標を達成したことが明らかになりました。これは、新たな雇用の受け皿づくり、雇用のミスマッチ解消、雇用のセーフティーネットの充実などでそういう結果が出ておるわけでございます。
知事就任当時は非常に厳しい景気の冷え込みで、県内の完全失業率は4.1%という状況でした。何とか2%台にできないかなということで、雇用創出プランに、果たして達成できるかどうかということを大分悩みながら2%台ということを書いたのですが、連続ここ2年間、全国一失業率も低く、また、平成18年、本年の4~6月期の完全失業率も2.4%でありまして、全国で最も低くなっていますので、これまで実施してきた成果のあらわれではないかと思っております。
さらに、県内への企業立地でありますが、平成14年は3件でしたが、15年、16年はそれぞれ14件、17年には31件、今年18年は10月末現在で34件と企業の立地も大きく増加しているわけで、いろいろな意味で、これからの雇用、あるいは産業の誘致などについてさらに努力してまいりたいと思っております。
なお、来年1月早々には、県内外の学生、保護者などを対象に、本県の企業を紹介する「ふるさと企業魅力発見フェア」を開催する予定でありまして、Uターン就職をはじめ、若者の本県企業への就職を一層促進してまいりたいと思っております。
さらには、景気の回復、また、団塊の世代の大量退職を控え、企業の採用計画の拡大により、若年人材の確保も課題となっておりますので、一層こうした人材の育成、確保に力を入れてまいらなければならないと思っております。
次に、4点目でありますが、石川県との湖沼の水質浄化対策における共同研究です。
先月10月6日に、谷本石川県知事と協議・懇談した際の合意事項であります「湖沼の水質浄化対策における共同研究」でありますが、本県と石川県の担当課長、また試験研究機関の担当者などが集まりまして、今月22日に第1回の共同研究会を福井市内で開催する予定です。
これまで両県とも湖の水質保全について、いろんな対策を行ってきましたが、水質がよくなっておるものの、抜本改善にはまだ至っていないという現状ですので、奇しくも今、本県と石川県の湖は水質の基準がほぼ同じレベルにありますので、これをさらに良くしなければならない。また、多くの渡り鳥が来たり、あるいは途中立ち寄るという場所でありますので、蓄積したノウハウを共有し、共同研究を進める必要があるだろうと。
今後、研究会では、水質が悪化している要因を探るとともに、具体的な研究内容、浄化対策について共同研究し、両県の湖沼の水質改善に役立ててまいりたいと思ってます。
5点目ですが、これは通勤対策の試行実験でありまして、テクノポート福井における試行実験です。トライアルと言ったほうがよろしいかもしれません。
テクノポート福井は、現在、62社の企業が立地し、従業員約3,400人、年間来訪者約4万5千人の本県最大の企業団地です。しかし、公共交通機関での通勤ができない地域になっているわけで、皆さんの移動というのは大体車が多い。そこで、テクノポート福井への交通手段を確保し、また、公共交通機関の利用促進あるいは渋滞緩和、また環境対策、総合的な対策を進めるために、バス会社、これは高志観光バス、鉄道会社、えちぜん鉄道の協力を得て、通勤対策の試行実験に応援をしたいと思います。
具体的なことを申し上げますが、実験の期間は来月12月から来年9月までの10カ月間で、えちぜん鉄道の西長田駅という駅があります。ここからテクノポート福井まで高志観光バスが、通勤バスを1日9便、デマンドバス(予約制バス)を16便、計25便運行し、えちぜん鉄道のダイヤに接続させます。
本格運行については、このトライアルの結果も踏まえ判断していくことになりますが、今回の実験を通して、多くの企業の方に参加いただき、自主的な継続運行につながっていくといいのではないかなと考えております。
6点目ですが、学校におけるいじめ問題に関するアンケートの実施であります。
全国においては、いじめにより児童・生徒が短い命を絶つという事件が相次いでいるわけでありまして、福井県では幸いにしてそういうことには至っていないわけですけれども、児童・生徒が命を絶つということは、理由のいかんを問わずあってはならないことでありまして、本県としても深刻にこの問題を受けとめております。
そうしたことで、一人一人が抱える悩み、また、学校全体の問題としてこうした問題を早期にとらえて対応を図るため、今月24日から29日にかけまして、私立学校も含めた県内の小中高等学校、特殊教育諸学校の全児童を対象に調査を実施したいということです。
アンケート用紙は今週末に全児童・生徒に配付し、12月中旬までに回収するということで、早期に県全体の実態を把握するとともに、この分析を行い、いじめの予防とその対応について方策を実施することになります。大部分は教育庁がこれを行うということになります。また、具体的な調査などについてはいろんな配慮もしながら、こういう調査を通じて、この問題をみんなに考えていただくということも重要かなという意味もあるように考えます。
【記者】 いじめ問題のアンケートですが、このアンケートの中身は、どういった質問を想定されるんでしょうか。
【総務部長】 基本的には、「いじめを受けたことがありますか」とか「いじめられている子を見たことがありますか」とか「いじめたことがありますか」とかいった質問事項がまずあると思います。詳細はまた別に聞いていただければと思います。
【記者】 アンケートだけでいじめ問題というのを把握できると県のほうでは考えられているんでしょうか。
【知事】 そう単純ではない。そんな話ではありませんね。こういうことも1つの方法であるということだと思いますね。
【記者】 ほかに、例えばどういった方策をお考えなんでしょうか。
【総務部長】 当初の段階からもご説明していますが、スクールカウンセラーも中学校71校に配置しているとか、子供と親の相談員も配置していますし、心のパートナーも各校に派遣するということも行っております。既にきめ細かく対応しておりますけれども、さらにすべての児童・生徒さんにアンケートを実施するということで、もしも、今まで言い出せないようなお子さんがいらっしゃれば、そういう方々に対しても手を差し伸べていきたいという趣旨です。
【記者】 テクノポートへのバスですが、形を変えたえちぜん鉄道への支援策だと解釈できるのですが、これによって、乗客数がどれぐらい増えるという試算があるのですか。それと、例えば料金とか、停まる所とか、細かいことですが、もしわかれば。
【知事】 まず、現状では、通勤で11社、約60人が利用されるということを申し入れているようでありますので、それがベースにあると思います。ここは片道が350円だそうです。試行実験に運営費がかかりますが、この赤字の2分の1を、200万円を上限に、バス会社に補助していこうというシステムということで、できるだけたくさん乗っていただければ補助額は軽減するということです。
なお、さらに詳しい項目については、また必要があればお示ししたいと思います。
【記者】 九頭竜川国営かんがい排水事業のことなんですけれども、本日、警察の捜査が入ったんですが、この点について知事はどのように受けとめておられますか。もう1点、今回の事案は福井県行政とは直接関係ないけれども、このようなことが起こると県民感情としては事業費の増額も受け入れがたい面もあると思うんですが、この点について、知事は県民に対して今後どのようなことを言いたいといいますか、何らかのアクションを起こす考えというのはございますか。
【知事】 事業に不正があってはいかんわけでありまして、そういうことがあってはもってのほかであります。状況について、まだ新聞で見た限りですが、いずれにしても、あの事案については、これまで、金額も大きいですしかなり金額が増加したということでありますので、厳しくチェックするといいますか、そういう姿勢で臨んでおります。あの事業が不必要な事業では決してないと思いますが、そういうことで引き続き対応してまいらなければならないと思います。ですから、もちろん、事業の進め方なども十分国において行われるべきでありますし、あの事業は国営の事業でありますので、県は直接、契約とかそういうものとは関係ない事業ではあるけれども、そんなふうに思います。
いずれにしても、こういうものは行政の信頼にかかわるわけでありますし、絶えず県民の目線で物事を、我々も仕事を進めなければならないわけであります。一般的な話ではありますが、さらに、我々としても、職員に、業務の執行に適正を期すように、なお徹底をしなければならないと、一方で思っております。
【記者】 マニフェストは12月ごろに前倒しして公表するというお話でしたが、大体いつごろぐらいを、12月といってもいろいろあると思うんですけれども。
【知事】 さっき、クリスマスのお話をしましたが、できるだけ、あまり遅くならないようにしたいと思います。作業の都合もありまして、前倒しするということだと厳しい、途中でちょっとチェックの関係をやらんといかんものですから、わかりやすく。最終的には年度末ということになります。
【記者】 マニフェストの達成状況を県民に公表するのと同時に、4年間を受けた後の知事のお考えですね。いわゆる、次という……。回りくどく言っていますけれども。その辺の判断と、マニフェストの公表の絡みというのはどういうふうに考えていらっしゃるんですか。
【知事】 絡むわけではないと思いますけれども、いずれにしても、次の課題については12月議会で明らかに、どんなふうにということはまだ決めておりませんが、12月議会で明らかにしなければならないと思います。
【記者】 敦賀のごみ問題ですが、先日、整理回収機構が差し押さえをして、その際の発表の中で、例の処分場の用地を、できたら県なり市なり地元に安い額で買い取っていただきたいという意向を示しましたが、それに対して県のほうではどのようにお考えですか。
【知事】 まだそういうお考えは直接受けておりませんので判断はできかねますけど、いずれにしても、メリットとかデメリットとかいろいろあると思いますし、よく検討した上のことになるでしょうね、そういうお話があったとしても。
かつ、市なのか県なのかということなどもいろいろあったりしましょうし、その辺はこれからチェックをする必要があるでしょうということです。現段階では、まず抜本対策がしっかりできることが最優先でありますので。
【記者】 九頭竜川の国営かんがい排水事業ですが、結局、事業の見直しというのは、捜査の過程というのがかなり影響してくる見込みなんでしょうか。
【知事】 その辺のことは、よく承知しておりませんが、いずれにしても、その事業が県民の利益につながるような方向で進まなければなりません。我々、直接事業主体ではございませんけれども、そういう考えで県議会でもご答弁いたしましたし、実務的にも、今、そんなふうに進めておるわけでございますから、そういうことを受けて対応せんといかんなと思っておる状況です。
【記者】 疑惑が払拭されるまでは、事業としては……。
【知事】 ちょっとまだ、それがどういう話なのか、今の段階では明瞭じゃないから。もちろん、物がわからん段階でいろんな判断はできないと思いますから。
【記者】 九頭竜川の国営かんがい排水事業の増額のことについて、文書か何かで、これ以上増額しないように努力をするという約束を国のほうと交わしたいとおっしゃっていたと思うんですけれども、それについても白紙に戻っているということなんでしょうか。
【知事】 いずれにしても、あの事業はさっき申し上げましたような性格の事業ですので、事業量が大幅に増える見込みだということで、極力増加しないように、あるいは、これ以上さらに増えないように、またさらには、もっと縮減ができないかということをいろいろ協議している状況の中であったということであります。そういう方向の中であったということです。
【記者】 捜査の結論が出るまで、文書での約束というものは……。
【知事】 ちょっと、それはしにくいですね。事柄が関係するかもしれませんから。
── 了 ──
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