知事記者会見の概要(平成31年1月7日(月))
平成31年1月7日(月曜日)
10:35~11:30
県庁 特別会議室
【知事】
皆さん、新年おめでとうございます。本年もよろしくお願いしたいと思います。
新年でありますので、今日はいろいろな事項について申し上げたいと思います。
まず1点目は、夏目漱石の歴史資料の発見についてであります。
越前市出身の哲学者、教育者である松本源太郎氏という方がおられます。幕末にお生まれになって、1925年までおられたという方でありますが、この方の資料がいろいろありまして、越前市が寄託を受け、県立こども歴史文化館と共同で調査をした結果、夏目漱石の学生時代の成績を記した手帳(閻魔帳)など貴重な歴史資料が発見されました。松本源太郎氏は、帝国大学哲学科で学んだ後、第一高等中学校で教師をされ、その生徒に夏目漱石や正岡子規、本県出身の芳賀矢一といった方がいます。この閻魔帳は、第一高等中学校時代に松本源太郎氏が採点した試験の素点を記入した成績原簿であり、夏目漱石は非常に優秀であったことが分かります。これらの資料は、松本源太郎氏が残した功績に光が当たると同時に、夏目漱石など、明治時代のいろいろな皆さんの様子がよく分かる貴重な資料であります。県立こども歴史文化館で1月10日から、越前市武生公会堂記念館では1月25日から公開するのでご覧いただきたいと思います。
2点目は、「全国『みどりの愛護』のつどい」の開催であります。
〔資料:第31回全国『みどりの愛護』のつどい福井県開催決定について〕
この度、国(国土交通省)、県、福井市などが主催する「第31回の全国『みどりの愛護』のつどい」が、来年、2020年春に開催することが決定しました。「全国『みどりの愛護』のつどい」は、全国の公園緑地の愛護団体や地域の緑化活動を行う関係者などが一堂に会し、活動団体の表彰や記念植樹を行うものであり、平成2年から始まった大会です。本県での開催は初めてであり、福井運動公園で開催する予定です。開催日については、開催の半年前に国と調整した上で決定することとなっておりますので、決まり次第お知らせしたいと思います。国体・障スポにおいて花いっぱい運動や、おもてなしなどいろいろな取り組みがありましたので、来年の開催に向け、そういう県民運動をさらに広げていき、ひいては4年後の新幹線県内開業につなげていくということであります。「全国『みどりの愛護』のつどい」については、これまで皇太子同妃両殿下のご臨席を賜っている事業であります。本県の開催においても、皇室の方をお迎えしたいと考えており、そのことを念頭に準備をしたいと思っております。
それでは、3点目として本年の主な課題とトピックスについて申し上げます。
昨年は「福井しあわせ元気」国体・障スポの成功など、県民一丸となって努力した成果があらわれた年であったと思います。昨年、また、お正月に入りまして、いろいろな方とお会いしましても、まずはこういう話題がしばらく続くのかなと思いました。先般は、平成にかわる新しい年号を4月に発表することが明らかにされ、今上陛下の御退位、そして5月には新しい天皇の御即位という歴史的な年になるわけであります。平成という時代が、新しい時代へさらに継続して展開されるということであります。このような大事な時期に、これからの県政の重要課題を停滞させることなく継続して前に進め、県勢をより高いステージに引き上げるステップの年にしてまいりたいと思います。
まずは、国体・障スポの貴重な成功体験、レガシーの活用についてであります。国体・障スポの経験、成果をレガシーとして今後のスポーツや芸術・文化の振興、伝統工芸や産業などに生かすとともに、いろいろな境遇や立場の人、皆がベストを尽くすという共生社会の実現のためのきっかけにしなければならないと思います。これが県民の幸福の実感につながると思います。昨年末には、各市町の首長や各競技団体の皆さんなどと国体・障スポのレガシーの活用に向けた検討をするために意見交換を行ってまいりました。さらに、国体・障スポを機に芽生えたスポーツへの親しみや競技力の維持を目指して、スポーツ推進計画の一部見直しを行っています。具体的には、「スポジョブふくい」制度を活用して福井に定住してくれた選手、指導者が活躍できる方法や来年のオリンピック、再来年に県内を中心に開催されるインターハイに向けた次世代の選手育成・強化につなげていくことが大事かと思います。また、国体・障スポの開催にあわせて整備された施設を活用するため、全国規模の大会誘致やさらなる障害者スポーツの発展を望む声が非常に高いわけでありますので、これらの意見を十分に検討して、福井の将来像にどのようにつなげていくかというのが極めて重要であると思っています。
まず全国規模の大会については、各競技団体と協力して誘致を進めてきた結果、体操、柔道、バレー、バドミントンなど、幾つかの大会を今年、県内で開催することとなりました。例えば、5月には日本ベテランズ国際柔道大会、それから、7月には全国中学生なぎなた大会、8月には全日本6人制バレーボールクラブカップ女子選手権、8月末から9月初めには全日本シニア・マスターズ体操選手権、10月末には全国クラブチームサッカー選手権、12月には全日本レディースバドミントン個人戦などの大会が開催されます。こうした大会で、全国のトップ選手達の試合を目の当たりにして、次世代の子供たちのよい刺激になり、福井から新しい選手が生まれることを期待するものであります。
そして、先月の市町や競技団体との意見交換、県議会での議論、スポーツ推進計画、行革プラン、また、11月には「福井県にプロスポーツを誕生させる議員の会」などの要望を受けまして、競技力向上、スポーツによる交流・地域振興、さらには文化・芸術の振興などを一体的に所管する「スポーツ・文化局」(仮称)の設置を考えていきたいと思っております。
次に、高速交通体系の整備促進とその開業効果の最大化についてであります。本県としては、いよいよ北陸新幹線敦賀開業が4年後に迫ってまいりました。開業効果を最大限発揮するために、全国、または海外から多くの人を呼び込み、さらに、我々も出かけていくということが必要であると思います。1年後には東京オリンピック・パラリンピック、6年後には大阪万博などがあるわけであります。
まず、北陸新幹線については、福井県内を移動しますと、構造物が建ちあがってきており、いよいよ新幹線のルートが地図上ではなく現実に目の当たりにするという状況になっております。4つの駅の外観デザインが昨年決定し、3月には内観を含む駅舎の具体的なデザインも決まる予定であります。年末年始にいろいろな市町に行きますと、大体、新幹線による再開発などのまちづくりが話題になっております。
また、敦賀・大阪間につきましても、既に地形図の作成やボーリング調査が始まっており、3月には環境アセスメントの最初の手続である「環境保全のために配慮すべき事項」の公表に合わせ、大まかな駅の位置とルートが公表されます。財源についても、年末に高木衆議院議員を座長としたプロジェクトチームが設けられ、財源確保、さらに、敦賀から先の1年でも早い全線開業というものがこれから求められるわけであります。それから、中部縦貫自動車道についても、一昨年に永平寺大野道路が全線開通いたしましたので、北陸新幹線開業に合わせた、中部縦貫自動車道の東海北陸道との直結がまさに今課題になると思います。
こうしたことから、高速交通体系の整備を急ぐと同時に、この効果を生かした様々な政策が大事であります。特に経済関係については、こうしたインフラの効果を交流人口の拡大につなげ、急速に進化するAI・IoTに対応するため「福井経済新戦略」を2年前倒しで見直す議論を進めています。また、特に福井の大事な産業である農林水産業については、「新ふくいの農業基本計画(仮称)」を策定中であり、「いちほまれ」などのお米、野菜、果実、特産物などを開発しながら、農家全体の所得の最大化を目指す必要があると思います。そして、何といっても、これからのそれぞれのまちづくりは、特に新幹線が大きな流れになると思います。そういった産業との連携の中で、農林水産業などの次の展開もあろうかと思っています。そうした環境を考える中で、それぞれの市や町のシンボリックなプロジェクトというのが浮かび上がってきましたので、今後はこれらを進めることが大事であると思います。
県都である福井市については、そのことが特に重要かと思います。これまでの県議会での議論やいろいろな方にご意見を伺う中で、特に福井城址にある県庁舎については、12年後、2031年にちょうど築50年となり、耐用年数を迎えます。そのため、数年のうちに庁舎のあり方の検討が必要であり、県議会でお答えもし、議論をしておりましたが、北陸新幹線の敦賀開業、また、中部縦貫自動車道の開通が間近であるということ、さらには北陸新幹線若狭ルートによる北陸新幹線の大阪開業など、この先の高速交通体系の姿が見えてきたことから、今のうちから将来像を共有して、まちづくりを考えることができるような状況になり、また、皆さんからもそのような声を発していただいているということであります。このため、予定を早めて、今年から、庁舎の移転や活用などについて、各界各層の皆さんによる幅広い議論を行う場を設けていきたいと考えています。
それから、人を呼び込むいろいろなイベントについては、県内において今年は「宇宙技術および科学の国際シンポジウム(ISTS:International Symposium on Space Technology and Science)」が6月、それから、「国際北陸工芸サミット」が9月、10月に開かれますので、しっかり準備をしてまいりたいと思っています。
次に、災害に強いインフラの整備であります。今年は己亥(つちのとい、きがい)という年であります。60年に1回出現する年でありますが、ちょうど60年前の昭和34年には伊勢湾台風による大規模な災害が起きまして、この災害をもとに現在の災害対策基本法ができ、今の防災の基本の枠組みがつくられました。それから、96年前の関東大震災、24年前の阪神淡路大震災も亥の年であります。今年、大災害が起こるということを申し上げているわけではありませんが、大雪、水害、地震などの災害はいつ何時起こるか分からないわけですので、気を引き締めながら、いろいろなことを進めなければならないと思います。
現在、雪の対策については、昨年2月の大雪による福井・石川県境の大規模な立ち往生の根本的な対策として、国道8号の4車線化などのインフラ整備を国に強く要請しながら、防災への応急対策、常設対策は万全を期したつもりであります。また、嶺南地域のそれぞれの半島部において整備している原子力災害制圧道路についても、昨年末に県道竹波立石縄間線の立石トンネルが開通し、また、今年の3月には敦賀半島の県道佐田竹波敦賀線の一部区間、内浦半島の県道音海中津海線の全線についても整備する予定であり、この1年で大体のハード面の整備がなされますので、ソフト対策とあわせてしっかりと進めたいと思います。
先ほどからいろいろなことを申し上げておりますが、国体・障スポを機に県民の盛り上がりが出てまいりましたので、その風をしっかり受けながら、皆で力を合わせて地域づくりやまちづくりを進めなければならないと思います。県庁の組織的にはスポーツ・文化局(仮称)を設けることを考えているわけでありますが、もう1つは、県民総参加のフェスティバルの開催の声も非常に高いわけであります。特に、「はぴりゅう」にどのように頑張ってもらえるかという声が多くありますので、新しい交流時代を迎える福井県にとって、外から人を呼び込むだけでなく、県民の皆さんが互いに交流、あるいは活動的になって、ふるさと福井、それぞれの町、地域に自信や誇り、また、ふるさと福井の意識をお子さん、お孫さん等に継承していくことも大事であります。
そこで、国体・障スポの機運醸成や感謝イベントとして実施してきた「はぴりゅうフェスタ」を引き継ぐ形で、県民の交流や発表の場となる新しいイベント、「はぴりゅうふるさとフェスタ」というような名前になると思いますが、これを開催していきたいと考えています。はぴりゅう、はぴねすダンス、新県民歌など国体・障スポを通して生まれたものや、福井の伝統芸能や踊り、お祭りなど、県民共通のシンボルを継承することにより、県民同士が交流し、スポーツや文化を体験し、あるいは日頃の活動を発表する機会としていきたいと思います。
新年でございますので、いろいろなことを申し上げました。これから様々な課題がございますが、引き続き、叱咤激励を皆様から賜わればと思います。どうぞよろしくお願いします。
~質疑~
【記者】
国体のレガシーを継承するということで、新しく設置するスポーツ・文化局はいつから設置するのでしょうか。
【知事】
スポーツ・文化局はまだ仮称ですが、新しい年度に設置したいと考えています。
【記者】
人員の体制はどうなりますか。また、どういうことをしていく組織になるのでしょうか。
【知事】
国体の様々な成功体験や障害者スポーツとの融合を生かすということです。各世代、いろいろなことにまたがって、スポーツと文化もだんだん接近しています。一例を申し上げると、国体の式典そのものが、スポーツであるし文化であると思います。そういうことを総合的に考えて仕事ができるような、そういう組織をつくって、福井県民一人ひとりが生涯にわたってベストを尽くすことができる世界につなげていくという狙いです。
【記者】
県庁舎の移転・活用についての議論も来年度から開始するのでしょうか。
【知事】
そうです。
【記者】
議論を行う場の開催頻度や、いつまでなどと考えていることはありますか。
【知事】
それはこれから議論します。
【記者】
今から将来像を共有していきたいという議論開始の意義について、もう一度あらためてお聞かせください。
【知事】
12年後に、県庁舎は50歳になります。もちろん、県議会議事堂や県警本部庁舎もありますし、この場所をどのように活用していくかについては、これまで議会の議論の中でもいろいろありました。まず、この場所は県の土地ですし、どのようにここを活用していくかということになります。また、福井駅前の整備や文化施設など、いろいろなことに関係しますので、そういう議論を幅広くしなければなりません。福井市との連携もより一層重要になると思いますので、いよいよそういうことを進めるタイミングであると思います。
【記者】
県庁舎の移転・活用の議論を行う場を新年度から設けるということですが、これは新年度に入って早々に行いたいなど、具体的なお考えというのはいかがでしょうか。
【知事】
いろいろな意見が出ると思いますので、できるだけ早くこういう議論をスタートさせたいと考えています。他のいろいろなプロジェクトとの連携もありますし、かなり長期の事業となりますので、しっかりとしたイメージ、目標を持って皆で議論して進めていくということが必要だと思います。もちろん、福井市は県都ですから大事だと思います。また、例えば、三国の東尋坊や、小浜城、敦賀の港をどうするかなど、いろいろなシンボリックなプロジェクトがそれぞれの市町で出てくると思いますので、そういうものの議論にもつながるものと考えています。
【記者】
この県庁舎移転の議論を取りまとめる時期について、イメージを持っていらっしゃるのでしょうか。
【知事】
県庁舎が築50年となる時期は12年後であります。一般の家とは違い、議論が終了してからも完成までには一定の期間が必要ですので、その中での議論になると思います。
【記者】
県庁舎の移転について、知事は県庁舎を移転すべきだとお考えでしょうか。
【知事】
これは、これからいろいろな議論が行われると思いますので、あまり予断を持って私の意見を言うことはありません。県庁舎の移転・活用という方向を打ち出して、皆さんにご意見をいただきながら考えていくということになると思います。
【記者】
年末に発表された地方財政計画の中では、市町村の庁舎建て替えについて、来年度までに設計に着手すると支援します、と総務省が言っていますが、これに都道府県は入っていないと思います。福井県は新幹線など、いろいろな財政需要があるとは思いますが、12年後に築50年を迎える県庁舎の建て替えは大事だと思います。知事は、県庁舎の建て替えに対する国の財政支援についてどのようにお考えでしょうか。
【知事】
庁舎の財政支援というのは一般的にありませんので、いろいろな行財政改革をしっかり進めながら、こうした議論を行っていくということになると思います。
【記者】
県庁舎移転に関して、会議体のイメージについて現時点で何か考えておられることはあるのでしょうか。例えば、県の将来ビジョンの関係で福井市も参加することなどは考えられるのでしょうか。
【知事】
これから、我々でいろいろなことを考えなければなりませんが、県と福井市、あるいは産業界、その他、様々あると思います。市民の皆さんのお考えもありますし、県都というのは県民全体の県都でありますので、そういうものをどう考えていくかというきっかけにするということかと思います。
【記者】
今春の知事選には、県庁舎移転をマニフェストに掲げて臨まれるというイメージでしょうか。
【知事】
マニフェストは、いろいろなことをこれから書かなければなりませんが、その1つになると思います。
【記者】
改選後に本格的に議論に入っていくということでしょうか。
【知事】
そうですね。
【記者】
次の4年に向かって、県庁舎移転の方向性をどこまで詰めたいと知事はお考えなのか教えてください。
【知事】
これは、いろいろなご意見もありましょうから、そういう議論をこれまでも議会で答弁し、進めようという話をしてきましたが、本格的に議論を開始して進めようということです。
【記者】
どこに移転して、跡地はどう活用しようという具体的なところまでを次の4年間で決めたいとお考えでしょうか。
【知事】
それは、議論の進め方の中でいろいろなものが見えてくると思います。いろいろな方とお会いしておりますと、地域の拠点となるこの場所をどうするのかということをよくお聞きしますので、そういう皆さんのお声を受けながら、方向性を出したいということです。いろいろな意見があると思いますので、皆で意見を出し合って、まちづくりをどうするかということが大事だと思います。
【記者】
城址公園の活用やスポーツ・文化局の設置などの話もありましたが、新幹線の開業が迫ってきている中で県庁内に部局横断の組織をつくるような構想というのは無いのでしょうか。
【知事】
これは、かなりいろいろな議論があると思いますので、そういう組織も必要かと思います。どのようにするかというのは、まだ時間がありますので、頭の中に入れながら展開したいと思います。そういう時代だと思います。15年間、いろいろな新しい組織をつくってきましたが、次の、新しいバージョンが必要だと思います。
【記者】
県庁舎移転の話について、県庁舎がお堀の中にあることに対し、一般の方には、公務員意識が高いことの象徴になっているのではないかという見方もあります。また、お堀、お城というのは観光資源になるという方もたくさんいまして、そこに県庁舎があるのがそもそもおかしいのではないかという意見もたくさん聞いています。これらの意見を踏まえて、知事はどのように考えていますか。
【知事】
そういう意見は非常に多いです。現実に福井城址に県庁舎が建っている状態ですから、そんなに不思議ではないと思っておられる人もいるかもしれませんが、もっと違ったあり方があるのではないかと思っておられる方が多いのではないでしょうか。唯一、外国の方がお見えになり、こういう何百年もの歴史があるところに、県庁舎があるのはおもしろい、素晴らしいというようなことをおっしゃった方も1人か2人はおられましたが、他の方から同じような意見を聞いたことはありません。
【記者】
県庁舎の移転を前提に、移転先を含めて皆さんの意見を聞いていくということでしょうか。
【知事】
皆さんが思っていることを具体的に進めるために、まず何か行動するというタイミングだと思います。皆さんがそう思っておられ、新幹線は4年後に来ます。県庁舎が耐用年数を迎える築50年まで後12年です。大きい建物ですから、議論をしていると時間もかかります。そして、新しいまちづくり、県都以外の地域もそれぞれの思いがあると思います。歴史と文化のある福井県だと私は自信を持っていますが、それを生かすということだと思います。
【記者】
今、知事が言及されておられるのは県庁舎のみの移転でしょうか。県警本部庁舎や県議会議事堂も含めた全てを移転するというお話でしょうか。
【知事】
全てです。
【記者】
移転を念頭に議論をするということでよろしいでしょうか。
【知事】
はい。県都デザイン戦略に関する3年前の福井市選出議員の質問に対し、「現在の庁舎建設に際し、県議会との議論や建物設計・工事などに10年程度を要したという実績がありますので、このことを考えますと、この5、6年のうちには、本格的な検討ということが必要になるものであると考える」とお答えしています。
【記者】
県庁舎移転の今までの質問の中で、他の方が言われたことを述べられたと思いますが、もう一度あらためて、県庁舎移転に関する知事のお考えをお聞かせいただけないでしょうか。
【知事】
県議会でいろいろな議論もあり、あるいは、これまで様々なお声も聞いていますので、予定を早めて、今年から県庁舎の移転、活用などについて、各界各層と幅広い議論を行う場を設けたいというのが正式な見解です。そういう場を設けることによって、いろいろな意見や方向性が出て、それに基づいて、いろいろな意思決定の道が出てくるだろうと思います。
【記者】
4月の選挙に向けて、現状の手応えをどのように感じてらっしゃるのかをお教えください。また、県政報告会ができていない市町もありますがそのスケジュール感をどのように考えているのかについてもお教えください。
【知事】
これまで県政報告会が開催されていない嶺南の若狭地区や嶺北の坂井地区などの地域については、1月の中下旬から予定がだいたい立っているようであります。
また選挙情勢の見解を述べる場ではありませんが、福井県にとって大事な時期でいろいろなプロジェクトの最終的な方向付けと次の展開ということがあります。国体などで皆が盛り上がって、その盛り上がりを続けてほしいという声が非常に高いと私は受け止めています。そして、分かりやすくクリアな政治を期待したいという声が高いわけでありますので、これを大事にすることが私にとって基本だと思っています。
【記者】
年明けに福井商工会議所であった賀詞交換会のあいさつの際、「HOW TO」、どういうことを行うかも大事であるが、誰が行うかも大事であるという荻生徂徠の言葉を引用してあいさつをされていたかと思います。またブログにも書かれているかと思いますが、ここに書かれた意図というものをお教えください。
【知事】
これは、いろいろな政治や仕事と言いますか、昔で言えば公務というものですが、どのようにしたら上手くいくのか絶えず皆考えるわけです。
このことは大事ですが、今の言葉で言うと「HOW TO」をやる時にその心構え、心根というものを違うレベルで行った時は、一生懸命しっかり物を考えて誰がやるかということによって、成果が違うということを荻生徂徠が言っているということであります。昔から、そのことを私は信じておりまして、職員にもそのことを言っています。
本当に県民、納税者、有権者のために一生懸命そのことを念頭に行うということが、同じ方法であったとしても成果が随分違うということが彼の見解であります。そこを無視してどのようにしたら上手くいくのかということだけを考えると物事は上手くいかないということを申し上げたわけです。
「HOW TO」は大事ですが、「WHO DO」も極めて大きなファクターであると思います。
【記者】
先ほど、関西電力の岩根社長が新年のご挨拶に来られて、その後の記者会見で、高浜原発1、2号機の40年超の対策工事が秋頃を目途に竣工する予定で今進めているという話をされていました。今後は、知事の同意や高浜町の同意の手続というのも絡んでくると思いますが、知事は40年超原発の運転について、現在どのようにお考えでしょうか。
【知事】
高浜原発1、2号について、今の構造は、電力事業者自らの判断と責任において、安全対策の工事を実施していくということであるので、40年を超える運転をこれから認めるかどうかは、県の判断とは別であるという状況です。基本的には、新たなエネルギー基本計画では原子力比率を20%から22%としていますので、そういう中で、エネルギーミックスを日本のそれぞれの地域でどのように実現できるかということについては、40年を超える運転延長の必要性や安全性についてさらに国の考えをしっかり説明していただくという状態であると、今のところ理解しているということです。今は、それ以上の状況ではないということです。
【記者】
40年を超える原発の運転について、これから国や事業者から考えなどの報告を受ける場があると思いますか。
【知事】
まだそこまでの状況には至っていないということです。
【記者】
まだ工事が終わっていないからということでしょうか。
【知事】
それもありますし、40年超運転というのは、さらに安全上問題がないとか、エネルギーミックス上こういう役割を果たすとか、あるいは、中間貯蔵施設の問題はどうなるのかなど、いろいろなことが関連しますので、そこまでには今至っていないという状況です。そういうことを全部県民や国民の皆さんに納得していただいて、そういうものが議論できるのではないかという状況です。
【記者】
規制庁は、40年超の安全審査に適合するという判断を出していると思いますが、知事がおっしゃるのは、40年超の運転をやるために、安全以外に何かもう1つ、国で議論が必要だということでしょうか。
【知事】
規制庁が安全だと言えば、それでいいですというようにはどこの地域も考えていないと思います。福井県はもとより、いろいろな問題が最初に来ますので、やっぱりこれは大丈夫か、こういうことがあり得るのかなどについて、県民の理解、支持を得られないといけませんから、まだそういう段階ではないということです。
【記者】
原発を長く運転すれば、それだけ使用済み燃料が増えるのも事実です。もし、中間貯蔵施設の地点の確定がないまま、40年超運転という事業者の判断に傾いたとするならば、それでも知事は納得できるものなのか、それともできないのか、どちらでしょうか。
【知事】
40年超運転には、いろいろな課題があるわけですから、そういうものを一つ一つ、国民や県民の皆さんに理解を求めるというような重要なテーマになると思います。
【記者】
県民の中にある程度の理解、納得がない限り、40年超の運転はハードルが高いという考えでよろしいでしょうか。
【知事】
そのような言い方もあるかもしれませんが、そういうものをクリアして、この40年超の運転を行うことが国や事業者の重要な責任であると思います。
【記者】
そうなると、少なくとも中間貯蔵施設の地点は確定していてほしいですか。
【知事】
まだ今の段階で前後関係を明らかにするものではありませんが、そういうものは大きなファクターの1つではあろうと思います。
【記者】
今日も朝、岩根社長がお見えになって、2020年を念頭にできるだけ早い時期に中間貯蔵施設の計画地点をお示ししたいとおっしゃっていました。そういう状況の中、40年超運転に向けて課題があると考えると、福井県として、少なくとも2019年中には40年超の運転に向けた議論をできる状況にはないという理解でよろしいでしょうか。
【知事】
あまり仮定の話をいろいろ申し上げてもいけませんが、事業者はどうお考えになるかということで、我々がこうしろ、ああしろと言うものではありません。再度、次の地点確定について、不退転で取り組まれるということですから、その決意の中で、いろいろなことをお考えになるのが事業者のお立場だと思います。
【記者】
昨年末に政府が東京一極集中の是正に向けて、全国で「中枢中核都市」として82の候補を選びました。その中の1つに福井市が入っています。知事も今月3日の年賀会でご挨拶をされたときに、福井市のまちづくりは今まさに正念場を迎えているというようなご認識を示されましたが、この「中枢中核都市」の候補になったことについての受けとめと、県として何か対応できそうなものがあるのであれば、その考えをお聞かせください。
【知事】
これはいろいろな制度がどのように展開するかはありますが、ご意見もいただきながら、市民の皆さんの期待に応えて、県と市の両方で力を合わせてやっていくというのが大きな流れだと思います。
【記者】
「中枢中核都市」の候補に選ばれたことについて、歓迎はされているのでしょうか。
【知事】
おそらくこれは全ての県庁所在地が候補となっているのではないでしょうか。
【記者】
そうだと思います。
【知事】
その他の第二都市も、例えば、青森市と弘前市や山形市と酒田市、長崎市と平戸市などいろいろあると思いますが、そういう町が中心になることは大事ですけども、もちろん周りの町との関係もありますので、いろいろな議論をして進めていくということだと思います。
【記者】
再度、スポーツ・文化局のことをお聞きします。組織の規模はどれぐらいの人数をお考えでしょうか。
【総務部長】
これからの議論となります。今は、教育委員会のスポーツ担当部局を知事部局にという方向だけです。
【山田副知事】
それと何を組み合わせるかという議論になると思います。
【記者】
障害者スポーツもスポーツ・文化局に入るのでしょうか。
【知事】
もちろん関連しますので、かなりの影響はあると思います。
これからですけどね。障スポとの融合ですから、スポーツというのはアスリートだけのスポーツではなく、皆がやるわけですから、当然含まれると思いますし、大きなテーマです。
【記者】
国体・障スポの意見交換会が開かれたという関係もあって、いよいよレガシーを今後に生かすという動きができてきたと思います。例えば計画の策定や具体的な事業を始めるなど、知事の中で、いつまでに、具体的にプロジェクトを動かしたいというスケジュール感はありますか。
【知事】
今年、いろいろな全国大会、これまで開催した実績がほとんどないような大会が動き始めます。先ほど申し上げましたように、全国規模の大会が毎月あるような感じになってきましたし、それぞれの競技団体がそういうことを自分達でできるという気持ちになったわけです。これまではそのような大会をやると、お金もかかって、どうやって運営するのかと心配になって、ついつい二の足を踏んだと思いますが、国体で皆頑張れたのだから、これぐらいの大会は普通にできるというような、そんな気持ちになっておられると思います。そういうことをまず始めながら、スポーツ・文化局、仮称ですけれどもいろいろな新しい形、融合する形で物事は進められると思います。それから、「はぴりゅうふるさとフェスタ」といいますか、皆で体を動かしてのパフォーマンスこそスポーツと文化の融合の究極だと思います。ああいうものをやりながら進めていくということだと思います。
【記者】
今おっしゃられたように、今年に行われる全国大会というのが、ある意味、スポーツ団体の実行力や開催力という意味で、もうレガシーが始まっているという認識でしょうか。
【知事】
はい。それから、トップアスリートは地元で頑張ってくれますので、若い人の指導者にもなるし、オリンピックに出る人もいますし、次の茨城国体や鹿児島国体、三重国体などいろいろあります。そこで成績が、大きく下がっては困りますので、しっかりとしたポジションをいつも確保できるような体制にしておかないといけないと思います。これはまた、高校のいろいろな全国大会や子供たちの部活動をどうするかなどにもつながっていきますので、それを一回見直して、次の展開につなげていく大事な局面だと思います。
―― 了 ――
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