知事記者会見の概要(平成31年4月23日(火))

最終更新日 2019年4月24日ページID 041243

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平成31年4月23日(火曜日)
11:00~12:00
県庁 特別会議室

H31.4.23知事写真
 

 

 

 

【知事】  

 杉本達治でございます。本日、福井県知事に着任させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

 4月7日の選挙で県民の皆さんの多くのご支持をいただいて、知事にしていただき、それから2週間余りを経過したところでございますけれども、ずっと今日の日を思い描きながらやらせていただきました。当選後というよりは、昨年の11月2日から私は活動を始めさせていただきましたけれども、それ以来、ずっとここまで、今日の日以降を思い描きながら活動をさせていただき、また、準備もさせていただいてきたかなと思っているところでございます。そういう意味では、極めて身が引き締まる思いだということとともに、これから県民の皆さんにお約束したこと、また、私としてぜひとも県民の皆さんにこんな県政を進めていきたいという思いをしっかりと形にしていきたい、こういうふうに覚悟を決めて臨ませていただこうという気持ちでいるところでございます。

 私がこれから県政にどう取り組むのか、一つ一つの事業については、県民もしくは職員の皆さんともよく相談しながら政策等を練っていくということになろうかと思いますが、今日、職員の皆さんへの最初の訓示でも申し上げましたけれども、1つには、まず、これまでの16年間、西川知事を中心として、福井県政は大変前に進んだ16年だったと感じているところでございます。県民の皆さんの声を聞いても、本当に大半の皆さんが今の県政はよくやっていると、当時おっしゃっていました。私もそう思いました。もちろん私もそのうち6年間は一緒にやらせていただきましたので、そうなるように努力したのですけれども、いずれにしても西川知事のご功績というのは非常に大きいと思っているところでございます。

 その中でも、例を挙げれば、北陸新幹線の福井や敦賀までの開業ですとか、中部縦貫自動車道もこの4年で形になる、こういうところまで来ているわけでございますし、また、学力・体力日本一や幸福度日本一、こういったことも大きく県民の皆さんの期待に沿ったものだと思います。また、国体では、私も最初の頃にいろいろと競技力向上に関わらせていただきましたが、本当に私も熱くなりました。東京にいましたが、点数が発表されるたびに、一喜一憂というか、一憂はほとんどありませんでしたので、ずっと喜びが積み重なる。閉会式も出させていただきましたので、それは県民の皆さんも同じように感じていらっしゃったなということを私も実感させていただきました。そういう意味では非常に進んだ16年だったと思います。

 ただ、選挙戦でも申し上げましたが、コミュニケーションの不足といいますか、県庁が県民の皆さんの側に立った行政ができていたのかということについては、やはり私は変えていかなければいけないと思っております。自分の生活信条だけではなくて、県民の皆さんあっての、相手の皆さんがあっての県政ですので、そういうことを第一に考えながら県職員の皆さんにもそれをぜひ念頭に置いてやってほしいということを申し上げたところでございます。

 その方法として、徹底現場主義に基づいて県民の皆さんを主役とした県政を進める。当然のことながら、そのときには公正、公平、クリーンな県政にしていく、個別の利益には一切近づかない、そういうことをやらせていただくということも申し上げさせていただきました。

 また、仕事の仕方として、一つ一つの細かな目標、自分の目の前の仕事にこだわるのではなくて、大きな目標、ミッション、それから結果にコミットしてほしいと、結果に責任を持って自分として活動してほしいということを申し上げました。その上で、県の体制として皆さんには責任を持って仕事ができる、自分で考えて仕事ができるような体制、権限の分割なども行っていきますということも申し上げたところでございます。

 それから、そのために、やみくもに仕事を進めるわけにもいきませんので、一番大きな基盤として、共通の行動規範、クレドを持ってやっていきましょうということも申し上げました。これも策定を急いでいく必要があると思っております。

 それから、県庁の風通しを良くしながら、それを起爆剤に、県内全体、国会議員の先生、首長さん、県議、市議、町議の先生、また、そういう行政ばかりでなくて、企業さん、団体さん、県民の皆さん、いろんなセクターやステークホルダーなど、そういった関係者の皆さんを含めて、県が中心になって、もしくは県の職員が中に入り込んで、そうすることで風通しを県全体で良くしていって、総合力を上げていき、チーム福井、もしくはオール福井、こういった体制にもっていきたいと考えているところでございます。

 そのために、私は自分で汗をかくということも申し上げました。自分で汗をかくためには、職員の皆さんに、私に忖度して追従するのではなくて、耳の痛いことも含めてぜひ意見を聞かせていただいて、議論をしながら、県政が大きく間違わないようにちゃんと進められるような、そういう体制にしていこうということで、令和という新しい時代にふさわしい新しい福井県政を一緒につくっていこうと申し上げましたし、私はそれを旨として、これから政策を進めていきたいと考えているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

~質疑~

 

【記者】  

 まず、新知事としての抱負について、これはというものを一言お願いします。

 

【知事】  

 徹底現場主義に基づいて、県民の皆さんを主役とした県政に変えていくということかと思います。

 

【記者】  

 西川前知事の大きな成果を引き継ぎつつも、改めるべきは改めると訓示でもおっしゃっていましたが、何を改めますか。

 

【知事】  

 やはりコミュニケーションが不足しているということを一番感じました。政策に違いはないとよく言われましたが、私は仕事というのは、やり方で大きく変わってくると思います。1人の人がいろいろトップダウンで物事を決めていくということは大事だと思いますので、私も基本的にトップダウンでいこうと思いますが、そのやり方のところに、全て自分が物事を把握して全部自分で決めていくというような考え方に陥ると、やはり閉塞感がありますし、それから、決定が遅くなりますし、柔軟性がなくなっていくと思います。県民の皆さんがそもそも主役ですので、そういう意味では、私は県民の皆さんの側に立って、徹底現場主義をやりながら行政をギアチェンジ、スピードアップしていく。多くの皆さんの意見を聞きながらやっていくことで、政策も内容的には日々進化して変わっていくと思っています。ですから、県政としては、まず、行政のやり方を改めていきたいと、そう思っています。

 

【記者】  

 部局長との政策合意は廃止されますか。それに代わるものはクレドになるのか、どういう形で進めるのかお聞かせください。

 

【知事】  

 政策合意というのは、今年度の目標は何かということなので、目標を持つこと自体は否定しませんけれども、形式的にも知事と部長の契約書です。それはそれで、知事が住民の皆さんとマニフェストで約束したものについて、職員の皆さんが今年度はこういう形で進めますという契約ですから、1つのあり方だと思いますが、もっと皆が県民の皆さんを意識しながら、直接仕事ができる体制にする方がいいのかなと思います。

 私の認識では、クレドはいわゆる目標とかそういうものではなくて、規範ですので、こういう考え方に基づいて仕事を進めましょうということです。一つ一つの目標や方向性などはそれぞれに共有していきますし、そのやり方はまた考えないといけないかもしれませんが、クレドそのものは、簡単に言えば、県民の皆さんの目線で物事を考えましょうというような考え方のもとになる部分、規範です。そういうことになりますので、もともと違うものだと思います。いずれにしても、政策合意というやり方は変わっていくのではないかなと思いますが、それは1つの方法論の部分なので、またよく考えながらやらせていただきます。

 

【記者】  

 今のクレドのお話で、早目に策定を進めたいということをおっしゃっていましたが、何か形としてつくられるのでしょうか。

 

【知事】  

 形にすると思います。若い職員の皆さんを中心に考えてもらおうと思っています。早目といっても3日や1週間でできるものではないので、議論をちゃんとしながら若い職員を中心に考えてもらおうと思っています。

 

【記者】  

 若い職員のそういう議論の場、会議みたいなものを設けられるということでしょうか。

 

【知事】  

 そうです。そのようなことを考えています。大まかに言えば、若い職員を中心にしてこれからの福井県政をどう進めていくのか、その行動の規範について検討するような組織、チームをつくって、考えたものを形にしていくのかなと思っています。

 

【記者】  

いつごろまでに策定というのはありますか。

 

【知事】  

 今はまだどのようなものになるのかも分からないので、できるだけ早くとは思いますが、1週間程度でできるようなものではないと思います。

 

【記者】  

 夏ごろまでにというイメージでしょうか。

 

【知事】  

 どうですかね。夏ごろまでにできていたほうがいいのかもしれませんが、議論をしていきます。

 

【記者】  

 知事就任おめでとうございます。

 

【知事】  

 ありがとうございます。

 

【記者】  

 クレドの件ですが、先ほど若い職員を中心に検討したいということでした。これは、なぜ若い職員に考えてもらおうとお考えなのでしょうか。

 

【知事】  

 柔軟ですよね。私が副知事の時もそうでしたが、政策立案のチームなどで若い人と話をしていると、経験は多少乏しいですが、いろんな物事を吸収できていると思います。OJTという言い方までしないにしても、何かミッションを与えてやっている間に成長するということは、自分の人生の経験でもありました。それから、これまで、政策立案チームみたいなものをつくって、1か月ぐらいで解散するということをやっていましたが、やっぱり経験を積んでいただくと次の成果、成長にも結びついていきます。ですから、特に行動規範みたいなものは、やはり若い方にできるだけ柔軟な発想でやっていただくといいかなと思います。大体、行動規範やクレドということそのものに、私たちは、すぐにピンと来ないじゃないですか。記者の皆さんは若いからいいのですが、なかなかすぐにピンとこない部分もあるので、そういうところを柔軟に吸収していただける方を中心に考えてみたらどうかなと思っています。

 

【記者】  

 その若い方というのは何歳ぐらいを想定されているのでしょうか。また、職員関係の管理というのは人事企画課でやっていると思いますが、人事企画課の関わり方というのはどのようになるのでしょうか。

 

【知事】  

 30代ぐらいかなと思います。20代の方がいてもいいと思いますが、経験があまりに不足していると、どういうふうにしていいのか迷走に入らないとも限らないので、中心的には30代というイメージでしょうか。人事企画課がどう絡むかということは、私も今すぐ想定しませんが、いずれにしても、物事を決定する過程では当然、行政の組織に戻すということはありますので、そういう中で、当然関わりが出てくるとは思います。

 

【記者】  

 ご就任おめでとうございます。

 

【知事】  

 ありがとうございます。

 

【記者】  

 人事についてのお考えや機構改革、いくつか政策集にも盛り込まれたことがあると思いますが、改めて現段階の構想やスケジュール感がありましたら教えてください。

 

【知事】  

 まず、体制として両副知事については、私、両名ともよく存じ上げていますし、能力の高さという部分と適材適所という意味でも一番いい人材ということ、また選挙戦を通じてノーサイドと申し上げたということで、お二人に、「引き続きよろしくお願いします」と申し上げたところでございます。まず、そういう体制の大枠をつくった上で、組織についてはできるだけ早く新しい体制に変えていきたいと思っております。私個人が何かを決めるわけではないですが、県庁組織が私と一緒に物事を考えると言えばそういうことですし、私の政策立案能力を上げるという部分も含めて、例えば、政策を一緒に考えるようなポジションになるのか、組織になるのか分かりませんが、そういう政策立案できるようなスタッフを持ちたいと思っています。

 それから、徹底現場主義と申し上げていますけれども、私一人で走り回って県民の皆さんのお声を聞いているだけではいけませんので、やはり広聴機能ですよね。県民の皆さんの声を聞かせていただく、こういう機能を徹底的に重視してやっていく必要があるだろうと思います。そういう私の政策立案能力、そういうスタッフや広聴機能充実、こういうことを1つさせていただきたいと思います。

 それから、政策集の中でも謳わせていただいていますけれども、地域戦略部。名称はこだわりませんが、それぞれの市や町と協働していくということがとても大切な時期だと思います。やはり行政は一体でやらないと力を発揮できませんので、市や町との協働、地域との協働。これは市や町という行政体との協働というだけではなくて、有償ボランティアなども含めて、それぞれの地域の皆さんとの協働ということも大事だと思いますので、そういった意味での「地域」。また、行政は総合的な行政に変わっていきますので、地域の住民の皆さんと相対するという意味での「地域」です。それから、今まで個別の政策や目標にこだわり過ぎていたと思いますので、大きく「戦略」を描きながら物事を進めていく必要があるという趣旨を踏まえて「地域」と「戦略」、「地域戦略部」というものをつくっていく必要があると思っています。

 それから私は、行政を進める上で、「歴史・文化」というものはものすごく大切だと思っておりまして、これからは文化力というものが福井県にとっては大きなキーワードだと思います。この「文化」は、いわゆる芸術文化を振興するということにとどまりません。この福井県の歴史と文化というのは、北陸3県に限らず、他に勝るというか、大きく違うキーワードだと思いますので、県の行政全般に、福井県の歴史なり文化ということを意識した、そういうような進め方をする必要があると思っています。さらには国体・障スポの成功、もしくは今、県民の皆さんからスポーツ振興を求められていますので、文化やスポーツを重視するような形で、あと、観光なども見直しながら、交流という大きなくくりを考えて物事を進めていくような、そういうセクションをつくっていったらいいなと思っています。

 あと、個別の行政の進め方のところはまた、よく相談しながらやっていきますが、できればスタート、ギアチェンジ、スピードアップと申し上げていますので、6月県議会の時にはそういった体制で進められるように、6月議会の前に体制の整備と、それから組織というか職員人事の体制、こういうことも決められればなと思っています。

 

【記者】 

 6月議会前に組織、人事を決めるというのは、いわゆる議長、副議長の交代がある組織議会がありますが、そのときには部制条例等を提案するというお考えがあると受けとめればよろしいでしょうか。

 

【知事】  

 最終的には議会の皆さんのお考えもあると思いますし、組織議会をどういうふうに持たれるのかはありますが、過去の例を見ても、やはり組織議会のときに部制条例の改正を出させていただいて、その上で人事をやって6月議会に臨むということが一番いいと思っています。これからスピードアップして、加速してやっていきたいと思います。

 

【記者】  

 あと、歴史・文化に関するセクションというのは、イメージでいうと、例えば、局レベルや課レベルなど、いろいろあると思いますが、どれぐらいの規模でしょうか。

 

【知事】  

 そこはまだ、これからよく議論してと思っています。局というのは、西川前知事の時に、スポーツ・文化局というような話もあったので、それはそれで考え方としては承りましたけれども、局長でやるというのはレベルが下がるので、部が直轄でやっていくということもあると思います。直轄というか、部長としてやっていくというやり方もあると思いますので、形の持ち方はいろいろ考えたいと思います。

 

【記者】  

 これから新幹線が開通して大きなパーツがそろいますが、これからどのように変えていこうと思っていらっしゃいますか。

 

【知事】  

 昨日、西川前知事から引き継ぎをいただいた際に、これからの4年間というのは福井県政にとって非常に大きな転換点で重要な時期だということで、しっかりやってほしいと言われましたが、その中の第一がやはり新幹線の整備でございました。まずは2022年度末ですから、今から4年後に向けて確実に開業できるように、工事そのものは県がやるわけではないですが、鉄道・運輸機構に協力をしながらやっていく。その4年後を目標にして、受け皿というか、こちらで迎え撃つ体制を基盤の整備とともに進めないといけないということであります。これから一乗谷朝倉氏遺跡博物館や恐竜博物館など、いろんなところを整備する計画を今、持っていますので、こういったことを着実に、さらにスピードアップしてできるような、そういうような形にしていきたいと思っています。

 

【記者】 

 組織の話ですが、観光営業部は無くすというイメージでしょうか。

 

【知事】  

 無くすということはまだ決めていませんのでよく分かりませんが、いろんな県庁の組織全体を再編していくということです。全く新しい仕事が出てくることはありませんので、基本的には仕切りのところを変える、こっちからこっちへ持ってくる、中の持ち方を変えるということだと思います。

 

【記者】  

 原子力についてお聞きします。今後、40年超の運転や中間貯蔵、廃炉など、大きな課題が山積しているかと思いますが、国や事業者、立地地域との連携も含めて課題解決に向けた抱負をお願いします。

 

【知事】  

 私はずっと申し上げていますし、また、今までの副知事時代も含めて、福井県の原子力も担わせていただきましたので、これまでの大きな方針と変わらずやらせていただくということだと思います。そういう意味では、まず、県民の皆さんの安全を最優先にしていく。それが第一、それが全てだと思ってやらせていただこうと思っています。その中で、これまで50年以上にわたって地元でいろんな議論をしながら原子力の安全を守ってきた、そういう立地の県ということで申し上げれば、その中で発電は担うけれども、例えば、使用済み燃料、それから放射性廃棄物、こういったものは県外で処理をしていくという大きな方針があるわけですので、そういったことも守っていくと思っているところでございます。

 

【記者】  

 組織の話ですが、市町との連携という部分は、総務部の市町振興課とも関係するかと思います。地域戦略部は、そういった部分も含めて再編していくというお考えなのでしょうか。

 

【知事】  

 これからの議論なのでよく分かりませんが、多分そういうことになっていくと思います。どちらかというと、市町の支援や協働というのは全国にもいろいろあります。企画部門に持っていくというのは結構ありますので、総務部にこだわらないで、少し垣根を越えて何かやるということはあるかもしれません。

 

【記者】  

 知事就任おめでとうございます。

 

【知事】  

 ありがとうございます。

 

【記者】  

 先ほどの話にも出た使用済み核燃料について、おっしゃられていたように、処理に関しては県外を原則とされるというお考えだと思いますが、立地自治体においても、県外の処理施設ができるまで、または、そこに持っていくまでの間、発電所構内での乾式貯蔵について具体的に検討を求めるような意見が上がっています。今後、立地自治体や関西電力と構内での乾式貯蔵についての議論を始めるお考えはありますでしょうか。

 

【知事】  

 そのご質問は乾式貯蔵について聞かれているように見えて、何かいろんな意味があるようにも思いますが、乾式貯蔵の問題そのものは当然、保管の方法に湿式と乾式があって、どちらかというと、私が今のところ知る限りは乾式貯蔵のほうが安全性が高いというように国もお考えではないかなと思っております。そういう意味で、貯蔵の方法として乾式貯蔵ということがあるということは分かっておりますが、今すぐ乾式貯蔵を始めるというか、今の湿式を乾式に変えていくのかどうか分かりませんが、そういったことの議論を今すぐしているわけでもないと、多分思いますし、今ここで決めるということでもないようには思います。何か議論があればそういうことについてはちゃんとしていきますが、先ほど申し上げたとおりで、いずれにしても、使用済み燃料は県外に出して処理・処分していただくということに変わりはないということでございます。

 

【記者】  

 40年超の原発に関して、安全対策工事の工期の遅れで後ろ倒しにはなっていますが、基本的に再稼働については同意されていく方針ということでしょうか。

 

【知事】  

 40年超運転については、いろんな手続としてはほぼ終わってきているのだと思います。まさに今言われていらっしゃったように安全対策の工事を進めていますが、それが来年の春以降に遅れていくのだと思います。そういう工事の進捗状況等を見ながら、また、国でも当然のことながら、40年超運転についての考え方、もしくは安全性について、国民や県民の皆さんに対する説明もしっかりしていただく必要があると思います。そういった安全対策工事の状況、それから、国の動き、こういったものを見ながらいろいろ判断していくのだろうと思います。

 

【記者】  

 選挙戦や先ほどの就任式でも、職員の皆さんに権限を分割したり、基本的には皆さんにお任せしたいとおっしゃっていましたが、権限をもっと増やしていくというところで、もう少しイメージ、こういうふうにしていきたいということをお聞かせください。

 

【知事】  

 やり方はいろいろありますので、仕切りのところは全国的な状況もよく見ながらとなります。何でもお任せしますというわけにはいかないと思います。いずれにしても、大切なことは、もしくは基本となる部分は全てトップダウンといいますか、私のところで決めさせていただいた上で、個別の、まさに現場の状況があるわけですから、現場の状況の中で物事が決められることについては決めていく、そこで決めて責任を持って実行してもらう、そういうことが大切だと思います。そういう方向に向かってどんなやり方で分割するのがいいのか、これを考えていきたいと思います。

 

【記者】  

 就任おめでとうございます。

 

【知事】  

 ありがとうございます。

 

【記者】  

 これから福井県は大きく変わる時期になると思います。やはり新幹線、原子力が大事な部分になってくると思いますが、国との交渉というものがどうしても出てきます。西川前知事は国との交渉では非常に毅然とした態度で県民の利益を勝ち取ってきたということがあると思います。杉本知事も同じように臨まれるとは思いますが、どういった態度で臨まれるのか、また、西川前知事と同じように、そういう利益を勝ち取っていく自信はあるのかをお聞かせください。

 

【知事】  

 私も当然、県民の皆さんの信任をいただいて仕事をさせていただく、県民の皆さんの利益を最大にしていくということで、毅然としたやり方が正しいときには毅然としたやり方をします。ただ、私はそういうことだけではなくて、国の皆さん、周りの皆さんにも利益のあることを私も一緒にやりましょうという、そういう物事のやり方があると思います。物事全部が受けに回って、待ちで物事を処理していくと、環境がどんどん変わって、それで自分の立ち位置というものがだんだん難しい状況になったりしますけれども、そういうものをつくりながらやっていったりとか、前に出て交渉しながら、自分としても、「じゃ、こういうことはこういうふうに変えていきますから、そちらはこうしてくれませんか」とか、そういうやり方をしていく。また、どちらかというと、今まで物事を決めるのが遅れ気味になっていったと思いますが、そういったことも意識して、やはり決めるべきときにきちっと決められる。その時の私の態度としては、当然県民の利益を第一にしていく、こういうことだろうと思います。

 

【記者】 

 ご就任おめでとうございます。

 

【知事】  

 ありがとうございます。

 

【記者】  

 先ほど、機構改革のところで、政策を一緒に考えるようなスタッフを持ちたいということと、県民の声を聞く広聴機能を持ちたいと言われたかと思います。その政策を一緒に考えるスタッフというのは県庁内の人間だけで考えられているのか、それとも広く有識者を抱えるということでしょうか。また、県民の声を聞く広聴機能というのは、前知事がされていた座ぶとん集会などに充てるということもあると思います。あと、メールやアンケートなど、もう少しイメージを教えていただけますか。

 

【知事】  

 今申し上げていたのは、県庁の中でどんな組織を持つかという意味で、私は政策を自分で考えて整理するのが好きなので、そういうことをしやすいようにということです。もちろん、全職員が皆スタッフだと言えばそのとおりですけれども、いつでも頭の体操ができるような体制というのは大事だなというような趣旨の政策スタッフだと思います。あと、外部に、私的なものを含めて一緒に考えるような組織も必要に応じて考えていきたいと思います。

 広聴の話は、いわゆる座ぶとん集会など、ああいう形にこだわる必要はないと思います。もちろん、座ぶとん集会もあったらいいと思います。そういうこともやっていけばいいと思います。しかし、私がこの選挙戦や選挙に向けての活動を通じてつくづく思ったのは、とにかくいろんな方とコミュニケーションをとるということが大切だということです。そういう中で、お一人おひとりのご意見もありますし、組織からのご意見もあります。そういうものに柔軟に物事が受け入れられるような、整理ができるような、そういう広聴機能というもの、私一人で全部自分でメモしてやっていくのも大変ですし、能力の限界も超えるので、組織として県民の皆さんからよくお話が聞けるような体制、もしくはテイクノートして、県庁の中で共有できるような体制ということを意識して申し上げたところでございます。

 

【記者】  

 知事との直接対話ばかりではないということでしょうか。

 

【知事】 

 そうです。もちろん私もやっていきます。

 

【記者】 

 知事が直接対話しなくても県民の声を吸い上げられるような仕組みと理解してよろしいですか。

 

【知事】  

 おっしゃるとおりで、それを職員の皆さんにも、今朝、「ぜひ皆さんが現場に出て話を聞いて解決してくれ」と申し上げましたし、それを全体として統括するというのかはともかくとして、全体を見渡しているような部署をつくる、強化していくというようなことを申し上げました。

 

【記者】  

 そうすることで、知事が今おっしゃっている徹底現場主義が、知事ご自身が必ずしも動かなくてもできるようになるということでしょうか。

 

【知事】  

 それはちょっと違うように思います。それは1つのツールであって、しかも大きなツールではないと思います。整理係をつくりますという程度ぐらいにお考えいただいたらいいと思います。それよりも職員の意識を変えてもらわないといけないと思います。とにかく今は職員の皆さんと話をしても、現場のことをよく知らないとまず言われましたし、それから、分かってもらえないという話がありましたので、そこのところを変えるのが一番大きな私の徹底現場主義のやり方だと思います。

 

【記者】  

 原子力についてお聞きします。40年超運転を目指しているプラントは、今3基ありますが、その地元の同意判断というのは、1基ごとにしていくのか、または3基パッケージでするのか、現段階でのお考えはありますか。

 

【知事】  

 高浜の1、2号と美浜の3号だと思います。特段、今そこのところまで、具体的に私が思い描いているわけではありませんので、今すぐにはお答えしにくいですが、今までの経験からいうと、個別にいろんな事情はありますので、もちろん個別の事情を見たときに、一緒にやったほうがいいということがないとは言えません。判断の仕方はいろいろあると思いますけれども、やっぱり置かれている環境だったり年数だったりそのものの形だったり、いろいろあります。そこは慎重に判断しながら、結果として一緒になることはあるかもしれませんが、個別のことは、まだ細かく聞いていません。

 

【記者】  

 3基パッケージにしようと思うと、最初の高浜1号は2020年5月に工事が終わりますが、3基まとめて工事完了まで待つということになると2021年と大分ずれ込むと思います。それでも3基まとめてのパッケージもあり得るということでしょうか。

 

【知事】  

 基本的には、一つ一つ考えないといけないと思って、結果的にパッケージになることはあるかもしれませんと申し上げています。そこは決してパッケージにするためにどうするとか、そういう発想はないと申し上げたつもりです。

 

【記者】  

 先ほどの乾式貯蔵の話ですが、立地市町からは議論してもいいのではないかという声が大分上がっていて、杉本知事も、選挙中にも市町とのコミュニケーションを密にという話もずっとされてこられています。その辺の声を受けて、先ほどの再質問みたいになりますが、議論の俎上に載せるおつもりはありますか。

 

【知事】  

 私、選挙戦で立地の市や町の首長さんとも話をしましたが、具体的にそういう話を伺っていませんので、「市町で議論がある」という時の「議論」って誰の議論なのかも今のお話だけでは分かりません。いずれにしましても、立地の市や町その周辺も含めて、地元においていろんなご意見があるということ、いろんな状況の時にいろんなご意見があることは分かっていますので、決して県だけで物事を決めるのではなくて、地元の市や町や、それから県議会、安全の専門家、こういった方々のご意見も伺いながら物事を決めていくのだろうと思っております。

 

【記者】  

 先ほどの人事の話について、特別職の副知事は続投ということですが、教育長についてはいかがでしょうか。

 

【知事】 

 教育長はもともとあまり行政の影響を受けないように独立した機関で、教育委員会でやっているのだと思います。権限的に今、直接私が罷免できるとかいろいろあるかもしれませんが、まず組織論として、教育長のことにいちいち口を出すのはいかがなものかということはあります。それを置いておいても、私は東村教育長もよく存じ上げていますが、適材適所だと思います。

 

【記者】  

 人事の後に予算編成を控えていると思いますが、杉本知事の色をどう出していきたいと考えていますか。

 

【知事】  

 これは今の事業の進捗状況もいろいろ聞かないといけません。ただ、基本的にはできるだけ前倒しをしながらやっていけるようにしていくのが大切かなと思っていますが、それは、一つ一つの事業をこれから聞いてからだと思っています。

 

【記者】  

 新幹線について、北陸へのフリーゲージトレインが導入断念ということで、今、特急の乗り入れ、存続の話が出ています。杉本知事の政策集では、在来特急乗り入れについて、西川前知事と違って明記されていませんでしたが、具体的な取り組み方、お考えを改めて教えていただけますか。

 

【知事】  

 在来線の特急の問題というのは、これは本当に難しいと思います。何が言いたいかというと、まさに今言われたとおり、もともとフリーゲージトレインでやるとJRが言って、そういうことを前提にしながら私たちも取り組んできて、「それならいいね」ということでやってきました。こちらからも「安全性を第一にやってもらわないと困るよ」ということは言ってきました。結果としてそれができないと断念をしている。こういう状況がつくられたということを、まず、第一に考えていただかないといけないと思います。特急の存続を、ただしてほしいという意味ではなくて、できると言ったことができないということを、まず、第一に国やJRにもちゃんと念頭に置いていただきたい。まず、第一には、とにかく乗り換えの利便性をできるだけ良くしていただく。さらに上下乗換え方式でも、ダイヤの組み方などをきちっとやっていただく。そういった利便性の向上をしっかり図っていただくという中で、できるだけ特急も存続してほしいという地元の意見がありますので、そういったものに対しては一緒にやらせていただきたいと思っています。

 ただ、難しい問題があることもよく分かっておりまして、貸付料への影響、あと、やはり大きいのは年17億円といわれる貨物線路使用料です。こういったものに大きな影響があるということも聞いております。また、先例として、富山が金沢延伸のときに頑張ったけれどできなかったということも伺っています。そういう難しい環境はありますし、それは単に環境が難しいだけではなくて、やはり比較考量のところがあります。こっちを立てると一方でお金がいっぱいかかるというところについて、またよく沿線の自治体とも話し合いもしながら、1つの方向として、特急存続に向けて努力をしていくということだろうと思います。

 

【記者】  

 新幹線について、敦賀以西の話も選挙中いろいろおっしゃっていて、自民党のPTに財源の提案などをしたいという話もされたと思います。財源議論を進める上で関西圏でもようやく協議会が立ち上がるという動きが出てきていますが、杉本知事としては、関西圏との連携という意味ではどういうことを進めたいと、何か具体的に考えておられることはありますでしょうか。

 

【知事】  

 西川前知事からも、新幹線を4年後だけではなくて、その後の工事の継続ということも引き継ぎの時におっしゃっていただきましたし、私も全くそのとおりだと思いますと申し上げました。敦賀の開業と同時にというか、一日も早く、引き続き工事ができるということを確保するためにも、やはり具体的な提案が必要だと思います。自民党の北陸新幹線プロジェクトチームによる沿線の自治体からのヒアリングもあるように聞いていますので、そこでおっしゃられるような貸付料の算定や期間の延長、国の工事費の増額など、ある程度、根拠も示しながら、提案をさせていただきたいと思います。さらに、今のところ着工から15年というような大まかな工期を描かれているかと思いますが、北陸沿線、皆さんもそれをいかに短縮するか、こういうようなお話をされておられます。私もそうだと思いますので、これに対してもしっかりとコミットしてやっていきたい、私も汗をかきながらやらせていただきたい。その1つの方法として、おっしゃられるように、関西圏と一緒に運動を促進していくということが大事だと思います。

 特に私は、この新幹線は明らかに関西のための新幹線だと思います。私は危機管理もやっておりましたので、皆さんの危機をあおるということではありませんが、日本の構造を考えた時に、やはり南海トラフ地震という非常に大きな課題を抱えているわけであり、これはいつ起きるかも分からないわけです。そういうものに備えるというのは、国策としてものすごく重要だと思います。その上で、関西にとっても非常に重要な新幹線だと思います。南海トラフ地震が起きたら、東海道新幹線は当分止まりますから、これは日本としてというか、関西が生き残りをかけて、何か考えないといけない。そういう意味で、この北陸新幹線というのは、単に我々のためにあるのではなく、関西のためにこれほどすばらしい基盤はないと思います。そういったことはもちろんお気づきだと思いますが、こういったことを訴えながら「一緒にやりましょう」ということで進めていきたいと思っています。

 

【記者】  

 長期ビジョンの策定についてのお考えがありましたら教えてください。

 

【知事】  

 長期ビジョンは、これから、それこそ県議会も含めてよく議論しながらやっていくのだと思います。大まかに言うと、多分、年度内に策定して、議決を経ていくというような方向だろうと思います。

 

【記者】  

 就任、おめでとうございます。

 

【知事】  

 ありがとうございます。

 

【記者】  

 知事選において、西川前知事を強力に推されていた経済団体の首脳、トップと選挙後に話し合いなどを持たれたのでしょうか。

 

【知事】  

 個別には、既にいろいろと話を始めています。それなりの感触を得ながらやってきています。物事を決め切って、「大丈夫です」とか、そういうつもりはありませんが、県内の雰囲気は、当選直後にも申し上げましたけれども、決して対立軸で物が動いているなという感じは受けていませんし、さらに、皆さん柔軟にお考えだなという感じを受けています。

 

【記者】  

 時間をかけながらということでしょうか。

 

【知事】  

 時間はかけながらですが、大切なことは融和することで、あまり物事を急いでこじれるということは絶対あってはいけません。そういう意味で急ぐ気はありませんけれども、あまり時間をかけながらやればいいというものではないように思います。可及的速やかに融和が図れるようなことを、私として汗をかきながらやらせていただきたいと思います。

 

【記者】  

 融和の見通しはある程度はあるとお考えでしょうか。

 

【知事】 

 どの方とお話ししていても、融和するというか、県内が一枚岩になっていくというか、一体化していくことに反対されている方はいらっしゃらないように思います。

 

【記者】  

 徹底現場主義とコミュニケーション重視ということはとても大切であると思いますが、その一方で、時間のかかる、根気の要る作業であると思います。知事はギアチェンジでスピードアップもおっしゃっておられますが、そこら辺との兼ね合いはどうしていかれますか。

 

【知事】  

 私は今までの16年間のうち、6年間、西川前知事と一緒に仕事をさせていただきましたが、議論の時間が長過ぎたと思います。何でもかんでもさっさと決めればいいというものではないことはよく知っています。熟議が必要なものは熟議していけばいいのですが、一回一回の議論を長くする必要もありませんし、課題は課題として、皆さんによく整理していただいてお話しいただければ、すぐに分かるものは分かります。そういう意味では、県庁にいる時間を短くして、できるだけ外に出るというのが大きなビジネスモデルとしての発想だと思います。そうすることで、現場を重視する時間が増えると思っています。

 

【記者】 

 知事がおっしゃっている県民の側に立った県民が主役の県政、それを実現するということですが、77万人の県民には様々な切実なニーズがあると思います。予算に限りがある中で、政治というと調整と配分が基本であるということもありますけれども、そういった様々な声を予算にどう反映させていきたいと思われますか。

 

【知事】  

 おっしゃられるように、それがまさに、有限な財政の中で一番難しいところだと思います。私も、当然のことながら行政マンでしたので、基本的に財政規律というものを守ってやっていくことは大切だと思っています。一方で、県内を見ていますと、安全安心のところが欠けてきている、だんだんと財源優先になって、安全安心が少し遅れ気味になっていくというようなことも無きにしも非ずかもしれないと思っております。やはり安全安心を中心に、もしくは新幹線を含めた地域の活性化、その社会を発展させるための起爆剤、こういったものには大胆に重点的に財源を配分していくことが、必要な時期だと思っています。道路を走っていても、白線が消えているところがたくさんありまして、「あれ、どこで止まっていいのだろう」、「どうなっているのだろう」と。「危ないんです、最近は」とか「学校に行く時にもちょっと」など、他の所でも言われましたが、やはりそういうものはお金がないからやらないのではなくて、何とかそういうところにも優先的に配分していく。今までどおりではなくて、必要なところには重点的に物事を配分していくということも大事かなと思います。

 

【記者】 

 6月の補正予算について、農業者の方など選挙期間中に杉本知事を応援していた方は、特に注目されていると思いますが、農業分野の配分はどのようにお考えですか。

 

【知事】  

 6月補正予算で農業にどうするかということまでは、まだ考えていません。私は農林水産業は、成長分野だと言っていましたけど、話を聞いていると、本当に可能性があるなと思います。これは農業に限ったことではありませんが、皆さんの後押しをする、少しやろうとしていることの背中を押すことで皆さんがやる気になる、それで前に物事が進んで大きな一歩が踏み出せるということがいろんな分野でありました。農業関係者と話をしていると、今は後継者がいなくて、交付金がなくなって、生産調整もしてくれなくなったので、これからは人口も減って、皆お米も食べなくなっている。もう斜陽なんですというお話もありましたが、いろいろ聞いていますと、世界に目を向けている方もたくさんいらっしゃって、原原種を福井の耕作放棄地でつくり、その原種は東南アジアの国でつくって、実際の栽培はアフリカで行い、世界に売っていくという発想を持っている人がいっぱいいらっしゃるわけです。だから、こういう方々を応援していく。ただ、やはり農業の問題でいうと、そういうことだけではなくて、家族経営だったり2種兼業だったり、もしくは耕作放棄地にならないように守ってくださっている家族農業というものも大切だというお話もあり、これをどう守るのか。選挙戦でもいろいろ申し上げましたが、こういったこともやっていかなくてはいけません。6月補正でどこまでできるかはまたこれから考えながらやらせていただきます。

 

【記者】  

 西川前知事は今年度から県庁舎の移転の話も具体的にされるとおっしゃっていましたが、杉本知事はどのようにお考えですか。

 

【知事】  

 私は県庁の移転から物事が始まるのはおかしいと思っていまして、福井市というか福井市の中心部、もしくは福井県の中心というのかもしれませんが、いろんな交通機関も含めて、人がここに集まってきますので、まちづくりの観点として、福井城というもののあり方、もしくは福井城周辺の地域のあり方ということを、まず、第一に考えることを多分県民の皆さんもおっしゃっていたのだろうと思います。そういう考えをどういうふうに福井市と一緒にまとめていくのか、その中で県庁をどうしていくのかということについては、おのずと結論が出てくると思います。私も個人的には、県庁は移転する方向だろうと思います。ただ、現実の問題として、この建物は昭和56年に建てられ、37年という期間を経過しているところで、耐用年数などもありますので、使えるものをどう使うかということもあると思います。これは大きな構造として、どういうふうに社会を変えていくのかという議論であり、あまり結論から、つまり、いつ県庁を移転するかということから入る話ではないように思います。もちろん、それは後ろ向きではなく、そういう経過で物事は進んでいき、結果的に移転という方向ではないかなと思っているということです。

 

【記者】  

 知事のお住まいの話ですが、今後公舎に引っ越しをされるご予定というのはございますか。

 

【知事】  

 私はとりあえず、今ある若杉の知事公舎には入るのをやめておこうと思っています。考え方として、選挙戦の中でも、私は福井に地盤がないというようなことを言われる方もいらっしゃいましたし、ある意味、県人として認知していただくという意味もあるとすれば、やはり自分で福井に家やマンションなど、基盤を持って生活をすることが大切だということは1つあります。副知事公舎に住んでいても思いましたが、住む場所さえ考えれば危機管理上も特段問題なさそうな気がします。また、知事公舎は木造の家屋で、私が入るためには相当修理をしないと入れないらしいので、今すぐお金をかけてきれいにしていただく必要はないですよ、と申し上げています。個人的にもう1つあるのは、私、家族として、「もか」というトイプードルを飼っています。大切な家族なので、一緒に住みたいなというところもあります。それは付随的なことですけど。

 

【記者】  

 そうなると、公舎の建物というのはどうなるのでしょうか。

 

【知事】  

 そもそも全国で知事公舎を持っているところも半分強、30県ぐらいだと思いますが、そういうことが実態としてありますし、私は、全ての事務事業を県民の皆さんの目線で一旦全部見直すと申し上げていますので、知事の公舎のあり方もご議論いただければいいのではないかなと思っています。

 

【記者】  

 徹底現場主義を具現化する施策について、先ほど、広報広聴機能の強化とおっしゃいましたが、例えば知事が現場に出向いてという姿が見えることで、県職員の意識なども変わるのではないかなと思います。徹底現場主義を率先垂範する意味で何か考えている施策があったら教えてください。

 

【知事】 

 施策という意味では、どんな施策があるのか、それなりに考えなくはないですが、私はこれから徹底現場主義をしているかどうかを、「徹底現場主義しているか」と聞くのではなく、まず、できるだけ自分の目で見ようと思います。自分でできる範囲ではやっていこうと思いますが、職員の皆さんには、少なくとも議論する時に、施策を持って上がってきますので、その際に「あなたが見たか」ということは、常に確認をしていこうと思います。もちろん、部長も含めて、まず自分で見ることを第一に、できるだけやった上で、できない上でも、一次情報しか私は信じないようにしようと思っています。ですから、現場を見てきた職員の話は聞きます。見てきたという職員の話を聞いてきた人の話を聞いてもだめかなと思っていますので、「あなたは見たか」と聞いて、その上で議論をしていこうと思っています。例えば、予算をやる時には、部長がいて、課長がいて、担当がいて、一緒に議論をするわけです。そのときに、本当は部長に見ていてほしいです。特に大きな事業であれば絶対に見ていてもらわないと困りますが、そういう予算議論をする時に、部長が見ていなければ、見てきた、自分が何でそう考えたかということについて担当者でもいいので、その人の話を聞こうと思っております。そうすることで、多分徹底されていくのだろうと思います。

 

【記者】  

 恐竜博物館のことでお聞きします。現在、第2恐竜博物館構想という話もありますが、県議会ではこれまで構想の進め方などで、議論が空転するような場面が目立ちました。杉本知事としては、前に進めていくお考えというのはどのように思っておられますか。

 

【知事】  

 選挙戦で私は、第2恐竜博物館というのは要らないと申し上げました。このように言うと誤解を招きますが、第2というから物事がこじれるのであって、今の恐竜博物館は恐竜博物館として、さらに充実をさせていく。これが観光のキラーコンテンツであることは明らかなので、今の場所をいかにして活用して拡充していくか、これが大事だと思っています。また、地元ともお話を始めていますが、建物を大きくするということではないと思います。いかにして地域の活性化に結びつけるかが重要ですので、アクセスの道路、駐車場の配置、それから、それを受け皿にしてお金を落としてもらう仕掛け、こういったものをセットでやらないといけないと思います。今、年間の来館者数が93万8,000人、開館以来の通算入館者数が1,000万人を超えましたが、単に人が来ているだけで、石川県の加賀温泉などに宿泊しているというのが県民の皆さんのご意見です。大切なことはパッケージでトータルで考えるということです。結果にコミットしないといけないので、何を目標に私たちはやっているのか。これは人を集めるためではないので、集まってもらった人にお金を使ってもらうと言ったらおかしいですが、直接的にはそういうことです。それを県内に落としていただくための仕掛けとして、恐竜博物館が1つの核になっているだけですから、そういうことを県と市、それから経済界も一緒になってやりましょうと、先日も市長さんをはじめ、議論をさせていただきました。私は、そういう意味では、県の仕事の一つとして、恐竜博物館を大きくしていく、こういうことはやっていこうと思います。ただ、その時にはやはり、これまでの成果がどうだったか、何が欠けているのか。多分、お金の落ち方、お客さんの留まり方が少ないのだと思います。そういったことも検証した上で、急いでやらないと、今度は新幹線がありますので、これに間に合わせる方法も考えていく、そういうふうに思っています。

 

【記者】  

 3月末、まさに選挙期間中でしたが、ふるさと納税制度で返礼品を寄附額の3割以下にして、地場産品に限りますよということが盛り込まれた地方税法の改正が行われました。6月から新制度が始まりますが、そのルールを遵守する自治体だけが制度の対象になるということです。このことについて、ふるさと納税の提唱県として、杉本知事の受けとめというのを教えていただけますか。

 

【知事】  

 ふるさと納税について、福井県は返礼品偏重にならないようなふるさと納税を続けていると思います。私も当時からそういうことを言っていましたが、学校、母校に寄附をするということも推奨したり、そういう工夫の中でふるさと納税というのは発展していくのが一番良いと基本的には思っております。ですから、今回の法律改正で福井県が影響を受けるということは全くないと思います。ふるさと納税を考えていた時に、私はきっとこういう時代が来ると思ったので、これは止めないといけなかったのですが、方法論的にどうしても寄附税制をとるしかなかった。だから、こういうことになってしまった。当時、課税権の分割という議論を少ししましたが、課税権の分割という議論がなかなかクリアできなかった。当時でも、40年以上もふるさと納税というアイデアはあるのだけど、それが実際の制度としてクリアできなかった。それをクリアさせるためにも、所得控除方式を税額控除方式に切りかえることで同じことができるのではないかというのが最初の提案のやむを得ない部分であり、それが副作用になってしまった。そういう意味では、ある程度の制約というのを課していくという国の考え方、しかも今回程度の手かせというか、そういう制度、縛りであればやむを得ないだろうと私は思います。私は基本的には、ふるさと納税の健全な発展を心から願う1人だということでございます。

 

【記者】  

 そのふるさと納税をめぐって、3月分の特別交付税の交付において、ふるさと納税をたくさん集めた全国4市町に災害関連経費を除いて特別交付税を交付しませんという決定がなされました。そのことについて、杉本知事のお考えをお聞かせください。

 

【知事】  

 これは、ふるさと納税の問題というよりは、財政調整の問題だと思います。何事もそうですが、不交付団体の超過の度合いに応じて、例えば、特別交付税の中で災害経費だけは本当に突然要るようになったお金であり、人命にもかかわるもので、そこのところは基本的には削除しないのだと思います。それ以外のところをカットするというのは、例えば東京都みたいなところがあるわけで、それは財源超過をどう考えるか。地方全体の財政について、お金が足りない中で、あるところに偏っているのを調整していく1つの考え方として、ふるさと納税を寄附と見るのか、そうではなくて、やっぱり1つの財源だと、納税に一歩近づいたのかなということです。そういう中で、国の判断として、全国の不交付団体の平均を超える財政収入があるような、ふるさと納税を持っている団体についてカットするということですから、それは財源調整の問題であるし、健全な地方財政全体で見たときにはそういうことだろうと思いますし、ふるさと納税が納税として認知されたという方向性が1つの証左であるし、大きな問題はないのではないかと私は思っております。

 

【記者】  

 先ほど、ふるさと納税制度の健全な発展を願う1人だと言っておられました。杉本知事が福井県を出られた後の平成28年9月補正で自治体連合をつくるという予算づけがされました。今、その自治体連合は種々の活動をしていますが、その共同代表のお一人が福井県知事になっています。ふるさと納税の健全な発展を目指す自治体連合に対しての杉本知事としてのかかわり方、そのまま引き継ぐのかどうかというところをお聞かせください。

 

【知事】  

 私も東京に戻った後も新聞などを見ていましたので、そういう組織ができて、西川前知事がその共同代表をされていたということも知っています。私は、基本的には大切なことなので属させていただいて、主体的に活動を続けさせていただきたいと思いますが、具体的に中身がよく分かりませんので、そこはよく考えながらやらせていただきます。

 

―― 了 ――

 

 

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