知事記者会見の概要(令和元年8月9日(金))

最終更新日 2019年9月9日ページID 041936

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令和元年8月9日(金曜日)
10:30~11:15
県庁 特別会議室

知事190809

  

 

【知事】  

 それでは、私から2件、説明をさせていただきます。

 まず1点目は、令和元年度8月専決予算についてでございます。

資料:令和元年度8月専決予算

 中身につきましては、豚舎での豚コレラの発生を受けまして、その対策の支援ということでございます。

 1つ目は、豚コレラが発生した農家の殺処分豚の補償や、搬出制限を受けている農家に対して出荷遅れによる売上減少等への補償を行います。

 2つ目は、養豚農家の方がいろんな補償金等を受けるまでのつなぎ資金や、経営再開、経営継続・維持に向けた資金への利子補給や保証料の補給を行います。

 3つ目は、豚コレラ拡散防止について、野生イノシシの捕獲強化を行います。

 資料の2ページをお開きください。

 まず、被害農家支援として、殺処分した豚、残った飼料への補償、さらに、搬出制限農家に対して、28日間は豚が動かせませんので、大きくなり過ぎて市場価値が下がってしまった時にその価格差を補填するという制度があります。こういったものや、28日間、餌を食べていた間の餌代を補償するということ。また、これは他の県で行っておりませんが、被害農家に対して一時金として、ふるさと納税を財源に、発生農家に20万円、搬出制限農家に10万円の支援金を給付するというものでございます。

 制度融資につきましては、国の補償金交付までのつなぎ資金への利子補給等を県として行うものです。国の補償金の交付までは、発生から申請して約3か月かかると言われておりますので、その期間、つなぎ資金を融資するという制度を創設し、その上で利子補給等を行います。さらに、経営再開または経営を継続する農家に対して、必要資金を一時的に貸し付ける国の制度がありますが、これについても県として利子補給を行います。

 拡散防止策につきましては、野生イノシシの捕獲単価を、現在、県で7,000円出していますが、倍の1万4,000円にします。他に、市町でさらに7,000円追加するところもあります。そういったことを行い、拡散防止対策を強化していくということでございます。

 さらに、資料の3ページですが、既に今回の豚コレラ対策につきましては事前の段階から対策を行っております。例えば感染防止対策として、ワイヤーメッシュの網を、県で各農家の周辺に設置させていただいたり、捕獲されたイノシシが豚コレラに感染していないかということを猟友会などに協力依頼して検査する経費や、殺処分の対応経費。また、風評被害対策として、昨日も広告を出しています。こういったことについては専決予算の前に予備費などを活用し対応しています。

 専決予算の規模としては、全体で3,400万円となり、本日、専決処分を行います。

 

 2点目が、世界原子力大学主催の夏季研修の誘致についてでございます。

資料:第16回世界原子力大学主催 夏季研修の誘致について

 この原子力大学は、IAEAやOECDの原子力機関などの4機関が一緒になり、原子力の世界各国の若手技術者、研究者のリーダーを育てることを目的に運営されています。この度、世界原子力大学の夏季研修が日本で初めて開催されるということで、福井県に誘致を行ったところです。来年の6月15日から7月20日の5週間にわたって日本で夏季研修が行われます。県内では6月29日から7月1日までの3日間、嶺南の若狭湾エネルギー研究センターを中心に、原子力の最新の状況についての講義やグループディスカッション、原子力施設などの視察をしていただくということを、計画しています。

 原子力大学の夏季研修は、2005年から行われており、今まではイギリスのロンドンやスウェーデンといったところを中心に実施しておりまして、今回、日本に来るということで誘致をしたところでございます。

 私からの発表は以上でございます。

 

~質疑~

 

【記者】  

 豚コレラに関して、予算にはあがっていませんが、被害が先行している岐阜県と愛知県では早期出荷を決めた農家が数軒出てきました。県内の実施について、今のところ、どのように考えているのかお伺いします。

 

【知事】  

 早期出荷というのは、豚コレラを防ぐ一つの対策としても効果的だと思っております。豚を置いたままで豚舎を修理するということはなかなか困難ですので、一旦、豚を早期出荷してしまって空にしたところをきれいにして、穴を塞いだり、侵入防止効果の高い建物に換えるなど、福井県としても農家の方に対して推奨もしていますし、提案もしております。

 しかし、岐阜県や愛知県は先行実施と言っていますが、それぞれ1農家とかいうことで、現実には非常に大きな経費が必要になるといったこともあります。これは農家の状況次第というところもありますので、今回の専決処分の対象は現に必要となる範囲で行っております。農家の皆さんに対しては、これからの早期出荷を推奨しながら、その必要性が出てくれば9月補正予算でも12月補正予算でも必要な時に対応していくということであり、決して県で実施しないということではございません。

 

【記者】 

 今回、愛知県や岐阜県で数軒しか早期出荷を実施しないことになりましたが、やはり実効性が期待できないということで見送った農家がほとんどだと思います。福井県内の農家では、現時点で、いろんな声があるかもしれませんが、今、知事が聞いているのはどのようなものでしょうか。

 

【知事】 

 今は慎重なのだと思います。まさに岐阜県や愛知県のような、福井県よりもずっと大きな養豚県でもなかなか踏み切れない状況だと思います。

 農家の方のお話を伺いますと、基本的にイノシシが周りにいる状況ですので、そういう意味では、他の型の強毒性の豚コレラであれば、その豚舎の中にウイルスを入れないということでかなり防げるのかもしれませんが、今はイノシシがいろんなところを歩き回っているような状況の中で、その効果が発揮できるのかということに対しての不安があるのだろうと思います。それは県内も同様だと認識しております。

 

【記者】  

 豚コレラの対策について、県としての対応はこれで十分だったとお考えなのでしょうか。また、今回、独自でふるさと納税の活用をされますが、その狙いを教えてください。

 

【知事】 

 ふるさと納税の活用については、多くの場合、例えば15年前の福井豪雨の時も、あの時はふるさと納税という制度はありませんでしたが、いろんな形で義援金等も集まってまいります。これは、言ってみればお見舞金的なものですので、気持ちの部分を大切にするということで、ふるさと納税を中心に考えていきたいということでございます。

 それから、豚コレラ対策につきましては、昨年の9月に岐阜県で今回のこういった流行の第1例が出たときから、県としては養豚農家に対して飼養衛生管理基準をしっかり守っていただくようにということで申し上げましたし、メッシュ状の防護柵を県費で農家の周りに整備させていただきました。それから、その間も日頃から農家の皆さんとの間でコミュニケーションをとりながら今の状況等をご説明したり、飼養衛生管理基準をさらに守るようにということを何度も何度も申し上げてきています。できることはやってきたとは思っていますが、やはり県境が広い中で、感染したイノシシが入り込んで、山の近くに豚舎があるところが多いので、結果としてこういうことになったのだと思っております。そういう意味では、万全だったかといえば、そういったところに足らざるところがあったから結果として発生したのだと思っております。しかし、これからも最善は尽くしていきたいと考えているところでございます。

 

【記者】 

 豚コレラについて、先日の国への要望でも地域を限定した対策という話が出たと思いますが、知事として、近隣の県とそういった話し合いをする予定はありますでしょうか。

 

【知事】  

 これは相手のあることですので、あまり前もって私の思いだけを言って、相手の県にご迷惑をおかけしてはいけないと思います。しかし、今回の豚コレラの問題について、私も農林水産大臣に申し上げましたが、野生イノシシが媒介して養豚場の豚に感染しているということはほぼ間違いないような状況だと認識しております。しかもその感染したイノシシが県境を越えてかなり広がっている中で、例えばワクチンの接種などを各県が判断して行うというのは状況的に遅れているのではないか、国が主導的にこういった議論はリードしていただきたいと申し上げましたし、そのように私も思っております。

 そういうことではありますが、県内の養豚農家の要請もありますし、それから必要性もあると認識もしておりますので、私どもとしても、他の県にもお声がけをするということについては前向きにやっていきたいと思っております。

 

【記者】  

 その要望の中で、獣医師の確保についても国に求めていたと思いますが、現状で福井県の獣医師は足りているという認識でしょうか。

 

【知事】  

 県内で今回の豚コレラの対応に当たることができる獣医師は全体で35人いますが、今回の1例で33人が対応しました。そういうことから、1例であれば、とりあえずは対応できる環境にはなっております。一方で、複数同時に発生するような状況になりますと、獣医師が足りない状況になってくるわけでございまして、そういう趣旨で、国に対しても獣医師の広域的な確保といったことをお願いしているところでございます。

 

【記者】  

 石川県では、イノシシの採血の検査に他の所属の職員を動員するという話も報道でありましたが、福井県ではそういうお考えはありますでしょうか。

 

【知事】  

 これから必要性が出てくればそういうことも考えると思います。今回は今申し上げたような体制でやらせていただいたということでございます。

 

【記者】  

 8月30日、31日に美浜原発で原子力総合防災訓練が実施されますが、嶺北の市町の方が初めて参加するものになるかと思います。現時点での訓練の概要と、どのような課題を突き詰める訓練にしたいかをお聞きします。

 

【知事】 

 今回の訓練では、全体では住民避難に1,000名程度の皆さんにご参加いただきたいということでお願いしております。そして、嶺北の越前市、越前町、南越前町の皆さんが、あわら市や坂井市、永平寺町と以前から決められているところに避難するということでご参加いただくということは初めてでございます。

 また、具体的にはこれから詰めていきますが、例えば小浜市や若狭町の住民の方には、これも事前に決められています広域避難先である兵庫県といったところと日頃から交流しておく必要もありますので、今、調整をしておりまして、広域的な避難も行っていこうと思っております。

 また、昨年の反省の中で、1つには、同じ時間帯に原子力事業者が事故制圧の訓練も行っています。今まではちょっと連動してなかったので、そういったことも連動させて今回の対策本部の中に入れ込んで、同時にいろいろなことが起きるような、そういう体制にしていこうということもあります。また、これまでも言われておりましたのが、避難される方が、今現状どうなっているのか分からなかったというお話も伺っておりますので、避難するバスの中などで、誰でも見られるようなポータルサイトに今の状況がどうなっているのかが分かるようにするということとともに、スマホ等を持たれない方もいらっしゃいますので、バスの中で職員がご説明できるような体制をつくっていきたいということも考えているところでございます。

 その他、休憩時間を設けるなど、現実的な対応も少し実施していこうと思っております。

 

【記者】 

 具体的な訓練内容の説明はいつになるのでしょうか。

 

【危機対策・防災課長】 

 盆明けの週には説明をさせていただきたいと思います。

 

【記者】  

 原発関連で、高浜3号機の特定重大事故等対処施設について設置期限が迫っていると思いますが、これまでの工事の進捗状況と、原子炉停止の可能性も踏まえまして、知事としてのご見解を伺えればと思います。

 

【知事】  

 最新の工事の進捗状況は、今すぐ申し上げられる状況にありませんので、また後ほど確認していただければと思います。

 これは以前から申し上げておりますが、特定重大事故等対処施設については、原子力規制委員会が安全サイドに立って、それを5年に限るということで、今、議論を進められていると思います。そういう意味では、原子力事業者においては、当然、そういった規制に従って、安全サイドに立った工事を進めていただくということでございますし、その後の停止するのかどうかといったことは規制委員会の中で決められることで、事業者はそれに従っていただくということだと思っています。

 

【記者】  

 本日、鉄道・運輸機構が発注している新幹線福井駅舎の入札の不調ということが報道されました。福井・敦賀開業への影響などを含めて、知事の受けとめを聞かせていただきたいと思います。

 

【知事】  

 その話は具体的に聞いていませんので、今、どういう影響があるかを申し上げられない状況です。できるだけ影響がないようにはと思います。

 

【記者】  

 新幹線に関する工事の不調や不落というのは、駅舎だけではなく、これまでの高架橋工事でもあったと思います。設定の価格自体が低いから、なかなか応札できない、応札しても、結局、予定価格を上回ってしまうということが、駅舎だけに限らず、ずっと続いています。このことは、見積もり自体が少し甘いのではないかと私は思いますが、知事はどのように受け止めているのでしょうか。また、南越駅(仮称)は落札されましたが、敦賀駅も芦原温泉駅もこれから入札を控えている中で、鉄道・運輸機構にどのように対処してほしいかというお考えを聞かせてください。

 

【知事】  

 そこのところは、よく日頃から事業者の皆さんも含めて伺っているところでございます。

 鉄道・運輸機構に対しては、我々は、まずは工期を守っていただくということをしっかりと常にお願いも申し上げていて、今のところ期限が守れないというようなお話は伺っていないところでございます。

 そういう中で、ここまでは、本当に日々というぐらいの勢いで人件費や資材費などいろんなものの価格が上がってきているような状況でしたので、新幹線に限らず、不落ということも起きてきていたわけです。オリンピックのいろんな事業等もかなり落ちついてきているという中で、これからはできるだけ順調に、そういった不調・不落というようなことが起きないことを期待もしていますし、また、現実的な対応をしていただくように、これは引き続き、鉄道・運輸機構にもお願いしていこうと思っております。

 

【記者】 

 足羽川ダムについてお聞きします。先日、近畿地方整備局が人件費の増や消費増税などを理由に、当初計画から340億円増の事業費見直しを発表しましたが、知事の受けとめをお願いします。

 

【知事】  

 これは、事業費960億円が1,300億円になるというようなことでございますので、県の財政にも非常に大きな影響を与えると考えております。

 事前に私どもに対しても意見照会がございましたので、慎重に内容等についても精査を行いました。内容的には、多くの部分が、人件費の今の高騰や当初予定していなかった消費税率の引き上げの部分が加わってくるというようなことがあります。それとともに、軟弱地盤ということで付替道路の対策なども発生しておりましたので、一つ一つ原因を見る限りは、やむを得ないところかなということが1つあります。もう1つは、やはりこの足羽川ダムは、ちょうど15年前、私も総務部長で赴任した直後でした。福井豪雨のような大きな災害を繰り返してはいけないということで、最新の知見に基づいて、安全性を担保するためにつくっているということの必要性は変わりません。

 一方で、これから工夫の余地もあるとも思っています。例えば土を流用する場所を、県も協力して、探すようにすると経費を大分浮かすこともできると思いますし、付替用の道路の線形をどうするかなどについても、具体的に私どもで案も提示しながらやらせていただくことで、今回、1,300億円に膨らんだ中でも、経費が少しでも浮いていくような形にできないか、これから検討していきたいと思っております。

 

【記者】  

 ダム以外にもこういった国の直轄事業はあると思いますが、県関係で、このように人件費の増や消費増税などを理由に事業費が膨らむと聞いている事案は他にありますでしょうか。

 

【知事】 

 国道417号冠山峠道路についても3割程度増えると伺っております。230億円程度が300億円程度に事業費が膨らむということで、よく似た状況かとも思います。これも土捨て場が近くの思った場所で確保できなかったというようなこともありますので、ここも協力をしながら少しでも経費を削減できるような体制にしていきたいと思います。

 過去の例で言えば、その逆もありまして、平成16年に起きた水害の時の足羽川の堤防を修理するような激甚災害対策特別緊急事業は当初の予定よりも4割以上安くなっています。そういったこともありますので、多い少ないということは、特に今回は人件費や資材費の高騰が大きいので、ある部分はやむを得ないと思っております。その上で、必要なものは安全度を維持しながら、安くできるところは安くしていくという努力はしていきたいと思っているところでございます。

 

【記者】  

 豚コレラについて、県では国に豚へのワクチン接種などを求められていて、それを国が行うかどうかによって方針が変わってくると思います。一方で県ができることとすれば、他の養豚施設に広がらないようにすることが大事であり、小動物の侵入防止策として柵などの設置は、ある程度、行っていると思います。その中で、感染防止のためや早期終息のためにどのようなことにこれから力を入れていこうと思っているのでしょうか。

 

【知事】  

 1つは、豚コレラワクチンを豚に接種できないかといったことを進めていくのだと思います。その上で、やはり野生イノシシが媒介している、また、イノシシを含めた鳥獣害が増えておりますので、こういった豚舎の外の空間におけるイノシシの、疎密の密なものを疎にしていくということは非常に重要なことだと思っています。そういう意味では、今回の予算でも対応していますが、外に広がっているイノシシを少しでも減らせるような対策もしていきたいと思いますし、また、経口ワクチンの散布も、今は試験的に行っていますが、国に早く計画を認定するように申し上げています。本格的に経口ワクチンの散布ができるような状況を早くつくっていただいて、私どもでそれを広げていくということをやらせていただこうと思っております。

 

【記者】  

 イノシシの有害鳥獣駆除について、捕獲単価を7,000円から1万4,000円にされていますが、具体的にイノシシを何頭に減らしたいのか、また、そのためには猟友会に協力を要請することになるかと思いますが、もう少し詳しく教えていただけますか。

 

【知事】  

 今回の予算は、10月までの捕獲頭数を2,600頭から3,000頭に増やす予算にしております。その後、猟期に入ってきますので、今度は猟期に入った後の対応をどうするかはこれからまたよくご相談していこうと思っております。いずれにしても、2,600頭を3,000頭と言っていますが、これは捕獲単価との見合いで、皆さんがどれだけ真剣になるかということもあるかもしれませんので、そういう意味では、さらにたくさん獲っていただけるのであれば、それに対してはちゃんと措置はしていくというつもりでおります。

 

【記者】  

 6月の県議会で恐竜列車というお話を知事のアイデアで言われたと思います。恐竜列車という部分で、奥越では、えちぜん鉄道の勝山駅が恐竜博物館とかなり離れていて、えちぜん鉄道で行ったとしても、一旦、バスに乗りかえて恐竜博物館に行くということになるので、地域の人たちのアイデアとして、えちぜん鉄道を延伸して恐竜博物館まで行けるようにするぐらいになればもっと便利になるのではないか、交通渋滞緩和にもなるのではないかという声を、以前から幾つか聞いています。知事としては、えちぜん鉄道勝山永平寺線の恐竜博物館までの延伸について、どのようなお考えを持っていますか。

 

【知事】  

 以前からそういったお話はあったかと思います。おっしゃられるとおりで、まさに恐竜博物館の近くまでえちぜん鉄道が乗り入れていけば利便性も上がりますし、注目度も上がりますので、そういうことができたらいいというお話はあると思います。

 一方で、物理的に現状の橋の強度ではとてももたない、そんな状況になっておりまして、新しい橋をかけるとなると、ものすごい経費をかけていくことになると思います。そういうことの費用対効果という部分が1つあって、今のところ実現できていませんし、具体的に検討している状況にはないということではあります。

 ただ、一方で、私が6月議会でも思いながら申し上げていたのは、恐竜列車そのものに魅力があれば、または恐竜列車を降りて博物館まで行く間のバスに魅力があれば、それに乗りたいという思いが出てくるわけで、それをそういう形にすることで、恐竜博物館だけにものが集まらないで、人が分散して、もしくは魅力的なものが広がっていけば、恐竜博物館の効果が広げられるだろうという趣旨でも申し上げています。そういう意味では、離れているから即、行けないわけではなく、離れている間をどれほど魅力的にできるか、ここに課題もあるのではないかなと私は思っておりまして、それを何とか解決、いい方向に向けることができればと思っております。

 

【記者】  

 豚コレラについて、今回、農家に対する緊急支援ということで専決処分されましたが、今後の農家に対する支援なども含めて、知事の思いや考えを改めてお聞かせください。

 

【知事】  

 私は直後に発生農家の方ともお会いしましたし、また、農家の代表の方ともお話をさせていただきました。養豚をされていらっしゃる方、発生農家の方は、ぜひ再開したいという思いを強く持たれておられましたし、また、その思いのもとが豚をつくるということではなく、「自分が食べておいしい豚だったから自分はそれを育てようと思ったんです」という話をされていました。そういう意味では、非常に高い志を持って養豚業をされていらっしゃると思っています。それが、ある意味、外的な状況でこういう環境になっているということでございますので、できるだけそうしたやる気のある農家の皆さん、それから、やろうと思われている方、さらには、一生懸命それを防いでいるのに結果としてうまくいかない、もしくは近隣にそういうものが発生したから出荷できなくなっている、こういった状況については行政でしっかりと対応ができるように、県としてもですが、国や他の県にも協力も求めたり、それから市や町、今、越前市にも協力していただいていますが、そういったこともしながら、行政として、できるだけ農家の皆さんが仕事ができるように、志が続けられるように、そういったことに協力や支援をしていきたいと思っております。

 

【記者】  

 7月4日に公示のあった参院選の前に安倍総理が、10月に予定されている消費税を10%に引上げ後10年間は消費税を上げる必要はないというご発言をされました。消費税を上げると地方にとっても重要な財源になりますので大事だと思いますが、この総理の発言に対する受けとめと、消費税というものが地方にとってどのような位置づけなのかというお考えをお聞かせください。

 

【知事】  

 今、消費税が8%の段階で1.7%、10%に上がると2.2%が地方消費税になるということで、これは地方にとって非常に重要な財源だと思っています。今回、引き上げられる分でも高齢者福祉、高校や未就学の低年齢児に対する保育・教育の無償化といったものに対する手当てがされるわけでございまして、そういう意味では、今の日本が、もしくは地方が抱えている人口減少対策を含めて、大きな課題に対処するために必要な税金だと、とても大事な税金だと考えているところでございます。

 そういった中で、安倍総理の発言はよく存じ上げていますが、個人的な見解とおっしゃられているとも聞いております。大切な税金であるということですけれども、やはりまず、8%から10%へ確実に引上げを行って、社会福祉の向上等を図った上で、その後のことは後のことだと思います。私が直接、総理のご発言にコメントするのは控えたいと思います。

 

【記者】  

 7月末に全国知事会議がございました。その場で、東京都の小池知事から、東京一極集中の是正に向けた地方創生には疑問を感じる、東京への集中集積が地方活性化を阻害する主たる要因のように決めつけられていることは理解できないというようなことを会議の中でもご発言されています。

 今年1月に発表された人口移動報告では、福井県の転出超過数が4年ぶりに増加に転じており、福井県としても、東京一極集中が原因だというような分析もされていると思います。こうした東京都知事のご発言についての受けとめと、地方創生における東京一極集中是正の重要性についてのお考えをお願いします。

 

【知事】  

 知事会でいろいろ議論がありました。最終的には、東京一極集中の是正のためというところは別の言葉に言いかえたように記憶しています。

 東京一極集中と言う時に東京が悪いという発想は、それは違うように私自身は思います。それは東京に一極集中しているということであって、東京都が悪くて集中しているという意味とは違うと思います。しかし、私はこの問題というのは、事実として東京に一極集中しているのは統計的に明らかであるということをしっかりと踏まえた対応は要ると思っています。

 その一番大切なことは、国土政策そのものだと思います。ですから、各々の地方公共団体が頑張って一極集中を是正してくださいというのは全く違っていると私も思っておりまして、例えば、高校3年生、18歳人口で東京都の占める割合は8.8%になります。それに対して、大学の実際の入学者は24%が東京です。このように、8.8%の子どもたちのために、24%分の人が集まっているということを国はどう考えるのか。ここは、やはり魅力的な、少なくとも18歳時点において魅力的な場所が、現実に今、東京というところにはあるわけですから、そこのところは国として、大学の定員を含めて、その分散をどうするのかを考えないと、各地方公共団体がいくら頑張っても、おのずと限界があるとは思っております。福井県としても、そういうことをこれからも国に対しても強く申し上げていきます。

 もう1つあるのは、やはり我々のPR不足、我々が子どもたちにしっかりとアクセスできていないという状況があります。昨日も、4つの県外大学と就職支援の協定を結ばせていただきましたが、大学生の皆さんも、実は物理的な問題で大学の周辺の企業を回らざるを得ないというところはどうしてもあるわけでして、10社受けようと思えば、そんな遠くを10社回るわけにいきません。しかし、我々が大学生のところに安心して福井に戻れる企業がありますよという情報を届けるような、そういう工夫をしていく。また、既卒で既に働かれている方にもどうやってそういうことを届けるのか、こういった努力をしていくこともやはり必要なわけでございまして、そういう意味では、県内で子育てがしやすい環境をこれからもつくっていく、それから、学生さんたちにも、直接、情報をいかに届けるか、その上で、さらに、国は国としてやるべき国土政策、こういったことをきちっとやっていただくことで、今の東京一極集中という現象をできるだけ小さくしていく必要があると思います。

 私は、危機管理をやっていた経験からいっても、今、結果として東京に一極集中する状況というのは非常に危ないと思っています。住みづらい、住みにくい、通勤時間が長くかかる、こういったこともあると思いますが、今の過密の東京にもしも何かあった時には、非常に大きな社会問題、日本全体の問題になっていきますので、これは国のあり方として、いわゆるただの人口を分散するという意味ではなくて、国としての機能をどう維持するのか、そういった趣旨からも、国はこの国土政策ということをしっかり考えていかないといけないと私は思っております。

 

【記者】  

 今日は8月9日でして、美浜3号機で死傷事故が起きてからちょうど15年が経ちます。その事故後、安全性の向上を事業者も含めて行っていますが、改めて、知事の原子力に対する安全に関する考えを教えていただけますでしょうか。

 

【知事】  

 8月9日は福井豪雨の直後でしたが、ちょうど私はその年の7月2日に総務部長として赴任をしました。7月18日に福井豪雨があって、8月9日の夕方は庁議室で知事や副知事と福井豪雨の対策をしていたと思います。美浜の原子力発電所で白い煙が上がっているという第一報が庁議室にあったのが夕方だと思いますが、それからものすごくばたばたして、11名の方が死傷されるという大変な惨事になったわけです。そこから美浜発電所の事故というものが始まったなという気がしております。

 その後、私どもも関西電力に対して、原因の究明も含めて厳しく申し上げました。そういったことが明らかになる中で、減肉という本来、点検すべき場所が点検箇所から漏れていて、しかも1年弱ぐらい前にはそういった状況が分かっていたのに次の定期点検でいいだろうというようなことで野放しにしてあったことがあのようなことになったわけでして、そういったこともその時に強く申し上げた覚えがあります。

 当時、1,500人余りが現場周辺、特にサイトの中に大半の方はいらっしゃいましたが、原子力事業本部も、あの後、美浜町に移されました。それから、地域共生本部も福井市に置かれ、サイトにもすぐに200人ぐらいを増やして、県内の体制が強化されました。今は2,000人強になっていますので500人ぐらい増えていますが、やはり現場でそういった安全管理ができていなければ、あれは二次系の事故でしたけれども、原子力発電全体がとまってしまうわけです。そういう意味では、あの時に強く申し上げ、お互いに確認しながら進めてきています。私も5月に大飯発電所へ行かせていただいて、その後、3年間離れていた間の対策工事等がどう進んでいるかということを見させていただきましたが、県内の原子力発電については日頃からコミュニケーションをとっていまして、やはり美浜の事故の教訓、それから、東日本大震災の福島原発の教訓、こういったことは活かされてはきているかなという感覚は持ちました。

 ただ、いずれにしても、今後とも原子力事業者においては決して気を緩めることなく、安全最優先で進めていただく、これから引き続き、そういう話をしてまいりたいと思っております。

 

【記者】 

 他県の話題になりますが、愛知県のトリエンナーレ「表現の不自由展」が脅迫に屈する形で中止に追い込まれました。憲法21条が保障する表現の自由の観点で、この事態をどういうふうに受けとめておられますか。

 

【知事】  

 そういうことで中止になったというのは不幸なことというか、あってはいけないことだと思っております。

 表現の自由は自由として守られるべきだと思います。ただ、一方で、中止するに至ったいろんな過程はそれぞれに事情があると思いますので、表現の自由は守られるべきだということは思いつつ、具体的に中止に至ったその経過等についてはコメントを差し控えたいと思います。

 

【記者】  

 行政が補助するイベントで慰安婦像などを設置したことについて、大村愛知県知事や河村名古屋市長、大阪府知事や大阪市長など、いろいろ賛否両論湧き起っていますが、表現の自由と行政の補助のあり方についてはいかがお考えですか。

 

【知事】  

 それは、県内でも時々そういうことも起き得ますし、起きていることも過去にございましたので、そういう意味では難しい問題だと本当に思います。

 やはり公共が行う事業というのは、1つには表現の自由ということは守られなければいけない。それは、個人の自己表現の発露としての表現の自由というのは守られていくのだと思いますが、一方で、それを受ける人たちについての思いが全くなくていいのかということは、やはり行政をやっていると難しい局面になりますので、そういう意味では、いろんな思いを持たれながら今回の決定をされたんだと思いますし、ご発言もされているんだろうと思います。

 

【記者】  

 このようなことがあると、活動が萎縮してしまい、表現の自由が後退してしまうのではないかという懸念もありますが。

 

【知事】 

 一つ一つの事象がどういう影響を与えるかということについて、コメントは差し控えますが、基本的に、そうした表現の自由というものが、ねじ曲げられるというか、押しとどめられるというようなことはないようにしていかなければいけないと思います。

 

【記者】  

 並行在来線について、いよいよ準備会社の設立が近づいてきました。知事として、一番の課題は何だと思われますか。

 

【知事】  

 これから社員を採用させていただきます。そういうこともあり、1年前倒しで準備会社を設立させていただくというところでございますので、やはりしっかりとした基盤を整備しなければいけない。それは人的にも、それから施設的にもということで、今、既にJR西日本の来島社長にも何度も、整備をしっかりしていただいた上で引き継いでいただきたいということもお願いしております。それと、運転当初は、やはりJRの協力なしではできませんので、我々で採用した人員をしっかりと育てていただくこともお願いしていますし、私たちもそういうことには気をつけていきたいと思います。

 その上で、この第三セクターについては利便性をさらに上げていく、第三セクターになったから不便になったということにならないように、もっと使っていただけるようにしていく。逆に言うと、県民のための鉄道ということが明らかになるわけですので、沿線も非沿線も含めて、非沿線の方も年に何回かはご利用いただくわけですので、そういう意味では、県内の市や町とよく話し合いながら、役割分担しながら、さらには、例えば新駅をどうするかや、その駅の周辺の利便性をどう上げるか、快速列車を走らせる、ダイヤをもっとつなぎのいいようにするなど、成功事例も参考にしながら、私たちとしても進めさせていただきたいと思っています。

 

【記者】  

 知事公舎についてお聞きします。知事公舎の活用については、今後、県民会議にかけて決める方針だと思います。今月下旬に一般県民向けの見学会を県が開くと聞いていますが、その位置づけはどう考えているのでしょうか。

 

【知事】 

 知事公舎のお話は、私が入らないということにしたから、今、そういう課題になっているということは認識しておりますが、県の行っている多くの事業の1つだと思います。また、ここは公共用の施設というよりは公用の施設ですので、これまであまり県民の皆さんに、直接、関係のある場所ではなかったということはあると思います。そういうこともありましたので、一度、県民の皆さんに見ていただくということはいいことだろうということで、見学会を企画しているということは聞いております。

 それはそれとして、知事公舎の扱いについては、一番いい方法を県民の皆さんにお考えいただくということでよろしいのではないかと思っております。

 

【記者】  

 あそこには副知事公舎と秘書課長公舎もありますが、それも一体的に考えてもらうのでしょうか。

 

【知事】  

 私も副知事公舎に住んでいましたが、あそこだけ切り取ってもあまり意味がないと思います。また、機能的にも秘書課長公舎は知事公舎があったからあそこにあったのだろうと思います。現実に、今、副知事公舎は誰も入ってない状況にはなっておりますので、そういうことからいうと、今、タイミング的には検討しやすい状況にあると思いますし、全体として考えていくのだろうと思っております。

 

【記者】  

 知事は先日、ツイッターで新居に引っ越しましたという奥様との笑顔のツーショットを載せていたと思います。言える範囲で結構ですが、今、どういったところにお住まいなのでしょうか。

 

【知事】  

 今は民間のマンションを購入いたしまして、住んでいます。距離的には今の知事公舎よりは半分ぐらいの距離のところに購入していますので、何かあった時に県庁に来るのにも不便はないと思います。

 

【記者】  

 副知事公舎については、タイミング的に検討しやすいと先ほどおっしゃられたと思います。全体的にという話ですが、つまり副知事公舎は廃止されることも頭の中にあるということでしょうか。

 

【知事】  

 今申し上げたとおり、全体でこれをどう利用するかを考えたらいいということです。副知事公舎を残していくということはなくはないとは思いますが、全体で考えればいいと思います。そういう意味では、副知事公舎が廃止されるということも可能性はあると思います。

 

【記者】 

 昨日、埼玉知事選が告示されました。全国知事会の現会長の上田知事が退任されるということで、杉本知事は会長選の選挙管理者に指名されたと聞いています。

 9月3日に決まるとのことですが、どのように臨まれて、その職責をどのように果たされるのでしょうか。また、新しい知事会議の会長には、どういう人になってほしいのか、どういうことを期待されるかということをお聞かせください。

 

【知事】  

 今おっしゃっていただいたように、私は選挙管理の責任者になるという立場もあります。本当は思うことはなくはないですが、今、申し上げる立場にないなと思います。期待などのそういう自分の思いではなく、全国知事会長の選挙を適正に実施できるように最善を尽くしたいというところでございます。

 

―― 了 ――

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