知事記者会見の概要(平成20年1月4日(金))
【知事】 新年、明けましておめでとうございます。本年もどうかよろしくお願いします。
新年の幕明けに当たりまして、ごあいさつと決意を申し上げたいと思います。
今年は、私にとりましてマニフェストの2期目の県政の2年目となります。昨年は4月の統一選挙があって丸ごと1年のような感じがしなかったのですが、文字どおり今年が実質丸ごと1年ということで、何か初年のような感じがします。それだけ今年は重要な年だなと思います。かなり力を入れないと現状をなかなか変えられないと思いますから、大いに頑張らせていただきまして、今年が文字どおり様々な課題の解決の年になることを期待して、また、そのように努力したいと思っています。
すぐに問題となるのは北陸新幹線の課題だと思いますが、これは予定では3月末までということで時期も差し迫っていますし、まずは政府・与党のワーキンググループが開かれて年度内の方針ができるだけ出るように、大いに我々としても福井県から声を上げていこうと思っています。
財源など様々な課題がありますけれども、先ほど職員にも話しましたが、政府が総合的な見地から、国家の資金、国家といっても様々ですが、予算でもあるでしょうし、民間のJRをはじめ、いろいろなところにそういう財源なり将来の投資という力があるはずです。それをいかに総合的に眺めていただいて必要なところに投入するかというのが重要だと考えますから、何としてもそういう方向で国家のプロジェクトについて方針を出すということが重要かなと思います。
正月は様々な政治番組をラジオとかテレビとかで聞いていましたが、何かそんな感じを抱きました。統合力というか総合力を国として発揮しなければいけない時期ですので、これは外交でもそうですし、国家のプロジェクトでもそうかと思います。
従来の考えの中でお金がないとか、各省庁はこういう考えしかないとか、そんなことを言っているようでは国の重要な政策は実行できないと考えますので、今申し上げたようなお話になるわけです。
それから、中部縦貫自動車道も昨年11月に真に必要な道路としての位置づけが出されたわけです。今、予算財源など様々な課題がありますけれども、これも方針を出していただければと思います。
なお、今年といっても、20年度末になりますが、開通予定の道路としては中部縦貫道の勝山・上志比間が予定されています。それから、国道27号線の美浜東バイパス、8号線の敦賀バイパスなどが開通予定であり、1つずつこうした幹線的な道路についても整備が進むと思います。また、舞鶴若狭自動車道も小浜西・小浜間は23年度、あるいは小浜・敦賀間は26年度の開通に向けて進んでいくと思います。また、今申し上げた中部縦貫道の大野から油坂についてはそういう方針で臨んでいきたいと思います。
なお、今年は福井駅の西口広場の整備なども始まると思いますし、福井城址の御廊下橋の復元が3月末、それから福井豪雨の激特事業の河床掘削、架替え中の木田橋、泉橋も、20年度中には開通の予定ですので、そうした基本的な整備も進めていきたいと思います。
2点目は、「福井県の暮らしをよりよくするためのアンケート」について申し上げます。
マニフェストで、福井県民の暮らしの質の向上を目指すということで、昨年11月に、県民の様々な価値観や期待を踏まえ、満足度とか豊かさの実感を的確に把握してこれをマニフェストに即した政策に移していくため、県民の意識調査を実施しました。
マニフェストは、期限、財源、数値目標を掲げてあるわけですが、こういうものにとどまらず、データとか数値では十分捉えられない生活のレベルの向上をいかに把握するかというのも重要でありまして、そういう意味でアンケートをマニフェストの政策の1つとして実行しようとしたものです。
具体的な中身ですが、最終的には1月末に発表することになりますが、今日はお正月ですので、方向について幾つか申し上げたいと思います。
今回の調査は、県民の意識は今どうだということだけではなく、過去、現在、将来を時系列的に把握するために、数年前と比較して暮らしがどうなったか、そして将来どうなるかを問い、また将来の県民の皆さんの希望とか期待を把握するために、自由意見なども十分に書いてもらう方法でやっています。
アンケートの対象者はかなり人数が多いのですが、5,000人を対象にしており、半分くらいの回答を得ています。これから月末にかけて整理をして、マニフェストの様々な政策をさらに進める場合の参考にしていきたいと思っています。今どうだということではなく、将来どうだということも含めて考えていくことになります。
特に現状では、県内の交通機関についてご意見が多いように思います。要するに、交通機関が利用しにくいということですね。利用しやすくしてほしいという、地域交通の問題がかなり大きなウエートを占めています。
それから、景気の状況についてもかなり現実的に対応が必要ではないかというご意見もいただいています。なお、年末に原油高騰などの対策を講じていますが、引き続き当初予算、あるいは必要があれば弾力的に新年度に入っても対応をしていきたいと思います。
満足度の高い項目としては、「福井に住んでよかった」とか「どちらかといえば住んでよかった」という人の割合が8割を超えているというデータが現状の中では出ているようです。
それから、自然環境、生活環境、治安などについても高い評価があるようで、これから職業別とか年齢別などのクロスチェックをして、1月末に時系列的、あるいは県民の希望と期待の具体的な考え方を整理して明らかにしたいと思います。
なお、現状のものの概要はありますので、後ほど、担当の政策推進課で入手願えればと思います。
3点目は、2点目に関連して、「希望学」といいますか、こういう方面との連携の話です。
暮らしの質の向上を図るためには、希望とか未来への夢というのが大事であり、私のマニフェストで「未来に希望と夢を」と書いたと思いますが、そうした方面の新しい展開がこれから必要かと思っておりまして、現在の各世代、特に若者たちを中心に将来の夢のある社会とか希望というものの勉強をする必要があるだろうということです。
今、東京大学の玄田さんという先生がこういう問題を中心にプロジェクトを進めているようで、今ほどアンケートのお話をしましたが、さらに一歩進んで、福井県の場でいろんなフィールドワーク、聞き取り調査などもやってもらうのがいいかなと思っています。
玄田先生は東大の先生ですので、東京大学などとも連携しながらフィールドワークあるいは勉強会、講演会なども福井の場で行う。非常に県民の満足度の高い福井県ですので、それがどういう意味であるのか、これはどういうふうにして展開されるのか、まだ未知数の分野ですが、具体的な進め方を、手探り的なところがあるわけですが、進めたらどうかなと思っています。
事柄が少しあいまいですのでそういう話になるわけですが、新しい開拓分野であったら、大学などと連携して、学問と現場を中心に連携して事柄を展開していきたいと。これをマニフェストの政策にも役立ててはどうかと思います。
それから、現在、若手職員を中心に「2030年の姿」の改定も行っているところですが、そういうものにも役立てられるのではないかと思います。新しい行政といいますか、課題、考え方の開拓分野に挑戦をすることになるのかなと思います。
4点目は「スーパー・サイエンス・フォーラム イン 福井」の開催についてです。
昨年11月に、教育・文化ふくい創造会議の第1次の提言があり、その中で、理科・数学教育の充実をうたっています。国の教育再生会議でも並行的にそのような議論があるわけで、科学技術の問題が重視されています。
そこで、福井の子供たちが最先端科学技術に触れるきっかけを持ってもらいたいということで、今年の夏になると思いますけれども、平成12年にノーベル化学賞を受賞した白川英樹・筑波大名誉教授にこちらへ来ていただいて、講義、あるいは実験とかをしてはどうかと思います。
世界的な科学者から直接講義を受け、間近に一緒に実験を行うことで、主に高校生が対象ですが、科学精神といいますか、サイエンスマインドを広げていただく大きい原動力になることを期待している1つのプロジェクトです。
5点目は、WRO(ワールド・ロボット・オリンピアード)のエキシビション大会についてです。
ちょうど20年度は、ロボット五輪が日本、横浜で開催されます。
このロボット五輪は世界が注目する、操縦型ではなくて自律型ロボット、自分自身で判断し行動するロボットの世界大会です。決められた時間内でロボットを組み立て、与えられた課題を短期間でいかに正確に解決するかという大会でして、25カ国から参加するようです。昨年度は台湾で開催されましたが、福井からも工業高等専門学校の生徒が参加し、高校生の部門で上位入賞を果たしています。
WROの世界大会が日本で行われるわけですので、そのエキシビションを福井でやらせていただいてはどうかなということです。これは11月ごろを予定しています。
このエキシビションを行うことになると、ロボット工学や組み立てソフトに対する県民の関心もまた広がるのではないかなと思っています。
「ドラえもん」という漫画がありますけれども、1980年代ぐらいの漫画だと思いますが、タイムマシンが今年2008年に発明されるのではないかと描いてあるようですけれども、多くの子供たちが理科を好きになってほしいということで理科教育の充実を図りたいと思います。
【記者】 先ほどのアンケートのお話なんですが、目を通された感想を一言いただければと思います。
【知事】 特に福井県に住むことについて満足という気持ちを持っておられる方がほとんどである、ということについては大変ありがたく思います。さらにそういう気持ちをいつまでも持っていただかなければなりませんし、いろいろな政策によってさらに良くしなければならない。先ほどの希望とか期待に関わるわけですが、そんな気持ちを抱いています。
しかし、一方では、車社会になり、また、だんだん高齢化する社会ですけれども、公共交通機関が利用しにくいという方が6割ぐらいいらっしゃるという意見が出ています。これは地域の生活などでもそうですし、観光などでも意外とそういう話が多いんです。
実際、列車や観光バスなども、わかりにくいとか使いにくいという感じがありますが、これが大きな課題かなという気持ちを抱いています。
それから、経済関係の景気、生活について、景気問題あるいは雇用関係などについて、福井県としてあまりよくないのではないかという意見も出ていますから、これは今、経済社会戦略会議を設ける一方で、当面の景気対策などを進めているという状況だというような感想です。
【記者】 ある程度、来年度予算からアンケートの結果を踏まえるということですか。
【知事】 そうですね。アンケート結果は1月末までにはまとめますので、今、総務部で予算の作業も開始していますが、そこに活かしていかなければならないと思います。
【記者】 北陸新幹線の財源問題で、「JRをはじめ」とおっしゃったわけですけれども、多分、根元受益を想定しているのかなと思ったんですが、どのようにお考えですか。
【知事】 3月までには方針を出すという政治的なペーパーが年末に出ていますから、その枠の中で全力を尽くしてもらうということかと思います。
長期的な財源問題であり、どの補助金が来年度幾らということではないわけで、政治的な決断の事柄になるのではないかと思います。
JRも分割されて、わりあい財源がおありのようにも見えますし、かつ新幹線については、新幹線の鉄路基盤を利用するのに負担をしていたり、あるいは償還をするのですが、大きい数字の計画ですから、そういうものを見直すことによって財源が出てくるのではないかなと。計画上の財源ですからね。具体的には毎年毎年計算しないといけないですけれど。
我々も財源の勉強も、直接ではありませんが、十分しておかなければなりません。小里参与に随分勉強していただいていまして、最近出た著書の中にいろいろな項目が書いてあると思いますけれども、そういうことだと思っています。
【記者】 先ほど知事がお話しされた玄田さんは、若者の労働問題に関して詳しい方ですが、福井に来て、ゼミを開かれるような話なんですか。
【知事】 それもいいかもしれないですね。今いい提案をしていただきました。
福井県は満足度が高いとか、学力が高いとか、子育てがいいとか、健康長寿だとかあるでしょう。そういうものを全体にとらえて、それが今幸せかという幸福学みたいなのが一方でありますが、将来に期待があるか、将来をどう変えられるのかという方面の希望学といいますか、後者のほうの話を開拓しようということです。
【記者】 後者の話を開拓するために……。
【知事】 福井県でやるとよいのではないかと。今は、東北のある町で、環境が厳しいところで調査されているんです。福井県のように、厳しいことは厳しいかもしれないけど、全体にこの地域がいいと思っている、そういう地域で調査することが日本全体のケーススタディーとしてはおもしろいし、役に立つのではないか、これにはどういう意味があるのかとか、次の段階は何なのかとかということなんです。
【記者】 年始ということで、知事個人としてでも構わないんですけれども、今年の目標をお伺いしたいのですが。
【知事】 先ほど申し上げました、福井県にとって大事なプロジェクトをぜひ実現したい、方向性を出したいと思います。これは公のお話です。
【記者】 個人的にはどうですか。
【知事】 できるだけ早寝早起きをして、畑仕事をして健康にも気をつけなければなりません。
また、先ほど職員のあいさつのときに申し上げましたが、有名だけれども普通あまり読まないような本を読ませてもらおうかなと。退屈といったら言い方が悪いですけれども、ちょっと退屈に思われるけど長い本とか。100冊の本というのをさっと眺めましたが、まともに読んでいるのは半分ぐらいしかないということがわかりましたので。そういうのは短いのもありますが、皆長いですね。全8冊だとか、全10冊とか、1年かかるかもしれません。
【記者】 今とりあえず読もうと思われている本は?
【知事】 『ガリヴァー旅行記』を、あと後半を読まないといけない。あと、『モンテ・クリスト伯』(『巌窟王』)というのがどんな話なのか。
『ああ無情』という小説もありますが、あれも何か読んだような、読んでいないような。長いですよね。『カラマーゾフの兄弟』というのも長いですね。
一番長いものでは、昔、学生のころ、『静かなドン』というのを読んだことがありますが、実に退屈で、嫌になるぐらいの小説で。『戦争と平和』は読んだからまあいいかなと思いますが、また今読むと違うかも。
小説の話ばかりしましたが、政治の本も、名前だけ聞いていて読まない本が多いです。
要するに、基本に立ち返らないといけないという感じです。新刊書というか、流行の本も大事かと思いますけれども。
【記者】 福井にとって重要なプロジェクトとは、新幹線、中部縦貫自動車道の他に具体的にいうと?
【知事】 エネルギー研究開発拠点化構想の実現も重要です。これは、原子力の基本にも福井県の産業振興にも関わりますし、非常に重要になっているエネルギーあるいは環境問題に深く関わる重要なプロジェクトだと思います。今年は実質3年目を迎えるというか、4年目に入るのかということですので、全力で取り組まなければならないと思います。
【記者】 2008年、今年の10月に「もんじゅ」の運転再開という、世界的にも注目されるスケジュールが組まれていますが、「もんじゅ」の運転再開に対して県の判断も必要になってくるかと思いますが、現状での見解を教えていただけますか。
【知事】 「もんじゅ」については、今おっしゃられたような計画の中で進められていると思いますけれども、一つひとつ具体的な項目について、プラント確認試験あるいは全体の機能試験などを進めているところですので、絶えずこの取組みを節目節目に県民にわかりやすい形で示すと同時に理解も得る必要があります。
さらに原子力全般、商業炉も含めて、安全や安心の問題、耐震性の問題、あるいは高経年化の問題など、理解を得る努力をやっていただくことが重要ですので、そういう中でおのずと結論なり方向が出てくるのかなと思います。ですから、年が明けて、格別そのことについて何か違う考えを持っているわけではないということです。
【記者】 新幹線の話に戻りますが、総合力を発揮して実現させたいということでしたが、今の原発の話も含め、総合力の具体的な、何かこういう面もあるということがあったら答えていただきのですが。
【知事】 これは国家プロジェクトですので、今回、山崎参院幹事長も幸いワーキンググループに入っていただいて、あの中で積極的かつ強力なご発言もいただけるような状態になっていますし、また、昨年の参院選でも政治の課題としてお約束をいただいていることですから、そういうものを受けながら、全力で我々も要請をし、国自身もそういう判断をしてほしいということですね。
従来の、各省庁がどうだとか、省庁の中のどの局がどうだと、そんなことをやっているようではなかなかできませんから、全体のプロジェクトとして進めてほしいと。
今、世界を眺めても、そんなにのんびりしているような世の中ではありませんし、あらゆる事業を、進めるものは進めるし、そうでないものはそうでないということを仕分けしてやってもらわななければならないわけでして、新幹線は進める事業になっているわけであり、必要な事業でもありますから、方針を出すことが国にとっても重要だと思います。そういうことを訴えるということです。
【記者】 国交省の言い方を聞いていると、玉虫色にはしてあるんですけど、結局、財源は言えないけども見えているみたいな言い方もちょっとあったかなと思いますが、その辺への期待はどうですか。
【知事】 国の予算なり資金をどこにどう投入するかという判断ですね。従来のことをやっているのではなかなかその判断はできませんから。そこに政治的な総合的な判断を加えないと方針は出ないと思います。それを期待しているし、そのつもりでお約束いただいたんだと思いますから。
【記者】 重要項目の1つで中部縦貫自動車道のことを触れられましたけど、財源の話で、道路特定財源の暫定税率の話があると思います。政府・与党は暫定税率を10年延長すると言っていますが、民主党は、暫定税率は廃止して、維持しなくても道路はつくれるという言い方をしています。
今、原油価格が高騰して、ガソリン価格にも影響してくるので、一般の国民からすると、暫定税率がなくなってもいいという意見もあると思います。県としては、維持してくださいという意見だと思いますが、そのあたりのお考えと、あと、県民とか国民の理解も必要なのかなと思いますが。
【知事】 そうですね、おっしゃるとおりだと思いますね。原油の値上がりというのはありますけれども、やはり税率がもとに戻ると、道路特定財源の半分近くがその部分ですから、基本の構造に関わりますよね。ですから、それはしっかり維持しながら、いかに国民なり皆さんの物価対策に取り組むかだと思います。
大もとの道路特定財源についてはあくまでも維持しながら、道路整備を進めるという方針をしっかり政府としても持っていただかないといけないだろうと思います。これから与野党の議論もあるでしょうが、地域のためにも、そこは皆さんが負担して道路をつくる財源ですから、維持しながら進めるということで努力してほしいと思いますし、我々もそういう発言をしなければならないと思います。
【記者】 何か具体的な活動というのは?
【知事】 これから地方団体として、知事会とかでも動く必要があるでしょうし、道路関係の活動もする必要があると思っています。
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