知事記者会見の概要(令和2年3月25日(水))

最終更新日 2020年6月17日ページID 044417

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令和2年3月25日(水曜日)
10:30~11:30
県庁 特別会議室

知事200213

 

 

 

【知事】

 今日の主な内容として、令和2年度の組織改正と人事異動についてご説明させていただきます。

 〔資料:令和2年度 組織改正・人事異動

 まず、今回の組織改正、人事異動のポイントについては、「本県の可能性を未来に大きく拡げる」というところです。年始以来申し上げているとおり、「福井県の未来を拡げる」をテーマとして、今回の組織改正と人事異動を行わせていただきました。

 具体的な内容として、まず女性職員の積極的な登用です。女性の管理職比率については、一昨年が12.2%、今年度が14.7%、来年度は15.9%に上げていこうということでして、今年度まで1名であった女性の部長級を3名に増やしていきます。

 また、数の面では、女性管理職は69名で過去最多ですし、今回の昇任者数については11名と、数では前回に次ぐ非常に高い水準となっています。女性管理職については令和5年度に向けて、管理職比率を20%に上げていきたいという目標を持って私は臨ませていただいています。また、これから管理職である参事級に上がっていく前の課長補佐への女性登用にも力を入れています。

 続きまして、重要ポストに若手や民間経験者を積極的に登用させていただいています。

 原子力や危機対策を担う非常に重要なポストである安全環境部長に55歳の若手を登用しました。また、民間経験採用職員を初めて産業労働部長に登用しました。

 また、福井県は、大学や短大、高専など県内の全ての高等教育機関が1つになって、「ふくいアカデミックアライアンス(FAA)」をつくっています。今後はこういった活動が重要になってくることから、一番若手である51歳の副部長を、大学私学課長兼務で登用しました。

 次に、北陸新幹線の開業準備を加速させるため、観光誘客課、新幹線開業課、観光連盟に14名の増員を行いました。また、宝永庁舎に職員を集めて、北陸新幹線開業に向けた観光誘客を進めていきます。さらに、京都事務所を設置しまして、福井へのUIターンの促進を図っていきます。

 次に、産業基盤の確立です。特に力を入れているのが事業承継、創業の支援ということです。

 小さな起業家を育てるためには、ただ起業してもらうというだけではなく、伴走しながら、一緒に寄り添って小さな企業を生み育てていく体制をつくりたいということで創業・経営課を新設しています。

 創業・経営課の「創業」という部分は、起業を支援するということ、「経営」という部分は小規模事業の経営支援を行うということです。まずは、何とか新しい芽を生む、芽が出てきたらそれを育てるということを一元的に行うために、県内企業にも出資や様々な助言などのお力添えをいただいて、福井型のエコシステムをつくっていきたいと考えています。

 その他にも、例えば炭素繊維を使った航空機の分野や県民衛星などの宇宙分野に力を入れて、こういった新しい技術、新しい芽をさらに伸ばしていきたいと考え、産業技術課内に新技術支援室を新設しました。また、土木部では、建設産業の人材不足に悩んでおりますので、土木管理課内に新たに建設産業・人材支援室を新設しています。

 次に、安全・安心ふくいのくらしの実現についてです。予算の時にも何度も申し上げましたが、SDGs、多文化共生がこれからの福井を永続、発展させる大きなキーワードだと考えていますので、未来戦略課に担当の参事を配置しています。

 また、危機対策については、危機対策監に自衛隊出身者、安全対策を行う安全環境部の副部長に消防庁出身の職員を配置することを今回考えています。

 もちろん災害時の最初動のところを極めて重視することもありますが、消防庁では、国のいろんな計画づくりにも携わってまいりました。また、事前防災といった訓練の経験を私も消防庁時代に一緒にやっておりましたので、そういった訓練の手法についても具体的に取り入れられるように、今回、登用しようと考えているところです。

 さらに、市や町との連携において、県は避難所や実際の住民の皆さんとの接点があまりありませんので、そういう弱いところをどうするか。一方で市町の危機管理部門の職員は、毎年、市町の中で大きな危機が起きるわけではないし、マネージメントというところがなかなかはっきりしない。こういったところを補い合うため、職員の人事交流を行います。

 具体的には、消防職員を市から1名県庁に派遣していただきます。また、防災部門の職員は、得意分野が異なっていますので、県と町の間で1名の交流を行うことを始めさせていただきます。また、次年度にも同じ形でやりたいと考えています。

 次に、児童虐待への対応です。児童虐待の例が絶えませんので、福祉・心理職を4名増員します。今後も引き続き増やしていきたいと考えていますし、警察官2名を配置しています。

 次に、福井の未来をつくる人材の育成です。これまで教育庁の中では、教員人事について、一番トップのポストは副部長級でしたが、教育を実際に現場としてつかさどっていく経験を持っていらっしゃる先生のトップとして、部長級の学校教育監を配置しました。トップがしっかりと教育全体を見渡すことができるような体制とし、教育長を支えていただきたいと考えています。また、新しく教育振興基本計画を策定しますので、ふるさと教育や、楽しむ教育、引き出す教育といったことを進めていきたいと考えています。

 次に、チームふくいの行政運営です。よく市町から土木の職員が足りない、採用募集をしても入ってくれないと言われていました。ドクタープールの考え方と似ていますが、県で採用して、その職員を市町に派遣していきたいと申し上げてきました。

 これまでは、どちらかというと管理職の職員を市町に派遣していましたが、今回は、最前線で仕事をする技術職員を4名新たに派遣をして、市町の支援を強化していきます。

 また、災害が起きた時、昨年、福井県は長野県に多くの職員を派遣しました。今日、被災地へ職員を派遣できるような体制を敷かせていただきまして、今後、全国で大きな地震などの災害が起きた際には、福井県から4名の職員を派遣できるような体制も整えています。

 続きまして、人事異動のポイントについてです。

 異動の規模については、過去3番目に低い31.9%となっています。これは、昨年6月に組織を改編して大きな人事異動を行いましたので、今回の異動規模を小さくしています。

 若手職員のチャレンジ応援については、新幹線開業対策、防災、児童福祉など、県の主要なプロジェクトに対して挑戦意欲を持っている職員、特に若手を中心に募集を行ったところです。配属先としては、新幹線開業課、観光誘客課、危機対策・防災課、子ども家庭課、企業誘致課になります。

 また、若手職員については、住民の皆さんと直接触れ合っていただく機会を増やすため、全ての新規採用職員の半数を出先機関に配置します。

 また、私の経験からも福祉や教育といったある程度の幅の中で異動することは非常に視野を広げていくことになりますので、部局内異動も進めていきます。

 

~質疑~

 

【記者】 

 人事異動、組織改正について、観光誘客課と新幹線開業課を観光連盟とともに宝永庁舎に移すとあります。このことにより、本庁から担当課が出ることに対しての意思疎通の点で課題などもあると思います。今回の狙いと期待することをお聞かせください。

 

【知事】  

 これは、県と実働部隊である観光連盟が一体となって事業も行っていこうということが今の大きな狙いです。そういった部門を一元化して配置できる場所を県庁内につくることができればよかったのですが、場所がない中で、宝永庁舎を活用していくという1つのアイデアです。

 また、交流文化部長が以前宝永庁舎にあった国体推進局の副部長をやっていまして、県庁から離れても全く問題なくスムーズにできますと強い自信や意欲もありましたので、そうさせていただきました。

 

【記者】  

 副部長級の新幹線・まちづくり対策幹と、土木部には部長級の理事を配置されますが、狙いをお聞かせください。

 

【知事】 

 これまでも、土木全体を見渡す技術系の副部長がいましたが、今回はそれが部長級になったと考えていただければいいと思います。人材の関係でその方を部長級にしたということです。

 また、新幹線・まちづくり対策幹は「新幹線」や「まちづくり」と冠されていますが、新幹線の開通とそれに伴い県内に設置される4つの駅舎を中心としたまちづくりを担うということです。道路整備や再開発事業の推進は土木部で行いますが、地域戦略部に新幹線・まちづくり対策幹を配置することにより、新幹線開業に向けたまちづくりにさらに力を入れていこうという意欲のあらわれだと考えていただければと思っています。

 

【記者】  

 新北陸トンネルの完成の遅れの話もありますが、そういったことを踏まえたものでしょうか。

 

【知事】  

 これからもいろんなことが起きると思います。そういったことをトータルで解決するという意味では、新幹線・まちづくり対策幹が力を発揮することは大きいと思いますが、工事が遅れているからということではありません。

 

【記者】

 「若手職員のチャレンジを応援」に関して、応募してきた職員を配置されたとのことですが、これは配置先である5課に何人配置されたのでしょうか。

 

【知事】  

 1人ずつです。これからもこういうことは広げていきたいと思います。

 

【記者】 

 冒頭に「福井の未来を拡げる」、拡大の「拡」を使って拡げる狙いだとおっしゃっていましたが、どういった人事が実現できたとお考えでしょうか。

 

【知事】  

 福井県の未来を拡げる人事ができたと思っています。

 

【記者】  

 産業労働部長は民間登用では初ということですが、どこからの民間登用だったのでしょうか。

 

【知事】  

 銀行出身になります。

 

【記者】 

 民間経歴のどういった点を評価して部長にされたのでしょうか。

 

【知事】 

 私が総務部長になった頃、彼は財政課の査定官でしたが、話をしていても、非常にスムーズに会話が成り立ちましたし、考え方も非常に合理的、効率的、お金を使うという意義を十分理解しているなというのは当時感じました。
 知事としてご一緒していても、民間の経験で効率的、合理的に物事を判断して進めていくこと、大切なことに力を入れて進めていく意欲は衰えることなく、民間経験を活かしてキャリアを伸ばしてこられたと思い、今回、お願いしたというところです。

 

【記者】

 これまでブランド課が中心となって担ってきた恐竜について、わざわざ恐竜戦略室を設置して恐竜博物館、福井の恐竜のPRを特化する狙いをお聞かせください。

 

【知事】 

 恐竜は、これからさらに伸ばしていかないといけない、拡げていかなといけないと思っています。今、観光客の流れは、恐竜博物館にとどまっていると考えています。その恐竜博物館も1.4、1.5倍に大きくしていくわけです。いつも私が課題で挙げていることは、恐竜博物館の入館者が、現在の90万人から140万人に増えたとしても、そこにとどまっていたのでは地域経済や福井県の発展の大きな支えになりにくい。東京や大阪、名古屋の方々のお話を聞くと、福井といえば眼鏡や恐竜という発想が出てきます。やはり福井に来てみたら恐竜だったということを分かっていただくためには、面的にも拡げていく必要があると思います。そのための恐竜列車や恐竜バス、恐竜ホテル、さらに県内のいろんな商店街の方々が恐竜グッズを販売するといった工夫が要ると思いますので、広い観点で物事を進めていけるような体制をこれからも組んでいきたいと考えています。

 

【記者】 

 化石が新たに他のところから出るわけではないのでしょうか。

 

【知事】 

 いろいろ出ています。福井の恐竜博物館が立派だと思うのは、他の大体の恐竜博物館は自分のことに特化しているのですが、福井県は、中国などいろんなところに行きます。国内で見つかっている恐竜の化石は、恐竜博物館や恐竜学研究所がそこに協力することで相当早く、または見つかっていなかったものが何十年ぶりにそうだったと分かるという効果も大きい。発信源になっていると思います。

 

【記者】 

 県内では、勝山市以外ではなかなか化石が出ているわけではありませんが、どうでしょうか。

 

【知事】 

 大野市は狙っていますが、まずは手取層群がどこに広がっているかを前提にやっています。今後化石が出ないとは限りませんので、出てきた時にはもっとさらに広げていきますし、福井県での恐竜発掘にも力を入れていきたいと思います。

 

【記者】 

 恐竜を経済、観光、文化、その他のところにまで広げていくのでしょうか。

 

【知事】 

 そうです。お金を落としていただけるようにしたいと思っています。

 

【記者】 

 チャレンジ枠の若手職員の年代を教えてください。

 

【人事課長】 

 20代から30代です。

 

【記者】 

 チャレンジ枠について、例えば新幹線だと残り3年で大きなプロジェクトが動いていくと思います。通常の人事異動のケースとは違い、何か1つの目標を達成するまで異動しないといった変わった動き方をするのでしょうか。

 

【知事】 

 3年というのは良い期間だとは思います。通常の異動も3年間程度ですし、新幹線開業の1年前、2年前だと、新しい風というのはあるでしょうが、流れができているので、これからラストスパートという時にはいい期間かと思っています。来年、再来年もやらないとは限りません。

 

【記者】 

 今後、プロジェクトの幅を広げ、そういったところへの異動を増やしていくのでしょうか。

 

【知事】 

 オリジナリティーというものは非常に重要で、それが発信力になると思います。いずれも重要な事業をやってもらう課ですので、しっかりと新しい知恵や、やる気を出していただきたいと思っています。

 

【記者】 

 自治体によっては、新型コロナウイルスの影響で人事異動の縮小や取りやめたところもあります。福井県での影響はあるのでしょうか。

 

【知事】 

 私も全く考えなかったわけではありませんが、今は健康福祉部や総務部を中心にチームをつくっている中で実行ができている、落ちついて進めている状況になっていますので、例年通り人事異動を実施させていただきました。また、新型コロナウイルスの担当課である保健予防課の体制は整えてありますので、安心していただけるのではないかと思っています。

 

【記者】 

 オリンピックの延期や聖火リレーの中止が発表されましたが、それに伴い、今回の人事異動で変更があった点があればお聞かせください。

 

【知事】 

 昨日の今日の話ですが、オリンピックは1年延期と聞いています。また、聖火リレーについても、コースやメンバーは踏襲すると聞いています。

 今年度中にオリンピックに向けて行うような予算で空振りになるものはあるかもしれませんが、一方で、1年間、福井を宣伝できる機会が増えたと考えて予算を使うこともできますので、もう一度、事業を見ながら判断をしたいと思います。1年後に完全な形を目指すということだと思いますので、全ての国民がみんなで応援できるような体制で開催してほしいと思っています。

 

【記者】 

 3月14日に関西電力の第三者委員会の報告書が出た際に、知事は県職員の旅行とフナクイムシの関係を第三者委員会に事実確認をした上で、必要であれば調査をしたいと言われていたと思いますが、その後の進捗、調査をするのかしないのかも含めて教えてください。

 

【知事】 

 先週には関西電力の第三者委員会に対し、疑問点についてご教示いただきたいと申し入れを行い、今、いろんなやりとりを始めているところです。

 

【記者】 

 その回答を待って県としての調査を行うか判断していくのでしょうか。

 

【知事】 

 はい、そう思っています。

 

【記者】 

 第三者委員会とやりとりを始めているとのことですが、具体的に詳しく教えてください。

 

【知事】 

 当日も指摘を受けたポイントがあったかと思います。現場を見るための旅行とフナクイムシ対策について、具体的にどういう事実関係なのか問い合わせをしています。

 

【記者】 

 いつまでに返答をもらう予定でしょうか。

 

【知事】 

 相手の都合もありますが、ゆっくりやるつもりはありません。

 

【記者】 

 第三者委員会からの返答を待って今後の対応を決めるということでしょうか。

 

【知事】 

 そうです。

 

【記者】 

 北陸新幹線の県内開業まで3年を切っています。今後、開業効果を県内に広げるために大事だと思う点をお聞かせください。

 

【知事】 

 我々も、もう3年しかないという思いを強く持って、これまでもやってきましたが、「FIRST291~北陸新幹線開業プラン~」を作り、具体的にソフト面も含めて進めていく体制にしました。それに合わせて人員も強化して、観光のDMO、さらに、DMCもできてくる可能性もありますが、稼ぐ形で観光政策を進めていく体制にしていこうと思っています。

 これまでハード整備、例えば東尋坊については、地元の理解も得ながら、ようやく再整備の方向が固まりつつある状況です。さらに、恐竜博物館も県議会で見直しの方向性の了解がいただけました。令和4年10月に開館を予定している一乗谷朝倉氏遺跡博物館では、新しい入江も発見されて、それをそのまま見える形で残していく。永平寺とも何度かお会いしていますが、インバウンドを含めて大変協力的で具体的な整備も進みつつあります。

 丹南地域についても、5つの伝統工芸を新しく観光型の産業に成長させようということで、連携していくということもありますし、嶺南も3月30日には、例えば梅丈岳の頂上もリニューアルオープンします。風景ががらっと変わって、ぜひ行ってみたいと思う場所になったと思いますが、さらに磨きをかけていきたいと思います。まずハード整備を3年後に向けて着々とやりつつ、「FIRST291~北陸新幹線開業プラン~」を中心にソフト面の充実を図ることで、福井・敦賀開業とともに多くのお客さんに来ていただいてふくいブームを起こす。そのふくいブームをムーブメントにして文化にしていくという目標に向かって進めていきたいと考えています。

 

【記者】 

 知事は冒頭に3年しかないとおっしゃっていましたが、もうタイムリミットが迫っているという感覚でしょうか。

 

【知事】 

 そう思っています。特にハード整備は、今日考えて明日つくれるという問題ではありません。また、多くの場合、ソフト的な部分は、直前になって盛り上がってくるところはありますが、やはり今から仕掛けをつくっておくことは大事だと思っています。

 

【記者】 

 オリンピックの延期について受け止めをお願いします。

 

【知事】 

 大変残念。まずアスリートの方は、生涯をかけて、オリンピックに向け自分の人生のピークを持っていくような厳しい訓練を積み重ねてこられたと思います。

 また、組織委員会はじめ、各自治体もオリンピックに向けての準備をやってきた。報道等でも聖火リレーを皆さんが楽しみにしていたと思います。オリンピックを予定どおり今年7月24日に開けないことについては残念だと思います。

 しかし、安倍首相も言われていましたが、今の状況の中で、今年の7月に完全な形でオリンピックが開けたかというと、なかなか難しかったのではないかと思います。1年後に、完全に新型コロナウイルスが終息しているかという問題もありますし、また施設についても、1年後にはイベントなどで埋まっていることも考えられます。

 日本人は、何かが決まればそれに向かってしっかりとお互いに、みんなのために頑張り合える、許し合える、譲り合える、国民だと思っています。1年後と決まれば、福井県も含めて、全力でそれを完全な形で開催できるように、また、皆さんが笑顔で応援ができるような大会にできるように私としても努力したいですし、関係者の皆さんにもう一段のご努力をお願いしたいと思っています。

 

【記者】 

 聖火リレーも中止が決まりましたが、聖火リレー関連のイベントも含めて、県内での対応はどのように考えているのでしょうか。

 

【知事】 

 まだ決めてはいませんが、今年度分については大きな規模にはならないのではないかと思います。

 

【記者】 

 オリンピックの延期により、競技や聖火リレーにとどまらず、いろんなところに影響があると思います。例えば建設や経済も含め、県内ではどういう影響があると現時点でお考えでしょうか。

 

【知事】 

 1年というのはぎりぎりの判断だったと思います。特に選手村は、オリンピックが終わった後は新築マンションとして売っていくなど、ビジネスの一環として整備されてきました。ですから、2年、3年と延びると、売ることができないということがあります。1年の延期ということで、何とかキャンセル料ではない形でうまくいけるものが増えているのではないのかなという意味の1年とも思っています。

 そういう意味では、影響を最小限に抑えつつ、オリンピックの効果は経済的な効果だけでなく、新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込んでいるという大会にしていこうという意欲のあらわれだと思います。県内にもしも影響があるようであれば、我々としても前面に立って、その影響を小さくできるように努力をしていきたいと思います。

 

【記者】 

 県内でも観光業を中心に、オリンピックのインバウンドを期待されていた方もかなりいると思います。新型コロナウイルスに加えてオリンピックも延期となり、影響は少なくないと思いますが、いかがでしょうか。

 

【知事】 

 オリンピックの延期というより、新型コロナウイルスの影響が圧倒的に大きいと思います。オリンピックがないから今のインバウンドが減っているわけではありません。もちろん7月、8月に予定していたイベント等についてはうまくいかない部分はあると思いますが、まずは、その時期における新型コロナウイルスの状況がどうなっているかだと思います。

 今、欧米各国中心に、ロックダウンや国全体をあまり移動しない状況をつくっています。過去にない厳しい対応をしていますので、その効果があらわれてほしいと思います。また、日本においてもこれ以上の感染の拡大が広がらないように、しっかりと監視を強めてコントロールしていかなければいけません。福井県としても力を果たしていきたいと考えています。

 

【記者】 

 新型コロナウイルスに関して、1例目に感染された方の現在の状態や退院の見通しといった情報はあるのでしょうか。

 

【知事】 

 退院の見通しについては伺っていません。現状について私が聞いているのは、今日現在、発熱は36度台と落ちついていますが、せきがあって、肺炎としての症状はまだ残っているということです。すぐ退院という状況にはなっていないのではないかと考えています。

 

【記者】 

 あと、濃厚接触者が多いように思いますが、今後、積極的なPCR検査に向けてのお考えはあるのでしょうか。

 

【知事】 

 32名の方が濃厚接触者ということで自宅待機をしていただいて、健康観察をしっかりと行っていただいております。その中で、一昨日、発熱があるなど症状が一部見られた方には、積極的にPCR検査をさせていただいて陰性の確認をしています。

 今後とも、一般の方に向けて推奨しているPCR検査の基準ではなく、濃厚接触者の方については、他の方とは違って、症状が出たような状況ではPCR検査をしっかりと早目に行わせていただいて、皆さんに安心を伝えていきたいと思っています。

 

【記者】 

 観光や飲食、運輸、製造などに大きな影響が出ていると思いますが、現時点で県内の経済損失の規模や今後の見通しはあるのでしょうか。

 

【知事】 

 これは正直言ってまだ分からないというところです。県の各部が、関係する方々に聞き取りを日々行っているところです。イベントや宴会、バスなどを使った移動にかかわる方々が非常に大きな影響を受けている。また、観光業にも影響があると考えています。

 しかし、観光業については、もうキャンセルはほとんど終わっていて、5、6月に入ってくるべき新規予約が入ってきていないという状況で、どのような影響があるかは一概には言えない。また、県がキャンセル数を発表したことによって、やはり行くべきではないという風潮になり、お客さんの動きがさらに止まったというご苦情もいただきました。私も、先々週、あわら温泉に泊まりに行きましたが、家族の動きは決して悪くない。また観光地へこの週末に行ってきましたが、県外からも家族連れのマイカーがかなり来ていましたし、食べ物屋さんも換気をよくして、テイクアウトはいつもより多いところもありました。

 当然、今置かれている状況から逃れられない業種の方もいらっしゃいますので、安易なことは一切申し上げませんが、工夫も新しい需要をつかまえる上では必要と思っていますし、そういったことについての対策も今後とも打っていきたいと思っています。

 

【記者】 

 知事は新型コロナウイルスに県内で初めて感染者が出た時の会見で、その方の東京への出張回数は1回と言っていました。実際は2回出張をしていたことを知事は知らなかったのでしょうか。福井市の説明では、発症要因とは無関係だからそのことを伏せたという説明がありましたが、知事も同じでしょうか。

 

【知事】 

 私はあの時点では1回としか知りませんでした。報告はありませんでした。そこは時間的なずれもあるかもしれませんが、会見を早急に開きましたので、あの時点では1回ということでした。

 

【記者】 

 市が2回目の出張について伏せていたことについて、知事はどう思われたのでしょうか。

 

【知事】 

 あの時も申し上げましたが、濃厚接触者は5名だったと思います。聞き取りの時間も短い中でご本人に確認をしていますので、徐々に広がっていったということはあり得ることだと思います。もちろん、短時間で全ての事実が分かることが正しいと思いますが、ある程度やむを得ないところもあったとは思っています。

 

【記者】 

 PCR検査の件について、先ほど濃厚接触者に関しては、一般の基準とは違い、軽微な兆候が見られた段階でも検査をするというお話がありました。ヨーロッパから帰国された方には、全く症状がないにもかかわらず検査をしたら陽性だったという例もあると聞いています。このPCR検査を濃厚接触者全員に行うというお考えはあるのでしょうか。

 

【知事】 

 そういう考え方は、いろいろなところでも聞いています。しかし、これはまさに議論のあるところだとも聞いています。まずは、国の基準に従って、その上で、濃厚接触者についても一部必要性を強く感じる場合についてPCR検査を行っていますので、一部緩和していると思っています。

 これが難しいのは、今回の1例目だけならば、全部検査すれば良いという話もあります。しかし、この後何があるのかということも考えて、基準を持ちながらやっていく必要はあると思います。

 欧米や韓国、中国の一時期の状況を見ると、爆発的に患者の方が押し寄せてくると、その時には通常の診療もできなくなって、新型コロナウイルス以外の守れる命を、危険にさらしてしまうという状況が明らかになっています。少なくとも今、一番効果的な方法は、濃厚接触者の方は家を出ないことで他の人にうつさない状況とすることです。ご理解をいただきたいと思います。このことについては、全ての保健所の所長や専門家の方の意見交換の中でも維持していこうと決めましてご説明もさせていただいているところでございます。

 

【記者】 

 福井市保健所と県の保健所は、同じ対応になっているのでしょうか。

 

【知事】 

 同じです。話し合いをしながらやっています。

 

【記者】 

 今のPCR検査は66検体できるようになっていますが、日々の検査数をお聞かせください。

 

【知事】 

 概ね5から10件です。10件を超えた日が1回ぐらいで、概ね数件となっています。

 

【記者】 

 新型コロナウイルス感染者や濃厚接触者の発表基準について、例えば福井市保健所では、1回目と2回目の発表の内容にぶれがあり、1回目は、濃厚接触者は会食を同席された方でしたが、2回目は会社関係者という曖昧な表現に変わってしまっていました。もちろん、オーバーシュート、爆発的に感染者が増えた段階で基準が変わるということは分かりますが、情報にぶれがあることで不安を逆にあおってしまうということも考えられます。今後、感染者、濃厚接触者の情報の広報について、知事の考えをお聞かせください。

 

【知事】 

 情報の入る方法に時間的なずれがあることもあります。ご本人の記憶に頼りながら物事を広げていく中で、今のようなことがあったのかもしれません。また、どこまでを濃厚接触者にするかという迷いが生ずることはあると思います。

 しかし、我々も経験を積みながらやっていますので、皆さんに不安が広がることができるだけないように、スキルを上げていくことが必要と思います。

 

【記者】 

 埼玉県の話では、先日、さいたまスーパーアリーナで格闘技イベントがありました。施設は埼玉県が所有していて、知事が中止を求めたにもかかわらず主催者側がイベントを強行されたことがありました。

 県内では、対策会議で基準も整えていて主催者側と県との間でトラブルがあることはないとは思いますが、いわゆる貸しホールではどうするかというお考えはありますか。

 

【知事】 

 貸しホール部分は、最初の対策会議の時から条件や国の自粛要請などを示しまして、自粛の方向を考えてほしいということは強く求めています。

 現状では、大きな混乱は起きていないと思っています。新型コロナウイルスの問題というのは、見えなくて、しかも後にならないとわからないという状況が一番大きな問題だと思います。

 私も経過を見てますと、ここ1週間は、全国の新しい感染者が20人台ぐらいから40人前後ぐらいでとどまっていたのが、昨日、東京で17名が感染するなど、全国では1日で59名まで広がっています。こういうところは非常に大きな分かれ目になる可能性がある。今日、何か対策を打てたとしても、2週間前にさかのぼっていますので、これから当分の間増えていく状況になる。疫学的なことは、これから積み上がってくると思いますが、やはり安全サイドに立って、できるだけみんなで基準を守りながらやっていく必要性というのはまだ高い時期だろうと思っています。

 

【記者】 

 ホールや公演などのイベント関連について、当面、基準を緩められるということでしょうか。

 

【知事】 

 そういうことではなく、大きな大規模イベントをどうするかなどはもう少し続くのかなと思います。

 一方で、屋外の子供が使う施設は気をつけるべき点を指摘しながら使っていただくようにすることもしています。今後も、例えば換気をよくしながらいろんなことをやっていく方向になっていくでしょうし、我々も可能なことはしていこうかと思っています。

 

【記者】 

 例えば、格闘技のように、歓声を送る、汗が飛ぶ、唾も飛ぶというところに関してはまだもう少しということでしょうか。

 

【知事】 

 そうだと思います。私に何か専門的知見があるわけでありませんが、多くの方はそう思われているのではないでしょうか。

 

【記者】 

 学校について、今日から春休みになっていると思います。県立学校と公立の小中学校では、先日、部活動の再開方針や登校日を設定可能だと言われていました。現状、高校と小中学校での春休みの対応をまとめていたら教えてください。

 

【教育長】 

 しっかりと方針を守って活動していただくということに尽きますので、特に状況をまとめる予定はありません。

 

【記者】 

 春休み明けの学校再開については文部科学大臣が、基準に近いものを先日示していました。県では、どういった判断でいつ頃考えを学校に伝えるつもりでしょうか。

 

【教育長】 

 学校は6日から始まるところもあります。昨日、文部科学省から通知をいただきました。しかし、文部科学省からの通知は、あくまでも3密を回避するように行ってくださいということでして、少し具体性に欠けていますので、今、市町の教育委員会や県立学校関係に、実際に始める時にどういった問題が考えられるかということをお聞きしています。

 今後、学校をスタートするに当たって、例えば授業や学校給食、部活動といった項目ごとに気を付けるべきことを整理した上で通知したいと考えています。

 

【記者】 

 再開する方針でしょうか。

 

【教育長】 

 そうです。再開する方向で進めています。

 

【記者】 

 東京のロックダウンという話が出ている一方で、学校再開の話も文部科学省から出ていまして、手綱を緩めるのか締めるのか国民は分かりにくいという声も出ています。現状、どのような対策を福井では取るべきだと思っていますか。

 

【知事】 

 我々は、県民の皆さんに、3密が重なるところに行かない、または症状があれば外に出ない、手洗いや、せきエチケットなどをお願いしてきました。実際に現場を見ても、たくさんの人が集まって何かをしているという雰囲気ではありません。報道等を拝見していていも、東京の雰囲気を意識しているところはあると思います。東京に限らず、都会はもともと人が集まっていますので、やむを得ないところはあると思います。

 しかし、私たちは一生懸命頑張っているので、これは東京が悪いということではないと思います。私の子どもは東京都内に住んでいますので、常々言っていますが、しっかりと日本国民全体として、守りながらやっていけば、多分、日本国全体が徐々におさまっていくと思いますので、そういうことを期待しています。

 

 

―― 了 ――

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