知事記者会見の概要(令和2年11月10日(火))
令和2年11月10日(火曜日)
10:00~11:35
県庁 大会議室
今日は、私から3点ご説明をさせていただきます。
〔資料:「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」への賛同について〕
1点目が、「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」への賛同についてです。ご存知のことかと思いますが、平成26年に内閣府の支援を受けて、「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」が結成されました。
その行動宣言の内容としては、「私たちは、わが社の女性活躍に関する目標を設定し、達成に向けた取り組みを進め、その進捗状況を定期的に把握・公表し、取り組みを継続的に改善します」、「男性中堅リーダーの意識変革を進めます」、「男女の働き方の変革を進めます」、「私たちは、わが社のサプライヤーやパートナー企業に対し、女性の活躍推進の重要性を伝えるとともに、女性の活躍推進に積極的に取り組むことを奨励し、支援していきます」、「輝く女性のネットワーク構築を支援し、連携していきます」とあります。
平成26年6月27日に9社9名の方が宣言し、スタートしたとのことです。私も登録させていただき、本日中に内閣府のホームページに掲載されると聞いています。
考え方の一つとしては、女性活躍を目標に持ちながらやっていくということはあろうかと思います。
私も知事になって1年半過ぎましたが、2回の人事異動を行いました。例えば、福井県庁の女性管理職の割合について、それまで12.2%だったところを翌年には14.7%に引き上げ、今年は15.9%になったところです。できるだけ早く、女性管理職割合を20%に引き上げたいと考えています。
しかし、急に担当を課長級や参事級に上げることは、能力的にも、経験的にもなかなか難しいところです。まずは、課長補佐という段階があり、総括主任という段階もあって、経験を積みながらやっていきますので、そういう意味では、早い段階から女性が活躍できる体制を作ることを考えつつ、まずは20%に引き上げていきたいと考えているところです。また、働き方改革に関し、男性中堅リーダーの意識変革を進めることについては、県庁若手職員と働き方改革の話をしたときに、「課長が変わらないと、県庁が変わらない」と強く言われていたので、このことも意識して進めていきたいと思います。
また、働き方改革、もしくは女性が輝けるようにという意味では、共家事(ともかじ)もやらせていただいていますが、あわせて男性の育児休業取得も積極的に進めています。昨年度までは男性職員の育児休業取得率は5%程度が続いていたところですが、2月から職員の発案で手引きを作って進めています。私も強力に進めていて、今年度の9月までに育児休業を取得する意向を示している人も含めて34.7%に引き上がっており、今年度後半は、さらに50%近くまで上がるという状況です。男性職員の75%以上が1か月以上の育児休業をとれるように今宣言をしていますので、さらに進めていきたいと考えています。
これらのことも含めて、私も賛同した上で、具体的な内容についてはこれから順次、進めていこうと思っています。
また、最近、非常に有望な会社の若手経営者の方とお会いする機会がありました。その場でも、こういった話題も出させていただき、是非とも皆さんにもご賛同いただいて、会社で女性リーダーを増やしていけるようにお願いもしつつ、進めさせていただこうと思っています。
2点目は、県農業試験場で開発した調理用の米を「越のリゾット」と名称決定いたしました。
これまでの名称は「越南300号」です。例えば、「いちほまれ」の場合、もともと「越南291号」ということでした。「越南」というのは、越の国全体の南の方という意味で、福井県を指します。つまり、福井県の農業試験場で作られたお米の300号ということになりますが、イタリア料理のリゾットやスペイン料理のパエリアなどに合うお米ということで「越のリゾット」と決めさせていただきました。
私も試しにリゾットをいただきました。また、小浜に行ったときに内外海の漁家レストランでもパエリアを食べましたが、とても食感がよくておいしかったです。配付資料にも「ほんのり芯が残り歯ごたえのあるアルデンテ感」と記載してあります。アミロースが多いとべたべたしないそうですが、日本の米はアミロースが少ないので、べたべた、モチモチするわけです。
それに対して、このような米はべたべたしない方がいい上で、あとはアルデンテ感。ちょっと芯がある感じで、炊いてもやわらかく芯が残るので作りやすいと思います。例えば、イタリアの米「カルナローリ」や国内産の「和みリゾット」というような米がありますが、これは長粒種と言われるものになります。一方、日本で扱われているのは短粒種ですので、精米するときに同じ機械は使えません。「越のリゾット」は短粒種ですので、精米などの作業が同じようにできます。また、「カルナローリ」に匹敵するアミロース量で、べたべたしなくて、アルデンテ感が残って味もいいということで、食味の検査をしていただくと「カルナローリ」よりも、おいしいと言っていただいています。
「越のリゾット」は、明日からJAの直販所の喜ね舎(きねや)、きららの丘、ゆりいちといったところで販売をはじめます。300グラム(2合)400円(税別)で、レシピ集もついています。皆さんも見かけたらぜひ買って食べていただきたいと思います。
リゾットやパエリアの作り方を見ましたが、米は洗わずに、最初は水から炊いていくそうですが、そういう意味では失敗しにくいお米だと思いますので、ぜひ試していただきたいと思います。今週末には、ふくい農林水産まるごとフェスタでリゾットやピラフの試食をさせていただきます。また、美浜町の「園芸LABOの丘」で「越のルビー」と「越のリゾット」を使った「トマトのリゾット」を作る体験ができます。
「越のリゾット」を提供していただける料理店については、県園芸振興課のホームページで公開させていただきます。ぜひお試しいただければと思います。
今年の生産量は1.5tですが、来年に向けて5tを目指し、作っていきます。
3点目がアニメ「2.43 清陰高校男子バレー部」です。
一つは、主要キャラクター6人が福井駅前の恐竜のモニュメントの前にいるビジュアルをスマートフォンの待ち受け画面として無料配布されるということです。
さらに、この6人が福井で発見された恐竜をモチーフにした着ぐるみを着ているビジュアルキャラクターを使って、いろいろな商品をつくっていただくことを進めています。すでに40社から100アイテムの申請があり、これらのキャラクターを使って製品化すると聞いています。
放送は、来年1月7日深夜24時55分から30分間のノイタミナの枠で決まりました。県内での放送はまだ具体的には決まっていないということです。
10月26日からアニメ公式ツイッターなどに福井県出身の声優 蒼井翔太さんが出演する動画を公開していますが、配信初日で10万回の視聴があったそうですので、大変話題にもなっていると思います。
是非とも今後に期待していただきたいと考えています。
私からは以上です。
~質疑~
【記者】
まず「越のリゾット」についてですが、福井県から出た「いちほまれ」など、各都道府県では今ブランド米がたくさん出る中で、「越のリゾット」の差別化をどのように、全国および県内にアピールしていきたいのでしょうか。
【知事】
これはいわゆる主食用米ではありませんので、加工用に使っていただくというときには、国内ではイタリア産の「カルナローリ」が主流になっていて、あと一部では、「和みリゾット」が使われています。
そういう意味では、加工用のお米としては市場が全く違いますし、普通の米を使うと少しべたべたします。またアルデンテ感がなかなか出しにくい。そういう中で、今申し上げた「カルナローリ」や「和みリゾット」は、長粒種で日本人にとっては少し使いにくいところがあります。
「越のリゾット」は短粒種ということで日本人向けにできております。味についても、食味検査をしていただいていますが、他の二つよりもおいしいと言っていただいておりますので、そういう意味では差別化ができると思います。
まず主食用とは差別化ができ、今使われている他の加工用のお米に比べても、メリットが大きいのではないかと思っていますので期待をしております。
【記者】
今年は1.5tで来年が5tの生産となるのでしょうか。
【知事】
今年は0.5haで1.5t、来年は1haで5tを作る予定です。実は「越のリゾット」は、「あきさかり」と「越のかおり」という品種をかけ合わせてつくっているのですが、「あきさかり」は取れ高が多い品種です。今年県内では、普通ですと1反当たり8俵、480kg程度だったと思います。しかし、「あきさかり」だと10俵600kgとれます。「越のリゾット」も「あきさかり」の系統で、一反10a(アール)で600kgとれますから、収量から言うと1haだと6tとれてもおかしくない。そういうようなことで、差別化という意味では、加工用米ということのほかに単位面積で大量にとれる。そういう意味では、収益も上がりやすいお米になると思っております。
【記者】
資料には県内向けと書かれていますが、これから全国、県外に向けての予定はあるのでしょうか。
【園芸振興課長】
まずは県内です。
【知事】
まずは、1.5tですのでそうたくさんありません。しかし、好調であれば、どんどん広げていきたいとは思います。
【記者】
男性リーダーの会ですが、この時期に賛同するということは何か意味があるのでしょうか。
【知事】
正直に言うと、私が知ったのが少し前でしたので、そういう意味では、可及的に速やかにというつもりで私としてはやらせていただいているところです。
【記者】
先ほど具体的なことは順次進めていくとおっしゃいましたが、何か政策的なものを打ち出していくのでしょうか。
【知事】
それはあり得ると思いますが、さっき申し上げたように女性管理職の比率を県庁でも引き上げていきますし、また県全体でも引き上げていくようなことをやっていかないといけないと思っています。
【記者】
県全体で民間も含めてでしょうか。
【知事】
そうです。長期ビジョンの中でも企業における女性管理職の割合を令和6年度20%と書いていたと思います。そのような目標も掲げておりますが、これは具体的に進めていく必要があると思っています。
【記者】
北陸新幹線について、これまでも工期が逼迫しているという話で、知事もいろいろ働きかけをされてきましたが、1年以上延期というような見通しが今出ています。現時点で県として状況をどう把握されているのでしょうか。
【知事】
今日の新聞報道で「敦賀開業1年以上延期へ」や「建設費2千億円超増加」ということは初めて拝見をいたしましたし、びっくりしています。
最近の動きからして、こういうことは想定できたと言えばできたわけですが、こうした具体的な数字を見てびっくりしています。つい最近も与党、さらには鉄道・運輸機構に対して、決して遅れることがないように、また建設費が増高しないようにと言ってまいりましたが、それがかなわないというような方向がこれから出てくるのかもしれないと思っております。
いずれにしても明日、与党のPTでヒアリング等が行われると聞いておりますので、それを見て対応を至急考えていかなければいけないと思っております。
【記者】
今日や明日、県として何か対応されることはあるのでしょうか。
【知事】
私どもから何か対応するというようなことは、今は考えておりません。しかし、もしもそういう動きが本当にあれば、国や鉄道・運輸機構に説明に来ていただいて、与党の会議だけでいろいろ発表されても我々は詳細がわかりませんので、そういった場面をつくっていくのだろうと思っております。
【記者】
今のところ国、国土交通省から、県としては何も聞いてないということでしょうか。
【知事】
そうです。
【記者】
万が一、明日開業が遅れるということがありましたら、県内でどのような影響が考えられて、それに対して県としてどのように対応するのでしょうか。並行在来線では、社員も雇っています。そのあたりどのような所見なのかお願いします。
【知事】
おっしゃる通り、影響は非常に大きいと思います。
これまで、新幹線が2年4か月後に整備されるという前提で、県だけではなくて民間の事業者の方を含めて、いろんな形でその日を迎えられるように準備を進めてきています。
例えば、並行在来線についても2年4か月後に新幹線が開通することを踏まえて、従業員の方の採用を行ってきている。3年間で100人ということを目標にやっていましたので、毎年概ね30人ずつ採用している。途中で開業が先に延びるということになりますと、延びる期間によりますが、この採用計画をどうするのか、もしくは人件費をどうしていくのか。さらに早くから借りている建物の電気、ガス代などの固定費もかかってきますので、こういったことへの影響がどうなるのかということは非常に重要な局面だと思っています。
その他にも、例えば福井駅前の再開発や各駅にはホテルを含めて、にぎわい施設がいろんな形でできてくる。南越駅(仮称)には道の駅ができるといった新幹線が来るお客さんを見越していろんな計画を立てて作ったり人を雇ったりしていくことになりますので、例えば1年間は新幹線が来ない状態で本当に継続するのかどうかといった影響もあると思います。
県の関係で言えば、いろんな観光施設の整備を進めています。一乗谷朝倉氏遺跡の建設や恐竜博物館のリニューアル。また、県だけではありませんが、東尋坊といったところも商店街含めて直していくことをやっているわけでして、こういったことへの影響も大きいだろうと思います。
またソフト事業については、デスティネーションキャンペーンも2年4か月後に新幹線が通れば、その年の秋に向けてキャンペーンを打っていくというようなこともありますし、いろんな会議の誘致もしています。
そういったイベントや会議を誘致している関係も令和5年ということを目標に行っています。例えば、マラソンもできればフルマラソンを令和5年にやろうといったことが全部崩れてきますので、延期になる期間がどれぐらいになるかということは非常に重要ですが、それによってはどうしていくのかということを具体的に考えていかなければいけないと思っております。
【記者】
与党PTで今年9月から大変厳しいという話になりました。それまでは、何もそういう状況があちらから出ないで、突然降ってわいたような話だったと思います。改めて国や鉄道・運輸機構に対して思うところはありますでしょうか。
【知事】
これは先日、敦賀で鉄道・運輸機構の北村理事長にはっきり申し上げましたが、情報を出すのが非常に遅いと思います。
もちろん責任を持ってやらなければいけないということもあるでしょうし、我々は遅れることがないようにとずっと申し上げていますので、その努力を本当にしていただいたのだということはわかります。
しかし、1年以上遅れるとすれば、3か月で1年遅れるということは、突発的な事故でもなければそういうことはないわけです。3か月全く工事をやっていなくても3か月しか遅れないわけですから、相当前から状況が悪いということはわかっていたのではないかということを疑わざるをえないということが一つあると思います。
1年以上かどうかわかりませんので、軽々には言えませんが、そういう意味では、情報の共有をどのようにしていくのか。こちらだけがいろんな仕事が走っていて、その影響が大きいわけですので、まずこうした情報の共有の話があります。
こうならないことを我々は願っていますので、あまり今言い過ぎる必要はないのですが、もしもこういうことが起きているならば、鉄道・運輸機構の執行体制がどうなっているか、国土交通省も監督体制がどうなっているのかといったことも、これから、しっかりと明らかにしていただく必要があると思います。
【記者】
3年前倒しというスケジュールは、今考えてみれば厳しかったということになるのでしょうか。
【知事】
これは結果論だと思います。
当時は政府与党の申し合わせの段階で当然のことながら鉄道・運輸機構も入れて、工事が間に合うのかどうかといったことの議論がしっかりとされたと思います。そうでなければ政府が応じるわけがないので、その段階ではしっかりできるという前提があったと思います。
もちろん、軟弱地盤で加賀トンネルのところが非常に難しいクラックが入ってきていることやコロナ禍の影響でその挽回がなかなかできなかったといったことが起きているのだと思いますが、それにしても、こういうことがあってはいけないと思っています。
【記者】
昨日、富山県の新田新知事が就任会見を開かれまして、新幹線に関しては敦賀開業が遅れないよう一致団結して取り組むという発言と、北陸新幹線建設促進同盟会の会長職を別の方に譲るというような発言をされました。
これらの発言への受けとめと、会長職はご自身も含めてどなたがふさわしいと考えられているのでしょうか。
【知事】
まず、新田新知事にはご当選おめでとうございますとお伝えしたいと思います。新田知事も沿線を含めて、石川、福井の知事にも早く会いたいということをおっしゃっていたというようなことも聞いておりますので、そういう意味では、一緒にこれから新幹線をはじめとして北陸全体の課題に取り組ませていただければと思っておりますのでどうぞよろしくお願いします。
その上で今おっしゃられた北陸新幹線建設促進同盟会の会長職の件は、形式的に言えば規約の中で、毎年総会で決めるということになっておりまして、8月20日に富山県知事ということで1年間決まっていますので、まず、それまでについては、ぜひお願いをしたいと思います。
そのあとの話はまた来年、その総会のところで話し合われるということですので、十分にみんなでお話をして決めていけばいいと思っています。
しかし、昭和42年に建設促進同盟会ができて以来、会長職は富山県の知事がやってこられたということには意味があったのだと思います。53年間富山県の知事が、ずっと会長をやられてこられています。
東北新幹線などのほかの新幹線は、東京から連れてくるということが仕事だったと思います。よくあるパターンとして、自分のところを通り過ぎると次の人にバトンタッチしていく形だったような気もしますが、一方で、北陸新幹線を大阪につなぐということは、富山県にとっても重要だと思います。沿線全体にとって関西のお客様を今度は連れてくるという意味では、決して新幹線は通り過ぎているわけではないので、早く関西からお客様をつなぐということは重要なミッションだと思いますし、そういう意味では、沿線全体が同じ方向に向いていると思いますので、今までと局面がそう変わってないと思います。
やはり、これまでずっとリードしていただいた事務局の体制やノウハウをお持ちですし、そういう意味では、富山県に引き続きやっていただくことを期待しています。新田知事もいろいろなお仕事があります。私も去年はそうでしたが、最初は特に大変でしたので今は少し落ち着かないと思いますが、来年の夏ぐらいまでかけて、是非とも継続していただけることを私としては期待をしています。議論はこれからしていくということです。
【記者】
先ほど知事もおっしゃいましたが、もともと政府与党の話し合いで、前倒しになって現在の開業スケジュールというものが出たと思います。
今回の報道等が確かであるならば、それから遅れてしまうということになるかと思いますが、そのあたりについての知事のご所見を改めてお伺いしたいと思います。
【知事】
これは、どうして遅れるのかという原因を明らかにしていただくということが、第一の前提だと思います。
その上で、平成27年1月の政府与党合意のときには当然のことながら、できるという確信のもとにやられたのだろうと思います。
開業が遅れるということであれば、政府与党の申し合わせが反故にされるということは初めてですので、その直接の原因とともに、工事をしている鉄道・運輸機構の執行体制や監理監督をしている国土交通省の監督体制がどうだったのかも明らかにしていっていただく必要がある。
その上で、次の日程をしっかりと決めて、やっていくということを考えていかなくてはいけないと思いますが、我々としてはそうではなくて、何とか開業を間に合わせるようにしていただけるようにと願っております。
【記者】
今のお話を聞いていると、スケジュールが変わるというところで、知事は鉄道・運輸機構に対して不信感をお持ちでないのかなとこちらとしては受け止めましたが、そのあたりはどうでしょうか。
【知事】
あまり先走ったことを今申し上げる必要はないと思いますので、明日以降、どういう話になるのか。その辺のところを含めて、国土交通省、鉄道・運輸機構の方においでいただいて、内容を聞かせていただこうと思います。
【記者】
仮に建設費が増えた場合に、開業は遅れるとしても建設費の負担に応じる考えはあるのでしょうか。
【知事】
これは、まさに仮の話なので、またそのときに、しっかりと考えてやっていく必要があると思いますが、2年前に2,263億円を大幅に引き上げられて、まだその財源のめどは完全にたっていない状況なわけでして、2年の間に一体何が起きるのだろうかというところは非常に関心が高いと思っています。
建設費増の負担を受ける、受けないにしても、建設費が上がるのか、なぜ上がるのかということをまず聞かないといけないと思います。2年前の時は、工期を間に合わせるという大きな大義名分があったと思いますが、今回は工期が遅れる上で高騰するという話ですので、もしそうであれば、そこのところがなぜなのかということはまずお聞かせいただいた上で、その後のことは考えないといけないと思います。これは、なかなか超えにくいハードルだと思います。
【記者】
関西電力の原子力発電所の40年超の再稼働同意に関して、先月の会見で中間貯蔵施設の方針が示されることが前提であるとのことでしたが、状況に変わっているところはあるのでしょうか。
【知事】
何も変わっていません。私どもに何も報告はなく、40年超運転の前提というか、これから関西電力との間でいろいろことや新しいことがあると思いますが、始める上での前提であり、そういう意味では報告もないし、考え方も変わっていません。
【記者】
先日、原子力安全専門委員会が開かれまして、委員長は日程はまだ何もないが40年超運転の安全性についての報告書を県にあげるつもりだと話をされていました。知事としては同意の判断の前提として委員会の判断を仰ぐというようなスケジュールがあるのでしょうか。それとも、関係なく判断されるのでしょうか。
【知事】
原子力安全専門委員会そのものの役割は、何か新しい事象が起きたというようなとき、専門家の方に、県もしくは県民の方の立場に立って、現状はどういう状況であるのかということをよく調べて、それについての考え方をまとめていただくという機関であり、今回のような大きなことがあれば、当然のことながら、ハード、ソフト両面からいろんな議論をいただいて、そういった報告書を受けて、安全性の確認がされたという段階で、我々がいろんな判断をしていくということになっているというのが通常だと思います。
【記者】
報告を受けた上で、県が判断する。そうすると知事としては、報告書をいつまでに上げてほしいといった要請をされるのでしょうか。
【知事】
そういうことをこちらから申し上げるということは、一般にはあまりないと思います。急いでほしいといった性質のものではありません。まずは確信を持てる状況になったら、この内容について、ただ遅らせる必要はないので、大体の状況が、専門委員会として知見が固まったらそれは報告いただくということだと思います。
【記者】
そうすると関西電力が中間貯蔵施設の提出をするという条件と、もう一つは前提として専門委員会の報告書が上がってくるという前提条件があるということになるのですが、まだその時期は分からないということになるのでしょうか。
【知事】
前提というかどうかはともかく、手続きの流れとしてはそのような段取りを組んでいます。よって前に置くということでは前提になります。これは、いつもそうです。
【記者】
その時に知事からは、急げとは言わないにしても、そういう作業をしてほしいという要請はされないものなのでしょうか。
【知事】
要請というか、県がお願いしている委員会ですので、そういう意味では、最終責任者は私かもしれませんが、こういうような関西電力から話というか、工事が終わりました、安全対策が終わりましたという中で、次のステップに向けて今動きがあるので、こういったことに対して、委員会を招集して、検討をお願いしますというようなことをやっています。
しかし、時期を急いでほしい、こちらからいつまでにやってほしいというようなことまでは言っていないと思います。可及的速やかというのか、遅れずやってほしいということも言っていないと思います。
【記者】
地元の高浜町などでは動きがあるようで、地元同意に向けて、議会などが今動いていると思いますが、地元の動きをどう見ているのでしょうか。
【知事】
報道によると高浜町の議会では、再稼働に向けて、陳情・請願が可決されたというところだと聞いていますが、高浜町議会は今、国への意見書の内容について検討中ということなので、高浜町議会を含めて、地元立地地域の検討、いろいろこれからも40年超運転の再稼働に向けての態度表明について検討されているのだと認識をしています。
【記者】
40年超運転の福井県としての同意判断のスケジュールに関して、今後、知事から県議会に対して、議論を進めてほしいといったことを求めるタイミングはいつごろと考えているのでしょうか。
【知事】
スケジュール感は全く持っていません。これは状況がそうなってくれば、最終的には県議会のご意見を伺って、私どもの最終判断を示していくということだと思います。
【記者】
今月26日から定例県議会が始まりますが、例えばこの期間中に、議論、結論を出してほしいといった考えはあるのでしょうか。
【知事】
全く今そういう余念というか、前提を持っているわけではありません。今ちょうど国や関西電力に対して、ボールを投げているところであり、そういうものが返ってきたり、立地地域がどういうような考えなのか、そういったものが徐々に整ってくると思います。もし、方向性が40年超運転ということになってくれば、そういうことを見ながら、必要な時期に、我々としての必要な手続きを踏んで、その上で判断をしていくということだと思います。
【記者】
県の原子力安全専門委員会は、これまでの例ですと議論を開始されてから報告書がまとまるまでに2か月程度の期間をかけているとの印象を受けています。そうすると、知事として、年内にそうした準備が整うのかどうかといった考えはあるのでしょうか。
【知事】
今の状況では、全く何も日程感もなく、どうなるかということも分からないし、余念を持って何かやっているわけではないというところです。
【記者】
美浜発電所3号機の安全対策工事を見学してきたのですが、いろいろ説明を受け、なるほどと思うことがありました。知事が実際現場に行って安全対策工事の状況や再稼働の準備が整っているのかを視察する機会は今後予定されているのでしょうか。
【知事】
以前、美浜3号機を見たことがありますが、今回の新しい基準になって、安全対策工事が終わった後の高浜1・2号機と美浜3号機はまだ見ていませんので、これはいずれ見させていただく場面もあると思います。
【記者】
知事が同意を判断するための材料になるのでしょうか。
【知事】
私が自分として最終的に判断する前には確信を得るという必要性はあるので、そういう意味では、順番からいえば、判断する前に見せていただくということかなと思っています。
【記者】
今スケジュールのお話がありました。美浜3号機については40年超運転の議論が続いていますが、地元説明会では内閣府で緊急時対応を今まとめているとの話がありました。先程、国にボール投げていますと言われ、いろいろな準備との話がありましたが、緊急時対応は、高浜と大飯についてはできていますが、美浜だけはありませんので、その辺りは同意を判断する中の条件でなくとも手続きの一つとして入ってくるのでしょうか。
【知事】
緊急時対応の最終的な避難計画がほとんど詰まってきているという情報は得ていますので、段取りとして決定されているかどうかのタイミングだけで、今までもどうだったかなという気はしますが、当然そういうものも可及的速やかに整備されていかなければいけないとは思っています。
【記者】
地元説明会へ取材に伺うと、これから動かしていこうという方も反対する方も、地域の今後が心配だという声を聞きます。交付金、財源の関係は、どうしても動いていることを前提とした制度になっていますので、そのあたりを廃炉も含めて、今後を見据えた制度に変えてほしいという話、財源の面で地域が心配だという声をよく聞きます。以前から国に対してはお話しされていると思いますが、あと20年で原発が動かせる期間、ある意味枠がはまる訳で、県側として国側にもう少し求めていくということはあるのでしょうか。
【知事】
立地地域の意向ということも大きな意味では把握していますので、先般、保坂資源エネルギー庁長官が来られた時にも、電源三法交付金の充実ということについては申し上げており、これまでも申し上げてきました。
そういう意味では、一つには、交付金の今の課題を解決していただくという方向性も国に対してお示しいただく必要があると思います。一方で、交付金だけではなく、やはり地域の活性化というものは、私どもで言えば、嶺南Eコースト計画を作らせていただいています。デコミッショニングのビジネスや美浜1、2号機はまさに廃炉になるので、こういったところに地元企業などが更に上位の段階の工事に入りこめるようなことを、まずは企業体を作るなどしてレベルを上げていくようなこともやっていったり、関西電力や電力事業者の方にも、地元企業を更に育成するという観点でいろいろな取組みをしていただくようにというお願いをしています。
こういったことについても関西電力等はやっていくということなので、いろいろな形で、今ある仕事の仕方を更に変えていきながら地域の振興を図る必要があります。交付金だけに頼らないで、更に原子力発電所を取り巻くいろいろなものを地域の活性化に結び付けていく、こういう努力はしていきたいと思っています。
【記者】
菅首相が国会の答弁で、原発の新増設は現時点では想定していないと発言していますが、県内の原発の行く末にもかかわることであり、温室効果ガスの削減との整合性も取れるのかということもあると思いますが、今のお考えはあるのでしょうか。
【知事】
菅総理の発言は、これまでの政府の見解を踏襲していると思います。現時点においては、新増設・リプレースについては想定していないということは、これまでの考え方を出ていないと思います。
一方で、官房長官や経済産業大臣が安全炉についての研究開発をしっかりとやっていくと言われています。やはり原子力発電については、脱炭素のいろいろな方法論が言われていますが、再生可能エネルギーと原子力が今開発されている数少ない脱炭素の手法であり、そういう中では既に実用化されている今の原子力発電というのものを、さらに安全炉にしていくための研究開発を進めるということが、政府のもう一つの大きな柱だと思います。
そういう意味では今、総合資源エネルギー調査会の中で第6次エネルギー基本計画についての議論が始まっています。これに対しては、先日も保坂長官にも申し上げましたが、国として積極的に核燃料サイクルをはじめとした原子力政策の方向性を明確にすることや次のステップはどうしてくのかということを明らかにして、さらには国民に対しても説明をしっかりしていくことを引き続き求めていきたいと思います。
【記者】
嶺南Eコースト計画の試験研究炉についてお聞きします。先般、文部科学省から予算の説明なども県にあって、具体的に計画は進んでいますが、知事は新たな試験研究炉が地元にもたらすメリットというものはどういう部分だとお考えになっているのでしょうか。
【知事】
今、全国的に見て、原子力人材を育成するための試験研究炉がどんどん廃炉になっています。京都大学の試験研究炉であるKURも、2026年には停止せざるを得ない状況になると、ますます研究炉というもの、人材育成、新しい研究開発などの場所がなくなっていきます。そういう意味では、全国的に期待されている施設だと思います。地元としては、そういう炉であれば、多くの研究者や学生が集まってきて、最先端の研究が行われるということが一つあると思います。その上で、私どもが嶺南Eコースト計画の推進会議でも申し上げていることが、その炉を単に研究だけで使うのではなく、いろんな形で中性子ビームを当てながら研究するなど、実用化の方で、産業用にも使えるような間口の広い炉型にしていただけるとありがたいと申し上げていますし、今のところ、文部科学省をはじめ、皆さんもそういう方向をお考えいただいていると思います。
【記者】
1万キロワット未満の中出力炉ということで、ある意味、県が求めていたことが通った結果ではないかと思っています。一方で、以前、敦賀市長の会見で同様の件をお尋ねした際には、まだ地元の、例えば具体的な雇用や地元経済に対してどういうメリットがあるのかということがなかなか見えてこないので、国には早く示してほしいということをおっしゃっていました。そうした敦賀市長のお言葉も受けてですが、国としてもう少し具体的に示してほしい部分などございますでしょうか。
【知事】
これは段階があると思います。今、概念設計の一番大きい、形をどうするかということを議論していますので、この段階で炉型のことやどのように使えるといったことは今すぐにはなかなか段階を経ていかないと分からないところもあると思います。
渕上市長が仰っていることはよく分かりますので、こういったところをまず一つは、嶺南Eコースト計画推進会議の中でもそうですし、それ以外の中でも、文部科学省をはじめ、必要なところに、具体的にどのようなことに使えるのか、もしくはできるだけ産業用でも幅広く地域に効果のあるかたちにしてほしいといった申し入れもしつつ、お話を聞いて、その上で我々として必要な施策を展開していきたいと思います。
【記者】
前々回の会見で知事は、完成時期について、1日も早くと思っているが、人材が手薄の現状もあり、京都大学のKURが2026年に廃炉になるので、その頃までに日を開けないように建設することが重要になるとおっしゃっていました。今もその気持ちに変わりはないということでしょうか。
【知事】
私の気持ちとしては、変わりはありません。しかし、物事には段取りがあり、それは文部科学省やその他の機関と調整ができている期間ではありません。簡単にいえば2026年にはKURがなくなるので、それを一つの目標にやってくれませんかという私の思いは変わっておりません。
【記者】
文部科学省は完成時期について、原子力規制委員会の審査などもあるので、見通せていない、示していないという状況があります。そうした完成が見通せないものを嶺南Eコースト計画の中では特に重要な柱の一つとして位置付けているわけですが、計画の実効性という点ではどのように考えているのでしょうか。
【知事】
これは、嶺南Eコースト計画の中で、試験研究炉ができた時に具体的に何年度までにやるということまでは書いているような状況ではありません。しかし、嶺南Eコースト計画そのものは、いつまでに何をやるということを具体的に決めるものと、将来像を見せながらそこに向かって事前の準備をしていくといったいろいろな段階がありますので、そういう意味では、何年にそれができるかということが分からなくても、造るということは明確に示されているわけですので、そういったことについて必要な範囲、想定できる範囲で計画に位置付けて、なおかつそれに向かって努力をしていく、整備をしていくということ自体が決しておかしいことではないと思っています。
【記者】
40年超の原子力発電所の再稼働について、知事が今までに仰っていましたことなどを考えると、関西電力の信頼回復などとは別にして、中間貯蔵施設の提示が年内にあるという事が前提として、さらに高浜町、美浜町の地元同意というものが前提になると思います。それに加えて県議会の同意、安全専門委員会からの報告書が出てくるということがあって、その上で、知事自身が現地を見るという事を踏まえた上での最終判断という理解でよいのでしょうか。
【知事】
今、一般的に想定されそうな段取りをいろいろ述べていただいたので、そういうお話はそのように整理するのだなと思いましたが、全くいわゆる段取りとかいう事を考えているわけではありません。いろんなボールを投げていって、それに対してどういう動きをしてくるのかという事を受けた上で、必要なことをその都度やっていきます。
これの前にはこれはやらなくてはいけないということはいくつか申し上げましたので、そういう事は必要、今言われたような順番になるのだと思いますのが、私が何かこう一つひとつの段取りを完全に決めてやっているというわけではありません。
【記者】
原子力安全専門委員会は先日開催されましたが、次の日程は決まってないとの話でした。スケジュール感がないのは仰っているとおりだと思いますが、中間貯蔵施設の提示があったとしても年内は相当難しい話なのでしょうか。すぐにという話でもなく、来年さらにまた時間がかかった上での話になるのかなと受け止めたのですが。
【知事】
私として全く日程感はないです。今のところ動きがないので、そうした時期を決められるようなものではないと思います。
【記者】
知事は、これからもボールを投げていくと仰いましたが、とりあえず今は投げたボールが返ってくるのを待っているという状態でしょうか。
【知事】
そうです。
【記者】
今、改めて具体的に何かボールを投げるということではないということでしょうか。
【知事】
今すぐやらなければいけないこととして思っているものはありません。
【記者】
15日に足羽川ダムの本体着工があります。半世紀ほど歴史がある、紆余曲折を経てきて、
68世帯が移転をしていると思います。知事として、長い歴史と防災も含めてどのようにダムの着工を見ておられるのかということをお聞かせください。
【知事】
今回の足羽川ダム着工は15日起工ということで日程が組まれていると思います。
昭和43年に足羽川ダムの建設計画が持ち上がってから52年になるわけですが、この間、地元池田町がこれを受けていただいた。
また、平成16年の福井豪雨が大きな契機だったと思いますが、そういった中で町が受けていただいて、また、移転をしてくださった方々もたくさんいらっしゃいます。
ほかにも関係者はたくさんいらっしゃるわけでして、こうしたすべての皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。
やはりここまで進んできたのは、16年前の福井豪雨のときに、他に方法がないということで、川下の住民の安全を守るために、やむを得ない、そういうことを上流の皆さんがご理解いただいたということだと思います。
本当にそういう皆さんのご苦労があって、こういうことができたんのだということ、非常に努力されていたということに対して、敬意を表したいと思っていますし、令和8年度に完成という目標でやっていただいていると思います。工事関係の皆さん、国土交通省の皆さんにも、工事が遅れることのないように、安全に進めていただきたいと思います。
私どもの責務といたしましては、地域に対して振興策というものを幾つもお約束をさせていただいていますので、そういったものを着実に実施させていただいて、地域がしっかりと残っていけるようなことを続けていきたい、努力をしていきたいと思っています。
【記者】
新型コロナウイルスについて、全国的に感染者が増加し、県内でも再度出ていますが、新たな対策が必要だといったことなど、今の受け止めをお聞かせください。
【知事】
一時落ち着いていたと思いますが、また再燃しつつあると思っています。患者の数も10万7千人を超えて、亡くなられた方も1,800人。そういう状況で、徐々に増えてきて、減った時期に比べたら、少しまた毎日の感染者が増えている。
また、東京や北海道が今ひどくなっているということで、これは原因も重要だと思います。やはり寒いからインフルエンザとの関係がどうかなど、いろいろなことがこれから心配になる時期でもありますので、国も北海道と一緒になって、しっかりと原因を確かめながら対策も考えていただきたいと思います。
さらに福井県でも、大きな連鎖で広がるという状況にはありませんが、今日も3名、新しい感染者の方もいるようでございます。県内では一連の広がりというよりは幾つかの核に分かれてきておりますので、こういったことには、我々としては精一杯積極的疫学調査やPCR検査を実施しながら、感染の拡大防止をしていかなくてはいけないと思っています。
昨日、高校で発生しましたので、昨日の段階で258名の方にもう既に検査をさせていただいています。その中からは陽性の方が1名出ていると聞いています。生徒3名に全体でなると思いますので、その方々の関係者、接触者といった方も、また新たに検査すると聞いています。
こういう状況ですが、今のところ、一つひとつ検査を大きくやることで、次への広がりということを止めていけているような状況だと基本的には思っております。私どもとして、医療関係機関とともに努力をしながら、福井県の経済といったこともできるだけまわしていけるような努力をしていきたいと思っております。
いずれにしても、東京や北海道というところは国が積極的に前に出ていただく。北海道に対しては私どもも保健師さんを派遣させていただいています。こういったことも続けていきますので、ぜひ国も全力を挙げていただきたいと思っています。
―― 了 ――
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