知事記者会見の概要(令和7年8月8日(金))
令和7年8月8日(金曜日)
10:30~11:53
県庁 特別会議室
[知事]〔配付資料:シンガポールにおけるルミネと連携した「福井フェア」について 〕
私から1点最初にご報告します。シンガポールでルミネと連携をして、福井フェアを実施します。シンガポールには、ルミネシンガポール、また同じくJR系列であるJapan Rail Cafe、これはインバウンドなどの拠点になっていますが、ここで福井フェアを開催します。その中で、ルミネシンガポールで物産フェアを8月26日から実施します。そして、Japan Rail Cafeでは、誘客のプロモーションも既に始めており、今月いっぱい実施をしていくということです。ルミネシンガポールでの物産フェアというのは、伝統工芸品などを持ち込み、職人の方にも行っていただいて、ワークショップを開いていく。それからいろいろな和紙で作ったバッグなど、展示販売も行うということです。それからJapan Rail Cafeはその近くにありますが、ここはインバウンドのお客様を集める一つの拠点になっておりますので、誘客のプロモーション、福井フェアを開くということで、ソースカツ丼や地酒など、こういったものも召し上がっていただくということもやっているということです。また旅行事業者、インフルエンサー、こういった方に福井県のPRもさせていただきます。それからJTBシンガポールが旅行商品も開発をしていただいて、この販売も強化していくということです。私も29日のイベントに参加をさせていただこうと思っています。ちょうどいい機会ですので、別件として、シンガポールでは地下鉄などをシールド工法などで作っているということも聞いています。まだ少し調整がついておりませんが、そういった現場なども見られれば見てこようかなと考えているところです。
私からは以上です。
~質疑~
[記者]
まず今回のフェアをシンガポールで行うに至った経緯を教えてください。
[知事]
シンガポールはアジアで最も国際化が進んでいるところで、欧米の方もアジアの方も最も注目をしている場所だと思います。ちょうどJR東日本さんとは新幹線の縁もありました。とても緊密にいろいろな連携もさせていただいて、ちょうど今インバウンドに力を入れていますが、なかなか及んでいないところがありますので、昨年もやらせていただいて、今年もその縁もありまして、やらせていただこうと思っています。一つの例で申し上げると、例えば国別で見ると日本に来られているインバウンドのお客様は、シンガポールは7位だそうですが、福井県は昨年1年で1,650人泊ほどしかまだ来てないということもあって、とても伸びしろが大きく、まだまだ福井に来ていただける可能性が大きいというところもあります。Japan Rail Cafeのようなところで、いろいろ福井ってこういう食べ物があるということが知れると、ここを訪れるような欧米の方やアジアの方なども福井を訪れていただける可能性が広がるといういろいろな思いで、シンガポールを選ばせていただいたところです。
[記者]
8月29日のイベントに知事がご参加されるということでしたが、行程を含めてもう少し具体的にどういったことをされるのかを教えてください。
[知事]
誘客プロモーションのところで、インフルエンサーや旅行事業者の方に向けて、私は福井の美味しいものや、いい所があるというお話をさせていただこうと考えています。また、ルミネシンガポールでは、伝統工芸の展示販売やワークショップなどもあるので、お客様に声をかけさせていただくというようなこともあると思っています。あとはさきほども申し上げましたが、新幹線の大深度にある地下鉄工事現場も見たいと思い、調整しています。
[記者]
日程は1泊2日ですか。
[知事]
2泊3日です。移動が多く大変です。
[記者]
誘客の目標はどのぐらいを見込んでいますか。
[知事]
シンガポールから何人かは、数字を持っていませんが、トータルで令和11年末までに40万人泊を目指すということを今させていただいています。
[記者]
1,650人泊というところがありました。ここの掘り起こしはやはり40万人泊を目指すためには必要になってきます。例えばターゲットや細かいところは今回のフェアを通して知事としての思いや希望はいかがですか。
[知事]
やはり特にシンガポールは所得が高いので、日本の中でも非常に長く、たくさんお金を使っていただける可能性が高いと聞いています。また、やはり先ほども言いましたが、シンガポールの方が来ることもあるでしょうが、シンガポールに来られる方も、非常に多いので、そういうところからの波及もあって、必ずしもシンガポール人の数が増えるだけではなく、やはり欧米の方やアジアのみなさんにもぜひ福井を知っていただくフックとして、シンガポールを選んでいるということだと思います。そして旅行商品も造成をさせていただいて福井や石川、滋賀を通って、名古屋や愛知の方からお帰りいただくようなツアーも具体的に造って、みなさんに来ていただくということもやっていきたいと思っています。
[記者]
もう一点、先ほどのシールド工法の件について伺います。見られればというお話がありましたが、具体的にどういう形で今進めていて、どのような状況かということを教えていただけますか。
[知事]
これはまさに工事をしている方々に見せてくれませんかと申し上げています。相手がもちろん見せてくれないといえばダメなので、そういう状況です。
[記者]
そこを参考にするのですか。
[知事]
私は既に名古屋も見て何回か行かせていただいて、やはり工事の現場は本当に騒音がどうなるのか、そして工事というのは、渋滞がどうなるかなどを見て回っていますので、シンガポールは集密都市なので、やはりいろいろな工事を行う場合には、安全でしかも快適な方法を選ぶということで現実には日本の事業者がいて、シールド工法でやっているそうです。非常に参考になります。シンガポールという大都市でそういったシールド工法で地下の工事を行っている現場を見ることは、名古屋を一つの例としてですが、しかも日本の事業者がやっているということでしたら、意味があると思って伺いたいと思っています。
[記者]
シンガポールから福井に来られている方が約1,600人泊というお話で、これは福井に来られる国・地域別でいうと上から何位とかありますか。
[知事]
全国で7位です。
[東京事務所副所長]
県内では国別順位が10位です。
[記者]
日本全体では7位で福井だと10位。結構高いのですか。
[知事]
結構高いですが1,650人泊です。全国には517万人泊でしたが、それくらい来ている中で1,650人泊なので、少し少ないです。
[記者]
なぜシンガポールなのかをもう少し聞きますが、例えば、嶺南を見ますと、確か台湾から来られる方が、国地域別でいうとかなり圧倒的に多いという話を聞いたことがあります。例えば、選択集中で台湾にプロモーションするという考え方もあると思いますが、知事はこのアジアに向けたプロモーションとしてはいろいろな地域に広く展開していくのか、あるいは選択集中でいくのか、長い目で見たビジョンはどのようにお考えですか。
[知事]
シンガポールは私がたまたま行くということをご説明しているだけで、台湾もいろいろな形で経済界も含めて行かれて重層的にも動いていると思います。タイやパリなども行っていますし、いろいろな旅行博などにも一生懸命こちらから事業者をお連れするということも含めて、北米もやっていますので、その一つとして今回シンガポールに行かせていただきます。あとJRも大変インバウンドに力を入れていただいているので、伺ってこようと考えているという一つの例です。
[記者]
まだ早い段階の質問になるかもしれませんが、シンガポールからお客さんを増やしていくために台湾だと今小松とつながっていて、来やすいと思いますが、先ほどツアーのお話がありましたが、どのようにシンガポールから福井に人を呼び込むのかといった交通の流れをどう考えていますか。
[知事]
シンガポールの方は、個人客の方が多くツアーを組むということもありますが、いろいろな形で日本を訪れていただいているということです。今回は一つの提案として、まさにこの北陸東海ツアーと言っていますが、セントレアや昇龍道などもあるので、こういったところを通るご提案をすることでそのツアーに参加していただくということもありますし、事実としても517万人泊来ているので、あとはその中で福井を選んでいただくということも合わせてPRもしてくるということも大事だと考えています。今回のツアーは東京から入って石川、福井、滋賀を経て愛知に行くということだそうです。
[記者]
もう一点シールド工法の視察もご検討されているということですが、名古屋の場合は地上からご覧になったと伺っています。地下の工事現場そのものを見られることも検討されていますか。
[知事]
それは相手次第ですのでいろいろとリクエストはしていますが、ここはお相手がどのように考えてくださるかということかと思っています。名古屋でも下に降りたことはありますが、まだ工事をしてなかったので、中までは入れていません。
[記者]
北陸新幹線の延伸について伺います。与党整備委員会の西田委員長が小浜・京都ルートに加えて、過去にあった米原ルートと舞鶴ルートの3案を再検証するとおっしゃっています。9年前の2016年の決定時に遡ってしまう形にはなるのかと思いますが、その受け止めについて伺います。
[知事]
私は遡るとは全く考えておりません。みなさんの報道だけを見ていると、とてもそんな感じという部分もなくはなかったですが、いろいろと詳細に拝見させていただいていると、西田さんも小浜・京都ルートだという中で検証も必要だろうということで再検証してみるというようなお話をされているように伺っております。最近、報道等を拝見していると、ご本人がそうおっしゃっているのだと思いますのでそういう報道になっているとは思いますが、今回の北陸新幹線の敦賀以西の問題について言えば、これは長い経緯があって、それが今の形になっているということ、また法律などいろいろな事実関係ということが全部無しになったように、白地で物事を議論しましょうのようなお話になっているのは少し乱暴な議論なのかな、というふうに私は思っております。
北陸新幹線というのは福井県、それから嶺南地域のみなさんが本当に一から頑張って、昭和48年に整備計画ができています。この時に東京から長野、富山、小浜市附近を経て大阪に至るという整備計画が、国土交通大臣の決定として法律に基づいてなされているという事実がひとつございます。それから平成28年度にルートを最終的に敦賀から先どうするのだと大議論をいたしました。その中で小浜・京都ルートが決まったのですが、この過程の中で事業費であったり工期であったり、それから費用対効果、B/Cについても示されました。ただ一方で、その3つが示されていますが、現実に決定された経緯、結果を見ると、その部分を見た上でまずは乗り換えなしの利便性、それからルートが、要は近く短いということによる経済性、時間の優位性、それに国土強靭化。こういったことを踏まえて小浜・京都ルートが決定されているという事実をまず無しにすることは、これはありえないと思います。その後も含めて沿線全体でこの小浜・京都ルートを1日も早く新大阪まで認可・着工、全線開通ということをみんなでやってきたわけですから、これを全く無しにするということはまず無いと私は考えています。
その上で、次に、法律・制度論を申し上げますが、この全国新幹線鉄道整備法に基づけば、整備計画に変更する場合は営業主体であるJRの同意が必要です。ですから小浜を通らないルートができるとすれば、JRの同意が必要だという法律上の規定がある、このことも忘れてはいけません。もしも米原ルートと言ったら、じゃあ小浜を通って米原に行くのかと、こういうこともひとつちゃんと念頭に置かないといけません。JRももちろんのことながら反対されている、こういうことでございます。それから、現実に新幹線の整備がなかなか行き詰まっているところなど見ていても、沿線の自治体が反対をすると環境アセスにも入れない、ここが事実としてあるわけです。そういう環境アセスに入れないということは工期がいくら短くても事業は進まないということになっている、こういう基本的なところをぜひ理解されているとは思いますし、前提ですので、まずひとつは念頭に置いていただいた上での議論として、福井県としては考えております。その上で福井県の思いとして申し上げれば、小浜・京都ルートは50年以上にわたって原子力立地地域が切望しているルートということになるわけです。このルートについて国は原子力基本法の中で立地地域の振興であったり、課題を解決するというのが基本的な責務になっているわけで、こういったことを国や政府、国会がどういうふうに考えていただけるのか、いただけないということが本当にあるのか、ということを申し上げたいというふうに思いますし、また地域の共生ということから申し上げても、我々はしっかりと電力を志を持って国の原子力エネルギー政策に協力をしながらここまで歯を食いしばって協力してきているという事実、これに恩恵を受けているみなさんにもぜひご理解はいただきたいと考えております。そういうことで、現状いろいろ言われておりますが、政府は全く小浜・京都ルートということで全くブレているということもございませんので、福井県としては今申し上げた通り経緯をしっかり、もしくは法律・制度をしっかりと踏まえて議論もしていただきたいというふうに思いますし、我々としての地域の思い、これまでの積み重ね、もしくは我々が今果たしている社会における役割、こういったことについての理解はぜひお願いをしたいと考えております。
[記者]
これまでの経緯、大きな議論があった上で決まったという経緯や法的な理解、そういったことをまず前提にということでしたが、一方でもう一回再検証すると、そして京都、石川もそうですが、そういう反対する意見も出ておりまして、その中で再検証という話も出てきて、ますます沿線地域に対して理解促進ということが大事になってくるかと思うのですが、また夏の概算要求もございます。それについて理解促進を図るために福井県としてはどういうことをこれから力をもっと入れてやっていきたいか、これまで以上に力を入れていく必要があるのかとは思うのですが、どういったことに力を入れていきたいかということをお聞かせください。
[知事]
これも全く変わるところはございません。まさにこの小浜・京都ルートをひとつ実現するということにおいても沿線のみなさんのご理解を得ていく必要があるということは変わりませんので、我々としても政府や与党、それから国会全体という、これから野党との協議ということもあると思います。そういったことを含めてしっかりと我々としては、必要性であるとか、意義とか、これを私たちとしても申し上げてまいりますし、それを推進している、これは主体は国ですので、国がしっかりと沿線のみなさんに理解を求めていく活動を取っていくということを強くお願いをしていく、これは変わりません。ですから当然、沿線のみなさんの理解なくしてできるなど私たちは思っておりません。だからこれまでも財源をどうするのだ、財源をいかに安くできるか、それから理解を得られるように科学的な見地から説明をしっかりと尽くしてほしいということも申し上げました。その上で今の再検証の議論が出ております。このことについては私どもは、必要性についてはいろいろなご意見があるということは理解をしております。今まさに私たちもお願いしておりますが、財源議論、これを含めて着工5条件の早期整備、こういったことを申し上げております。そういう中でどういう形で財源議論を進めるか、これは与党であったり、また国がどう考えるかということですので、このことを私たちが否定するものではないというところです。いずれにしても、我々としては小浜・京都ルートだと考えているということでございます。
[記者]
引き続き新幹線の問題で、今のところに関係するかと思いますが、知事ご自身はこの米原ルートも含めて再検討、比較というのはすべきだと思いますか。
[知事]
これは今も申し上げましたが、財源議論、それから着工5条件を整えるという議論の中で、必要なことについては与党としてお考えになって進められるものだというふうに思っています。私がすべきだとかそういうふうに思っているわけではなくて、私は小浜・京都ルートを1日も早く大阪まで全線開通させることに必要なことをやっていくべきだというふうに思っております。
[記者]
大阪の吉村知事も再検討、比較ということをおっしゃっています。参院選が終わってから知事と吉村知事とお話などされたりはあったのでしょうか。
[知事]
ありました。青森で全国知事会議でもお会いしました。
[記者]
その中とかではどういう形のというか、意見というか、どうだったのですか。
[知事]
やりとりは協議の場などでやっているわけではないので断片的な言葉になりますが、その中でもおっしゃっていたのは、今思えば、大きく言えば、今いろいろ言われていることなのかなと、ただ吉村さんはずっと最近の報道等を拝見していても、大きく変わっていないところは、1日も早く大阪まで全線開通なのだと、そのために必要な再検証はすべきだと、こういうようなご趣旨で言われていると思いますので、それは方法論として再検証ということを米原ルートという名前も出されていますが、そういうことを言われているのだろうというふうに思います。その米原ルートということの例示を言われているのは、これは住民の方からの声なのだろうというふうに思います。若干、京都のみなさんの声ということも言われていますが、そういったことをおっしゃられているのだろうと思います。ですから吉村さんも1日も早く大阪までの全線開通、このことを求めていらっしゃると思います。
[記者]
維新の立場からすると、京都で議席を取ったというところがあって、そのあたりを踏まえるとどういうふうに通すかというところはなかなか難しいところではないかと私は思いますが、そういうところも含めて、沿線のみなさんは一枚岩になっていると認識していらっしゃいますか。
[知事]
京都とか大阪の中の議論ということに、私が何かを申し上げるということはございません。特に吉村さんが難しいところは、大阪府の知事という部分と、それから維新の代表というところがおありなので、そういうところで非常に難しい部分もおありなのだろうと思います。沿線が一枚岩かといえば、今はいろいろな議論があるという意味で一枚岩でないように見えるというところはありますが、1日も早く大阪までの全線開通ということを今のところ否定している人はいないなと私は感じております。
[記者]
もう1点、小浜ではもう新幹線が来るということを前提としたまちづくりを進めようとしているという状況があります。そのような中で、ここからもし今後変わってしまうということがあると、福井県内においても非常に大きな影響があるかと思いますが、知事として強くもっと小浜・京都ルートを発信する、例えば吉村知事なども含めて小浜・京都ルートでということを念押しするなど、リーダーシップ的なところはどうですか。
[知事]
いろいろと考えてはいきます。ただ何か場面を作ろうとか、見せ場を作るとかということが正しい道かというところもありますので、その時々に必要と思われる、大事な、自分として取るべき行動についてはしっかりと取ってまいりたいと思います。
[記者]
新幹線の議論につきまして、参院選の結果を受けて、これまで与党が中心に議論を進めてきた枠組みを改めて、野党を入れるべきではないかと発言している方々も少なからずいます。知事は、この新幹線議論をそのまま与党だけで進めていいのか、そうではなくて、野党も一定程度意見を聞いた方がいいのではと思われるのか、どのようにお考えですか。
[知事]
これは国であり政府や各党、というか国会が考えていくことだろうと思います。西田委員長がおっしゃっているのは、まず与党で考え方を、再検証といいますか、そういうこともしながら野党にも説明をしていくというようなお話はされていると伺っておりますが、やはり当然のことながら、今後予算の議論も出てくるわけになりますので、そういったことから言えば野党との協議ということは必要になってくると思います。ただその進め方はもう各党なり与党なり、政府の方で考えていただくということだろうと思います。
[記者]
おそらく、参院選の結果を受けまして、さらに政権の枠組みもまだ見えていませんし、どんな議論になるかわからない中で、今与党が目指している年内の新しい京都駅の位置の決定と、来年度中の委員会着工というスケジュールが後ろ倒しになるのではないかという懸念もあると思いますが、知事はこのスケジュールについてはここを堅持すべきだとお考えですか。
[知事]
懸念ということを否定するものではありませんが、我々としては当然のことながら、ずっとお願いしているように、1日も早くルートを一本化していただいて、それを予算に反映していただくということですので、最短で言えば年内に1ルートにしていただく、それから来年度予算で認可・着工の予算を持っていただく。これをこれからも訴えていきたいと思います。
[記者]
8月中に大阪市内で予定されていた新幹線関係の協議会の催しが2つ延期・中止になっているかと思います。大阪の事情もあるとは思いますが、今後、今ほどおっしゃったように最短で年内ルート決定などを訴えていきたい場合に、なかなか京都だけではなく大阪も少し足踏みしている状況の中で、関西での機運醸成というのを建設促進同盟会の会長としてどのように進めていきたいと考えていらっしゃいますか。
[知事]
これはまさに、今までどおり完全に決議の中でやっていくというのは、今すぐは難しい状況かと思います。ただ、これについては政府、それから与党、こういったところを中心に1日も早く機運醸成の方にも進めるようにやっていただきつつ、我々としても過去からずっと考えると小浜・京都ルートが決定するちょっと前のあたりは、当然のことながら綱引きがあったわけで、その時でもちゃんと北陸新幹線建設促進同盟会というのは、一致点を見出して前に進めろということでやってきて、ルールに従って決まったものにみんなで合意をしてやっていくということをやってきていますので、それは一致点というのは当然見つけ出すことができると思っていますし、その上で1日も早い大阪までの全線開通ということをしっかりと我々全体で求めていける環境にしていきたいというふうに思っております。
[記者]
先ほど少し前におっしゃった、再検証をすべきかどうかという質問に対して、着工5条件を整えるために必要なことをやっていくというお話があったかと思いますが、意図としては着工5条件の中といいますか、地元の理解を得るために必要であれば再検証をすることも必要、と理解したらいいでしょうか。
[知事]
私が必要性を考えるとかいうことではなくて、1つの議論の進み方として、私たちは小浜・京都ルートだから、これはもう決まっているのだから再検証がいらない、そういうことを申し上げているわけではないということを申し上げたわけです。あくまでも小浜・京都ルートで進めていただくということですが、とはいえ今そういった議論があることは間違いないので、それを何とかクリアして乗り越えていく手法として、財源議論もありますし、着工5条件整えるという議論があるわけですから、そういう中で必要な検証があるのであれば、そのことを私どもが否定をするということはないということです。急がば回れではないですが、しっかりと、通らなければいけないものは通すためにどうしていくのかという工夫はあっておかしくはないと思っております。
[記者]
再検証に関して、今おっしゃったように通らなければいけないところというところで、費用対効果、B/Cのところが当然重要になってくると思いますが、工費がかなり大きく膨らんで、B/Cももう従前からかなり1を切るのではないかと、厳しいという話がありましたが、まさにここは通らなければならないところで、再検証をしなくても結局やらなければならなくなったというところで、このB/Cについて、そのBの部分をもう少し再検討したらどうかという話もありますが、知事のこのB/Cの考え方を改めて教えてください。
[知事]
B/Cの議論があることはよく分かっています。ですからこういった議論ももちろん、財源議論もしくは着工5条件の議論の中で当然されていくということだと思います。ただあまり心配はしていないと言うといけませんが、もう明らかに長野の人ですら、富山、石川、みんながこぞって早く大阪につないでほしいと言っている。その効果を今まで見ていませんので、ここのところの効果は、北陸新幹線が福井・敦賀まで延伸した効果を見ていても、ものすごく大きいと理解しますので、B/Cがどういうふうな議論に進むかは、もちろん与党の中の議論だったり、国会だったり、政府の中の議論ということになると思いますが、私はそのことはしっかりと通っていけると思っております。
ただ私、ちょっと物事が矮小化されているのではないかなと一部思うところは、さっきも申し上げましたが、平成28年度の議論のときも、B/C、それから事業費、工期、こういった議論もありましたが、結果として何を求めていたかというと、乗り換えなしの利便性、それから近いことでの早い、安い、それから国土強靭化。基本はやはり利用者目線、国民が何を求めるかということにあると思います。B/Cなどはもちろん技術論としてそういうものを経ないではいけませんが、もしも米原経由になれば、いつも申し上げていますが、大阪から福井まで来るのに1.4倍の時間がかかって、1回あたり1.5倍のお金を払うわけです。22分余分にかかって、3500円ぐらい余分にお金を払うわけです。これを本当に国民のみなさんがそれでいいと思うのかと。これは福井に限らず、金沢も、富山も、長野も同じように20分以上長くなって2500円から3500円ぐらい高くなる。こういうことを第一にやはり頭に置きながら考えていくということが本来の姿なのかなと思います。ただそこのところは、これは与党や政府の中でしっかりと議論をしていただきながら決めていくのだと思いますが、私はそういうふうには思っております。
[記者]
またちょっと仮定の話になってしまいますが、再検証が進む中で、当然、多分沿線の自治体関係者からのヒアリングも想定はされますが、改めて与党などに対してどういう主張をされるお考えですか。
[知事]
先ほど言い漏らしましたが、平成28年度のルート決定の時にも、沿線の自治体の意見というのをしっかり聞いた上で決定されている。今回も当然そういう手続きが踏まれるというふうに思います。私がその場で申し上げることは、先ほど申し上げたとおり、福井県のこれまでの経緯であったり、法律・制度論であったり、それからまた我々が求めている、なぜ求めているか、こういったことをしっかりと、その時にまたいろいろと考えることになりますが、本筋はそこだというふうに思っております。
[記者]
冒頭の知事のお答えで、ルートの再検証について遡るとは思っていないという発言がありましたが、このルートの再検証の話は2016年の話から考えていくと、別に必要がなくて次のステージに行くべきという見方もある中で、一日も早い大阪への開通に向けて改めてルートの再検証が必要との考え方もあるという知事の認識だと思いますが、なぜ今再検証の話が出てきてしまっているのか、知事はどのように考えていますか。
[知事]
私は再検証が必要だと思っているわけではなく、特に言っているのは大阪の吉村知事が「今こうなったら再検証が必要だ」と言われています。結局のところは1日も早く認可・着工に結びつけるためには再検証がいるということで言われているのだろうと思っています。
[記者]
京都駅の位置もですが、来年中の認可・着工というスケジュールにも少なからずこういった再検証で影響が出てくるとなると、どんどん後ろに倒れていくのではないかという見方もあると思います。そうすると今知事が言うとおり、1日も早い大阪への認可・着工・開通というところに対して遅れていくのではないかと思われてしまうと思いますが、そのあたりをお聞かせください。
[知事]
議論がある限り、その議論をある程度少なくとも100人全員が賛成するかどうかはともかく、納得感が得られるような議論をしっかりとした上で物事を進めていくという過程は、民主主義のこの社会において当然重要な過程ですので、そのような手続きを経て行うということが結果的に一番早い進め方になるということを私は否定するものではないので、現実にどのやり方をとるかは、今であれば与党や政府などがどのような経過をとるのかをそちらのみなさんが考えます。私たちが申し上げるのは1日も早く大阪までの全線開業に必要なことを最短でしてほしいとこういうことだと思います。
[記者]
繰り返しになりますが、現状こうなってしまっているということは、新幹線で地方から欲しいと言わなければ、このような整備新幹線ができない部分もあると思いますが、その声が届ききっていないのか、届け方がこれまでの中で足りなかったのか、そのあたりの知事の認識をお聞かせください。
[知事]
それは大阪も求めていると私は感じていて、大阪府もまちづくり方針など作られて新大阪駅に北陸新幹線が入る計画にされていますし、副首都構想と言われているところを見ていると、大阪も北陸新幹線を求めていると思います。京都のみなさんは、もちろん沿線のみなさんに一部反対もありますが、一方でこれは理解を得る過程ということも、いろいろな公共事業の場合はあるので、やはり機運の醸成は一つありますが、理解を得ていく過程として今このような状況にあることそのものは、一つの状況としては理解ができます。だからこれは乗り越えていくために私たちも協力し、必要な手続きを踏むことについての容認をしないわけではないというところです。
[記者]
先ほどの再検証のヒアリングというところの話ですが、福井県のいろいろなこれまでの思いなども伝えたいと思うということを知事は言ったかと思いますが、再検証はあると思って知事としては動かれるということでよろしいですか。
[知事]
これからルートを決める検証のときに何かあるのか、そこまでは知りません。ルートを決定する、最後一本化するなど今2本あるもの1本にしないといけないので、過程全体の中にはあると思います。ただ、再検証の中でもないとは言えませんので、何か議論ということであれば何かを申し上げていくと思いますし、全体を通してさきほど申し上げた筋で私は話すということかと思います。
[記者]
このままいくとそのような再検証は行われると思うということでよろしいですか。
[知事]
それは分かりません。私たちは何も求めているわけではありませんので。再検証すると与党のみなさんの一部、西田委員長が言っているということは存じ上げていますが、再検証があるかどうかということまで私が申し上げる立場にはないと思います。
[記者]
関西電力が、リプレースを念頭に美浜発電所内で地質調査を再開する旨、先月発表しました。今月に入って、美浜町長が調査を容認する考えを県に報告されるということがありましたが、改めて知事の考え、受け止めを伺います。
[知事]
これは、ここまでの間にも申し上げていますけれども、今回の調査というのは実施調査であって、事業が成り立つかどうか、当然企業活動の一環ではありますので、それに向けての独自の調査ということであって、また関西電力もおっしゃっていますけれども、これが直接整備するということにつながるものではない、その他のことも考えて今後判断していくということでありますので、そういう意味では、これは関西電力の自主的な企業活動の一環というふうに考えていますので、私どもが何か申し上げる段階ではないと考えています。
[記者]
原発の避難道路について、この前、避難道路の重要性というのも会議で話をされていたかと思いますが、改めてその辺りの認識を伺います。
[知事]
これは共創会議の中でも大きな課題だとずっと認識もしていましたし、求めてきたということです。そういう意味では、2月のときにルート5つが出てきて、今回はそれに向けての財源について、各省と協力しながら継続的に財源を確保するということを明言していただきました。そういう意味では非常に大きな一歩を踏み出していると思います。そういう中で、県としても、道路が進んでいく、これまでの整備をする過程の中の熟度、こういったことを考えて、敦賀の第2環状道路、それから美浜高島道路、これについて調査に入っていこうと、こういったことを今度の9月議会の予算の中で盛り込みたいと思っています。最終的には、もちろん議会の議決を経てということになりますけれども、そういった思いを持っているということです。その他の道路についても、もちろん順次熟度が高まってくれば、それに合わせて進めていくということです。
[記者]
5日に再処理工場の審査会合が開かれました。審査会合の終盤では、規制庁の担当者から、面談やヒアリングの場での緊張感もしくは切迫感が不足しているとか、説明の準備不足を指摘する声など厳しい声が上がりました。審査の進捗についても、マラソンの折り返し地点にもついていないとか、もしくは減速感を感じるとか、非常に厳しい声がありました。知事として、今回の審査会合の受け止めと、竣工への影響についてどのように見ているか、考えを伺います。
[知事]
これについては、いろんな議論があったということは、全部、つぶさに承知しているわけではないですが、報告も受けているというところです。これを受けて、国も、使用済燃料対策推進協議会の幹事会を昨日開催して、日本原燃に対する体制の強化とか、もしくは他の電力事業者に対して応援をもっと強化するようにと、こういった指摘があったというふうにも認識をしていますし、また、そもそも日本原燃の考え方として、そういった体制を強化しながら、11月中の説明の終了、こういったことについての変更はないと、こういうことです。どちらかというと、聞いていると、物量が足りていないと、人の投入が足りないとか、もっと力を入れろ、入れた方がいいと、こういうような話のようにも聞こえますので、ここのところはまさに国が指示を出しているように、各事業者も一緒になって体制の強化をしながら、予定通りの日程で、この説明を終えていただくことを期待していますし、強く求めていきたいと思っています。
[記者]
昨日、国の使用済燃料対策推進協議会の幹事会が開かれたということですが、そこでの協議結果内容というのは、福井県にも報告や何かしらの共有はあったのでしょうか。
[原子力安全対策課長]
昨日、関西電力から、そうした報告というか、事務的にであるが、そういう状況だというのは報告をいただいています。
[知事]
ですから、昨日のその状況も踏まえて、早急に、また関西電力から県内、県議会も説明があるのかと思いますけれども、説明をいただくということになろうと思いますし、我々も求めていきたいというふうに思っています。
[記者]
5日の審査会合では、ステアリングチームのグリップ力が足りないと。そのステアリングチームは、主に関西電力が40人ほど社員を派遣して構成しているチームだと思います。関西電力自身も、8基目の原子力発電所の再稼働のような気持ちで竣工に向けて中心になって取り組むと言っている中で、関西電力に求めることは何かありますか。
[知事]
これはもちろん、ここでいろいろと関西電力と話をする時もそうでありますけれども、そういったロードマップの議論の時も、関西電力は、全力でこれまでもやってきましたけれども、さらに必要な人数がいればそれも投入しながらやっていくともおっしゃっていたので、当然のことながら我々も求めていきます。ただ、1つひとつのことは私たちがやることではないので、そういう遅れがないように、それは全体として、さらには関西電力としてしっかりと取り組むようにということを求めていきます。
[記者]
乾式貯蔵施設の事前了解に関連して、9月3日に定例県議会が開会するということで、仮に9月議会で議論の場を設けるとなると、1か月を切っている状況です。知事としては、この議論を9月議会で始めるとなると、関西電力に4つの項目の回答をいつ頃までには出してもらう必要があると考えていますか。
[知事]
これは、いつ頃までに出してもらうというよりは、関西電力がどう考えながら物事を進めようとしているのかということが一番大きいと思います。出されるのであれば、できるだけ早くということでありますし、だからといって我々はいつだからダメだということもありません。できることしかできないですけれども、そういった状況なのかなというふうに思います。
[記者]
先日の共創会議でも伺いましたが、ロードマップを知事が容認する際に、関西電力が継続的な資金を拠出する仕組みの構築についての説明がなかったです。この説明も含めて、4項目の回答は、関西電力から説明を受けたい、あるべきだと考えますか。
[知事]
4項目の1つには、地域振興、地域の課題解決ということは入っているわけで、その進捗状況を見る中で、当然のことながら、約束いただいていること、これについてどういう進捗状況かということは見させていただくということだろうと思います。
[記者]
玄海発電所でドローンと見られる3つの光を確認されたという事案がありました。原子力発電所自体は、航空機衝突などに備えた対策はしていますけれども、ドローンのようなものに対する対策というと、どちらかというと事業者もしくは規制側だけの対策・対応には限界があるという話も聞きます。知事として、原子力発電所が今福井県で7基再稼働している中で、改めてこういったことへの対策と備えについて、国に対してどのようなことを求めるか伺います。
[知事]
これはすでに、まずは実動部隊である防衛省に対して、本田副大臣に私の方からも、とにかく漏れのないようにしっかりと連携を取りながらこの対策をやってくださいということも申し上げています。ドローンというのは、今ウクライナとかロシアの状況を見ていても、いついろんな他のものに転用されるかわからない、そういう技術だというふうにも認識をしていますので、これは福井県に限らずということでありますけれども、当然のことながら、また原子力発電所だけに限らず、非常に機微な場所というのは、当然どういうふうに対応していくのか、重要なことだと思います。これについては、もちろん今の効率的な仕組みとしては、警察の原子力施設警備隊がまずそれを受け止めて、それで治安出動を自衛隊にお願いして何とかするとか、こういうことなんだと思いますが、それが同時並行で動くわけですから、こういう現実をしっかりと捉えて、まずは体制を整えていただきたいと思います。もう1つは、やはり安全面、こういったものを規制委員会をはじめとして、こういった防災の面として、これに対応するといったことも同時並行で進めていただく必要があると思っています。
[記者]
先日の中村副知事と戸嶋町長の面談の中で、副知事から、今後必要な手続きがあれば県としても適切に対応していきたいという発言がありました。この手続きとしては、自然公園法に基づく県知事の認可といったことを想定されているのでしょうか。
[知事]
いわゆる安全協定に基づくということではなくて、通常の事業行為を行う際に必要となるような法律、手続きがあれば、企業の活動ということなので、大きな問題がなければそういったことについて対応していくということだと思っています。
[記者]
調査に関しては、自主的な企業活動の一環というようなお話もありましたが、その認可申請の際に関西電力から調査の内容を細かく聞いて、県として知事から何か意見するなどの考えはありますか。
[知事]
ここを掘りたい、というときに違法なことをすると言われればそれはダメですが、そうでなければ、その行為に対する通常の基準に従ってやっていくということかと思います。
[記者]
面談の際に副知事から、町長や町の意向は承ったというようなお話もありました。今後、そういった認可申請の手続きの際には、改めて県から町の意向確認であるとか照会は特にせずに、今回の報告を持って美浜町から調査全体に関して理解が得られたということで、県単独で進めるという考えでよいでしょうか。
[知事]
これは今も申し上げましたが、美浜発電所だからというよりは、その手続きの中で町の意見を聞かなければいけなければ聞きますし、そうでなければ通常通り県が判断していくということなのかなと思います。
[記者]
自主調査は関電独自の動きであり、今の段階では申し上げることはないとのことですが、福島第一原発事故後に止まってきた計画が再び動き始めた形で、福島県内で内堀知事に撤回を表明するよう求める要望書の提出が住民側からありました。調査の内容だけをもってすぐに原発の新設が決まるわけではないですが、事故後初めて新設に向けた具体的な動きが出てきたことについて、知事の受け止めを伺います。
[知事]
おっしゃるように、自主調査と言えども、これまでだったら建て替えということを想定されているのかもしれないけれども、いずれ、それにつながるような行為が始まったということをおっしゃっているのかもしれないですが、これは先ほど来申し上げている通り、そこに直接つながるというものではない段階なので、私どもが何かを申し上げることはないということです。いろんな事業者がいろんな思惑を持ちながら仕事をやられていると思いますが、それが最後、何か県の許認可に関わるからと言って、それを着手したから最初から何か言うかということと大きく言えば同じだと思います。
[記者]
今回、新増設に向けてこの調査開始が大きな一歩になるかと思います。知事は以前、古い原子炉をずっと動かし続けるよりもリプレースした方がよいというような趣旨の発言を安全性の面からしていたかと思いますが、新増設の動きが将来にわたり、美浜だけでなく他にも広がることを期待しているという思いはありますか。
[知事]
私どもは、原子力発電所をもっと作ってほしいとか、そういうことを求めているわけでは全くないです。あくまでも、これまで50年以上にわたって、国の原子力・エネルギー政策に立地の市や町と協力をしてきた、こういう長い歴史の中で、安全を最優先にしながら、地域の振興という部分はもちろんありますが、そういったことも踏まえて、原子力行政三原則を福井県は持っているわけで、安全の確保、地域住民の理解と同意、地域の恒久的福祉の実現、こういった物差しに合わせて、基本にしながら、これからも原子力行政を進めていくというスタンスです。
[記者]
電力需要はこれから増えそうだということなので、原子力発電が必要だというお考えをおっしゃっていたと思うが、どうでしょうか。
[知事]
私たちがなぜ原子力・エネルギー政策に志を持って協力をしてきているかと言えば、当然のことながら、やはり大きく言えば、私も審議会に参加させていただいていますが、電力の需要は非常に大きいということですし、これまでの間も、福井県で志を持ってみなさんが支えてきたこの原子力発電、それによって国全体の産業政策はもちろん、国民の生活も豊かになり、こういったことが進んでいるわけですので、そういったことを見て、今は我々としては協力をしていくという立場を持っています。
[記者]
高経年化した発電所が20年ほどするとなくなっていくと思いますが、知事はリプレースとか新増設がもっと必要だという考えは持っているのでしょうか。
[知事]
これは私どもがどうするということではなくて、プラスアルファのところはありますが、60年を超えては運転ができないわけですので、そういう中で、電力の全国的な需要などを考えて、国はそれをどう思うのか、そしてそれを受けて事業者がどう考えるのか、それがまず先であって、我々はその状況を注視するという立場になると思っています。
[記者]
共創会議の美浜高島道路に関して、調査・設計について、国の交付金を受けて県の事業としてやっていくという話でしたが、実際に整備の段階になっていくと、同じような枠組みでやっていくのか、それとも国道という位置付けで国がやっていくのか、どういう見立てで今後進めていく予定なのでしょうか。
[知事]
私どもの認識としては、細かいところがどうなるかというのは、一つひとつ全部見ていくということはあるかもしれませんが、当然、今回、共創会議の方針の中に示されているような路線については、国と事業者の方で、基本的には整備していただくと。もちろん県道であれば県が整備するとか、国道は国の補助とかももらいながらやるとか、いろんなやり方はあると思いますので、そういうところでは通常の関わり方はしていきますけれども、財源のところで言えば、国と事業者が基本的にすべてやっていただくということだろうと考えています。
[記者]
福井県内で整備する分には今のやり方でも問題ないかと思いますが、あくまで美浜町が求めているのは滋賀県の高島市まで通じる道路です。滋賀県の高島市に対して、協力がないと道路ができないわけで、国なり福井県なりが、どういうアプローチをしていくのでしょうか。
[知事]
まさにおっしゃる通りで、滋賀県や高島市の了解がなければ、勝手に作るわけにはいかないということがあります。財源については、国と事業者が、必要性を考えて用意していただくということですけれども、そこから先については、まずルートをどうするか、それから実際の整備のやり方をどうするか、こういったことを調整しながらやっていかなくてはいけないということは十分認識していますので、それをこれからも続けていくということだと思います。
[記者]
米の問題について、今年も猛暑が続いていて、まもなく収穫が始まっていたりしますが、現状この米の状況について知事の考えをお聞かせください。
[知事]
非常に渇水が続いています。暑い上に、雨が降らない状況の中で、3日4日前は一番苦しかったと思います。農家のみなさんも非常に暗い顔をされていました。ここ5日ぐらいから少しお湿りが来ている中で、少し顔色が明るくなってきたかなというところで、現実には、例えばダムで水を取っているところでいえばまだ貯水量が増える状況にない、このようなことなのだろうと思っています。ひとつは秋雨前線が少し南下をしてもう一回戻ってくるということがありますので、この雨に期待をしつつ、現状においても稲が枯れることも一部出てきて、量的には被害面積で、昨日現在で0.4%と聞いています。なおかつ、被害面積全体のお米がゼロということでもないので、被害の状況は今のところそんなところだと認識していますが、少しでも水不足を解消していくことが大事だと思っていますので、例えば、水を循環して利用するようにポンプで一旦降りていった水を上げるような工夫をすることや、また水を引く日を輪番で回すなどという工夫もしてご協力いただいています。また県としてできることで言いますと、冬に消雪で水をまきますが、この井戸が空いているのでそれが使えるところ、例えば、今のところ越前町で行っていますが消雪の井戸を使って水を上げ、それを田んぼなどまけるところにまく。こういったこともさせていただいていますので、これを広げていくことを準備ができたところからやっていきたいと思います。そういったポンプなどが急に必要になりますが、こういった必要経費も県として補助もしていますので、こういったことも使っていただくと思っています。まずは水不足解消が一番だと思いますので、なんとか雨が降ってほしいと念じています。ただ大雨にはならないようにと、贅沢なことばかり言ってはいけませんが、考えてもいます。
[記者]
越前市の破産手続き開始決定を受けた蓄電池開発会社APBについて伺います。破産管財人が先日の会見で、県と越前市が交付した約5億円の補助金の返還が難しいというような認識を示しました。結果的に破産に至る経営の不安定な会社に補助金を出したという形になりましたが、返還されない可能性が高まっているということも踏まえて、受け止めと、県として今後の対応をどうされるのかお聞かせください。
[知事]
補助制度は、当然、補助をすることで地域の振興に資するということで、APBについて言えば、我々としても将来性も雇用も確保できるということで、必要性、それから財務状況も確認させていただきながら、補助をさせていただきました。こういうことはもちろん起き得るということにおいて、それが途中で経営が行き詰まって、今回こういったことになっているということです。私たちは約4億円の補助をして、これに対して、今回譲渡契約が結ばれるというようなお話ですので、その財産の中から分配を受けるということですが、結果として全額というのはなかなか難しいという状況だと思います。これについては、そういったことが確定をした段階において、最終的には不能欠損処分になるのだろうと思います。これは県議会に議案として出して、議決を経ていくということかと思います。すでに県議会にも説明をしていますが、当然起きるか起きないかといえばもともとあり得ることで、事前からしっかりと我々としてはチェックをしながらさせていただいていますが、結果としてうまくいかなかったということは本当に残念ですし、申し訳ないと思っています。ただ一方で県議会の中で言われている議論は、だからといって躊躇して補助金の支出そのものをあまり制限的にするということはかえって地域の振興上どうかというような議論がどちらかというと多かったと認識しています。我々としては、この4億円について財源は全て国費で、原子力のお金を使っていますので、国にもいろいろとご理解をいただくという作業もしながら不納欠損の手続きを必要であれば取っていく。その上で今後について言えば、より慎重にいろいろと判断をしていくということですが、慎重に過ぎないように、実態を見ながらやっていく。こういうことで進められればと思っているところです。
[記者]
2点お伺いします。1点目が最低賃金の関係です。最低賃金の改定に関する議論が進められているかと思いますが、福井県は全国的に見たときあるいは北陸で見たときに決して高い位置にあるわけではないと思います。格差是正に向けてどういった議論を期待されているか教えてください。
[知事]
私は、経済界の代表の方、福井県の地方最低賃金審議会の会長、福井労働局長にもお願いに伺いました。方向性といたしましては、やはり福井県は非常に労働力不足という状況にあって、継続してようやく賃金が上がり始めたけれども、なかなか実質賃金として物価高に対応できている状況にまだありません。こういう状況が一つあります。もう一つは選ばれる地域になっていかなければいけないということも申し上げまして、大都市部の若い方、女性、また、外国人にも選ばれないといけません。こういうことを申し上げて、現状が全国の中位、ちょうど真ん中ぐらいだと思います。ただ近隣県等を見ると、福井県はまだまだ低い状況にあることが明らかですので、そうした大都市部との格差の是正こういったことも一つ念頭において最低賃金の審議をしていただきたいということを申し上げています。具体的には近隣県でありますけれども、同じ北陸の富山との間が今14円の差がありますので、この14円を2年程度で埋めていただけるようなことも一つあるんじゃないかという例示も挙げながら申し上げているというところです。こうした私どもの考えをもとに、最低賃金審議会の中で十分にご議論いただければと考えています。
[記者]
もう一点、違うトピックスになりますが、坤櫓の復元について伺います。今日もテレビ番組の企画の収録がありますが、県庁舎周辺のお堀の水抜きも始まりまして、いよいよというところがあるかと思います。復元に向けて改めて知事の思い、福井駅を下りてすぐ見えるランドマークにいずれはなっていくのかなと思いますが、どのように思われているのか教えてください。
[知事]
丁度良い一つの機運醸成になったとまず思っています。私も、矢板が打たれて、御本城橋のところに水をダーダーと流しているのを見ていて、何やってるのかなと最初は聞いたりもしたんですが、今朝通ってみたら本当に綺麗に、水があと残り30センチぐらいになっていて、ここから今日はお魚を水が張ってる方に移して、ブルーギルとか外来生物みたいなのは駆除する。こういう作業を今ちょうどやっていると思います。ボランティアのみなさん100人ぐらい参加していただけるということで、そういう意味ではテレビでも取り上げていただけるということですし、坤櫓ができるぞっていう意味の機運醸成につながってきてると思って嬉しく思ってます。昨日もちょうどそういうのを思ったので歩いてみましたが、坤櫓のところに上がると本当にスカッと駅が見えます。ちょうど恐竜がいるところがスカッと見えるので、反対から見ても見えると思います。大きさが高さ16mといいますので丸岡城の天守閣のところで土の上からですが12m、それから越前大野城が14.5mということですので、高さ的にはここが一番大きくなる櫓ができるので、ランドマークとしても駅の方から見るとよく見えます。
もう一個少し思ったのは、巽櫓をこの東側の角のところでやりたいというか、将来計画です。ここにこの前までJTのビルがあったのであまり先が見えなかったんですが、JTのビルは県が購入をして公園にしました。行ってみたらスカッと見えるようになって新幹線から見えます。北から入ってきた新幹線はちょうど斜めに入ってくるのでその斜め先に巽櫓ができるとこっちも見えるなという感じで、当分は県庁は建ったままですが、とはいえこういったものがランドマークになっていくということも実感として湧きましたので、しっかりと議会の同意も得ながら、予算もいただきながら整備を急いでいきたい。坤櫓は、今のところ令和11年度の完成を目指しておりますので、みなさんに使っていただき喜んでいただける施設にしていきたいと思っております。
[記者]
ちょうど1週間前ですが、福井市の女子中学生殺害事件で再審無罪と確定した前川彰司さんについて関連しての質問なんですが、福井県として今後再審法改正に向けて冤罪を生んだ地域の代表として、知事として全国知事会等で再審法改正に向けての働きかけだったり、機運を高める動きなどで知事の方で何か考えている方法等はありますでしょうか。
[知事]
前川さんの冤罪の件については本当に今いろんな形で報道等もされていて警察、検察こういったところがしっかりと反省もし、今後生まない体制を作っていただく、こういうことが必要なんだろうと思っておりますし、また前川さんには本当にお気の毒なことであったと心からお見舞いというか、お見舞いというのかどうか分かりませんが、私が謝罪ということも、最終的にはもしもいろんな補償ということになってくると県ということも関わってくると思いますので、そういった意味でのいろんな形の示し方ということは出てくるんだろうというふうに思っているところでございます。それをどういった形で制度化していくのかについては、国の方でしっかりとご議論いただいて進めていただくということです。今すぐ県がこうするというところまでは考えていませんが、また状況を見ながらそういったことについての議論もあれば、我々としても考えていきたいと思っております。
[記者]
今の事件に関連して、今お話の中で謝罪というお話もあったと思うんですが、必要があれば県の代表として謝罪される考えもあるということでしょうか。
[知事]
これはもう形というとおかしいですが、この後訴訟がどうなるかというのは分かりませんので、私は申し上げてはいけませんが、例えば県警であれ何かをするということの時の財源の出どころの代表が私であるということだと思いますので、これは責任のあるところがしっかりと謝罪すべきはしていくということだろうと思います。
[記者]
これまでの冤罪事件のケースでも見られる県や国への賠償請求とかそういう段階で必要があれば対応していくということでしょうか。
[知事]
おっしゃるとおりです。私はまだちょっと先走りすぎているのであまり申し上げていいような場面ではありませんが、そういうときには県の関わりが出てくるということだと考えております。
[記者]
最低賃金のところでもう一点伺います。まさに賃金が上がるというのはもちろん労働者目線ではいいと思うんですが、近年の物価高がかなりコストプッシュ寄りなのでいかに賃上げの原資を確保するかというところ、特に中小企業は大変だと思うんですが、現状の県内の企業さんの状況を県として、行政側としてどう見ているかというところをお伺いしてもよろしいでしょうか。
[知事]
これは使用者側というか経営者側から見るとだんだんと厳しくなっていると認識をいたしております。経済界からお示しいただいた資料の中でも3年前ぐらいから急にポンポンと給与、最低賃金を上げてくる勢いが増してきているところですが、当初に比べて最低賃金に留まっている従業員の方の比率というのが上がってきているという現実があると思います。そういうことから言えば、より経営に直接影響を与えていく環境になってきているということは認識をいたしております。その一方で、やはり社会全体の発展ということをトータルで考えたときに先ほど申し上げたスタンスで私ども申し上げております。そういうことからこれは経済団体の皆さんにもまた議会でも申し上げておりますが、前向きに原資を作っていく、こういうことに私たちとしても行政として力を入れていくということを考えておりまして、例えば収益力強化といったことの補助制度も今年度も大きく膨らませていただいて持たせていただいていますが、実際に昨年を大きく超えて伸びてきております。こういうような状況でもございますし、また価格転嫁についても力を入れていきます。さらに国のほうのいろんな制度がありますので、こういったものも使いやすいような形で県が上乗せをするとかいろんな方法があると思います。引き続き、こういった苦しい事業者に対して前向きに解決をしていくことの応援を強化していきたいというふうに思っております。
―― 了 ――
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