知事記者会見の概要(令和7年9月2日(火))
令和7年9月2日(火曜日)
10:30~12:24
県庁 特別会議室
[知事]〔配付資料:令和7年度9月補正予算案について・予算案の概要・主要事業 〕
明日開会になる9月県議会に提出する9月補正予算案について、まず概要を説明します。大きく4点について、予算の重点ポイントとしています。
一つは観光誘客・まちづくり、それからトランプ関税などの地域経済の関係、それから長期ビジョンの推進、さらには公共事業の内示がありましたので、これによる増額の予算です。規模としては、一般会計が37億円、これで年間のこれまでの一般会計の予算規模が、5,106億円になっています。具体的な中身になりますが、一つは観光誘客の関係で、若狭湾サイクリングルート、これが新しいナショナルサイクルルートとして、今年度末から来年度にかけて新しく指定されるのではないかと言われています。これに向けて整備を進めてきました。大体整備はできてきたと感じていますが、その上でメリハリをつけていくということで、例えばここで写真を撮るといいというようなモニュメントを作ったり、起点や終点の看板を作ったり、また利用した方から、ここが分かりにくいというお話もいただいていますので、そういったことについても案内看板の整備をしていこうということです。続きまして、大阪・関西万博、ここで福井県ゾーンは大変な人気をいただいています。21万人を超えるお客様にお越しいただいているということで、当初からできればその後も二次利用といいますか、レガシーを残していけないかと考えていましたが、今回いろいろ考えて、おおい町のこども家族館に福井県ゾーンの展示物を移設してこようということで、大人気の大型4面のVR映像、こういったものもありますし、それからデジタル化石発掘体験、こういったようなものも、こども家族館で楽しんでいただけるようにしていこうと考えているところです。
続きまして、米国関税の関係です。これについては先日、経済団体等から聞き取り調査を行いました。現状において大きく影響が出ているというよりは、今後は不安であるといったことが多かったかと思います。一方で、具体的に個別の企業によっては、影響が出てきているという報告もあったところです。既に例えば融資や前向きな設備投資などに対する補助制度を設けているところですが、併せて、この中で県内企業の取引状況、米国関税の影響を関連事業者、川下の方にしわ寄せを持っていかないような調査を行っていくこと、それからまた企業の方からの相談に応じて、専門家を派遣して伴走支援を行っていくことも考えているところです。また、コロナ禍やリーマンショックの時にもありましたが、今後どのように展開するのか見通せないということがありますので、今回予備費の創設もお願いしようと考えているところです。続きまして、「地域経済・暮らしを支える基盤の強化」の中の一つは、福井空港の再整備です。これについては、「再整備構想」に基づき、福井空港の防災機能などを強化、それから再整備をしていくものです。新空港ビルや駐車場の基本設計、地質調査に着手をしていこうと考えているところです。これにより、例えばDMATの活動をするような範囲も倍ほどの人数ができるようにし、またチャーター便のためのロビーも少し拡張していくことを考えているところです。ヘリコプターも小型であれば、15機ほど駐機できるようにしていくことも検討していくところです。続きまして、干害対策等特別事業ということで、既に当初予算で一千万円の予算を持っていますが、今年の夏はご案内のとおり、特に梅雨明け、昨日発表になりましたが、梅雨の期間が6月29日までだったということで、7月は普通は20日頃まで雨が降るというような状況でしたが、7月の降水量は1割ほどというようなところがたくさんありました。干ばつの被害も懸念をされているというところです。例えばこの用水ポンプを既に使っているところもあると思います。市や町、土地改良区などに対する補助制度というのを持っていますので、予算が足りなくならないようにということで、今回これから申請が出てきますので、その上積みをさせていただくということです。
続きまして、「長期ビジョンの推進」ということで、県立大学に「Global Gateway(グローバル ゲートウェイ)(仮称)」というところを整備しようというものです。現在、交流センターというところがありますが、この中をリフォームして、この「Global Gateway(グローバル ゲートウェイ)(仮称)」を整備していくということです。実践的な語学力の強化ということで、例えばAIを使って語学力、英語力をつけていくような機器の整備も行いますし、Eラーニングができるような施設も設けていくということです。また、交流ゾーンということで、日本人の学生と留学生などが交流する、または留学生のみなさんがいろいろ相談をされる場所も作っていこうと考えているところです。併せて、留学をする人、こういった方々の応援をしていこうという場所として、考えているところです。それから続きまして、ひとり親家庭高等職業訓練給付金事業です。これはひとり親の家庭というのは、どうしても子育ての方にも手を取られるということで、パートやアルバイトなどで生活をつなぎながら、子どもの世話をしながら、生活をしていかなければいけない状況にあります。所得の水準も一般的に低い状況にあり、さらには何かステップアップしようと思った時にも、食べていかなければいけないので勉強する時間もない、こういったところを何とか改善しようということで、既にそういったいろいろな学校に通うような経費については、国の支援事業があり、それから福井県ではその上乗せをさせていただく、こういうこともこれまで実施をしてきているところです。とはいえ、今勤めているところを一旦休まないといけないような、1日中かかるような勉強をしていく必要がある場合も多くあります。そうした生活の支援をすることで、一旦仕事を辞めて勉強に集中をすることも可能になるようにということで、園芸カレッジのようなところでもやらせていただいていますが、当初は収入がないので、月々15万円給付をさせていただくということをしています。こういったものに合わせて国の制度は既にあるが、金額がまだ小さくてとてもこれでは生活ができないので結果として職業訓練が受けられない、こういった方々に向けて福井県の水準である月15万円の生活支援を行う、これを特に国の制度の場合は非課税という水準、200万円と少しの収入を超えていくと一気に手当が低くなることがあるので、そういった課税世帯に対して、所得制限を撤廃して、月15万円の支援をさせていただく、また子ども1人ごとに1万5千円を加算することで、生涯にわたって一人親のご家庭も生活水準を維持できるような体制を整えていきたいと考えているところです。続きまして、「長期ビジョンの推進」の中で、原子力発電施設等立地地域基盤整備支援事業について、共創会議の中で決定もいただいていますが、避難道路等、敦賀第二環状道路や美浜・高島道路の整備にかかる調査に着手すること、また嶺南の市町の取組みは国の交付金が40億円総額であります。それを県と市で分けて使いますが、こういったことに敦賀市と高浜町で事業に着手していくということで、それを国のお金を県経由で市町の事業に使うということになっているので、その分も予算措置させていただいています。
それから公共事業が、例えば、福井港丸岡インター連絡道路や龍ヶ鼻ダム、こういったところの事業についての増額の査定等がありましたので、これについての公共事業費の増額を行っていこうという予算も整備させていただいているところです。
私からは以上でございます。
~質疑~
[記者]
予算額としてはここ数年の同時期の補正予算と比べると絞った予算額になっているのかと思います。北陸新幹線の関係が少し落ち着いたということなのかと想像するのですが、今回特にそのように絞った予算になった上で、予算編成する中で特に意識されたことを教えてください。
[知事]
規模がある程度落ち着いているのは、公共事業の増額の部分が今回当初予算と比べてそれほど大きくなかったというところが大きいかと思っております。他のところも、6月補正などもいろいろ実施もさせていただきましたので、そういったことも含めて、かなり金額的には絞られた形になっているように見えるというところです。そういう中でも現状、特に急がなければいけないものには力を入れています。先ほど申し上げましたが、若狭湾サイクリングルートは、新しいナショナルサイクルルートの選定が迫ってきている中で、水準としては上がってきていますが、メリハリをつけるということの重要性がありますので、今のいろいろなご議論を伺って、それをやらせていただくということです。また、大阪・関西万博の福井県ゾーンの評判が非常によろしいといったみなさんの声を踏まえてレガシーを残していくといったことを重要視させていただきました。米国関税という喫緊の課題にも対応していこうと考えて措置をさせていただいているところです。
[記者]
個別のことですが、米国関税措置対策について伺います。今までの融資や補助制度などされてきている中で、今後必要な対策を迅速に実施するため今回新たに予備費を創設されたということですが、そのあたりどういうことを想定されているのか、具体的にどういう使われ方をするのかというあたりを教えていただきたいのと、今回全体として米国関税措置対策として2億円盛られたのですが、そのあたり算出の根拠を教えてください。
[知事]
何に使うかはよくわからないので予備ではあるのですが、我々が想定しているのは、やはり資金繰りが非常に厳しくなるということです。それからやはりこの米国関税を乗り越えるためには、物を安くするというよりは物の価値を上げていくというのが、例えば眼鏡の業種が非常に大きな影響を受けるというふうに言われておりますが、一方でお話を伺っていると、やはり鯖江の製品というのは高価格帯のほうに相当力も入れている、そうすると、それほど今すぐに大きな影響が出ているという状況ではない、こういうこともあります。やはり、いい製品を作るということが非常に重要だということもありまして、販路開拓であったり、さらには商品のレベルを上げる、もしくは収益性を上げていく、こういったような前向き投資というようなことも考えられると思います。その他は今回の予算にもあります通り、相談事業を行ったりなど、しわ寄せがきていないか、こういうこともチェックをしていくのですが、今申し上げたようなことも一つは想定できますが、これからはどんなことが起きてくるのか、例えばリーマンショックの時だったら直接雇用するなど、こんなこともありましたが、そこまで影響がいくのかどうか分かりません。そういったようなことを踏まえて予備費の創設をさせていただこうと考えております。
規模につきましては、例えばコロナの時であれば、国の交付金を見ながらというところはありましたが、毎年8億円や5億円など設けさせていただいたり、リーマンショックの時には6億円ぐらいの規模のものを3年間続けさせていただきました。そういったところも参考にしながら、また現状のみなさま方の状況を先日も聞かせていただきましたので、その辺のところはある程度念頭において2億円ということを考えさせていただいたというところです。
[記者]
予算の内容の個別の事項について、「観光誘客・まちづくりの促進」の中の万博の二次活用について伺います。これがおおい町のこども家族館への移設ということで、いろいろ検討を進められる中で、他にも候補の施設などあったのかと推測するのですが、あえてこのおおい町、恐竜王国福井の文化に普段なかなか触れないという地域なのではないかと思いまして、そういうのもあえてだったりするのかと想像したりするのですが、ここのおおい町に置く意図を改めて伺います。
[知事]
これはおおい町からも、かねてから恐竜など置いてよ、という話もありましたので、そういうことは一つありましたが、これはおおい町に限らずですが、本当に恐竜の話は県下全域、決して恐竜博物館に限らず、もっと恐竜をいっぱいにしたらいいというお話はいただいています。そういう中でおおい町は、やはり京都にも隣接されていますし、西の方から来られる方にとっては非常に便利のいい場所ということで、こども家族館も日頃から福井県民のみなさんにもご利用いただきますが、京都の方からお越しになられる方などにも多くご利用いただいている、そういうような場所であるということもありまして、要請もありましたし、以前からこれについてということではなかったですが、それからこども家族館という場所柄、それから隣接する関西からの入り口、車で来るときの、こういうような場所であるということも踏まえてこの場所にと考えさせていただいております。もちろん県の施設でもありますので、そういったことも念頭に置いているということです。
[記者]
先ほどの6ページ目のご説明をされていた時に、私の聞き間違いかもしれないのですが、敦賀市と高浜町とおっしゃられましたが、原子力発電施設等立地地域基盤整備支援事業に関して、これは敦賀市と美浜町と解釈したらよろしいですか。
[知事]
もともとこれは共創会議の計画の中に入っているものであれば、それは活用できるような中身になっていますので、今回は敦賀市の給食センターのところと高浜町のシーサイドラインの道路の調査に市町が使いたいということでしたので、これは市町の意向で県はそれをトンネルで支援するということになっています。
[記者]
万博の展示物の移設について伺います。設置場所について関西からの入り口であることも触れられていましたが、県内外どんな方々に訪れていただきたいかという点と、設置することで期待される効果について教えてください。
[知事]
多くは家族連れということだと思います。他のゾーンと比べても大人よりも子どもの比率が高く、7月16日の恐竜王国福井DAYの様子などを見ていても、本当に子どもの声がいっぱい聞こえてきて、子どもが手を挙げて質問などするというところは他にはあまりないようにも見受けられます。子ども連れ、ご家族でおいでいただくこども家族館がいいのかなと思います。恐竜王国福井ということをさらに印象づける一つの拠点になっていけばいいなとも思いますし、またおおい町周辺で、観光客のみなさんがいろいろ消費活動していただくようなこともありがたいと思っていますし、またこれを起爆剤に、これは恐竜は嶺南でもいけるなという思いがさらに強くなっていただければ、民間の企業だったり、個人も含めて、恐竜王国ということを意識した自分なりの装飾だったりなど、何か売り込むなどということを始めていただくきっかけにもなればいいなとも思っています。
[記者]
発表資料5ページのひとり親家庭高等職業訓練給付金事業について伺います。今回制度創設ということですが、知事から、国の支援では金額が小さくて訓練を受けながら生活を維持することが難しいという話がありましたが、現状国の支援だけで県内でどの程度の利用があるのかということと、今回補助金については多分来年度の当初予算などで予算をつけるのだと思いますが、どの程度利用が増えると想定されているか教えてください。
[財政課長]
例えば昨年度新規で言うと2件です。だいたい平均で年間5件程度の新規案件があります。今回の予算ですと、年間15件程度を新規で毎年申し込みがでてくるのではないかということで予算化しています。
[知事]
5件程度にプラスアルファの部分で全体で15件ということです。
[記者]
県独自でこども加算を設けられるかと思います。ふく育県ということで子育て世帯により手厚くというところだと思いますが、知事としてのお考えを教えてください。
[知事]
最初に申し上げましたが、ひとり親ということは子どもがいるということになるわけでして、お子さんがやはり一人より二人、三人と増えていくと子育てに取られる手間が大変大きくなって、自分の勉強の時間であったり、もしくは本当に自分の自由な時間も取りにくい、こういう環境にあるかと思います。そういう中でさらに新しいステップアップしていこうという方に、子どもの数に応じた形で、ある程度加算をさせていただく、もちろんそれだけ生活費もかかりますので、こういったところに配慮をさせていただいているところです。
[記者]
先ほど知事が今回の補正予算について、急ぐところは急ぐというようなお話がありました。今県民で一番支援を求めている、急いで求めていることとしてやはり物価高対策というのはあると思います。今回の補正予算のラインナップを見ますと、物価高対策に対しての直接的な支援というのは見当たらないのかと思います。例えば高騰する米対策について6月補正では酒造会社に対して酒米を購入する分の補助金を盛り込みました。今回米対策についても直接の予算はないわけですが、物価高対策を盛り込まなかった点について今後どのように対応していくかを含めて知事の現時点のお考えをお聞かせください。
[知事]
これは盛り込まなかったのではなくて、すでに当初予算で、例えば子育て世代でお米が不足するのではないか、買いにくいのではないかというようなことで措置をさせていただきました。これについて8月までということでやっていましたが、これを11月まで延ばさせていただきました。また生活困窮世帯に対して、生活支援物資を差し上げるということも継続させていただいておりまして、まだまだ予算的にはこの枠が残っています。こういうような状況の中で逆に使っていただければということの支援というか、PR等もしていくと考えていますし、また電気ガス事業者に対する電気やガスや燃料費等の支援についてもおっしゃっていただいたように6月補正で我々としても措置をさせていただいて、国が措置する間は県としてもやらせていただきたいと考えているところです。また一つ大きいのは例えば最低賃金です。これについても、先般、最低賃金審議会の方で答申があり、決定いただいておりますが、こういったことについてやはり給与水準を上げていくということについて、県として全力を挙げてきたということもあります。いずれにいたしましても、全国的な課題としての物価高騰は当然今も続いているわけでして、今国の方でもこれから想定されるという意味においては秋の補正予算といったものの中で、こうした物価高騰、米の高騰こういった対策なんかも講じられるとも予想されますので、こういったものの交付金等を見ながら県としてもさらに状況を注視しながら必要な手立てを講じていきたいと考えているところです。
[記者]
知事の言及の中に賃上げの話がありました。隣県の石川県ですが、能登地域だけだったのか覚えていませんが、賃上げした企業に対して県が予算をつけて直接支援をするというようなこともしているように聞いています。今回知事は、県内企業に賃上げを力強く訴えていらっしゃいましたが、この県としての財政支援を含めて賃上げをさらに後押しするような施策を今後どのようにお考えなのか教えてください。
[知事]
常に賃上げをしていただきたいということもありまして、当初予算の段階で、すでに例えば業務改善助成金に県単独で上乗せをさせていただく予算措置はできています。また一定以上の賃上げをしていただける企業には、さらに奨励金の手当もさせていただいていまして、当初予算の中で組んであったものをこれから募集させていただこうと思っています。また個別の企業さんについてのご相談について伴走支援をしていくといった制度についても設けさせていただいています。その上で福井県としては、これは今回の賃上げに限らずですが、価格の転嫁等も含めてできるようにということもあって、例えば企業の収益力の強化や販路の開拓というために、これも当初予算でその前向き投資に対する助成金を出すと、これも当初予算で大幅に昨年度より増やさせていただいて結果として非常に各企業から昨年度を上回る形で申請もいただいているということで、そういった準備をしてきて今回の最低賃金の引上げにも対処できるようにしてきたというふうに考えていますし、準備ができておりますので、これからその効果をすぐに発揮させていく、そう考えているところでございます。
[記者]
若狭湾プレミアムリゾート構想について伺います。今日の午後、優先交渉権者の方との協定締結があると聞いております。新幹線効果を敦賀以西に波及する上で大きな目玉ですが、ようやくこの交渉が始まっていくということです。第1弾としてエンゼルライン第2展望スペースの整備計画を提案した企業との交渉が始まるということですが、この若狭湾プレミアムリゾート構想がいよいよ始まる期待感と、今後たくさん候補地あったと思いますが、まず今年度どのあたりまで企業との協定が結ばれていくのか見通しについても教えてください。
[知事]
これは今年の2月から募集を開始させていただきました。各市町から手を挙げていただいた候補地9か所について募集を行いまして、3か所にそれぞれ1事業者ずつ3か所に手が挙がってきた中で第1弾の基本協定です。今後中身を詰めていかないといけませんが、こうした大きなリゾート整備を行う構想が2月にスタートして、この段階ですでに3社から手が上がって、事業が動き始めていくというのは相当のスピード感であると思っています。今日の午後詳細はお話をさせていただくと思いますが、大変期待をしているところです。その上で、今年中に基本協定が結べるかどうかは必ずしも分かりませんが、とりあえず3か所は手が上がってきているということです。候補地はまだ残りが6か所ですが、市町が新しい場所を出す話が出ていますので、そういったものも含めて、年内だと思いますが、次の2回目の募集に結びつけていきたいと考えています。
[記者]
今のプレミアムリゾートの計画に関連して、県内の観光客の動向についてどう見ていらっしゃるか、その前提を伺います。新幹線の効果もあって観光客は増えている一方で、宿泊者数はコロナ禍前の水準に戻っていないというところで、嶺南地域への観光の現状の課題を知事としてどう捉えているか。それをこの構想でどう変えようとしているのか、そこのお話をいただけますでしょうか。
[知事]
新幹線の開業効果は決して嶺北だけではなくて、以前もご説明したかと思いますが、嶺南地域も2割弱ぐらいはお客様が増えてきていて、しかも単価も上がってきているということでして、観光客の入込み、それから売上げ、こういった意味では新幹線の開業効果というのは徐々にですが嶺南地域にも及んできていると認識をしています。そういう中でこれは開業前から私どもが準備をしてきて、みなさま方にもお声掛けをして、そういった動きが始まっていますが、一つにはやはり漁家民宿というのが非常に重要な要素として嶺南地域もあるわけですが、ここのところでよりグレードアップといいますか、みなさんにお泊まりしていただきやすい、選んでいただきやすいような状況にするというようなことで、一つには民宿リニューアルというような形でそれぞれの小さな民宿でも直せるし、また旅の目的になるような大きな民宿を作る。魅力ある民宿を作るこういったことにも力を入れてきたということでして、これは小浜市なども含めて手を挙げていただいて、実際にもう嶺北に負けないぐらい嶺南だけでも進んできているというふうに認識しています。こういう中でも今回のプレミアムリゾート構想を発想した根本にもありますが、やはり富裕層といいますか、「若狭っていいところだよね」ってこういうふうにみなさんに思っていただくためには、やはり目指すような場所、あんな綺麗なホテルに泊まってみたいとかあんな夕日を見てみたい、そういうブランド力というのが非常に重要だということを考えまして、プレミアムなリゾートを作っていくという構想を発案して実施をさせていただいているところです。どんどんご自身の投資で地域の旅館・ホテルのみなさんが改善をして改修もしていただいている上に、やはりブランド力をつけるという今回の事業を加えて、さらにこれから新幹線が西に伸びていく、こういうことも捉まえながら観光誘客にも力が発揮できると思いますし努めていきたいと考えているところです。
[記者]
先週、関西電力が乾式貯蔵の事前了解に向けた判断材料としていた4項目を説明しました。それに先立ち、地域振興という点では毎年50億円程度を拠出するというような考えも示されました。それらを含めて、全体の受け止めと、事前了解できるような内容と思われるのかどうか、今後、事前了解に向けた進め方を伺います。
[知事]
1つには、これまで課題だった地域振興に、継続的に資金を拠出する方式が示されました。その上で今回、先週の金曜日には、乾式貯蔵施設の事前了解に向けて、4項目を出して検討をお願いされたということだと思っています。これについては、1つには、やはり今まで課題であった地域振興にかかる必要な予算の基になる財源について示してきたというのは、1つの前進であるというふうに評価はさせていただいています。ただ、4項目全体については、これからまだ、ロードマップの進捗状況等を、議会も含めて確認をしっかりとしていただく必要があります。また、いろんなその他の点についても、検討していく必要があるので、この議会で、まず議論をしていただくということだろうと思っていますし、その結論はいつかというようなスケジュール感を持っているわけではありません。
[記者]
2030年頃から操業開始を目指すとしている県外の中間貯蔵施設がまだ決まってない段階で、搬出の時期だけが今回示されたということだと思いますが、その実効性を疑問視する見方も県議会から挙がっていると思いますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
[知事]
議会の中で、いろいろと議論をいただくんだろうというふうに思っています。元々の私どもが申し上げていた大元は、具体的な搬出時期の考え方については、逆に言うと、乾式貯蔵施設だと安全に管理ができて、そのままずっと置いておかれるのではないか、そのまま最終処分地になってしまうのではないか、こういった疑念を議会の中で唱えられたというところを踏まえて、搬出時期をどうするのかということを明確にしようと。他のところでは50年で絶対持っていくだとか、こういう約束をしろとか、こういうふうな流れの中でのお話だったというふうには理解しており、こういったことを、搬出時期の考え方として示していただいたわけですので、今後、議会の中で、しっかり、もしくは立地地域も含めて、ご議論いただくということなのかなと考えています。
[記者]
2035年までに乾式貯蔵施設から県外に搬出するとして、実行できない場合は改めてプールに戻すというようなことを覚悟として今回示されたということになります。乾式の方が安全性が高いという中で、改めて、実行できない場合はプールに戻すという考え方というのはなかなかちょっと理解が難しい部分もありますし、覚悟としてはややわかりにくいのかなとも思いますが、その辺り、どのようにお考えでしょうか。
[知事]
これもまた議会の中で十分にご議論をいただければというふうに思っています。ただ、プールが安全でないということはないわけですので、これはしっかりとした規制委員会の中の議論を経て、許可されているものです。そういう意味では、電力を使わなくても冷やし続けられるというようなことで、安全性が高いと言われる方がいることもそうですが、安全性は十分に担保されているというふうには認識しています。これは、戻すとか戻さないかという議論そのものが、本質的なのかどうかという気はちょっとしており、これまさにおっしゃっていただいたように覚悟を示したということであって、総量として増やすということを言っているわけではないですので、そういう意味では、関西電力としてどういうふうな考え方をすれば覚悟が示せるかという中で、今回はこういう言い方をしたのだろうというふうに考えています。そういったことも踏まえて、今後議論をしていただくということと思っています。
[記者]
2035年末までに中間貯蔵施設に出せなければプールに戻すという話について、県議会の議員もおおい町長からも、プールに戻すという覚悟の示し方については疑問を抱いている方が多いのかなという印象を持っていますが、今後、事前了解をするかどうかという判断が様々な意見を聞いてあると思いますが、この覚悟の示し方については疑問が残る中で、細かい内容について関西電力側に変更を求める可能性とか考えはあるのでしょうか。
[知事]
これはこれから議論なので、いろんな意見があるということは当然考えられますし、そういった話が実際にあったということかと思います。これは関西電力としての考え方が示されたわけですので、これをしっかりとこれから、立地の町も含めてご議論いただくということだろうと思っています。県がこれをああしろこうしろというような性質のものではないというふうに思っています。
[記者]
中村副知事も、8月29日の水田副社長との面談の際に、関西電力の事前了解の検討要請に対して、県議会はじめ立地町、安管協等々の考えを踏まえて議論を始めるというような考えを示されました。現状、原子力規制委員会の許可を得ているのはまだ高浜1期目のみということですが、今回9月議会で議論するやり方として、高浜1期目のみを対象として事前了解の判断をするのか、それとも全体をまとめてやろうとされているのか、どういう考えでしょうか。
[知事]
これまで4つの項目をこちらとしては示させていただいていて、その中には規制委員会による厳格な安全審査ということを書かせていただいています。全部で4つの場所について、大きく言えば、安全審査のところは、高浜1期目だけが許可を受けているというような状況にありますが、それ以外の部分は、ほぼ共通した内容だというふうに思っていますので、そういう意味では、1つ1つの安全審査が終わったら、1つ1つについて考えを決めていくということなのだろうと思いますが、大きな共通点の部分については、議論ができる部分はあるのではないか、それも含めて、議会の中でご議論いただくのだというふうに思っています。
[記者]
4項目の1つに、ロードマップの実行状況があり、その中で言えば、日本原燃の再処理工場が今後、審査で11月までに本当に説明完了ができるのかどうかというのが、広い意味で言うと、ロードマップの実行状況にも関わるのかなと考えます。現段階で、原燃は目標に変更はない、説明を終えられるというふうに言っていますが、この審査状況というのが、県の事前了解判断に何か影響を与える可能性というのはありますか。
[知事]
当然、ロードマップの進捗状況ということですので、その中の一番大きな部分というのは、六ヶ所再処理工場が予定通り竣工するのかどうかは大きいと思います。そういう意味では、1年半後、来年度末までに竣工するのかどうかということについては、大きな影響はあるというふうに認識していますが、現状においては、11月までに、設工認の説明を終了する、こういった目標について変更はないというふうに原燃も、それから関西電力もおっしゃっているという状況なのかなと認識しています。
[記者]
今、現段階で県として、本当に11月までに、もうあと2か月以内の話だと思いますので、説明が終えられるのかどうか、審査状況を見極めて、最終的に事前了解を判断するとか、そういったお考えというのはありますか。
[知事]
これは、見極めというのはタイミングとの兼ね合いもあると思います。どのタイミングで判断をしていくのか、その段階で、来年度末の竣工に向けての、ロードマップとか段取りのところがどういう状況にあるのか、こういったものを合わせて検討していくということになると思います。
[記者]
今後、福井県内に対する寄付は、この新しいスキームで一本化するということですが、県として、今回、この寄付というものをどういった用途での活用を検討されているのでしょうか。
[知事]
県としては、共創会議の中で示されている事業にあてていくというふうに考えています。
[記者]
共創会議、様々な事業、多岐にわたると思いますが、県とすると、例えばどのように優先順位をつけていって、どのようなことから実現に向けて進めていきたいというお考えがありますか。
[知事]
共創会議の事業というのは、いろいろ多岐にわたっていて、例えば道路事業であれば、元々時間もかかるようなものもありますし、また他にも、例えば病院の機器も、いろんな施設も整備していくとか、それぞれに時間軸が全く違う、それから方向性も違っていますので、あまり順番を決めてもうまくいかない、というよりは、それぞれに別々に必要性があるわけですので、いろいろと状況が整ったところで、事業化を図っていく、県の方で予算化をして、それに対して、今のお金を収入として受け入れていく、こういうようなことになっていくんじゃないかなと思っています。
[記者]
申請の仕方に関連しますが、県であったり立地町というのは、直接寄付に向けて具体的な事業であったり金額の申請はできると思いますが、例えば商工団体、もしくは経済団体、観光団体等が寄付の申請をして実際に寄付を受けるとなると、一体どういった事業にいくら使われたかというのが見えづらくなるのかなと思います。県として、例えば、この透明性を確保するために、毎年度50億円の主な使われ道、金額、行政だけではなくて全体としてどれだけ使われたかというのは、透明性確保のためには公開してもいいのかなと思いますが、知事としてはどのようにお考えでしょうか。
[知事]
透明性というか、公共に使うものは全部、県の予算を通ったり、市や町の予算通ったりするわけですし、また、今回の関西電力のこのお金というのは、これはすでに今までもいろんなところへ出しているお金、こういったものも含めてという考え方だというふうに聞いていますので、これはもう信託全体については、関西電力のことなのかなと思っています。我々はしっかりと予算として位置付けながらやらせていただきます。関西電力は関西電力として、地域の振興のために必要な額を、そこから出していくということなんだろうというふうに認識をしています。
[記者]
年50億円という巨額の金額であり、関西電力とすると、あくまで信託に拠出して、どういった事業にどれぐらいの金額が使われるかは第三者機関が決めることだから公開はしないというような考えを示されています。県として、この年50億円基準額の寄付を、要請に応じて勝ち取ったというふうにも見えますが、県がリーダーシップを取って、最終的にどういったところにどれぐらい使われたのかというのを、まとめてもいいのかなとは思いますが、どうでしょうか。
[知事]
まとめるというか、これはもうまさに地域振興として、私たちは共創会議というのを持ちながら、これについて必要なものを地域振興に使う、使えるようにしてくれということを、国や関西電力に申し上げて、それに対する長期的な財源を用意したいということだと思います。私どもとしては、そうした道路の予算、その他の地域の振興にかかるような予算、こういったものは非常に額も大きいですし、多岐にわたる、長期にわたるというふうに思っていますので、これに必要な、十分で安定した財源、こういったものを確保していく、これが大事だと思いますので、これを国にも関西電力にも求めていくということだと思っています。
[記者]
2035年末までに乾式貯蔵施設から燃料搬出できなければプールに戻すことについて、知事は、覚悟として示されたという認識を話されましたが、この点について疑問視する声が多いのは、関西電力はこれまで県との約束を何度も反故にしてきた経緯があります。その意味で、県として厳しく確認、熟議を尽くす姿勢というのは必要と思いますが、その点について考えはいかがでしょうか。
[知事]
関西電力がもう一つ言っているのは、乾式貯蔵施設に入れる量というのは、中間貯蔵施設の空き容量を超えては入れないということをおっしゃられていますので、そういう意味では、元々上限がある話だというふうに思っています。だから乾式貯蔵施設が無尽蔵にどんどんどんどん溜め込まれていくという環境にはないというか、そういった状況にすると言っているわけですので、トータルで見て、よく議論をしていかないといけないのかなというふうに思っています。
[記者]
関西電力からの地域振興に対する資金拠出の仕組みについて、関西電力の説明では、当面の間、年50億円を基準となっていますが、要望していた知事としては、この寄付がどの程度の期間続くことを期待していますか。
[知事]
期間、規模というのは、本当に足りているのかどうかというのは、これから道路事業がどうなっていくのか、それから地域の振興がどう進んでいくのか、ここを共創会議なんかで見ながらということだと思います。非常に大きな金額を提示していただいているということは認識をしています。その上で、先ほど申し上げましたが、事業が非常に大きいということ、例えば避難道路1つとっても事業規模が大きくなる、そういうことでもありますし、期間も長くなっていく。その上で多岐にもわたっているというようなことがありますので、目的はあくまでも共創会議なんかで示されている地域の振興の事業を実現していくということですので、これに向けて必要十分かつ安定的な財源をしっかりと拠出していただく、これが大事なのだというふうに思っています。
[記者]
いつまでという目途はないということですが、共創会議の工程表に打ち出されている事業に使われていくという方針を示された中で、例えば工程表に示されている事業が完了するまではなど、最低限度の目途もないのでしょうか。
[知事]
当面の間というふうにも言っていただいていますが、これからの議論だと思います。いずれにしても、我々は、安定的に十分な財源を、必要かつ十分な財源を確保していくという考え方のもとに、これからも継続していくんだろうというふうには考えています。
[記者]
乾式貯蔵の件で、県議会でも搬出先が示されていないということでは絵に描いた餅じゃないかというような発言もありました。元々ロードマップは中間貯蔵施設の県外候補地に代わるものとして関西電力から出てきて、それを知事が認めたという経緯がありました。その中の1項目の中間貯蔵施設の議論に結局戻ってきているわけで、県外候補地を曖昧にしたまま進んできたことの結末が今ここにあるかと思いますが、いかがでしょうか。
[知事]
今の話は理論としてはよくわかりますが、乾式貯蔵の議論は、いずれかというと、乾式貯蔵ができるといつまでもそこに置いておくんじゃないかというような議論の中でスタートしているのかなと。だから搬出時期を明確にしろというようなことがあったのかなと思っています。その上で、中間貯蔵施設の早期完成というか、早くしないといけないのはもう全くおっしゃるとおりだと思います。そういった意味で言えば、関西電力は2030年頃、県外に中間貯蔵施設を作って搬出していくということを、引き続き言っているわけですので、こういった方向に向けて、しっかりと候補地を決めていっていただきたいというふうに思っています。
[記者]
乾式貯蔵だとずっと置かれてしまうんじゃないかと、安定してコストもかからないという点でその懸念が新たに発生してくるというのは確かにありますが、乾式がそもそも中間貯蔵施設に搬出する作業を考慮して貯蔵するというのが出発点であり、ずっと置かれてしまうのではというのが出発点ではなくて、結局中間貯蔵施設に出していくためのものとして出てきたわけです。だから、出発点としては結局一緒のところにたどり着いてしまうということだと思いますが、いかがでしょうか。
[知事]
今回、乾式貯蔵施設の事前了解に向けての4項目というのを示してくれと言って、それを示してきたということだと思います。それについて、乾式貯蔵施設が最終処分地のように使われてしまうのではないかという懸念に対して、具体的な搬出時期の考え方を明らかにしろというふうに申し上げて、それに対して1つの考え方をおっしゃってきたということですので、それについて我々としては議会を含めて議論いただくということだと思っています。
[記者]
地域振興の拠出金について、原子力発電所が止まってしまうと金額は0にもなりうるというような仕組みになっていまして、ある意味、監督する対象に対しての判断が影響を与え合うというような関係になっており、非常にいびつな制度だと思っています。立地の首長の記者会見の中で聞いていましても、この仕組みに関しては、県の約束で出てきたことですので、議論を注視したいというような答えが返ってきたりしていまして、そもそも乾式貯蔵に関する事前了解を判断するための4条件のうちの1つということで出てきているわけだと思いますが、寄付の制度に関しては、もう決まった制度だとした上で、乾式について判断をするという位置付けなのでしょうか、この制度自体が今後の議論の対象になっていくという考えなのでしょうか。
[知事]
おっしゃるように、全部止まれば、その年は資金拠出できないということになるのかもしれませんが、そもそも全部今本当に止まると、多分関西地域の電力も相当厳しい状況に陥ってくるというふうに思われますので、なんかこうなったらこうなるよねっていうことを言われているのかもしれませんが、我々としては、安全を最優先にしながら必要な時は止めてもらわないといけないですので、当然そういったこともありうると思っています。いずれにしても、原子力発電に伴って、必要な措置に対するいろんな事業を共創会議の中で出しているわけですので、先ほども申し上げましたが、長い中でそのトータルの事業が実施できるようにしっかりと関西電力には、財源を用意していただく必要があるいうふうに認識しているところでありますし、我々も長期的にはそれを求めていきます。ただ、今回の議論は、とりあえず関西電力が出してきた提案の中身について議会でも議論いただくということだろうと思っています。
[記者]
最後の言葉からすると、本当にこの寄付の仕組みでいいのかということも議論対象だということでしょうか。
[知事]
本質的に、絶対これでなくちゃいけないかという議論の過程でどういうことになるかがわかりませんので、それはダメだっていうことがないと言えないかもしれませんが、提案としてはそういうことだというふうに認識しています。
[記者]
乾式貯蔵に関しては、貯蔵容量は増やさないというふうに言っていることの例外が関西電力からは付加されていたと思います。自社の事由によらない理由で搬出が滞った場合、こちらに関して、出ていかなくなると当然運転はできなくなりますので、これを県がそれは例外として認めないというふうに言えば拠出金が0になるというところで、一番心配なところだと思います。以前、本当に出ていくのか、六ヶ所再処理工場に関してはまだ不安があるというような議論の時に、使用済燃料プールの管理容量を超えて運転はできないわけだから、それがある意味1つの担保でしょというような議論の流れになってきたかなと思いますが、担保の例外とも言えるわけで、この規定に関しては、一炉心分の燃料を置けるスペースがないと、何らかの理由で全部取り出さなきゃいけなくなった時に対応ができなくなってきますので、そのための不測な事態に備えるという意味での規定だと認識しており、規制庁にも確認しています。そういうことで言うと、安全上の規定であって、ペナルティで止めなきゃいけないというわけではないですので、関西電力の事由によるかよらないかって、全く関係ない話で、ここに例外を認める合理性が見当たりませんが、どういうふうに整理されているのでしょうか。
[知事]
質問の意味が分かりにくくなってしまっているので。
[記者]
要は、いっぱいになったら止めなきゃいけないっていうのも、どこまでもという訳ではないですが、貯蔵容量を半永久的に増やせるから、少なくとも当面の間運転継続はできますので、知事がおっしゃった担保が崩れてしまうわけで、ここに例外を設けているのとはっきり言って同義なわけです。
[知事]
どういう意味でしょうか。
[記者]
貯蔵容量を増やさないということに関しては例外があって、自社の事由によらないことで搬出が滞った場合は、増やすこともありうると。ここで全体量を増やしていくことになれば、これ知事がおっしゃる担保って崩れてしまうわけです。
[知事]
全体量を増やすというのはどこでなったのでしょうか。なんかいきなりです。
[記者]
乾式とプールを合わせた量、これが、元々の容量より超えないというのが約束だったはずです。でも、例外があります。
[知事]
例外というのは一応あると。一応ですけど。
[記者]
例外が認められた場合は容量も増えるから、いっぱいになったらプールを止めなきゃいけないってことに関しても、いっぱいになってもまだ乾式貯蔵施設に容量を確保できるのであれば、これ止まらないということになるので、担保が崩れるのではないでしょうか。
[知事]
何の担保が崩れたというのでしょうか。
[記者]
六ヶ所に本当に出てくのかというような声があった時に、本当に搬出が滞っていっぱいになったら運転を止めなきゃいけないと、だから、これはある意味担保ですというような、議会の議論の中でも出ていたと思いますが。
[知事]
ちょっと必ずしも私理解できてないかもしれませんが、ロードマップを認めるかどうかという議論の中でされたことをおっしゃっているのだと思いますが、これについては、その例外のことを、基本的にはそういうことはないということをはっきりと言っていただいていますので、議会も含めて、了解を得て認めたということであって、今回との関係をどうおっしゃられているかが、ちょっとすいません。
[記者]
今回出てきたものということでは直接は関係ないかもしれません。ただ、1つ心配だったのは、地域振興の仕組みというのは、結局これ例外を認めないと0になってしまうという中で、本当にそんな判断をされるのだろうかと、こんな仕組みがある中で。どちらにしても、一番疑問なのは安全上の規定であって、一杯にしたことのペナルティということで止めなきゃいけないというわけじゃないですので、ペナルティであれば、それは関西電力の事由によるものなのかどうかというのは分けて考える必要がありますが、安全上の規定なので、関西電力によるものなのかは、全く関係のない話で、その例外を県が認める合理性が見当たらないというふうに思えますが。
[知事]
すいません、ちょっと本当に意味が良くわからないので。ただ、1つだけ申し上げますと、私たちが求めているのは、あくまでも共創会議で示されている避難道路をはじめとした地域振興策に必要な財源を賄える制度ですので、仮におっしゃられるような、もしも、時々何かの都合で止まって減るかもしれないですけれども、そういったことは長くやるので、トータルの中で必要十分な財源を整えるということでしょうし、長期的にそれが賄えないというようなことであれば、それは当然、関西電力は、新たな長期的に賄えるような制度というのを考えていただく必要はあると思います。ただ、そのこと全然想定しているわけではないですけれども、一番大切なことは、共創会議で示されている事業をしっかりと実現できるようにしていただくことだというふうにはまず考えています。
[記者]
先ほど質問のところで、ちょっと前置きが長く置き過ぎたので分かりにくくなってしまったかもしれませんが、例外を認める理由というのが分からないということなのです。安全上の規定でプールがいっぱいになったら止めなきゃいけないっていう中で、関西電力のせいかどうかというのは、あんまり関係ないわけで、そこに県がこれを認める理由というのが良く分からないということで、これはどうしてなのでしょうか。
[知事]
いや、認めるというか、本当に天変地異でも起きて原子力発電がなければやっていけないような状況ができた時に、国なり政府なりがいろいろ考えて、どうしても今はその乾式貯蔵の部分も含めて運転を継続してもらわないとできないというような、どんな状況なのか、正直言って今想定しているわけじゃないですけれども、そういったことを想定した例外だろうというふうに私も考えましたし、これを一応議会も含めて認めていただいているということからすれば、みなさんそういうことの例外なのだろうというふうな認識の上で、ロードマップというのは認めさせていただいているというふうに認識をしています。
[記者]
天変地異の時は、むしろ運転できないと思いますが、それは置いておくとしても、今の話だと、出ていかない理由がどうかということではなくて、原子力発電所が動かないと困るという理由で例外を認めることがあるということでしょうか。
[知事]
大きく言えばそういうことを前提にした議論であったと思いますので、みなさんがそういうことだろうと、やはりなくてはどうしても日本国として困るだろうというようなことが、天変地異なのか例示が悪かったかもしれないですけれども、何かは分かりませんが、本当に国として必要である、国民としてぜひ必要だというような状況を前提にしているのだろうなと、私はそう思っていましたし、多分それで全体としてロードマップを認めさせていただけたのだというふうに思っています。
[記者]
年間50億円規模の関電からの寄付ということですが、知事が求めていたニュアンス、規模感と比較してどういう受け止めでしょうか。また、地域振興もいろいろあると思いますが、達成していく上で長期的にというところも考えますと、年間50億円で始まっていくことについて、現段階ではどういう思いでしょうか。
[知事]
正直言って、先ほど来ずっと申し上げているとおり、まず必要な額というのは確定していません。一方で、共創会議の中に示されている事業ということであれば、相当な事業規模にはなってくるというふうに思っていますので、過小という印象を持っていませんが、一方でこれで足りるのかどうかというのは、これから事業を推進しながら、期間も含めて考えていく必要はあると。我々の基本的なスタンスは、やはり共創会議で示していただいている県とか市や町の事業、その他ありますので、こういった地域振興に必要な経費、こういったものを国とそれから関西電力で十分に賄える、必要十分な財源を確保していくということだと思います。そういう意味では、過小とは思いませんが、本当に足りるのかどうかというのは、これからずっと事業をやりながら議論していくことだと思っています。
[記者]
乾式貯蔵の関西電力が示した覚悟に関して、2035年末までに搬出が開始できない場合というのを具体的に考えてみますと、県外の中間貯蔵施設の立地が確定せず、操業していないこと、それ以外に可能性が想定できません。そう考えると、この覚悟の示し方は、2030年頃に操業を開始するという約束ができなくなった場合に、関西電力としてどうするのかというのを、県として求めていくべきと思いますが、いかがでしょうか。
[知事]
中間貯蔵施設を2030年頃に操業するとなっていたと思いますが、まさにそこのところそのものになりますので、プールに戻すかどうかということを約束しているというよりは、まずはそれまでに戻さなくていいようにしていくという覚悟というか、そうできるという見通しを持って覚悟を示しているんだろうというふうに思います。そういう意味では、我々としてこれから求めていかなければいけないのは、2030年頃の中間貯蔵施設の操業、この約束をしっかりと実現しろということを求めていくんだというふうに思います。
[記者]
これまでの県とのやり取りからすると、何度も約束を反故にされてきて、今回も何かしらの担保を取ってく必要があると思います。例えば、高浜の乾式貯蔵の1か所目を運用開始するまでに県外の計画地点を提示せよなど。2030年頃というのが非常に重要なポイントになりますので、その実現に向けた担保を関西電力に示させないとこの問題は解決しないと思いますが、いかがでしょうか。
[知事]
この議論も、しっかり議会を含めていろんなところでしていただければというふうに思いますが、一方で、今回の議論は乾式貯蔵施設の事前了解をするかどうかという議論の中で起きています。だとすると、それがなぜこの具体的な搬出時期の考え方を示せという議論になったかと言えば、これは乾式貯蔵に置かれるといつまで置かれるかわからない、こういうような議論があって、だからそれを期限を示せというような議論が議会を中心にありました。そのために、今回、その具体的な搬出時期の考え方を示せというふうに言ってきました。これがいいかどうかは議論していけばいいと思います。だが、2035年末までにもしも搬出が始まっていなければ、これを元に戻すということは、乾式貯蔵施設を使わないということを言っているわけでありますので、このことの議論をしていくべき、一つはまずしていきます。その上で、また別の議論として、2030年頃の中間貯蔵施設の操業を確実にやるんだということについての確認は、これはそのこととして、また、これまでもしてきましたけれども、これからも確認をしていく必要はあるというふうに思っています。
[記者]
北陸新幹線について質問させていただきます。来年度の着工ということを常々求めていきたいとおっしゃられてきましたが、昨年に続いてこの夏も事項要求ということになりました。その点での受け止めと、今後どのように早期開業に向けて、早期着工に向けて働きかけを続けていくのか改めて教えてください。
[知事]
事項要求ということそのものは、まだルートが2案残っていて、事業をするにしてもルートが決まっていないという現状などを踏まえれば、ある程度その金額をどう示すかというところも一つの課題としてあったと思います。もう一つは逆に、こういう中でも来年度中に認可・着工を頑張るんだという、そういう国の強い意思も示されたのだという意味でもあると思います。今回の事項要求というのは、来年度に向けての国の意思が示されたと私どもは認識をしているということです。今後に向けては、これまでもずっと申し上げていますが、まずは着工5条件の議論というのが今始まっているところですので、これをしっかりと進めていただくことと、それからやはりそのルートに当たっているところのみなさんに対して、科学的に十分な説明をしていただきながら理解を得ていくことをまず続けながら、年末の予算編成に向けてルートの一本化を進めていただくということについて、また要請活動もしていくのだと思っています。
[記者]
参院選後、敦賀以西に関しては与党の方からルートの再検証というお話が出てきたかと思います。一方で、昨今自民党内での党内事情から、なかなか与党整備委員会であったり、PTであったりというのが開かれていない現状があるかと思います。来年度の認可・着工のための年末の予算編成に向けてあまり時間が残されていない中で、県としてどのようなことを与党、あるいは自民党に求めていきたいと考えていらっしゃいますか。
[知事]
おっしゃるように、今日も自民党内でいろんな動きがあるようにも伺っております。与党内で早く財源の議論を始めとした着工5条件、それから、これは与党の動きに関わらず、沿線地域への理解の醸成とそれから理解を得るための説明をしっかりとするということはやっていただけると思いますが、やはりある程度安定した政治状況を早く作っていただくということは我々としても願っているというところです。いずれにしても再検証のお話がありましたが、私どもが見ている限り西田さんはルートそのものを変えるための検証ではなくて、小浜・京都ルートの有効性というものを判断する上で、ほかの2ルートのお話もありますので、そういったものの検証をしようというようなご趣旨でおっしゃっているというふうに認識をしていますが、いずれにしてもその財源の議論の中だと思いますので、そういった財源議論をしっかり早く進めていただく、手続きを前に進めていただきたいというふうに考えております。
[記者]
今のルート再検証の話で、再検証にあたりましては沿線地域へのヒアリングも予定されていると思います。この点、福井県に対して与党から何かコンタクトはありましたか。
[知事]
最近は全くありません。
[記者]
直近の動きといたしまして、大阪府が建設促進シンポジウムというのを中止しました。ルート再検証という話もある中で、大阪府として関西広域連合、そして機運醸成が現時点ではできる状態ではないという理由で中止をしました。現状、北陸新幹線敦賀以西への議論が非常に停滞している感がかつてないほどに出ております。繰り返しになりますが、この停滞している議論を打破していくためにどんなことが必要か、国に対して何を求めていくのか、改めて考えを教えてください。
[知事]
これはまさに、今まで与党の整備委員会で決めていただいている財源の議論、それから沿線の住民のみなさんに対する科学的な根拠に基づいた説明をしっかりとしていく、これを早く前に進めていただくということだろうと思います。そういった議論そのものは西田委員長もそうですし、動きはあると思います。ただその勢いがないということは、先ほどもお話ありましたが、今与党内、特に自民党内も選挙の総括というような議論をされています。そういう意味で今進みがよくないということかと思います。これは早く安定した政治状況というのを作っていただいて、まずは与党の中でこの財源議論等を進めていただく、そういったことが重要なのだろうと思っておりますので、我々はこれをしっかりと求めていきたいというふうに思っています。
[記者]
この今議論が停滞している中で、夏の概算要求は事項要求という形になりました。次に年内の来年度の予算編成で整備予算を計上しないと、来年度の認可・着工というスケジュールは破綻すると現実的に思います。今政治状況がバタついている中で、この年内ルート決定そして来年度認可・着工というこのスケジュールを堅持できるのか非常に厳しいですが、知事改めてお考えを教えてください。
[知事]
これはまさに、ルートを決定して認可・着工していく、もしくは来年度予算をどういう形にするのか、どう決定するのかは、国の問題ですので、国がしっかりと、こういったことで進めていただく必要があると思います。その時に今回、事項要求というのはあくまでも来年度当初予算において何らかの予算を持つということの可能性を持っているということですので、今国がやっているのは、小浜・京都ルートについての環境影響評価であり、その2つに絞られたルートの一本化という作業になるわけですので、これをさらに前に進めていただくように我々としては求めていくということだと思っています。
[記者]
与党のルートの再検証のところで、知事がおっしゃっている財源議論の中で再検証されるというのは、どういう見立てでされているのかというのを確認させてもらってもいいですか。
[知事]
認識としましては、小浜・京都ルートを今与党は決定して進めているわけです。その中で今着工5条件の早期解決というのが重要で、その中に安定した財源という着工5条件の1つがありますので、安定した財源を確保していく。ほかのJRの同意も含めて5条件ということがありますが、この中で1つの疑念として、疑問としてと言いますか、財源、それからあと工期、期間について、大きく以前の想定に比べて膨らんできている。こういったものを前提として、そのまま今の3.4兆や3.9兆など、こういったままでいいわけではないだろうから、ほかの米原ルートやそれから舞鶴ルートなども併せて一応比較すべきだという意見がある中で、今の議論が出てきているわけですから、そういった議論を進めていくということだろうという意味です。いずれにしても、小浜・京都ルートを前提にしたものと私は認識をしております。
[記者]
アリーナ構想について質問させていただきます。先月段階で商工会議所が新しい事業計画を発表されました。既に6月段階で知事の方に支援を要請されていたとおり、大幅に事業費が増えることになって、県、市の負担割合も大きくなるとのことです。このことについての受止めと県民の理解が得られるか、今後の意思決定のあり方について教えていただけますでしょうか。
[知事]
これについては先般おっしゃっていただいたように6月議会の時に出された中身が、具体的に事業費であるとかそれから収支計画であるとかまた利用想定といったものが出されてきたということだろうと思います。これについては、議会は明日から始まりますのでこの中で十分に、初日に全員協議会で経済界、商工会議所がご説明をされるということになりますのでそういったご説明を聞いていただきながら議会と私どもでも議論をさせていただく。また私どもは今いただいたその事業計画の中身について専門家のみなさんにも見ていただいたその意見も踏まえて福井市とともに精査をしていると、こういう確認作業をしているというところです。
[記者]
同じくアリーナ構想について伺います。8月中旬に新しく示された事業計画で使用の目的がその前に示されていた計画だとコンサートをかなりの頻度でやりたいという計画だったんですが、ここがコンベンションですとかいわゆるMICEの比率が増えているという、施設自体が持つ意味というか施設自体の目的というのが若干変わったのかなという印象を受けまして、この辺り知事としてどのように受け止められていますか。
[知事]
事業計画の中身については今確認作業をしているということです。それだけ現実的にいろんな調査等をされた上で判断をされて、今回の事業計画案が出てきているのだろうというふうには大きく言えば認識をいたしています。いろいろ聞いていますとMICEの需要は非常に大きいと聞いておりますので、現実的な案にしてこられているのかなという印象はありますが、いずれにしても、今確認作業しているというところです。
[記者]
もう一点アリーナ関連で伺います。これは当初の計画から変わってないのですが、なるべく福井駅前から歩いてきてもらうということを想定した計画になっていまして、アリーナの周辺にアリーナ専用の駐車場は設けないという方針が示されています。このあたりかなり地域住民の方からも混雑につながるんじゃないかとか、送迎の車で混んでしまうんじゃないかとか、やっぱり福井県民の方って車社会なので本当に歩いていくんだろうかとか、そのあたりをかなり心配される声が上がっていまして、この歩いていくアリーナというのが果たして可能なのかどうか、今の知事としての見解を伺います。
[知事]
駐車場の関係であったり、交通渋滞の件についてはしっかりと地域の住民のみなさんにもご説明をしていただいて理解を得ていくという作業は引き続き重要だろうと、まず認識をしています。駐車場全般について申し上げれば、土日も含めて周辺の空いている駐車場の状況というのもまず前提においた上での考え方だというふうには認識をしていますが、併せて新しく駐車場を作るとアリーナが稼働していないときはどうするのかという議論がまた一方で出てくるわけでして、そういった点も含めて十分に検討しておられると思いますし、検討されてその結果について、周辺のみなさんを中心によくご説明をしていただいて理解を得ていくということが大事だろうと思っています。
[記者]
アリーナについて先ほどいただいた計画とおっしゃっていましたが、知事はまずどなたからどのように説明を受けたのかという点と、専門家と福井市と精査しているとおっしゃっていましたが率直に読んでどう感じたかというのを教えてもらえますか。
[知事]
中身については担当から説明を受けたところです。その上で私の印象というのをあまり申し上げるのはあれですが、徐々に具体的な内容に整ってきている過程なのだろうなと思います。これで整っているかどうかということはこれをまさに今精査をしているということですので、これまでよりもさらに具体化がされてきて、先ほども申し上げましたが、コンサートをどれだけ呼んでくるかということやMICEとの比較で言えば、結構今MICEは非常に順調だとも聞いていますので、そういった現実性も高めてこられているのだなという印象を持っているところです。
[記者]
アリーナの整備所有会社を商工会議所が中心となって作るということも示されましたがこれに対してはどう受け止めていますか。
[知事]
経済界といってもそこに法人格があるわけではありませんので、整備所有会社を作って、しかも今月中にもというようなお話も伺っておりますので、それを使って仕組みを明示しながら経済界として責任を持ってやっていくということの覚悟の表れだというふうに認識しています。
[記者]
引き続きアリーナについてお伺いします。知事は先ほどMICEの利用がたくさんありますよ、と発言されましたが、事業計画によるとMICE60日、コンサート24日とかプロスポーツに63日とかこれは向こうが出してきている計画です。その一方で県民利用、市利用枠というのが年間134日ありますということですが、この需要予測というのは正しいか分かりませんが、県側も一定程度需要予測をした上でこれだけの需要があるだろう、だから134日をこれだけの金額で買い取るという理屈が必要なのかなと思うんですが、年間1億を超えるお金を出す以上134日の需要予測、改めてこれだけのこういう団体からこれぐらいの利用が予測できるだろうというお考えを教えてください。
[知事]
これは今示されたところですし、公共利用の方はあちらの考えとしてはある程度の支援の意味も含めているのかもしれません。空いているところをできるだけ埋めていくというような考え方もあるのかもしれません。ただ肌感覚で言いますと、今の運動公園の県営体育館の利用状況や利用者の声を聞いているとなかなか予約が取れないという話をよく伺いますのでそういう意味では一定程度というか、かなりの需要はあると認識をしていますし、何といっても場所が駅の周辺になりますので、さらに今までなかったような需要というのも出てくると思っています。学生さんなんかもぜひあったら使いたいという声も一般論としては聞いたりもしていますので、住民の利用という意味では相当期待値は高いと思っています。精査は必要かもしれませんが、印象としてはそう思っています。
[記者]
以前の議会の議論でもあったと思いますが、この1億6千万円を県分として134で割ると1日あたりそれなりの金額になります。それが妥当なのかという議論があったと思いますが、知事は以前公共施設を県が建てる場合と比べてこうだみたいなお話があったと思いますが改めてこの金額の妥当性はどうですか。
[知事]
これはまた全体としてはしっかりと精査しながらということではありますが、まさにおっしゃっていただいたとおり、例えば県営体育館や同じような規模のものであっても運営費で5億円とか6億円とかは毎年必要になってくるわけでして、場所的なことも含めて考えて、ちょっとここは精査が必要ですが全然違っているということでもないかなと思います。やはり民設民営という民間主体でやっていく中に、行政としての支援として求められている部分だという印象を持っています。
[記者]
続きまして確認ですが、この134日のうち県民利用は115日、市利用は19日と書いてありますが、県がこの枠を買い取るのは、その単年度ごとに買い取るのか、5年10年20年単位で買い取るのか、事業計画にはっきり明記されていないもので分からないですが現状何年間一括で買い取るとかそういう話は示されているのでしょうか。
[知事]
私は細かいそこのところまではよく認識をしておりませんので、これからの議論としてさせていただこうと思います。事務的にも聞いてみないとよくわからないところではございます。
[記者]
県議会議員の方が10年間一括で買い取るとか、以前は30年間だったんだとかという話を聞きまして、その10年間一括というのが果たして正しいのか、毎年度じゃないとおかしいのじゃないか、その需要供給を見ながら考えていくべきじゃないかという意見をおっしゃっている人もいましたのでお伺いしました。
[知事]
おっしゃっている意味はよくわかりましたが、債務負担行為の期間をどれだけで設定するかというときに、もともと30年一括で債務負担行為の設定をしてほしいと、こういう要請があったと。それに対して議会の中でのいろんな議論があったということは認識をしています。私たちが求めていることの一つとしてあるのが長期的に安定して運営をしていくということです。それに対して当然のことながら運営側から言えば、じゃあ収入を安定しないといけませんと、だけれども正直言って民設民営で100%の運営費を賄うのは正直言って難しいと、こういうふうに言っているわけです。でも私たちの方もそれは福井県の経済力の中では100%は無理だろうとこういう話をしていて、ある程度の支援は必要かなということも、これはまたこれから議会で議論していただく必要がありますが、そういうことは申し上げています。その時にじゃあどういうふうな形で収入を支援していくのかというのは、年々では民間の側はお金借りないといけませんので銀行が今度は来るわけです。その時には当然ちゃんとこういうふうな支援が受けられることになっています、ということを今度は運営側が説明をする必要がありあます。こういうことを考えていくとある程度長いスパンというのは、30年というのは基本にまず要請としてあるということを踏まえて、なおかつその運営ができないといけない、銀行からお金が借りられないといけないということを前提にしたときに、こちら側からどういう支援の仕方があるのかということは十分議論はしなくてはいけないと思っておりますので、それが30年なのか10年なのか1年なのかと、1年だったら多分運営側のほうは今度銀行からの融資が受けられませんとか、そういう議論になってくるのだろうと思いますがそうした議論は必要だと思っております。
[記者]
年数はさておきとして安定的な運営のために一定程度の数年間単位の支援というのは意義はあるというか意味はあるとお考えですか。
[知事]
必要性があるとは認識はしています。
[記者]
最後に1点だけ、県と市の負担の割合が果たして妥当なのかという議論なんですが、もちろんアリーナは福井市のど真ん中にありますと。利用者はおそらく福井市の方がかなりの部分を占めます。福井市のメリットというのもものすごく大きい中で県内の嶺南の方とか奥越の方からは、「いやこれ福井市の施設でしょ。」というような、なんで県が全体でこんなに負担しないといけないのかというような議論をする人も県議会議員を含めています。現時点で県と市の負担割合、確か県が15億、市が15億プラスこの運営費で県が1億6千万、市が7千万となっていますが、これが果たして妥当なのかどうなのかという知事のお考えを教えてください。
[知事]
これも最終的には議会の中でよく議論をいただくことだと思いますが、私の認識といたしましては、これは市の施設ということではなくて、まさに県民利用として必要な部分を県としてある意味支援をしていくということなのだろうと思っています。どういうことかといえば今回造られようとしているアリーナで行われるいろんな催事というのは単に福井市民が楽しむというよりは県民というよりも大阪や名古屋、もしくは東京かもしれませんが、そういうところからもお客さまが集まるような施設であり、イベントであるという認識がありましてそういうことであれば、県民は遠くからでも来たくなるような施設イベントであるということになりますので、それであれば県民みなさんが利用していただけると考え、その部分を形にしていくということなのだろうと思っています。
[記者]
結論としましては、決して市の負担が小さいとかという感覚ではないというようなことでしょうか。
[知事]
県が市がといいますか、県としてどういう支援をしていくのかということについて今申し上げたようなことを念頭に置きながら、我々の案を明日議会にお示しさせていただいた上で議論をいただくということだと思っております。
[記者]
アリーナに関連してですが、先週の福井の市議会の特別委員会で収支計画の資金繰りについて、例えば寄付とか協賛で毎年2億円集められるかといった懸念の声が上がっていましたが、収支計画の妥当性に関してはどんなふうに評価されていますでしょうか。
[知事]
これも今そこについての精査をしているところです。いずれにしても県や市に対しての説明ももちろんありますが、融資の銀行等に対する説明もありますので専門家もしくはそうした銀行等の目も経た上でこれの実現可能性といいますか、そういったものについては判断をしていきますし、されていくものだと考えております。
[記者]
先ほどおっしゃった専門家、例えば県が相談するような専門家とはどういう方になるのでしょうか。
[知事]
県内の中小企業診断士の方にもお願いして見ていただいています。
[記者]
今回アリーナの計画についてなんですが、経済界のトップと知事、福井市長が割と先行して突破しているような形で県民、市民が不在というかちょっと置いてかれているように物事が進んでいるような印象も受けるんですが、これから県民市民にどんなふうに理解を得ていきたいとお考えでしょうか。
[知事]
これはもともとが県都にぎわい創生協議会の中で出てきて、経済界がぜひこういうことで福井県を盛り上げていきたいというふうにおっしゃられて、これを3者で合意して形にしてきているということですので、そういう意味では3者が一緒になってやっていると、特に経済界が民設民営でやるという旗印でしっかりと今形にしてきているとこういうことなんだろうと思います。私はもちろんみなさん言われるとおり一見は福井市の場所にありますので福井市のものだというような印象を持たれている方もいらっしゃることはよく認識もいたしておりますし、福井市以外のみなさんのご意見ということも伺ったりもします。一方できっと、と言うとおかしいですが、このにぎわい施設というのは決して立っている場所の周辺だけのみなさんのにぎわいということではなくて県下全体に非常に新しい夢を与える、もしくは元気を与えるような施設になっていくということについては大きく期待もしておりますし、先ほど申し上げたとおりさらに遠くから人を呼べるような施設だと思っておりますので、十分に県議会はじめとして県民のみなさんにもご説明をしていかなければいけないと思っています。
[記者]
アリーナに関連して、9月議会から議論に入ると思うんですが、議会としては原子力のように、例えばアリーナ整備に行政支援すると、それを容認すると知事が判断する場合というかそれを経済界に伝えるとかそういう手続きでやっていくのか、それとも県議会とか福井市議会が何らか容認するとなればそのまま事業が進むという形で考えればいいのかどういう流れになるんでしょうか。
[知事]
これは実態から言いますと、今の計画の事業計画案に沿ってやっていくとすれば、県が直接何かの形式的にモーションを起こさなければいけないのは、来年度当初予算の中で予算が出てくるとかそういう話になってくると思います。ただそこで話を出していくためには、当然のことながら国の方の交付金というのもお願いをしなくてはいけませんし、ふるさと財団の融資というようなお話もございますので、早い段階から緒につけて我々も動かないといけませんので、今回の9月議会で議会のご議論をいただいて、できれば大きな方向性を決めて、それでそういった当初予算に向けての段取りに入っていく、そういうことを念頭に経済界もそういうことで今この時期に出してきていると思いますし、私たちもそういうことをある程度念頭に置きながら作業しているということです。
[記者]
お話が離れて政治の話ですが、自民党で臨時総裁選挙を実施するかどうかをめぐって賛否ある党内政局とも呼べるような状況が続いています。今日午後に両院議員総会がありますが今の政権与党の現状についての受け止め、あとは自治体トップとして今後期待することについて考えをお願いします。
[知事]
与党内での議論は参議院選挙の総括ということについてしっかりと議論をされているんだろうというふうに思っています。私どもの立場から申し上げれば、やはりできるだけ早く安定して政権の運営ができるような環境を作っていただきたい。これはやはり今物価高騰、米の値段の値上がりというようなことも課題もありますが、先ほど来今日も議論に出ていますが、新幹線についての議論が停滞しているんじゃないかというようなお話もあるわけです。地方創生、人口減少対策は時間のかかることではありますが、いつまでも放っておくというわけにはいきません。地方創生というような議論はありますが、もちろん地方創生として各地域の特徴を生かした地域づくりということの支援というのも大事ですが、そういうことよりもやはり日本の人口減少をどうしていくのかということの方向性は国が決めていかなければいけない。そういう骨太の話もやっていかなければいけないと思いますし、また米国関税についてもこの影響がこれから出てくるわけですから、これへの対応も含めてやはりしっかりと与党の枠組みを決めた上で野党との連携といいますかこういうことも議論をしていただく必要があると思いますので、まずは自民党内で今の選挙の総括とその後の在り方ということを早く決めていただいて、政治を前に進めていただきたいと考えています。
―― 了 ――
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