知事退任会見の概要(令和7年12月4日(木))

最終更新日 2025年12月11日ページID 062438

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令和7年12月4日(木曜日)
11:00~12:21
県庁 特別会議室

知事写真20251204

 

[知事] 

 一言最初にご挨拶をさせていただきます。

 本日はこうしてお話をさせていただく機会を作っていただきましたことを心から感謝を申し上げます。

 先ほど県議会におきまして私の退任の議案につきまして、ご承認をいただいたところです。まずは任期半ばの退任となりまして、県民のみなさまに大変なご迷惑をおかけいたしましたこと、心からお詫びを申し上げます。また私の不適切な言動によりまして被害に遭われた、そして深く傷ついていらっしゃる方に対しまして心から謝罪を申し上げます。

 本当に申し訳ありませんでした。

 一方で、先ほど県議会でも申し上げましたが、この6年7か月そして副知事時代それから総務部長時代も合わせれば12年余りになりますが、この間様々な県政の課題に取り組んできたところです。

 特に、コロナ禍への対応であったり、北陸新幹線の県内敦賀までの延伸であったり、また恐竜王国福井のブランド化、これにも力を尽くしてまいりました。そして「日本一幸福な子育て県、ふく育県」の推進もありますし、子どもの学力・体力日本一、日本トップクラス、これも続けてきたところです。

 その他にも県庁改革であるとか、県立大学を大きく成長させてきたということ、そして安心安全な県土の基盤の整備、こういったことにも力を尽くしてまいったと思っています。

県政には、まだまだ、北陸新幹線の小浜京都ルートを早期に認可・着工に結びつけなければいけない、福井アリーナの整備もあります。それから原子力、使用済燃料の県外搬出、様々な課題があるわけでございますが、こうしたことにはぜひとも新しい体制、そして県議会や県民のみなさん力を合わせていただいて、一歩でも二歩でもさらに前に進めていただければと思っているところです。

 本当にこれまでの間、今日お集まりのメディアのみなさまもそうですし、県民のみなさま、県議会、県職員それぞれのみなさまに本当にお支えをいただきましてここまで参りましたことを、心から感謝を申し上げまして、また今回の不祥事によって任期途中の退任になりますことをお詫び申し上げまして、私からの冒頭のご挨拶とさせていただきます。この後よろしくお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。また申し訳ありませんでした。

 

~質疑~

 

[記者]

 知事、お疲れ様でした。まず先ほど県議会で辞職が同意され議決されました。先ほど来、議場でもおっしゃっていましたが、もう少し本音の部分で今率直に退職が同意されたことについての受け止めをお聞かせください。

 

[知事]

 今日いろいろと県議会で退任のご挨拶をさせていただいて、お話をさせていただいているときに、本当に知事になってからの6年7か月にはいろいろなことがあったなと思っておりましたし、その一つ一つが本当にとても重くて大変なことだったなと感じたところです。さらにはもちろん最後の不祥事のことについても本当に申し訳ないと思いながら、今日は議場でお話をさせていただいておりました。

 

[記者]

 いろいろな事項をお話しいただきましたが、特にこの6年7か月の任期を振り返って、特に思い入れのある政策課題であるとか功績であるとか、ご自身で振り返っていただいてお話しいただけますでしょうか。

 

[知事]

 どれが一番かとよく聞かれますが、多分みなさんも自分で振り返っているとどれが一番か本当に決められないと思います。その時々ですから。やはりコロナ禍というのは非常に衝撃でした。出口が全く見えない、答えが全く見えない中でどうしたらよりよくできるのかを問い続ける。そして県民のみなさんとコミュニケーションをし続けるという、こういうことの繰り返しで本当に悩む毎日でしたが、結果として議場でも申し上げましたが、重症化率が全国平均の4分の1だったり、亡くなられた方の率も数も全国で最も低い少ない、こういう結果が生まれたということは、そのときのみなさんとのコミュニケーションがとても大事だったと思うわけです。新幹線も開業がゴールではなくてそれがスタートだと常々申し上げながらやらせていただいてきた、その結果の一つだと思いますが、まちづくりもそれから県内の大型投資も続いているというところがとても重要ではないかなと思っております。それから私が特に力を入れてきたふく育県も本当に県民のみなさんにも喜んでいただいて、これが結果として合計特殊出生率にも現れて全国で秀でた状況になっていると思います。恐竜の件も本当に議論がありました。恐竜博物館をどうするのかということも含めて、福井駅の周辺のモニュメント、あんなにたくさん増やしてどうするんだ、というぐらいの勢いでも言われましたが、ここはブランドというのはそういうものだと申し上げた結果、日本中で今まで福井ってどことか何と聞かれていたと言われる県民の方が多かったと思いますが、全国どこに行っても恐竜と言えば福井、福井と言えば恐竜ぐらいに本当にみなさん大人気だと認識をしています。

 県庁の中の改革も進めさせていただきましたし、県立大学も本当に実務、実益の学と言いますか、こういった方向で行こうと前の学長の進士さんともご相談もしながら進めさせていただきましたが、ブランド力も恐竜学部も含めて、上がってきたなと思います。中部縦貫自動車道は最後のところで遅れてしまい大変残念ですが、とはいえ着実に進んでいる、もう目の前に開通が迫ってきている、そういう状況でございますので、本当に一つ一つとても私にとっても思い出深いですし、県政の発展には大きな効果もあったのではないかと思っています。

 

[記者]

 知事の任期中に老朽原発の再稼働について同意をするという、大きな決断をされたと思います。その点についても振り返って思い出を語っていただけますでしょうか。

 

[知事]

 原子力政策は再稼働もそうですが、本当に福井県というのはこれまで半世紀以上に渡ってとても苦労をしながらといいますか、やはり私は志を持って国のエネルギー政策、原子力政策に協力をしてきているということもつくづく身に染みながら、そして県民のみなさんの想いを背負いながら、やらせていただいてきたと思っています。

 本当にどれ一つをとっても、やはり安全性の課題ということをみなさまから強く言われ、一方でやはり福井の場合は関西中心になりますが、全国のエネルギーをどうするんだ、こういった使命も帯びながら判断をしていく、県民のみなさんとご相談させていただいて結論を得ていく、そういう過程を丁寧に踏ませていただいてここまで来ていると認識しています。

 

[記者]

 なかなか申し上げにくいかもしれませんが、将来的に次の知事に期待することなど、議場でもおっしゃっていましたが、福井県に対して望まれることを教えてください。

 

[知事]

 これは新しい体制になって、と先ほど申し上げましたが、課題としてみなさんがおっしゃっていただいている北陸新幹線の小浜京都ルート、それから福井アリーナ、さらには原子力、原子力は全般になりますが、目の前にありますのが使用済燃料の県外搬出という課題があるわけですので、こういったものについては待ったなしでぜひ解決に向けてご尽力をいただきたいと思います。その他で県民のみなさま方から求められる、せっかくこのウェルビーイング日本一になっているわけですので、この幸福実感も含めてぜひとも高めていっていただく、こういったことをご期待申し上げます。

 

[記者]

 最後に、次の知事選には今考えていないと繰り返しおっしゃっていますが、政治家は引退されるのかどうかという点についてはいかがでしょうか。

 

[知事]

 政治家かどうかはともかく政治というのは、これは憲法上認められた権利ですので何らか政治というと、またすぐに政治家を目指すなどということになるのかもしれないですが、私はあまりそう思いません。やはり社会を良くする、そういう活動だと思っていますので、政治ということには関わっていくのかなと思っております。

 

[記者]

 知事、お疲れ様でございました。6年7か月を振り返って、これはできたなとか、これは知事のリーダーシップのもとやってこられた政策をいくつか挙げられていたかと思うのですが、逆にこれは自分がご自身で全力で取り組んだけれども道半ばだなとか、少し悔いが残るとか、そういった政策はありますでしょうか。

 

[知事]

 悔いが残るというのはあまり思いつかないというか、道半ばというのはもう常に道半ばだと思います。どこで何年やろうと、政策はある日1日で全部終わっていくわけではありませんので、常に誰かが種をまき、それが育ってきて、いよいよ形にする、それが出来上がった後これをどう活用する、というのはずっと続いていきますので、これは行政の、もしくは政治の常だというふうに思っています。北陸新幹線で言えば、例えば福井・敦賀間の開業は何とか形になって、しかも先ほど申し上げたように投資とにぎわいの好循環、こういったものも続いている、こういう環境はできていますが、やはり小浜京都ルート、これはこれからも引き続き全力を挙げて県内一致団結して進めていかなくてはいけないということだと思いますので、特に後悔しているということは持たないで、後悔というよりは常にその時点でまだうまくいっていないということであって、そこから先さらに前に進めていけばいいというのが重要なポイントだと思います。

 

[記者]

 6年7か月前に知事に就任されて、ご自身としてこれは自分としてモットーだというか、知事としてこれが軸として大事だと思われていたこと、これを元にしながら県政運営を進めてきた、といった何か信念はありますでしょうか。

 

[知事]

 私の信念は、みなさんと同じなのか違うのか分かりませんが、いずれにしても「県民主役の県政」というのが、もしくは「徹底現場主義」、「チームふくい」というのがまさにモットー、最も私が目指した福井県政でして、私が何かを作るとか、私がこれをやりたいということではなくて、県民のみなさんが何を求めているかを常に自分として現場に出て、お話を聞いて、ある意味優先順位を立てながら県民のみなさんと一つになって前に進めていく、これが私のやり方だったと思います。

 ですから私が知事になるときは、北陸新幹線の県内開業というのはその後遅れたりしましたが日程感ができていましたので、そういった一つの目標に向かって、もしくは恐竜博物館のリニューアルをどうするとか、こういった俎上に上がっていたものについては認識しておりましたが、例えば福井アリーナのことであるとか、コロナはもちろんですが、その後いろいろと必要に駆られてやってきた、それが一つの大きな成果にもつながっているという意味で、やりたかったことがどこまで来ているというよりは、その都度先ほど申し上げた私の3つの考えに基づいて進めてきたと思っています。

 

[記者]

 今日の議会の中で北川議員から2つほど質問がありました。その中で職員への謝罪についてどうされるのかという質問があったかと思います。これについてどのタイミングでどのように行われるおつもりなのかお聞かせください。

 

[知事]

 これはお相手のあることだと、決して否定的に言っているわけではなく、先ほど申し上げたとおり、当然謝罪をしなければいけないということも強く感じています。しかし、お相手のお考えもありますし、特別調査委員の判断等もありますので、そういったものを見ながら、適切にと言うとおかしいですが考えていきたいと思っています。

 

[記者]

 直接会っての謝罪ということになりますでしょうか。

 

[知事]

 事柄からして、私はこちらの方でというのでは全くなくて、みなさんのお話を伺いながら行いたいと思っています。

 

[記者]

 この時期というのは、辞任を表明されたタイミングについて何度もご説明はされているかと思いますし、その理由とするところは年明けからの重要な人事なり予算なり2月議会なりというところの混乱が一番ネックにあってというところで早めに辞任を、とご説明されていたかと思いますが、そうは言いながら新幹線の延伸の問題も含めて、この12月議会もすごく重要な時期かと思います。この時期に退任せざるを得なかったこのことについての責任についてはどのように感じていますか。

 

[知事]

 退任というのは責任だと思います。タイミングについてはまさにいつも申し上げていますが、私は議会前かと思っていた公表のタイミングが年明けに延びるということで、年明けになればいつも大きな課題があって、私の頭の中でいろいろと想像しますが、これは本当に、大きな深刻な影響を県政に与えていると思われますので、今回のタイミングを選ばせていただいたということです。

 新幹線についてももちろん重要な時期だと思いますし、これは私が大きな責任を負っているという気もしますが、とはいえ今これから与党の中の議論が始まるわけですので、そういった議論の中でしっかりとまた訴えていっていただく、こういうことが大事なんだろうと思っています。

 

[記者]

 重ねての質問になってしまいますが、連日お聞きしていて申し訳ないのですが、知事選があります。再出馬については考えていないというのは今日も同じでしょうか。

 

[知事]

 変わりません。

 

[記者]

 では次のリーダー像というか、引き継いでいただく新たな知事のリーダー像についてはどういう人がふさわしいと考えていますか。

 

[知事]

 これは県民のみなさんがご判断いただけばよろしいと思います。

 

[記者]

 知事の想いとしてはいかがですか。

 

[知事]

 私の想いは私個人の想いですので、これについては発言は控えさせていただきます。

 

[記者]

 辞職を考え始めたあたりから先週11月25日までの間、会見の時もそうなのですが、色々なところでお顔を拝見しますと少し元気がないように見える時もあると私個人的には思っていたのですが、その時の本心というか気持ちの部分、今だから言える気持ちはどんな状態だったかというのを教えてくださいますか。

 

[知事]

 今もその時もですが、責任を重く感じているというところです。

 

[記者]

 そのことはずっと頭から離れずというところがそういう表情に出たという感じでしょうか。

 

[知事]

 そのようにおっしゃっていただくなら、そうだと思います。

 

[記者]

 今日辞職が認められました。今日それについて会見を開かれていますが、今日のお声をお聞きしますとかつてのような少し覇気のあるようなお声のようにも感じられます。昨日までと今日ということで言うと、今日が本当に辞職のタイミングですし今日県庁を離れられるということになりますので、今の率直なお気持ちをお聞かせ願いますか。

 

[知事]

 率直な気持ちというのは、先ほど申し上げたとおりで、いろいろこれまで12年余りにわたって福井県政でやってきたことを思い起こして、いずれも大変だったなと思いますし、今回の不祥事について大変申し訳ないというところです。

 

[記者]

 では気持ちとしてはこれまでと変わっていないというのが率直なところでしょうか。

 

[知事]

 そうです。

 

[記者]

 知事、お疲れ様でした。原子力行政を中心に大変是々非々の質疑をさせていただきまして、お礼を申し上げます。素朴なご質問で大変恐縮ですが、今日は何時頃に登庁されたのでしょうか。

 

[知事]

 今日はちょうど8時半ぐらいだと思います。

 

[記者]

 徒歩で、もしくは公用車でしょうか。

 

[知事]

 最近は徒歩はやめておりまして、公用車で伺いました。

 

[記者]

 本会議が始まったのが10時からでしたが、それまでの間は何をされていたのでしょうか。

 

[知事]

 今朝、まずご来客がありましたので、それと部長会議でみなさんと少しお話をさせていただいて、その後は今日の答弁などの勉強をして、10時を迎えました。

 

[記者]

 本日の退庁時間は午後1時半前後でしょうか。

 

[知事]

 そういうふうに聞いています。

 

[記者]

 この会見終わりは、ご予定など、決まっていらっしゃるでしょうか。

 

[知事]

 お昼ご飯を食べようと思っています。お弁当を持ってきました。

 

[記者]

 今日朝ご自宅を出られる際に、奥様もしくはどなたかから、どういったお声掛けがあって今日最後の出発を迎えたのか教えていただけますか。

 

[知事]

 ちょっとよく覚えていません。日頃と同じようなことを言いながら、最後の日だねというような話はしました。

 

[記者]

 先ほどの質問にも若干重なる部分はあるのですが、これまでの会見とは違って、今日のこの知事、これまでの功績であったり、出来事を振り返っているときのご発言等を拝見しますと、いつもの知事が戻ってきたような感じも受け止められたのですが、辞職が同意されて、ご自身の中でこれまで背負ってきた重圧が解き放たれたような、そういった心境の心の変化というのはあるのでしょうか。

 

[知事]

 それは正直言ってあんまりないです、というか、今日少しこうして声に張りがあると、もしおっしゃっていただくとすれば、話す中身だと思います。やはりこの後も多分いろんなご質問あると思いますので、その時にはその時の思いで喋りますので、言葉の使い方も変わるのかもしれませんが、今張りがあるとすれば、過去を振り返ってみなさんとどうだったという話をしていますので、少し元気があるように見えるのかもしれません。

 

[記者]

 原子力、エネルギー政策に関連して、またもう少し詳しく教えていただきたいのですが、40年越えの再稼働もさることながら、知事もおっしゃっていたとおり、次から次へと、と言いますか、本当に県として重要な判断を迫られる機会が多々、毎年のようにあったようにも思えます。改めてこの原子力行政を振り返られて、知事としてどういったことに気をつけながら、というか、どういった点を心がけながら、どのように進めてこられたとお考えか、教えてください。

 

[知事]

 判断の基準としてはいつも申し上げておりますが、原子力行政三原則というのを常に頭に置きながら、これは言葉というか、原則としては、私は本当に50年間福井県がこれに則ってやってきたということの意義というのを、副知事時代もそうでしたし、総務長時代もそうでしたが、感じながら、その三原則の意味を考えながら一つ一つ判断をしてきたと思います。

 私の心がけとして言えば、目の前で起きている今の課題、これを解決するためにやるのではなくて、もっと長いスパンでものを考えて、これを行ったらこの次どうなるか、この後どのように進めていくのか、決して目の前の一つ一つの課題だけにこだわらないで、その先の原子力行政もしくはエネルギー政策、そういうことを常に考えながら悩んできたと思います。ですから、国に対してまず指針を示してくれということを言い続けたのは、これは福井県のこれからをどう考えたらいいのかということを考える上で極めて重要だったので今までずっと言い続けてきましたし、これからもここを大切にする必要があると思っております。

 

[記者]

 知事選に出られた時には、当時の西川元知事が掲げていた、使用済燃料は県外に搬出するという方針は堅持されましたし、その原子力三原則というのも引き続き柱として判断材料の一つにされていたと思いますが、次のリーダーにどういったことを求めるかというのは改めて聞かせていただけますか。

 

[知事]

 これはまた新しい方が、県民が何を求めているのか、こういったことを肌で感じていただいてお決めいただければと思います。いずれにしましても福井県の原子力部門は非常に長い歴史、それからまた優秀な職員がたくさんおりますので、こういった職員とよく相談しながらと言いますか、あと専門委員会もありますし、議会含めていろいろな機関がありますので、こういったところとコミュニケーションを取りながら進めていけば、県民のみなさんの求める方向性に進めていけるのではないかと思っています。

 

[記者]

 今後ですが、知事の職を辞した後は、福井県に留まるお考えなのか、それとも福井県からはしばらく離れられるお考えなのか、今現時点でどういったお考えなのでしょうか。

 

[知事]

 私は、県民のみなさんが許してくださるのであれば、一県民として福井県の発展のために、一県民ですが力を尽くしていきたいと思っています。

 

[記者]

 これまでのご公務本当にお疲れ様でした。知事選については、今は考えていないということで大丈夫でしょうか。

 

[知事]

 はい。おっしゃるとおりです。

 

[記者]

 福井県の中で一県民として、福井県のためにと先ほどおっしゃっていらっしゃいました。一県民としてというのは、それは例えば公職にあたるなど、公人としてということなのか、それとも一般の県民としてというところなのか、今後の見通しをお願いします。

 

[知事]

 全く今のところ何も考えられていないというのが実情ですので、分かりません。

 

[記者]

 例えば、県議ですとか、あとはいずれある衆院選とかそういったようなところへの出馬とか見通しとかも、今のところは立っていないという理解でよろしいでしょうか。

 

[知事]

 もう全く今おっしゃっていただいたことも含めてというか、本当に明日からどうするかというのは、とりあえずご挨拶して歩かなくてはいけないなと考えているという程度しかありません。

 

[記者]

 やはり私から見ても昨日までと違って、少し表情や声が晴れやかになったような印象があります。辞職が認められて、何かしら自分の中で変わったものというのがあったかどうかというところをお願いします。

 

[知事]

 自分でも本当のところはよく分かりませんが、辞職により今日気持ちが急に変わっているというよりは、話題が今のこれまでどうだったとか、自分の今後とかというお話なので、こういうお話の仕方ができるかなと思っています。

 

[記者]

 これまでどうもありがとうございました。何度も記者会見でやり取りさせてもらいましたが、時間を区切らず最後までやり取りいただいてどうもありがとうございました。ちょっとしつこいようですが、今は考えていないとおっしゃっていましたが、これは知事選に関しては出馬するつもりはないという意味で捉えていいのでしょうか。

 

[知事]

 今はそう思っています。

 

[記者]

 辞職を決められてから今日まで、仕事は仕事ということもあったと思いますが、どんなお心持ちで仕事には当たってこられたのでしょうか。

 

[知事]

 10月22日に公表されて、そこからもみなさま方には約束もしましたが、仕事は仕事でしっかりと進めていくということで、力を尽くしてまいって、多少の影響はあったと思いますが、その間は頑張れたと思います。11月25日に辞職をみなさま方に表明してからというのは、これはお相手のこともありますし、福井県の将来のことを決めるということに大きく関与すること自体がよろしくないかも知れないということで自制したところはありますが、それでも必要なことについてはしっかりとやらせていただいたというつもりでおりますので、影響ができるだけないように心がけてやらせていただきました。

 

[記者]

 私が取材してきたのが4年ちょっとですが、その間一番印象に残っているのが、知事の先ほどのお話の中にはなかったのですが、能登半島地震の対応で、発災翌日の1月2日に災害対策本部会議の後の時ですか、福井県は支援する側に回るんだということを表明されました。災害の時に近いところから支援する方が効果的なのは間違いないのですが、近いところはやはり自分のところにも被害があるという中で、あの判断の速さというのはすごく印象に残っているのですが、当時振り返ってどうだったのかということと、それから自分のところにも被害がある中で、支援する側に回れるという判断を早くできるとしたら、すごく社会的にも意味があると思うので、何か残せる知見があるのであれば、そういったことも教えてください。

 

[知事]

 私は副知事退任後に、消防庁で国民保護防災部長をさせていただいた時、その2年しか危機管理と言われるようなところに携わった期間はありませんでしたが、その時の知見というのが自分の中でも重要だったと思っております。もちろん最も重要なことは、事前の防災ということでリスクマネジメントが重要ですが、起きてしまったら、ここからはとにかく事後的な災害対策という方に入っていく。この時には常に待ったなしで、いつも言っているのは、できることをやるんじゃなくて、しなければいけないことをやるんだということを常々職員ともコミュニケーションをしております。最近は私の「イズム」ということもありませんが、もう職員のみなさんの方が詳しいので、とにかく躊躇せずということを心がけてくれていると思っております。

 1月2日の段階でとおっしゃっていただいたのは、私もよく覚えていますが、元日の段階は夜にすぐ入りましたので、状況が見えない。翌日、上からもできるだけ見ようなど、いろいろな情報を集めて、その上で、県内にもちろん被害はありましたが、なんとか映像等で見られる輪島の火事などいろいろな場所の映像が流れていましたので、これに対してできることをしなければいけないという思いで、まずは応援側に回るという宣言から、3日には珠洲市の市長にもご連絡を申し上げて、そして職員を、先遣隊は6時半だったと思いますが、送り出しました。こういうようなことを、とにかくしなければいけないことをやっていくということを心がけさせていただいたし、そのことを職員の中にもある程度残せているのかなと思っております。

 

[記者]

 知事はお隣の岐阜県のご出身ですが、これだけ長く過ごして、また中枢で活躍してこられた福井という土地、知事にとって今どんな土地になっているでしょうか。

 

[知事]

 大好きですね、大好き、本当に大好きです。素晴らしいと思います。

 みなさんも、県内の方ももちろんいらっしゃいます、転勤で来られている方もいらっしゃると思いますが、本当に土地柄というのか人柄というのか、地域性、食べるものももちろんおいしいですが、本当に相手のことを思いやる気持ちと言いますか、ここがとても素晴らしいなと思います。私一番典型的に感じるのは、日頃のご挨拶、お別れのときだけではなくて、いろんなメールも私いただいたり、いろいろな形でしますが、そういうときにも本当に私の体のことを思いやると言いますか、最後はさようならというのとイコールの意味で、体大切にしてくださいねとみなさんおっしゃっていただくのが、本当にこういう土地柄ってないなと思っております。これが幸福度日本一の本当に源泉だというふうに思います。

 引っ込み思案であまり前に気持ちを出さないとよく言われますが、それは欲を前に出すということは少ないかもしれませんが、しっかりと気持ちの中では相手に対する思いであったり、自分の思いも持っていながら、その上で行動されているという感じがします。だからこそ幸福度日本一だし、だからこそ少し前に向く気持ちが少なくて、幸福実感が少ないのではないかというところが、今回の新幹線を含めて、最近チャレンジということを一生懸命やらせていただいているのが、気持ちを前に出してもいいんだということになり、幸福実感も上がっているのだろうと私は感じております。

 

[記者]

 これまでいろいろ関わってきた、もしくは関わっていないけれども県政を通しで関わってきた県民の方々にメッセージというか何か言葉があればお願いします。

 

[知事]

 まずは今回、こうして任期の半ばで私の不祥事で退任することになり、県政に大変なご迷惑をおかけいたしておりますことに心からお詫びを申し上げます。

 本当に申し訳ございません。

 本当に今回のことは私の不祥事でございます。その上で、県民のみなさま方には、私は徹底現場主義と申し上げ、またコロナ禍の時も常に県民のみなさんを見て、どうしたらみなさんにとって明日が良くなるのかと思ってやってまいりましたが、上手くというか素晴らしく応えていただいたと言いますか、今はこれがいるんだ、これをやってくれと言われ、多少へまというかいろいろうまくいかないときもありましたが、大丈夫、大丈夫と言ってみなさんがそれに応じていただいて、コロナ禍は典型ですが、みなさんにとって辛いときがありましたが、自分自身も家族も律しながら活動していただいた、本当にそれが結果として現れたと思っておりまして、本当に県民のみなさま方に対して私は感謝の気持ちしかないと思っています。

 本当に福井県民のみなさん、それから県政がさらに発展していく、みなさんの幸せ度が、幸福実感がさらに上がっていく、こういったことをこれからも私も期待をしていますし、私自身も一県民として、みなさまとともにそうした方向に歩みが進められるように力を尽くしていきたいと思っています。

 

[記者]

 明日からという意味でなくても、知事をされていた間ずっとお忙しかったと思いますし、自由も利かない部分もあったと思いますが、すぐにということではなくても、ずっと知事を辞めたらこういうことをやってみたかった、こういう場所に行ってみたかったなど、何か今後楽しみにしておられることがあったら教えてください。

 

[知事]

 まだ了解が得られていないのでどうなるか分かりませんが、海外旅行に行こうよ、と妻とは話をしています。雨や雪は事前にそれなりに予想ができるので、自分の行動というのを律することができるのですが、地震だけは本当にいつどこで来るかが分からないので、やはり長く県内を空けるということについてのプレッシャーと言いますか、思いは非常に強かったので、結果としてタイミングが合わないときはありますが、いずれにしても海外なり、長い期間離れるという旅行というか、そういうようなことはしたいなと思っています。

 

[記者]

 行きたい旅行先とかというのはどこか具体的にあったりするのでしょうか。

 

[知事]

 これは相談しながら、ということかと思います。

 

[記者]

 知事選への出馬について、今は考えていないということで、これから先変わる可能性も含めての今はという意味でしょうか。

 

[知事]

 今は考えていません。

 

[記者]

 ずっとそのようにお答えをいただいていたかと思いますが、聞いている側、また通報者の方、今回調査に答えられた方からすれば、またもしかしたら出てくるのではないかというような、一定の心理的負担を与えるのではないかと思っているのですが、その点についてはいかがでしょうか。

 

[知事]

 おっしゃられるとおり、被害を受けられた方のお気持ちというのは大変重く受け止めさせていただきます。その上で、私の思いを申し上げています。

 

[記者]

 そのような言い方をされる、今は考えていないという言い方に含みがあるのかなと思うのですが、再登板を求める声もあるということを含めて、そのようなご意向を踏まえられて、そのような発言をされているのでしょうか。

 

[知事]

 いろいろなことを考えて申し上げています。

 

[記者]

 先ほど福井県への思いについて熱く語っていただきましたが、引っ込み思案で、あまり気持ちを前に出さないというような県民性について、新幹線開業で何か変わったと感じた部分はありますか。

 

[知事]

 本当のことを言いますと、福井県民のみなさんは引っ込み思案な部分はありますが、実は結構前に出られる、関西に近い空気も感じますので、あまり後ろ向きにはもともとなかったと思います。お話しをしているととても柔らかくて、相手のことを思うというところも大切にされていますが、自分たちのこともとても大切に、ご家族を含めて、自分は頑張るとか、そういうことも含めて思われているなと思っていましたので、そこのところが新幹線の開業によって、明るい雰囲気になったり、また、チャレンジ応援ということもどんどん発信させていただいて、若い方に限らず、本当にいろいろな方がチャレンジしよう、起業しようと始められている、そのような雰囲気が社会全体を明るくしている、それの一つのきっかけは、やはり新幹線であったのは間違いないと思いますが、全体として少し前向きになってきたのかと考えております。

 

[記者]

 知事ご自身がもともと官僚出身ということで、トップが変わるということは常日頃あったかと思いますが、その一方で、そのトップが伝えてきたこと、志を引き継いで働く職員というのもあるかと思います。コロナ禍であったり、能登半島地震であったり、さまざまないろいろなことを乗り越えて、長いか短いか分かりませんが、任期6年半で築いてきたこと、県庁の中で引き継いでほしいレガシーや志があれば教えてください。

 

[知事]

 役人に限らず、組織人であれば、トップが変われば雰囲気が変わっていく、仕事の仕方も変わるということをよく経験させていただきましたし、一つひとつの政策への向き合い方は、トップが変われば変わるということはよく経験をしていました。できるだけ新しいトップの方に合わせられるように、そうすることが組織全体をよりよく動かす方向だろうと思って私自身も心がけていました。

 その上で、今回6年半知事をさせていただいて、とにかく職員に対して常に申し上げたのはクレドです。職員クレド、この中に大きく言えば凝縮していまして、福井とゆかりがあるわけではない、来庁された方がエレベーターに乗って、7階の私のところへ来られる間にクレドを読んで、素晴らしいですね、とおっしゃった経営者の方、もしくは有識者の方も多数いらっしゃいました。そういう意味では、仕事に向き合う、もしくは行政ということを、県民のみなさまに対して、いろいろサービスをさせていただく側から言えば、とても重要なんだろうと思っています。そういったクレドもありますが、仕事の仕方そのもので、私は私の自分なりのカラーというのか、癖があって、どうしてもみなさんに迷惑をおかけしていたと思いますが、とはいえ、やはり最後までやり抜くというところは、しっかりとみなさんに分かってもらえるようにやってきたつもりですので、一つひとつの仕事をどう片付けるかということではなくて、仕事に向き合う気持ちのところは、ある程度感じていただけることがあれば嬉しいと思っています。

 

[記者]

 1月に調査報告書が公表される見通しですが、その際適切に対応されるというお話はこれまでもされていましたが、改めて公表があったタイミングで、どういう対応されるのか、記者会見を開いていただけるのか、あるいはSNSなどで発信されるのか、どういった対応を検討しているのか教えてください。

 

[知事]

 これはいつも申し上げていますが、報告書の中身を見て適切に対応していくと、説明責任を果たしていくと考えています。

 

[記者]

 今の質問と関連して、報告書の中身を見て適切に対応するということですが、適切にという中身をもう少し具体的に説明いただけないでしょうか。実際に記者会見を開かれるとか、対面で説明をされるとか、そこの部分というのは、おそらく中身の部分とは関わってこないのかと思うのですが。

 

[知事]

 まさに内容を見て、適切に対応させていただこうと、説明責任を果たさせていただこうと考えています。

 

[記者]

 今日、いろいろな知事のご実績・功績を振り返っておられましたが、一方で残念なことに、今回任期途中での辞職となりました。それは県政史上、1947年以降初めての任期途中での辞職になるかと思います。いろいろな功績を残してこられたかとは思いますが、その功績が薄れるような一つ結果を残してしまったかと思いますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

 

[知事]

 任期半ばで退任せざるを得ないようなことをした、ということを十分に認識し、責任を感じて辞めさせていただくわけですが、本当に申し訳ないと考えています。

 

[記者]

 本会議の中でもありましたが、これまで新たに導入されたディレクターの職であったり、チャレンジ政策提案であったり、そういったことを知事主導でされてきたかと思います。知事がいなくなることで、そういったものの推進力が弱まってしまう、なくなってしまうのではないかと思うのですが、このことについてどのように責任を感じておられるかということと、次の方にどのようなことを託したいかというのを教えていただけますか。

 

[知事]

 先ほどからずっと申し上げていますが、新しい体制の中で必要だと思われれば推進をしていただけると思いますし、私がどう思うか、もしくはどうしてほしいかということではなく、県民のみなさんがどう考えて、それに対して新しい体制、新しい知事がどのように考えられるかということが大切だと思います。もちろん私個人としては、ぜひこういうことを続けてほしいと思いますが、とはいえ、次の方にこうすべきだと申し上げるのとは違うかなと思いますので、いいことであればぜひ続けていただきたいと思っています。

 

[記者]

 以前の囲みの取材の時にもお話しされていましたが、退職金の受け取りについては全額受け取られるご予定ということでしょうか。それとも責任を取って、一部返納される、あるいは受け取らない、そういったような選択肢もお考えでしょうか。

 

[知事]

 今回のことは私も責任を感じ退職をさせていただきました。一方で、これまで私としては県政の推進のために全力で取り組んできたという思いですので、そういう意味では規定に従って執行されると考えています。

 

[記者]

 受け取られるということでよろしいですか。

 

[知事]

 そのように考えています。

 

[記者]

 長い時間ではありませんでしたが、ありがとうございました。まず1点目、今日の知事の辞職の申し出が同意されたことについてですが、これは全会一致でという同意になりましたがそれについての受け止めをいただいてもいいですか。

 

[知事]

 これは私がなんとかできるだけ早く県政を新しい体制の方に向けていけるようにという想いについてご理解いただけたと考えているところです。

 

[記者]

 続いて原子力行政のことについてですが、長らく国に原発の活用方針などを示して欲しいと訴えられて、エネルギー基本計画などにも盛り込まれるというような結果につながったと思うのですが、ご自身がこういう原子力、県政のトップとして原子力行政を考えていた上で、杉本さんならではというか官僚出身とかいろいろな側面があると思うのですが、ご自身ならではの進められた点が何かありましたら教えてください。

 

[知事]

 ならではというのはちょっと私にはよくわからないというか、そういうつもりでやっておりませんので、ただ先ほど申し上げたとおり、とにかく先の先の先を見越しながら今を決めていくということは心がけてやってまいりました。

 

[記者]

 一方で使用済燃料の県外搬出というのは長らく求められてきたかなと思いますが、結果として現状なかなか見通しが立っていないという状態で6年半以上長く求め続けられましたが変わらないという状況についてはどう思われていますか。

 

[知事]

 これは核燃料サイクルの一番の肝である六ヶ所の再処理工場の竣工が遅れているということが本質的な原因だと認識をいたしております。これまでも事業者にも国に対しても強く求めてまいりましたが、これからも含めて、まずは六ヶ所の再処理工場の予定どおりの竣工、こういったことを実現していただきたいと思っています。

 

[記者]

 まずは6年半お疲れ様でした。先ほど少し前の質問の中で今日の退庁のお時間がお昼過ぎだというお話があったのですが、県職員のみなさんには基本的に周知されていないという認識でお間違いないでしょうか。

 

[知事]

 そうだと思います。そうだというのは周知というか普通に帰るということになっていると思います。

 

[記者]

 今回はある種、前例とは違った形での辞職になりましたのでそうなのかなと思うのですが、通常例えば最終日には花束を受け取られたりとかそういった形で庁舎を後にする首長の方という姿をニュースなどでもよく見ると思うのですが、ある種、ひっそりとお帰りになるというところの狙いや思いというのは何かありますでしょうか。

 

[知事]

 特にありません。私が副知事の時も同じでしたから。普通に、要はみなさんにご迷惑をおかけするので、みなさんは勤務時間中ですし、私事にみんなを付き合わせるというのは申し訳ないですし。今回状況的にもお祝いというような形にしていただけるような状況でないことも十分認識をしています。普通に退庁していくというつもりでいるということです。

 

[記者]

 6年7か月お疲れ様でした。いくつかお伺いさせていただこうと思うのですが、まず先ほどからちょっとお話が出ている知事選について、現時点で候補者も何も出揃っていない段階でこれを聞くのはあれですが、杉本知事として特定の候補を応援・支援する可能性というのは現時点でどのように考えていらっしゃるでしょうか。

 

[知事]

 何も考えておりません。

 

[記者]

 この後はいろいろ挨拶回りをしたいというお話を先ほど伺いましたが、これは在任期間中含めてお世話になった方々を回るのかなと推察しています。言える範囲でどんな人のところを回るのか、など教えていただければと思います。

 

[知事]

 本当にいろいろな人です。みなさんも多分異動とか、退任はまだされないと思いますが、回られるようなところだと思います。首長さんのところもあったり、経済界もあったりです。あと本当に最初の選挙から支援していただいている方です。こういうようなことを考えています。すでに少し回っています。

 

[記者]

 知事の政治家としてのビジョンというもので、在任期間中に、例えば知事をどのぐらいの期間務めたいであるとか、こんな政策でこんな結果を残したいであるとか、やや突拍子もない話かもしれませんが国政への転向ですとか、そういったところも含めて、どんな政治家としてのビジョンを描いて6年半の政治活動をやってこられたのか教えてください。

 

[知事]

 いつもそのようにおっしゃっていただくことが、この機会に限らずあるのですが、あまり私がこういう絵を描くという思いに、いつもならないです。本当にみなさんが何を思っているかな、というのをずっと見ながら、そうすると、このカンバスの中に少しずつ一つずつ絵が散りばめられていくというのが、私の物の見え方でして、そういうことから言うと、例えば20年後こうであるとか10年後こうであるとかを先に決めて物事を進めるというよりは、足元を走りながら、みなさん10年後にこの分野ではこんなことをしてほしいんだなとか、こういうことがあるんだなということを感じながらやって描いていくというものですので、今までも今もそうですが、何かに向かってやっていくものがあるということとはちょっと違っていましたし、国政というのを何も自分で描いているわけでもありませんでした。ただ結果として常に私がいろいろと申し上げるのは結構先のことも言うと思います。子育て支援でふく育県といって2人目からお子さんの幼児教育無償化などは、それに決めればこっち行くぞという話もしますし、アリーナ構想もそうですが、ブローウィンズをみんなが大事に思ってくださるということは、ブローウィンズはブローウィンズだけでは成り立たなくて、やはりアリーナがないとブローウィンズは成り立たない。そうするとにぎわいも生まれないということからアリーナに行かなくてはいけないということになってくると、そっち行くぞと先を言いながらやっていく。駅前の恐竜もそうですが、ブランド化はこうじゃないかということを思ってみなさんと話していて、そうなんだと思って形にしていく。これが私のビジョンの描き方かと思っています。

 

[記者]

 今回辞任を表明してから県議会も含めて様々な反応があったかと思います。事案公表時にもっと早く進退について判断すべきだったという声があった一方で、今日も議会の方で調査結果公表を受けて説明責任を果たして判断すべきだったとか、どのタイミングで決断されても批判はあったかと思うのですが、知事としてこの辞任表明して1週間余りで周囲のいろんな意見を聞いた上で、今回のこのタイミングというのは本当に適切だったと、現時点でどのように評価しているか教えてください。

 

[知事]

 これは私の想いとして常に今までも申し上げてまいりましたが、それだけ重いご迷惑をおかけしているということがまずあって、これは退任をせざるを得ないのではないかということに思いが至ったところからです。あとはタイミングをどうするかを考えたということです。そういう中では、やはり本当に普通に私も何年も役人をやっていますので、1月の状況がどうなるかということは本当によく見えますので、私はタイミングとしてはこのタイミングしかなかったと少なくとも今のところは考えているところです。

 

[記者]

 最後に1点だけ。この2年半福井県政を取材させていただいて特に原子力行政のところで印象に残っていて、素朴な疑問として残っているところを最後にお伺いできればと思いますが、2023年の関電の最初のロードマップ受け入れであるとか、あとはその24年の乾式貯蔵施設の申請了承の際には、県内の取材先から今回、ただ受け入れただけで県民益につながる取り組みが引き出せなかったという声を聞くこともありました。その一方で、それ以降で見直し後のロードマップの受け入れとか、乾式貯蔵をめぐっては避難道路の整備であるとか50億円前後の寄付を引き出したりとか、北陸新幹線の小浜京都ルートの全線開業に向けても、知事が原子力の場でも積極的に発信している姿を見るようになったと感じているのですが、この国策としての原子力政策を担う福井県の立場であるとか交渉の仕方をこの間、知事として何か認識が変わったりとか変えたりとかはあったのでしょうか。

 

[知事]

 認識は変わってないと思います。先ほども申し上げましたが、とにかく原子力政策は先の先を見ながらやっていく必要がある。あまり1対1だけでこれをやってあげたからこれをしろとかで原子力行政三原則ができているわけではないとは感じていまして、やはり長い歴史の中の志を持って協力してきたというところもとても大切だと思っております。いろんなことが起きます。安全ではない可能性がある状況になったり、こういうようなことの中でもそれを乗り越えなければいけないという志を持ってやってきたのが福井県の原子力政策だと思っていましたので、あまり一つ一つのことに1対1で物事に答えを出していくということではなくて、大きく地元が求めているものは何であるか、そして相手がそれはいろんな手順が国としてはありますので再稼働だったりとか、それから次のことをどうするかといういろんな話が出てきますので、そういった中でこちらとしてそれに協力をするのかどうか、それをすれば当然地元の県民益というのも最大化していく方法も考えながらやっていくと、そういう中でタイミング的にやはり協力が続いて、それでこちらのほうに恒久的福祉の増進というところがうまくいってなければ、それに対して国にも強く申し上げる、もしくは新幹線もそうですが、何事もなかったかのように物事を進めていくということはそれは立地としては認められないということはもちろん言うべき時には言うということでやってきたところです。

 

[記者]

 知事6年半お疲れ様でした。知事の印象に残る場面がいろいろありますが、特に新幹線の建設促進同盟会の大会で知事が小浜京都ルート早期開業に向けて力強くスピーチをされている場面が特に印象に残っています。私から新幹線について何点かお聞きします。今の一番新しい状況として、日本維新の会がルート問題について8パターンを示した状況になっています。知事を退任されて、客観的な視点も今お持ちになれる立場になった知事にお聞きしますが、小浜京都ルートの実現可能性、特に京都府が非常に懸念を強く持っている中で小浜京都ルートをこれからも実現していけるのか、例えば小浜を経て京都市内を通らないルートなど、他の変形型も含めて知事はどのように思いを持っていますか。

 

[知事]

 これから新しい与党の枠組みでもしっかりと議論をされると思います。とりあえず8ルートが発表されたと考えています。これの後どうなっていくのか、私はやはりもうこれは国策そのものだと思っています。これは南海トラフ地震も目の前に迫っている、それから現実にサンダーバードを利用されている方の3割は京都駅を利用されているということがあって、それから費用対効果のB/Cということだけではなくて、その総効用のBです。ベネフィットのところ。ここのところの大きさ、この日本をこれから発展させる起爆剤としての価値、こういったことを考えれば、小浜京都ルートは最善であるとこれまでも思ってきましたし、これからもそう思うと思っています。京都府内のいろいろなこと、課題ということも十分認識していますので、早くもっとよくご説明をさせていただくように、国の新幹線の鉄道運輸機構にも申し上げてきましたし、これからも科学的によくご説明をすることは重要だと思っています。話を聞いていただいた方は理解が進むという状況も目の当たりにしていますので、これをしないではやはり国策としての新幹線は出来上がらないのではないかと思っています。私は維新のみなさま方にも申し上げましたが、とにかく福井県は小浜を通らないルートということは考えられません。小浜京都ルート、これしか求めません、ということを申し上げてきていますし、これからもみなさんは一致してそういった方向を求められるのだろうと考えています。

 

[記者]

 京都の理解促進に向けて、知事はこれまでも重ねて科学的な説明を丁寧に行うべきだというお話をされていましたが、この説明会が開かれてないのも事実でありますが、この説明一遍等では京都の理解が打開できないという状況が長く続いていまして、打開策が見出せないと思っていまして、その説明以外に例えば地方負担の削減など、今思っている打開策、アイデアは何かありますか。

 

[知事]

 私は北陸新幹線で大事なことは、まさに国の施策として何が大事かを本当にまっすぐに見て進めていただきたいと思います。説明ができないというよりは、できない状況にしないようにしていただきたいという感じがします。もっとお話をさせていただく環境ができたらいいのではないのかと思います。それを説明ができにくい環境にしないようにすることが、その上で議論をしてどういうルートにするかということを決めていくことが大事なのかと思います。京都府のみなさんにとっても小浜京都ルートは、私として、これは決して押し付けではありませんが、とても大切なルートになっていくといつも申し上げているとおり、そこから山陰新幹線が伸びていくであろうということを考えれば、決して京都府民のみなさんにとって効果のないものでは全くないのではないかという思いもあります。強く持っていますので、そういったところも含めて、十分にみなさんと話し合いができる環境というのができてくるといいと思っています。その上でやはり大都市部に入っていく、整備新幹線としては初めてのような、地域振興新幹線以外の新幹線という部分に入っていきますので、そこのところはやはり地元の負担ということも考えないと、そこはよく京都の西脇知事も言われますが、費用対効果の効果に見合った費用と言われますが、そういった考え方は国としてしっかりと持っていただいて進めていただく必要もあると思っています。

 

[記者]

 この新幹線行政にあたって、今までタッグを組んできた各県の知事、北陸3県の知事や、大阪府や京都府の知事、滋賀県の三日月知事に対して、今回の辞職について知事から何か説明をしたことはあるのでしょうか。

 

[知事]

 個別に連絡をいただいたりして、それに対してはお答えをしています。もちろん謝罪をしています。

 

[記者]

 年頭の記者会見で知事がおっしゃった小浜先行開業案につきまして、当初の記者会見でかなりインパクトを持って私たちは受け止めたのですが、あのアイデアはどれほど実は練っていたのか、どれほど前から準備していたのか、今だから言えるところを教えてください。

 

[知事]

 これはその時にも申し上げたと思いますが、年末に必ずしも大きく前進したというような状況ではない中で、次どのようにしていくのかということ、以前からどんな方法があるかと考えていたのを、お正月にさらに初夢で見たとこういうところです。

 

[記者]

 6年半本当にお疲れ様でした。改めて行政マンとして関わった福井もそうですし、知事として携わった福井、知事にとってこの福井県というのはどういう場所で、そして今後の知事の人生の中でもどういう位置づけになりますか。教えてください。

 

[知事]

 先ほど申し上げましたが、私は福井県が大好きですし、だからこそ総務部長時代、それから副知事をさせていただいて、知事選挙にも出させていただいて、知事になってこの6年半お仕事をさせていただいて、その想いはさらに強くなったというところです。実家は岐阜県ですが、それはそれとして大切ですが、やはり私の第二のふるさとというとまた第二のふるさとになってしまうので、やはり本当に私が住みたいと思うのはこの福井県だと思っています。その上で、福井県を、これからも一県民になってもしっかりと何とか少しでも前に進められるような自分の生き方もしていきたいなと考えています。

 

[記者]

 これまで話している中では、年明け以降のセクハラに関する調査報告書に対する対応というのはもちろんあると思いますが、その先もっと長期的な視点でお答えいただければと思いますが、どのように福井と関わっていきたい、福井の今おっしゃった発展についてはどう携わっていきたいか、最後に想いを教えてください。

 

[知事]

 これは本当にその後私も食べていかなくてはいけませんし、生活していかなくてはいけないので、自分の立場がどうなるのかということから始まって、ただ想いとして福井県のみなさんのために、福井県のために尽くせる。みなさん本当に一人一人が福井県のためにと思っているかどうかはともかく、この社会を良くしようと思って活動はされていると思いますので、どんな仕事をしていようともしっかりと社会のためにと思って生きていこうと思っています。

 

[記者]

 知事は辞職されてすっきりしたような感じかもしれませんが、これまで支持してきた県民、有権者から見れば、やはりこの真相がわからないまま自身でセクハラを認めて辞職されると、何も語らないまま辞職されるというのは非常に無責任だと私は感じます。改めてお聞きしますが、辞職に至るような事案というところは複数の職員にセクハラにあたるメッセージを送ったこと、複数に送ったことについて辞職につながると思ったのか、それとも一件一件の通報者のことも含めて深刻に受け止めざるを得ないと思って辞められたのか、プライバシーの保護というのは非常に大事にしなければいけませんが、これまで投票してきた有権者のみなさんにも真摯に向き合って、今の状況で語られることをやはり語っていただきたいと思います。

 

[知事]

 今おっしゃったことでいえば、いずれもだということです。いろいろとこの調査の過程でお話もお聞きしながら、自分としてそういった一つ一つについてもそうですし、複数あるということについても非常に重いと考えて、内容的にも不適切極まりないということで私が考えて今回こういう判断をさせていただいたということですので、本当に申し訳なく思っています。

 

[記者]

 一件一件が重いと判断されたということは最初の4月の通報があって、ご自身が6月から調査を受けているわけですが、その時点で重いと思って辞職という道もあったはずですが、それをしなかった理由は何ですか。

 

[知事]

 これは調査の中でまたお話もさせていただいていますし、これからもしっかりとお答えもさせていただこうと思っています。一つ一つのことで何か申し上げると、その断片だけで物事が判断されたり、もしくは調査に影響を与えてはいけませんので、ここのところはまずは特別調査委員の調査に誠実に協力をさせていただいた上で報告書の中で明らかにされると思っています。

 

[記者]

 辞職を表明されて今日辞職となって、これまで杉本さんを支えられた後援会連合会や「達親会」、市町議員で作る「新しい風ふくい」もそうかもしれませんが、これらの団体に対して何か説明はすでにされているのか、どういった内容の話をされたのか、これからするならどういう話をされるのか、まずお聞かせください。

 

[知事]

 これはすでに幹部の方に説明をさせていただいたり、この後もまた予定もされていますので、しっかりと私の想いを謝罪も含めてさせていただこうと考えています。

 

[記者]

 後援会の方々からはやはり再出馬してほしいという声も多分上がるでしょうが、それはやはり今は考えてないというようなお話をされる予定ですか。

 

[知事]

 これはその時になりませんと私もどのようなことを言うかは決めていませんが、今は考えていません。

 

[記者]

 知事を辞めるということで各後援会の団体の解散をお願いするということはありえますか。

 

[知事]

 私が作っている後援会ではありませんので、後援会のみなさま方の思いでいろいろと考えていただくことだろうと思っています。

 

[記者]

 一県民としてこれから県政発展にと、政治にも関わっていきたい、というような話はされていましたが、県政に関わっていくのか、それとも福井県の立場で国政にも関わっていきたいと思われるのか、将来的なこと何かあれば教えてください。

 

[知事]

 あまり今重ねられておっしゃられるとそういう筋道もできるのかもしれませんが、そのようなことも考えているわけではなくて、一般的な政治というと私はそこまでそういうことを思っているわけではありません。社会のためにというような意味で申し上げていますが、本当に先のことを何か考えて申し上げているわけではありません。

 

[記者]

 これは要望ですが、調査報告書が出て適切に説明責任も果たされるということですが、やはり知事を辞められても、立場上、知事時代に起こしたこの事案というのは非常に重いものなので、しかも県政トップの問題ということなので、必ず記者会見は開くように絶対にしていただきたいということをお伝えします。

 

[知事]

 お話は真摯に受け止めさせていただきます。

                                                                                                        ―― 了 ――

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