知事記者会見の概要(令和3年9月2日(木))

最終更新日 2021年9月29日ページID 047844

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令和3年9月2日(木曜日)
10:30~12:00
県庁 大会議室

知事200213

  

 

【知事】

 私から4点発表させていただきます。

 

〔配付資料:東京五輪メダリストへの福井県栄誉賞および報奨金の授与について

 1点目は福井県栄誉賞と報奨金の授与についてです。先般の東京オリンピックにおきまして、福井県のご出身であるフェンシング男子エペ団体の見延和靖選手、そして侍ジャパンの吉田正尚選手と栗原陵矢選手のお三方は金メダルを受賞されました。皆さんは、高校時代まで福井県内で過ごされた上で、その後も福井県に戻ってきて、いろいろな形で後進の指導や講演会、さらには県内のスポーツを盛り上げたりと大変力を尽くしていただいています。

 福井県栄誉賞は、文化やスポーツの分野において、顕著な功績を上げられ、輝かしい活躍をされていらっしゃる方々にこれまでも授与させていただいています。また、後進の育成、スポーツの振興等に今も尽くしていただいているということに対して、報奨金50万円の授与もさせていただきたいと考えているところです。

 これまでも、五木ひろしさんや毛利衛さん、アテネのパラリンピックで金メダルを三つとられた高田稔浩さん、敦賀気比高校が選抜高校野球で優勝したとき、国体で5連覇した県ボート協会にも出させていただいています。それに続くということでお三方に県民栄誉賞と報奨金を授与させていただこうと考えています。

 贈呈式については、今の新型コロナの関係もありますし、またプロ野球はまさにシーズン真っ最中ですので、時期を見ながらやらせていただきたいと思っています。

 

〔配付資料:新型コロナウイルス感染症対策について

 2点目は、新型コロナウイルス感染症の現状についてお話をさせていただきます。本日は、新規系統8系統、17名の新規感染者です。結果として、1週間の感染者数は224名、病床については196床、重症病床は1床となっています。依然として、1週間の感染者数については、ステージ4を超えています。病床の利用については、若干ステージ4を下回った状況です。

 資料のグラフを見ていただくと、下がってきたという感じはしますが、これは1週間の感染者数でして、赤い線が病床ということになります。よく見ていただくと、8月25日の56人の感染者が出たピークのときから比べると少し下がっているように見えますが、全体として1週間の合計感染者数については、8月の頭に緊急事態を出したころよりもまだ高いような状況になっています。また、病床の使用についても、高止まりしている状況です。

 例えば、指標を見ても、ステージ4やステージ3の1週間の新規感染者数については、大体毎日27人を下回ってきますとステージ4を下回ります。それから、毎日16人という数字を下回ってくると、ステージ3を下回る状況です。今日の17人の新規感染者は、まだステージ3を超えるような状況をようやく1日クリアしているというところですので、これからも感染対策をしっかりしていく必要があります。

 緊急事態宣言を8月6日に出させていただきましたが、その宣言後、年代別の感染者数では、30代以下、40歳未満が全体の64%を占めています。人口比では、約37%が40歳未満に入りますので、その方々が64%を占めている。どんな世代に多いかを見てみますと、感染している方々を人口10万人当たりに直した場合、20代が特に突出して多くなっている状況です。また、10代と30代も多くなっている状況が見て取れると思います。やはり、20代の方というのは年代的にも非常に活動的な方が多いと思われますし、独身の方も多いと思います。このような感染の特性や状況をよく見ながら、皆様の行動についてさらに見直しを行っていただきたいと思っています。

 また、ワクチン接種の状況については、今申し上げた30代以下は現状において1回目の接種が3割台半ば、2回目については2割弱が終わっている状況ですので、これも引き上げていかなければいけないと考えています。感染拡大を収束させるために、県民が一丸となって感染防止対策を再徹底していく、9月12日の緊急事態宣言の期限に向け、感染者数の減少を確実なものにするために、特に若い皆様方に行動を見直していただき、ぜひご自分のことだけではなくて、家族や仲間を守るために行動の見直しをお願いしたいと思います。また、20代の方であれば、家族や同僚、上司のような身近な方もたくさんいらっしゃいますので、そういうような方々からも、お声がけをいただきたいと思います。

 特に3つお願いしたいことは、1つ目は県境をまたぐ旅行や帰省について、今の期間は中止または延期をぜひお願いをしたいということでございます。

そして2つ目は、親しい集まりこそおはなしはマスクを徹底ということです。基本的には、同居のご家族で行動していただくことをお願いしていますが、20代、30代の方は、1人で暮されている方もたくさんいらっしゃいます。行動する時に友達と少し出かけようというようなこともあると思います。そういうことになった場合には、ぜひとも「親しき仲こそマスクあり」ということで、親しい集まりこそ、おはなしはマスクの徹底をぜひお願いしたいと思います。

 3つ目は、早い時期にワクチン接種の予約をお願いしたいと思います。若い方でも感染した場合、全国では20代、30代でも亡くなられた方がいらっしゃいます。既往症がなくても、重症化などのリスクもあります。こういったことを、ぜひとも頭に置きながら、家族や仲間を守るために、行動の見直しをお願いしたいと思っています。そんなに難しくないことです。自分が出かけるときに、あれもこれも全部止めてほしいと言っているわけでありませんので、その時にぜひマスクをしていただく癖をつけていただくと大丈夫だと思っています。

 その上で、ワクチン接種を希望する誰もが予約が可能な状況ができ上がっています。市や町で個別接種や集団接種もあります。また、県や商工会議所の大規模会場での職域接種もあります。連絡をいただければ予約ができますので、まず早期に予約をしていただきたい。1、2週間後にはさらに枠を拡大するという市町もたくさん出ていますので、時々ホームページを見ていただくと接種日の前倒しも十分可能になっています。心配な方はぜひ前倒しもご検討をいただきたいと思います。資料にはQRコードを載せていますので、これで見ていただければと思います。県も12歳から30代の若年層や小中高校生優先枠、もしくは妊婦さんの枠も設けさせていただいていますので、ぜひご活用いただきたいと思います。

 

〔配付資料:令和3年度9月補正予算案 予算案の概要主要事業ポイント

 3点目は、令和3年度9月補正予算案についてご説明をいたします。

 まず、ポイントですが、コロナ禍ですので、まずは県民の安心安全の確保を最優先に行っています。あわせて、事業者の皆様、大変厳しい飲食店、観光業を中心に、その周辺事業者の方々も大変厳しいということですので、緊急支援をさらに拡大させていただきます。その上で、ただ待っている、もしくはその山を乗り越え、乗り切るだけではなくて、その後に向けて、攻めの政策に着手していくことも予算にしています。予算の規模は236億円、これまでの中で3番目の9月補正の額になります。一般会計のここまでの予算額の現計は6,065億円でして、昨年よりも多く、過去2番目の水準になっています。

 予算の中身としては、まずはコロナ禍対策ということで、検査や医療、療養の体制を確保します。そして、事業者の皆様への支援、さらにはこの後の経済のV字回復に向けての対策を行っていくということです。さらには、長期ビジョンの推進。そして、7月、8月の大雨による災害に対応していくということです。

 まず、「新型コロナウイルス感染症対策事業」については、PCR検査費用や入院費を拡充していきます。

 事業者支援につきましては、8月専決予算で、中小企業は1日2.5万円から7.5万円、大企業については最大20万円といった「クラスター防止協力金」の制度を設けさせていただきました。

 「中小企業者等事業継続支援金」については、6月補正予算において売上が50%以上減少した方について、10万円を6か月分までということで支援させていただきました。昨日も酒類の卸や小売の皆様からも要請いただきましたが、時短営業している飲食店の周辺にあるような事業者においても、大変厳しい状況ですので、今回の9月補正予算案では30%以上の減少が続いているところについても、月に5万円という県版の持続化給付金を出させていただこうと考えているところです。

 また、「地域公共交通等運行継続特別支援事業」では、バスやタクシー、運転代行の交通事業者の方々も大変厳しい状況が続いていますので、こういった方々に対して、固定費に当たる部分について補助を出させていただくということです。

 さらに新たな対策として、前向きな方に新しく事業を向けていくということで、労働移動の推進。企業では、大変厳しい状況で解雇もあるでしょうし、またどうしても人員の整理等で移っていかなければいけないこともあると思います。「労働移動促進事業」では、そういった方々向けに新しい業種に移っていただけるような体制を組もうということです。大きく言いますと、これから仕事を探そうとされている方や辞めようと思っていらっしゃる方々に向けて、職業訓練とトライアル就労をセットにして提供するということです。形としては、県が民間の人材サービス事業者に委託して、事業者が求職者を2か月間雇用します。前半の1か月は職業訓練、新しいことをITや介護などいろいろな形で訓練が必要なことがありますので、給料をもらいながら訓練を受けます。その上で、派遣先、次に移っていただく会社を決めて、トライアルで働いていただく機会を1か月間作ります。トライアルで働いていただいた次の月からは、派遣先企業の従業員となっていただくような形の事業を組ませていただきます。

 また、商店街等での空き店舗対策が特に北陸新幹線福井・敦賀開業に向けても重要です。「商店街等空き店舗対策支援事業」では、一つは空き店舗を使って事業を始めたいという方に対する補助、もう一つは空き店舗がある商店街や商業施設がその場所を使って、何か新しいことを始める、例えばイベントスペースなどにする際にかかる経費を応援します。

 「デジタルバウチャーを活用した消費喚起事業」では、「ふく割」の発行を拡大していきます。昨日も酒類の皆様方とお話をしていて、例えば地酒割では、5,000円以上で1,000円割引することで、購買の単価が上がっており、少し高額なものを買ってもらい助かっていますと言っておられました。今回は、5,000円以上で使えることが一つの売りの「プチぜいたく割」を新規発行します。今のマスク会食割では、2,500円で500円値引きが上限なわけですが、「プチぜいたく割」では、5,000円以上の飲食であれば1,000円割引となります。また、伝統工芸は今もなかなか需要が伸びていない。こういうようなところは、2,000円で1,000円割引を行うというプレミアム率の高いものを考えています。また、「『ふく育』応援事業」は10月から開始させていただきます。6月補正では、5,000円以上購入で1,000円割引の「ふく割」でしたが、子どもの小物だとそんなにたくさん買わないときも多いと伺っています。そこで今回は、1,500円で500円割引を追加させていただきたいと思います。

 また、観光のV字回復ということで、「県内観光促進事業」をやらせていただきます。現在は、県内観光の促進を県民の皆様向けにやらせていただいていますが、コロナの感染拡大により中断しています。そこで今回は、カニのシーズンに向けて5,000円の割引を上限1万円に引き上げ、3,000円のクーポンをつけて、県民向けでやらせていただこうと考えています。GoToトラベルは、全国でどのような形で再開するかはまだわかっていませんが、年内もしくは年明けからGoToトラベルが再開された際は、国が35%割引しますので残りの15%、6,000円を上限として、県は割引をさせていただきます。また、現在は県内バスを利用した貸切バスツアーの半額割引をやらせていただいていますが、GoToトラベルが再開になった頃には、半額割引の対象を全国まで拡大していきたいと考えています。

 今、「ウッドショック」と言われています。輸入材を県産材に変えていただくために、プレカット工場では、例えば構造を見直したり、柱の太さを少し変えなくてはいけないなど経費が新たにかかります。また、住宅業者に県産材へ変えてみませんかというセールスにも経費がかかります。そこで、「ふくいの木にチェンジ!緊急対策事業」では、製材所が買う量をもとにそういった掛かり増し経費を支援します。そうすると、製材所や木材を切り出している森林組合も次の投資がしやすくなります。まず、製材所とプレカット工場で協定を結んで、供給をしてもらって、プレカット工場に掛かり増しになる経費の部分を支援することで、県産材を県内の住宅業者にどんどん出していただくことを進めようと考えています。

 次に長期ビジョンの推進についてです。まず、「県立学校再編施設整備事業」では、令和7年4月にキャンパスが統合される武生商工高校において、第1実習棟の改修や、体育館や新商業棟の新築といったことを統合までの間にやりたいと考えています。

 「JRローカル線利用促進特別対策事業」では、小浜線、越美北線の沿線市町とともに県も一緒になって利用促進を進めていきます。市町の単独事業であれば2分の1、広域の場合には3分の2の補助でやらせていただこうと思っています。例えば、おもてなしを拡充する、またみんなでこのようにローカル線を活用していこうというワークショップなどに使っていきたいと思っています。

 「東京2020オリンピアン・パラリンピアン交流事業」では、オリンピック、パラリンピックに出られた方々を招きまして、イベントを開催させていただいて、スポーツ熱を上げていく、みんなのワクワク・ドキドキを拡大していきたいと考えています。できれば年内に開きたいと思っています。先ほどの福井県栄誉賞の贈呈式もうまく日程があえば、一緒にやらせていただくことも考えていきたいと思っています。

 災害関連では、7月、8月の大雨への対応として、河川、道路や耕地の災害復旧を行っていきます。

 また、これまでに国の補助事業などの箇所づけもありましたので、今回の補正予算で措置をしています。以上が9月補正予算案についてとなります。

 

〔配付資料:令和3年度原子力総合防災訓練について

 4点目は、令和3年度の原子力総合防災訓練の実施についてです。今年は10月29、30日に、美浜発電所を対象としてやらせていただこうと思っています。訓練の内容としては、今年の1月に美浜発電所の広域避難計画ができていますので、まずは内閣府、隣県である滋賀県、岐阜県と連携して、計画の中に書いてある手順の確認をやらせていただこうと考えています。初日は、県庁などでの災害対策本部などの運営について図上訓練を行います。2日目は、コロナ禍ですので、どれくらいの規模になるかはわかりませんが、住民の皆様にもご参加をいただいて訓練を行います。例えば、バスや自動車に乗って広域避難をしていただくという通常しているような訓練もあります。 また、議会等でも質問があってお答えをさせていただいていますが、より実態に即して福祉施設の避難を行います。今までは福祉施設から避難先の訓練施設まで人を送る程度の訓練でしたが、今回については、施設の中で実際に臨時のスペースを設けて、ベッドを置いて、資機材などを展開します。実際に受け入れていただいて、なおかつ生活ができるかどうかといったところまで広げて考えたいと思います。また、コロナ禍ということで、実際の避難先が今まで通りの数では足りないのではないかというようなお話もございます。そういう意味では、現状の数だけで足りないというときに、近隣の市や町の中で避難所を探す。さらに、ホテルの中に避難所を設けるといったことの手順も確認させていただこうと思っています。外国人の方にも参加をいただきたいと思っています。具体的にどのように行うのか、住民の方にどれぐらいご参加いただくのかといったことについては、新型コロナの感染状況を見ながら、最終的に決めていきたいと考えています。

 私からの説明は以上です。

 

~質疑~

 

【記者】

 福井県栄誉賞と報奨金の授与について、オリンピアン、パラリンピアンとの交流事業などにも含まれていますが、アスリートとしての活躍だけでなく、教育分野等、これから県との関わりの中で期待する活動や貢献があればお聞かせください。

 

【知事】

 このお三方には、オリンピック前から私も福井県内でいろいろとお会いもさせていただいています。県があれこれ思わなくても、例えば、県民に対するスポーツ教室であったり、トークイベントであったり、子どもたちに教えてあげる場面も含めて、本当にいろいろな形で福井においでいただいていますので、ぜひとも、これからも福井県との交流を続けていただければありがたいと思っています。

 もちろんご自身の活躍の場がありますので、それ以外の時間帯を使って、いろいろな県が設けるイベントでもお声がけもさせていただいたりして、帰りやすい環境をつくることも考えています。

 

【記者】

 新型コロナについて、県内の現状と分析、今後どういうことに気をつければよいのかということについて改めてメッセージをお聞かせください。

 

【知事】

 一言で言えば、なかなか落ち着いて来ないという印象です。今日は新規感染者が17人、新規系統は8系統です。昨日も11系統でして、以前の落ち着いていた頃はゼロの日もたくさんあったのですが、昨日今日のような11系統や8系統の新規系統が出てきますと必ず濃厚接触者、もしくは、その他の接触者の感染が出てきますので、まだまだこれからも気が抜けないというところが一番大きいと思います。

 一方で、夏休み期間が終わりましたので、県外から県内に入って来られる方は少し落ち着いてきたかと思っています。以前から申し上げていますが、親しい方と交流した場合に、同居家族以外の方との間では、親しい方こそマスクの着用をお願いします。特に会話の時にマスクすることをしっかりと守っていただいて、新しい感染を何とか止めていくことが必要ではないかと思います。現状の段階では、ステージ4やステージ3の間を行ったり来たりする数ですので、まだ油断ができない。何とか9月12日の期限までに緊急事態宣言を終えられるような状況にしていきたいと思っています。

 

【記者】

 福井市内の体育館で臨時病床のシミュレーションを行ったことで見えてきた部分や今後の展開に向けて課題などあればお聞かせください。

 

【知事】

 臨時病床の場合、一番難しいことはやはり体制をどう組むかだと思います。各病院であれば、ご自身の病院の中で、ローテーションを組んでいくということになりますけれども、臨時病床の場合は皆様にお手伝いいただきながらまわしていくという難しさはあると思います。

 一方で、現場で私も見させていただいてお話もしましたが、医療資源的には効率的に看護、治療ができる状況がつくれるわけです。そういう観点から言っても、多くの人が一斉に感染し、以前のように50人、60人と増えてきたときには、自宅にいるよりは、宿泊療養施設、そして、臨時病床があって、病院があるような形になっていきます。宿泊療養施設と病院の間は、感染爆発が起きたときには重要な場所だと思っています。臨時病床は今すぐ開設するという状況ではないと思いますが、これからさらに増えてきた時には、各医療機関、医師や看護師の皆様ともよくご相談しながら、ローテーションを組んで活用し、重症化しないように見守っていく、もしくは治療していくのかと思っています。

 

【記者】

 昨日、知事ご自身も現場でシミュレーションを視察されたのでしょうか。

 

【知事】

 はい。拝見してお話もいろいろとさせていただきました。

 

【記者】

 臨時病床について、福井県の場合は6月補正予算の時点で成立していますが、実際に検討自体は4月から始まったとお聞きしています。他県が病床などに苦慮する中で、かなり早い段階で準備を進めて来ることができた理由や背景について、知事の考えをお聞かせください。

 

【知事】

 最初提案があったのは、4月の病院長会議の時にある病院長からお話が出ました。その頃は第4波が始まって大きくなってきているような時期の議論でした。そこまで切迫感はない時期でしたが、常に県庁や市町、医療関係者との間でコミュニケーションをとっている。そういう中で、こういうやり方もある、次にこう来たときにはどうするのかという議論を前広に常にやっていて、それに対して非常に好意的に医療の現場からもアイディアが出てきて、行政で応援しましょうという話になっていました。また、医師会、看護協会を含めて人を出してもらえないかといった話し合いが日頃から非常にできています。「チーム福井」、「福井モデル」が形になったと思っています。

 6月補正予算を組む頃は、臨時病床を本当に使わないといけない時期が来るということは、来てほしくないという気持ちも含めて、あまり持っていなかったのですが、本当に来てしまったときに、福井県はもともとの医療資源が潤沢にあるわけではありませんので、どうやって自宅療養ということを避けていくのかということも含めて考えて、その段階に決断して予算措置をしたということです。

 

【記者】

 今回の臨時病床も含め、早期に対策ができている一番の理由としては、医療従事者の方とのコミュニケーションがしっかりできているからとお考えでしょうか。

 

【知事】

 おっしゃるとおりです。チーム福井でコミュニケーションをとにかく取ります。そうすると現場の声が聞こえて、どれだけ切迫しているかということがよく分かります。また、私たちの気持ちも分かっていただけます。特に去年の4月の初めは病院も非常に厳しかったと、池端会長もおっしゃられていますが、その頃はみんな怖くて手が出せない、医療関係者もそのような状況でした。そこから一歩踏み出して始まってからは、お互いにできること、すべきことをやっていくところに非常に力を入れていると私も含めて思います。できることをやるということから物事を考えると、なかなか広がりがなかったり、後手に回ったりします。何をしなければいけないかということを先に共有する、次に何をしなければいけないか、すべきことを共有できています。それぞれがすべきことをしていくことでお互いに手を出し合ってできることがどんどん広がっていくという思いを持って、最近も進めさせていただいています。

 

【記者】

 新型コロナは、昨日の発表で見ますと、大阪でまた3,000人を超して過去最多になり、東海地方がまだまだ減っていなくて、福井県の取り組みだけでは限界がどうしてもあると思います。例えば愛知県では、常滑のフェスなどもありましたが、今後、どういうことを感染の流行地域へ福井県として求めていきたいのかをお聞かせください。

 

【知事】

 最近は頻繁に全国知事会がWebで開かれますので、お話を伺っていても、各県の知事も本当に最善を尽くしていますし、相当程度、必要なものを素早く対応されていると思います。

 正直に言えば、行政だけで動いているのではなくて、今の話のフェスなど、そういう事業者の皆様との関係や、個人の皆様も帰省などいろいろな事情を抱えながら、もう1年も会ってないのだから1回ぐらいいいだろうという思い、そういう中でいろいろなことが起きています。そういうことから言えば、必ずしも結果から見て満点とはいきませんが、皆様は皆様で大変努力をされているなと感じています。

 ただ、おっしゃっていただいたように、1日当たり新規感染者が一時25,000人ぐらい出てきて、これが今大分減ってきて、先月末は13,000人となってきたのに、昨日はまた18,000人になっています。曜日の関係もあるにしても、やはりまだまだ油断できない状況だと思っています。ですから、今は一番我々として気をつけていることは、やはり人の往来、県外との行き来をできるだけ、不要不急の部分を抑えていくというようなことを各県で気を使いながら、あとは各県の特徴に応じて、病院の数を増やして病床の数を増やす、もしくはお店などの時短営業や酒類の提供の停止などをやっていただいています。

 これからも国に各地域の実情に即して早め早めに手当をしていただく。財源もそうですし、ワクチン接種もそうですが、こういったことをお願いしながら、まず福井県は福井県のことを、県民の皆様とともに、とにかく守っていけるようにしていきたいと思っています。

 

【記者】

 臨時病床についてお話をされましたが、改めてどれぐらいのレベルになると使われる可能性が高いのでしょうか。

 

【知事】

 これからどのように臨時病床を使っていくのかということにもよると思いますが、設備的に言えば、宿泊療養施設と病院の真ん中、まさに臨時病床ということだと思いますので、そういう意味では、著しい感染拡大期、もしくは感染が累積してきて病床が足りなくなってくるような時だと思います。福井県で言えば、424の病床が準備できていますが、臨時病床の100床を除くと324床ということになるわけです。その324床が大分埋まってきて、さらにまた重症者も出てくるような状況になれば、当然この100床についても開けていくというようなことになってくると思います。ここは具体的に、よく医師会とも相談しながら、やらせていただきたいと思っています。

 

【記者】

 9月12日までの県独自の緊急事態宣言がありますが、解除の見通しについてはどのように考えていますか。

 

【知事】

 まだ期間もありますし、また今の状況は、正直言って高止まりが適切な言葉ではないかと思っています。そういう意味では、まだまだ予断を許さない。延長になるかもしれないし、また他の方法になるのか、今がまさに分水嶺というような時期だと思いますので、是非とも県民の皆様方には、いつもお願いしている県外との往来等を見直していただく。友人等と会う機会には、会話の時にしっかりとマスクを使っていただく、ワクチン接種等をぜひお願いして、何とか9月12日に向けてさらに落ち着かせていきたいと思っています。

 

【記者】

 先週金曜日に知事は、感染状況がこのままのペースで進めば、まん延防止等重点措置もというような話もされていましたが、そのお考えはいかがでしょうか。

 

【知事】

 ここ数日の動きを見ていますと、少し遠のいてきていると思っています。あのときにも申し上げましたが、あの状況よりもさらに悪くなっていくようなことをある程度想定しながら申し上げていましたので、現状の方向としては少し遠のいてきていると思っています。

 しかし、急にどのように拡大していくのかわからないというようなこともあります。隣県でも、100人を超えるようになっているような日が急に出てきたりなどということもありますし、そういうことが数日続くだけで福井県の場合は状況が変わりますので、何とかこれまでやってきた早期発見・早期治療を繰り返しながら、病床を確保していくことを続けて、まん延防止等重点措置地域にならないように、我々としても県民の皆様とともに努力をしていきたいと思っています。

 

【記者】

 今月、地域の医師が選ぶ知事のリーダーシップ評価で、前回1月に続いて今回も杉本知事が1位に選ばれたというような発表がありました。評価を受けた所感とその理由についてどのように考えているのでしょうか。

 

【知事】

 これは私も伺いました。率直に言って、うれしく思っています。しかし、これは私というよりは、まさにチーム福井、医療関係の皆様や市町、それから県議会、経済界、さらには県民の皆様が協力しながら、何とか感染を止めようと取り組んできた。その継続が、全国的に見ても、医師から見たとき非常に福井はよくやっていると言っていただいています。そういう意味では、チーム福井全体が褒められたということかと思っています。特に、1回目・2回目・3回目とだんだんポイントも上がってきている、県民の皆様が安心している、気持ちが安定している。やはり福井県はこういうやり方をしていこうという思いを、県民みんなで共有していると感じています。

 基本的には、福井県がいつもやっていることですが、積極的疫学調査を徹底して行い、PCR検査を幅広くやっていく。そうすることで次の次を抑えていくというやり方について、支持もあったと思っていますので、基本的にはそうした先手、先手のやり方を今後とも続けていきたいと思っています。

 

【記者】

 今後の新型コロナ対応の上で、教育現場での新型コロナ対応をどうしていくのかがポイントだと思いますが、ここ数日、残念ながら子どもの感染者が出ています。現場の先生方の緊張や負担も大きくなる中で、今後、教育現場での感染を抑えていくために、どういったことをお考えでしょうか。

 また、新型コロナが身近な病気になりつつある中で、保護者の立場からすると家族の中に濃厚接触者が出た場合、その子どもを登校させていいか迷うケースがこれから生じてくると思います。こういったことは学校長の判断というところもあるようですが、基準を設けたほうがいいのではないかと思います。知事はどのようにお考えでしょうか。

 

【知事】

 後の質問について、これは文部科学省が基準を設けて、それに対して福井県では、県教育委員会も含めて、もう少し厳しめにしています。一つ感染例が出たら、一旦閉じて消毒等を行った上で広がりを見て、また再開するということをやっていくと言っています。市中まん延のような状況になってきたら、各家庭の判断でということも出てくると思います。しかし、基本的に今の状況であれば、子どもたちが集団で学ぶということの意義、昨年の長期にわたる休校を踏まえて、学校現場でも必要性を感じてそのことがよく言われています。まずは福井県の今の状況であれば、基本的には学校に行っていただくということでよいのではないかと思っています。

 一方で、それでも心配だというお子さんやご家族がいらっしゃる場合に、お休みすることは悪いことではありません。休んでも欠席扱いにしません。授業についても、既に1人1台タブレットの体制もできていますので、その日から学校で先生がやっている授業を、そのままタブレットで映して受けられますので、不安な方は家族で話し合ってそうした対応をすることもよいと思います。

 大きな感染にならないように、ご自身のお子さんの体調が悪いときにはぜひお休みをさせていただきたい。そうでない場合には、各自で判断をしていただいてよいですが、学校に行っていただき、我々としては、感染が大きなクラスターにならないような措置をとっていきますので、そういったことで続けていただくということかと思っています。

 学校の感染をどう抑えていくかについては、高校生や一部中学生の部活でクラスターが発生する可能性はありますが、大きく言えばご家族の感染者からうつることが多いと思っています。

 先ほどから見ていただいているように、20~40代の方に感染者が多いので、まずお子さんのためにも感染しないことをぜひお考えをいただきたい。また、家族の中で感染者が出た場合は、すぐに感染防止対策をとりますが、少し体調が悪いときにも家族の中でマスクをするなど、まず子どもにうつさないということをお願いしたい。その上で、学校の中では1人、2人と小さな感染があった場合でも、そこを見逃さないで、まず、広がりはどうなのかを立ち止まってみることを繰り返すことが一番よいと思います。

 これまでの経験でも、見逃した時に影響が大きくなるので、見逃さないよう日頃から体調管理、体温測定や玄関先で体調を聞くということを、既に学校でもやられているようですが、継続してやっていく。その上で、12歳以上の方には、ワクチン接種を急いでいく。県も特別枠を設けさせていただいたので、ぜひともご家族でお話をいただいて、ワクチンを安心して接種していただければと思います。

 

【記者】

 県の緊急事態宣言の期限の9月12日に向けて、県内の状況を見ながら判断していくことになると思いますが、全国的に見ると、国の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置地域を12日に解除できるのか非常に不透明な状況です。

 県内の感染状況はもちろんですが、県外の状況も含めながら県の緊急事態宣言について判断していくのでしょうか。

 

【知事】

 一つの判断材料だと思います。今もご質問にもありましたが、全国で拡大しているときに、福井県だけ感染が起きないということは第5波を見るとありえないぐらいの状況になっています。

 それぐらいデルタ株は感染しやすいということを踏まえれば、周りの状況や人の流れも見ないといけない。他県から福井は店が開いているから行こうといったこともあり得るので、そういったことを含めて、全国的な状況も見ながら、最終的に判断をしていくと考えています。

 

【記者】

 そうすると、県の緊急事態宣言そのものというよりも、例えば飲食店の時短要請や会食の自粛制限などは他県の状況に左右されるということになるのでしょうか。

 

【知事】

 どういうやり方があるかについては、いろいろな方法があると思います。県民の皆様へのメッセージとして、今の状況について理解をいただき、一番大事なことは、こういうことは避けてほしいというところに気をつけていただくことだと思っています。ただ店を閉めるということだけが効果があるというわけでもないと思っていますので、そういったことを全体として勘案しながら、必要性があれば、もちろん飲食店についての時短営業の要請を続けることもあると思いますし、その他の方法もあると思っています。

 

【記者】

 先ほどから話題になっている体育館での臨時の医療施設について、実現できた理由としてコミュニケーションということが挙げられていました。

 他の都道府県では、そもそも医療従事者の方が捻出できないという状況を言われることも多いと思いますが、福井県の場合なぜそれができたのでしょうか。

 

【知事】

 これについては、いろいろと必要性に応じてオペレーションを変えていかないといけないと思います。臨時病床を置くことは、一つの病院で運営ができるわけではないので、広く県内の医療関係者の皆様のご協力をいただきながら、ローテーションをもってまわしていくことになります。

 そうすると、どうしても通常診療の医師や看護師がここに出ていけば、ある日のある時間帯は休みをいただく必要性が出てくるので、医療の提供の仕方を少し見直しながらやっていかなくてはいけない。昨日までと同じ方法ではできませんので、例えば週に1回や1か月に1回出てもらうというローテーションを組んだ時、その日の時間帯だけは診療所が閉まっていることはあるわけですので、そういったことの時間やコンセンサスを得るということは、それなりのストレスがあると思っています。また、モードを切り替えるというところに難しさもあると思います。医療資源が枯渇してきている中でさらにそれを変えようとすることはなかなか厳しいところがあるので、早め早めにそういった話し合いから入って、医療資源が本当に枯渇する前に、そういった新しい手法も取り入れられるという可能性は広がると思います。

 

【記者】

 第三者認証店舗の場合は、時短営業か通常営業か選択できると思いますが、一期と二期で時短営業を選択している飲食店の現状の傾向をお聞かせください。

 

【知事】

 この後、申請が出てくるとわかると思います。実数は、まだ申請が全部出ていませんので、必ずしもわかりませんが、我々として、いろいろ見て回ったり聞いている限りでは、第三者認証もしくは申請をされている店舗について、この一期と二期の間で一部再開をされているところはあるようです。ほとんど変わりませんが、少し増えている印象を受けています。この後、申請が出てくると大体それはわかることかと思います。

 

【記者】

 学校の再開も今本格化していますが、現時点の小中高校で、コロナの感染を不安に思って自主的に学校に来ていない生徒数は把握しているのでしょうか。

 

【知事】

 小中学校は基本的に市や町なので、県ではまだわかっていませんが、県立学校で言いますと、昨日で62人、新型コロナの関連でお休みしますという方がいらっしゃいます。その方々は、特に欠席扱いにしていませんし、タブレットを持ち帰ってもらっていますので、授業も受けられるという体制にしています。

 

【記者】

 62人の中には、濃厚接触等で休んでいる方も入っているのでしょうか。

 

【知事】

 特に濃厚接触や行動制限等ではなくて、少し不安だというような方です。

 

【記者】

 予算の中で、コロナ対策等は厚くなっていますが、その中でも県内観光促進事業について、今回もかなり新しい施策、そういった取り組み等についての予算も盛り込まれています。経済対策はもちろん重要な部分として盛り込まれていることは把握していますが、一方で例えば県外からの新規感染等を懸念する県民の声もあり、そうした中で、観光促進事業を進めていくことについての不安の声も、実際に始まったら出てくるのではないかと考えています。

 こうした経済政策と新型コロナ対策を進めていく上で、観光促進事業がなぜ必要なのか、またこれを進めていくとしても、どのような対策をとって新型コロナの感染を抑えていくのかをお聞かせください。

 

【知事】

 まず今回、特に11、12月にやらせていただく県民向けの「ふくいdeお得キャンペーン」については、夏時点で5千円を1万円に割引額を拡大していますが、今の状況だとGoToトラベルが11月のカニのシーズンに戻ってくることは難しいかもしれないと思いました。

 もう一つ実態としては、昨年、旅行業界の皆様方が何とか一息つけた理由は、11月のカニのシーズン時にGoToトラベルがあって、それで全国からお客さんが来て、それで何とか持ち直している。しかし、その後、年末から年始にかけて緊急事態宣言になって、一気に落ち込んでそのままこういう状況になっているということです。やはり福井県の観光にとってはこのカニのシーズンが一番重要な時期。その時にGoToトラベルが復活していれば、それの応援をさせていただくことでかなり戻ってくるということが見込める。一方でそうでなかったときにどうするのかということで、県民向けの制度を考えさせていただいているということです。

 安心安全ということから申し上げますと、県内でいわゆる観光旅館やホテル等に泊まっていただいて、そこで何か大きなクラスターになっているようなことはほとんどなかったと思います。もしかすると、家に帰ってからあったかもしれませんが、例えば温泉旅館の中で広がっているということはないと思います。特に県民の皆様の中で、使っていただくということは安心度が高いと観光業界の方からも言っていただいています。

 まずは県民の皆様向けに、少しでもそういった旅行需要を取り込む。その上で、GoToトラベルが再開になるということは、国も含めて、全国的な感染がそれなりにおさまったことを判断したことになると思いますので、次に全国へ広げていく。その時には、全国から来るお客さん向けの観光貸切バスの値引きも広げていくことで、安全面を十分考えながら進めさせていただこうと思っています。

 

【記者】

 コロナ禍が続く中で、このタイミングで労働移動促進事業を推進する理由、例えば求職者の数が県内でも増えてきているのでしょうか。

 

【知事】

 先日有効求人倍率が発表になりましたが、福井県は1.83倍ということで、全国一位が16か月間続いているような状況になります。そういう意味では、県内は決して働く場所がないといった状況ではありません。

 一方で、観光や飲食を含めて既存業種の必要な人材を、剥ぎ取ってまで何とかするということではなくて、そこは雇用調整助成金でしっかりと守っていただくようにしていただきながら、やはり、働かれる側の皆様が新しい業種に移りたいというような場合は、安心して、移っていただけるような環境を整えようということでやらせていただいています。物事が始まって、経済が再開して、こういうことをやるというよりは、今からちょうど移り変わるという時期を見計らってやらせていただければ、スムーズに新しい次の経済再開、V字回復に繋がると考えてやらせていただいています。

 

【記者】

 V字回復はこの補正予算で全部実現できるとお考えでしょうか。

 

【知事】

 最近の経済統計を見ますと、もちろん飲食や旅行業等その周辺業種といった一部業種の中で、厳しいところがありますので、一本調子という形にはなっていません。一方で全体の企業の利益、売り上げを見ていてもかなりの部分で経済が戻ってきていると思います。

 今の特定業種の大変苦しいところを下支えしながら、その次に回復を図っていくことによって、相当経済的にもよい環境になってくるのではないかと考えています。

 

【記者】

 原子力総合防災訓練について、今回の対象は美浜発電所ですが、今年春の再稼働への同意のときにコロナ禍での避難がきちんとできるのかといったような多くの懸念の声が県民の方々から寄せられていました。特にコロナ禍で訓練を行う意義、あるいはどういった点を見ていきたいのかということについて改めてお聞かせください。

 

【知事】

 おっしゃるとおりで、県議会を含めて、いろいろとご意見をいただいています。それをできるだけ今回の訓練に入れていこうということで、例えば福祉施設がコロナ禍の中、避難先でスペースがとれるのか等、実際にコロナ禍だと少し手厚くお一人おひとりに対する手当が必要なところで人手も足りるのかということも現場に即した形で行います。今回はただ人数をこちらからこちらへ移しますではなくて、実際にベッドを広げてみたり、それから人が配置できるかということも含めてやらせていただきます。 

また、避難所の面積、収容人数が想定していたほど取れない可能性もあるわけですので、そのときには行った先の市や町の中だけでなくて近隣まで広げる、もしくは緊急避難的にホテルを開放してもらう方法も含めてやってみようと思っています。

 また、外国人の方、コミュニケーションがとりにくいような方々にもご参加いただきます。そして、大事なことは、やってみて、訓練ですからうまくいかないこともあると思います。そういうことはたくさん出てくると思います。そういったところを、一つ一つまた潰して次に活かしていく。もしものときに、そういったことは起きないようにすることが訓練だと思いますので、そういうことを皆様のご指摘を踏まえながらやらせていただいて、次につなげていきたいと思っています。

 

【記者】

 訓練の規模はこれから調整とありましたが、特にバス移動等、ある程度規模を確保した上で初めてわかることもあるかと思います。現時点での規模の見通しはありますか。

 

【知事】

 今のところ、例えば2年前であれば、7つの市町で1,000人規模の住民の方に参加いただき、移動していただくなどいろいろなことをしたわけです。昨年は1つの市町で50人でやらせていただきましたので、その間の規模だと思います。必要な期間をとらないと準備ができませんので、ある程度前にはどの程度でやるかということを最終的に決めることになります。大まかに図上でするのか、実地でやるのかということをまず訓練の画をかいて、その両方でできるようにしながら、最後にどうするか決めていくというやり方をしていくことによって、ある程度前に決めれば間に合うかと思っています。

 

【記者】

 昨日、JR西日本が公募増資を行うという発表がありました。国鉄分割民営化以降でJR各社が公募増資に踏み切った例はないのですが、福井県とJR西日本は切っても切れない関係だと思います。戦略的に公募増資に県として応募参加する考えはあるのでしょうか。

 

【知事】

 今、直感的に福井県が公募増資に応じるという方法をとるかというと、相談しないといけないという感じはします。もちろん、株主になって、いろいろなあるべき姿を主張していくという方法もあるかもしれませんが、県が少なくとも下支えのためにというのは、また少し違うと思います。

 今、JR西日本の長谷川社長とは必要なところでお互い協力関係を築けるような状況になっていると思います。今は公募増資を依頼されていませんし、そういう方向というよりはJR西日本と今進めているような協力関係を、新幹線の延伸も含めて、これからも追求して、さらに関係を深めていく方向だと思っています。

 昨日の話ですので、考えていくことはないとは言えません。

 

【記者】

 一つの戦略として増資に応じることでローカル線の存続もできるのではないかという意見もあります。

 

【知事】

 ご質問を聞いていて、私もそういうご趣旨もあるかと思いましたので、全く否定するものでありませんが、私の考えは今申し上げたとおりです。

 

【記者】

 原子力発電所の立地地域の共創会議について、その後の具体的な動きやワーキンググループの内容についてお聞かせください。

 

【知事】

 1回目が開かれた後、事務的にはいろいろと打ち合わせていますが、各ステークホルダーや参加者の事務方、例えば福井県では部長が出ていますが、ワーキンググループが昨日からスタートしました。

 この中で、これから国として、いろいろな事業者として、どのような地域の将来像なのか、もしくはこれからの発展のために必要なプロジェクトがあるのか、こういったような話し合いを、ここの場でまずされていくと思います。

 その上で、今のところ秋ぐらいと言っていますが、2回目の共創会議を開いていくということになっていくのではないかと思っています。

 

【記者】

 現時点で具体的なスケジュールはまだないのでしょうか。

 

【知事】

 まだないと思います。聞いていないと思います。

 

【記者】

 原子力発電所関連で、今週月曜日に文部科学省から「もんじゅ」や「ふげん」の廃止措置関連などの概算予算の説明がありました。前年度と内容的には、特に「もんじゅ」に関してはあまり変わりませんが、概算予算の説明を受けた所見をお聞かせください。

 

【知事】

 今おっしゃっていただいた試験研究炉は、昨年から3倍くらいの4億円ということで、設計に入っていくとのことなので、そういう意味では前に進んでいっているのかと思います。

 一方で、時間軸ということから言いますと、京都大学の研究用原子炉(KUR)が2026年度以降の稼働が難しいと言われていますので、その後の研究炉は急いで作らないといけないのではないかということを、我々としても、いろいろな場で文部科学省に申し上げています。

 そういうことを踏まえていっても、なんとかその時期、いつ頃出来上がるのかということも明確にしながら今後進めていってほしいということは、8月30日に櫻本副知事から堀内審議官に申し上げたりしています。すぐに決められるということではないとは思いますが、そういった時期、タイミングなどといったことを一緒にこれからも議論していきたいと思います。

 

【記者】

 試験研究炉関連で、県は早期完成を示すようにと求めていますが、完成にはかなり長期の年月がかかるという認識があります。少なくともKURが廃炉になってすぐに稼働ができるのかというのは大きな疑問です。

 嶺南Eコースト計画の中で試験研究炉についても大きな柱の一つとして掲げられていますが、建設されるのにおそらく今後長期的な年月がかかって、いつできるのか分からないという中で、嶺南Eコースト計画は果たして実現可能な政策になり得るのかについてどうお考えでしょうか。

 

【知事】

 試験研究炉だけで嶺南Eコースト計画ができているわけではありません。試験研究炉の話は、国が放っておいたら10年、15年かかるわけで、どうやってKURの後、人材育成や研究開発を行っていくのか、国にもっと考えていただかないといけないと私たちは思っています。まずは国がどのように考えるのかということを、試験研究炉について言えば、もっと急がないといけないのではないか、さらには我々の嶺南Eコースト計画も含めた、嶺南地域、そして福井県全体の発展や原子力の安全性を高めるということも含めて、引き続き求めていきます。

 嶺南Eコースト計画そのものでいえば、それ以外にも、廃炉事業をできるだけみんなで受け入れてやっていく、企業体を作ってやっていく、また、例えばスマートエリアを作っていくというようなことも提案させていただいていますし、いろいろな産業そのものをいろいろな形で、国からも、梶山大臣からも、新しい産業を作るということも応援いただけるということで、そういったものを作っていこうとしています。

 さらに、この上に今回の共創会議もありますので、試験研究炉はそう簡単に3年後、5年後に出来上がるものではないという認識は持っていますが、嶺南Eコースト計画そのものが遅れていくというよりは、どちらかというと、共創会議が出来上がっているので、もっと前に進むような形で、進んできているという手ごたえと、そうしなければいけないという思いは持っています。

 

【記者】

 次期エネルギー基本計画の素案について、知事も有識者会合の中でおっしゃっていたとおり、これまで開催された会合では多くの委員が原発の新増設・リプレースについて計画に示すように指摘してきました。しかし、最終的に見送られたという形で、一部の報道では環境大臣等の水面下での動きが影響していたという話も出ていましたが、今回の一連の流れについて、知事はどのように受け止めているのでしょうか。

 

【知事】

 新増設・リプレースについては、我々としては、どちらかということではなく、明らかにしていただかないと、立地地域として国策がどちらに向いているのか分からないので、協力しにくいということで強く求めてきました。その一点についていえば、結果的に新増設・リプレースという考え方が入っていないので、そういう意味では方向性が示されていないと思いますが、いろいろな考えの方が世の中にはいるわけで、それこそ全ての電力を再生可能エネルギーでやろうというような考え方もあります。今回の一つの到達点としてこうなったのだなと思っています。我々としては、これからも引き続き、新増設・リプレース、もしくは原子力の必要性をもっと明らかにするよう求めていきたいと思っています。

 

【記者】

 引き続きとおっしゃられましたが、今回改定されるエネルギー基本計画は3年後に再び見直しされると思います。リプレースもそうですが、原子力政策の観点において、今後の見直しの議論に向けて、知事が求めることはあるのでしょうか。

 

【知事】

 おおむね3年に1回くらいエネルギー基本計画は見直しがされていくのだと思います。大きな方針として、2030年にCO2の削減を46%+α、2050年にはカーボンニュートラルと言っていますので、少なくとも2050年に向けては、原子力をどうしていくのかという議論なしに、特に新増設・リプレースの議論なしには解決しない課題だと思っています。2030年に46%削減ということは、実は相当厳しい、そんな簡単に実現できるような状況ではないと思いますので、今ここで明確にすることが大事ではないかということで申し上げました。今回案という状況ですが、だいたい方向性が固まってきたということですので、3年後の議論に向けて、立地地域の状況、もしくは客観的に見たCO2削減という方向性の中で、国としてどうするのかということについては、しっかりとこれからも議論していきたいと考えています。

 

【記者】

 関西電力の金品受領問題に関連して、先日、市民オンブズマン福井が金品受領に関して、県が過去に実施した県職員対象の調査報告書について情報公開を非公開とされたのは違法だとして福井地裁に提訴しました。県に報告書の公開を求めている形ですが、この提訴に対する知事の受け止めと今後の県の対応をどのようにお考えでしょうか。

 

【知事】

 これについては、審査請求で出てきた内容も踏まえて、その結果を受けて、提訴ということになっていると思います。我々としては、これまで出さないと言っていた部分については、理由があってそれぞれやらせていただいていますので、必要な場面があれば、申し上げていくということになると思います。

 

【記者】

 立地地域の共創会議第1回会合のときには、年末には具体案を提示するという話がありましたが、そのスケジュール感に対して今の進捗を知事はどのように見ているのでしょうか。

 

【知事】

 大きくいえば、計画を作るわけですが、結果として来年度何をやるかということが多分計画の中に書かれると思います。年末の予算編成のときまでに、計画はある程度出来上がっていないと、来年度事業ができなくなるということがあって、段取りとしてだいたい大まかに言われていることは、3回目くらいまでを年内に開き、それを予算に反映するような形で決めていくというような絵が描かれているのだろうと思います。

 だいたい国の段取りはそのような感じで、1回目を夏前にやって、2回目くらいからワーキングみたいなものを入れていって、中間的なことをまとめて、それで議論して、最後まとめていくというようなことからいえば、そんなに大きな違和感はありません。これからワーキンググループでしっかりと詰めて議論していただきたいと思っています。

 

【記者】

 まだ十分時間的には大丈夫ということでしょうか。

 

【知事】

 楽でもないと思います。概算要求も終わっていますし、そういう意味ではだいたいの考えがそれなりにあると思いますので、そういうことも聞きながら、来年のことだけ決めるわけではありませんし、大きな計画を作るということであれば、もっと時間をかけるということもあるかもしれませんが、とりあえず最初は、ここで詰めてやっていく必要があると思います。そういうことを期待したいと思っています。

 

【記者】

 嶺南Eコースト計画室は4月から敦賀に拠点を移して新体制でやっていますが、この半年近くで何か具体的な進捗がありましたらお聞かせください。

 

【知事】

 それぞれ各担当の方が入って進めさせていただいていて、例えばVPP(仮想発電所)の実証の話やスマートエリアに対する支援の話、それから廃炉の企業グループを作るためのフィージビリティスタディ(FS)をするなど、こういったことも順次行われているので、順調に進んでいると思っています。今は来年度に向けての仕込みを一生懸命やってくれていると思います。

 

【記者】

 衆議院の解散時期や自民党の総裁選、与党からは国会を開くべきだといろいろ言われています。地方自治の立場から、コロナ禍で課題が山積している中、国に対してどういうことを注文していきたいかお聞かせください。

 

【知事】

 これは政治の世界ですので、与野党ともいろいろなお考えがあってやられているのだろうと思います。

 基本的なスタンスとしては、いずれにしても10月21日に衆議院議員の任期が来るわけですので、首相交代がなく解散がなければそれまでに選挙が終わってないといけません。それまでに解散があればそれから40日以内という憲法の規定に則ってやらなければいけないことですから、近い将来、衆議院選挙が行われることも当然のことだと思っています。

 総理も言われていますが、政治空白を作らないということは、特にコロナ禍という意味では、重要な観点だろうと思っています。

 まず、一つはコロナ禍対策を、我々とともに一緒に揺るぎなく行っていただくという体制を常に組んでいただいて、それから予備費を含めた財源についても、知事会からも地方創生臨時交付金が7,000億円足りないということも申し上げています。そういったことも含めて、早く形にしていただくということは大事だと思います。

 また、その先、もしワクチンがうまくいって、経済再生ということであれば、V字回復に向けての対策についても早く示していくこともぜひお願いしたいと思います。何より新型コロナの出口戦略も考えていただかないと、急にその出口が来るわけではありませんし、また、このようになるという将来像を見せながら進めていくということは安心感に繋がると思います。地方公共団体に対するものを含めて、知事会でいろいろとお願いへのお答えであったり、もしくは国としての見識もお示しいただく必要があるとかと思います。

 そういう意味では、総選挙は当然来ますので、ある程度いろいろなものが動くことはあると思いますが、一方で、行政として、政府として、滞りなく今の状況を改善するための方策をしっかりと進めていただきたいと思っています。

 

【記者】

 学力テストでは、福井県は依然高い水準を維持しながらも初めて各教科で全国一を逃してしまいましたが、「引き出す教育」「楽しむ教育」に方針を転換された影響について、知事としてどのようにお考えでしょうか。

 

【知事】

 今回、一番でないということ自体は、残念であると県民の皆様がお感じになるところはあると思います。結果として、ずっとトップクラスであることについては間違いがないわけです。わずかな差ですので、あまり一喜一憂というような状況にはないと思っています。

 これまでもそうでしたが、今回子どもたちがうまく答えられなかったことについては、分析の資料や授業改善のポイントを県教育委員会でつくっていますので、こういったものを市や町にも展開をしていき、さらには県の学力調査「SASA」も独自で行っています。こういったことに県の子どもたちが弱かった部分を課題として活かしていくこともやりながら、学力体力日本一、トップレベルを維持できるようなことをやっていくことだと思います。それに加え、やはり学びを楽しむ、そして個性を伸ばすことは大事だと思いますので、大きな方向性としてはそういったものを求めていきたいと考えています。

 しかし、福井県の場合は、何もそちらを目指すから学力一番は目指さないということではなく、今までもそうやってきていますので、そういう意味では、引き続き、学力の向上についても力を入れていきたいと思います。

 

                                                           ―― 了 ――

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