福井県内水面総合センター 回答集

最終更新日 2011年6月13日ページID 004269

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● 九頭竜川の魚について
 九頭竜川の魚と言えば、まず、アユが思い出されます。あまりにもアユが有名で他の魚の名前がすぐ出てきませんが、九頭竜川は全国的に見ても魚の種類が多く、四国の四万十川の94種についで69種で全国で2位となっています。
 川には上流、中流、下流がありますが、それぞれの場所で良く見かける魚の種類は次のとおりです。
   上流域:イワナ、ヤマメ、タカハヤ、カジカ、アジメドジョウ
   中流域:アユ、アブラハヤ、カマツカ、ウグイ、オイカワ、サケ、サクラマス
   下流域:コイ、フナ

● 九頭竜川の水について
 九頭竜川本川の長さは116㎞で全国では20位です。最近、全国の河川はダムがつくられ、流量(水の流れる量)の確保が困難になっていますが、九頭竜川は年平均で毎秒215トンあり、全国では11位です。
 次に水のきれいさですが、平成26年度の国土交通省の調査によれば、九頭竜川の水質は上流域でもっとも良いAA、中流域でもAと評価されており、一級河川としては非常にきれいな川とされています。(AA~Eで評価)

● 福井県で一番きれいな川
 福井県には270もの川があり、そのすべてできれいさを比較したデータはありません。人里から離れた山奥の川は水がきれいですし、市街地を流れる川は排水の影響で水が汚れます。
 ちなみに、国土交通省が全国の一級河川で水質の調査を行っていますが、福井県内を流れる一級河川である九頭竜川と北川は、一級河川としてはきれいな川と評価されています。特に北川は全国トップレベルのきれいな一級河川とされています。

● 川の生物の減少した原因は
 ・アラレガコ、ネコギギ、カジカ、アカザなどは、川底の石の陰に隠れたり産卵を行なうため、土砂の流入で石が埋まるといなくなります。
 ・ため池にいるウシモツゴ、カワバタモロコは、ブラックバスなど肉食魚の食害や埋立てでいなくなります。
 ・タナゴ類は、ドブガイなどの二枚貝に産卵するため、工事で川床が平坦化し二枚貝がいなくなると繁殖できなくなります。
 ・サケ、サクラマス、カジカなど回遊魚は、堰堤やダムができると回遊経路を遮断されて産卵場へ行けなくなります。
 ・キレイな湧き水が湧き出す場所に住むイトヨ、トミヨは地下水が不足すると生活できなくなります。
 ・きれいな魚や珍しい魚は乱獲の対象になり減少してしまいます。

● 川の生物を増やす方法は
 A 移植放流:アユ、イワナ、ヤマメ、ワカサギ、サケ、ウナギ、11種
 B 害敵駆除:ブラックバス、ブルーギルなどの外来魚の駆除
 C 河川改修:魚道や産卵場の整備等により魚の住める川にする
 D 水質保全:汚水を流さない、山に木を植える運動など
 E 資源保護:禁漁期、禁漁区域の設定、稚魚の保護など

● 自分たちで飼育できる川の生き物は
 コイ、フナ、ウグイは飼いやすい魚です。ただし、大きく成長するため水槽で飼育する場合は注意が必要です。メダカやタナゴも飼いやすい魚ですが、数が少ない魚なので見つけても獲りすぎないようにしましょう。イワナやヤマメのようなきれいで冷たい川にすむ魚は長い期間飼うのは難しいです。ブラックバス・ブルーギルの飼育は法律で禁止されています。

● 川が私たちの生活に与える恩恵は
 洪水の防御、用水の取水・排水、水道水の確保、豊かな自然
 ☆ 鳴鹿堰堤・・・かんがい用水として最大46.605m3/sが福井平野の1市7町の農耕地約10,400haを潤している。福井市水道用水の40%にあたる最大0.996m3/sの取水も行なわれている。
 ☆ 芝原用水・・・1607年結城秀康の命により、福井城のお堀用水や城下町の飲料水、農業用水のために作られた。
 
● 九頭竜川は、どこからどこへ流れているか
 岐阜県境の油坂峠を源流とする総延長116km、標高差717mの急流河川です。足羽川や日野川のように九頭竜川に流れ込む支川は149本もあり、それらと合流しながら最後は坂井市三国港から日本海にそそいでします。

● 九頭竜川と私たちの生活のかかわり
 水源地は広い白山山系で降雪量も多く、かつ良質な水を生み出すブナ林があり、おいしい水と定評があります。おいしい米、魚、野菜、酒、みそなど福井の食べ物がおいしいといわれるのは、この九頭竜川のおかげと言えるでしょう。
 水源地を守るために大野市はブナ林を買って保全しています。また、永平寺町もボランティア団体が植樹活動を行なっています。
 これらのきれいで豊かな水は、生息地が天然記念物になっているアラレガコをはじめアユ、サクラマス、ニゴイ、ウグイ、ナマズなど多様な魚を育んでいます。これらのブナ林で地下水になった水は栄養分が豊富で鉄分も多く、海に入るとプランクトンや海藻を育て、魚やアワビ、サザエ、ワカメなどが沢山とれる豊かな海になります。 近年「森が海を育てる」と言われるようになったのはこのためです。

● 川で昔どんな遊びをしたか。
 魚つり(アユ、ウグイ、アラレガコ、ウナギ、コイ、フナなど)
 水泳 堤防ではスキー、夏は川遊び

● 九頭竜川の長さ
 長さは116kmです。

● 九頭竜川の本川と支川
 あわせて149本 です。

● 淡水とは
 塩分濃度が、1リットル当たり500mg以下の水を「淡水」と言います。 

● 赤潮とは
 プランクトンが異常に増殖し、海水が赤っぽく変色する現象のことです。原因プランクトンは、渦鞭毛藻(うずべんもうそう)などで、栄養分が多くなりすぎた海で発生します。
 プランクトンの大量発生という意味では、湖のアオコ(ラン藻類)の発生もよく似た現象と言えます。

● 赤潮が魚に与える影響
 酸素の欠乏による窒息、毒素の発生による中毒によって魚の大量死につながります。

● 環境基準とは
 人間が生活するために守った方がよいと考えられる数値基準のことです。
 国や地方公共団体が公害防止対策を進めるために、環境の質がどの程度のレベルに維持されることが望ましいかを具体的な数字で示しています。

● 環境基準の達成状況とは
 調査結果の75%が環境基準値を満たしていれば、「環境基準を達成している」とみなされます。 

● 水質の状態は
 水生昆虫の出現状況を指標として調べると、上流ではカワゲラ類やカゲロウ類の種類が多く見つかっていることから、きれいな水(貧腐水性)に属すると考えられます。また、中流域はきれいな水に生息する個体が見つかっていますが、上流ほどカワゲラ類やカゲロウ類の種類が多くないために、少し汚れた水(β中腐水性)に属すると考えられます。(「水生昆虫の観察、谷幸三 トンボ出版」を参考にしました。)

● 環境を守るための方法は
 内水面総合センターでは、1年に6回、九頭竜川の中流域から上流域までの水質調査(水温、溶存酸素、PH、濁度、CODなどの測定)と1年に2回の生物調査(水生昆虫、付着藻類、魚類などの観察)をおこなうことによって、河川環境の変化を監視しています。 

● 川に住んでいる魚の種類で川の汚れがわかるか。
 上流:イワナ、ヤマメ、アジメドジョウなどが住んでいると水質がきれい。
 中流:サケ、マス、アユ、アラレガコなどが住んでいると水質がきれい。
 下流:コイ、フナ、ナマズなど下流に住んでいる魚は、少々きたなくても住める。

● 川に住んでいる水生生物(昆虫)で川の汚れがわかるか。
 水生生物(昆虫)による水質判定(4段階)
  1.きれい:カワゲラ、トビケラ、ヘビトンボ
  2.少しきたない:カワニナ、ゲンジボタル、スジエビ、ヤマトシジミ
  3.きたない:ミズムシ、ヒル、タニシ、タイコウチ
  4.大変きたない:アメリカンザリガニ、セスジュスリカ、サカマキガイ 

● 川や海の生物に悪い影響を及ぼしている物質は
 60年程前は工場排水がたれ流しで、水銀による水俣病、カドミウムによる富山のイタイイタイ病のような公害が起こりました。その後、工場排水は規制が厳しくなり、今は生活排水が問題になっています。
 合成洗剤、合成化学物質・・・PCB、BHC、DDT、ダイオキシン、環境ホルモン、有機塩素化合物、農薬
 コイのメス化(ノニルフェノールが原因)、バイ貝のオス化(有機スズが原因)の例が知られています。ゴミやプラスチック製品が増え、平成10年7月10日の豪雨により三国町梶漁港では、3日出漁停止、ゴミ150トン(ビニール袋、レジンペレットなど)を50人の人と重機を使用して清掃活動が行われました。

● 川の水質を調べる方法は
 ・パックテスト・・・化学的な方法。市販されているキットを使い、水を着色して水質を判定します。測定方法が簡単なうえに、現場ですぐに結果を知ることができます。
 ・水生生物調査・・・生物学的方法。川に入って水棲昆虫を捕まえ、種類を調べます。水の汚れの度合いによって住んでいる水棲昆虫が変わるため、定期的に調査すれば水環境の経過がわかります。
 ・その他・・・・・・高価ですが、水質チェッカーや透視度計を使って水質を調べる方法があります。 

● 川の汚れを防ぐ方法、川の水をきれいにする方法は
 水をきれいにするのは「微生物」です。この微生物が活動できる場所を作るのが最も大切なことです。したがって、微生物を殺す化学物質や農薬の使用を極力控えることが、水をきれいにすることにつながります。

● 川の底にはどんな水棲昆虫がいるか
 上流域の大野市では、カワゲラ類、カゲロウ類、トンボ類、トビケラ類など多くの種類が採集されたのに対して中流域の福井市(福井大橋下)では、カゲロウ類、トビケラ類などが採集されましたが、上流に比べて種類数が減っています。 

● コイの大きさ
 普通 50~60cm  最大 1.53m 45kg  寿命 20~80年

● 魚のかかる病気
 人間と同じようにカビ、細菌、ウィルス等による病気にかかります。 

● アラレガコの仲間は
 アラレガコはカサゴ目カジカ科の魚です。カジカ科の淡水魚は他にもカジカ、ヤマノカミ等がいます。

● アラレガコがカマキリと呼ばれる理由
 えらぶたの4本のとげでアユなどの小魚を引っ掛けて食べると言われ、それを昆虫のカマキリが餌を捕る様子になぞらえて付けられたと言われています。同じ理由でアユカケとも呼ばれます。ちなみに、「アラレガコ」は福井県独特の呼び方(地方名)であり、「カマキリ」が標準和名です。 

● アラレガコと天然記念物
 アラレガコが天然記念物なのではなく、生息地(阪谷橋:大野市~舟橋新:福井市)が天然記念物に指定されています。

● ブラックバスについて
 北米原産のオオクチバス、コクチバスを総称して「ブラックバス」といいます。
 オオクチバスは、1925年にオレゴン州から神奈川県芦ノ湖へ移植されました。1975年から急激に分布を広げ、1999年には47都道府県に拡散しました。福井県内ではオオクチバスが1980年代に、コクチバスが2005年に確認され、問題になっています。
 2005年に外来生物法で「特定外来生物」に指定され、飼うことも、生きたまま運んだりすることも、野外へ放つことも禁止されました。

● ワムシについて
 正式にはシオミズツボワムシと呼ばれる動物プランクトンです。魚の子どもの餌となります。魚の子どもの口の大きさに合っているうえ、人工的に増やしやすい生き物のため、魚を卵から育てている施設で使用されています。内水面総合センターでも生まれたばかりのアユの子どもにはワムシをあげています。

● 子供が飼育できる魚は
 コイ、フナ、ウグイなどのコイ科の魚は小型のものであれば水槽で比較的簡単に飼育できます。 

● よく見かける魚の種類
 上流域:イワナ、タカハヤ、カジカ、アジメドジョウ
 中流域:アユ、アブラハヤ、カマツカ、ウグイ、オイカワ、サケ、サクラマス
 下流域:ニゴイ、カマツカ、ウグイ、アブラハヤ、オイカワ、コイ、フナ類

● よく見かける魚で一番大きな魚
 海から上ってくるサケとサクラマス以外にコイ、ニゴイ 

● 魚の食べる虫の種類
 河川にすむ多くの魚が虫を食べます。カワゲラ、カゲロウ、トビケラ、ユスリカなどの幼虫である水棲昆虫はもちろん、水面に落ちた陸上のあらゆる虫が魚の餌となっています。

● 昔はいたが今では幻の生き物(魚)
 福井県の絶滅のおそれのある淡水魚類
 県内で確認されている全種類数 98種中
  A:県域絶滅(福井県内では野生では絶滅したと考えられる種)・・・なし
  B:県域絶滅危惧1.類(絶滅の危機に瀕している種)・・・8種
   アカヒレタビラ、イチモンジタナゴ、ハス、ナガレホトケドジョウ、ホトケドジョウ、陸封型イトヨ、トミヨ、クルメサヨリ
  C:県域絶滅危惧2.類(絶滅の危険が増大している種)・・・17種
  D:県域準絶滅危惧(存在基盤が脆弱な種)・・・7種
  E:要注目(情報不足)・・・1種
   ※「福井県の絶滅のおそれのある野生動物-福井県レッドデータブック(2002)」 

● 水生植物とは
 抽水植物: ヨシ、マコモ
 浮葉植物: ヒシ、ジュンサイ
 沈水植物: マツモ、セキショウモ

● 水辺の植物の生育場所
 湿生植物 ・・・水辺に多くみられ、水分の多い土地を好む (ハンノキ、ミゾソバなど)
 抽水植物 ・・・岸の近くや浅いところに生え、根や茎の下部は水中または水底にあるが、葉や茎の上部は空中に出ている植
          物(マコモ、ヨシ、ガマ、イネなど)*水深1.0m位まで
 浮葉植物 ・・・根は水底にあって葉だけが水面に浮かんでいる植物(ヒシ、オニビシなど)*水深1.0~1.5m
 沈水植物 ・・・からだ全体が水中に沈んでいる植物(オオカナダモ、エビモ、マツモなど)

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