選挙のしくみ - 公職の候補者等の寄附の禁止
7 公職の候補者等の寄附の禁止
公職の候補者等の寄附については、中元や歳暮ばかりでなく、親しい友人に対する祝儀や餞別、社会福祉施設への寄附等もすべて禁止され、社会常識から見て、極めて厳しくなっています。
これは、過去に、いろいろな機会に各種の名目でなされる寄附が候補者の地盤培養行為と結びつき、選挙に金がかかる大きな要因となっているほか、候補者等の行う寄附自体が買収と結びつきやすく、その弊害が指摘されてきたことの反省からです。
厳しい規制の趣旨は、公職にある者、公職に就こうとする者は、すべてにわたって身辺を清潔にし、きれいな選挙、金のかからない選挙を実現しようというものです。
そこで、県では 政治家は寄附を贈らない!、政治家に寄附を求めない!、政治家からの寄附は受け取らない! という「三ない運動」を推進しています。
寄附禁止リーフレット(PDF)
ご存じですか?「三ない運動」(PDF)
広報誌「総務省」(2023年12月号)より
(1)寄附とは?
一般的な常識よりも、広い範囲にわたるものが「寄附」とされます。
〔寄附となるものの例〕
祭や体育会等の各種行事に対するお祝いや差入れ、食事や食事料の提供、
病気見舞い、花輪、供花、香典、祝儀、餞別、中元、歳暮、記念品、入学祝、卒業祝
※政治家本人が結婚披露宴、葬式等に自ら出席してその場で行う場合は罰則が適用されない場合があります。
〔寄附とならないものの例〕
党費・会費(党則や規約の定めに従って、構成員として義務的に支出する通常かつ均一なもの)、
町内会費(義務的なものに限る。) 祝電、弔電、お布施(役務の対価と認められるものに限る。)
(2)公職の候補者等の寄附の禁止
公職にある者、公職の候補者または候補者となろうとする者(以下「公職の候補者等」といいます。)や公職の候補者等が関係する会社や団体が、当該選挙区内にある者に対してする寄附については、次表のような制限があり、違反した場合は原則として罰則の対象となります。
(注)「当該選挙区内にある者」とは、公職の候補者等の選挙区内に住所を有する者および滞在している者をいいます。
また、個人だけでなく会社、団体、国、県、市町村等も含まれます。
〔公職の候補者等、後援団体等による寄附の制限〕
寄附の主体 | 平常時 | 一定期間 |
公職の候補者等 | 選挙区内にある者に対しては、いかなる理由をもってするを問わず、寄附は禁止される。 〔禁止の対象外〕 1 親族に対する寄附 2 政党その他の政治団体に対する寄附 3 政治教育集会に関する必要やむを得ない実費の補償(食事、食事料を除く。) 注)次のものは政治教育集会から除かれます。 (1)参加者に饗応接待が行われるもの (2)選挙区外で行われるもの (3)選挙ごとの一定期間内に行われるもの |
左記のほか、その公職の候補者等に係る後援団体(当該公職の候補者等に係る資金管理団体を除く。)に対する寄附は禁止される。 |
公職の候補者等が役員または構成員である会社その他の法人または団体 | 選挙区内にある者に対しては、いかなる理由をもってするを問わず、当該候補者等の氏名を表示し、またはこれらの者の氏名が類推されるような方法で行う寄附は禁止される。 〔禁止の対象外〕 政党その他の政治団体に対する寄附およびその支部に対する寄附 |
同左 |
公職の候補者等の氏名が表示され、またはその氏名が類推されるような名称が表示されている会社その他の法人または団体 | 当該選挙に関し、選挙区内にある者に対しては、いかなる理由をもってするを問わず、寄附は禁止される。 〔禁止の対象外〕 政党その他の政治団体およびその支部、当該候補者等に対する寄附 |
同左 |
後援団体 | 選挙区内にある者に対しては、いかなる理由をもってするを問わず、寄附は禁止される。 〔禁止の対象外〕 1 政党その他の政治団体に対する寄附 2 その支持・推薦する候補者等に対する寄附(金銭等に限り禁止(選挙運動に関するものについては、金銭等による寄附ができる)) 3 後援団体の設立目的により行う行事または事業に関してなされる寄附(花輪、供花、香典、祝儀その他これらに類するものとしてなされる寄附を除く。) |
左記の〔禁止の対象外〕のうち、3についても禁止される。 |
上記を含む全てのもの | 後援団体の総会その他の集会、後援団体が行う見学、旅行その他の行事において当該選挙区内にある者に対する饗応接待(通常用いられる程度の食事の提供を除く。)、金銭、記念品その他の物品の供与は禁止される。 |
上表の「一定の期間」は次のとおりです。
選挙の種類 | 一定の期間 |
衆議院議員総選挙 | 任期満了の日前90日に当たる日から総選挙の期日まで 衆議院の解散の日の翌日から総選挙の期日まで |
参議院議員通常選挙 | 任期満了の日前90日に当たる日から通常選挙の期日まで |
地方公共団体の議会の議員および長の選挙(任期満了によるもの) | 任期満了の日前90日に当たる日から選挙の期日まで 【統一地方選挙の場合】 選挙期日前90日に当たる日から選挙の期日まで 地方公共団体の長および議員の任期満了日が90日以内の場合で、これらの選挙を同時に行うこととしてその旨を告示した場合は、任期満了の日前90日に当たる日とその告示の日のいずれか早い日から選挙の期日まで |
〃 (任期満了によらないもの) |
選挙を同時に行うべき事由が生じた旨の選管の告示があった日の翌日から選挙の期日まで |
衆・参議院の議員、地方公共団体の議会の議員および長の再選挙または補欠選挙 | 選挙を同時に行うべき事由が生じた旨の選管の告示があった日の翌日から選挙の期日まで |
(3)その他選挙に関する寄附を禁止される者
会社その他の法人が融資を受けている場合に、その融資を行っているものが国、県、市町村から利子補給を受けているときは、その融資を受けている会社その他の法人が国やその県および市町村の選挙に関して寄附をすることは禁止されています。
(4)公職の候補者等を名義人とする寄附の禁止
〔禁止の例外〕
・公職の候補者等の親族に対して寄附する場合
・公職の候補者等が行う政治教育集会に関する必要やむを得ない実費の補償(食事、食事料を除く。)として寄附する場合
(5)寄附の勧誘・要求の禁止
何人も公職の候補者等に対して、選挙区内にある者に対する寄附を勧誘し、または要求することは次の場合を除いて禁止されています。
威迫してまたは候補者の当選や被選挙権を失わせる目的でこれらの行為を行うと罰則の対象となります。(威迫とは人に不安の念を抱かせるに足りる行為をいいます。)
〔禁止の例外〕
・公職の候補者等の親族に対する寄附の勧誘または要求をする場合
・政党その他の政治団体に対する寄附の勧誘または要求をする場合
・公職の候補者等が行う政治教育集会に関する必要やむを得ない実費の補償(食事、食事料を除く。)としてする寄附の勧誘または要求をする場合
(6)政治資金規正法による寄附の制限
寄附の量的制限は、政治資金の集め方に節度をもたせるため、「政治活動に関する寄附」の授受について量(金額)的な面から規正しようとするものであり、「総枠制限」と「個別制限」の2種類があります。
ここで注意しなければならないこととして、
(1)年間寄附額が寄附限度額を超えないようにしなければなりませんが、この年間寄附額は政治団体の本部に対する寄附と支部に対する寄附とを通じて算定されること。
(2)寄附の量的制限の規定は、寄附をする側と受ける側のそれぞれについて主体区分をし、その区分により取扱いを異にしていること。
の2点があります。概略は次のとおりです。
総枠制限 … 一の寄附者ができる年間寄附総額の規正
個別制限 … 一寄附者から一受領者への年間寄附総額の規正
イ 寄附の質的制限
寄附の質的制限は、特定の者からの寄附等に関する規正であり、次の行為は禁止されています。
- 国、県、市町村から補助金、負担金、利子補給金その他の給付金を受けていたり、資本金、基本金などの拠出を受けている会社その他の法人が、それぞれ衆議院議員選挙または参議院議員選挙にかかる候補者等またはこれらの候補者等にかかる後援団体、県・市町村の議会の議員または長の選挙にかかる候補者等またはこれらの候補者等にかかる後援団体に対して政治活動に関する寄附をすること。また、何人もこれを受けること。
- 3事業年度以上にわたり継続して欠損を生じている会社が、政治活動に関する寄附をし、また、何人もこれを受けること。
- 外国人、外国法人または主な構成員が外国人や外国法人である団体から、政治活動に関する寄附を受けること。(主たる構成員が外国人または外国法人である日本法人のうち上場会社であってその発行する株式が証券取引所において5年以上継続して上場されている者(新設合併または株式移転により設立された者であって、合併により消滅した会社または株式移転をした会社のうち上場期間が最も短いものの上場期間と通じて5年以上継続して上場されているものを含む。)に対する寄附は、禁止規定から除外されます。)
- 本人の名義以外の名義または匿名で政治活動に関する寄附をし、また、何人もこれを受けること。
- 相手方に対し、不当にその意思を拘束するような方法で、政治活動に関する寄附のあっせんにかかる行為を行うこと。
- 政治活動に関する寄附のあっせんをする者が、寄附をしようとする者の意思に反してその賃金、工賃などから控除するような方法で寄附を集めること。
アンケート
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