レーザー熱処理によるめっき被膜高硬度化(アイテック株式会社)
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産業用チェーン高寿命化、ロボット軽量化の為、素材ダメージのない被膜高硬度化レーザー熱処理技術の開発に成功しました。 平成29年度 |
事業実施の経緯
アイテックではナノダイヤモンド等複合めっき技術により摺動部品への画期的なめっき手法を保有しています。また、レーザー熱処理によるめっき被膜の硬度上昇(800HV)を実現しましたが、素材へのダメージが課題となり事業化に至っていませんでした。そこで、素材にダメージを及ぼすことなくめっき被膜の高硬度化が可能なレーザー熱処理技術の開発を検討しました。
事業の内容
産総研FS連携事業を通じてレーザー照射部に蓄積した熱の素材への伝わりを抑える方法として、集光照射領域の高速移動による熱蓄積の抑制、レーザーパルスの幅をマイクロ秒とすることによる素材への伝熱の抑制の2手法に可能性があると考え、本事業にて詳細な検討を行いました。
事業の成果
チェーンによる品質確認結果においてはナノダイヤモンド複合ニッケルめっきのレーザー熱処理条件において摩耗低減による伸びの抑制を見出すことができました。
有限要素法シミュレーションでは、ビーム走査を加えたレーザー熱処理条件で、熱処理領域を限定した多様な熱処理プロセスが実現できる可能性が示されており、チェーンを摩耗しにくくするレーザーめっき技術の開発に成功するとともに、他素材、他製品への利用範囲をさらに拡大することが可能となりました。
製品のPR
ベルトコンベアなどの駆動部分に使われるチェーンのピンを、独自開発のナノダイヤモンド複合めっきでコーティングする事でピンの摩耗を防ぎ、チェーンの伸びを抑制し、メンテナンスの回数を減らすことでコスト削減に貢献しています。 さらに、今回開発したレーザー熱処理技術をプラスすることで、これまで熱処理ができなかった素材に対し、コーティング被膜硬度を2倍近くまで高めることにより耐摩耗性を向上させることが可能となりました。 |
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経営者の声
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眼鏡の産地・鯖江で培った眼鏡フレームへのめっき・塗装などの表面処理技術と弊社独自の分散技術を活かして、ダイヤモンドなどの微粒子をめっき被膜中に複合させることで部品の耐摩耗性の向上に寄与し、製品の長寿命化やコストダウンに貢献しています。研究開発を通して、産業機械分野やエネルギー分野など、様々な分野に進出し、グローバルニッチトップ企業を目指していきます。 |
開発者の声
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これまで開発を行ってきたダイヤモンド等微粒子複合めっき技術をさらにステップアップするため、レーザー照射による熱処理技術に着目しました。アイテックではあまり馴染みのない技術だが産総研や工業技術センター等の協力により、製品化への道を切り開くことができました。また、開発者として非常にやりがいのある事業に取りくむことができ感謝しています。今後はこれらの技術を具現化していき福井県の技術レベルアップに貢献していきたいです。 |
企業情報
企業名 | アイテック株式会社 |
業務内容 |
(1)表面処理事業(電気めっき・複合めっき・イオンプレーティング・電着塗装・溶剤塗装) (2)眼鏡事業(眼鏡フレームの企画・販売) |
所在地 | 福井県鯖江市神中町2丁目6-8 |
担当者 | 長田 拓也 |
問合せ先 | TEL 0778-51-5000 |
HP | http://www.eyetec.co.jp/ |