木管楽器部品のバリ取り・研磨作業のロボットシステム(ヨシダ工業株式会社)

最終更新日 2020年10月30日ページID 045320

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熟練工不足を解消する為に、熟練工が行っていた木管楽器部品のバリ取り・研磨作業をロボットが代わりに行う技術を開発しました。

平成29年度
産学官金連携技術革新推進事業補助金
「木管楽器部品の自動加工ロボットの開発」

事業実施の経緯

木管楽器(フルート・クラリネット等、奏者の唇の振動によらない方法で発音する管楽器)においては、最も重視されるのは音質と外観です。
その為、木管楽器部品は繊細な形状となり、熟練工によるハンドメイド作業が不可欠となっております。
メーカー側からは、高品質・低価格・短納期化を求められており、ロボットが熟練工の作業を再現することが出来るシステムを開発することで、メーカー側からの要求に応える技術を開発しました。

事業の内容

自社の基盤技術である、鍛造・切削・精密加工技術に加え、眼鏡部品加工で培ったロボットによる加工を基に、福井大学工学部工学研究科とロボットシステムの共同開発を行いました。
熟練工の作業を再現する為には、部品の位置決め・力覚・掴みかえ等の作業を忠実に再現することが課題でしたが、6軸多関節型ロボットに搭載されているセンサーを活用することで、上記課題を解決し、オリジナルのロボット加工システムを開発することが出来ました。

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事業の成果

再現性の確認の為、福井県工業技術センターにて表面粗さ試験を実施したところ、ハンドメイド作業とロボット作業の部品を比較したところほぼ同等の数値の結果を得る事が出来ました。
また、木管楽器製造企業でロボット作業による部品にてフルートを組立し製品機能検査を行ったところ、従来品と同様の音質を得ることができました。
ロボットによる作業で、約25%の作業時間短縮と生産数量10%増加、5日間の納期短縮を実現することが可能となりました。

製品のPR

ロボットによる木管楽器部品の研磨作業が再現することが出来たことで、今後熟練工によるハンドメイド作業のロボット化を展開することが可能となりました。
また、この技術を活用し、今後、幅広い分野での作業をロボット化することが期待出来ます。
ハンドメイド作業による部品で組立てた製品と変わらない高品質の木管楽器を低価格で提供することで、福井県の楽器産業を盛り上げていきたいと考えております。

経営者の声

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代表取締役社長 
吉田 俊博 氏

ヨシダ工業では「とりあえず一度やってみるか。」というチャレンジ精神=「ヨシダ魂」を基に日々企業活動を行っております。
今回のテーマは斬新かつ困難なテーマ(ヨシダ魂)であると考えておりました。
木管楽器メーカーからの要望に応え、新技術を開発することは、経営理念の一つである、「常に技術力の向上に努め、満足の得られる製品作りに専念する。」にも通じることです。
今後も信頼と夢のある企業づくりを進めていきます。

開発者の声

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技術開発部課長
勝見 英明 氏

ハンドメイド作業のロボット化は、長年の課題でした。
研磨作業は職人技と言われ一人前になるまでには何年もかかります。
これを忠実に再現するのは、困難を極め一時は「断念」という言葉が頭をよぎりました。
その時手を差し伸べてくれたのがロボットメーカーや大学、工業技術センターでした。
人材不足が目の前に迫ってきており、喫緊の課題であったので産学官金がお互いに連携したことがこの成果につながったと思っております。

企業情報

企業名 ヨシダ工業株式会社
業務内容 医療精密部品、楽器部品、眼鏡枠部品等の金属加工
所在地 福井県鯖江市有定町2丁目11-24
担当者 井上 章
問合せ先 TEL 0778-51-4690
HP https://www.yoshida-i.co.jp/

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