自社保証型成分比率を明示した再生原料(ペレット)(福井環境事業株式会社)
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廃プラ再生原料について、フーリエ変換赤外分光法での成分測定技術を確立し、日常管理体制を構築することで、高付加価値な再生原料の安定供給を実現しました。
令和2年度 |
事業実施の経緯
弊社では家庭由来の使用済みプラスチック製容器包装から、PP(ポリプロピレン)とPE(ポリエチレン)を主成分とする「PP/PE混合ペレット」と、PS(ポリスチレン)を主成分とする「PSペレット」の多成分混合の廃プラ再生原料を生産しています。しかし成分比率が不明なため、出荷先で利用量・用途を拡大するには、出荷ロット単位で迅速かつ安価な成分測定方法と日常管理体制の構築が課題でした。
事業の内容
比較的安価で短時間測定が可能なフーリエ変換赤外分光(FT-IR)装置が日常管理に最適でしたが、多成分混合プラスチックの研究事例は少なく、既存の廃プラ再生原料の標準サンプルも無いため、実用的な成分比率測定技術ではありませんでした。そこでバージン材や弊社原料などで適切なサンプルを作り、解析方法の開発、データ蓄積、自社基準の検量線を作成することにより、FT-IR装置による成分比率測定技術を確立し、日常管理体制を構築しました。
事業の成果
廃プラ再生原料の生産・品質管理工程にフーリエ変換赤外分光(FT-IR)装置による検査方法を導入し、成分比率を迅速かつ精度よく同定する実用技術を確立しました。
1 測定機のメーカ・機種及び適切な判定プログラムを選定し導入
2 FT-IR吸収波長域測定および解析方法の開発
3 自社独自の検量線および測定プロセス仮定と自社手法の実証
4 自社再生原料に成分表記するための測定精度と測定速度の向上による品質管理体制の構築
(1)±5%以内の測定精度で成分把握し、検査成績表に記載して客先へ出荷
(2)日常管理体制の確立(測定時間:1検体3分以下、1日60検体)
製品のPR
家庭由来の使用済みプラスチック製容器包装から生産する廃プラ再生原料は、多成分混合でありながら成分比率や物性が不明確・不安定なため、利用先のプラスチック成型業者では使いづらい低価値な再生原料とされてきました。しかし、本事業によりロット単位で成分比率や物性を把握し、目的別・利用先毎の振り分け出荷が可能となり、廃プラ再生原料の高付加価値化を実現できました。今後の利用量・用途の拡大も期待できます。
経営者の声
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全国の同業者の中で唯一の取り組みであり、家庭由来の使用済みプラスチック製容器包装から生産する廃プラ再生原料の高付加価値化を実現できる弊社独自の技術・管理手法です。今後は弊社再生原料の利用量・用途の拡大、新規利用先の開拓に取り組むだけでなく、ここで得られた測定技術・管理手法を業界に広めることでプラスチックリサイクル業界全体の発展に貢献したいと考えています。 |
開発者の声
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私自身、FT-IR装置の知識や経験がほとんどない状態で今回の開発案件がスタートしました。大学の先生や工業技術センター、装置メーカの方々からいろいろ教えて頂きながら試行錯誤の結果、期間内に成果を出すことができて非常に嬉しく思いました。また、大学の先生や工業技術センターとの連携やコミュニケーションの重要性を改めて感じました。 |
企業情報
企業名 | 福井環境事業株式会社 |
業務内容 | 廃棄物処理・リサイクル |
所在地 | 福井県福井市角折町第6号1番地 |
担当者 | 安達 弘幸 |
問合せ先 | TEL 0776-55-3500 |
HP | http://www.fkjc.co.jp |