ロックウールに代わる繊維培地を用いたいちご栽培技術(明城ファーム株式会社)

最終更新日 2021年7月30日ページID 047408

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いちご栽培の低コスト高収穫を実現するため、ロックウールに代わる繊維培地を用いた養液栽培技術、および被害の大きい病原菌の除去技術を開発しました。

 

令和2年度
将来のふくいを牽引する技術開発支援事業補助金
「福井県の繊維技術を応用した低コスト培地での苺生産実証実験」

事業実施の経緯

養液栽培に用いられる培地にロックウールがあり、これは高価格であり、農業従事者は再利用をせざるを得ません(毎年の新規購入では投資回収ができない)。そこで繊維系培地を導入し、従来の培地との比較可能なテストベッドを構築し、コスト、収量(1株当たり収穫粒数)、健康栄養的食味の定量評価を行いました。併せて、現状のハウス内において菌類状況を確認し、将来の汚染対策を検討しました。培地使用型の養液栽培では病害・病原菌対策が必要ですが農薬登録上殺菌剤がありません。そのため、自社のハウスで病原菌(ピシウム菌)被害が大きく、経営に打撃を受けています。トマト価格が暴落し当社経営状況にも影響していることから苺への転作を進めました。 
 

事業の内容 

培地に土木工事用不織布、ヘチマ構造マット材、高分子単繊維を導入し、従来のロックウール培地との比較を行うテストベッドを構築し、コスト、収量、栄養を比較しました。菌の伝染は水中遊走子が原因で、オゾン溶解によるオゾン水や電解水対策等があります。培地を再利用する場合、納豆菌などの常在菌とピシウム菌を共生させる手段もあります。菌は土壌内部およびハウス天井・壁面等の水分に存在するため、第一ハウスと第二ハウスで除菌比較を行います(次亜塩素酸カルシウムによる土壌除菌、オゾン溶解水散布と乾燥による壁面等除菌などを検討)。苺用のテストベッドでは、架台により培地の一定量の勾配を保ち、水量を調整しました。そして、テストベッドの構築前後において、再使用する資材で菌を採取し状況を確認しました。ピシウム除菌対策については農業試験場と地域ハウス農業従事者と情報共有し、地域貢献を図っていきます。 003

事業の成果

繊維素材と培地を組み合わせて透水性を制御したテストベッドを構築し、コスト、収穫量ともに従来の栽培方法よりも良い結果が得られました。また、県立大学、農業試験場と共同で、ベッド内のピシウム菌の除去方法の検討を実施し、オゾン水、強電解水、次亜塩素酸ナトリウム水により、ピシウム菌が減少することを確認しました。今後、そのコントロール方法についても検討をしていきます。また、仁愛大学と共同で、本栽培方法にて栽培した苺の味覚を評価し、糖酸比およびカリウム、ビタミンCの量が従来の方法よりも良い結果となりました。        

 

経営者の声

本事業においてすごく良い結果が出たが、農作物での実証試験では、季節的要因も大きく左右される為、今後も継続的に実証実験を行っていきたい。(代表取締役 明城 義和)

 

企業情報

企業名 明城ファーム株式会社
業務内容 農産加工品製造
所在地 福井県越前市杉崎町7-11
担当者 明城 義和   
問合せ先 TEL 0778-42-7201
HP https://myojo-farm.jp/

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