有機絹糸におけるセリシン残留と柔軟性を両立する加工技術の開発(小杉織物株式会社)

最終更新日 2022年7月1日ページID 050016

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保湿作用のあるセリシンを残留させたまま繊維に柔軟性を付与する加工方法を探り、オーガニックシルクを用いたマスクを開発しました。

 

 

令和3年度
成長産業チャレンジ支援事業補助金
「有機絹糸におけるセリシン残留と柔軟性を両立する加工技術の開発」

事業実施の経緯

現在、国内で流通している通称“オーガニックシルク”は、経糸に絹糸を、緯糸にオーガニックコットン(有機綿)を用いたもので、有機絹糸を用いたものではありません。 そこで、本事業では、国内初となる有機絹糸を用いて、セリシンを残したまま柔軟加工を施すことで、製織効率と絹糸特有の機能性向上の両立を図ることを目標に取り組みました。

事業の内容

福井県立大学からの助言を踏まえ、精錬度合いを抑えた場合の柔軟加工及びカムフィット加工を検証することとしました。そこで、市松織、朱子織、風通織の各々について下記の10パターン、合計30種類を試作しました。それらの風合いおよび柔らかさについて、福井県工業技術センターに依頼して表面試験、曲げ試験を実施し検証を行いました。その後、洗濯耐久試験を実施し、 測定結果を踏まえて条件の比較・再検討を行った上で、セリシンの戻し加工(生地を精錬後のセリシン残留液に漬け込みセリシンを付着させる)を考案し、実施・検証を行いました。

事業の成果

オーガニック絹糸とレギュラー絹糸では、性能上の明確な差異が認められなかったことから、純粋なオーガニック製品の商品化においては産元による証明に依拠した信用が主要因になることが確認されました。また、精練度合を落とすことで、柔軟加工およびカムフィット加工による剛性の上昇を抑制する働きを期待したものの、全項目において100%精錬時よりも係数が低下する傾向があり、想定以上にセリシンが除去されたと考えられました。したがって、精錬を一切行わず、柔軟加工およびカムフィット加工による剛軟性を改善したうえで、朱子織とすることが好適であることが分かりました。

 

企業情報
企業名 小杉織物株式会社
業務内容 帯の企画製造(浴衣帯・着物帯・男性用角帯・伊達締め等)、マスクの製造販売
所在地 福井県坂井市丸岡猪爪5-3-1
担当者 小杉 秀則  
問合せ先 TEL 0776-66-0255
HP https://www.kosugi-orimono.co.jp

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