繊維表面観察及び分析における繊維加工薬剤のメカニズム解析(日華化学株式会社)
撥水加工繊維表面の観察と解析により、加工薬剤の化学的構造・特性と撥水性能の相関を研究し、高性能な非フッ素系撥水加工剤の開発を目指しました。
令和5年度 |
事業実施の経緯
従来、繊維製品の撥水加工にはフッ素系撥水加工剤(パーフルオロアクリレートポリマー)が一般的に使われてきました。近年、PFAS問題に代表されるように人体や環境への悪影響から、特にアパレル用途向けで使用が制限されてきています。当社では非フッ素系撥水剤の開発に取り組んでおり、性能向上には、繊維表面観察及び分析における繊維加工薬剤のメカニズム解析が鍵となります。
今回、産総研、福井大学との連携により、繊維加工薬剤のメカニズム解析を実施し、高性能な非フッ素系撥水加工剤の開発に繋げました。
事業の内容
撥水加工薬剤の化学的構造・特性と撥水性能の相関の研究(繊維加工薬剤のメカニズム解析)には、繊維表面観察が必須です。しかし、繊維加工布の詳細表面観察ではチャージアップ(帯電)の影響を受けやすく回避することも困難です。
今回、産総研の技術コンサルティングを受け観察試料の前処理、観察条件の適切な設定を習得し、自社の走査型電子顕微鏡(汎用SEM)にて評価・検証手法の確立を目指しました。
事業の成果
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製品のPR
従来の撥水剤は、雨などの水滴が一時的に当たっても水を弾き、浸み込みを防止する撥水性を有しておりますが、長時間にわたり水に濡れるシーンでは十分な撥水効果を発揮できませんでした。このようなシーンには撥水性とは異なった機能である、アンチウィック性が必要となります。 これまで弊社のフッ素フリー撥水剤のラインナップにはなかった、アンチウィック性に特化したタイプの撥水剤は、アパレルだけではなく資材用途でも幅広い用途での活用も期待できます。 |
経営者の声
代表取締役社長 江守 康昌 氏 |
産総研の研究員が持つ高いレベルのスキルを当社の分析機器に適用することで、非常に有益な情報が得られるようになりました。この技術は、当社の事業戦略でもある環境に配慮した製品群の中でも特に力を入れている、フッ素フリー撥水剤改良に大きく貢献しております。また、他の分野への応用も見込まれており、今後も産総研との連携に大いに期待しております。 |
企業情報
企業名 | 日華化学株式会社 |
業務内容 | 界面活性剤(繊維工業用、金属、製紙、塗料、染料、合成樹脂用)、 クリーニング、業務用洗剤、及び化粧品・医薬品の製造、販売 |
所在地 | 福井市文京4丁目23-1 |
製品情報 | ネオシード NR-7314 |
問合せ先 | 日華化学の「繊維用加工剤」に関するお問合せフォーム |
HP | https://www.nicca.co.jp |