知事記者会見の概要(平成28年2月15日(月))
平成28年2月15日(月曜日)
10:30~12:10
県庁 特別会議室
【知事】
平成28年度の当初予算案と2月補正予算案、これは国の補正予算案を受けた予算になっていますので、まとめた形で概要を説明します。
昨年は骨格予算に肉付けするということでしたので、今回の予算は、私にとって4期目の、最初の通年の本格的な予算ということになります。
予算編成に当たり、心構えとしては、マニフェストに掲げた「福井ふるさと元気宣言」の政策を、着実に突破力を持って実行することが根っこに当然あるわけです。
そのほか、昨年10月に「ふくい創生・人口減少対策戦略」を策定しましたが、全国的にも、福井県にとっても、また、県内の市町にとっても、人口減少対策が大きな事柄として出ておりましたので、今回は、そうした人口減少問題、地方創生というのがつけ加わっています。
そういう背景のもとで、北陸新幹線あるいは中部縦貫自動車道の開通効果を県下全域に広げるため、これから7年あるいは8年といった期間の中で高速交通体系を整備し、並行的に関連する事業を行わなければならないということです。その中で福井県のいろいろな魅力や価値を発信し、その力を強めていく。そして、7年、8年後にはそれがピークに達するように進めていく、こういう気持ちを抱いております。
当然ながら、教育人材の育成、産業・農林水産業の振興、医療・福祉、環境、安全、国土強靱化、県土の強化といったことについては、今言ったあらゆる課題に直接関連しますので、並行して行うということです。
なお、当面の話として、TPP、あるいは2年後の国体の準備などにもスピードを持って対応するということも念頭に置いて行ったものです。
以上をまとめますと、今回の予算の重点は大体次のようなことになるのではないかと思います。
1つは、ふくい創生・人口減少対策の徹底的な実行、2つ目は、高速交通体系の整備促進とその整備効果の発現を行う全県展開、それから、突破力のある人材教育、TPP、農業・産業対策、福井しあわせ元気国体・大会の準備の加速ということになるかと思います。
なお、冒頭申し上げましたが、国は「一億総活躍社会の実現に向けた緊急対策」とTPP対策に重点を置いた補正予算を成立させていますので、この補正予算を積極的に活用し、今回は28年度当初予算と27年度2月補正予算を一体的にまとめた形で編成しています。
資料№4 平成28年度当初予算案 主要事業(施策別・予算額一覧)
○当初予算の規模
まず、資料№5「発表資料」の1ページですが、予算規模は4,864億円です。前年度に比べると0.9%の増となります。地方財政計画の0.6%を上回る予算になっています。地方財政計画を県の予算が上回るのは、平成22年度以来6年ぶりになります。これからいろいろな事業もスタートしたり、より充実していかなければならないというタイミングになっているということもあるかと思います。
また、2月補正予算については、公共事業64億円、地方創生加速化交付金を使った事業9億円など、国の補正予算に対応する分として総額108億円を計上しています(資料№2)。なお、例年、事業の確定に伴う減額などもありますので、プラス分のことを主に申し上げたところです。
○主要事業
それでは、主な事業について項目ごとに申し上げます。
まず、「ふくい創生・人口減少対策」です。この項目については、全体として、資料№3「主要事業」の61ページから63ページにまとめてありますが、全体で65億6千万円の予算です。27年度6月補正現計予算に対して19.2億円の増になっています。
まず、「発表資料」の2ページ、ふるさと福井を想う人たちを増やす事業の説明になります。「『愛着県民』プロジェクト」(約800万円)です(主要事業57ページ)。福井出身者や赴任した方など、福井にゆかりがあり、想いを有している人を「愛着県民」として位置付け、「愛着県民」には民間事業者と連携して発行する「愛着県民カード」を持っていただき、県内で話題のニュースなどふるさと情報を随時提供し、将来の移住・定住を促します。また、「愛着県民カード」を利用して商品を購入した場合には、ポイントの一定割合が、県へのふるさと納税として寄付されるという仕組みを取り入れます。さらに、「愛着県民」を増やすために、福井県のいろいろな幸福スポットを巡っていただくような動きもしてまいりたいと思っています。記者の皆さん方もずっと福井にいらっしゃればもちろんそれでいいのですが、残念ながらそうでなくなるようなときには、これをお願いしたいと思います。
次に、「『ふくいの希望と幸福』実践推進事業」(1,000万円)です(主要事業57ページ)。これまで東京大学等と希望学について調査・研究を行い、また、こうした考えを普及したり、学校で授業をやったり、啓発ということをやっていたのですが、いよいよ授業レベルから実践レベルに拡大をしてまいりたいと思います。地域おこし協力隊や伝統行事を復活させている若者グループ、子どもたちに生きた英語を提供するALTなど多くの人たちがいますが、こうした人たちを文化、芸術、スポーツ、地域活動などの分野において「ふくい幸福人」として顕彰しようというのが1つです。大いに活動してほしいということです。
また、競技かるた全国優勝など、若者が夢をかなえたり、山口茜選手などオリンピック出場が見込まれる選手などを応援する県民応援団の結成など、県民各々が夢を持てるような事業を募集し、企画・実践することにより、県民の希望創出を進めます。その他、東大の学生による体験プログラムやブータンとの交流もこの事業の中に入っています。
次に、U・Iターンの具体的な話が4ページ、「学生U・Iターン就職活動支援事業」(2,800万円余)、それから「社会人U・Iターン就職拡大事業」(3,600万円余)です。これは、大学生と社会人それぞれにU・Iターン対策を実施するものです(主要事業1ページ)。
学生については、就職支援協定を結んだ立命館大学、京都産業大学、京都女子大学を中心に関西圏の大学の学生と福井の企業人との交流会を実施します。また、県内企業で働く県外大学のOBを就活先輩サポーターとして登録し、いろいろな相談に応じていただくということです。
一方、社会人については、産業や農業、介護、創業など仕事の相談をトータルに行える移住フェアを都市圏で開きます。また、民間の転職サイトを活用した求人情報を発信し、就職希望者との企業面接会を実施する予算です。
なお、U・Iターンの相談内容の約9割が仕事に関するものであり、移住を考える場合には最も重要なファクターであります。県内の就業環境の良さを大いにアピールし、人の誘致をしてまいる考えです。
次に、5ページ、「プラス1女性雇用企業支援事業」(約1,000万)です(主要事業2ページ)。大都市に転出した女性のU・Iターンの促進は、これから極めて重要であり、商工団体と一緒に、女性プラス1雇用運動を展開します。こうしたプラス1雇用を宣言した企業を対象に、女性に人気の企画業務や国際業務などの雇用を拡大し、U・Iターンの女性を中途採用した場合に、その給与費などの負担に助成を行うものです。就活女子応援員など、これまでの政策と組み合わせて、大学進学を機に大都市に出た若い女性のUターンにつなげてまいります。具体的には、採用から3か月間、2分の1の給与の補助等を行うという内容の予算です。
それから6ページ、「U・Iターン奨学金返還支援事業」(3,100万円)です(主要事業1ページ)。奨学金を受けていた学生が、建築、土木、薬剤師など、今、人材不足となっている業種に就業した場合に、就業後に支払う彼らの奨学金の返還金、大体240万円前後の金額が必要なのですが、これに対して概ね半分、100万円程度に相当する額の応援をします。また、他県では例がありませんが、県民の皆さんから寄付を募ってこうした応援を基金に入れていくということも考えたいと思います。
なお、この基金の仕組みは、福井県が先駆けて既に実行している理工系大学院の卒業生の奨学金支援「ものづくり人材育成奨学金」制度がモデルとなっており、これを国が今回採用したわけです。特別交付税という国の財源を使ってこの制度を行うということになります。助成する対象は年30人程度を考えています。
次に、7ページ、県内定着対策について説明します。「大学連携センター運営事業」(2,800万円)です(主要事業3ページ)。県内大学生が集まり、学んだりする拠点となる「大学連携センター」を本年4月9日、アオッサ7階にオープンし、福井の玄関口である福井駅周辺に若者を呼び込みます。28年度は、恐竜学あるいは福井の偉人や歴史、企業の活動を学ぶ講座など30の科目を開講する予定です。県内にそれぞれ大学がありますが、共通のキャンパスで地域志向の高い学生を応援して、学生の県内就職または高校生の県内大学への進学の気持ちを高めていただくということです。そのほか、アジア系言語や英会話の講義なども実行したいと思います。参加大学は、福井大学、県立大学、福井工業大学、仁愛大学、敦賀看護大学の5大学になります。受講者は約400名、1、2年生の約1割がここに来るということです。
次に、8ページです。民間機関との共動による愛着県民や今申し上げたU・Iターン、奨学金、あるいは大学連携などいろいろなことがありますが、やはり市町としっかり連携をしてこういった問題に取り組むことが必要ですし、市町もそのように考えていると思います。「『新ふるさと創造』推進事業」ですが、それぞれの市町で独自の課題があるところです。主要事業58ページをご覧いただくと分かるのですが、これまで「ふるさと創造プロジェクト」を市町とやっており、ソフト事業は10分の10、ハード事業は2分の1で県が応援しており、それぞれの市町で1億円ぐらいの事業を進めていますが、その事業を受けながら、今回は市町と県が一体となって、地域のブランドやまちづくり、あるいは人を誘致する、こういうハード面、ソフト面の応援をします。市に対しては約8,000万円、町に対しては約4,000万円の規模で、2分の1の補助をするものです。この中には住宅の改造をしたり、ICTを使ったいろいろな予算の実行なども入ると思います。
それから、結婚の関係ですが、まず、「県民・メディア参加型結婚ポジティブキャンペーン」(1,100万円)。それから、10ページ、「めいわくありがた縁結び地域・職域拡大事業」(1,500万円)です。
今年度制作した結婚・子育ての良さを伝えるCMに加えて、新たに結婚応援のキャッチコピーCMを制作し、引き続きテレビや映画館等において放送します。また、パートナーと一緒に行動することが普通であるという「パートナー文化」を広げるため、「ハッピー・デート」プロジェクトを展開してまいります。カップルを対象にした割引・優待クーポンなどの協賛店を募集して、応援をしたいと思います。
次のめいわくありがた縁結びですが、地域の縁結びさんについては、これまでも幾つかやっているのですが、新しくお寺の住職などにも登録をしていただき、1月末現在、136名の方に活動してもらっています。今度はこれに加えて、退職をされた校長や先生方にも登録を願って、縁結び活動を進めたいと思います。
職場の縁結びについても、会社に加え、協同組合や経済団体などの登録も働きかけ、企業同士の交流会をさらに活発にしてまいりたいと思います。今、地域の縁結びさんと職場の縁結びさん、それぞれ140人ぐらいおられますが、これをそれぞれ30人ぐらい増やし、大体170人ぐらいずつにするということになるかと思います。
お坊さんたちに頑張ってほしいなと思います。いろいろ宗派を問わず、地域のことをよく知っているわけですので、そういうふうにやろうということです。
次に、11ページ、「産前産後安心サポート事業」(1,500万円)です。県のこれまでの支援として約14億円、全国に先進的ないろいろな制度を進めています。3人っ子応援プロジェクトや医療費の無料化、父親・祖父母の育児休業取得奨励金など全国トップクラスの事業を行っています。
これに加えて、今回、妊娠から出産まで、あるいは出産後1か月が十分ではないということがありますので、出産後の1か月健診までの公的支援がない時期に、出産の悩みを抱える母親への医療相談の応援。それから、子育てマイスターが直接家庭訪問し、育児相談をするということです。特に母親の安心感を高め、さらに次の2人目も子育てしたいという気持ちになっていただこうということで、産前から産後まで切れ目のない支援を全国で初めて導入することになります。
それから、12ページ、「病児保育施設送迎サービス事業」です。本県では、病気などにより保育所に預けることができない子どもの一時預かりをするという制度を、私が知事になって平成16年から他県に先駆けて実行し、現在では全国各地にこれが広がり、国も支援制度を設けています。しかし、保育所等で急に子どもたちが発熱をしたり風邪を引くということが起こり得るわけであり、そういうときに保育所もどうしたらいいか分からないといいますか、親が来るのを待っていたり、いろいろなことがあるわけです。それでは困るということで、病児保育をやっている施設が子どもを保育所まで迎えに行き、保護者が迎えに来るまで病院で預かるという応援をします。この制度は、「ふくい創生・人口減少対策戦略」に盛り込んで実施を考えていたのですが、国において同じような補助制度を今回設けてくれましたので、国の補助制度を使ってやることができるということです。
以上が、婚活・結婚・子育てタイプあるいは地方創生の事業です。
次に、「高速交通体系の整備と整備効果の全県展開」ということになります。
平成28年度は、新幹線、中部縦貫自動車道の整備と関連事業を含めて、総額679億円の事業が県内で行われます。その負担金を払うなど、県の予算としては217億円です。なお、この開業・開通効果に向けて、アクションプログラムを3月末につくる予定です。
それから、これまで福井駅周辺のまちづくりとして、西口・東口駅前広場、市が直接事業主体となっている西口再開発ビル(ハピリン)など、1,260億円の事業を行っており、県としては317億円の支援を行っています。28年度で西口整備はほぼ完了します。引き続き、福井城址の整備、山里口御門の復元、それから、「福の井」の再整備などが行われます。点から線、面へと投資を拡大し、地域づくりを進めます。
まず、「北陸新幹線建設事業」、13ページです。101億円、金額がだんだん大きくなっています。北陸新幹線金沢・敦賀間については、900億円が盛り込まれ、県内は506億円の事業です。今年度に比べて382億円増え、倍以上になっています。新幹線整備は、JRからの貸付料を差し引き、その残りを国2県1の割合で負担しますので、県の負担金としては101億円が計上されます。用地取得を加速するとともに、九頭竜川橋梁や新北陸トンネルの工事を進めていきます。なお、敦賀以西については、今年中の若狭ルートの決定を国に求めていきます。
14ページは「中部縦貫自動車道整備」(17億円)です。永平寺・大野間の全線開通に必要な予算に加え、大野・油坂間の荒島トンネルの工事などに供することになります。中部縦貫道の事業費全体は74億円、県の負担分が23%に当たる17億円となります。
次に、アクションプログラムに関連した主な事業を15ページ以下で説明します。
まず、「『一乗谷ミュージアム』化推進事業」(1億1,500万円)です。戦国城下町「一乗谷ミュージアム」の新たな拠点施設として「一乗谷朝倉氏遺跡博物館」を、オリンピック開催に合わせ、32年夏のオープンを目指して整備をします。28年度は建築および展示の基本設計を行います。また、特別名勝庭園の再生に向け、庭石や植栽の位置などの調査を行うともに、城下の暮らしぶりをリアルに体感できる生活を再現します。
それから、「第2恐竜博物館整備調査事業」(900万円余り)です。恐竜博物館の年間入場者数100万人の実現に向け、世界からも注目されるジオラマ展示やアミューズメント機能を持った第2恐竜博物館の整備について、28年度は民間活力の導入の可能性を調査するとともに、基本構想と基本計画をつくります。
次に、16ページ、「年縞」です。年縞研究展示施設の整備に着手するという予算(6,900万円)です。当該施設では、立命館大学とともに年縞をもとにした共同研究を行うわけですが、水月湖の年縞は約45mの長さですので、それを直線的に展示し、あわせて人類の歴史、また福井の歴史も関係しますが、7万年間余りの時の流れ、時の博物館といいましょうか。これは恐竜と対をなすものです。恐竜とは年代も長さも違いますが、より人類に近い長い時間をここで展示する予定です。30年度の開館に向け、28年度は実施設計を行うとともに、26年度に採取した年縞を展示するための加工処理を行います。
なお、施設は次世代につながる持続可能な里山里海湖の保全・再生のシンボルですので、県産材を使った木造のデザインにすることが基本かと思っています。
次に、「六呂師高原スポーツ・体験観光促進事業」(1億1,900万円)、17ページです。六呂師高原は、大野にある、恐竜博物館の谷を挟んで南側に展開する景色の良い高原地帯です。現在、ふるさと学びの森、自然保護センター、奥越高原牧場、ふれあい動物園、集団宿泊施設、奥越高原青少年自然の家など、たくさんの施設がありますが、残念ながら、その機能が古くなったり連携が弱かったりします。そこで、中部縦貫自動車道の大野までの全線開通を契機に、こうした施設の有効連携、あるいは施設整備をやってまいります。あわせて、いろいろな体験ができるように、恐竜博物館とこの六呂師高原が連携した観光拠点にしてまいりたいと思います。例えば奥越高原青少年自然の家に泊まった子どもたちが奥越高原牧場において乳搾りをし、ミルク工房でアイスクリームとかチーズに加工して食べるといったことは今までできませんでしたので、そういうことをしてまいる考えです。また、冬期間も利用できるように、来年のスキーシーズンまでに家族向けのスキー体験エリアの整備なども行います。スキージャム勝山は非常に環境が厳しく、家族向けのスキー専用ではありませんので、そういうものをつくりたいと思います。
このほか、「越前古窯拠点施設整備」6億円(主要事業31ページ)、あるいは「山里口御門の復元」など5億円余(主要事業21ページ)などが並行して書いてあります。
次に、18ページですが、「周遊・滞在型観光推進事業」(2,700万円)です。これまで、それぞれの観光地の魅力アップ、例えばあわらに「芦湯」をつくるとか、敦賀で赤レンガ倉庫を復元するとか、いろいろなことを進めていますが、ここで今一度、そうした結果を受けて、観光エリアをそれぞれのブロックごとにつくり、面的な、あるいはネットワークのできる観光地を整備したいということです。今回、複数の市町が連携した周遊・滞在型観光推進計画策定の応援をするということです。1エリア当たり450万円の応援をすることにしております。これは2分の1の補助ですので、市町レベルでは1,000万円近くの策定事業になると思います。
次に、「福井の魅力発信」ということで3つ目の課題に入ります。
恐竜や幸福度などいろいろなことを進めていますが、地域ブランド調査の魅力度は45位から29位にようやくなりましたので、さらに実力に合ったランキングが大事かなと思います。新たに「幸福日本一」を示すキャッチコピーを使って発信するとともに、大河ドラマの誘致活動を行い、福井の誇る歴史・文化をPRします。特に昨年のミラノ万博などの経験を考え、新たなブランドとして永平寺あるいは禅というテーマもブランドの大きな素材にしてまいりたいと思います。また、予算外の話になりますが、ポスターやチラシのみならず、SNSや動画などをそのときに応じて情報発信も並行して行うというふうに考えています。
19ページ、「恐竜を活かした全国PR事業」(6,900万円)です。恐竜博物館は、今、年間80万人を超える入場者数になっていますが、「恐竜」を前面に打ち出した首都圏でのプロモーションを強化します。北陸3県共同の観光キャンペーン、それから、福井県産の恐竜が登場する動く恐竜ショーなどの誘客プロモーションを行ってまいります。
そのほか、「幕末明治150年福井の偉人発信プロジェクト」(主要事業45ページ)が、900万円。それから、「小松空港を活用した誘客プロモーション」(1,900万円)、こういった事業を進めてまいります。
次に、20ページ、「外国人向けの新ブランドによる誘客強化事業」です。訪日外国人旅行者が増加しており、福井県においても昨年度に比べ2倍になっています。なおなお実数が少ないですから、これを増加させる必要があります。主要事業の48ページにより詳しく書いてありますが、さまざまなプロモーションツールの作成とか、国際会議等MICEの誘致、海外旅行会社への訪問営業による旅行商品の造成促進、貸切バスツアーの造成に対する助成などがあります。そのほか、伝統の福井和食を学ぶためのインバウンド対応研修、あるいは「ふくいドットコム」の中国語版リニューアル、免税店の開設支援、いろいろなことがこの中に書いてあります。
次に、「TPP対策」です。
国は、農林水産物の生産額が国全体で2,100億円の減少と試算をしています。米については、輸入米と同量の国産米を備蓄することから、市場流通量は変わらず、米への影響はないと国は言っているわけですが、しかし、安い輸入米の流通によって価格への影響があるわけであり、国はもっと責任を持って対応を講じるべきところがあるわけです。そこで、生産者が将来にわたる所得維持、経営安定のため、新しい里山農業の確立も必要ですし、経営の大規模化・多角化が重要です。そういう意味で、今回この主要事業の64ページと65ページに農業関係と産業関係をまとめて表にしています。総額が56億円余りの金額です。今日午後からTPP対策会議を行い、予算化する事業により、効率よく使われるように徹底したいと思っています。
21ページは「ポストこしひかりの生産・販売対策」です。いよいよ本格的な生産・販売に向けた準備に取り掛かります。今年度は4種に絞り込み、28年度は1種に絞り込むということであり、29年度に品種登録出願、30年度に本格生産を目指してまいります。栽培指針を策定するとともに、種子の生産、あるいはブランド化戦略、これは、いかにしかるべき値段で金額を確保できるかということです。
22ページは「九頭竜川下流における農業振興」(4億円余り)です。九頭竜川のパイプライン国営事業は、平成11年度から着手しており、ようやく今回この事業が完了をすることになります。全国最大規模のパイプライン農業施設です。本年4月から1万2千ヘクタールの農地全面にきれいで冷たい水が安定供給されます。主に福井・坂井平野が中心です。100ヘクタール規模のメガファーム化に伴う機械の整備や雪に耐えられるハウスの支援、あるいは夜間かんがいによる高品質米の生産、ネギなどの水田園芸の応援、ミディトマトやメロン、ブドウなどの高収益品目の生産拡大などを目指します。
23ページは「新たな農業ビジネス創出事業」であり、今、越前市の安養寺に福井県農協中央会の農業研修施設があるのですが、これを無償で譲り受け、さまざまな整備を行って、あらゆるタイプの農業ビジネスの研修所にしてまいります。農業従事者全般に対して、経営、販売、接客、調理など、異業種の交流も含めて、「ふくい農業ビジネスセンター」を設けるということです。また、周辺に園芸ハウスなどを整備し、ブドウの収穫体験なども実行できる施設にしてまいります。
24ページは「アジア市場への食の輸出拡大事業」(2,500万円)です。福井の食材や日本酒、伝統工芸品など食の関係の輸出額を30年度までに今の4億円を8億円にしていく考えです。ふくい貿易促進機構内に「ふくい食輸出サポートセンター」を新たに設けて、シンガポール、香港等への売り込みを強めます。
25ページは水産です。定置網、底曳です。それぞれの団体がある程度経営統合を行い、底曳網漁船の更新や定置網の大型化、あるいは沖出し、こういうものに対して応援をしてまいります。今回の支援により、漁業生産額の約1割増加を目指します。
最後の大きな区分は、教育になりますが、「突発力のある人材の教育」です。
26ページ、「ふるさと教育推進事業」(2,400万円)、あるいは「古典学習支援事業」(400万円余)。中学生および高校生に、橋本左内、由利公正など福井の生んだ偉大な先人のエピソードなどを取りまとめた『ふるさと福井の先人100人』という書物を配付して、授業、また自宅でも活かしていただく。また、百人一首や古文などの作品を掲載した「古典音読・暗唱ノート」をつくり、県内小・中学生に配付し、国語の授業で活用します。本年1月には川崎文義さんが競技かるたの名人位を獲得していますが、こうした歌、古典などにもっと親しめるようにしたいと思います。
27ページは「英語力向上事業」(1億3,000万円余り)です。ALTと学習内容の改善を行うと同時に、校内におけるスピーキング評価を導入するとともに、外国語検定試験の受験費用の支援、それから、小学校の英語教科化に向け、英語教育の推進役となる教員に加えて、5・6年生の担任教員にも英語指導の研修を行う、さらに、語学番組等を活用し、全ての教員の英語力の向上に資するということです。
28ページは「教育研究所移転整備事業」(4億8,000万円余)です。学力・体力日本一の福井ですが、研究・研修機能をさらに強化するという意味で、これまで運動公園にあった教育研究所を移転し、29年4月にオープンをする予定です。春江工業高校の敷地内の施設などを改造して行うものです。新しい学力評価テストが導入される大学入試制度改革などに対応した教員の指導力強化、退職教員による若手教員の研修強化を図ってまいります。また、教科や学校の種類ごとに教員自主研究グループがありますが、それをさらに増やす。それから、新しい教材の開発などをサポートし、現場に移していくということです。あわせて、福井県の学力・体力あるいは先人の業績をみんなに見ていただく博物館を併設します。こうした教育博物館は全国で初めてになると思います。
それから、29ページは、「福井しあわせ元気国体・障害者スポーツ大会」関係の予算です。準備経費が3億円、競技力向上対策が8億円余りになります。特に選手力強化については、新高校1年生の選抜チームの編成や県外遠征のほか、指導力の高い指導者の派遣等を行います。成年選手については、「スポジョブふくい」により今年度57名の選手を確保していますが、28年度には60名の確保を目指してまいります。
30ページは「産業政策」です。これはオープンイノベーション推進機構、あるいは企業誘致等、基本となる事業がまず参考の意味で書いてあり、こういうことをベースに31ページあるいは32ページの話を申し上げます。
31ページは「県民衛星プロジェクト支援事業」(3,900万円)です。宇宙産業は、今後10年間で約5兆円までの市場拡大が見込まれます。そこで、県内企業を中心に技術研究組合をつくり、31年度に打ち上げる人工衛星の製造、また、それを使った衛星データの活用について研究・開発に乗り出します。28年度は実際にこれをつくっている現場に赴き、福井の企業が製造技術の習得をするとともに、人工衛星の設計などを行います。また、工業技術センター内に製造場所として、クリーンブースを設置します。人工衛星の製造、利用システムの全国各地からの受注にもつなげ、子どもたちのサイエンス教育にも活用してまいります。
次に32ページ、「サンドーム福井ものづくりキャンパス整備事業」(4億円)です。サンドーム福井の管理会議棟を、ものづくり産業の振興や人材育成の拠点として再整備をします。本年秋にはオープンして、丹南地域を中心とした伝統産業産地からさまざまな人たちが集まって、工業技術センターなどとも連携しながら、デザインの講座や3Dデータ制作のスキルアップあるいはデザイナーのレベルアップ、このようなことをしてまいります。
なお、11月にはこのサンドームをメイン会場に、全国の伝統的工芸品や伝統工芸士が一堂に会する全国大会を、21年ぶりに開催します。
そのほか、「敦賀港利用拡大事業」、あるいは「海外クルーズ客船誘致促進事業」なども、主要事業50ページに書いてあります。
8番目ですが、「医療、福祉」が33ページです。医療、福祉については、医療と介護の連携ということを踏まえながら、「地域医療介護総合確保基金」25億円余りを、地域包括ケアシステムの構築、あるいは在宅医療等の充実に、人材育成を含めて使っていく、そういう基本のものが根っこにあるということをご承知おき願って、34あるいは35ページをご覧ください。
まず、「がん検診の推進」です。国立がん研究センターなどにおいて、1回の採血で13種類のがんを発見できる血液検査システムを開発しています。こうした国の動きに合わせて、本県もそうした制度が利用できるようにしてまいります。
それから、「血管治療センターの設置」(600万円)ですが、県立病院においては、この4月から循環器内科、心臓血管外科、脳神経外科の3科が連携し、あらゆる血管疾患を受け付ける「血管治療センター」を県内で初めて開設します。
また、脳などの外科治療とカテーテル治療を同時に、手術室を移すことなくできるハイブリッド手術室を新たに造設する予定です。
以上、申し上げましたが、それぞれ予算を執行しながら、大きなプロジェクトである新幹線、高速道路等のインフラ整備についてはできるだけ早くできるように進めると同時に、これを有効活用できる事業の展開を進めているということです。
県としては、「人材改革」、「業務改革」、「組織・財政改革」を柱に、行革プランを実行することになると思います。なお、大型プロジェクトが進みますので、県の借金あるいは基金の残高をうまくコントロールしながら、健全財政が持続可能なように進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
私からの説明は以上です。
~質疑~
【記者】
今後さらに全国で競争が激化していく中、人口減少対策に新規事業を多く立ち上げて19.2億円増額された理由と、改めて意気込みを教えていただけますか。
【知事】
福井県としては、私が知事になった頃から人口問題に対して、いろいろなレポートもつくり、特に結婚・子育てなどは全国的に先進的に進めておりますから、それほど新しい課題ではありませんが、他の地域でも関心を持ち、国としてもいよいよ人口減少の傾向が顕著に表れてきたわけですので、県のこれまでの実績を受けながら、できるだけ国のお金も活用し、市町と連携して福井県独自の政策を積極的に進めようという気持ちです。
【記者】
今年度もUターンセンターの設置などさまざまな事業を展開されて、ある程度実績もあった上で、さらに攻めていく姿勢という印象を受けますが。
【知事】
そうですね。先ほど愛着県民の話をしましたが、福井県は客観幸福度というのか、これは高いけれども、それが主観的にどうかということ。さらに、最も幸せなところに人が来ない、あるいは出ていくというのは妙ですから、それをいかに解決するかという大きなやりがいのある課題を抱えていますので、そういう観点でこの人口問題や究極の課題である幸せ、そういうことにチャレンジしたいと思います。
【記者】
人口減少対策に加えて、高速交通体系の進捗を見据えた受け皿整備にも重点を置いて、点から面に展開していくというお言葉もあったのですが、これから市町との連携や民間活力の活用が大事になってくると思います。そうした力を引き出すために、予算編成に当たって苦心された点がございましたらお聞かせください。
【知事】
仰るとおりで、予算でもそういうことは大事なのですが、実際に執行するときに、昔から言われていますけれども、縦割りをさらになくさなければなりませんし、大抵の事業が3つ、4つ重なっているわけです。主立った部であったり課だったりしますけれども、連携してやらなければなりませんし、かつ、県のみならず、これから福井を盛り上げようとすると、市町や民間、女性や若者やそういう団体、グループ、個人、いろいろあります。そういう人たちが思い切って頑張っていただくような考えをこれまで以上に強めたいと思います。
そのためには、そういうものに応じて、県庁の組織もある程度直さなければならない。これまで10年間は、新幹線がどうだとか、高速道路がどうだろうかとか、あるいは原子力のいろいろな課題、福島の事故等も途中にありましたが、一通り年末までに大体方向が出たような感じもあり、また課題もたくさん残っておりますから、次の段階に踏み込むということになりますと、今言ったような県庁内の体制、あるいはもっと大事なのは福井県民の元気な活動、頑張りをいかに我々がうまく邪魔しないように、また連携していただくように、より力が発揮できるように努めたい。そういう予算にもしたいし、予算の執行にもしたいし、県の組織もさらに変える段階だろうと思います。
例えば、いろいろ予算がありますと、だんだん物をつくるというよりもどこかへ働きかけたり、あるいは誰かに来ていただいたりする予算が増えているのです。そうしますと、どなたかがある講演で福井にお見えになるというようなときに、その予算だけではなくて、あわせて学校に行っていただいて子どもたちにいろいろな話をしてもらったりすることが有効ですし、場合によっては石川県などと連携して、石川に来られた方を福井に呼んで、その人たちもあまり時間の無駄にならないように、こちらも協力する。そういう新しい人に着目したやり方が、これまで以上に予算のウエイトも高くなっていますし、有用かなと思います。
県職員の出張といいますか、あちこち行くときにもそうだと思います。1つのことだけで東京に行って帰ってくるようなことは決してしないとか、いろいろなことを考えながらやる。何人で行くのか、どうやるのかという、そういう時代だと思います。
それから、もう1つ。いろいろな情報機器、コンピューターなりICTを使った専門的な発信ですね。これは県職員だけでは決してできるようなものではありませんから、こういうものをレベルアップし、強化して、スピードを上げたいと思います。絶えずサイトの中身を変えるとか、そういうことも大事だと思います。
【記者】
教育についてお伺いします。教育大綱を知事が作成された後、初めての予算となりますが、計画もつくられて、具体化に当たって留意した点とか施策の中で重要視するポイントを教えてください。
【知事】
元々、福井県は以前から教育委員会といつも連携をし、教育委員とも定期的に協議をしながら進めていますので、法律の改正によって大きく変わるものではないと思いますが、特に大事なことは学校の先生です。つまり学校の皆さんが新しい時代に対応して授業を変えていく、あるいは子どもたちとの接し方をより時代に合ったやり方にするということが極めて重要だと思います。いろいろシステムを変えたり予算を増やしても、具体的な授業、あるいは活動の場でそれがうまく展開されなければならないと思います。そういう意味で、今回、教育研究所にかなりお金を投入しているのです。単に研修をするということではなくて。そういうことだと思います。
【記者】
会見資料にはなかったのですが、教育の予算の中で、遠隔授業や遠隔通信の研修を行うという予算が入っていました。全県的に取り入れるという予算になっていますが、いかに使いこなせるか、そのあたりどのように考えておられますか。
【知事】
主要事業の9ページ、「『福井型18年教育』の進化」の「遠隔授業・研修システム整備事業」になるかと思います。これは非常に重要でして、これをうまく活用して、みんながいろいろな良い教育方法を共有するとか、小さい学校同士が連携するとか、場合によっては国外との教育情報の交換ということに使えると思いますが、課題は使いこなせるかということで、教育委員会にも使いこなすように強く言っております。道具を使ってものが進んでいるわけでは決してありませんので、ぜひ役立ててほしいと思います。理科の実験などもこういうのに極めて役に立つと思います。
【記者】
財政のことでお聞きしたいのですが、県税収入が1,100億円を回復して、県債残高も右肩下がりを緩やかに続けている状況です。しかし、その一方で新幹線の県負担が101億円と大きくなっており、現在の財政の状況をどのように見ておられるかお聞きしたい。
【知事】
いろいろな財政収支表とか改革の計画も持っていますので、その中でこうした事業が展開できるという見通しは持っているわけです。ですから、その間で大きな経済変化などがないことが重要です。また、国あるいは地方全体の財政状況はそれほど楽ではありませんから、そういうものを見ながら対応してまいりたいと思います。いずれにしても富山県や石川県での新幹線のいろいろな予算の収支も分かっていますから、そういうものを参考にしてやっているわけであり、現状ではそういう収支上の問題をクリアして事業の展開ができているということです。かつ、国にいろいろな財源についての要望もしており、かつてよりは費用負担が少なくなっているというようなこともあると思います。
【記者】
地方財政計画を上回る予算であることの目的と理由を改めてコメントいただければと思います。
【知事】
地方財政を上回りたいということではなくて、今言ったようなあらゆる大きなプロジェクトが進み、それに応じた予算をつくり、その結果、上回っているということです。
【記者】
課題が多いということでしょうか。
【知事】
いや、課題が多いということではなく。規模だけの話をしますと、福井県は今ちょうど大きな事業がたくさん山積をしており、これまでは計画のレベルでしたが、これを具体化するということになりましたので、事業規模が大きくなったと言ったほうがいいかもしれません。
【記者】
人口減少対策が1つの大きな柱になっているのですが、総額約65億円ということで、これで昨年10月につくられた戦略に掲げられている項目に、大体着手していると見ればいいのでしょうか。
【知事】
そうですね。特に人口減少対策として特出しをしたという部分であって、根っこにはいろいろなものがあるわけです。新幹線の事業など人口減少対策かもしれませんし、教育予算そのものもそうかもしれませんから、全体で見る必要があると思います。特にU・Iターン対策は、非常に具体的だし、あるいは地元で就職するための学校への支援や、地元の私立大学への応援などいろいろなことがありますので、そういうところをまとめると60億円の大台になったということです。
【記者】
「愛着県民」というのはなかなか概念というか定義付けが面白いとは思ったのですが、これは公に見える化していくというのか、どんどん増えてきたことを公表していくことも大事なのかなと思いますけれども、愛着県民人口というか、目標を掲げているのですか。
【知事】
愛着県民というのは範囲がかなり広く、特に3千人が県外に出て1千人弱しか戻らないということで、その2千人が最も愛着県民の内側といいますか、働きかけが重要な人たちだと思います。これが年々、大都市に住んで、何千人、何万人となり、年代ごとにだんだん遠くなるわけですので、それはふるさと納税などいろいろなところに使ったり、あるいはメディアの皆さんから地域のニュースなど大都市に住んでいる本県出身者などに送ったりしていただくと、みんな、福井はこんなことをしているのだな、応援しようかということになりますので、地元のメディアの力と金融の力が非常に重要です。先ほど言った、みんなでやろうということですから。
そうした上で、一番幅広いのは観光で来ていただいた人、それから、何となくふるさと納税を福井が良いと思ってやってくれた人たちが外縁におられるということですので、数万人から極端に言うと数十万人に広がるのですが、全てというわけにいきませんから。むしろ違う言葉があっていいのかもしれません。「愛県福井運動」とか、そういう運動なのです。県民に着目していますが、愛県運動とか、福井が大好きだとか、そういう運動の一環だと思っていただいたほうがよいかもしれません。
【記者】
先週、全国で初めて廃炉協定を結ばれて、地域振興策なども協定に盛り込まれましたが、改めてその狙いをお聞きしたい。また、美浜1・2号機と敦賀1号機の廃止措置計画が、規制委員会に認可申請されたのですが、これに対する知事の所見を改めてお伺いしたい。
【知事】
原子力発電所の廃止措置、廃炉ですが、商業炉としては本格的にこういうことが始まったということで、もちろん廃炉については稼働と違った特有の問題がありますので、事業者と安全協定を予め締結をすることにしました。これは初めてのことです。その中には安全の問題、それから環境、地域の発展・振興という3本柱でこの問題を考えていこうと。
そして、廃炉ということですが、原子力発電所が動いていることと一体となった事柄であるという認識を事業者と我々で、協定にもそういう趣旨が文章にあったと思いますけれども、廃炉というのは稼働してきたから廃炉があるわけですので、そういう考えで全体性を持ってこの問題に取り組んでいくということが根本です。
新しい事態であり、これまで考えられなかった問題がまた出るかもしれませんので、そういうことに十分注意をしながらやっていこうという心構えです。
【記者】
廃止措置計画を関西電力と日本原電が出したわけですが、まだ低レベル放射性廃棄物の処分場が未定のまま出しているという状況で、この課題をどう捉えられていますか。
【知事】
課題としては、使用済燃料の中間貯蔵の県外立地の着実な実行と、この廃炉工事のいろいろな計画と地元企業との関係、連携といいましょうか、そういうものもありましょうし、そのほか、放射性廃棄物全般の県外における処分場の確保なども課題になるかと思います。そういうことをお伝えはしているわけですが、これは新しい課題ですから、一つ一つ言いっ放し、受けっ放しではいけませんので、いろいろな工程を明らかにしながらこの問題に取り組んでいくということになります。特に中間貯蔵というのは大きな課題であり、国が相当この問題に関与しなければ解決ができないと思います。
【記者】
廃炉というのは県の財政面にも影響を与えるかと思います。例えば県が独自に事業者に課税している核燃料税ですが、現行では廃炉の原発はその対象とはなっていないかと思います。来年度以降、廃炉の作業が本格化していく見通しですが、この核燃料税について、事業者から徴収できるように協議をされているかと思うのですけれども、改めて現在の協議の状況と今後の見通しをお伺いできればと思います。
【知事】
これは、例の出力割とかそういうときにも議論しましたが、廃炉によるこれからのいろいろな財政需要がどの程度行われるかとか、あるいは租税理論としてそんなことが可能なのかどうかとか、いろいろな議論をしなければなりません。だから、廃炉・新電源対策室でもいろいろ勉強もしていると思いますが、これからそういう問題をどんなふうに具体化できるかできないかという状況です。
【記者】
先ほどの低レベル放射性廃棄物に対するご回答の中で、「一つ一つ工程を明らかにしながら取り組んでいかなければいけない」と仰ったのですが、低レベル放射性廃棄物に関しても、中間貯蔵の県外立地のようにアクションプランを求めて、いつまでに、どこに運び出しますということを求めていかれるということでしょうか。
【知事】
これから具体的にいろいろなことが起こってくると思いますから、そういう全体の対策の展開の中でやっていくことになると思います。数日前に先方に話をお伝えした状況ですので、まだどういう名前のものを、どんな年数の中でやるというほどの話にはなっていない。もちろん仰るようなことは大事だと思います。そういう名前の、そういう動きになるかどうか、今の段階ではお答えできる状況ではありません。
【記者】
北陸新幹線について、今、与党プロジェクトチームで若狭ルートと米原ルート、湖西ルート、JR西日本の小浜・京都ルート、舞鶴ルートの5つ出ていますが、その中で知事が支持するルートをお聞きしたい。また、その中の1つである舞鶴ルートに対する知事の考え方と、今後ルートを絞っていく中で、どういうところを重視するべきかというお考えがあれば教えてください。
【知事】
我々は小浜付近を通って大阪ということですが、京都駅を経由するということについては望ましい案の1つかと思います。
それから、舞鶴ルートについては、その前提として、北陸新幹線は非常にお客さんの数が多い新幹線ですので、利用者の拡大を図る観点から、大幅な時間短縮が期待できるルートとすることが重要だと思っています。常にそういうことを申し上げています。舞鶴ルートについては建設の経費とか、あるいは運行距離がかなり長くなるという課題があるように今のところ思っています。つまり建設費が大幅に増加する、それから速達性が著しく低下する、運賃や料金がその結果高くなるという課題があるだろうと思います。これからいろいろな議論の中で自ずとそういう問題がはっきりしてくるかなと思います。
【記者】
知事は、これまで京都のほうの議論に関しては、ほかの県のことだからということで、あまり口を挟むという姿勢をとっていなかったと思いますが、これからも同じような姿勢で臨まれるのでしょうか。また、京都府の知事が、舞鶴ルートが良いという態度を示していますが、京都府の知事と話をする機会を持つ方針があるのかという2点をお伺いします。
【知事】
今、与党プロジェクトチームで議論しているわけですから、その場を通じて進められたらいいと思います。福井県の県益とかそういうものに深く関係するというような状況がもし生じることがあれば、それはそのときにいろいろなことを県として申し上げなければいけないわけですが、今は正常にいろいろな議論が進められていますから、そういう経過をしっかり見ていくという状況ではないか、それでいいのではないかと思います。
【記者】
県益に深く影響するというのは、例えばそれは建設コストなどの部分でしょうか。
【知事】
今、一般的な議論が始まっているだけですから、そういうことを十分みんなが眺められたらいいのではないか。北陸の人も眺められるでしょうし、京都の人ももちろんご自身の負担が増えるわけですから大変なことですね。そういう普通に客観的に議論しているという状況ですから、それを進めていく。我々は、若狭ルートを経由して京都あるいは大阪にできるだけ早くしっかりつながるということが県民益なのです。
【記者】
北朝鮮の拉致問題のことを聞きたいのですが、今、北朝鮮の核実験とミサイル発射によって日本政府が独自に制裁を科して、それに対して北朝鮮が拉致問題などに関する再調査を中止して、特別調査委員会も解体すると通告しているようですけれども、福井県には実際に拉致被害者もいますし、拉致の疑いが排除できない方もいらっしゃいます。このような状況を、拉致被害者がいる福井県の知事としてどのように見ているかお聞かせください。
【知事】
今回の制裁措置ということですが、拉致被害者を日本に戻すというのは、全く別の話であって、これをちゃんとやっていただくことが極めて重要だと思いますし、これは日本全体が、あらゆる人がそう考えていることだと思います。ですから、政府として一刻も早い拉致問題解決にこれまで以上に最大限の努力を続ける必要がありましょうし、県としてもいろいろな機会を捉えてこの問題が解決するように努めたいという考えです。
【記者】
高速交通体系で、小松空港のこともお伺いしたいのですが、全日空が羽田便の2便減便を決めて、春以降10便体制になることの受け止めをお願いします。また、一部報道によると、過日、森元首相が小松空港の愛称を加賀・越前空港にという話もされていたようですが、そういうことを福井県として求めていく考えがあるのかお伺います。
【知事】
小松空港は福井にとっての空港でもありますので、私が知事になってから、ちょっと時間がかかったのですが、空港は「小松(金沢・福井)」と、機内誌あるいは時刻表に載っています。名前はともかく、できるだけ福井、また石川県の空港ではもちろんあるけれども、そういうような役割と実態になるようにこれからも努める必要がありますし、谷本知事と毎年定期的に会合を持っておりますが、小松空港の利便性について、安宅のスマートインターチェンジなども両者の協議の中でできたことですので、恐竜も出張していますし、さらに総合的にあらゆる手段を使って強化してまいりたいと思います。具体的にどうやってということは、今の段階での話ではありませんが。
【記者】
国会で衆議院の選挙制度改革が行われており、定数を10削減する話に落ち着いているようですが、識者の中には、定数を増やすということも、ある意味、策としてあるのではないかという話もあるようです。知事は、参議院の選挙制度に関してはいろいろご発言されているかと思いますが、地方にとって望ましい衆議院の選挙制度というのはどういうものか、特に定数の部分でどうお考えでしょうか。
【知事】
参議院のことを申し上げておりますが、衆議院も単に人口比例といいますか、フランス革命でいう頭数という、シェイエスたちの考えをそのまま採るのは正しくないと私は思っています。ですから、それにあまりとらわれないことです。国会議員の皆さんも、国政の議論をされるとき、やはり根っこはそれぞれの地域にしっかりなければ、民主主義といいますか、代議員制度も形骸化し、いろいろなつまらないことが起こるわけです。どこかの代表であるような、ないようなというのは困るわけです。特にその前提として、さらに国土の強靱化といいますか、安定した、これは安全のためもそうですし、何かに対して弱い国土構造、人口構造になってはいけないわけです。今まさに人口問題を議論している中で、大都市の人口が増える傾向をそのまま追認したり、何の政策もとらない比例関係が大事だという考えは正しくないと私は思っています。衆議院だって同じだと思います。
【記者】
廃炉協定の関係で伺います。協定の中には地域振興ということが盛り込まれているのですが、廃炉事業が中・長期的とはいえ30年、40年後にはなくなってしまうということを考えると、その後の地域振興というのがどうあるべきかということを同時に考えなければならないと思います。原子力事業が完了した後に、原子力に依存しない地域づくりというのがまた必要かと思うのですが、そのあたりはどのように考えているのでしょうか。
【知事】
大分これから先の課題になりますね、何十年という。ですので、原子力については、これに過度に依存するということではなくて、嶺南地域では、今、農業とか水産業とかあらゆるいろいろなことを進めていますが、一方で廃炉を進めている工程の中で、原子力が稼働しているとは全く別の発想をとるべきではなくて、連続した形で地域がそれぞれ安定した発展をし、廃炉で更地になったときにその地域が何十年にわたって原子力に貢献してきた、その結果が報われるような形にしなければならない。そういう意味で、地域の振興とか発展政策を廃炉過程においても進めなければならないというのが我々の考えなのです。
【記者】
北陸新幹線について、先ほど、若狭ルートで京都駅経由が望ましい案の1つと仰ったのですが、JRの案を支持されるという受け止めでよろしいでしょうか。
【知事】
まだそういう意味ではありません。京都を通って大阪に行くのがいいだろうという意味で申し上げているのです。
【記者】
これまで亀岡を経由したルートというのも…。
【知事】
まだそこまで議論が進んでいないから、具体的に。できるだけ早く。
【記者】
検討委員会が3月から具体的なルートの絞り込みの作業に入るのですが、どのような議論を委員には求めたいと思いますか。
【知事】
若狭ルート。京都、大阪に早く行けるルートです。
【記者】
早期整備という観点ですか。
【知事】
早期に整備しなければならないし、新幹線が速く走るということです。大阪まで早く着くという意味ですよ。大阪から早く福井、あるいは北陸に来られるという、新幹線はそのために造るわけです。それがメインで、そこはずらすとおかしくなると思います。
―― 了 ――
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