知事記者会見の概要(平成19年2月9日(金))
平成19年2月9日(金)
10:30~11:40
県庁 特別会議室
【知事】 おはようございます。今日は、予算関係の記者会見ということで、お手元には、予算案の概要、主要事業、それから、行財政改革プランの概要の1枚紙を配らせていただいていますのでよろしくお願いします。
〔参考資料〕資料No.1 予算案の概要
まず、19年度予算の考え方ですが、19年度は年度当初に統一地方選挙が行われます。したがって、全く新たな政策に関する事業や、内容を大幅に見直すものについては、原則として選挙後の補正予算で対応するということで、6月の議会の事柄になると思います。 そのため、今回ご説明する19年度当初予算は継続的な事業が中心となり、約4,400億円の予算規模になります。県民の生産活動や生活を支える諸施策については、ほぼ計上しております。今回の当初予算は、いわば19年度の始動予算、一種、キックオフ的な予算になると思っています。
なお、以下に述べる事業については、新規事業や政策的な事業の性格を帯びていますが、事業の性質上、当初予算に計上することになりました。それを幾つかのカテゴリーに分けて申し上げます。
1つは、小人数学級の実現など、「福井元気宣言」に基づくプラン等により計画的に進めている事業、また、障害者の自立支援や放課後の学童保育など、福祉や教育の分野で国の制度改正を受け福井県としての対応が必要な事業、また、医師確保対策など県民生活に直接に関わり、4月当初から速やかに実施することが望ましい事業について当初予算に組んでおります。
また、新年度から直ちに実施し、準備を進める必要がある全国大会などの経費についても組んであります。
以下、今回の当初予算を中心に述べさせていただきます。なお、関連して、これからの考え的なものも補完的に申し上げる部分があると思います。
まず、当初予算案の概要(資料No.1)ですが、1ページに当初予算案の規模を示しておりまして、一般会計4,438億4,200万円余りです。特別会計、企業会計はそれぞれ194億円余、321億円余です。平成19年度当初予算規模は一般会計で4,438億円ということで、前年度対比で9.5%減、つまり90.5%となります。前回の統一選挙の際の予算と比較すると7.1%減だったと思います。
3つの会計全体では、昨年の当初予算と比較して8.9%減になります。4年前の15年度当初予算と比較すると9.8%減だったと思います。
それから、6月の補正予算というのがあり得るわけですが、地方財政計画の伸び率が0.0%ですし、最近の予算額から判断しますと、一般会計でおよそ350億円から400億円程度の追加的な補正といいますか、上積みがなされるというのは、一般的にはこれは新しい知事がすることになります。そんな想定が考えられると思います。
それから、行財政改革実行プランの推進状況(資料No.3)としては、基金つまり県の一般的な貯金の残高、借入金(地方債)への依存度(起債依存度)、それから、経常収支比率――経常収支比率というのは、財政硬直度、逆に言うと弾力度をあらわすもので、経常的な収入で経常的な経費をどれぐらい賄っているかということで、これが大きいほど政策的な経費が使えないということになるわけです。
こうしたいろんなプライマリーバランスなども、数値によって、上回ったほうがいいものと、下回ったほうがいいものがあるわけですが、いずれも目標数値を達成しております。
特に、基金の残高については、18年度における歳出の抑制や県税収入の伸びなどにより、19年度期首にはプランの目標を72億円上回る322億円の基金残高を確保しておりますが、今回の当初予算で60億円崩し、その結果、基金残高が262億円になります。プランでは165億円以上は確保ということですので、現状では97億円上回るということになると思います。
なお、今ほど申し上げました6月補正で、この中から幾らかの額を取り崩して6月の予算が計上されることになると思います。もちろん、ほかの財源もここに加わるということになります。
プライマリーバランスは、借入金の償還マイナス借入金ということで、借りた以上に返すということでなければいけないわけでして、それが黒字か赤字ということです。16年度以降、福井豪雨などの対策のために地方債の借り入れ、特に災害復旧は、緊急かつ大量の復旧事業をやらなければなりませんから、借り入れが増えましたので、プライマリーバランスの黒字が16、17、18年度と減っていましたが、福井豪雨の影響も少なくなりつつありますので、4年ぶりに反転をし、252億円とプラスのほうに向いています。
なお、19年度当初予算から、一般会計とは別に、特別に公債管理特別会計を設置しております。先ほどの予算の概要の資料の中の1ページに、公債管理会計として、863億円余りの数字が載っております。ちょっと技術的な、特殊な会計で、全国的にもこういうことを行っているわけです。
これは、今からさかのぼること10年前から、全国の都道府県はほとんど、借入金を10年で借りて10年で返すのではなく、20年で借り入れて10年でもう1回借り替える、半分は返して、残りをもう1回借り替えるという条件で県債を借りておりますので、19年度に10年目を迎えますと、残りの半分近くをもう1回借りかえる必要があり、金額が膨らみます。例えば200億円近くになると思いますが、(これを一般会計に)足しますと、公債の金額が急激に見かけ上増えたようになり、会計規模に誤解を生じますので、特別の会計を全国的に組んでおりまして、これを別に計上し、全体の動きがわかるように整理し直すということで特別会計を設けたものです。
それを一般会計にそのまま入れますと、規模が見かけ上すごく増えたり、また、来年になると減ったりということで、大きく変わりわかりにくいということです。35の都道府県がこのような方法をとっているということです。
次に、主な事業を資料No2に基づいてご説明します。
当初予算に計上した主な事業です。19年度においても引き続き取り組む必要がある事業については、当初予算において継続事業として計上しました。主なものには次のものがあります。
「元気な産業」については、「福井元気宣言」で掲げた失業率、有効求人倍率も目標を達成していますが、今年の1月5日に「ふるさと企業魅力発見フェア」を開催し、学生で900人ぐらいの参加をいただいております。この予算そのものは今回の当初予算には計上しておりませんが、補正の中でより工夫をして増やす必要があります。当初予算では、「ふくい雇用セミナー」などについては計上しているということです。
また、他の年齢層と比べると失業率が高い若年層の雇用促進や離職防止のために、19年度も「ジョブカフェ」の運営に約1億円を計上しております。1ページ、2ページにわたりまして、「ジョブカフェ」や「ふくい雇用セミナー」等の開催が書いてあります。
次に、農業の問題について申し上げます。
国の品目横断的経営安定対策の導入などにより、この4年間で農業を取り巻く環境は大きく変化しております。県内農業の競争力の強化は重要であり、国が17年10月に策定した「経営所得安定対策等大綱」に基づいて政策を進めておりますが、19年度においても、8ページの「生産組織高度化支援事業」や「農地集積実践事業」など、全体で約3億円の予算を使ってそうした施策を推進しております。
また、農作物の付加価値を高めるために、福井米の販路を拡大する「おいしい福井米の販売促進」や「イクヒカリの販売促進」なども引き続き進めなければならないと思っておりまして、5ページから6ページにかけて、お米や野菜などの予算を計上しております。
また、この4年間、女性や熟年農業者、生産者グループに注目し、新たな農林水産業の担い手として育成を図ってまいりましたが、19年度においても、女性や熟年農業者の新たな商品開発に助成する事業を進めていきます。例えば、7ページの「いきいき女性・熟年農業者支援事業」約2千万円、また、15ページの水産物の支援事業、「がんばる海業(うみぎょう)支援事業」などこういう方面の応援も引き続き行うということです。
次に、「元気な社会」について申し上げます。16ページです。
少子化対策ですが、福井県は17年の出生率が全国第2位ということで、「少子化社会白書」などに取り上げられておりますが、そこで「ふくい3人っ子応援プロジェクト」が取り上げられました。これは、3人以上子供のいる世帯の小学校就学までの医療費無料化、また3歳未満の子供の保育料無料化、一時預かりなど、3人以上の子供を持っておられる世帯の負担軽減を行うものです。19年度も事業を継続することとし、6億8千万円余りを書いてあります。今後さらに、新たな施策について、6月補正以降にいろいろな工夫を加える必要があると思います。
また、24ページですが、教育環境につきましては、「私立高等学校の魅力アップ推進事業」や「県立学校のリフレッシュ事業」などがありまして、特に県立学校の耐震工事、リフレッシュ工事については、この4年間に11学校、約30億円で改装等を行いました。また、私学教育につきましては16年度から魅力度アップをやっており、19年度もこれらの事業を継続するために当初予算で計上しています。
次に、「元気な県土」についてです。35ページの新幹線の関係です。新年度予算として国で昨年度と同額の30億円が計上されましたので、福井県の負担分として10億円を計上しております。これで総額81億円のうち70億円が計上されたことになり、平成20年度末の完成に向けて、福井市と連携を図りながら進めてまいります。
新幹線建設工事も見据えて進めてきた連続立体交差事業につきましては、17年4月にJR高架化が完成し、18年度末現在、事業比ベースで全体の約85%、490億円余りが完成しております。19年度の当初予算では、えちぜん鉄道の高架化を進めるため、えちぜん鉄道の車両基地整備の支援を行う「えちぜん鉄道高架化支援事業」約1億円を計上しております。
次に、舞鶴若狭自動車道ですが、同じく35ページに書いてあります。全体的な公共事業の状況を申し上げますと、当初予算では、公共事業費は前年度比70%を計上しており、493億円です。国庫補助金を伴わない県の単独事業については、前年度比50%、約48億円で計上しております。その中でも、完成予定を少しでも早く目指すための舞鶴若狭自動車道や中部縦貫自動車道については、当初予算で必要な予算を計上しております。これは用地買収などの経費が主でして、別に公共事業の中に直轄事業負担金という項目があり、7億8千万円を別に計上しておりますので補足します。
それから、足羽川の災害復旧事業について、51ページを見ていただきたいと思います。福井豪雨で被災した河川・道路の公共施設はほぼ復旧が完了しました。足羽川の激甚災害対策特別緊急事業、いわゆる激特事業については、来年20年度完成に向け、日野川と足羽川の合流点から上流の板垣橋までの延長6kmで掘削工事を進めております。現在、右岸、左岸とも、九十九橋までの3.2kmの掘削が完了し、今年度末までにJRの下流地点まで掘削が完了します。掘削予定の80万立方メートルの土砂のうち、約75%がこれで完了します。また、木田橋及び泉橋の架け替えのための橋台、橋脚の設置工事も今、順調に進んでいるところです。
次に、エネルギー研究開発拠点化計画についてです。33ページです。
昨年11月に策定した19年度の推進方針に基づき、国、事業者、大学などと連携して事業を進めるため、当初予算で約10億円を計上しております。
次に、「元気な県政」について申し上げます。
まず、38ページから41ページあたりに載っておりますが、『ビジット“ふくい”』、観光についてです。19年度も本県への観光客誘致を進めるために、「『ビジット“ふくい”』観光客誘致拡大事業」として2,500万円余り、民宿の魅力づくりに173万円、また、「地域ブランド創造活動推進事業」に4,062万円などを当初予算に計上しており、総合的に進めていきたいと思います。
以上が、まず第1の項目の継続的に進めるタイプの事業です。
次に、新規事業などの主なものを申し上げます。
1つ目は、県民生活に密接に関わる新規的な事業の説明をします。
18ページの一番上に新と書いてある「放課後子どもクラブ応援事業」です。
小学生、特に低学年の放課後の安全な居場所や充実した子供たちの活動場所の確保は重要な課題です。現在、厚生労働省の「放課後児童クラブ」、文部科学省の「地域子ども教室」がこのようなサービスをそれぞれの立場で行っていますが、考え方や実際の活動時間などが異なるわけです。
19年度から国の制度が改正され、文部科学省の「地域子ども教室」が、従来は特定の日に限られていましたが、日曜日を除き、月曜日から土曜日まで毎日開くことができるようになりました。厚生労働省の「放課後児童クラブ」がどちらかといいますと小学生向けの保育園みたいなタイプの事業になっているわけですが、両方似ている部分が出てきましたので、これからは、国の補助事業の枠にとらわれずに、融合した事業を県独自でやる必要があるだろうということで、これを「放課後子どもクラブ応援事業」という名前にして、総合的に運営することになりました。当初予算で3億1千万円余りを計上し、市や町の事業を含めますと、全体では2倍の6億1千万円余りになると思います。
運営に当たりましては、学校区ごとに、「地域・学校協議会」という制度をつくって、地域の実情に合った活動内容やボランティアなどを充実するということで、これから市や町と取り組むことになります。この「放課後子どもクラブ」は、応用面で県が自主的に工夫をするもので、全国のリーディングケースにしたいと考えております。
場所も、児童館や学校の空き教室の利用、公民館や場合によってはお寺と、いろんなことがあると思いますが、総合的に全体をみんなで、地域でまとめて議論をし、結果がいいものになるようにというやり方を、縦割りをなくしてやってはどうかということです。
なお、地域のニーズに合わせた開設時間の延長とか県独自でさらに支援策を加えるものについては6月以降の議論に加えることになると思っております。今回は、基本的な方向をまず出そうということです。
次に23ページですが、これは学校教育そのものの話です。「元気福井っ子笑顔プラン」、いわゆる30人学級編制です。
30人学級編制は、「福井元気宣言」に掲げた大きなプロジェクトで、19年4月の新学期に全システムが予定どおり完成するということで計上しています。
小人数学級編制のため、県独自で教員を配置してきましたけれども、19年度は、さらに54人の教員を増員し、配置教員は4年間で192人となります。特に小中学生については、生活指導、ティーム・ティーチングのため、複数の先生といいますか指導者による指導ということで、平成19年度は学級数に応じて267人の少人数指導教員を配置します。これは生徒1千人当たりの配置数では、全国比較は他府県の統計がわかりませんが、北陸3県で一番多い状況です。また、100人の非常勤講師を配置するということで、当初予算では、これら全体で15億円余りを計上することになっております。
このようなことで、中学1年では、現在の32人学級が文字どおり30人学級になると思います。現在、その詳細な成果を教育委員会で検証中ですが、これを踏まえ、本県の教育、学校生活の質をさらに高めるための施策を、今後さらに検討し、6月以降の議論にまた加えることになると思います。
次に、スクールカウンセラーの指導などの問題で、24ページです。きめ細やかな教育ということになります。
いじめ・不登校問題などは専門家のアドバイスが大事であり、13年度から中学校に臨床心理士、精神科医などをスクールカウンセラーとして配置しております。19年度の新学期からは新たに5校に配置し、これにより県内の76の全中学校にスクールカウンセラーの配置を終了するということで、当初予算にはこれに要する経費8,200万円余りを計上しております。これによって、すべての中学校で生徒や保護者が週2回カウンセリングを受けることが可能となります。17年度の実績では延べ1万9千件を超える相談があり、その約3分の1が不登校などに関する相談のようです。
なお、スクールカウンセラーのほかに別の系統として、児童・生徒の相談相手として、小中学生に大学生を「心のパートナー」として派遣しており、また、小学校14校には、「子どもと親の相談員」も配置しております。
このように、いろいろな対策が講じられた結果、15年度から、いじめは統計上の件数も減少傾向にあるということです。
1月22日に、「いじめ対策協議会」での検討に基づきまして、手引をつくり、教職員に配付していますが、家庭にもこういう事例を提示することになると思います。
また、2月7日から、いじめに関する相談を、夜間、休日を含め24時間体制で受付、相談する電話相談事業を始めているところです。
次に、少し年齢が上がりますが、公立大学法人、福井県立大学の話です。
25ページの一番下ですが、19年4月には県立大学が公立大学法人として再スタートしますので、カリキュラムの編成、研究の推進など、具体的な運営について進める必要があります。
県は毎年、運営に要する経費を運営交付金として交付しますが、大学は交付金のほかにも、企業から研究を受託したり、県民から求められる新たな講座を設置し、収入を増やすことも可能になるわけで、大学が工夫しながら、県民や企業のニーズに応えて大学運営をすることになるかと思います。運営交付金は25億円余りになります。
次に、治安の回復について申し上げます。47ページです。
交番機能の強化についてです。治安・安全がこの4年間で大きく回復し、今後は、県民が安全で安心だという実感をしていただくことが必要です。特に、昨年9月補正で計上した、警察官が自転車などで住宅街、通学路を巡回する「ポリス・スタンバイ作戦」は、見える警察という効果をねらったわけです。
平成19年度は、国による地方警察官の増員に伴い、本県の警察官が10名増員され、合計で1,642人になります。人口当たりの警察官数は、東京、大阪、福岡など都市圏の都府県を除きますと全国2位だそうです。大都市を除いて一番多いのは山口県だそうで、福井県は2番目ということになります。全都道府県では7位だそうです。一番多いのは、警視庁が断然多いのですが、あと大阪、京都、兵庫、福岡などが続いているということです。
警察官が街頭パトロールに出ることができるように、さらに、交番での道案内を行う相談員を9名増員し、県内39カ所の交番全てに配置できると思います。
次に、医療の問題を申し上げます。26ページに書いてありますが、医師確保が最近、課題になっております。本県では、平均的に医師が不足するという厳しい状況ではないのですが、個別の診療科目や、また実態的には医師の確保が問題になっております。したがって、国家試験に合格してから3年目以降の後期研修医に、国内外で6か月間の研究機会を提供し、研修後2年間、県内の病院に勤務してもらう制度をつくります。このことによって、医師が県内に一定期間とどまっていただけるということです。
また、今後、女性医師が増加することが予想されますので、女性医師の働きやすい環境を整える必要があります。このため、19年度から、育児を行う女性医師、看護職員のために、病院内に保育所を設置する医療機関に対して支援を行い、24時間保育も支援対象としたいと考えております。現在、福井県内に男性のお医者さんが1,504人、女性が248人おられるようで、特に20代の女性のお医者さんが大体70人ぐらいおられるということです。
さらに、地元出身の医師を地元で育てるために、福井大学医学部に、20年度新入生から本県出身学生を対象とする推薦入学枠を設定してもらうように働きかけております。また、嶺南地域の医師確保のために新しい奨学制度を設けておりまして、民間とも連携しながら医師確保に努めてまいりたいと思います。これは、1年間に5人に奨学金を貸与する制度になると思っております。
次に、障害者の問題について申し上げます。これは28ページにあります。
障害者制度については、最近、国の制度が頻繁に制度変更し、地方としてはいろいろ問題点を意識しているわけです。18年4月に障害者の地域就労を支援する自立支援法が施行され、所得が一定限度ある障害者に、食費などの負担やサービス利用に対する1割負担が導入されました。こうした負担が過重になるという問題もあり、知事会においても負担軽減の提言を行ったところです。
こうしたこともあり、国は19年度から新たな支援措置を講じて、そうした問題の改善が図られることになりました。具体的には、通所・在宅の障害者について自己負担の引き下げ、授産施設の工賃の控除額の引き上げ、また福祉施設のサービス利用収入の減少を補てんする制度などが設けられておりまして、そのための県の予算を書いてあります。
今後、本年度の2月補正が行われますが、そこに約10億円の財源を計上し、今申し上げた事業などを19年度事業としてフォローしていくという制度になります。
次に、11ページの「農地・水・環境保全対策向上事業」です。これは農業水利や里地里山等々、地域の水環境などの事業を応援するものです。地域で協議会を設けながら、これに対して支援をするということで、市町村と連携して組織をつくり、農地の維持あるいは環境農業などを進めるというタイプのものです。品目横断の生産対策とこうした農村対策が表裏一体となって進められており、ここに約3億円余りの予算が計上されております。
次に、まちづくり関係で、44ページです。
県民ホールの開館の問題です。福井駅東口で建設されております手寄地区再開発ビルが3月末に完成し、消費生活センターや放送大学など、現在中央公園の県民会館にある機能が再開発ビルの中に移転するとともに、4月19日には8階に県民ホールがオープンします。ホールはホワイエ、ロビーのほか、附属施設としてリハーサル室などの楽屋を備え、演劇・各種講演などに対応でき、中心市街地のにぎわいづくりに寄与するものと思います。4月19日のオープンから4日間、開館記念事業として公演が行われる予定であり、一般公募の県民による発表会も行われる予定で、そのための予算が1,700万円計上されております。
それから、福井駅西口地下駐車場についてです。本年秋には、12年度から進めている西口の地下駐車場が完成し、中心市街地の渋滞の緩和、利便性の向上に役立つものと考えております。この駐車場の管理運営には指定管理者制度を導入することとしており、そのための予算を計上しました。民間事業者の創意工夫、利用者のニーズに合ったサービスが提供されることを期待しております。
なお、これは数年間契約をすることになりますので、本年分だけではなくて、来年以降分も含めた債務負担行為を計上することになります。それをもとに入札をして、適正にしかるべき事業者に管理を委託することになると思います。
新しいタイプの2番目ですが、全国大会等の開催について申し上げます。
19年度は、6月9日、10日に第2回食育推進全国大会、7月上旬には第43回献血運動推進全国大会、9月には第8回健康日本21全国大会を開催する予定です。また、21年春には植樹祭が開催されることになり、7月には実行委員会を設立することになります。こうした予算はずっと継続して準備をしておかないと間に合いませんので、新しいものではありますが、当初予算で計上しております。
食育推進全国大会ですが、昨年は大阪でありまして、今回、第2回目ということです。食の福井ということを全国に訴える必要があります。25ページに資料がありますが、具体的な内容は今後詰めていくことになっております。
献血運動推進全国大会は、昭和40年から開催されております。福井県は献血が盛んといいますか、貢献をしていただける方が多い県ですが、一方で若い人の協力が割合少ないので、そういったことを踏まえながらやりたいと思っております。
健康日本21全国大会については、9月ごろに予定されているということです。
また、第60回の全国植樹祭が、2年後に迫ってまいりました。前回は昭和37年に開かれておりまして、47年ぶりの開催ということになります。昨年は基本構想検討委員会を設置し、年末には基本構想を策定したところですが、19年度には実行委員会を設置して、具体的な準備に取りかかることになります。
事業の内容の具体化は6月補正予算以降になりますが、当初予算では、式典会場の調査設計、植樹用の苗木の育成費用、また開催テーマを受けたシンボルマークの募集など、今からやっておかなければならないものが載っております。13ページに、4,300万円の予算を書いております。
それから、大会ではありませんが、連続テレビ小説連携推進事業です。先日申し上げましたが、本年10月からのNHK連続テレビ小説の舞台が福井県に決まりました。3月にもヒロインが決まり、6月には県内でのロケも行われるということですので、ドラマと連携して福井県を全国に知っていただく重要な機会です。早いうちからさまざまな団体がいろんな意味で協力したりPRをしたりすることが必要だと思いますので、当初予算ではこの準備のための経費を、38ページに書いてありますが、連携推進事業ということで計上し、具体的な事業準備については6月補正になることが想定されます。
以上、継続的に行うもの、新規として行われるもの、また、これに関連して6月以降の対応が必要なものについて、補足的に申し上げたところです。
現在は、景気が回復基調にあり、失業率が全国一低いわけですし、犯罪の発生件数も減少するとともに、子供の出生率も増加し、平均寿命も全国最高の水準にあるということで、活力の回復傾向が出ていると思います。
そうしたことを踏まえますと、今後の課題としては、県民がこのような活力回復の成果を受けながら、より実感できるといいますか、より高いものを目指すという暮らし・生活の質を高める施策に重点を置くのが重要かなと思っております。
具体的には、先ほど幾つか申し上げましたが、少子化対策、子育てサービス、教育内容の充実、また治安回復を治安の向上までレベルアップする施策の展開、あるいは地場産業、これはいろいろ課題がありまして、振興、またサポートも要りますし、次世代産業の育成も重要です。さらに雇用についても、非正社員の雇用環境の改善などを今まさになすべきところでして、雇用面の質の向上も重要です。
さらには、農林水産業について、地域の特色に合った展開も必要であり、こういうものについて進めなければならないというふうに、今、課題としては想定されるわけです。今後、国と地方の役割分担を明確にしながら、地方分権の確立を目指し、またこうした施策を進めることが重要です。
そして、福井県と全国のつながりの強化が必要であり、新幹線あるいは高速道路の整備など、高速ネットワークの完成も不可欠だと思っております。そういうことで、今回、当初予算を計上したところでございますが、よろしくお願い申し上げます。
【記者】 今回の予算は、4年に1回の選挙を控えた年ということで、骨格予算ではあるんですけども、知事として、特に今回、当初予算を組むに当たってご苦労なさった点と、特にこういう点を工夫したというところがありましたら教えていただけますでしょうか。
【知事】 継続予算が中心ですが、しかし、予算の規模は4,400億円あるわけで、継続的に県民生活を支えていく事業がほぼ計上されております。
選挙後の補正予算で本格的なスタートが切れるような対応に予算を組んだつもりです。
特に気をつけたことは、今回はいわゆるキックオフといいますか、俗に言う骨格予算であり、新たな政策に関する事業内容を大幅に見直すものについては選挙後の補正予算で対応することが必要ですが、これが円滑にいくように気をつけたつもりです。
そのような中でも、特に19年度は、障害者支援費制度や学童保育、あるいは農業経営安定など、国の制度改革が多くありますので、これらについては対応が遅れないよう、漏れなく当初予算で計上しました。しかし、これにはいろいろ加工を加えたり、福井なりにものをやる必要があり、また、フォローが要ると思いますので、それはさらに6月補正予算以降になされるものと思います。
また、小人数学級とか医師確保などについては速やかに間を置かずにやる必要がありますので、新規事業でしたが、計上するのが望ましいだろうと思ったものです。
なお、新幹線、高速道路などについては切れ目がないように組んだものです。
今回、骨格的な予算ではありますが、特に「放課後子どもクラブ」、これは県が国の制度にとらわれず自主的な工夫ができるというメッセージをまず送って、これから市や町と県、地域の皆さん、あるいは保護者の方と相談しながら進めていく、その中で、また具体的なものをつけ加えていくということで当初予算に明らかにしたわけです。
それと、今申し上げましたように、今後の課題については幾つか、暮らしの質、生活の質のための課題があるだろうということです。
【記者】 北陸新幹線の関連ですけども、LRT化に伴って、高架化部分の工事費が一部減るようですが、LRTを新たに導入することで80億円ぐらいの予算が新たにかかるということですが、今回の当初予算にはLRTに関しては盛り込まれていないのですか。
【知事】 これから福井市にも深くかかわりますし、関係の市町にも関係しますが、高架事業の一環としてLRTが位置づけられないかとか、あるいは、今、LRT化について、国交省の主に都市整備関係のセクションが応援をしようという気持ちも動いておりますので、そういうのをどう具体化し、そして可能かということを詰めていくということになります。
もちろんその前提として、勝山線を高架、三国線をLRT化することが技術的に可能かについて、今、協議をしている最中であり、できるだけ早く結論を出して、今おっしゃられた内容についても見通しを持つということです。
【記者】 税源移譲で自主財源比率がこれまでよりも6ポイント上がったかと思うのですが、実際に比率が高まったことで予算編成上、何か影響はありましたでしょうか。
【知事】 基本的にそういう面はあるのですが、一方で、全体的に歳出削減とか、財政規模を縮小する動きの中での歳入あるいは税源の見直しです。形式的にはそういう部分もあるんですが、実態はかなり、県はもとより、市、町も厳しい中にありますので、これからの2期改革の中で、お金がしっかりないと、形式的な議論を進めてもあまり実態の伴わない話になりますので、そこを大事にしながら、地方団体の財政が貧弱にならないようにする努力が要ると思っております。
【総務部長】 税と交付税はもともと一般財源ですから、使い勝手のところはそんな違ってないでしょうけれど。やはり税の比重が上がりますと、今回もそうですけれども、法人関係税の伸びというのが税の部分で大半を占めていますので、企業誘致も含めて、今回は骨格ですから、内容的には必要な融資とかも全部載っていますけども、産業をより活性化していくということを引き続き考えていかないと、交付税でやっているときよりも自分でやっていくべき部分というのはより大きくなってきているなという感じはしますね。
【記者】 今回、税収では1千億円の県税が入ってきていますし、行財政改革実行プランのほうも達成状況としては全部目標をクリアしているということですが、今の状況をどれぐらい財政再建という意味合いで達成しているとお考えなんでしょうか。
【知事】 悪くはなっていないと思いますけれども、なお借入金の額は多いわけです。この15年余りの中で借入金はおそらく2倍強になっていると思います。これは、ほとんどが景気対策として国と一緒に公共事業を進めた結果で、公共事業を中心に投資をし、何としても景気回復を図りたいということで進めてきたものです。そういうこともあって、今、景気が回復基調にありますが、なお税金のリターンといいますか、戻りというのは、ようやく今、少しずつ、本年度ぐらいから1千億円という大台に乗るということで、上昇基調にありますが、まだまだ過去に投資したものが返っているとは思いませんので、全然楽観は許されない部分です。したがって、できるだけ体質を身軽にしながら、景気も高めなければなりませんし、長期的な借入金も返済していくことが重要だと思います。
プライマリーバランスの面から見ると、日々悪いほうには行っていないということですね。徐々に、年数がたつと、よい方向に向かっている傾向にあるというのは事実ですね。
【記者】 6月補正予算で、350億円から400億円の上積みが可能とあるんですけれども、この点、前回のときと比べて、景気も回復する中で、知事としては新たな政策に充てる予算的なものをかなり残せたとお考えですか。
【知事】 6月補正予算は主に政策的なスケールの予算でしょうから、一定の金額はそこに、次の知事が行う場合の予算はあるような状態になっているということです。
【記者】 それは、当然、新しいマニフェスト等に基づく新規事業が中心になってくるということですか。
【知事】 マニフェストに基づく新規事業になるか、いろいろあると思いますが、新しい次の4年間の事業としてセットは可能かなという状態だと思います。
【記者】 これまで4年間の西川県政を見てきましたけれども、振り返りまして、主に力を入れてきたものと、それから積み上げてきたものを総括しますと、どういうふうに表現できますでしょうか。
【知事】 マニフェストの4年間については、昨年末に概略の成果について報告しましたし、また、年度末までには、最終的な4年間の成果や、あるいは、いろんな課題も出ることになると思います。
4年間の前半から後半にかけては、経済対策といいますか、産業政策が非常に大きなウエートを占めていたと思います。雇用面や新しい産学官連携とか企業面、あるいは企業誘致ということで、いかに成果があらわれるかというのが大きな課題だったと思いますね。これは、予算を計上したから必ずしも成果があらわれるわけではなくて、民間の皆さんの活動によって決まるわけで、なかなか難しい政策の状況だったかなと思うんですね。
後半になりますと、今度は、この1年あまり近くは逆に教育とか子育てに、非常に国民や県民の関心も向いてきたと。幸いにして、いろんな政策を進めておりますので、大きな事件や事故、トラブルはないわけですし、全国的にもいろんな計数はよい位置にあると思いますから、これをさらに強めていくというのが次の課題かなと思っております。
【記者】 それらを踏まえて次のステップにつなげていくのでしょうが、今回の予算は骨格ですけれども、どういった方向づけと言える予算なんでしょうか。
【知事】 やっぱり政策のレベルを1つ上げないといけないということですね。レベルアップ、次の段階にですね。そういう予算でなければならないだろうということでして、またそれによって県民の暮らしのレベルの上昇につながることになると思うんです。
【記者】 今回、事業の中で障害者の自立という話が出てくるんですけど、障害者自立支援法が出てきたりして、知事は、障害者の自立ということはどういうことかという認識があったら聞かせていただけたらと思います。
【知事】 これから全体的に、障害者の方もともかくすべて、自立とか自主というのが基本的に必要だと思うんですね。地域もそうですし。障害といいましてもいろいろ程度がありまして、いろんなハンディを負っている方もおられますから、全体としてこれを広く見ながら物事を進める必要があると思っております。かつ、これは所得的な政策や雇用政策もありますし、まちづくりとか、それから、ちっちゃいお子さんから高齢者までいろんな事柄を全体として進める時期にだんだんなってきておりまして、それがやはり生活の質になるんじゃないかと思うんです。
【記者】 えちぜん鉄道のLRT化なんですが、幸橋の完成が半年早まることに伴って、福井鉄道、えちぜん鉄道の相互乗り入れ試験も早めることになるのかということと、一方で、福井市のほうでは三国線の延伸に向けて市長は意欲を示していますし、先日、知事も富山でLRTを視察されたと思うんですが、その辺を含めて知事のお考えをお聞きしたい。
【知事】 えちぜん鉄道、福井鉄道の相互乗り入れは方向としては望ましいと思いますし、また、幸橋も幸いにして整備の方向が早まるわけですので、そういう議論をする制約が少なくなりますから、より議論は進むと思います。何といっても福井市がいろいろお考えになる部分もまちづくりとしてありますから、今そういう方向で物事が動いているというふうに考えております。
あと、お金の問題とか、それぞれの鉄道会社の経営の問題などにかかわるわけですので、そういうものを技術的に詰めないと。頭で「ああ、これはいいな」と思っても、実行できないといけませんから。
【記者】 なかなかきっちりと言いにくい感じなんですか。
【知事】 いろんなロマンチックな考えはあっても、それをリアルに実行できないといけませんから。それはこれから急いで実務的に詰めていくということですね。
【記者】 昨日、中心市街地の活性化懇話会の答申があって、鯖江市へのイオン出店の話が出たと思うんですけども、今年度中にガイドラインをつくるわけなんですけど、鯖江の件については、今のところ、どのようにお考えになっているのですか。
【知事】 具体的な事柄ですからちょっと。それこそ自主自立で、鯖江市がしっかりしたお考えを持っていないと、我々も、あるいは周りの町も議論しにくいでしょう。地元の議論ですね、地元の産業界あるいは行政の議論、それから、3つの市が連担しておりますから、その議論などを進めていくと同時に、我々は、それぞれまちづくりを見ながら広域的な観点、都市計画というのは広域的な問題ですから、それを見て対応していくということになります。全体的な動きとしては、確実なああいうレポート、また、鯖江市自体もいろんな会議所のレポートが出ておりますし、そういうものの動き、また、越前市や福井市の議会等の条例の議論などもありますから、そうした中で議論を全体として一緒になって進めていくことですね。バラバラにしてはいけないと思います。まず、みんなが自分のこととして取り組んでいく、そして、連携もするということだと思います。
【記者】 北陸新幹線のことで伺いたいのですが、経済界などから、特にスキーム見直しの期待感が高まっているということで、福井側から延伸という声もいろんな会合でおっしゃられる方がいらっしゃるんですけれども、実際、今、国のほうの議論の中でもそういうことが果たしてどれぐらい可能なのかどうかと、あと、そういうことも含めて新幹線の延伸に向けた運動への取り組みについて改めてどのようにお考えなんでしょうか。
【知事】 いずれにしても、本年中にスキーム見直しの見通しは早く立てないといけませんから、それをした上の話ですね。
【記者】 今年、参議院選挙がありますけれども、前回のスキームの見直しなんかも6月ぐらいに自民党内部で議論が始まって、年末には実際スキーム見直しという流れがあると、1つ考えられるんですけれども、知事としては、その辺のところはどうお考えですか。
【知事】 そうですね、早い時期にいろんな作業が開始されるようにしないといけないですね。いろいろな作業と準備段階があると思いますから、まず、着手することが大事です。いろんな方に働きかけていくし、国会の先生方にも特に頑張ってもらわないと。国のプロジェクトですから。そんなふうに思います。
【記者】 時期的には何月ぐらいが?
【知事】 ちょっとまだわかりません。これからです。
【記者】 例えば6月とか?なかなか言いにくいと思うんですけど。
【知事】 わからないから言えないんです。いろんな政治課題がありますから。その前にいろんな議論をするのが政治の役割ですよね。できるだけ早いほうがいいと思いますけど。
【記者】 先ほど、まだまだ過去に投資したものが返ってこなくて、楽観できないとおっしゃられたんですけれども、いつごろぐらいに過去に投資したものが返ってくると見込まれていますか。
【知事】 これは、景気の回復とか、10年以上かけて支出しているわけですから、それが数年で返るとも思いません。その期間の中で循環するわけですので。経済の動きというのは速いと思いますので、できるだけ、10年以上かけたものがそれ以内の中でもっと早くというのが普通の議論かと思うんですね、財政議論としては。そして、我々も身をスリムにしていく。
【記者】 県債発行残高がある一定規模まで減ればよいということですか。
【知事】 それは大事ですね。公共セクターが多くの負担をして民間セクターを応援し身軽にしたというのが日本の経済というか、財政あるいは政治ですから。それをもう1回、もとの状態に戻すといいますか、新しい段階にしなきゃいけない流れなわけです。
【記者】 県債発行残高がある一定規模になれば、やっと積極的な財政運営ができるということですか。
【知事】 その見通しということでしょうね。それは国もほぼ似た状況にあります。
【記者】 幾らぐらいになったら?
【知事】 これだということは、今、誰もわからないんじゃないかと思います。
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