知事記者会見の概要(令和元年6月27日(金))

最終更新日 2019年8月9日ページID 041743

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令和元年6月27日(木曜日)
10:30~12:00
県庁 特別会議室

知事190627

  

【知事】 

 皆さん、おはようございます。それでは、定例記者会見を始めさせていただきます。

 最初に、聖成県警察本部長とともに「安全・安心ふくいプログラム2019-2020」の発表をさせていただきます。

〔資料:安全・安心ふくいプログラム 2019-2020 概要版全体版

 今、県内の刑法犯の認知件数は3,197件で、16年連続で減少しており、戦後最少を更新しています。一方で、その刑法犯の認知件数の減少幅は急速に小さくなっておりますし、また、子どもや女性に向けた犯罪といったものも減らない状況です。また、お年寄りを狙った特殊詐欺につきましても、件数は相当減りましたが、まだ被害金額は1億円を超える状況が続いています。また、最近、お年寄りによるいろんな交通事故も全国的に起きており、そうした運転上の注意も必要になっていまして、これらは県内でも同様の状況になっています。ですから、今回も引き続き、県も県公安委員会、県警察とともに、県民の皆さんの安全と安心を守っていくということを、これからの2年間に行っていくため、このプログラムを一緒につくらせていただきました。

 それでは、私から、県として取り組む内容について、3点説明いたします。

 まず1点目は、「子ども・女性・高齢者を犯罪から守る」ということです。県では、通学路の危険箇所の点検、また、地域の皆さんにもご協力いたただき、安全マップを作成したいと思います。内容によっては、子どもたちも学校でつくることによって、自分たちで、「あ、ここは危ない、気をつけよう、もしもの時にはここに駆け込もう」といった意識づけにもなりますので、安全マップをつくっていくという取り組みは非常に効果的だと思っています。

 また、いろんなところへの防犯カメラの設置も進んできていますが、最近は自動車に設置されたドライブレコーダーが交通事故だけではなく、いろんな映像を捉えているということがあります。ですから、協力者を募りまして、県内全域でこれを防犯に活かしていこうということです。例えば、自動車にステッカーを貼ることで、罪を犯そうと思っている人が、「あ、どこでも見られているな」と考えることにより犯罪を抑止する、そういう効果も大きいと思っています。

 また、児童虐待の問題も全国各地で起きています。これにつきましては、児童相談所で通告を受けた場合、48時間以内に安全確認を行うことを国が定めていますが、本県では24時間以内としております。

 それから、DVと性暴力事案に対しまして、県だけでなく民間の済生会病院で性暴力救済センター「ひなぎく」が取り組みをしております。こういう取り組みにより、24時間365日の体制を敷いて、相談に応じていきたいと思っています。

 2点目は、「犯罪の起きにくい社会をつくる」ということです。先ほども申し上げましたが、県内の防犯カメラの設置については、各地域からの要請もございますし、地域で運用していただけるというようなところには、市や町に設置の支援を行っていきたいと思っています。また、各地域でSNSやメールなどにより、何か起きた時の情報発信を行っております。こういったこともできるだけ広げていきたいと思っています。

 3点目は、「交通事故から県民を守る」ということです。例えば、県内でもレジ袋の有料化が進んでいますので、皆さんお持ちのエコバッグに反射材をつけるということも非常に効果的だと思っています。

 また、5月8日に大津市で発生した保育園児が犠牲となった悲惨な事故、こういったことが起きるといけません。こういったことは、本当にその時の注意も必要ですが、日頃からどのような危険があるのかということの確認を関係機関と連携をしながら行っていきたいと思っています。

 また、高齢者による交通事故が多発しています。例えば、県内では昨年、高齢運転者の方が関係した死亡事故が全体の4割以上になっています。そのため、運転に不安のある高齢者の皆さんに運転免許証を返納していただくということを推奨しています。私の父も以前、非常に運転が危なかった時があり、なかなか難しい問題だと思います。最後は運転免許証を取り上げるぐらいになりました。そういった家族の中でもトラブルはあるわけですが、そういった中で、まず1つは運転免許証の返納を促すということを引き続き行っていきます。その上で、例えば昼間の天気のいい時しか運転しない、行き先は決まった場所だけにするなどの宣言をしていただくことを高齢者の皆さんに促して、交通事故の起きにくい状況にしていきたいと思います。

 また、本来であればブレーキを踏むところでアクセルを急に踏もうとした場合、急発進、急加速しなくなる後付けの安全装置があります。こういったものに対する助成も行いながら、今申し上げたような限定運転宣言を促していく方法も行っていきたいと思っています。

 県からは以上でございます。

 

【県警察本部長】  

 それでは、続きまして、警察本部から説明いたします。

 ただいま、杉本知事から本プログラムの策定の趣旨、現在の治安情勢、それからプログラムの重点についてお話がございました。

 県警察としましても、子どもを犯罪や交通事故から守るための施策において関係機関との連携が非常に重要であると考えています。通学路の重点的な警戒やパトロール、それから児童相談所との緊密な連携、あるいは悲惨な交通死亡事故を防ぐための関係機関との連携について積極的に取り組み、子どもの安全対策を強力に推進していきます。

 このほか、県警察の取り組みにつきまして、重点事項を説明いたします。

 まず、「子ども・女性・高齢者を犯罪から守る」という点につきまして、2点ございます。

 1点目は、女性をストーカー、DV事案から守るため、被害者の安全確保を最優先し、行為者の検挙、禁止命令等の行政措置、被害者保護対策を徹底いたします。

 2点目は、特殊詐欺につきまして、金融機関等との連携により被害の阻止対策を推進するとともに、いわゆる「だまされた振り作戦」により取締まりを強化し、犯行グループの壊滅を目指します。

 続いて、「犯罪の起きにくい社会をつくる」という点ですが、犯罪情報等の地域安全情報をメール等の媒体を通じて地域住民に迅速に提供いたします。また、地域住民、民間事業者が行う防犯活動を支援し、犯罪が起きにくい社会を目指していきます。

 続いて、「交通事故から県民を守る」という点ですが、県民が強い不安を感じるあおり運転等の、悪質・危険・迷惑性の高い違反に重点を置いた指導、取締まりを推進いたします。

 最後に、高齢運転者による事故防止対策についてですが、県では、法定の高齢者講習とは別に、ドライブレコーダーや実車を活用した、個々のドライバーの特性を踏まえた安全運転講習を行っています。また、運転適性についての相談の充実や、運転免許証を自主返納される方の利便性に配慮した行政手続を推進いたします。

 県警察では、今後とも、県民の皆様をはじめ、県、県公安委員会、関係機関・団体と力を合わせて、安全で安心して暮らせる福井県を実現するために全力を尽くしていきたいと考えています。

 私からは以上です。

 

【知事】  

 それでは、引き続き、私から発表を続けさせていただきます。

 次に、令和元年度6月補正予算案について、概要の説明をいたします。

〔資料:予算案の概要予算案主要事業予算案発表要旨

 6月補正予算案のポイントは、資料に記載している、「北陸新幹線開業・新高速交通時代に向け、交流を拡大」、「農林水産業をブランドアップし、経済・産業を活性化」、「一人ひとりのチャレンジを応援し、福井の担い手を育成」、「安全・安心の暮らしを実現」、そして「行政チェンジ」、私が選挙戦の中でお約束をしてきたことを中心に、今回予算を編成いたしました。

 結果として、6月補正予算の規模は309億円となり、6月補正予算を加えた現計予算は4,942億円となりました。後ほど説明いたしますが、国土の強靱化、防災・減災に大変力を入れています。また、前年度の2月補正予算は、今年度に入ってからの事業の執行となりますので、年度内の事業進捗といった全体の予算規模で見ますと5,000億円を超えているということです。

 最近の比較は配付資料のグラフに記載しています。また、6月補正予算の中の公共事業の比較や2月補正を含めた比較も記載しています。記者の皆さんから最初に質問が出ると予想されますので申し上げますが、今回の予算は一言で言えば「新時代県政スタート予算」と思っています。

 それでは、私から今回の予算のポイントとなるところを説明いたします。

 まず、北陸新幹線開業スタートアップ事業についてです。現在、ハード整備については既に計画もできて進んでいますが、ソフトを中心にどう盛り上げていくかという意味で、開業対策加速化プラン(仮称)を策定します。このプランにより、受け入れるソフト面の計画も加速化していきたいと思っていますし、その1つとして、アイデアを県民の皆さんから募集するとともに、民間の皆さんで行ってみようということも募集し、それに補助をしていきます。また、情報発信の方法も非常に増えています。SNS、YouTubeなどいろいろありますが、これらを活用していきたいと思っています。

 それから、インバウンド対策として、キャッシュレス、免税、Wi-Fi環境の整備を進めていきます。これは、インバウンドが少ないから進まないということではなく、私もキャッシュレスをしていますが、県民の皆さんにとっても非常に便利ですし、働き方改革にもなっていくと思います。さらに、若い人たちはWi-Fi環境のあるところに集まってゲームや動画を見たりしていますので、こういった環境は社会基盤として整備をしていこうと思っています。

 次は、並行在来線準備会社出資事業についてです。石川県や富山県などの例では、開業3年前となる来年に第三セクター会社を設立しています。しかし、県内にはえちぜん鉄道や福井鉄道もあり、運転士の需給バランスが崩れるということがありますので、少しでも早くそういったことを始めて、需給バランスの平準化を図る必要があります。そのため、本年の8月に準備会社を設立する予定とし、今回は出資金5億円のうち、3億5千万円を負担します。

 次は、恐竜博物館機能強化検討事業についてです。恐竜博物館につきましては、昨年度まで民間参入を前提としていろんな調査検討を行ってきました。しかし、調査結果にこだわらないで、最終的にどうしていくのかを考えた結果、現在地で拡充していきたいと考えています。現在、夏のシーズンを中心に昨年度は過去最高の93万8千人の方に来ていただいておりますが、オールシーズン発掘体験ができるようにすること等も考えながら100万人を大きく超えるお客様を迎えられるように、お客様の輸送、駐車場や道路の整備に向けた検討を行う予算を計上しています。

 次は、恐竜博物館20周年準備事業についてです。恐竜博物館20周年に向けて、来年7月から9月まで横浜市で開催する「ヨコハマ恐竜展2020(仮称)」に向けた準備に着手します。

 次は、日本最大の戦国城下町「一乗谷ミュージアム」化推進事業についてです。いよいよ博物館の建設工事に着手したいと思っています。平成29年度の発掘調査により、新たに発見された石敷遺構の現物を館内で露出展示により保存し、お客様が見ることができるようにしていくなどのアイデアも追加して、令和4年10月頃に開館したいと思っています。

 次は、スポーツによる交流人口拡大事業についてです。6月1日の組織改正により従来の観光営業部を交流文化部とし、組織を拡充いたしました。今後、全国規模のスポーツ大会・イベントの開催やスポーツツーリズムなど、スポーツを通じた交流人口の拡大を強力にプッシュしていきたいと思っています。

 次は、企業立地促進補助金についてです。これまでも企業立地については、新しく雇用される人数や投資額を基準にしながら大きな補助を行ってきましたが、県内での有効求人倍率が高くなっているということを踏まえ、UターンやIターンを促進し県外から人を呼んでくるという企業の努力もできるだけ促したいと考えています。そのため、これまでは本社機能を移転した場合に補助対象としていた社宅建設費を追加・拡充するとともに、住居の賃借料に対する補助も行っていきたいと思います。

 次は、農林水産業についてです。やはり国内市場はだんだん小さくなっていく状況にありますので、海外への売り込みを今回も強化したいと思っていますし、首都圏での販売も強化していきます。

 次は、植物工場立地促進事業についてです。これまでも補助金はありましたが、補助上限が1億5千万円でした。植物工場の誘致は電気料の安い嶺南が中心になると思いますが、補助上限額を10億円とし、先ほど申し上げた社宅建設費や住居賃借料の補助も追加をいたします。さらに、補助企業の新規雇用について、UIターン者を1人雇用すると50万円補助することも追加し、植物工場の誘致を推進したいと思います。

 農業については、小さな農業チャレンジ応援事業、「応援」と書かせていただいています。大規模な農業経営ということも大切ですが、耕作放棄地にならないように中山間地域の農地を守るために、国連も家族農業を推奨しています。家族農業を進める上でも、伝統野菜を守る、地域の農業を守る、または小さな六次化のような加工品をつくるなどを推奨できるような、そういったチャレンジを応援していきたいと思っています。

 また、中山間営農継続支援事業では、新たに除草ロボ、防除ドローン、ヤギの導入を支援するなど、地域に合った応援をしていきたいと思っています。

 次は、ふるさと企業経営承継円滑化事業についてです。事業継続については、福井銀行の調査によれば、35.5%の方がこのままでは後継者がいなくて廃業になってしまうという危惧を抱いているという統計もありました。また、事業を引き継ぐためには今の事業をもう少し整理をしないといけないと考えている方も29.9%いらっしゃるとの統計も出ていました。そういった後継者難、もしくは後継者を見つけるためにはいろんなことを考えなければいけないといったことを応援していきたいということです。事業を引き継ぐ際に一番スムーズなのは、ご家族、ご親族に引き継いでいくという方法ですが、M&Aという形もあります。そういう形の他に、福井県には小さな会社もたくさんありますし、このままだと黒字廃業だと言われる社長さんにたくさんお会いしました。せっかく儲かっているのに会社を閉じるのはもったいないという時に、全国にそこを継ぐ人の募集をして、その人たちに会社に入ってもらい、引き継いでいってもらう、そういう人材を外からも集める、そういうことに対する応援をさせていただき、第3の新しい事業承継のあり方を広げていきたいと思っています。

 次は、建設産業(土木)担い手確保・育成事業についてです。全体の有効求人倍率は約2.1倍ですが、建設業では約9倍になっています。そのため、建設産業のイメージアップや事業者から説明を行う機会をつくり、県内の就業者をできるだけ増やしていきたいと思っています。

 次は、保育人材センター設置運営事業についてです。最近では、越前市において待機児童が一時的に発生してしまうという状況が起きています。この10月から幼児保育の無償化が始まります。そういう中で、待機児童を発生させないために、保育人材をしっかりと確保していくことが大切です。例えば、まず、今いる保育士の方にはしっかりと続けて働いていただける。出産して一回退職された方も、子育てが終わったら戻ってきていただけるようにする。さらに、新しく保育士になりたい人たちをできるだけ集められるようにする。こういったことについて、保育人材センターを設置し、例えば一回退職されて働いていない潜在保育士と言われる方に、「こういうところだったらあなたの近くにありますよ、こんな働き方ができますよ」といった提案や相談を受ける、必要なことを説明する、家庭訪問などを行って保育士の不足を防いでいきます。施設があっても保育士が不足して子どもを受け入れられないということがないように、進めていきたいと思っています。

 次は、私立高校授業料実質無償化の県独自の拡充についてです。配付資料にも表を記載していますが、世帯収入が概ね270万円の家庭では、現在国の支援額が29万7千円になっています。さらに、国は来年度から支援の拡充を行います。県内の私立高校の授業料は概ね年間33万円から34万2千円となり、国の基準は年間40万円ですので、世帯年収590万円までの世帯は国の制度によりカバーされるという状況になります。これにプラスをして、県独自に県内の私立高校の授業料の平均値、来年度の場合は33万5千円を上限として、無償化を世帯年収910万円まで認めていこうと考えています。そうすることで、安心して希望するだけお子さんを産んで育てられるような環境を整備していきたいと考えています。

 次は、不登校児童生徒自立支援応援事業についてです。県内の小中学校の不登校者数は全国平均に比べると少ない状況ですが、小学校は少しずつ増え、中学校は少しずつ減っているという状況です。学校の多忙化ということもありますので、先生だけではなくて、家から離れられない、学校には来ることはできるが保健室にいる子ども、また保健室までも来られない子どももいますので、そういうお子さんのための家庭訪問支援員を派遣していきたいと思っています。

 次は、県立大学の創造農学科開設事業についてです。生物資源学部の中に創造農学科を開設し、農業に対する知識や農作物をつくる技術を学ぶだけではなく、農作物を売る、農業をつくる環境そのものを学んでもらい、マネジメント能力のある総合的な人材を育成します。来年度に創造農学科を開設いたしますので、その開設準備のための事業費を計上しています。

 次は、県民ワクワクチャレンジ応援事業についてです。県民の皆さんが全ての世代でチャレンジができるように、地域を担っていただきたい若者や女性の活躍といったことの支援をしようということで、これまで若者チャレンジ事業を1件当たり20万円の上限で補助していました。その中でも今回から、優れた活動については100万円、50万円を補助する、さらにはクラウドファンディングも活用しながら実施していく、そういう事業を考えています。

 次は、安全・安心について、「防災・減災、国土強靱化」、これは今回の補正予算において、国の国土強靱化の予算も活用していくものです。例えば河川の改修、樹木の伐採、浚渫や河道掘削などを計上しています。典型的な河川の改修は、引き堤を行い堤防を直す、河川の形状を直すということを行いますが、時間もお金もかかります。さらに調整にも非常に労力が要る。今、災害が激甚化していることもありますので、急いで行う、すぐに効果が現れるといったことを中心に必要な経費を大きく計上しています。また、道路施設などの補修も行っていきます。

 通常、国土交通省などの土木の予算のシェアは約0.7%、人口比分ほどですが、今回、国が3か年で行う国土強靱化の予算を持っていますので、シェアも上げて取り組ませていただこうと考えています。

 また、最近、見守り活動などで歩いていますと、本当に道路の白線などがたくさん消えています。事業費に合わせて安全対策を行っていくということは当然必要ですが、それが行き過ぎると安全対策が非常に遅れる、対策になっていない、ということになっていますので、1回、全体を点検し、急いで直していく、さらに、災害応急復旧がすぐにできる予算を枠として計上することを考えています。

 次は、災害情報収集・発信機能強化事業についてです。これは、大雨などの災害が発生した際、どのような状況になっているのか一目で分かる情報を、県の災害情報インターネットシステムに掲載します。これは、市や町とも情報を共有し、市や町の災害対策本部においても活用できるようにする。先日、市町の首長さんとの意見交換を行いましたが、そこでも大変期待をされました。こういうことを県が主導しながら、市や町の安全・安心を守っていくということも行っていきたいと思います。恐らく、メディアの皆さんはもう導入されていると思いますが、電話などで情報が入る前にSNSの投稿をいち早く受け付けて、こちらで災害発生をキャッチしながら進めていくというシステムを考えています。さらに、ソリトンというシステムを持っていると、小さな携帯のテレビのカメラやドローンを飛ばした時などに、その映像を小さな携帯電話、3台ぐらい同時に持っていることになりますが、直接映像を飛ばせる状況になります。もちろん、携帯電話がつながっている必要はありますが、今よりも飛躍的に早く、美しい映像をリアルに出すことができる、そういうシステムも導入したいと思っています。

 次は、地域防災力向上事業についてです。私も消防庁で大規模災害団員を創設するのに力を尽くしていました。福井県内においても、町内会には防災グループ、自主防災組織というものがあります。例えば、私が体験した中でお話しますと、一昨年10月に発生した鳥取県中部地震において、ある市の市長さんに振り返りで話をうかがいに行きました。市長さんのお話によれば、市内には8割の自治会が自主防災組織を持っていましたが、半分の自主防災組織は震度6弱の地震が起きた直後に全く何もできなかったと言っていました。その反省も踏まえ、自主防災組織があるのに活用できない、または消防団員もどんどん減っていて、その活動の幅が小さくなっているというところを何とか解決するために、大規模災害団員という制度を創設しました。簡単に言いますと、自主防災組織には町内会の防災担当がいます。防災担当は防災士でなくてもいいわけです。そういう方々を大規模災害団員にする。そのかわり、火を消しに行く、水防に行くということではなくて、日頃から、避難勧告が出たら、あなたはこの避難所の鍵を開けてください。鍵を開けたら、1時間後に何人集まっているか、食べ物や飲み物などは足りているか、そういうことの連絡やAEDの使い方の訓練などの緊急事態時の対処方法だけは学んでおいていただく。そういう訓練を年に2、3回は行っていただく。しかし、それ以外は大きな災害がなければ出る必要がない。そういうことをするだけでも、少なくとも震度6弱の地震が発生して市内全域に避難所が設営、開設されれば、すぐに何が足りているのか、足りていないのかが分かるような環境をつくりましょうというような、いろんな形の、機能別の消防団員を育成する。もちろん正規の団員も必要ですので、そういったことも含めて、地域の皆さんとともに防災マップをつくっていただく、または防災士を養成する、養成した防災士の活躍を支援していく、こういったことを拡大していきたいと思っています。

 次は、ドクターヘリの導入推進事業についてです。ドクターヘリについては、令和3年度の単独運航開始を目指していきたいと思っています。昨年9月に関西広域連合と京滋ドクターヘリの共同運航に関する協定を締結し、嶺南地域で運用を始めました。また、今年5月からは岐阜県と協定を締結し、大野市の旧和泉村で運用を始めています。ドクターヘリは効果が非常にあるものですので、単独運航により県内全域をターゲットとし、ヘリ格納庫の設計や運行会社との契約の準備を進めていきたいと思っています。

 次は、ドクタープール事業についてです。これは、私も選挙の中で表明させていただきました。今年については、まずUターンやIターンなどを希望する医師を登録して、必要があれば、ここに空きがあります、ということをご連絡することからまず始めさせていただきたいと思います。例えば県立病院であれば働いてみたいという若い医師が多いので、来年度以降はこういう方々を県立病院に集めて、そこから2年、3年、嶺南や奥越などに行っていただく、または一週間のうちある曜日に医師が足りないという病院があれば、その曜日に行ってもらう、こういうようなことを含めて今後拡大していく。こういったドクタープール事業を徐々に始めていきたいと考えています。

 次は、介護人材確保対策総合事業についてです。県内いろんなところを回っていますと、介護の人材難を非常に多くお聞きします。そういう意味では、外国人の介護人材を受け入れる側の環境を整備するための研修、それから、若手の介護職員の離職率が非常に高くなっていますので、離職しなくても済むような施設側の受け入れ態勢の研修も行います。また、介護ロボットは、入浴支援などで広く使われておりますので、こういったものを導入していく。それから、今年度から介護職員の処遇改善のため、国からの手当として10年以上勤務経験のある介護福祉士の方であれば、月8万円の処遇改善がされます。これにより、平均的に見れば1人1万円程度の改善になります。さらに上げていく工夫も今後していきますが、これは施設側がしっかりと受け入れ態勢ができていないといけませんので、処遇改善加算を受けられる、促進するようなセミナーを開催する。さらに、相談員の派遣も行っていきたいと思っています。

 次は、政策トライアル枠予算の創設についてです。この予算は、例えば来年度実施したい事業がある時、その効果を事前に知るために、各部長が自分の判断で執行できる、そういう枠を設けたいということです。

 また、嶺南振興枠予算の創設について、嶺南振興局を平成8年度に設置した当時の考え方は、県庁に来なくても仕事が嶺南でできるようにということですが、それが現実にはできていないといった状況ですので、これを予算や権限の面で工夫して、嶺南振興局長が自由に発想してできる、そういったことを考えていきたいという予算です。この中で、景観整備などのハード整備の予算が8千万円、政策トライアル枠予算に当たるものを2千万円用意します。考え方として、新幹線や中部縦貫自動車道、国道417号など、今、大きな事業が嶺北を中心に敦賀までの間で行われています。そういう効果はこれから大きく出てくると思います。そのための投資も今、行っています。嶺南の敦賀から先のところへお客さんを呼び込むような仕掛けも一部行っていますが、そこから先につながっていくという整備等は、まだできていませんので、こういったところを行う部分、箇所づけを嶺南振興局長に任せる枠として設けたいということです。また、嶺南振興局長には総合調整権限を既に与えていますが、それが発揮できていない。例えば、小浜土木事務所や敦賀土木事務所は、嶺南振興局に属しています。にもかかわらず、嶺南振興局長がその調整権限を活用できていない現状ですので、実質的に活用できるように、池田嶺南振興局長ともよく話し合いをしながら実施していきたいと思っています。

 次は、道路・河川などの社会基盤の着実な整備についてです。例えば、北陸新幹線の九頭竜川に架かる橋の両脇の道路の事業も進めますし、勝山市の大蓮寺川の河川改修にも着手していきます。それから、あわら市の金津中学校と金津高校の間の都市計画道路が途中で切れていますが、今回、新幹線の高さが決まりましたので、JR北陸本線の上を越え、北陸新幹線の下を通り、竹田川の上を通り、トリムパークかなづ線につながるように事業を開始させていただきます。また、越前市の武生インター線については、北陸新幹線の南越駅(仮称)が新設されますので、ここに向かう道路の整備についても進めていきたいと考えています。

 予算については以上でございます。

 

 最後に、東京2020オリンピック聖火ランナーの募集について説明いたします。最初に映像を見ていただきます。

(映像再生)

 

 今後、テレビ等でこの映像を流していこうと思っています。来年の5月30日、31日に県内では聖火リレーが行われることになっており、聖火ランナーの募集を7月1日から始め、8月末まで応募を受け付けたいと思っています。県の実行委員会としては約40名を募集し、他にもパートナー企業が募集を行い、県内で走っていただきたいと考えています。

 スケジュールにつきましては、8月まで募集を行い県実行委員会でランナーを選考・案を決定し、年内に東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会において最終的に決定されるとこととなっています。沿道で応援していただく方も含めて、この聖火リレーを楽しんだり、応援をいただいて、来年のオリンピックを盛り上げていきたいと思っています。

 私からは、以上でございます。

 

~質疑~

 

【記者】  

 杉本知事らしさをこの予算の中にどのように出したか、どこに見えるのかを教えてください。

 

【知事】  

 今、申し上げたことは、いずれも私が選挙の中で申し上げたところだと思っています。そういう意味では、新幹線の「ワクワクドキドキ」をハード事業だけではなく、ソフト事業でも実施していきます。また、「ちょい足し応援」ということをいろいろなところで申し上げました。農業や若者、女性などに対してもそうです。今、活力、やる気はあるのだけど、後押しがなくてはなかなかできない。そういうところを、背中を押すことで今、越えていただいて、地域のためになっていただけるようにするということを随所に盛り込ませていただいています。

 また、UIターンを促進するために、今までの企業誘致の補助金をさらに充実しています。また、農業を成長産業に押し上げると申し上げています。嶺南地域は特に植物工場を集積したほうがノウハウなども周りに伝播していくというようなことが実際に言われており、お互いに良くなるというように言われています。こういったものを拡充し、新しい農業を拡大していく。国外への売り込みも含めて、小さな農業にも目配せしながら、農林水産業は「福井県の基なり」ということを実現させていただきたいと思っています。

 それから、県内では介護や保育、建設業などいろんな人材が不足していると言われています。しかもこれは一緒につながっていまして、例えば介護の仕事をされている皆さんを働きやすくするためには、自分が育児休暇を終えた後に保育人材がいないと介護の仕事に戻ろうと思っても戻れないということになります。こういった人材確保のところを一生懸命やらせていただきたいと思っています。

 また、大学の農業分野といったものを評価していこうと思っています。

 さらに、防災・減災、国土強靱化、安全・安心の部分は、今回特に力を入れさせていただきたいと思っています。国土強靱化の国の予算は3年間で7兆円、国費の部分で3.5兆円と言われていますが、これはいずれ必要、もしくは今、行っておけば安心が早く来る上に長く続くという予算です。ですから、それを前倒しで行う。これは国費、交付税措置もありますので、こういった有利なものに早く取り組むことで、現在、そして将来の県民の皆さんが長く安全・安心でいられることに力を尽くしていきたい。

 それから、行政チェンジのところで申し上げましたが、市町と一緒に行政を行っていく。そういう中で災害情報の収集、発信機能の強化、ドクタープールなども県が中心になって市町の安全安心を守っていく。こういったこともやらせていただこうと思っているところです。

 また、職員が自分たちで発想しながら物を考えて、責任を持って仕事が進められるような予算づけ、予算の組み方、嶺南地域の振興を図ることについても配慮したいと思っています。

 

【記者】  

 今の話ですと、新幹線の「ワクワクドキドキ」、ちょい足し応援、防災・減災、チャレンジ枠ということが今回、力を入れたところと思えばよろしいですか。

 

【知事】  

 はい。今申し上げたことが全てです。

 

【記者】  

 初の予算編成ということで、満足度や達成度について、ご自身ではどのようにお考えですか。

 

【知事】 

 あまり気負ってやってもいけないなと思います。急に物事を進めればそこにストレスがたまりますし、物事が独善に陥ったりもしますので、皆さん、職員の意見もよく聞きながら予算編成を行わせていただきました。本当に早い段階から政策ディスカッションをさせていただきました。私も今まで6年間、総務部長や副知事をさせていただきましたので、予算編成はいろんな機会がありましたが、職員の皆さんの反応が非常に良かったなというのが私の印象です。政策ディスカッションで大きな方向性を私と共有をした後、まず、出てきた案そのものが私の考え方に沿っていましたし、必要性もありました。そこのところを深く掘り下げて、いろんな工夫をして、細かいところというよりも、新しいことの分野も含めて私の考え方や県民の皆さんに求められている考え方を形にした案も出てきました。また、その査定の最中に、私からいろいろ質問の投げかけや意見も言いましたが、これに対する反応も非常によかったと思います。私は変に焦って物事を進めるつもりはありませんが、最初の予算としてはかなり多くのことのスタートが切れたと思いますし、内容的にも次につながる部分も含めて質の高いものになったと思っています。

 

【記者】  

 先ほど、「新時代県政スタート予算」という名前をつけていただきましたが、特に新時代のスタートにふさわしいと思われる案件は何でしょうか。

 

【知事】  

 最初の、スタートの予算ですので先ほど申し上げたことが全てになります。

 

【記者】  

 最初の予算編成にしては、非常に多くのことに予算を適切につけられたとお考えですか。

 

【知事】 

 そこは皆様方のご判断、ご評価にお任せしますが、それなりにスタートが切れていると思っています。

 

【記者】 

 知事が就任されて2か月が経過し、予算がつくと実際の政策ができるようになると思います。新たなステップへの意気込みはありますか。

 

【知事】  

 先ほども申し上げましたが、予算をつくる過程は非常に大事だと思っています。そういう意味で、最初に描いていた方向性を皆で共有しながら、組織改正も認めていただいて人事を行い、新しい組織で予算を編成しました。予算を編成することで職員の皆さんの物事の進め方の方向性が共有できただけではなく、予算査定において意見交換する中で、職員の皆さんもまた新しく気づいていただいて、だんだんレベルアップしていくという過程も少し見えてきていると思っているところです。

 

【記者】    

 トライアル枠予算のように、職員に権限を与えるということはいいことだと思いますが、知事はどのようにお考えでしょうか。

 

【知事】 

 もちろん予算システムというものがあるわけで、そういう意味では1,000万円程度を1つの枠にしていますので、規模感としてはこれぐらいだと思います。今までは、アイデアだけでいきなり初年度から大きな事業費をつけていましたが、やはり全県に広げる前に、1年、言ってみれば事業ゼロ年目にそういったトライアルができるということは、当初から安心して事業を組んでいけるということにもなるわけですので、私としては必要だと思いましたし、いい形にできると思っています。

 

【記者】  

 今回、査定の段階で市町長との意見交換をされ、先ほど期待もあったと言われましたが、その意見交換を踏まえて反映させた事業は何でしょうか。

 

【知事】  

 幾つもありますが、先ほど申し上げた安全・安心のところを県内全域で市や町も一緒にということもありましたし、土木の職員を県で採用して市町へ派遣するようなお話も非常に期待感が大きかったです。また、先ほどの安全・安心ふくいプログラムの中にもありましたが、地域で防犯カメラを設置する時の予算についても、期待は大きかったです。さらに、既存の健康づくりの予算において、市町では既に4月から実施している中に良い事業があるとのご紹介もありました。良いものであれば遡って4月の予算にも補助をすることについてもご提言がありましたので、考えていきたいと思います。

 

【記者】  

 恐竜博物館について、2018年度まで調査を進められて、4年前に浮上した第2恐竜博物館や分館というわけでもなく、今回はリニューアルという形で検討を進められるということになったと思いますが、見直しに当たっての思いを改めて聞かせてください。

 

【知事】  

 恐竜博物館は福井県で新しく生まれた観光、交流、福井のブランドアップの意味も含めて、大きなキラーコンテンツ、そういった素材だと思っています。今、年間来館者数が93万8千人まで来ています。しかし、現状のままでは、今以上に人出を増やすということは難しい状況になってきているということは見えてきました。

 また、リニューアルという名前にしていますが、これは第2恐竜博物館という言葉が誤解を招いた部分もあると思います。やはり恐竜をキラーコンテンツにして、福井らしいものに仕上げていくという時に、今の恐竜博物館というものを拡充していくということはとても大事だという意味で、規模を大きくして、利便性を高める。そして、多くの人がもっと集まりたくなる、集まれるようにする、こういうことが必要だと思います。それで、リニューアルをして、オールシーズン化するという考え方で、今まで検討してきたものを素材にして短期間で決めて、何とか開館に結びつけていきたいと思っています。

 

【記者】  

 第2や分館という形でなくなると、規模の縮小感が出てきてしまうと思いますが、リニューアルという形でも魅力の向上は十分図れると判断されたのでしょうか。

 

【知事】  

 今、念頭にあるのは、今の本館だけをきれいにしようという意味ではなくて、増設をした上で、全体の規模を大きくしていこうと思っています。それから、あそこは箱物だけではなくて面的な部分がたくさんあります。勝山市や民間企業が行っている部分、レジャーランドという言葉がふさわしいかどうかはともかく、山全体で皆さんを受け入れられるような体制にしていくという意味では、相当大規模になると思いますので、決して今ある建物を直す程度の考えではございません。

 

【記者】  

 恐竜博物館の機能強化は、観光の目玉として期待のすごく大きい事業だと思います。一方で、今まで議論が進まなかったという背景には、県議会から公が観光業を行うことについて批判もあったので、ずっと検討段階にとどまっていたという部分もあると思います。今回、この予算で県議会側の理解どのように得ていこうと思われているのかお聞かせください。

 

【知事】  

 今言われたようなご意見があったということは私もよく認識をしています。しかし、それがネックとなって越えられないことだったのかということは、正直言うと、やはり説明の仕方、もしくは材料のそろえ方などがまだ足りていなかったところが大きいのではないかと思っています。

 いろんな博物館がありますが、やはり博物館というのは、単にそこでお金もうけをするためだけの施設ではなくて、研究する場でもあり、人々がそこで勉強する場でもあるわけですから、これは公共施設としてものすごく重要な1つの建物だと思っています。ですから、それを単に収支だけで物事を見るというのではなくて、その上でプラスして、人が集まる場所、しかも福井県にしかない魅力を持っているということで全国から人が集まるわけですから、それを観光施設として活用するということは十分あり得ることだと思います。そこのところを今回の機能強化の検討の中でご説明もさせていただきまして、また、これまでの検討の経過を説明させていただくことにもなっていますので、その中で、これまでどのような検討をしてきて、どのような効果があると見込んでいるのかということも含めてしっかりお話をさせていただければ、十分ご理解いただけると思っています。

 

【記者】  

 恐竜博物館のリニューアルについて、2023年春の北陸新幹線福井・敦賀開業に間に合わせてほしいという期待はすごく大きいと思いますが、スケジュール感というのはいかがお考えでしょうか。

 

【知事】  

 恐竜博物館の議論は、この3年間本当に遅れていたと思います。ですから、これはこの遅れを取り戻すために小さくリニューアルするかと考えた時に、ただ単に小さくするのではなく、必要なものは必要だと私は思っています。それともう1つ、北陸新幹線の福井・敦賀開業、または中部縦貫自動車道、冠山峠道路など、いろんなものがこれから整備されていきますので、やはり長い目で見ながら行う必要があります。今の私の感覚的に言うと2023年春、北陸新幹線の福井・敦賀開業までの開館はなかなか厳しい状況だと思っていますが、どういうものにしていくのか良く考えながら、ただし、いつまでも時間をかけているわけにもいきませんので、いいタイミングで開館できるように努力はしていきたいと思っています。

 

【記者】  

 恐竜博物館について、これまでの検討の中では民間の参入を前提とした調査が昨年度まで行われていましたが、それにこだわらないということを先ほど言われました。それは、民間参入という考え方を少し方向転換するということでしょうか。

 

【知事】 

 この恐竜博物館機能強化検討事業の中で検討もしますが、民間参入のためにはSPCをつくるという作業だけで2年かかるということも言われていますし、民間に対して博物館の運営の権限を譲渡していかなくてはならないところも出てきますので、その辺をトータルで考えないといけないと思っています。そういう意味では、民間、SPC型の運営にこだわらないでいい方法を考えたいと思っています。

 

【記者】  

 先ほど、知事は、最初の予算としてはかなり多くのことがスタートを切れたとおっしゃったかと思います。この中で、嶺南振興枠予算の創設や植物工場立地促進事業など、嶺南振興に関しての予算が手厚いようにも見えます。選挙中に嶺南地域のリフレッシュエリア構想なども掲げていらっしゃいますが、今回、予算を絡めた嶺南振興への思いをお聞かせください。

 

【知事】  

 先ほども申し上げましたが、新幹線は2023年春に敦賀まで開業します。さらに中部縦貫自動車道ができ、冠山峠の国道417号も整備されてきます。投資が嶺北に傾いているわけです。それから、その準備も嶺北のほうが脚光を浴びている部分があると思います。ですから、今から十数年後の関西への北陸新幹線全線開業、もしくは福井・敦賀開業時に敦賀まで来られた方々を嶺南全体にもお連れするといったことが必要だと思います。しかし、嶺南だけということではなく、県全体としてバランスは非常にとれていると思っています。

 

【記者】  

 公共事業では、道路の中心線等の塗り直しや舗装の補修など、県単で7.7億円が組まれており、中小の事業者でも参入しやすいと思います。さらに農業分野では、小さな農業チャレンジ応援事業など個人農家や規模の小さいところを応援しようということだと思います。今回の予算では、小さい企業や個人農家などといったところを応援しようという発想で組まれているのでしょうか。

 

【知事】  

 全体的に見ると、これまでも、大規模な企業誘致や植物工場の誘致でも金額的には大きくなりますが、やはり農業や昨年の大雪の除雪などの災害対策にしても、県内の事業者は非常に重要です。道路や河川、建物をつくるという意味の必要性ということも大きいですが、安全・安心、セーフティーネットとしても非常に重要な中で、それが非常に弱っている。ですから、耕作放棄地も生まれ、さらに、除雪が進まなくて、そこで皆さんが非常に苦労することが多くなっている。それは、事実だと思います。

 せっかく県がお金をかけて物事を行うのであれば、経済効率ばかり考えないで、県内の隅々にお金が循環するということは大事なことだと思います。もちろん財政負担を意識することは大事なことだと思っていまして、その中で1つのいい方法が「ちょい足し」という発想で一から物事をつくり上げるのではなくて、皆さんが持っていて自分で行うというやる気のところを少し応援させていただく。こういうような方法だと、多くの人が自分で商売を始めてみようとなるので、大きな効果が生まれると思います。そういう形としては、「ちょい足し」ということを意識しながら行わせていただいているつもりです。

 

【記者】  

 災害応急対策の枠予算を今回新設されました。ドローンの整備や土砂の撤去などに使える予算だということですが、この予算があることによって、豪雨や台風の時、県の災害対応はどのように変わるのか、期待するところを教えていただきたいと思います。

 

【知事】  

 今までも大きな災害が起きた時には、県議会の皆さんとも話をさせていただいて遅滞なく事業を行ってきました。しかし、枠予算があると、例えば大きな雨が降りそうだという時は、災害が起きる前でも1トンの土嚢を用意することができます。枠予算がないと、人間の心理としてどうしても躊躇してしまいます。この予算がないのに執行していいのかということを躊躇せず物事が進められるということが1つの大きな効果だと思います。これとあわせて、県内の事業者といろんな事業協定も事前に結ばせていただき、最初動のところ、もしくは物事が起きる前段階の防災の部分、防災・減災の部分をいち早く、もしくは大きく取り組めると思っています。

 

【記者】  

 財政収支見通しについて、令和9年では県債残高が6,000億円になっています。これは、今回の予算を組んだ結果なのか、知事の見解をお聞かせください。

 

【知事】  

 大きく言うと毎年変わり得るものだと思っています。これは、機械的に算出しながら大きな事業は中に組み込みながら行っていますが、それ以外は、例えば現状の投資経費の規模を見ながら、それを横に引き伸ばしていくという計算をしていますので、年々上がったり下がったりしていくと思います。その中で、最終的な財政の健全性は維持していくと思っています。

 そういう意味では、今、国が国土強靱化の予算を別途公共事業の中に持ち始めていますので、そういったことが影響して数字が動いているというところがあります。それとともに、私は財政を破産させる気は全然ありませんので、財政規律はしっかりと守りながら、必要なもの、急いで手当てすべきものは行っていくことで、将来の安心を早い時期に実現させるということについてはやはり必要だと思います。これからもこういった長期的な指標を見ながら、必要なことについては積極果敢に行っていく、そういう姿勢は守っていきたいと思っています。

 

【記者】  

 今回はスタートの予算ですが、改めて、今後の財源を含めた予算編成方針についてお聞かせください。

 

【知事】 

 全ての事業についてゼロベースで見直すということをこれから取り組み始めますので、その中でいわゆるスクラップの部分というものをしっかりと生み出していきたいと思っています。

 また、産業を活性化させることが税収を増やすということにつながるわけでして、これは企業がお支払いいただく法人関係税もありますし、個人の皆さんの所得が増えてくれば所得課税も増えますので、そういうことにも資するような、必要な経費に予算づけをしていくことも大事だと思っています。

 

【記者】  

 財政収支見通しについて、数字だけ一見すると財政指標は悪化しているように見えます。先ほど財政規律、最終的な財政の健全性は維持していくと言っておられましたが、今後10年間で財政運営が厳しくなる、財政状況が悪くなることはないのでしょうか。

 

【知事】  

 先ほど申し上げたとおり、機械的に計算した結果ですので、数字上は去年に比べて悪化しているかもしれませんが、必要な枠の中でそれは収めていきますということを申し上げながら進めさせていただきたいと思っています。

 

【記者】 

 選挙期間中に前知事は、16年間の実績として約2,000億円の県債残高を減らしたと言っておられました。今回の財政収支見通しを見ると、10年間で1,200億円の県債残高が増えています。なぜ、ここまで県債残高が増えてしまうのでしょうか。

 

【知事】 

 これは大半が新幹線などに対して、起債が積み上がっていく時期ですので、決して何か新しいことを始めて、起債をどんどん積み上げていくという前提で計算しているわけではありません。正直申し上げてこれから難しくなります。北陸新幹線は大阪までつながないといけませんので、そういったものが積み上がってくる中で、少なくとも健全な財政を維持していくことの必要性はあるわけですので、その中で考えていきたいということです。

 

【記者】 

 財政調整基金を行財政改革アクションプランにより100億円以上にするとのことですが、地域の財政調整基金の適正な規模について、知事のお考えをお聞かせください。

 

【知事】 

 これは難しいところでして、どのような財政運営をするかについては、よく県民の皆さんとご相談しながら、県議会とも詰めていくことだと思います。過去、財政調整基金を一番取り崩した時の残高が99億円ですので、それを下回らないことを考え方の基本としています。

 財政調整基金は年度当初に予算で取り崩して一旦減りますが、年度末にはまた積み上げるということを繰り返しながら、財政の健全性は維持していくということが、少なくとも私がこれまで30年間地方財政なども経験した中での手法だと思います。財政調整基金は多くあったほうが安心ではあります。しかし、それで道路の白線が消えたままでいいのかという議論をしていく中で、合理的に考えると、過去最高の財政収支の赤字というものは飲み込んでも、基金残高として100億円以上は維持していくということが今回の行財政改革アクションプランの考え方になります。

 

【記者】  

 今回、AI、RPAの関係予算をつけられました。これは個人的には、ようやく予算がついたという感じですが、このタイミングで予算化をされた理由と知事としてこの件にどのように臨んでいかれるか、お考えをお聞かせください。

 

【知事】  

 役所はAIやRPAが遅れている典型的な職場の1つだったと思います。そのため、まず最低限のところから始めていこうと思いまして、今回予算もつけております。これから役所が行っている事務の大半の部分はロボット化、AI化という方向に動いていくと思います。それをできるだけ先取り、可能なものから取り組んでいくと、直近の人件費の削減効果は出てきます。そういうところからまず取りかかりまして、今投資しておけば、最初は少し無駄が多いように見えるかもしれませんが、職員を一人雇用する費用とトータルで比較すれば低コストになるという発想を広げていければと思っています。そのスタートにようやく福井県も立って、働き方改革にもなると思いますので、県民の皆さんにも得をしていただき、職員も少しでも早く家に帰れるようにするという両方のことに資するものをまず選びました。

 

【記者】  

 私立高校の無償化の拡充について、先ほど保護者負担の格差解消という部分を言われていました。一方で、私立高校に進学したくても進学できなかった生徒は、今回の無償化により進学できるようになる部分もあるかと思いますが、今回の狙いをお聞かせください。

 

【知事】  

 私立高校の無償化は、私立高校にとってプラスということや親御さんにとってプラスということより、生徒の皆さんがいろんなことを選べるようになるという時代が来るということだと思います。大切なことは、もちろん学力・体力日本一の平均点を上げていく、福井県らしい、ふるさと愛のある教育、こういうことも進めていく。そういう時に、個性ということは非常に大切な部分だと思います。そういう意味では、選択肢を広くとる。これを実現していくのが授業料無償化の拡大だと思っておりまして、生徒にとっても選べる学校が増えていく。一方で今度は、県立高校が非常に厳しい状況になってきます。県立高校も特色づくりに一生懸命になりますので、トータルで私立も良くなり、公立も良くなっていくということが進められる。こういうことを進める上でも、大きなインパクトのある予算になると思い、今回、査定を行い予算づけをさせていただいたということです。

 

【記者】  

 5月の組織改正・人事異動の記者会見でも「はぴりゅう」はどうなりますかという質問がありましたが、今回の予算では「はぴねすキャラバン隊」の派遣という記載もあります。今後、「はぴりゅう」について、どのような役割で活躍させていくのかをお聞かせください。

 

【知事】  

 そこは、よく議論をいたしましたが、「はぴりゅう」は国体の時の活躍ぶりを見ても、県民の皆さんを元気にする、これが大きな役割だと思います。あの動きを見ていても、「はぴりゅう」といるだけでワクワクしてくる、楽しくなります。そこで、県民の皆さんを元気にする役割を「はぴりゅう」にお願いしたいと思います。

 もう一つのキャラクターの「ラプト」は、恐竜王国福井のイメージキャラクターになります。外に向かって福井県を発信する時に、「福井と言えば恐竜」ということをPRするセールスマン、営業マンであり、福井を県外に発信する、そういう役割を主に果たしていただく。

 とはいえ、子供たちの夢の部分でもあるので、そこは柔らかく行っていく。しかし、役割は大きく分かれていると思います。

 

【記者】  

 政策トライアル枠予算についてお尋ねします。どうしても前知事と比較をしてしまいますが、西川県政時代は、部局長は知事のマニフェストを遂行する責任者という立場であったと思います。政策合意という縛りもあって、なかなか職員の自由な発想を活かしにくかったということがあると思いますが、その意味で、今回の予算はチェンジ、杉本県政を象徴する予算の1つだと思っています。改めて、その狙いについてお聞かせください。

 

【知事】  

 前の県政との比較で物事を考えたつもりはありませんが、以前から申し上げているとおり、大きな方向性をみんなで共有したら、後はできるだけ皆さんにお任せをして、みんなが活躍をすることで、県全体としても力が上がっていきます。いずれにしても私の県政はそう遠くない将来終わるわけですので、その時に福井県をずっと支えていくのはこの県庁組織だと思います。県庁組織ということは人材だと思います。その人材をいかに育てるかと考えた時には、日ごろから方向性を決めた後、みんなに任せながらそれを育てていく、それは重要だと思います。そのため、1つには権限をしっかり与えるということ。もう1つは、権限を持った職員が動けるように予算も与えるということ。これは大事なセットだと思いますので、そういう発想に立って物事を進めていく、必然的にこういうものが要るなと考えたということです。

 

【記者】  

 トライアル枠予算で事業を試行するのであれば、思い切ったチャレンジを行っていいのではないかと思います。ハードルが高ければ上手くいかないこともあるかと思いますが、うまくいかないことこそ大事であり、その課題を次につなげていくことが大事だと思います。その点について、知事はいかがお考えですか。

 

【知事】 

 そこは、これからの私と部長や課長の皆さんとのコミュニケーションのとり方だと思います。この事業は大規模なものに、次につなげるものでないといけないなどといったことを設けることそのものが、また物事を制約していきます。一人ひとりの個性もあれば能力もありますし、事業のあり方も各部で違いますので、その予算の使い方はみんなで考えていただければいいと思います。私は、部長や課長の皆さんとの日頃からのコミュニケーションの中で、新しい発想で物ができるような状況をつくる。やはり、心理的安心感のある組織は成長性が高いと言われていますので、そういうことを目指してこういう予算も活用してもらいたいと思っています。

 

【記者】  

 先ほどの質問でも、ゼロベースで事業を見直す、スクラップ・アンド・ビルドが必要だと言われました。「県民参加により、すべての事業をゼロベースで見直す」と政策集にも記載され、Twitterでも県民会議による見直しを言及されていますが、いつ頃から見直しの作業に入るのでしょうか。

 

【知事】  

 できるだけ早くと思っていますが、今、人選しているところですので現実的には7月、8月頃からだと思います。急ぎますが、二千何百の事業全てを一つ一つ諮るわけではありませんので、まず、各部、各課が一生懸命に考えれば大半のところは決着すると思います。県民目線で物事を考えるべきものにある程度絞って、そこに諮っていきますので、時間は十分にあると思います。

 

【記者】 

 「はぴりゅう」についてお聞きします。2010年に千葉国体があり、あの時の国体キャラクターの「チーバくん」が半年後に千葉県の公式キャラクターになっています。「はぴりゅう」が福井県の公式キャラクターになる可能性はあるのでしょうか。

 

【知事】  

 以前、私は徳島県にいたことがありますが、その時の国体のマスコットが「すだちくん」でした。今も徳島県のマスコットは「すだちくん」になっていますが、やはり皆さんがどう受け入れるかだと思います。公式キャラクターということよりは、皆さんに受け入れられるキャラクターであるかどうかだと思います。そのためには、見た目もあれば、出てくる場所もあれば、動きもあれば、いろんな形があると思いますので、そういう意味では公式キャラクターになるかどうかはともかく、それぐらい活躍してもらうことを「はぴりゅう」にも期待をしますし「ラプト」にも期待をします。

 

【記者】  

 豚コレラについてお聞きします。先日、福井県境から1.2kmの岐阜県郡上市や、三重県で豚コレラに感染した野生イノシシが見つかり感染が拡大しています。このことへの受けとめをお聞かせください。また、養豚場の豚をいかに守るかということが大切だと思いますが、その対策への意気込みなどをお願いします。

 

【知事】 

 豚コレラについては非常に心配いたしております。なかなか終息しない。豚コレラというものは、本来、毒性が強く、感染した個体はすぐに死んでしまうため、遠くへ行くということが今まではあまりなかったのが、今回は少し毒性が弱いのかなかなか死なない。そのため、行動範囲が広がってしまって、まん延しているということですので、そういう意味では、郡上市白鳥で見つかったということには非常に危惧をしています。

 昨日も早速、私どもで県内の大野市など関係市と、農林総合事務所など関係団体が集まり、今後の対策の説明もさせていただいております。これから何事もないように、例えば養豚場の周りを柵でしっかり覆っていただいたり、消毒を徹底するなど行っていきます。猟友会にもイノシシの捕獲を強化していただき、捕獲された個体については感染の有無を調べる。そして、通常の捕獲だけではなく、県境を中心に捕獲の枠を広げていきたいと思います。

 また、国と連携していくことも必要です。例えば、豚コレラのワクチンを使用するという考え方もありますので、こういった議論も国と行っていきますし、消毒範囲を広げていくことも行い、県内の養豚場に影響がないようにしていきたいと思っています。

 県内の養豚場は、岐阜県に比べると数は少ないですが、イノシシがウィルスを媒介していると言われており、豚コレラの感染区域が広がっていると思われます。安心しないで、しっかりと対策を打ちながら、また警戒態勢も強めていきたいと思っています。

 

【記者】  

 イノシシに食べさせるワクチン入りの餌の散布を他県では行っていますが、福井県でも検討していくのでしょうか。

 

【知事】  

 福井県というよりは、まず国がどのような考え方かも聞きながら行っていきたいと思っています。

 

【記者】  

 マニフェストとは違う方法で政策の評価を行うと言われていましたが、どのように行うのでしょうか。

 

【知事】 

 高齢者人口がピークを迎える2040年をターゲットとして長期ビジョンを策定し、さらに5か年間のアクションプランをつくりながら実施していきますので、その中で数値目標を持つことになると思います。

 

【記者】  

 6月25日に行われた国への重点提案・要望において、石井国土交通大臣から2030年度末の北海道新幹線札幌開業より早い北陸新幹線全線開業は難しいというコメントがありましたが、その受けとめと、今後の運動方針の変更などがありましたらお聞かせください。

 

【知事】  

 北陸新幹線の経済効果が北海道新幹線よりも大きいことは明らかですので、沿線自治体との延伸運動の中で北海道新幹線札幌開業よりも早い2030年度以前と言ってきていたのだと思います。

 私もその考え方はそうだと思います。6月14日には大阪で北陸新幹線の早期全線開業を目指す官民の協議会が設立されています。大阪からも北陸新幹線を早くつなぎたいという、本来あるべき姿に近づいているわけですから、当然、沿線の皆さんと一緒に2030年度末の北海道新幹線札幌開業より早い全線開業を目指していくという運動は続けていきます。

 一方で、建設には通常15年ぐらいかかるということを前提として、国土交通大臣は2030年度末までの開業は困難だということを言われていると思います。これについては、15年の工期をどこまで短縮できるかということもあると思います。本県では既に、北陸新幹線福井・敦賀までの開業に14年かかると言われたところを、いろんなご提案を行い、3年前倒しの11年で現実にできているわけです。今は、15年という工期をできるだけ短縮していく。国土交通大臣もできるだけ早く開業できるようにしたいとの方向性を言われましたので、私としては少しでも2030年に近づけられるように努力を続けていく必要があると思っています。

 

―― 了 ――

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