知事記者会見の概要(平成20年2月22日(金))
【知事】 今日は、平成20年度当初予算案の概要について発表します。
私にとりましては、2期目の就任後、初めての本格的な通年予算です。昨年は骨格予算と肉づけ予算と2本立てでしたが、今年は通年予算になります。
予算編成に当たり、現在の予算や財政を取り巻く状況を考えると、大まかな心構えといいますか、認識としては次のようなことが言えるのではないかと思いますので、まず、その点を申し上げます。
1つは、税制の問題です。これまで地方分権などでいろいろ動いているところですが、具体的に税制の議論が始まってきたかと思います。その中で、将来に向けての安定的な税制をつくるためには次の抜本的な改革を議論しなければならないと思います。
消費税などの議論も行われているところですが、新年度の状況としては、1つは地方分権に役立つ税制をどのようにつくるか、もう1つは、地域間の格差が税収に影響しているわけですが、この問題にどう対応するかだと思います。
20年度の税制改正では、暫定措置として法人事業税の譲与税化、それから、本県が提案してきた「ふるさと納税」が盛り込まれており、今、国会で議論中です。さらには暫定税率の議論もあるわけで、こうした課題が税制としてありますので、これをいかに実行するか、これをどう受けとめるかという予算の背景があったと思います。
それから、税制全体としては、ここ数年、税収は徐々に増えてきていますが、最近の石油価格の高騰などの問題によって先行きが少し不透明になっている中、伸び悩みが見られます。
そうした中で経済が順調に推移するような対策を県としても行わなければなりません。景気回復をどのように維持できるかが大きな課題ではないかと、こんなことを考えながら財政運営を行っていく必要があると、まず大きな感想として思っています。
次に、予算編成の中身に入ります。昨年度は6月補正において直ちに取り組める事業の予算化を行いましたが、2年目の今回は、「福井新元気宣言」の実現に向けて政策を、ステップアップといいますか1段階レベルを上げる努力を心がけたつもりです。
厳しい財政の状況の中で既存の事務事業の見直しを行うとともに、市や町、あるいは大学などとの共動事業を行うなど工夫を凝らしながら、県民の「暮らしの質」を高めるための政策に重点を置いたほか、現在の状況を踏まえ、当面の原油価格高騰対策についても対応しています。
今回の予算の特色ですが、まず1つは、「福井の次の発展に繋がる社会基盤の整備や人づくり」の事業に予算を重点的に計上しました。
例えば、教育面では、全国トップクラスにある本県の子どもたちの学力をさらに伸ばす「元気福井っ子笑顔プラン」を見直し、また、サイエンス、理数教育の充実などの事業の実施、それから、ハード的な面では中部縦貫自動車道、舞鶴若狭自動車道等の高速道路の整備や北陸新幹線を見据えた福井駅部や西口広場の整備などが、社会基盤や人づくりとして挙げられると思います。
2点目ですが、冒頭申し上げた昨今の格差問題なども踏まえ、「ハンディキャップを負っている人たちや地域に光を当てて、支援を強化」するということです。
例えば、障害者や母子家庭のお母さんたちが社会の中で安心して生活するための自立支援、それから、県内で必要な医療が受けられるようにするための医師確保対策やがん対策、集落営農の困難な地域への農業の地域サポート、これらが典型的な例として挙げられると思います。こういう格差問題的な課題についてのものが2つ目のテーマかと思います。
それから、3点目ですが、市や町、民間の力も含めて県全体の総合力をアップする「市町や大学との連携強化」事業です。
県と市町が共動して策定する「市町振興プロジェクト事業」の実施が一例として挙げられます。
さらに、大学との連携などでは「希望学」。それから「総合長寿学」(ジェロントロジー)という新しい学問による福井県の将来像や高齢化総合対策に関する研究。これは福井県が全国一、二位を争う水準に達していますので、次の段階を目指す必要があるということです。県民の皆さんの将来の希望とか幸福とかに対する希望学、それから、心や体の問題の総合長寿学、ジェロントロジーと言いますけれども、こういう問題です。
さらに、今年は洞爺湖サミットも行われる予定ですが、地域の環境貢献に対する共同研究も行いたいと思っています。福井県では様々な環境問題に取り組んでいると同時に原子力などの課題もあるわけです。
全国47都道府県は、電力を消費する県、生産する県と様々な関係があります。そういうものを1回、総合的に、どのようにこれを評価し、どういうシステムをこれからつくっていったらいいのかということに取り組んでみたいと思っています。その成果を新たな政策や国への提言に反映させていきたいと思います。
これらにより、「福井新元気宣言」に掲げる政策の一層の進化を図っていきたいということです。
さて、具体的な予算のお話に入ります。
まず、全体的なお金の面、スケールとか、それぞれの項目の伸び率などの話です。「予算案の概要」、資料No1をごらんください。
1ページですが、一般会計の予算総額は4,636億円余で、前年度に対する伸び率はマイナス2.4%です。ただし、4年前、平成16年度に発生した福井豪雨に対する災害対策経費を除くと、実質はマイナス0.4%と、若干の減ということになります。つまり災害対策経費が本年度で大体終わるということです。
歳入ですが、法人2税の減などで地方税が約6億円の減、それから、地方交付税を合わせた一般財源総額は7億円の減となり、収入的には厳しい状況にあると思います。
これは、地方税収が去年より若干下がることが1つ。それから、地方交付税は去年の税収で計算しますが、去年はわりあい税収があり、基準財政収入額が見かけ上大きく出てきますので地方交付税が減少する。今年は両方が影響することで、一般財源が減少しがちな年です。来年になると、もちろん税収が上がらないといけませんが、交付税は逆の現象を生むだろうと思います。
次に、2ページの歳出です。事業の見直しなどを徹底して、マニフェストで掲げている「政策推進枠」事業として248事業、予算額で135億円を確保しました。一般財源ベースの税や交付税などで44億円の財源を用いて135億円の事業を行っていくということです。一方、人件費、投資的経費の抑制、アウトソーシングにより経費の節減を行い、歳出の見直しにも取り組みました。
こうした予算編成の結果、収支不足が生じる分については、県の貯金を73億円取り崩すことになりました。昨年は85億円取り崩しており、20年度末の残高は193億円になります。行財政改革実行プランにおける想定額は、20年度末で100億円ですが、それ以上は確保している状況にはあるということです。
今後、安定した財政運営を続けていくためには、さらなる行財政改革に努めていく必要がありますので、今回、平成22年度までを期間とする「新行財政改革実行プラン」を策定したところです。こうした行革の取組みとあわせて、地方全体としても地方分権時代にふさわしい税財源の充実確保を図ることが必要であり、これに向けた努力も必要になってくると思います。
次に、主な事業について課題ごとに説明しますが、マニフェストの順にお話をします。最初は、「元気な社会」という分野で、教育や福祉などの分野です。資料No2をご覧ください。
教育についてですが、「教育・文化ふくい創造会議」の提言の具体化です。昨年来、「教育・文化ふくい創造会議」を設け、国に先駆けてといいますか、福井県独自の政策を進める必要があるだろうということでやっています。今回の予算では、提言に基づき、「総合的な学力の向上」、また「笑顔プラン」の充実などについて本県の実態に合った独自政策を具体化、実行します。
まず、1つは、これは資料No2の1ページに詳しく書いてありますが、「笑顔プラン」の県独自の学級編制基準です。創造会議の議論やPTAの方々のご要望も踏まえ、また費用対効果なども含めて検討し、教育の質がさらに上がるよう「笑顔プラン」の内容を拡充します。
小学校については、低学年1・2年、中学年3・4年、高学年5・6年それぞれ学級編制、ティーム・ティーチングを充実することが望ましいというのが創造会議の意見です。
そこで、具体的に、1つは、小学校1・2年における非常勤講師の配置基準を36人以上の学級から31人以上に段階的に拡充するということで、20年度はまず35人以上に拡充したいと思います。これは、小学校低学年においては、担任一人よりも複数教員による指導がうまくいくという現場の声に対応するものです。
それから、2点目は、現在、小学校5年と6年の学級編制基準が違っており、6年生になるとクラス替えをするという問題があったのですが、5年と6年の担任の先生がかわったり、クラス替えがないようにということで、5年についても、6年と同じように36人以下の学級にして、スムーズな学校運営ができるようにしたいと思います。
3点目は、中学校2・3年の学級編制基準を現在の36人以下から、段階的に32人以下にしようと考えています。今、中学1年を充実していますが、それとのバランスで2・3年についても教育がうまくできるようにしたいということです。
4点目ですが、以上のような基準に限らず、教師の定数の中で、少人数学級編制、また2人制、ティーム・ティーチング、少人数指導を校長先生の裁量により、教育委員会と相談して自由に選択できる、一律にやらないということで、児童生徒の状況に応じ、学校ごとに柔軟なやり方をするということです。
次に、理数(サイエンス)教育です。2ページ以降に書いてありますが、創造会議からの提言を踏まえ、理数教育の充実、楽しい学校づくり、総合的な学力の向上に向けた事業を多く盛り込むように努力しました。
特にサイエンス教育は、創造性や考える力を養い、生命を大事にすることかと思います。最近、道徳教育と言いますけれども、道徳を直接教えることも重要かもしれませんが、サイエンス教育によって道徳もまた幅が広がると私は思います。個人的な考えかもしれませんが、サイエンス教育を全体に充実させる。世の中をどう理解するかということですので、そんなことを思っておりまして、教育委員会でそのような方向を進めていくわけです。
なお、これに関連して、先生方の教育技術の向上や研修については、必ずしも予算につながらないものもありますが、さらに改善、刷新を加えるように教育委員会で並行的にお進めいただくことになると思います。
サイエンス教育の主な例としては、「ふくいサイエンス寺子屋」として、放課後や夏休みなどに、児童館や公民館などにおいて科学実験などを行う、これは年間100回ぐらいを予定しており、身近なところで理解をするということです。
それから「スーパーサイエンスフォーラム」、これはノーベル賞を受賞された白川英樹さんが高校生を対象とした講義や実験を行うフォーラムで、8月に福井市で開催する予定です。一流の科学者から、直接お話を聞くことが重要で、大事だと思います。昔、私は学生時代に湯川秀樹さんのお話をお聞きしたことがありますが、大学生でしたので、もう少し早くお聞きしたらよかったという気もしています。
それから、「WRO(ロボット五輪)エキシビジョン大会開催事業」です。これは大会そのものは横浜で行われますが、今年11月に、海外のチームに福井に来ていただいて、本県の子供たち20チームとチャレンジをやってもらおうということです。
大会を通じ、子供たちにロボット工学、プログラミング技術に対する興味関心を高めてもらうことが重要ですし、あわせて、会場は恐竜博物館で行いますので、恐竜博物館を世界にアピールする機会にもなると思っています。そのほか、ロボットに興味を持っている人たちにも参加していただくような工夫が要るかと思います。
それから3ページ、白川文字学です。漢字の教育は、子供たちの「読み・書き」の基本であり、また、これがうまく教えられると子供たちの漢字学習の大きな悩みとか心理的な負担を軽減できると考えています。しかしながら、現在の学習指導要領は、1週間ほど前に詳しいものが出ていますが、必ずしも子供たちが学びやすいものになっているかどうか、一層の改善が必要です。
白川先生がつくられた白川文字学を活用しながら、漢字の系統的な成り立ち、意味を理解する方法によって漢字学習が容易になるのではないかと考えています。
4月から本県独自の漢字学習を県内全小学校で一斉に開始します。したがって、小学校で学習する漢字は1,006文字ですが、その数にはとらわれない。それから、学年ごとの配当表にもとらわれない。テストなどもそれにとらわれない。評価なども必ずしもそれにとらわれないということで、基本の枠組はありますが、かなり自由に白川文字学を活用した教育を進めたらどうかということです。
次に、不登校などの課題がある中、楽しい学校づくりについてです。特に、中学校になりますと、40~50人に1人が不登校という状態も考えると、不登校対策が重要です。
そこで、「スクールカウンセラー」、「スクールソーシャルワーカー」の配置を行います。スクールカウンセラーは臨床心理士などの学校への配置ですし、スクールソーシャルワーカーについては、主に福祉的な観点から学校や家庭に派遣するタイプのものです。
それから、「新しい学級生活支援事業」というのは、学校に行っても保健室や相談室で勉強するお子さんもいるわけでして、そういう子供たちがみんなと一緒に通常の学級に復帰できるように応援していこうとするものです。
それから、4ページ、食育についてです。本県はこれまで様々な活動を行い、「食育先進県」としても評価を受けていますが、新年度は「食育推進計画策定事業」ということで、本県の食育を次の段階に進めていくための「食育推進計画」を策定します。
それから、5ページの「食育ボランティア学校連携事業」です。新年度は「給食をもっとおいしくする」という観点から、食育ボランティアの協力を得て、共同調理場方式の学校において、地場産食材を取り入れた、通常より手間をかけた給食を提供する試みを行っていきたいと思います。栄養教諭と食育ボランティアが協働で、手づくりの学校給食を提供するのは、全国では例がないように聞いています。
次に、「福井子ども歴史文化館」です。これは、福井駅東側にある旧県立図書館を、子どもたちが福井の歴史、先人、白川文字学などを、学び楽しむことのできる拠点として整備を進めたいと考えます。
子どもを対象とした歴史文化施設は全国でも例がないようですが、展示内容を十分検討し、お金の無駄のないような工夫をしながら、平成21年秋ごろまでに開館できるよう準備を進めます。また、特に県下全域、嶺南や奥越の子供たちが利用しやすくなるよう、無料送迎バスの検討なども加えて、利用できるような努力が必要かと思います。
それから、6、7ページ、スポーツです。福井県の小学生の約3割はスポーツ少年団に所属し、常時スポーツ活動を行っていますが、残りの7割の子供たちは運動をあまり行っていないという実態があります。
したがって、少年団に属していない子供や「スポーツはどうも(得手でない)」という子供たちにも、体を動かして楽しんでもらう習慣を小さいときからつけてもらうことが重要ですので、小学校6校で週1回程度、放課後に身近なスポーツを楽しめるような応援をまず開始したいと考えます。
それから、地域型のスポーツクラブです。地域の住民が身近な場所で気軽にスポーツに親しむことができるよう、地域のスポーツクラブの活動を支援します。また、あわせて、スポーツとは言えないかもしれませんが、ラジオ体操、ウォーキング、自転車など、特別な施設や道具を必要としない気軽なフィットネス、それから、ちょっとレベルの高いエクササイズを身近で行えるよう、地域でのスポーツ活動も充実する。特に冬が大事かなと思っています。
次に、8ページ、女性活躍社会についてです。昨年8月に「ふくい女性活躍支援センター」を生活学習館に開設し、さまざまな相談に応ずると同時に、リーダー養成などの研修を進めています。新年度は、既にセンターで活動いただいている「ふくい女性ネット」が母体となり、企業のトップに直接、女性活躍の必要性を働きかける活動も行いたいと思いますし、新たに嶺南地域においても出張相談、講座なども実施したいと思います。
女性の活躍で問題となっているのは、働いている人たちがこういう研修などを受ける情報が少ないとか、実際に参加する人が、希望はあるけれども、どこでやっているのか知らないというのが多いことです。そこで、情報提供の拡大が必要ですし、また、参加した人たちのネットワークを、今、始まったばかりですが、強化していきたいと思っています。
次に、子育てについてで、9ページから11ページに書いてあります。
子育てについては、既にご承知のとおり、福井県は全国的には先頭を走っている県の1つかと思っておりまして、「子育ては福井」ということを浸透させていく必要があります。これまで進めてきた「ママ・ファースト運動」、「キッズデザイン子どものまちづくり」などを次の段階に移行すると同時に、「家族時間」を延ばすための運動、また、新たな結婚対策を進めていきたいと思います。
共働き世帯が日本一多い福井県では、少ない空き時間を活用して、家事や育児をこなす家族も少なくないわけですが、特に、お父さんと家族との触れ合いが少ないという調査も出ています。
子育て家庭の「暮らしの質」を向上させるためには、家族生活と職業生活の両立を社会全体が力を合わせて進めることが重要です。そこで、家族の暮らしの質を測る物差しとして「家族時間」という新しい概念を取り入れ、学校や企業、地域が協力・連携しながら、これを伸ばす県民運動を展開していきたいと思います。
また、休日については、全国的にも長い歴史がある試みですが、毎月第3日曜日を「家庭の日」として、家庭を単位に青少年の健全育成に努めてきたわけです。
さらにこれを発展させ、「家族時間」を組み込んで、家族のふれあいの大切さを啓発しようということで、県内すべての公立小・中・高において家庭の日の翌日を放課後の活動の定休日にと考えています。
その日はクラブ活動や委員会など放課後の活動を行わないで、できるだけ早く家に帰って、みんなで「家族時間」という一種の試み、みんなでそういうことを考えようというきっかけにしてはどうかという意味です。そういうことを教育委員会もお考えですので、これと家庭の日を組み合わせて行おうということです。
それから、結婚の問題です。福井県は合計特殊出生率が2年連続で全国トップレベルにありますけれども、低下傾向に歯どめがかかるとは言えず、平均初婚年齢も上昇しています。
女性の平均初婚年齢を例にとりますと、例えば昭和60年は福井県では24.8歳でしたが、平成18年には27.6歳になり、初婚年齢が3歳ぐらい上がっています。別にこれがどうということではありませんけれども、現実はそういうことです。
これまで結婚相談所や理美容店などの協力を得ながら結婚の応援をしてきましたが、これを一歩進めて民間の団体、企業が行う縁結び活動を応援したいと思います。
例えば茶道とか華道とか、お料理とか、比較的、女性の皆さんがよく集まる場所がありますけれども、こういうところに男性が参加するとか、あるいは、より自然に、ボランティア活動とか、いろいろなことがあると思いますが、こうした場を設けていくことを考えてはどうかと思っています。
それから、母子家庭などへの対応で、11ページです。
子育て分野ではひとり親家庭の支援を充実していきたいと思います。母子家庭のお母さんたちからは、経済的に自立するために、例えば看護師や介護の学校へ通いたいけれども、なかなか時間と経費がかかって大変であるというお話があります。
従来、国の制度では1年間は給付金の制度がありましたが、今回、3年間の勉強をする場合の残る2年間について県の母子寡婦福祉基金の貸付けを行い、医療福祉の現場で実際仕事をされる場合にはその2分の1を給付するという制度を加えてはどうかと思っています。
また、ホームヘルパー、医療事務などの資格取得を目指す方に支給される国の給付金が半減することから、減額分を県で給付する、また、父子家庭のお父さんたちも対象とするということで、格差問題対応の一例かと思います。
なお、大飯町に「こども家族館」を整備していますが、8月1日に開館する予定です。実際の経費・運営などは大飯町が実行することになりますけれども、家族が触れ合える、楽しんでもらえる施設としていきたいと思いますので、大飯町と一緒にイベントなども進め、ご利用を求めていきたいと思います。
次に健康長寿、ゴールドエイジ総合対策で、12ページです。
「ジェロントロジー」、これは経済、産業、文化、都市工学など、幅広い領域を学際的に研究する総合長寿学ですが、これを福井県で開始したいと思っています。
この4月に全国で初めて、東京大学で教育プログラムが設置されるわけですが、都道府県で初めて福井県と一緒にこの新しい領域を展開する予定です。これによって就労や就農、あるいは地域への参加ということで健康寿命をどうやって伸ばしていくか、そういう新しい社会づくりの研究を行います。
それから、がんの予防治療で、12ページ以降に書いてあります。
がんについては、予防検診と医療体制の両面から対策に力を注いでいます。
県が昨年度から開始した「がん検診作戦」は、例えば美浜町などで順調に受診率が上がっているところですが、新年度においては、医師会とも協力しながら、お医者さんが直接、会社や市町村の首長、トップとお会いしてがん検診の実施、拡大を要請する「がん検診推進医」を委嘱していきたいと思います。
これまで、がんの検診率については、市町村が行う検診の統計はありましたが、企業、例えば皆さんがお勤めの会社あるいは報道機関で行う検診は、その市町村と一緒になって統計が出てはいませんので、それを市町村ごとにまとめて、その町はどうなっているかという分析ができるようにやっていきたいと思っています。
昨年10月から全国で初めて、民間の健康保険組合や政府管掌健康保険など、職域の実態を調査し、公表しています。全国でこういうことをやっておりませんので、こういう方法で強化していきたいと思います。
それから、今年度から準備を進めてきた「がん医療推進センター」を20年度中に開設し、高度な治療、診断、臨床研修の拠点となるものをつくります。これは県立病院が中心になるかと思いますが、県内外の病院との連携も強め、本格的な「チーム医療」を導入していきます。特に最初は、男女とも割合の高い胃がんを中心にやりたいと思います。
また、「陽子線がん治療センター」の予算も計上しており、そうしたものを中心に総合的ながん対策を進めていきたいと思います。
地域医療の確保については15ページ以降に書いています。
福井大学医学部の定員の増加と奨学金制度の創設、また、県立病院を中心にした公的医療機関の研修医の充実、また女性の医師確保についての対策なども入っています。
それから、16ページですが、どうしてもつい大きい病院へ行ってしまうという課題があります。大病院志向、これは様々な問題を引き起こしていますので、地域の「かかりつけ医」を普及させ、病院勤務医の負担軽減を図っていきます。
「かかりつけ医」に加え、「副かかりつけ医」や専門医などのチームを編成して、在宅医療サービスが充実できるような方向を進めていきたいと思います。
次に、福祉については17ページ以降です。
特に介護については、女性の介護負担が多いので、デイサービス施設で本県独自の「ショートステイサービス」を始め、女性の介護負担の軽減を図りたい。これが、17ページの「在宅介護女性ほっとひといき支援事業」です。
それから、18ページの「施設退所児童自立サポート事業」ですが、親御さんと一緒に暮らせない、あるいは親が亡くなった子供たちが、一旦、社会に出ても職に定着できず、自立できない場合に戻ってこられるケースがあるわけです。こういう人たちの「自立援助ホーム」、これは全国にあまり例がないようですが、こういう制度も導入していきたいと思います。
それから、障害者の問題、賃金アップ対策ですが、18ページになります。
福井新元気宣言では、授産施設で働く方の所得を倍増する目標を掲げていますが、障害者の就労・収入を引き上げる政策を実施していきたいと思います。
その1つとして、障害者が授産施設から出て企業の事業所に出向き、組立て業務とか補助業務などを行う「施設外就労」を促進すると同時に、農業部門の拡大なども目指す必要があると思います。
それから、授産施設で生産された商品を集めて販売する「セルフヘルプフェア」、つまりセルプフェアを3年前の平成17年から県庁舎でやっていますけれども、これを県内全市町の役場とか市役所などの施設でもやってもらうように拡大していきたいと思っています。
治安については20ページ以降です。
交番のライトアップ、警察官が不在になった交番などの「ポリスアイシステム」。それから、新しい課題としては、中学生への声かけなどで犯罪も生じていますが、全中学校80校におけるパトロール対策の強化、体制整備、これは小学校が中心でしたが、中学校へ拡大しなければならないと思います。
それから、学校の耐震化の問題が23ページに書いてあります。これは早く進めないといけないと同時に、いつ地震が起こるかわからないわけですので、本県独自の工夫として、建物全体を補強しながら時間をかけてやるのではなく、命を守ることを第一に、守るべき場所を明確にし、重点的にその箇所の補強を急ぐというやり方で行っていきたいと思います。
次に、「元気な産業」です。既に今年度は「経済戦略政策会議」を開催し、4回にわたる意見交換をまとめ、提言をもらっていますので、それをベースに進めていきたいと思います。
26ページ以降ですけれども、これからは商工業あるいは工業と農業、水産業などの連携が重要ですので、50億円のファンドを使いながら農商工の連携を進めていきたいと思います。
また、眼鏡ですけれども、福井の自社ブランドを消費者に直接売り込む機能と全国の小売店に対するショールーム機能を持つショップを東京に開設したいと思っています。20社ぐらいの会社が参加すると思います。
それから、産学官の連携で24ページです。共同研究の成果としての売上げを18年度の3倍の300億円を目指したいと考えます。
中小企業、福井を支える事業については、先般、デンソーにおいて展示会を行いましたが、自動車関連企業に加え、新たに家電の県外大手企業に対しても売り込んでいくことも加えたいと思います。これは「ふくい新技術展示商談会開催事業」でして、25ページに書いてあります。
これまで、福井の技術にはどんなものがあるかというのを第1段階で取り組みました。次に、大きい企業にこの技術が使えますよというやり方に少しずつ進歩していると思います。さらに、次は、直接、その品物を福井の技術で自分たちでこのように加工しました、こんなものができましたよというところまでできるだけ展開していくようにしていきたいと思います。
観光については30ページ以降に書いています。新年度に入りますと、新しい観光推進計画をつくっていきたいと思います。「ビジット“ふくい”」の計画期間が経過しますので、常時1,000万人の観光客誘致の計画をつくらなければならないと思います。
31ページに陶芸館のリニューアルとして、陶芸村全体を一体的に整備する事業も入っています。
雇用については54ページ、「若年人材誘致強化事業」です。大学在学時に県内企業の情報を提供して、つながりが途切れないように、いろいろな対策を進めていきたいと思います。
間もなく高校の卒業式ですけれども、「ふくいブランドハンドブック」をこれから活躍していただく子供たちにお送りして、福井のことをよく知っていただくと同時に忘れてしまわないように、また、宣伝していただくことも考えていきたいと思います。
また、32ページの「エネルギー研究開発拠点化計画」ですが、20年度は、関西・中京圏の大学との連携大学拠点を敦賀市に形成するために共同設置の方法などについて検討していきたいと思います。
農業は、33ページ以降に出ています。農業は今、大きな過渡期を迎えています。既に福井の農業を考えようという地元の皆さんが熱心にご議論を進めていただいていますが、新年度は「ふくいの農業・農村再生戦略」を新たに策定したいと考えています。これからの農業の基本方針を明らかにできればいいかなと思います。
そのほか、お米につきましては、お米の大粒化のプロジェクト、あるいは直播の拡大、あわせて園芸の増加などの対策を進めます。
それから、最近、限界集落という議論もありますが、集落農業などの展開ができない中山間地区を中心にした地域についての「地域農業サポート事業」を具体化したいと思います。
こういう政策は全国で初めてのものであり、各方面からも注目を集めていますので、皆さんのさまざまな力を周りの農家や集落農家の応援、あるいは、高校生を含めたボランティア活動など、全体としての展開が図れればいいかなと思います。
フードビジネスについては39ページに書いていますが、地場産コーナーをスーパーなどに設置し、地産地消を広めていきたいと思います。
40ページは林業です。来年は第60回全国植樹祭が開催されますので、新年度は特に県民運動の予算を多く計上し、具体的に進めていきたいと思っています。
ご家庭や公園、道路の沿線などに花や樹木が植えられるように、それから、県内には名木や巨木、あるいは季節ごとにきれいな花を咲かせるようなものがありますが、そういうものを明らかにして、みんなで親しんでいくということも進めていきます。
水産業、44ページです。
一般的な事業のほかに、地物のサバをさらに皆さんに知っていただいて、具体的な商品として購入できるように。ノルウエー産のサバももちろんありますが、福井のサバでなかったということが少なくなるようにしなければなりませんので、地物のサバを漁獲して、一時、蓄養する。一定の大きさになりますとサバはおいしくなります。それから、サバ料理の開発です。小型のサバは、脂が少なくて商品価値が少ないのですが、地物であるから売れないかということです。
次に、「元気な県土」づくりです。
まちづくりについては、47ページ。福井駅周辺、西口などについて具体的に計画、また、福井市などに対する支援を進めていきます。
それから、車の問題です。先日、国会討論でしたか、一世帯当たりの車の保有台数のパネルが出ていましたが、福井県が一番上に書いてありました。車をたくさん持っていることがどうだということではありませんが、車に頼り過ぎない、乗り過ぎないことは大事です。
「カー・セーブ」、つまりドライブセーブ戦略を進めたい。これは、交通の問題でもあり、環境の問題にも深くかかわるわけです。
県民運動としては、これまで、毎月1日と16日の「ノーマイカーデー」を進めていましたが、これを企業の参加の得やすい第2、第3金曜日に改めて、「カー・セーブデー」に変えて、相乗り運動とか、公共交通機関の通学、自転車通勤などを広めていきます。
さらに、福井市大和田地区のショッピングセンターや大安寺地区に駐車場を確保し、通勤時の「パーク・アンド・バスライド」の試行実験を行いたいと思っています。
それから、越美北線について、定期利用者で、朝は乗れるけれども、帰りは残業等で乗れない方に対し、京福バスの割引券を発行して、夜は夜間バスで奥越に帰っていただくというのをセットにしてはどうかと思っています。
なお、昨年11月から始めた高校生のバス通学につきましては、池田町からの乗客が5倍増、越前町から越前・鯖江市内の乗客が2倍増など、ご利用いただいているようですので、引き続き進めていきたいと思います。
次に、「元気な県政」です。
まず、ブランド対策ですが、福井県の認知度は、大分上がっていると思いますけど、まだまだ高いものではないと思います。特に、東京首都圏に重点を置いた情報発信を強化していかなければなりません。急激に認知度が上がるとは思いませんが、地道に着実に認知度を上げていきたいと思っています。
また、企業誘致、本県産品の販路開拓、ふるさと納税のPRなどをブランド推進室や東京事務所など関係部局がペアを組んで行いたいと思います。
51ページの「ふくいブランド・マーケットイン推進事業」です。東京などのある決まった場所、ポイントで認知度調査を数年間継続的に行い、ブランド戦略の効果を検証していきたいと思っています。これまでは、認知度が低いとか、少し上がったのかとか何となく言っていますが、実際どうなのか調べるべきだろうということです。
また、「女流落語による福井発信事業」ですが、「ちりとてちん」もあと一月余りになっています。味わいのあるストーリーで、これまでの連続テレビ小説の中でもなかなかおもしろいという評判も最近よく聞くわけです。
せっかくこうした番組があったわけですので、これを契機に落語などで、福井の認知度を上げていきたいと思っています。「女流落語選手権」を開催するとともに、「ちりとてちん」のロケ地との連携とか、フォロー事業になると思います。
「笑い」という言葉はあまり政治の言葉にはないのですが、私はいろいろ考えた上で、今回のマニフェストの中に初めて「笑い」という言葉を書かせていただきました。笑いとかユーモアとかウィットとかが地域のよさや暮らしやすさ、健康長寿に深くかかわってくる時代かと思っていますので、県民の皆さんのご支持が必要ですが、こういうことを進めていきたいと思っています。
52ページ、「恐竜渓谷(ダイノソーバレー)構想推進事業」です。
昨年はタイで海外調査を行いましたが、今年からは中国本土での共同化石調査も開始しますし、勝山での第3次発掘調査を今年度も7月から再開する予定でして、いろいろな意味でアジアの拠点になる必要があります。
恐竜博物館を中心に九頭竜川中流域全体を、恐竜渓谷(ダイノソーバレー)と見立てて、街道沿いでの大型恐竜モニュメントや恐竜を描いた案内板、あるいはモニュメントなどの具体化に着手したいと思います。
それから、53ページの「ふるさと納税」、ふるさと貢献です。
福井を応援する「ふるさと貢献活動」は、クレジットカードによる寄附を全国で初めて開始しましたし、ふるさと債を発行するなど、県民の皆さんの応援をいただいています。
新年度は、福井県が全国で最初に提唱した「ふるさと納税」制度が実現する、また実現したい年であり、県民、国民が自分で納税地を選べるという画期的な税制であると思います。この制度の発祥の地として、生まれ育ったふるさとにいま一度関心を深めていただけるよう、制度のPRに努めていきます。
本県出身の方など、県外からのご寄附をいただいた方には、「ふくいふるさと県民」(仮称)として、福井の情報をお知らせするほか、県政にも参加、投票はしていただけませんけれども、パブリックコメントをしていただくなど、「ふるさと応援団づくり」を進めたいと思います。
この事業は、全国様々なところで様々な活動があると思いますが、地域で生まれ育った人たち、他の地域で活躍されている人たちが地域を応援しようというのが基本的な趣旨かと思います。制度は少し拡大していますけど、その基本をよく押さえながら、全国的にモデルとなるような方法をとっていきたいと思います。
次に、環境問題についてで、55ページです。
本県独自の政策を盛り込んだ環境基本計画を今年秋に策定したいと思います。特に地球温暖化の観点から、運輸部門のCO2抑制が重要であり、自動車に頼らない生活にできるだけシフトすることが重要です。
今年度は県内自動車の走行距離を、これは車検のデータを活用する必要があると思いますが、把握する調査を新たに実施し、そのデータを指標にして自動車利用抑制の政策を検討し、計画の柱にしたいと思っています。
それから、環境基本計画です。基本的な考え方としては、これからご議論をいただかなければなりませんけれども、自然を守るということではなくて、福井の自然を豊かにするという考えを入れる必要があると思います。また、あそこにホタルがいるとか、あそこにドジョウだとかいうことではなくて、どこにでもそれがいるような地域を目指すことが必要かなと思っています。
観光、農業、まちづくり、教育、大学の研究など、様々な分野に環境問題がおのずと入り込むように、それから、県の行政についても土木行政や農業行政や様々な行政がありますが、そこに環境や景観がおのずと入り込むことが重要かなと思っています。
55ページに、環境問題のCO2対策の「地域の環境貢献に関する共同研究」とあります。地域の発電所、それぞれ県ごとに原子力も火力もありますけれども、発電方式に応じたCO2抑制効果を数値化し、これをもとに「地域の環境貢献度マップ」を作成してはどうかと思っています。
さらに、その貢献度を国の財政の仕組みに反映することができないか、慶應大学との共同研究を実施していきたいと思います。
エネルギーの受益と負担というのは抽象的には論議されていますが、国民の中で具体的なイメージとして十分できていないところもあると思います。日本全体としてより整合性のある制度、またCO2削減を進める仕組みが提案できるかどうかという問題に取り組むということです。
最後ですが、57ページ、「福井ランドスケープ構想」、福井の景観づくりです。
福井県は山並みのスカイラインがきれいですが、一方で、山の切り崩しとか、あるいは過度な屋外広告物、これはどこまでが過度かというのは難しい課題がありますけれども、皆さんが議論をして、こういうところがいいのではないかという議論があると思います。
そういう景観を守り、美しい環境づくりに向けて、専門家の意見も踏まえて各種施策を実施する必要があると思います。山並み保存、山肌の復元、あるいは土砂採取の規制をどのようにするかなど、さまざまな検討をしていきたいと思います。まず、県が設置する標識、道路の標識の数を減らし、小さくすることや、基準を強化しながら屋外広告物を適切な水準にするという検討を進めていきたいと思います。
なお、県政のレベルアップということで、市町と共同で振興プロジェクトを集中的に進めます。それぞれの市町で重要な仕事はこれであり、県とこのように進める、分担はこうだと、こんな方法をとっていきたいと思います。
【記者】 まず、今回、予算案編成を終えられて、思うようにいった部分とか、逆に思うようにいかなかった部分などを含めて、ご感想をお聞かせください。
【知事】 思うようにいったような、いかないようなところもありますけれども、やはり、今、全体に国と地方との関係で財政が、先ほど税制のお話をしましたが、厳しい環境にありますね。まだ突破口が見えないようなところもありますけれども、いろいろな税制問題についても一定の前提をとりながら努力しました。
継続的に財政運営ができなければなりませんので、財源などの貯金の確保もしながら、あるいは借入金などの長期的な傾向も見ながら、マニフェストでお約束したことをできるだけ合理的に予算化する。
福井県はさまざまな指標については幸いに恵まれた指標になりつつあり、また、県民の暮らしやすさに対する満足度も決して低くありませんので、そうした中で政策のレベルを、お金だけで上げられない部分もありますので、工夫をして上げていくことで、思うようにしようとしたということです。
【記者】 冒頭、3つの特色として、いろいろな施策を挙げられたんですが、知事から見て、今回これが目玉だというようなものを1つ、2つ教えていただけますか。
【知事】 言葉で言うと総合力を発揮したい、あるいは総合化したいという予算かなと思います。その背景にあるのは暮らしの質の向上ということですけれども、しかし、目に見える方法としては、総合力を発揮するための予算ということかと思います。
どういうことかというと、これから新しい時代を切り開かなければならないのですが、まだ完全に先が十分見えないところもある。しかし、切り開く課題ははっきりしつつあるということだと思います。これは国との関係もありますし、福井県独自でもあります。
そういうことですから、福井県のこういう状況の中で国と地方との関係や新幹線、道路などのインフラの問題を考えますと、福井県として独立した気持ちで福井独自の力を発揮しなければならない時代だと思います。
そこで、福井県の産業の力とか教育力、これは学力なども高いわけですが、地域の力、文化の力、あるいは継体天皇以来の歴史伝統といったものの力を、福井県はそれぞれ大きくはありませんが、小さいながらも総合化して自分たちの力で新しい時代を突破するということを目指さなければなりません。予算はその中の1つかなと思っています。
ですから、総合力を発揮した予算、あるいは総合化した、そのような用語になるのではないでしょうか。
【記者】 総合力を発揮する上で、今回の予算編成に当たる上で、どういう部分が課題になってくるのでしょうか。
【知事】 先ほど申し上げたところが3点ありましたね。基盤とか人づくり、これはかなり長い期間に効果のあるものを着実に進める。特に社会基盤については、新幹線、道路など、国との関係がありますので、強い政治力を国会議員の皆さんと力を合わせてやっていかないと展望は開けないと思っています。そういう基盤関係の展開です。
もう1つは格差問題などが出ています。様々なハンディを負った人たちに絶えず行政や地域の人たちが目を向け、支えている、あるいは支えられているんだという。100%すべて瞬間的に満足できないかもしれませんが、そういう地域であるということが大事だと思います。
それから、より具体的な連携、共動。新しい分野、先ほどの総合長寿学とか希望とか環境問題、これまで何となく議論していたものをより計量化したり、外面化するというか、具体化すると言ったほうがいいのか、言えるようにする。それによって我々の判断も変わってくるというか、次の段階に行けるということです。
【記者】 知事にとって2期目の2年目というのはどのような位置づけで、どういうお考えで今回の予算案を組まれたのでしょうか。
【知事】 去年は骨格予算案と肉づけ予算でしたが、今年は通年の予算案ですし、重要だと思います。一番重要な時期かと思います。ほとんどスタートに近い段階でしょうから。環境は厳しいですけれども、年明けの会見のときはチャレンジしたり、勝負したりするという意味のことを申し上げたと思いますが、そういう感じかと思います。
これは県の政治もそうですし、新幹線など我々だけでは十分できない部分がありますが、そういうことを方向づけをしなければならないということです。そういう位置づけがありますから、かつマニフェストの具体化として、今度、2年目になるわけですので、2年を終わると半分経過するということで、重要だと思っております。
【記者】 今回の予算規模ですけども、一般会計で10年連続の減少になったことについて、やはり地方財政の厳しさというのを改めてお感じですか。
【知事】 やっぱり三位一体とかがあり、ここ数年、地方交付税などが大幅に減少しているという問題があると思います。もちろん行政改革とか、無駄なことはなくさなければなりませんが、地方の財源が、我々が思っていたよりも、あるいは期待していたよりも歳入面で相当厳しいので、それを回復しなければなりませんし、これからの税制改正などでもそういうことを強く要請する必要があると思います。
【記者】 地方交付税ですけれども、今回の予算では特別枠の地方再生対策費が盛り組まれています。財政力の格差是正をうたい文句にしていましたが、今回の交付税の額を見ると、まったくそういうことにはなっていません。その点について知事の考えをお聞かせ下さい。
【知事】 交付税が減らされ過ぎているということは、ここ数年からあると思います。かつ、法人2税の譲与税化というのがありましたが、あれは当面の対策としてとられたと思います。基本的な税収格差の是正方策はまだ見えていない。そういう状況で、かなり厳しい時期だと思います。各県ともそうだと思いますね。
【記者】 総合力という点で、県民とともに力を合わせる共動事業が30以上盛り込まれています。県と市町の振興プロジェクトも考え方としては同じなのかなと思うんですが、改めて知事のお考えをお聞きしたいと思います。
【知事】 県と市町の関係を言いますと、やはり、限られた厳しい条件ですから、仕事に重複があったりそれぞれやっているよりも、双方で話をして、それぞれのまちのプロジェクトを進めたほうがよほど効果があると思います。ですから、そういう議論の中で、自分の市はこれを進めるというところを応援するやり方を今回やろうとしているんです。
お金がたくさんある時代ですと、適宜、こういう枠の中でやっていただければということですが、そういう時代ではないです。
【記者】 県債残高が19年度末の見込みで8千億円を超え、基金残高は200億円台に減少する見込みになっています。新しい行財政改革実行プランでは県債残高の減少に歯止めをかけ、基金100億円の確保を挙げていますけど、非常に財政構造が厳しい中で、プランどおりやっていけばいいというお考えなのか、さらに厳しくやっていきたいというお考えなのか、お聞かせください。
【知事】 行革プランをしっかり実行すれば債権の上限管理とか、毎年の収支とか、あるいは基金の確保は可能かと思います。一方で、景気とか税収の動きもあり、それが変動してくると思いますから、適切な税制改正をこれから加えなければなりません。
かつ、地方交付税がさらに国のほうで一方的に縮減されることがあったりしたら大変ですから、そこは全国知事会など、地方六団体が力を合わせて地方の事業の確保といいますか、地方財政の維持は重要だと思いますから、これからの政治的な課題になると思います。
【記者】 先日、福井鉄道に関して名鉄が10億円を拠出する形で撤退するという話で、大筋、協議会では合意したそうですが、知事はこの件に関してどのような評価をされますか。
【知事】 評価といいますか、関係者の議論を詰めてきたということです。
ただ、金融機関の借入金を返済する見通しをまず1つつくらなければいけない。その上でこれからの安全基盤投資や維持費をみんなでいかに支えるかということです。その2つがあるわけです。
その全体を今やっているけれども、借入金の返済が完全に銀行なり、どういう財産等の対応があるかを押さえないと完結しませんから、それをこれから福井鉄道と金融機関を中心に枠組を決められると。それがセットされないと、この話は終わらないということです。
【記者】 今後の活用策については。
【知事】 これは特に3市が全力で取り組まなければ維持できないと思います。
【記者】 福鉄の支援策として継続的な経費の支援とともに、救済スキームとして、県が8億円、沿線3市から4億円が福鉄の資産の購入資金として出されるんですが、それに対する県民へのご説明としては、どういうふうな説明をされるんでしょうか。福鉄の沿線の方はいいと思うんですけれども、奥越の方とか、その他の地域の方に対して。
【知事】 やはり鉄道全体、えちぜん鉄道や福井鉄道、越美北線、小浜線の電化、それから敦賀までの快速電車など、9つの都市や沿線のまちについて地域鉄道網が確保されているということは、基本的には重要なことだと思います。
もちろん、お金の面は、地域の皆さんのご支持がなければなりませんが、それが可能であれば、これは維持されるべきものだと思います。それを基本に。今回、福井鉄道もそれが維持されれば実行されますし、されなければ実行されないということなんです。今、その議論の途中だということだと思います。
【記者】 新幹線について、与党整備新幹線建設促進プロジェクトチームで、JR各社が未開業区間の施設貸付料の前倒し活用に難色を示しました。その点について知事はどのようにお考えでしょうか。
【知事】 施設貸付料というのは、独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構、昔の鉄建公団、今の鉄道整備機構の法律によって国交省が認可し、それによってJR各社が使用する機構の財産の使用料ですから、法律に基づく手続きによって払うものです。
これから八戸から青森とか、新八代から博多までが、数年後には利用可能ですが、あれは必ず使用料として入ってくると思います。
金額の具体の計算がどこまでできるかということがあると思いますし、かつ、それは法令に基づく根拠になってあらわれるものでしょうから、その交渉をいかに政府とJRあるいは機構でセットするかということにかかわると思います。
そのセットも、金額がすべて決算的にわかる瞬間なのか、あるいは、見通しがわかるからやるのかという気構えの問題でしょうから、現在でも計画をつくれると考えればつくれるものだと思います。全然ないものではありませんから。
かつ税金のように、新たに、何にもないところといいますか、もちろん、所得や資産がないといけないですが、賦課徴収するというタイプのものではありませんから。法令の根拠に基づくその制度をいかに計算して合意を進めるという交渉事だと私は思います。それは政治的に可能ではないかと思います。
【記者】アメリカ大統領選挙に関して、小浜市で民主党の大統領候補のオバマ議員を応援することで、小浜市の知名度が上がっています。ハワイなどでのオバマ議員がクリントン議員を上回って、かなり大統領候補として有望ではないかという状態ですけれども、知事の感想なり、福井県としてどうかという評価を伺いたい。
【知事】 地域が自分で問題を切り開いていくという動きが小浜市にあるということだと思います。いろいろなことで努力をするということは大事だと思います。
── 了 ──
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