知事記者会見の概要(令和3年5月20日(木))

最終更新日 2021年6月10日ページID 047082

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令和3年5月20日(木曜日)
10:40~12:00
県庁 大会議室

知事200213

 

 

〔配付資料:新型コロナウイルス感染症対策について

【知事】

 それでは私からまず発表させていただきます。

 1点目は新型コロナウイルス感染症対策につきまして、現在、5月28日まで特別警報の期間ですが、明日から6月4日まで感染拡大警報に引き下げます。

 本日は、4名の新規感染者が判明しています。1週間の感染者数が36名、病床使用率が58床で19.7%という状況になっています。警報水準になるかならないかのような状況になっていまして、そういった点を踏まえ、今回、特別警報から警報に引き下げをさせていただくというところでございます。

 状況を見ても、一番多かったときが病床で168床、新規感染は1週間で133人というような状況でしたが、現状は3分の1程度まで下がってきているというところです。患者さんの新規発生は特に40人からあまり大きく減らないような状況が続いています。病床についても大きく減り続けることはないという状況ですので、県民の皆様には、引き続き感染対策を徹底していただきたいと思っています。

 先週土曜日ですが、菅総理から要請を受けまして、総理公邸で菅総理をはじめ、関係大臣に対して私からご説明をさせていただきました。その概要も含めて、ご説明をさせていただきます。その時に私がデータとして出させていただきましたのが、こちらの資料です。内容的には、4月の福井県内の新型コロナウイルス感染症の患者さんが286名いらっしゃるわけですが、この方々がどこから感染したかについて詳細に分析をさせていただいたところ、以前にも発表させていただいていますが、85%がマスクなしの場面で感染をしているということでした。その内訳を見ますと、飲食の有無としてマスクを外しやすいという意味だと思いますが、3分の2が飲食の場面で感染が起きているということが判明しました。さらに、どこで感染したかということで、マスクを外しているところとしてご家庭が一番多いということにはなりますが、それ以外の例えば飲食店、外でのバーベキュー、学校や職場、病院や施設の関係は飛沫感染以外のこともあるかもしれませんが、これもマスクなしの感染という中では、6割程度は家庭外でも起きている。マスクをしていれば、感染を防げたのではないかという部分が、かなりあるのではないかと考えています。

 また、どこから来ているか、県内で蔓延しているかという状況について確認しますと、5月14日までになりますが、3月以降で見ますと94の新規系統が入ってきており、そのうち81の経路がわかっていまして、97.5%が県外由来であるということが明確になったということです。総理にもお話ししましたのは、変異株の特徴として、これまでもよく言われていますが、若い世代、強い感染力、発症までの短い日数ということも申し上げました。若い世代がうつりやすいというよりは、若い世代にもうつるようになった。受容体が未発達の子どもでも、感染しやすくなっている。それだけウイルスの量が多いと言われています。感染力が強いということで、5人に1人がうつしていたものが3.4人になり、3割程度の方は他の人にうつすようになった。濃厚接触者の発症割合も2倍以上になっているということです。発症までの期間も今まで4、5日だったものが3日になり、合わせてお話を申し上げたのが変異株の重症化率について、福井県でも調査を行いました。症例は全体で900ぐらいでしたので、数は多くありませんが、1期、2期、3期とだんだんと重症化率は下がっています。病床というよりは、医師に伺っていても治療のやり方が大分確立をしてきている。早期に発見ができている。早期の発見ができて、一定の治療をしていくと重症化しないということが病院の常識のようになっている。その中で変異株について調べると、4月の段階で4.3%が重症化した。この率は今までの率よりも低い。もう一つ着目すべきは同じ時期の従来株。4月中は変異株が7、従来株が3でしたが、従来株も同時期に発生していますので、医療の環境はほぼ一緒。入院していただく段階では同じでわかりませんので、同じ医療が受けられている環境下においても、ほぼ重症化率に変化はないというところは少なくとも福井県の状況であったということを申し上げました。

 そして、「福井モデル」とはというお話を申し上げました。まず徹底した積極的疫学調査を行わせていただいていますということを一番に申し上げました。結果として、感染経路の不明はこれまでを通じて3%程度。言ってみれば97%は、感染経路がわかっている。誰に感染させたか、誰から感染したか。特に総理に申し上げたのは、誰から感染したかというところも力を入れてやっていますということ。誰に感染させたかの方は、濃厚接触者を選定するだけではなくて、接触の可能性のある人たちを探し出すことにも徹底して使わせていただいていますということを申し上げました。結果として、PCR検査のときも濃厚接触者だけではなくて、接触の可能性のある人を幅広くやらせていただいていることを申し上げています。

また、対策を打つときに、まずエビデンスと現場の状況を把握することを常にやらせていただいていますと申し上げました。結果として、マスクなしでの感染が85%ということもわかってきましたし、また、週に1回医師会と県の担当が常にミーティングを行っています。これによりわかって、即座に始めたのが、入院コーディネートセンター。県下1か所で新型コロナの患者さんが判明した場合にはどこに入院してもらうかといったことを行っています。DMATの医師にやっていただいていますので、トリアージも一緒にできている。ですから、最初の一本の電話のところで、重症化の度合いを一定程度判断しまして、どこの病院に入っていただくことが適当であるかということまで、この段階でできているということでございます。

 そして、受診・相談センターです。相談業務について、全国的には開設されています。私どもでは、少し具合が悪いといった時にPCR検査を受ける場所も一元的にご説明をさせていただいています。検査をここへ受けに行ってくださいという調整もさせていただいています。

 そういう意味で現場の声を聞きながら、入院コーディネートセンター、受診・相談センターを運営している結果、嶺南地域で一時にクラスターが発生した時に、入院の環境等もなかなか嶺南だけでは整っていないと言われたのですが、これまでいわゆるたらいまわしやお待ちいただくというようなことが多く発生していないという現状もあらわれています。それが結果として、重症化率も低い状況に抑えてこられていることかと思っています。

 その上でまた、エビデンス、現場の状況をしっかりと把握した上で先手先手の対策を出させていただいているというところかと思っています。例えば、昨年4月23日にマスク購入券も出させていただいて24日から販売をさせていただきました。また、宿泊療養施設について、東京では4月7日からでしたが、私どもは4月5日から稼働させていただきました。さらに、妊婦さん向けの無料PCR検査も4月からやらせていただきました。また何といっても、現場の状況を把握しながら、3月、4月の初めに医療従事者が大変ご苦労されている実態もよくわかっておりましたので、全国で初めて、第1例目から特別手当の支給をさせていただいています。AIによる誹謗中傷の監視もやらせていただいているわけです。いずれもエビデンス、現場の状況をしっかり把握している結果、先手先手の対策をやらせていただいていると考えています。

 これからは、「おはなしはマスク」ということで、今やらせていただいています。総理にも、今までの対策はもちろん、休業をお願いすれば、休業に対する協力金の支払いをするということは、当然我々もさせていただき、必要だと申し上げました。

 しかし、今一番求められていることは、みんな何をしていても、どれだけ頑張っている人も、そうでない人はいないと思いますが、みんな同じ扱いになるところは、なかなか国民の理解が得にくくなっているのではないかということを申し上げました。

 そういう意味では、これから先、一生懸命減らそうとする人、国や自治体が言っていることに協力してくれる人に対するいろいろなインセンティブというものを高める必要があるというお話を申し上げました。私ども「おはなしはマスク」に対して、例えばこれからマスク会食にインセンティブを与えていくことを申し上げたところです。

 もう一つ、忘れてはいけないのは、何といってもチーム福井でやっています。福井県はどうしてそんなすぐにできるのですか、なかなか判断大変でしょうという話もありましたが、本当に看護師さんも含めて医療の関係者、市や町、県議会、業界団体、県民の皆様の理解を日ごろから大変重視して、コミュニケーションをしっかりととらせていただくことを心がけていますと申し上げました。

 メディアを少し拝見していると、チームふくいは小さな自治体だからできる、すぐに人口規模が小さいと言われるのですが、私たちがやっていることは決して人口規模でやっているのではありません。何を言いたいかというと、人口当たりに引き直していただいても、全国のどの都道府県と比べていただいても、決して引けはあまりとらないのではないかということを誠心誠意させていただいているというところが大きいと思います。今感染者が大きく広がっている団体が今すぐにいろいろなことができるとは思っていません。

 しかし、やはり落ち着いてくる時期が来ますので、そのときに次に何をするのかということを一緒にまた考えながら、全国知事会でも話し合ったり、私どもでも情報交換していくということも大事かと思っています。

 今、申し上げたような点を踏まえまして、警報期間と県民の皆様へのお願いということです。「おはなしはマスク」を徹底するということは、最近のニュース等でも相当取り上げていただいていまして、専門家の方もしっかりとしたエビデンスが出てきた。総理もそこのところに一番関心を持たれていまして、こうしたしっかりとしたデータを初めて見たということをおっしゃっていただきました。なかなか数字を出すというのは勇気もいるところもあります。それまでの調査をする段階というのもしっかり確認ができているかどうかといったところも非常に難しいところがあるので、数字というものはなかなか出しにくいというようなことを言われる専門家もいらっしゃいました。そういう方も福井県のデータはしっかりしているとおっしゃっていただきました。そういうデータに基づいて、会話時のマスク着用を徹底していただく。

 総理にも申し上げたのは、皆様にいつもマスクという話をすると、いつもマスクをしていますと言っていただきます。しかし、先ほどのデータで見ていただいたとおり、感染された方にどうでしたかと聞くと、その時はしていなかったという方が大半になると申し上げました。マスク会食のときは、いつもつけたり外したり、外したりつけたりが大変だよねという話。総理は前の会見でも言っていましたが、マスク会食ということをされてらっしゃるのだと思います。その上でも、例えば黙食は会議の席でも議論ありましたが、ある大臣が黙食の場合、下を向いて黙って食べている分にはほとんど飛沫は出ないという結果が出ていますということも言われていました。やっぱり話をするときは、問題なのですというお話もありました。話をするときに集中する、声を出すならマスクをしていましょうということで、食事をしている時でも、黙って食べて、食べ終わってからみんなでお話をするのでもいいですし、自分の順番がまわってきてお話をするならマスクをする。会話時のマスク着用の徹底をお願いしたいと思います。それを進めるために「おはなしはマスク」のシール、これから配られると思いますが、お子さんは喜んで貼ってくれると思います。「おはなしはマスク」のバッジもイベントの時に配らせていただこうと思っています。

 また、マスク会食がしやすいようにということで、これは他の方から頂きましたが、専用のマスクだそうです。耳のところが細いゴムでできていまして、伸び縮みが非常にしやすい。簡単に伸びて、体温で温まるとさらに伸びやすくなるそうです。伸びてすぐに戻せる。鼻のところも形がついていて、空気がもれにくくなっている。こういうマスクの工夫もされている。これは、立体的でもありますので、あまり口につきにくい、女性には口紅がつくのが嫌という方もいらっしゃいました。こういったいろいろなところで工夫したものが出て来ています。こういったものをご活用いただければと思います。

それから県をまたぐ移動を控える。現状においても、まだ相当全国で感染が拡大している状況です。先ほど申し上げた97.5%は県外から入ってきている状況です。現状でも、新規系統が入ってきていますが、これもやはり県外からですので、ぜひ不要不急の往来を控えることをお考えいただきたいということです。

 そして、お出かけは県内へということでございます。ふくいdeお得キャンペーン、GoToイートの新規予約の販売を再開いたします。

 また、迷わず医療機関が大事だと思います。やはりクラスターになって広がっているのは、現状でも少し病院に行くのが遅かったというときに、どうしても次の次の感染が起きた後になっている状況です。ぜひ、少し変だと思ったら、まずお電話していただくことが一番良いと思いますので、お願いをしたいと思います。

 現状の福井県の数値は、いわゆる国の基準によればステージ2より下、重症化率であればもうほぼステージ1でもない、もっと下という状況です。ステージ1相当かということで、経済再生をまた始めさせていただきたいと思います。

 まず一つは、ふくいdeお得キャンペーンは新規予約を止めておりましたが、明日から再開させていただきます。あわせて、ゴールデンウィークのときからやっていますが、新規予約者への県民限定クーポン2,000円や3,000円というクーポンについて、配布をさせていただきます。上限は、5,000円ということです。割引対象は8月31日までに予約販売されたものについて、12月31日の宿泊、日帰り旅行分まで延長ということです。

 5,000円は低いのではないかと思われてらっしゃる方も少し工夫していただいて、宿泊、日帰り、それぞれに旅行をするという形にしていただければと思います。例えば、初日は日帰りでツアーに入って過ごして、お金を払って、それから宿泊する。翌日また日帰りのツアーに入りましたという場合には、3回使えるということで、上限の5,000円は1万 5,000円になる。ツアーもありますので、上手に賢く使っていただくことも大切かと思っています。

 さらに、GoToイート事業につきましても、販売の再開をさせていただきます。少し準備の関係がありまして、来週の月曜日から始めさせていただきます。今回の緊急事態宣言もしくは特別警報時期から準備をしてきましたマスク会食推進店を薦めています。時々見かけるようになった、結構かわいいなと自分でも思いますが、マスク会食推進店というマークのあるGoToイートの登録店でご利用いただけます。ぜひそれを目印にこれまでのクーポンも含めて、これからはマスク会食推進店でご利用いただけるということです。売り場がこれまでと変わりまして、ローソンなどになりますが、販売店の詳細はしっかり広報させていただきます。これから販売になるものは、5,000円で6,000円分の食事券が買えます。

 これも前向きな対策の一環でして、お店がこうしてマスク会食を推進していただければ、お店にとっても、5,000円、6,000円の食事券を使ってもらえる、お客さんが増えるということです。さらに、その店には10万円の奨励金をお支払いする。お店を確認させていただいてからですが、これから頑張っている人が報われるようなインセンティブもさせていただく。買う人も、GoToイートの登録店でマスク会食をしっかりしていただければ、食事券が使えるメリットもあるということです。

 聖火リレーの対応につきましては、各県の状況を見ていますと、感染が拡大して外出自粛をされていらっしゃるような県では、公道でのリレーは中止されていますが、福井県では現状、そういう状況ではないかと思っています。感染対策は徹底させていただきます。前から申し上げているように、20mに1人ぐらいは、観客の皆様を整理する係がいて、リレーの前に走っていて、少し密になっているところがあれば、注意して回っていくようなこともさせていただきます。できるだけオンラインで鑑賞し、見て応援していただくことも大事かと思っています。また、スタートとセレブレーションをするところは、人数を制限させていただいたり、道が細いところは少しルート変えたり、いろいろな対策を講じさせていただきます。  何とか公道でリレーができればいいなということです。しかし、感染状況がひどくなれば、直前でも変更することを組織委員会と相談させていただいているところです。新型コロナ関係は以上でございます。

 

〔配付資料:産業のDX推進について

 二つ目が産業のDX推進についてということで、ふくいDXオープンラボを開設させていただきます。6月14日から産業情報センターの1階に開設いたします。県内の企業の身近なDX事例を紹介する、専門家、金融機関などの支援機関による相談、オンラインでの説明など、DXを目指す企業と支援機関が情報共有、共創する場所となっています。

 DX事例の紹介については、興味がある企業になると、こちらへ来て、いろいろとご相談をして、どんな良い方法があるのですかというようなこともしていただけるような拠点としてご活用いただきたいと思います。

 もう一つ大切なことは、県内ではどうしたらいいかわからない、人材がいないといったお悩みの方、もしくはお金がかかるのではないかというような方もたくさんいらっしゃいます。小規模の企業にはそういう方が多い。例えば、受発注の伝票をパソコンに入力をする、顧客名簿をエクセルに入力するだけでも、はがきを出すときにすごく簡単になって、手間がかからなくなります。DXオープンラボが一緒になって、金融機関、中小企業診断士、経営指導員や税理士という方々にいろいろなツールがあることをまずご紹介をさせていただく。そうすると金融機関の方々はいろいろなところでコンサルタントをしますので、待っている人や自分からわざわざ相談に来ないような人にも、いろいろな情報を提供していく、どんどんDXが進むようにしていくといったことをこの拠点でしていきたいと思っています。オープン記念として、県のDX戦略アドバイザーの伊本貴士さんにご講演をいただきます。また、午前中には、Kintone(キントーン)というデータ管理や業務管理などのデジタルツールがありますが、このツールの勉強会をしたり、講演会のパネルディスカッションもさせていただこうと思っています。ぜひまた取材とご興味のある方はおいでいただきたいと思います。

 さらに民間企業のITエンジニアを養成していくということです。例えば県内のベンダーなどの事業者さんに、ちょっと聞くだけでも年間40人ぐらいは人が足りない、採れないというようなことをすでに聞いています。その一助になればということで、まず一つここでやろうとしていることは、例えば学生さん、もしくは今転職を考えている、パートで働いている人が正規になりたいというような方向けに、ITスキルでお給料がいただける水準にまで引き上げるスクールを今回開設させていただこうと思っています。8月から始めてプログラミング技術も習得していく。6月上旬から募集を始めさせていただこうと考えています。今のところ考えていることは、50名程度ですが、さらに、幅広く、それで食べるとまで言わなくても、企業内の人のレベルを上げていく工夫を先ほどのDXオープンラボのところでも考えていきたいと思っています。

 また、こういう方々を応援するサポーター企業もあわせて募集します。メリットとしては、交流会に参加できますので、良い人がいれば、その人を雇うめどをつけることもできます。また、インターンシップの受け入れをしていただくような企業となることで、研修生の皆様にもメリットがあります。このサポーター企業については、今日から6月いっぱい募集させていただきます。登録料は無料となっています。

 

〔配付資料:「いちほまれの日」について

 三つ目は、「いちほまれの日」を定めます。毎月1日、ちょうどわかりやすいと思いますが、“いち”ほまれですので、「いちほまれの日」として販売促進、そして皆様方にいちほまれを知っていただくような日にしまして、6月1日から消費拡大の運動をしていきたいと思っています。例えば、量販店にのぼりを送らせていただいて出していただく。また、県内のJA直売所、20店舗あるのですが、喜ね舎、丹生膳野菜、Aコープなどいろいろなところで開催します。また、東京の「ふくい南青山291」、銀座の「食の國 福井館」では送料無料キャンペーンも行わせていただきます。食味ランキング「特A」獲得を記念して、味の素(株)と連携しまして、「お家ごはんを楽しもうキャンペーン」も8月末まで実施しています。いろいろな企業ともイベントをこれから企画していきたいと思っています。

 私からの説明は以上です。

 

【記者】

 全国的にはまだまだ感染の拡大が続いている中で警報への引き下げの判断に至った理由、要因と6月4日までに期間を設定されたことについて、お聞かせください。

 

【知事】

 特別警報が出ている状況ですと、経済的にも再生がなかなか進まないということがあります。県民の皆様のご協力によりまして、実態として医療の提供体制や新規感染者の数ももう警報基準になるかならないかまで下がってきています。そういう状況ですので、そういった傾向が今後とも続くように、これから気をつけながら、経済再生にも軸足を移すということで、警報とさせていただきました。

 2週間とさせていただいているのは、今もお話ありましたが、福井県を取り巻く各県は、ステージ4やステージ3というような大変厳しい状況にあるわけですので、気を緩められるような状況ではない。そういうことはもう明白だと思っていますので、県外との不要不急の往来を控えていただく、「おはなしはマスク」は引き続き徹底していただいて、こういう状況が維持できれば、経済再生も進むということで、警報という注意喚起は2週間とらせていただいたというところです。

 

【記者】

 菅首相に対して県の取り組みをご説明され、大変興味を示されたと伺っています。具体的にどういったご発言や反応があったかという点とその会談後、改めて政府から国の施策に反映したいといった問い合わせなどは県にあるのでしょうか。

 

【知事】

 会談で私が話したことは自由ですが、お相手が言われたことはあまり私が申し上げることではなく、お相手からお話しいただければよいのだろうと思います。大きく言えば、やはり大変関心を持っていただいたのは、「しっかりとしたデータが出てきたのは初めてだ、こういうものが欲しかったんだ」とそれぐらいの勢いで総理は何度も言われていました。

 さらに、「このデータをしっかりと活かしていく。政府を挙げて、これからの対策に活用していく」ということもおっしゃられていました。これから、政府としてもいろいろお考えいただくのではないかと思っています。前向きな対策の必要性ということも、私申し上げましたが、そういったことについても大変興味をお持ちになられたかと思っています。

 

【記者】

 会談に至った経緯と、また一方で県民に対して他県への不要不急の往来を控えるように呼びかける中で、東京に行かれた判断は適切だったとお考えでしょうか。

 

【知事】

 今のようなご質問をいただくこと自体が、私としては不徳の致すところだと思っています。不要不急かどうかというところは、皆様にご判断いただければよいかと思いますが、そういうご質問が出るということは、私自身、発信力が足りていないということで反省をさせていただきます。

 不要不急の往来ですので、それぞれに事情を抱えられて、皆様はしていらっしゃっているのだろうと思っています。

今回、ご説明したような4月のデータが出ましたが、これはもともと私もそれを非常に求めていて、工夫をしながらここまでやってきて、ようやくその数字、良いものにたどり着いた。85%にたどり着いたということではなく、その信用に足るものにたどり着いたということで、菅総理にメールで送らせていただいたら、すぐに総理から反応がありました。直接私に電話があって「ぜひ来て説明してくれないか。内容をよく聞きたい。数字はすばらしい」というお話でした。もちろんオンラインでもよいのではないかという話もあるだろうと思いました。思いましたが、やはりオンラインと実際のリアルにお会いするということは、大きな違いがあると認識しています。

 やはり重くなるといいますか、話がしっかりとできるということもありますし、現実に今後の人間関係も大事だと私は思いました。総理だけではなくて関係閣僚がいらっしゃいますので、そこへご説明をしてくるということは私にとっての人間関係もありますが、これは全国にとっても必要なことで、なおかつ、詳細に信頼関係を作りながらできるということは、この場面では大事だというような感じもしました。

 また、発信ということも大切だと思っていました。私の経験上、よく知っていたのは、総理の周りには総理番という記者がたくさんいらっしゃるので行けばいろいろと報道してくださるだろう。オンラインだとたぶん出なかったと思います。

行きましたので、記者にすぐ取り囲まれまして、福井モデルの話をさせていただいたり、そこでの福井県の考え方も発信をさせていただきました。報道を見ていたら、「おはなしはマスク」のシールを大きく撮ってくれていて、そういう意味では狙いにありましたが、発信もさせていただけたかと思っています。

 感染対策をしっかりとって、もちろんマスクは外さなかったかというとお水を一杯いただくとき、先程みたいに水を黙って飲みましたが、それ以外にマスクは一切外していませんし、皆様との間の会話も常にマスクをしながらやらせていただきました。

 副反応が一つだけあるとすると、家に帰ってきてから、書斎にこもっている時を除くとずっと私は家でもマスクをしている。これは副反応として私個人にはございます。そういうような経緯と考え方でやらせていただきました。

 

【記者】

 マスク会食の徹底のところで、一人ひとりが意識しないとなかなか進まないことだと思いますが、例えば飲食店でマスクなしで会話しているお客さんがいた場合に店側はどのように具体的に対応、お声かけなどをしていけばよいとお考えでしょうか。

 

【知事】

 これはマスク会食推進店だということを事前によく県民の皆様にご認識をいただくことが大事だと思います。先ほど申し上げましたが、GoToイートを使うならマスク会食ということです。また、マスク会食推進店ということは、お店の前に貼ってあると思います。 

 その上でお店の方ともお話をしますと、1回2回は、最初におしぼりやマスクを持って行ったときに、マスク会食お願いしますという話を言って、2回目ぐらいまで言って、3回目はなかなか言いにくいと言われているのは、そのとおりかと思っています。

 早い段階から、これが常識になってきたら、やはり日頃の皆様も多分そうですが、マスクを外しておはなしをしている人が自分の前にいれば、多分言うと思います。皆様が普通に「マスクを忘れているよ」と言えるような状況を早くつくることも大事かと思っています。

 いずれにしてもマスク会食推進店の認証もさせていただきます。6月の半ばぐらいから急いでやっていきますが、とりあえずは個人認証や本人認証でうちはマスク会食をやりますし、やっていますということを表明していただいて、その上で、6月半ばぐらいから全店回っていってされているかどうかを確認して、確認できないと「もうちょっと頑張って」ということをやりながら、マスク会食がスムーズに広がっていくようにしていきたいと思います。

 中には黙食、うちは黙食専門だというラーメン屋さんもありますので、本当に黙食をしているのでしたら、特段マスクをしなければいけないということもないかと思っています。その辺の細かいところはまた通知の中でも、書かせていただくことになると思います。

 

【記者】

 ワクチン接種について、改めて高齢者の接種時期の完了見通しと各市町から寄せられている課題があれば、お聞かせください。

 

【知事】

 これはすでに報道等もされているかと思いますが、県内の17市町につきましては、医師と看護師のご協力をいただいて、人数がそろえば、というような前提ですが、7月末までに高齢者の皆様へのワクチン接種は完了すると聞いています。

 現状、昨日までですと、全体の4.6%の接種が終了しているかと思っています。市町のお話を伺いますと、特に今はたくさんの人に接種を行う立ち上げのときですので、まだどうしても医師や看護師の数がそろわないというところがあります。そういうところについては、福井県で広域の調整をさせていただいています。

 また、福井市につきましては、県民全体対象ですが、県の接種会場を設けていきたいと思っています。さらに、密とならないようにいろいろな周知もしくは助言等も県でさせていただく。こういうようなことをいろいろ伺っていますし、しているところでございます。

 

【記者】

 7月末までの高齢者へのワクチン接種完了について、実際に私の祖母が8月に予約がずれ込んでいる状態ですし、県民からも何人かそういったご相談があります。そういった方に対してはどのように対応されるのでしょうか。

 

【知事】

 これは具体的には各市町でご対応いただくことにはなりますが、早い段階で体制が整わないうちに募集をした方々で8月となっている方はいらっしゃると思います。これについては順次、期間内に移って前倒しになると伺っています。

 ご本人が希望した8月というのであれば、それが認められないわけではありませんので、それをどちらにするかは、市町とご本人とのご判断かと思います。

 

【記者】

 そういった方に対して、改めて県から市町に対して再通知をするよう呼びかけをするのでしょうか。

 

【知事】

 県がというよりは、その方が今どうなっているか、もしご心配であれば相談センターにご連絡いただければしっかりと対応させていただきます。一般的に個別の診療所で受け付けているような場合には、診療所から日を変えませんかというご連絡をされてるようなことも聞いています。市町の会場であれば、市町からお声掛けをしていくのだろうと思っています。

 

【記者】

 ワクチンの関係で、先ほど知事から県で医療従事者の調整を広域的にするという話がありましたが、具体的にどういう進め方が考えられますか。

 

【知事】

 市町の場合は、基本的に市町の中の医師会と話をされています。その中で、例えば特定の日に市の集団接種会場に来てくださる医師が足りないというお話であれば、境界を越えて、県の医師会と話ができますので、周辺の医師会にお声掛けして、協力できるのであれば、大野や勝山、福井市内などの医師にその日は行っていただくような方法が一般論として考えられます。それ以外の方法があれば、また考えることもあるかと思います。

 

【記者】

 福井モデルについて、先ほど人口当たりで見れば全国でも引けをとらないというお話をされていたかと思います。単に人口が少ない、感染者が少ないからできたというのではないところで、定量的に全国と比較して、数字を上げられる部分があればお聞かせください。

 

【知事】

 詳しくは後で担当に聞いていただければいいと思いますが、例えば陽性者1人当たりのPCRの数は、東京などはわずかですけど、福井県では相当多い。ですから幅広くPCR検査を行っていることはすごくよくわかっています。

 また、先ほども申し上げましたが、感染経路不明3%は、ほかのところでは60%超えています。その状況はどうしてかといいますと、全国一律の積極的疫学調査の調査票があるのですが、簡単に言えば、前の2週間、発症後の2週間、誰と会いましたかというような調査票です。少し伺っているのは多くのところでは、感染可能性があるということよりも、発症してから誰にうつしたかという濃厚接触者の特定を重視、なおかつ、濃厚接触者が誰かということに注目している。

 県では過去にさかのぼって、誰から感染しているかという場面をしっかりと確認をしていく。そうすることで、この人に接触していたという人の検査を行ってみたら、その人も感染していたということが後からわかることもあります。こういうところも、他のところを伺っていても、ある意味できるわけです。

 保健師の数は、どこの県でも人口に応じてそれなりにいらっしゃるでしょうし、私どもは入院コーディネートセンターや受診・相談センターによって、保健師1人当たりの積極的疫学調査に充てる時間を十分とっています。普通は、各保健所に電話がかかって、保健師がそれを取って、「どうしてください、こうしてください」という話を全部やっているわけです。積極的疫学調査に割く時間がどんどん減っていくわけです。 

 私どもで受診・相談センターをしていることで、調査が積極的にできるようになって、例えば、大都市は6割ぐらい、全国で見ても5割ぐらいは感染経路不明ですが、県では3%にできています。

 数字をいろいろ聞いていただくと、参考になる数値はあると思います。重症化率も相当低いと思います。全国的にどこと比べてということはありませんが、やはり医療逼迫しているところに比べれば、相当抑えられていると思います。

 

【記者】

 警報への引き下げに伴って緩和する部分で、知事は経済再生に軸足を移すとおっしゃったと思いますが、県内での旅行や会食は、県民にわかりやすくいうと、遠慮なくどんどん行ってください、どんどん会食もしてくださいというアピールだと受け止めてよろしいでしょうか。

 

【知事】

 私どもから、どんどん行ってくださいという言い方までするかどうかはともかく、こうした制度を使いながら、前提としてはマスクをしっかりと着用していただく。特にマスク会食は旅館も同じですので、そういうようなことを守っていただいた上で、県民の皆様には県内でお楽しみいただければと思っています。

 

【記者】

 特段、何%までなど目標的なことは、想定されているのでしょうか。

 

【知事】

 現状、今はそれを持っておりません。とにかく、まず今は底辺の状況だと思いますので、これをできるだけ盛り上げたいと思っています。

 いずれにしても指標が悪くなってきたら、もちろん、また別の観点のことはあるかもしれませんので、そこはしっかりと次に広げないということは、気をつけていただきたいと思っています。

 

【記者】

 ゴールデンウィークが危惧されていたと思いますが、これで大体2週間経って今はもう落ち着いたという認識になるのでしょうか。また、県民の協力あってのことだと思いますが、どのように評価していますか。

 

【知事】

 おっしゃられるとおり、ゴールデンウィークの人の移動による影響というのはかなり収束してきたかと思います。その理由として、新規系統の数が相当減っていて、新規系統が減るということは、さっき申し上げたとおり、県外由来が減っています。県外由来が入りにくくなっているということは、人の移動、やはり長期休みのときにはただ旅行に行くというよりは、家族や深い友達といった人に会って、マスクを外している場面がある方が結構多いので、ときどき複数系統入ってきます。ゴールデンウィークのころと比べると、今日も1系統ですし、今日現在で1週間の新規系統は8つ、1週間前は17でした。

 また、5月6日や5月7日は新規系統が22系統ということで、やはりゴールデンウィークのころは次々と新しい株が入っていました。そうすると、いくら早くやっていても、どうしても次に広がっていたりして、濃厚接触者に感染が出てくる。今回落ち着いてきているのは、やはり新規系統が減っていることが大きいと私どもは見ています。

 

【記者】

 聖火リレーについて、感染状況によっては直前でも変更とありますが、どれぐらいの感染状況で公道での実施の縮小を検討するのでしょうか。

 

【知事】

 感染の広がり方は必ずしも一概に言えないので、今は申し上げられませんが、全国的な例を見ていると、外出規制がかかるときは一つの大きな節目かと思っています。

 

【記者】

 いちほまれについて、コロナでかなり米の需要が低下して、高価格帯の米もかなり苦戦していると聞いています。現在のいちほまれの市場の評価や現状、販売状況の認識をお聞かせください。

 

【知事】

 市場の評価は引き続き高いという認識をしています。客観的な状況で申し上げますと、令和2年度米については、全国で5,000トンの販売を行っています。現状で言えば、4月いっぱいの状況で、昨年が48.5%の販売済みのところが今年は43.5%になっていますので、低くはなっていますが、量としては230t去年よりもたくさん売れていますので、そういう意味では認知は広がっていると思っています。

 そういうこともあって、この販売比率をさらに引き上げていくため、この「いちほまれの日」などをこれから展開していこうということでございます。

 

【記者】

 イベントなどを企画されているということですが、現状わかっている範囲でもう少し具体的に教えてください。

 

【知事】

 まず一つは、「もっといちほまれin直売所」ということで、JAの直売所と連携をしまして、おにぎりをふるまったり、特売コーナーの設置をさせていただきます。「ふくい南青山291」や「食の國 福井館」、もしくはオンラインショップで買っていただいた先着100名の方に、2kg以上買っていただければ送料無料にするキャンペーンもさせていただきます。また、8月末までにいちほまれを買って応募いただくと、県産品と味の素セットが届くというようなことも現在実施中です。

 

【記者】

 狙いとしては東京でもやるということなので、全国向けだと思いますが、県民にも浸透を図りたいという狙いはあるのでしょうか。

 

【知事】

 県外の皆様は、食べたいけれど食べられないという方もいらっしゃいますので、いい機会かと思っています。

 また、県内でもお店にのぼりが出るということがとてもPRになります。お米屋さんに行くと銘柄が並んでいてどれにしようかなという感じにもなるので、のぼりが目立つということは大事だと思っています。

 

【記者】

 いちほまれの認知度をさらに向上してシェアを上げていきたいとお考えでしょうか。

 

【知事】

 おっしゃるとおりです。それだけではなく、本当に足で稼いでいまして、新しい卸屋や店舗などの開拓、オンラインも含めてしっかりやっています。

 

【記者】

 昨日、JR西日本が小浜線、越美北線の減便を検討しているということを明らかにしました。

 両線ともに、住民の生活の足として、また、新幹線開業後の二次交通手段としての期待も大きいと思いますが、そうした中でこういった方針が打ち出されたことに対する知事の受け止めをお聞かせください。

 

【知事】

 JR西日本の経営状況は過去最悪であるということはよく認識しています。そういう状況ではありますが、これは大変残念だと思っています。状況は今おっしゃっていただいたように、住民の皆様の生活の基盤ですので、不便になると、さらにみんなが使いにくくなり、使わなくなることにも繋がりかねないと思っています。

 しかし、座して待っているわけにはいきません。これまでも、JR西日本には、私どもももっと便利にして欲しいというお願いをしてきました。そういう状況でもそうでないにしても、何とか維持していくため、みんなで乗る運動など我々もいろいろな提案をさせていただいていました。まずは、明日、嶺南市町の首長、代表して小浜市長、高浜町長、県からも地域戦略部長や嶺南振興局長がJR西日本に行き、ぜひ存続、減らさないようにということを要請させていただきます。

 越美北線についても、時期は未定ですが、福井市、大野市と一緒に活動させていただきます。何よりこれは国策の問題でもあると思います。これは全国的にこういう状況ですので、JRは全国で同じようなことを考えている、これは当然のことであるわけです。並行在来線も、今後の経営は同じような状況になる可能性があるわけですので、国に対して、こうした生活の基盤となっている路線をどう維持するのかということについて、しっかりとこれからも申し上げていきたいと思っています。

 

【記者】

 小浜線については、嶺南地域の公共交通網形成計画を昨年策定されています。そこで県と市町で積み立てたリゾート新線の基金80億円を充てていろいろな事業を考えていると思いますが、事業内容の再考などの予定はあるのでしょうか。

 

【知事】

 まさにおっしゃられるとおりで、公共交通網形成計画をつくって、新幹線開業に向けて、もっと充実させていこうと考えていた矢先の今回の出来事ですので、そういう意味でもショックが大きいと思っています。公共交通網形成計画を着実に実施して、これは住民の皆様の生活の利便性を確保、向上していくということもありますし、観光や産業にも利用していこうという話があるので、まずはJRにお願いをして、それから国にもしっかりと基盤を支えてもらうということ。あわせて、私どもの嶺南Eコースト計画や公共交通網形成計画で、もしくは基金を活用しながら、ぜひ県民の皆様にも観光客の皆様にも乗ってもらう。そうすることで、小浜線の利便性を維持できるような体制に持っていきたいと思っています。

 

【記者】

 知事が先日再稼働に同意した40年超原発の3基について、関西電力が先日、美浜3号機が6月下旬に再稼働、高浜1、2号機は当面再稼働の見送りの方針を示しました。知事が同意した3基のうち、結果的には1基しか再稼働しない状況について知事の認識を伺います。また、その状況が福井県に与える影響についての考えをお聞かせください。

 

【知事】

 以前から申し上げていますが、一つひとつの炉をどのようにしていくのか日程を見ながらやっているわけではありません。大きく言えば、審査がすべて終わって、工事がほぼ終わってくる状況を見ながら、今回は40年超運転という大きなくくりがあって、判断する時期が来たので議論をしてきました。結果的に、慎重にいろいろ議論をしてきた結果、4月28日に結論となりました。その結果として6月9日に間に合わないということで、今までやっていなかったいろいろな作業はやりつつも、再稼働はしないことになったのだろうと思っています。

 私どもは淡々と、いつも申し上げている原子力行政の三原則に基づいて、きっちりと議論してきた結果として、日程感としてこうなったということだろうと思います。

 影響については、一つには10年余り運転をしていなかった炉なので、再稼働するときには慎重にしていただく必要があると思っています。それについては関西電力もしっかりと、通常よりも人員を配置しながら慎重にやっていくと言っていますし、再稼働に至らなくても燃料の装荷や点検できるところは行っていくとしていますので、必要な範囲で、規制庁とも相談しながらだと思いますが、やっていただく必要があると思っています。

 もう一つは、特定重大事故等対処施設の作業を急いでもらうことも、地域経済にとっては良い影響になるのではないかと思いますので、安全に細心の注意を払いながら、その他の対策もしっかりと進めていただく必要があると思っています。

 

【記者】

 総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会で新増設、リプレースを進めるべきだとの意見が複数の委員から出ています。リプレースを推進している自民党の議員連盟が結成されているという動きもありますが、知事の新増設、リプレースについての認識と夏にも改正が予定されているエネルギー基本計画への期待感や現状での考えなどをお聞かせください。

 

【知事】

 エネルギー基本計画については、私も常々審議会の中でも話をさせていただいていますし、先般の梶山大臣との話の中でも、大臣からは2050年カーボンニュートラルに向けては、一定の原子力を維持するというようなことも言われていました。また、新しい技術の開発や人材の育成についても力を入れていくなど、2030年について、総理大臣がアメリカ、地球環境サミットで、CO2を46%減らしていく話もありました。こういうことに向けて、2030年の目標であった2割程度に原子力の比率を引き上げていくという話もありました。

 次のエネルギー基本計画では2050年に向けて、原子力の道筋を含めて、どういうような姿にしていくのかということも、より鮮明に書いていただく必要があると思っています。

 その上で、新増設・リプレースの話ですが、私が審議会に出て強く思ったことが、本当に多くの委員が2050年カーボンニュートラルを見据えると、客観的数字など皆様もご存じだと思いますが、再生可能エネルギーだけで、例えば100%にするという案もありましたが、太陽光パネルを置く、風力発電をする場所が相当のところまでやらなくてはいけなくて、爆発的にエネルギーコストが上がります。ある点を超えるとものすごく上がっていくことも明らかになっています。

 そういう意味では現実的なところをまず考えていく必要があるということがあって、原子力の活用を多くの専門家が言っていたと思います。その中で新増設・リプレースをしっかりと進めるべきとの声も多かったと私は認識しています。

 立地地域がどうしろという話を私が申し上げることではなくて、国がそういった意見を汲みながら判断をしていくと思いますが、立地地域として一つどうしても申し上げなくてはいけないのは、安全性をより高めるということはぜひお願いしたいと思っています。既存炉であれ、新増設・リプレースであれ、立地地域としては、安全性をより高めることが立地地域の安心につながるし、原子力の安全運転につながると思いますので、そういった観点が新増設・リプレースという議論の中では必要だと強く思います。

 

【記者】

 国が5月に初会合を開くと県にも説明していた共創会議については、その後日程等の説明はあったのでしょうか。

 

【知事】

 日程は、正直言うと5月中との話でしたが、新型コロナがまさにこういう状況で、不要不急かといえば、決してそういう判断をする必要はないかもしれませんが、現実には6月以降にずれ込んでいると思います。

 大きな枠組みは以前合意した中身が生きているので、淡々と6月頃に開かれるように我々としても期待しているところです。

 

【記者】

 40年超再稼働に向けて、県として監視体制を強化していくという話でしたが、具体的にどういう体制で臨むのでしょうか。

 

【知事】

 すでに高浜1号機について燃料の装荷がありました。このときも担当副部長や担当課長が現場に行き、立ち会ったという状況です。

 さらに毎朝ミーティングをオンラインで行って、昨日どういうことが行われたのかや、今日の予定もチェックさせていただいています。24時間365日、何か事象があれば連絡が来るという体制はこれまでどおり取っています。

その上で、高浜1号、また報道等によれば美浜3号ということになっていくと思いますが、美浜3号でも今日から燃料の装荷が始まると思います。ここも担当の課長や副部長や部長、もしかすると副知事が出るかもしれませんが、いろいろな形で、例えば燃料の装荷と原子炉の起動というところや、あとは並列、発電を始めるところは大きな節目だと思いますので、そういうところで責任のある者がしっかりとチェックをしていく、日頃からやっていくことを重ねていきたいと思っています。

 

【記者】

 国からの再稼働に伴う25億円の交付金について、具体的な設計などの連絡はあるのでしょうか。

 

【知事】

 これはまだ国から時期や使い道、配分の方法について通知がありませんので、私どもはそれを待っているところです。それが出たところで具体的にどのようにしていくのかを考えていきたいと思っています。

 

【記者】

 高浜については、今年度は再稼働しないということだと思いますが、一度知事として再稼働に同意していて、実際動くまでに状況が二転三転と変わることが今後十分あり得ると思います。国や関西電力からいろいろなものを提示されて、こういうふうにやっていくので動かしてくださいというような話だったかと思いますが、その状況が動くまでに変化した場合、判断を変えられる、止めるように要請するといったことはあり得るのでしょうか。

 

【知事】

 仮定の質問なので、どう答えていいのか迷いますが、基本的にはこの前同意をしたという状況であるので、それは国と関西電力との間で必要な条件が整えば再稼働ということになるのだろうと思います。しかし、それは別の話として、これはどんなことでも言えますが、事柄によっては、それは別の話として、当然私どもから何かを申し上げるということはあると思っています。

 

【記者】

 それこそ中間貯蔵の話でも一度関西電力や国がされた約束が果たされなかったことが過去にもあると思いますが、実際に高浜が再稼働するまでにそういったものが果たされないことが明らかになった場合、県として判断を覆すということがあり得るのでしょうか。

 

【知事】

 まさに個別の仮定の話なので、私が今答えるようなことでもないと思っています。

 

【記者】

 小林化工の件で、先日、社長が変わって新しい経営体制になりましたが、期待することをお聞かせください。

 

【知事】

 小林化工については、まず体制を直していただく必要がありますし、現在、鋭意努力をされているのだろうと思います。

大きく言えば、原因の究明をしていただいて、その対策を実行していただくということ。具体的には、組織体制の見直しや従業員だけではなく、役員を含めて教育訓練を徹底していただく。その上で、適正に製造、品質の管理を行う体制をとっていただくことが前提になります。

 今回、役員体制が刷新され、新しい社長は法律の専門家でもあると伺っていますので、マネジメントの能力を発揮していただき、二度と今回のようなことが繰り返されないよう組織体制をしっかりしていただきたいと思います。

また、薬機法以外の法令も守るような体制にして、従業員への教育をしていただき、さらに適正な製造、品質管理を行っていただくことを期待しています。

 

【記者】

 小林化工について、6月5日に県の業務停止命令の期間が終了しますが、事業再開に向けて県の確認する事項や再開の判断を出す時期について今どのように考えていますか。

 

【知事】

 今のところ経営の刷新やコンプライアンス推進室ができたことなど、いくつか改善点を県に出していただいていますが、まだ道は遠いのではないでしょうか。

 個別の薬剤製造について、適正化、品質管理などの話にまだ至っていないように見えます。

 6月5日というのは単に停止命令の期限が来るというような程度の状況だと認識しています。

 

【記者】

 アルコール事業法の問題も出てきて、経済産業省が立ち入りするかもしれないという状況で、県として、いつ再開できるかについては、年内くらいの長いスパンで判断するということになるのでしょうか。

 

【知事】

 アルコールについては、薬機法で必要な、例えばアルコールを添加するなどのことについては間違っていることも確認し、指導しています。

 アルコールそのものの扱いについては経済産業省の関係ですが、こちらについても話を聞いている限りではずさんな扱いかと思っています。

 新経営陣には薬機法に限らず、こういったことも含めて改めていただく、どのような分野においても二度とこういうことが起きないようにしていただきたいと思いますし、直される期間がどれくらいかということについては、私が申し上げることではないので、年内なのかどうかわかりませんが、6月にどうなるという問題ではないと思います。

 

【記者】

 薬機法とアルコール事業法以外に県が把握している違反はありますか。

 

【知事】

 県としては、大きくは薬機法違反について把握しており、アルコール事業法違反の関係については、報道等を通じて知っている状況です。

 

【記者】

 県の判断としては、6月の期限までには再開は間に合わないのではないかということが現在の見通しということでよろしいでしょうか。

 

【知事】

 そうだと思います。

 

【記者】

 小林化工の社長が新たに変わりましたが、期待することや県として要望するようなことはありますか。

 

【知事】

 法律の専門家でもあるので、二度とこういうことが起きないよう、コンプライアンスをしっかりと確立するために大事なことをしていただく。

 従業員や役員の研修、承認書どおり適正に製造を行う体制をとっていただくことが一番重要であり、新経営陣にお願いしたいと思います。

                                                           ―― 了 ――

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