No.1 アミロースに着目した米パンの軟らかさ長持ち方法の開発!(H25.4.30)
米の消費拡大策として米粉の利用が図られており、福井県内では主に米パンに利用されています。米パンは独特の食感があるものの小麦パンと比較して、短期間で硬くなり易いなどの問題があり、販路や消費拡大の課題となっています。
そこで、米パンの硬化を抑える方法について検討したところ、米に含まれるデンプンの一つ、アミロースの量に左右されることがわかりました。
パンの性質に影響を及ぼすアミロース含量
米に含まれるデンプンには、枝分かれ構造を持つアミロペクチンと直鎖状のアミロースがあり、その含量は品種によって異なります。
米パンの硬くなり易さは、このアミロース含量によって大きく影響されます。アミロース含量が高いと膨らみが大きくなりますが、焼き上がりは硬くなり焼成後の硬化も早くなります(図1)。逆にアミロース含量が低いと、焼き上がりは軟らかく焼成後の硬化も抑制されますが、膨らみを保てず腰折れを起こします(図2)。 また、アミロース含量の違いで、食感も異なります。アミロース含量が多いとふんわりとしていて、比較的軽い感じの口当たりになり、逆にアミロース含量が少ないとしっとりモチモチとしていて、どっしりとした感じの口当たりになります。アミロース含量を調整することで、硬化を抑制する他に、食感・見た目など多様な米パンを作成することができることがわかりました。
図1 異なるアミロース含量による硬さの違い |
図2 米粉のアミロース含量を変化させた パンの外観・断面形状 |
米粉ブレンドによるアミロース含量の調整
膨らみと軟らかさのバランスの取れたアミロース含量を調べるため官能評価を実施したところ、8~10%のアミロース含量が適切でした。
コシヒカリ等の中アミロース米、ニュウヒカリ等の低アミロース米、モミロマン等の高アミロース米、アミロースが含まれないモチ米等、品種を組み合わせることで、アミロース含量を調整することができます。
米の品種で硬化抑制効果に違いがある
同じアミロース含量の米粉を使用してパンを焼成しても、米の品種によってその硬化抑制効果に違いが出ます。例えば、コシヒカリ・モチ米のブレンドとニュウヒカリ・コシヒカリのブレンドを同じアミロース含量に調整しパンを作ると、ニュウヒカリを使用した方が、硬化抑制効果が高くなります(図3)。
図3 品種の違いによる硬さの変化 |
技術の導入効果
米粉のアミロースを調整することで、糖類や酵素剤など硬化防止剤を使わずに硬化抑制することができるといったメリットがあります。硬化防止剤を使わない米パンは焼成1日後で硬化する傾向がありますが、この技術を活用することで3日後まで延伸することができます。
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