No.2 収穫時期や追熟により好みの梅酒・梅シロップが作れる!(H25.5.17)
福井県は日本海側最大の梅産地として知られています。
おいしい福井梅をもっと使っていただくため、消費者の嗜好にあわせた梅酒や梅シロップの作り方を紹介します。
1.収穫時期が遅いほど酸味が増える
梅酒や梅シロップの酸味の主要な成分は、クエン酸やリンゴ酸などの有機酸です。収穫時期が遅いほどリンゴ酸は減少しますが、クエン酸はそれ以上に増加しますので、有機酸の全体量が増え、酸味が増加します(図1)。
しかし、収穫後の日数が経過するほど有機酸量は減少します。
図1 ウメ果実中の有機酸量 |
2.収穫時期や追熟により香りが変化する
6月中旬に収穫したウメからは杏仁のような香り、6月下旬以降に収穫したウメからはモモのようなフルーティーな香りの梅酒や梅シロップが作れます。また、6月中旬に収穫しても、室温で4日以上置き、追熟させると果皮が濃緑色から淡黄緑色になり、芳香が強くなります(図2)。
この状態のウメを用いるとモモのようなフルーティーな香りのする梅酒や梅シロップを作ることができます。ただし、収穫後のウメを30℃以上の温度に置くと、エチレンの発生が阻害され追熟が進まないので、高温になりそうな場所での追熟は避けましょう。
図2 収穫日による梅酒の香りの変化 ※熟練した評価者6名による官能評価に基づく |
3.収穫時期が遅いほど色が濃くなる
ウメの収穫時期が遅くなるほど、梅酒の色が濃くなります。収穫時期の早いウメでも、収穫後の追熟期間が長いほど、梅酒や梅シロップの色が濃くなります(写真1)。
これは、収穫時期が遅くなったり、追熟期間が長くなったりするほど、核(種子)の色が濃くなり、核の着色が影響していると考えられます。また、収穫時期が遅くなるほど果汁が増加するので、出来上がりの液量が増えます。ただし、収穫時期が遅かったり、追熟したりしたウメは、果皮がやわらかくなり、梅シロップにすると発酵しやすくなり、味が落ちます。このため、一度冷凍してから加工する方が良いです。
これらの試験は、福井県の主要品種「紅サシ」で行った結果です。今後は、「新平太夫」や「福太夫」などの品種についても検討する予定です。
写真1 収穫時期および追熟による梅酒の着色 |
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