職場のトラブルQ&A ~懲戒解雇の判断~

最終更新日 2020年3月27日ページID 000248

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 今年採用した社員が、この一週間ほど無断欠勤し、連絡が取れません。会社の就業規則には「無断欠勤が14日間に及んだとき」を懲戒解雇事由として定めています。就業規則に照らして、懲戒解雇としてよいでしょうか。

 懲戒解雇は企業秩序(規律)違反行為に対する極めて強力な制裁措置であり、労働者にとっては再就職の重大な障害となる不利益を伴います。
 従って労働者の行動が、懲戒解雇に相当するほど違反の程度が大きく悪質でなければ、その解雇は無効と解されています。
 懲戒解雇にするかどうかは、欠勤の理由が「病気なのか」「単なるサボりなのか」、届けなかった理由が「やむを得ない事情があったのか」「単なる怠慢のためなのか」といったことを、総合的に判断する必要があるでしょう。
 また、本人宅を訪問したり、出勤してきたら、前記のことを調査してみてはどうでしょうか。
 ただ単に「14日間」という規定の日数が経過した事実をもって、解雇しても問題ないとは考えないほうが良いでしょう。慎重に扱わないと「懲戒権の濫用」だとされかねません。

解説

 懲戒処分が有効とされるためには、学説・裁判例上次のような要件が必要とされています。

1 明確性の原則

 懲戒規程(懲戒事由と懲戒の種類・程度)が就業規則等に定められていること。また、根拠規定が設けられる以前の事犯に対して適用されてはなりません。さらに、同一の事犯に対して2回懲戒処分を行うことは許されません。

2 相当性の原則

 懲戒は、規律違反の種類・程度その他の事情に照らして相当なものでなければなりません。使用者が当該行為や被処分者に関する情状を適切に酌量しないで重すぎる処分を科した場合は、懲戒権を濫用したものとして無効になります。 

3 平等取扱いの原則

 同じ規定に同じ程度に違反した場合には、これに対する懲戒は同一種類、同一程度でなければなりません。 

4 適正手続の原則

 本人に弁明の機会を与えるとか、処分に対する不服があればそれを公正に検討するといった手続が必要です。

参考

 

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