職場のトラブルQ&A ~有期労働契約の反復更新と雇止め(不更新)~

最終更新日 2020年3月27日ページID 000252

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 私は下請工場の経営者ですが、受注が減少してきたので反復更新を続けている契約社員の雇止めをしたいのですが、問題があるでしょうか。
 

 期間の定めのある労働契約の効力は、期間満了により終了するのが民法上の原則です。しかし、

1.過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
2.労働者が、有期労働契約の契約期間満了時にその契約が更新されるものと期待することについて、合理的な理由があると認められるもの

のいずれかに該当する場合であって、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められないときには、使用者は契約の更新を拒絶できません。従前と同一の労働条件で契約が更新されます(労働契約法第19条)。
 また、有期労働契約が通算で5年を超えて反復更新された場合(※)は、労働者の申込みにより無期労働契約に転換されます(労働契約法第18条)。
 契約社員との契約内容や契約更新手続の状況などを再度、確認してみてください。
 なお、使用者は、労働契約締結時に、契約期間とともに契約を更新する場合の基準についても書面の交付により労働者に明示しなければなりません(労働基準法施行規則第5条)。
 また、有期労働契約が3回以上更新されているか雇入れ後1年を超える継続勤務者について契約更新しない場合には、少なくとも期間満了日の30日前までに予告をしなければなりません。
 

解説

 雇止めについては、労働者保護の観点から、過去の最高裁判例(東芝柳町工場事件 昭49.7.22、日立メディコ事件 昭61.12.4等)により、一定の場合にこれを無効とする判例上のルール(雇止め法理)が確立していましたが、平成24年の労働契約法の改正により条文化されました。
 また、同一の使用者との間で有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたとき(※)は、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換できるという規定も新設されました。転換後の無期労働契約の労働条件は、別段の定めがない限り、直前の有期労働契約と同一となります。別段の定め(労働協約、就業規則、個々の合意に基づく労働契約等)をすることで変更可能ですが、就業規則を変更する時は不利益変更とならないか注意が必要です。

(※)通算契約期間のカウントは、平成25年4月1日以後に開始する有期労働契約が対象となります。また、有期労働契約とその次の有期労働契約
  の間に、契約がない期間が6か月(通算対象の契約期間が1年未満の場合は、その2分の1)以上あるときは、その空白期間より前の有期労働契
  約は通算契約期間に含めません(クーリング)。
 

 なお、無期労働契約に転換するルールを一定の対象者に適用する場合の特例が定められています。
 ・研究者、教員等に関する特例
   有期労働契約を締結している大学等・研究開発法人の研究者、教員等については、労働者の無期転換申込権が発生するまでの期間は10年とな
  る。

 ・専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特例
   1.「5年を超える一定期間内に完了することが予定されている業務」に就く高度の専門的知識等を有する有期雇用労働者
     労働契約の期間が認定に係る期間(上限10年)を超えた時点で無期転換申込権が発生する。
   2.定年後、ひきつづき有期労働契約で継続雇用されている高年齢者
     予め認定を受けた場合、何年継続雇用しても無期転換申込権は生じない。

    

参考

 

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