砂防の歴史
砂防の歴史一覧表
西暦 | 和暦 | 事 項 |
1870 | 明治3 | 大飯郡佐分利川で洪水、山嶽の著しい崩壊により、家屋の倒壊、人畜の死傷、田畑の荒廃 |
1891 | 明治24 | 濃美地震発生、大野郡西谷村から池田村にかけて山津波、集落・農耕地に大きな被害 |
1894 | 明治27 | 砂防工費を創設、大野市佐開、鬼谷川で県内最初の砂防工事施工、石積堰堤3基 |
1895 | 明治28 | 7月、8月大豪雨、特に九頭竜川小支大鶴見川で大きな被害、南条郡今庄字小屋ヶ谷では山腹崩壊し、死者10余名 |
1898 | 明治31 | 大野郡上庄村大字佐開字利足を県内最初の砂防指定地に指定 |
1899 | 明治32 | 7月、9月の豪雨により、県下706村集落で甚大な被害298万円(全国第1位) |
1899 | 明治32 | 明治28年の災害により、アカタン砂防堰堤群の施工に着手(旧今庄町古木、赤谷川) |
1934 | 昭和9 | 1月~2月の豪雪による雪崩災害、7月の九頭竜川水害、9月の室戸台風による水害 |
1943 | 昭和18 | 九頭竜川支流打波川上流ミノ又谷で14haに及ぶ大崩壊、崩落土砂は山津波となり数名の死者 |
1947 | 昭和22 | 全国治水砂防協会福井県支部の創設 |
1948 | 昭和23 | 福井地震、死者・行方不明者3858名、家屋被害46115戸に及ぶ大被害、巣原地区で地すべり発生(24ha) |
1953 | 昭和28 | 台風13号、連続雨量600mmを記録、1081箇所で山地崩壊続出、死者・行方不明116名、砂防被害箇所133箇所、被害額2億3千万円 |
1954 | 昭和29 | 土木部河港課より「砂防課」独立新設 |
1958 | 昭和33 | 地すべり等防止法により、小浜市根来地係他4箇所を初めて指定 |
1959 | 昭和34 | 足羽川支流水海川の美濃俣地係で地すべり発生、約360万m3の土砂が発生し、美濃俣集落は廃村 |
1959 | 昭和34 | 8月の台風7号等により三方町・上中町で被害 死者5名、全半壊の家屋38戸 |
1959 | 昭和34 | 9月の伊勢湾台風により若狭・奥越地方で被害 死者・行方不明者34名、全半壊の家屋237戸 |
1961 | 昭和36 | 九頭竜川支流打波川上流ミノ又谷で北美濃地震に起因した山腹崩壊が多数発生、その土砂量約228m3。また、第2室戸台風により土石流が発生、下流域で被害 |
1963 | 昭和38 | 38豪雪、勝山市横倉の雪崩により死者16名、美山村では下校中に9名が生き埋められ、死傷者5名 |
1965 | 昭和40 | 三大風水害(台風23号、奥越豪雨、台風24号)により、県内で大災害 |
1965 | 昭和40 | 時間雨量82mm、連続雨量1000mmを越す集中豪雨により、大野郡西谷村が大被害 |
1965 | 昭和40 | 今立町大滝で地すべり、幅60m、高さ50mの斜面崩壊、人家4戸流出、死者10名 |
1969 | 昭和44 | 10月、県内最初の急傾斜地崩壊危険区域の指定(越前町城ケ谷地区他3地区) |
1971 | 昭和46 | 勝山市北谷町谷で地すべり、幅50m、高さ50mの斜面崩壊、交通不能 |
1972 | 昭和47 | 福井市金屋町安居山地区で地すべり、幅200m、高さ170mの斜面崩壊、全半壊3戸 |
1978 | 昭和53 | 真名川流域を国の直轄砂防事業として着手 |
1979 | 昭和54 | 6月豪雨、8月11号台風、9月12号、16号台風、10月20号台風により、40災以来の大災害 |
1979 | 昭和54 | 特に台風16号は本県を直撃、死者3名、家屋全半壊307戸、床上床下浸水2307戸 |
1981 | 昭和56 | 56豪雪により本県は大打撃、特に大野市上黒谷、下黒谷の45世帯215人が雪崩により避難 |
1981 | 昭和56 | 7月の豪雨により、嶺北地方を中心に被害、行方不明1名、負傷者2名、家屋全半壊29戸、床下床上浸水2794戸 |
1989 | 平成元 | 7月と9月の豪雨により、奥越地方を中心として被害、死者16名、全半壊等1戸、床上床下浸水438戸 |
1996 | 平成8 | 10月、土砂災害防止にかかるボランテイア活動を目的として、福井県砂防ボランテイア協会の創設、平成13年9月に「NPO法人格」を取得 |
1998 | 平成10 | 7月の2回の豪雨、8月の豪雨、9月の台風7号により県内各地で被害、特に台風7号では死者4名、負傷者12名、全半壊等230戸、床上床下浸水872戸 |
2001 | 平成13 | 河川課より海岸事業の移管に伴い、砂防課から砂防海岸課に組織改正 |
2003 | 平成15 | 3月、県内の土砂災害危険箇所の公表(土石流危険渓流3111、急傾斜地崩壊危険箇所3601、地すべり危険箇所149、合計6861箇所) |
2003 | 平成15 | 9月、鬼谷川堰堤(大野市佐開、オンタニ砂防)が登録有形文化財に登録(文化庁、砂防施設として県内最初の登録) |
2004 | 平成16 | 6月、アカタン砂防堰堤群(旧今庄町古木、赤谷川)が登録有形文化財に登録(文化庁) |
2004 | 平成16 | 7月、福井豪雨により、嶺北地方を中心に被害、死者・行方不明者5名、負傷者19名、全半壊等407戸、床上床下浸水13637戸 |
2004 | 平成16 | 12月、県内最初の土砂災害警戒区域指定(大野市矢地区など54箇所) |
2006 | 平成18 | 平成18年豪雪、7月豪雨により、県内各地で大きな被害を受ける |
2013 | 平成25 | 9月、台風18号により、嶺南地方を中心に被害、死者1名、全半壊7戸、床上床下浸水320戸 |
2015 | 平成29 | 台風21号により、県内各地で大きな被害を受ける |
2022 | 令和4 | 8月豪雨により、鹿蒜川流域の各所で溢水・越水が発生、全半壊等58戸、床上床下浸水163戸 |
※ 事項の内容については、「福井の砂防史」、「福井県土木史」を参照
鬼谷川砂防堰堤(大野市、H15.9.19文化財登録)
福井県大野市佐開(さびらき) 地係に位置する鬼谷川堰堤が、平成15年9月19日に国の登録有形文化財として登録されました。明治30年に造られた堰堤で、福井県内に現存する堰堤の中では最古のものです。大きいもので直径約1mもある自然石を積み上げて造られており、景観や親水性にも優れています。現在も土砂調整機能を有し、土砂災害の防止に貢献しています。
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水源山林は廃藩置県以来、森林伐採や焼畑などが無秩序に行われた結果、荒廃が甚だしく水源涵養の能力が低下したため、大雨が降るたびに山腹崩壊により河川が閉塞するなど、年毎にその被害が大きくなり、砂防工事の必要性が叫ばれるようになりました。
明治25年11月に、県会で土砂打止の議決がなされ、同27年には臨時県会で砂防工費として2,740円が議決されました。これは県費により、当時の大野郡上庄村佐開字牛首地係の九頭竜川支川の鬼谷川に石積堰堤を設けたもので、本県初の砂防事業となっています。
名 称 |
写 真 |
解 説 |
鬼谷川砂防堰堤 (おんたにがわさぼうえんてい) |
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鬼谷川堰堤は、1897年、真名川支流の鬼谷川下流部に造られた砂防堰堤。現存する砂防堰堤では県内最古で、堤高6m、堤長36m。構造は、オランダ人技師エッセルの工法を用いた空石積み。大きなもので1mを超す丸石を積み上げて建造した。現在も土砂流出を防止する効果を発揮している。 |
翌28年には大飯郡佐分利村大字川上の佐分利川およびその支川の滝岩谷川においても石積堰堤が築造されました。
しかし、明治28年、29年両年にわたる大水害により、これらの施設が被害を受けたため、明治30年3月に制定された砂防法に基づき、その復旧にあたり県会の土木調査委員会が明治31年4月に現地調査を実施し、県下の荒廃の甚だしい鬼谷川、佐分利川などの24河川を第1期砂防工事として10ヶ年継続、工費50万円で明治32年度から実施することとなりました。
明治30年代に築造された鬼谷川および永谷川の石積堰堤は記念石碑とともに現存しており、現在でも土砂流出の防止に効果を発揮しています。
アカタン砂防堰堤群(南越前町、H16.7.23文化財登録)
アカタン砂防堰堤群(南越前町)南条郡南越前町古木(ふるき)地係 赤谷川(あかたにがわ)に設置されている9基の砂防堰堤が、平成16年7月23日に国の登録有形文化財として登録されました。この堰堤は明治30年代に空石積工法(目地材を用いることなく石を積み上げる工法)などの特徴的な工法で築かれ、約100年を経た現在でも、周囲の自然景観に溶け込みながら土砂災害の防止に貢献しています。地域住民には「アカタン砂防」として親しまれています。 |
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【堰堤名】 (1)アカタン砂防大平ミズヤ上堰堤 (2)アカタン砂防大平ミズヤ下堰堤 (3)アカタン砂防大平中堰堤 (4)アカタン砂防大平ナベカマ堰堤 (5)アカタン砂防大平口堰堤 (6)アカタン砂防松ヶ端堰堤 (7)アカタン砂防奥の東堰堤 (8)アカタン砂防八号堰堤 (9)アカタン砂防九号堰堤 |
アカタン砂防堰堤は、水通しが側方にあり、また導水堤を有することなど、他地域で同時期に作られていた堰堤とは明らかに異なる構造をしています。
○径100~150cm程度の巨礫が敷き詰められた水叩き部があるので、越流による下流洗掘も考慮に入れた設計と思われる。
○堰堤表面の礫は概ね径40~50cm程度で、堤内部は小礫を主体とした透水性材料が用いられており、水圧を低減する構造となっている。
○石積みは「亀甲石積み」と呼ばれる工法で、1つの石を中心に周囲を6個の石で取り囲むように積まれており、応力分散の効果がある。
○上流から(6)~(9)番目に位置する堰堤は、左右山脚部に水通しがあり、さらに本堤と直角に設けられた導流堤によって、岩盤を露出させた流路を水が流下する構造である。
アカタン砂防堰堤群(全9基) ※平成16年7月23日 国指定登録有形文化財に登録
番号 | 名 称 | 写 真 | 解 説 |
(1) |
アカタン砂防大平ミズヤ上堰堤 (おおひらみずやかみえんてい) |
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赤谷川の最上流に位置し(上流から1番目にの堰堤)、現地の岩盤を巧みに利用して築かれた堤長20m、堤高7.5mの空石積堰堤で、法勾配8分5厘とし、堤頂を縄弛みさせ、下流側下部には法勾配7分の段を設けている。土砂塊の直下流部に築かれた、砂防計画上重要な施設である。 |
(2) |
アカタン砂防大平ミズヤ下堰堤 (おおひらみずやしもえんてい) |
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大平ミズヤ上堰堤の約10m下流に位置し(上流から2番目の堰堤)、堤長7m、堤高3m、法勾配9分の空石積堰堤である。堰堤下流側に延長約61mの段状石張流路工を配し、渓床の勾配緩和と渓岸の安定に効果を発揮している。 |
(3) |
アカタン砂防大平中堰堤 (おおひらみずやなかえんてい) |
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大平ミズヤ下堰堤の約115m下流に位置する(上流から3番目の堰堤)。堤長28m、堤高7.5m、法勾配4分の空石積堰堤を流心方向に対して斜めに配し、露出した岩盤に水流を導いている。地形を巧みに活かした設計により、自然と一体になった落水の景を創り出している。 |
(4) |
アカタン砂防大平ナベカマ堰堤 (おおひらなべかまえんてい) |
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大平中堰堤の約90m下流に位置する(上流から4番目の堰堤)。岩盤基礎の上に築かれた堤長6m、堤高3m、法勾配約1割の空石積堰堤で、堤頂を縄弛みさせている。渓岸の崩壊を防ぎ、渓床勾配の緩和に効果を発揮することで、周囲の自然緑化を導いている。 |
(5) |
アカタン砂防大平口堰堤 (おおひらくちえんてい) |
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大平ナベカマ堰堤の約260m下流に位置する(上流から5番目の堰堤)。堤長8.5m、堤高3m、法勾配約1割の空石積堰堤。底部に径約1.5mの巨石を用い、縄弛みさせた堤頂に近づくほど小型の野面石を密に積むなど、構造上の工夫を見せている。 |
(6) |
アカタン砂防松ヶ端堰堤 (まつがたんえんてい) |
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大平口堰堤の約520m下流に位置する(上流から6番目の堰堤)。堤長27m、堤高7m、法勾配1割の空石積堰堤。岩盤の露出した堤体左端に設けられた水通し部に延長24mの石積導流堤を直角方向に接続する堅固なつくりとなっている。 |
(7) |
アカタン砂防奥の東堰堤 (おくのひがしえんてい) |
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松ヶ端堰堤の約160m下流に位置する(上流から7番目の堰堤)。堤長25m、堤高8m、法勾配1割の空石積堰堤。底部に石張を施した堤体右端の水通し部に延長21mの石積導流堤を堤体と直角方向に取り付けた大規模な石造物で、回復された緑の中で存在感を示している。 |
(8) |
アカタン砂防八号堰堤 (はちごうえんてい) |
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奥の東堰堤の約570m下流に位置する(上流から8番目の堰堤)。堤長112m、堤高11m、法勾配1割6分とした土堰堤の下部を法勾配1割の空石積で築いている。堤体右端に延長30mの石積導流堤を取り付けている。アカタン砂防群の中で最大規模を誇る堰堤である。 |
(9) |
アカタン砂防九号堰堤 (きゅうごうえんてい) |
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八号堰堤の約700m下流に位置する(上流から9番目の堰堤)。堤長72m、堤高6m、法勾配1割6分で築いた土堰堤の左端に延長68mの石積導流堤を取り付けている。 |
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