【もっと挑戦!福井人】vol.1 横井康孝 氏(上)

最終更新日 2022年3月7日ページID 049007

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キーワードは「もっと挑戦!もっとおもしろく!」。
自分らしく未来を拓き続ける福井人が、これまでの歩みと次世代へのメッセージを語る新連載をスタートします。
第1回目のゲストはユニフォームネクスト株式会社の横井康孝社長。
「学生時代は先生になりたかった」という横井社長が、35歳で「社長になる」と決めた理由とはー。
(聞き手は福井県未来戦略アドバイザー・瀬戸)
 


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ユニフォームネクスト株式会社 代表取締役社長 横井 康孝氏

1972年福井県生まれ。大学卒業後、総合スーパーの株式会社平和堂に勤務。

1997年に、父親が立ち上げて3年目のユニフォームネクスト株式会社に入社。

作業着やユニフォームのネット通販事業に取り組み、躍進を遂げる。

2007年から現職。2017年には東証マザーズ上場を果たした。



 

目次

1教師志望だった学生時代
2辛かった10年間の"修業期間”
3「福井の会社」だから覚悟を決められた







教師志望だった学生時代

―今でこそ、経営者として組織をリードする横井社長ですが、学生時代は先生を目指していたそうですね。

「先生ほど、人の人生に影響を与える仕事はないんじゃないか」と思ったのがきっかけです。先生って、毎年30人から40人ぐらいの学生と知り合いになりますよね。いい先生との出会いが、その後の人生を変えるきっかけになることもあります。

でも、この立場になってみて初めて、経営者も先生と似たような役割を担えるのだと気付きました。当社では今、ボトムアップで組織を変えているところです。これまでは私がいろんなことを決めて、会社を走らせてきましたが、社員の実力や意欲がどんどん増してきています。いよいよ理想的な組織に向けて、次の段階に進める時期が来たと思い、まさに取り組んでいるところです。


―学生時代から、リーダーとして周囲をぐいぐい引っ張っていくタイプでしたか。

周りの社長と比べて、どちらかというと「社長っぽくないな」と自分では思っています。「これをやりたい」と思っても、ちょっと周りの目を気にしながら慎重に進めるタイプです。とはいえ、学生時代から「誰もやらないなら、俺やろうか?」というところはありました。

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辛かった10年間の“修業期間”

―起業を意識し始めたのはいつ頃ですか。

祖父がお菓子の問屋をやっていて、父も大学時代に起業したので、大学生くらいから何となく自分でやることを想像していました。ただ、平和堂を経て今の会社に入った頃まではちょっと一歩引いて、「リスクはなるべく取らないほうがいいのでは」というスタンスでした。

「それって、もったいなくない?」と気づいたのは25歳のときです。どうせなら、自分から進んでやったほうが得るものが大きいし、成長につながるんじゃないかと。そのあたりから、考え方や振る舞いを意識的に変えるようになりました。その後、自分なりに工夫をしながら10年間はひたすら営業を続け、35歳のときに父に「社長にしてほしい。駄目なら会社を辞めてもいい」と伝えました。


―10年におよぶ「修業期間」はかなり辛かったと聞いています。それでも踏ん張れたのはなぜですか。

今だから言えることですが、自分は営業に向いていない、好きじゃないと思いながらやっていました。ただ、父親の会社に入って何の役にも立たずに辞めていくのは格好悪いし、社長の息子として悔しさもある。何か結果を出さなくてはと思っているうちに、この業界自体に課題があるのではないか、福井という縛りを取り除く必要があるんじゃないかと考え始めたんです。

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「福井の会社」だから覚悟を決められた

―やるならシフトチェンジしないといけない、今の枠組みを壊そう、と。

これは社長になる前の話ですが、自社のプリントや刺繍の技術を活かして「E-MARKS」という店舗を立ち上げました。福井の店舗は順調でしたが、その後に構えた敦賀の店舗の経営がうまくいかなかったんです。このとき、拠点がない中で一から地道な営業活動をやることの難しさを思い知りました。

並行して、インターネット通販も面白そうだなと考えていました。ただ、ネットバブルがひと段落した時期だったので、「もう遅いよね」との思いもありました。しかし偶然にも、東京でSEOという検索順位を上げる技術を学んで福井に戻ってきた人がいたので、「まだ可能性があるかもしれない」とインターネット事業を始めました。


―当時の事業規模を考えると、かなり大胆なご決断ですね。
覚悟を決めてネット通販に取り組めたのは、私たちが福井の会社だからです。もしも東京や大阪の会社だったら、「地元企業を相手にユニフォームを売る片手間で、ネット通販もやろう」と考えたかもしれません。でも、福井はお客さんのパイが小さくて、都市部ほど商品が売れません。だから覚悟が決まったんです。

さらに、福井は土地が安く、日本のほぼ真ん中にあるので物流環境がいい。インターネット通販業としては、すごくいい立地なんです。福井にネット通販で伸びている会社が多い理由には、こんな背景もあると思います。


―学生や若い人たちと話をしていると、「やりたいことがわからない」という声をよく聞きます。横井社長は、20代、30代で目の前のことに一生懸命取り組んだからこそ、「本当にやりたいこと」が見えたのでしょうか。

間違いなく、そうだと思います。この先、何があるかなんて誰にもわかりません。だからこそ、大事なのは見えない未来をどこまで信じられるかです。特に、20代の頃はまだ社会人経験が浅いので、みんな信じられないんですね。それでも成果をしっかり上げていく人に共通するのは、目の前のことを全力でやっていく素直さがあることだと思います。

「やりたいほうを選べ」と言う人がいますが、目先のやりたいことや楽なことばかり選んでいると、待っているのは「行きたくなかったゴール」です。

本当にやりたいことにたどり着くには、やりたくないほうや、苦労するほうを選ぶのが近道だというのが私の考え方です。たとえ今がやりたくないことの連続であったとしても、若い人たちにはゴールを信じて突き進んでほしいと思います。

(下)に続く


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